JP6655484B2 - 導電性高分子分散液及びその製造方法、並びに導電性フィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、π共役系導電性高分子を含有する導電性高分子分散液及びその製造方法、並びに導電性フィルムの製造方法に関する。
導電層を形成するための塗料として、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)にポリスチレンスルホン酸がドープした導電性高分子水分散液を使用することがある。
通常、導電層が塗布されるフィルム基材は疎水性のプラスチックフィルムからなる。そのため、水系塗料である前記導電性高分子水分散液は、フィルム基材との密着性が低い傾向にあった。また、導電性高分子水分散液は乾燥時間が長くなるため、導電層形成の生産性が低くなる傾向にあった。
そこで、導電性高分子水分散液の分散媒である水を有機溶剤に置換した導電性高分子有機溶剤分散液を用いることがある。
導電性高分子有機溶剤分散液としては、π共役系導電性高分子及びポリアニオンからなる導電性複合体を含む導電性高分子水分散液を凍結乾燥して乾燥体を得た後、該乾燥体に有機溶剤及びアミン化合物を添加して得たものが知られている(特許文献1)。
しかし、アミン化合物を含む導電性高分子有機溶剤分散液から形成される導電層は、導電性高分子水分散液から形成される導電層よりも導電性が低くなる、色調が変化するなどの問題を生じることがあった。また、導電層に離型性を発現させるために導電性高分子有機溶剤分散液に付加硬化型シリコーンを配合した場合、アミン化合物の存在によって付加硬化型シリコーンが硬化阻害を起こすことがあった。したがって、アミン化合物を用いた導電性高分子有機溶剤分散液では、導電層に離型性を発現させることはできなかった。
そこで、特許文献2では、π共役系導電性高分子及びポリアニオンからなる導電性複合体を含む導電性高分子水分散液に、オキシラン基及びオキセタン基の少なくとも一方を有する環状エーテル化合物を添加して、導電性高分子有機溶剤分散液を得ることが知られている(特許文献2)。特許文献2に記載の方法では、π共役系導電性高分子にドープしていないアニオン基に、環状エーテル化合物のオキシラン基又はオキセタン基を反応させて疎水化することにより、導電性複合体を有機溶剤分散性にする。
特開2011−032382号公報 国際公開第2014/125827号
しかし、特許文献2に記載の導電性高分子有機溶剤分散液から形成した導電層は、空気中に放置しておくと、経時的に導電性が低下する傾向にあった。
そこで、本発明は、分散媒として有機溶剤を用いているにもかかわらず、得られる導電層の導電性が高く且つ空気中での経時的な導電性低下を抑制できる導電性高分子分散液及びその製造方法を提供することを目的とする。また、基材に対する導電層の密着性が高く、導電層の導電性が高く且つ空気中での経時的な導電性低下が抑制された導電性フィルムを容易に製造できる導電性フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、エポキシ基及びイソシアヌレート環を有するエポキシイソシアヌレート化合物と、有機溶剤とを含有する、導電性高分子分散液。
[2]前記エポキシイソシアヌレート化合物が、下記式(1)で表される化合物である、[1]に記載の導電性高分子分散液。
(式(1)において、R,Rは、各々独立して、水素原子または任意の置換基である。)
[3]前記エポキシイソシアヌレート化合物が、下記式(2)で表される化合物である、[1]又は[2]に記載の導電性高分子分散液。
Figure 0006655484
Figure 0006655484
[4]前記エポキシイソシアヌレート化合物と前記ポリアニオンとの反応物を含有する、[1]〜[3]のいずれか一に記載の導電性高分子分散液。
[5]前記有機溶剤が、メチルエチルケトン及びトルエンの少なくとも一方である、[1]〜[4]のいずれか一に記載の導電性高分子分散液。
[6]前記π共役系導電性高分子が、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)である、[1]〜[5]のいずれか一に記載の導電性高分子分散液。
[7]前記ポリアニオンが、ポリスチレンスルホン酸である、[1]〜[6]のいずれか一に記載の導電性高分子分散液。
[8]バインダ成分をさらに含有する、[1]〜[7]のいずれか一に記載の導電性高分子分散液。
[9]前記バインダ成分が、ポリエステル樹脂である、[8]に記載の導電性高分子分散液。
[10]前記バインダ成分が、アクリル化合物である、[8]に記載の導電性高分子分散液。
[11]前記バインダ成分が、シリコーン化合物である、[8]に記載の導電性高分子分散液。
[12]前記シリコーン化合物が、付加硬化型シリコーン化合物である、[11]に記載の導電性高分子分散液。
[13]イソシアヌル酸トリアリルをさらに含有する、[1]〜[12]のいずれか一に記載の導電性高分子分散液。
[14]π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含有する導電性複合体が水系分散媒中に含まれる水分散液に、エポキシ基及びイソシアヌレート環を有するエポキシイソシアヌレート化合物を添加し、導電性複合体を析出させて析出物を得た後、該析出物を回収する析出回収工程と、回収した析出物に有機溶剤を添加する有機溶剤添加工程と、を有する、導電性高分子分散液の製造方法。
[15]前記エポキシイソシアヌレート化合物が、上記式(1)で表される化合物である、[14]に記載の導電性高分子分散液の製造方法。
[16]前記エポキシイソシアヌレート化合物が、上記式(2)で表される化合物である、[14]又は[15]に記載の導電性高分子分散液の製造方法。
[17]フィルム基材の少なくとも一方の面に、[1]〜[13]のいずれか一に記載の導電性高分子分散液を塗工する塗工工程と、塗工した導電性高分子分散液を乾燥する乾燥工程とを有する、導電性フィルムの製造方法。
本発明の導電性高分子分散液によれば、分散媒として有機溶剤を用いているにもかかわらず、得られる導電層の導電性が高く且つ空気中での経時的な導電性低下を抑制できる。
本発明の導電性高分子分散液の製造方法によれば、分散媒として有機溶剤を用いているにもかかわらず、導電性が高く且つ空気中での経時的な導電性低下が抑制された導電層を容易に形成できる。
本発明の導電性フィルムの製造方法によれば、フィルム基材に対する導電層の密着性が高く、導電層の導電性が高く且つ空気中での経時的な導電性低下が抑制された導電性フィルムを容易に製造できる。
<導電性高分子分散液>
本発明の一態様における導電性高分子分散液は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、エポキシイソシアヌレート化合物と、有機溶剤とを含有する。
π共役系導電性高分子としては、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であれば本発明の効果を有する限り特に制限されず、例えば、ポリピロール系導電性高分子、ポリチオフェン系導電性高分子、ポリアセチレン系導電性高分子、ポリフェニレン系導電性高分子、ポリフェニレンビニレン系導電性高分子、ポリアニリン系導電性高分子、ポリアセン系導電性高分子、ポリチオフェンビニレン系導電性高分子、及びこれらの共重合体等が挙げられる。空気中での安定性の点からは、ポリピロール系導電性高分子、ポリチオフェン類及びポリアニリン系導電性高分子が好ましく、透明性の面から、ポリチオフェン系導電性高分子がより好ましい。
ポリチオフェン系導電性高分子としては、ポリチオフェン、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−エチルチオフェン)、ポリ(3−プロピルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルチオフェン)、ポリ(3−ブロモチオフェン)、ポリ(3−クロロチオフェン)、ポリ(3−ヨードチオフェン)、ポリ(3−シアノチオフェン)、ポリ(3−フェニルチオフェン)、ポリ(3,4−ジメチルチオフェン)、ポリ(3,4−ジブチルチオフェン)、ポリ(3−ヒドロキシチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−ブトキシチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクチルオキシチオフェン)、ポリ(3−デシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヒドロキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジメトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジエトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジプロポキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジブトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジオクチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−プロピレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ブチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−メトキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−エトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン)が挙げられる。
ポリピロール系導電性高分子としては、ポリピロール、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルピロール)、ポリ(3−エチルピロール)、ポリ(3−n−プロピルピロール)、ポリ(3−ブチルピロール)、ポリ(3−オクチルピロール)、ポリ(3−デシルピロール)、ポリ(3−ドデシルピロール)、ポリ(3,4−ジメチルピロール)、ポリ(3,4−ジブチルピロール)、ポリ(3−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルピロール)、ポリ(3−ヒドロキシピロール)、ポリ(3−メトキシピロール)、ポリ(3−エトキシピロール)、ポリ(3−ブトキシピロール)、ポリ(3−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール)が挙げられる。
ポリアニリン系導電性高分子としては、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)が挙げられる。
上記π共役系導電性高分子のなかでも、導電性、透明性、耐熱性の点から、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)が特に好ましい。
前記π共役系導電性高分子は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリアニオンとは、アニオン基を有するモノマー単位を、分子内に2つ以上有する重合体である。このポリアニオンのアニオン基は、π共役系導電性高分子に対するドーパントとして機能して、π共役系導電性高分子の導電性を向上させる。
ポリアニオンのアニオン基としては、スルホ基、またはカルボキシ基であることが好ましい。
このようなポリアニオンの具体例としては、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)、ポリイソプレンスルホン酸、ポリスルホエチルメタクリレート、ポリ(4−スルホブチルメタクリレート)、ポリメタクリルオキシベンゼンスルホン酸等のスルホン酸基を有する高分子や、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリルカルボン酸、ポリメタクリルカルボン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸)、ポリイソプレンカルボン酸、ポリアクリル酸等のカルボン酸基を有する高分子が挙げられる。これらの単独重合体であってもよいし、2種以上の共重合体であってもよい。
これらポリアニオンのなかでも、導電性をより高くできることから、スルホン酸基を有する高分子が好ましく、ポリスチレンスルホン酸がより好ましい。
前記ポリアニオンは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリアニオンの質量平均分子量は2万以上100万以下であることが好ましく、10万以上50万以下であることがより好ましい。
本明細書における質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定し、標準物質をポリスチレンとして求めた値である。
導電性複合体中の、ポリアニオンの含有割合は、π共役系導電性高分子100質量部に対して1質量部以上1000質量部以下の範囲であることが好ましく、10質量部以上700質量部以下の範囲であることがより好ましく、100質量部以上500質量部以下の範囲であることがさらに好ましい。ポリアニオンの含有割合が前記下限値未満であると、π共役系導電性高分子へのドーピング効果が弱くなる傾向にあり、導電性が不足することがあり、また、導電性高分子分散液における導電性複合体の分散性が低くなる。一方、ポリアニオンの含有量が前記上限値を超えると、π共役系導電性高分子の含有量が少なくなり、やはり充分な導電性が得られにくい。
ポリアニオンが、π共役系導電性高分子に配位してドープすることによって導電性複合体を形成する。
ただし、本態様におけるポリアニオンにおいては、全てのアニオン基がπ共役系導電性高分子にドープすることはなく、ドープに寄与しない余剰のアニオン基を有するようになっている。
本態様において使用されるエポキシイソシアヌレート化合物は、エポキシ基とイソシアヌレート環を有するものであり、入手容易なことから、前記式(1)で表される化合物が好ましい。
前記式(1)において、R,Rは、各々独立して、水素原子または任意の置換基である。
ここで、任意の置換基としては、例えば、アルケニル基(例えば、プロペニル基、ブチニル基等)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、アリール基(例えば、フェニル基等)等が挙げられる。これら置換基は、さらに置換基(例えば、(メタ)アクリロイルオキシ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、エポキシ基、アミノ基、トリアルコキシシリル基等)を有してもよい。
式(1)で表される化合物のなかでも、ビニル基を有する反応性アクリル樹脂や付加型シリコーンと反応し、強靭な塗膜を生成できることから、R,Rが共にプロペニル基(アリル基)である化合物、すなわち前記式(2)で表される化合物が好ましい。
エポキシイソシアヌレート化合物は、ポリアニオンと反応物を形成することができる。したがって、本態様の導電性高分子分散液は、エポキシイソシアヌレート化合物とポリアニオンとの反応物を含んでもよい。該反応物は、有機溶剤に対する分散性が高いものである。
上記エポキシイソシアヌレート化合物の含有量は、導電性複合体に対して0.1倍量以上1000倍量以下であることが好ましく、0.5倍量以上500倍量以下であることがより好ましく、1倍量以上100倍量以下であることがより好ましい。エポキシイソシアヌレート化合物の含有量が前記下限値以上であれば、空気中での導電性低下をより抑制でき、前記上限値以下であれば、π共役系導電性高分子濃度低下による導電性低下を防止できる。
本態様で使用される有機溶剤としては、例えば、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、アミド系溶剤等が挙げられる。有機溶剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
アルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、アリルアルコール等が挙げられる。
ケトン系溶剤としては、例えば、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、ジイソプロピルケトン、メチルエチルケトン、アセトン、ジアセトンアルコール等が挙げられる。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等が挙げられる。
芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン等が挙げられる。
アミド系溶媒としては、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
有機溶剤のなかでも、汎用的であることから、メチルエチルケトン及びトルエンの少なくとも一方が好ましい。
分散媒として、有機溶剤と共に水を含んでもよい。ただし、有機溶剤と水の合計を100質量%とした際、水の含有割合が10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0質量%以下であることが特に好ましい。分散媒における水の含有割合が少なければ、導電性高分子分散液の乾燥速度が速くなる。また、分散媒における水の含有割合が少なければ、導電性高分子分散液が塗工されるフィルム基材との濡れ性がより高くなり、導電性高分子分散液から形成される導電層とフィルム基材との密着性をより高くできる。
本態様の導電性高分子分散液は、得られる導電層の製膜性を向上させるために、バインダ成分を含有してもよい。
バインダ成分としては、樹脂、熱硬化性化合物、活性エネルギー線硬化性化合物が挙げられる。熱硬化性化合物を使用する場合には、熱重合開始剤も含有することが好ましく、活性エネルギー線硬化性化合物を使用する場合には、光重合開始剤も含有することが好ましい。
また、バインダ成分として、後述するように、付加硬化型シリコーンを用いることができる。バインダ成分として付加硬化型シリコーンを用いた場合には、白金触媒も含有することが好ましい。
バインダ成分として使用できる樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、酢酸ビニル樹脂などが用いられる。これらのなかでも、低コストである点では、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。特に、導電性フィルムの基材としてポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた場合には、基材に対する導電層の密着性がより高くなることから、バインダ成分がポリエステル樹脂であることが好ましい。
バインダ成分として、シリコーン樹脂を用いた場合には、導電層が離型性を発揮する。
熱硬化性化合物及び活性エネルギー線硬化性化合物としては、ビニル基を有する化合物、エポキシ基を2つ以上有する化合物、オキセタン基を2つ以上有する化合物等が挙げられる。これらは、モノマーでもよいし、オリゴマーでもよい。
これらバインダ成分のなかでも、有機溶剤に分散又は溶解させやすく、硬化が容易であることから、活性エネルギー線硬化性アクリル化合物が好ましい。活性エネルギー線硬化性アクリル化合物は、活性エネルギー線(紫外線、電子線、可視光線)の照射によってラジカル重合して硬化するアクリル化合物である。
活性エネルギー線硬化性アクリル化合物としては、例えば、アクリレート、メタクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、カルボン酸ビニルエステル等が挙げられる。また、活性エネルギー線硬化性アクリル化合物は、ビニル基を1つのみ有する単官能モノマーでもよいし、ビニル基を2つ以上有する多官能モノマーでもよいし、単官能モノマーと多官能モノマーの併用でもよい。
アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ビスフェノールA・エチレンオキサイド変性ジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート等が挙げられる。
メタクリレートとしては、例えば、n−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、アリルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、メタクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロイルモルホリン、アクリロイルピペリジン等が挙げられる。
また、活性エネルギー線硬化性アクリル化合物は、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリアクリルアクリレート等の、アクリルモノマーと他の化合物とを反応させて得た多官能アクリレートであってもよい。
上記活性エネルギー線硬化性アクリル化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
バインダ成分は、硬化型シリコーンであってもよい。バインダ成分が硬化型シリコーンである場合、硬化型シリコーンを硬化させることにより、導電層に離型性を発現させることができる。
硬化型シリコーンは、付加硬化型シリコーン、縮合硬化型シリコーンのいずれであってもよい。
バインダ成分が付加硬化型シリコーンである場合、共存する化合物(例えばアミン化合物)によっては硬化阻害が生じるが、エポキシイソシアヌレート化合物が共存しても付加硬化型シリコーン化合物の硬化阻害は起こり難い。したがって、本態様の導電性高分子分散液は、バインダ成分として付加硬化型シリコーン化合物を配合した場合に好適である。
付加硬化型シリコーンとしては、シロキサン結合を有する直鎖状ポリマーであって、前記直鎖の両方の末端にビニル基を有するポリジメチルシロキサンと、ハイドロジェンシランとを有するものが挙げられる。このような付加硬化型シリコーンは、付加反応によって三次元架橋構造を形成して硬化する。硬化を促進させるために白金系硬化触媒を用いてもよい。
付加硬化型シリコーンの具体例としては、KS−3703T、KS−847T、KM−3951、X−52−151、X−52−6068、X−52−6069(信越化学工業社製)等が挙げられる。
付加硬化型シリコーンは有機溶剤に溶解又は分散しているものが好適に使用される。
バインダ成分の含有割合は、前記導電性複合体100質量部に対して1000質量部以上100000質量部以下であることが好ましく、3000質量部以上50000質量部以下であることがより好ましい。バインダ成分の含有割合が前記下限値以上であれば、得られる導電層の強度及び硬度を充分に向上させることができ、前記上限値以下であれば、充分な導電性を確保できる。
導電性高分子分散液は、イソシアヌル酸トリアリル(トリアリルイソシアヌレート)を含有してもよい。導電性高分子分散液がイソシアヌル酸トリアリルを含有すれば、導電性向上効果及び空気中での導電性抑制効果がより高くなる。
イソシアヌル酸トリアリルの含有量は、導電性複合体に対して0.1倍量以上10000倍量以下であることが好ましく、0.5倍量以上5000倍量以下であることがより好ましく、1倍量以上1000倍量以下であることがより好ましい。イソシアヌル酸トリアリルの含有量が前記下限値以上であれば、導電性向上効果及び空気中での導電性抑制効果が充分に発揮され、前記上限値以下であれば、π共役系導電性高分子濃度低下による導電性低下を防止できる。
導電性高分子分散液は、導電性をより向上させるために、導電性複合体を含む導電層の導電性を向上させる高導電化剤を含んでもよい。
具体的に、高導電化剤は、糖類、窒素含有芳香族性環式化合物、2個以上のヒドロキシ基を有する化合物、1個以上のヒドロキシ基および1個以上のカルボキシ基を有する化合物、アミド基を有する化合物、イミド基を有する化合物、ラクタム化合物、グリシジル基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である。前記高導電化剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
窒素含有芳香族性環式化合物としては、例えば、一つの窒素原子を含有するピリジン類及びその誘導体、二つの窒素原子を含有するイミダゾール類及びその誘導体、ピリミジン類及びその誘導体、ピラジン類及びその誘導体、三つの窒素原子を含有するトリアジン類及びその誘導体等が挙げられる。溶媒溶解性等の観点からは、ピリジン類及びその誘導体、イミダゾール類及びその誘導体、ピリミジン類及びその誘導体が好ましい。
ピリジン類及びその誘導体の具体的な例としては、ピリジン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、4−エチルピリジン、N−ビニルピリジン、2,4−ジメチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、3−シアノ−5−メチルピリジン、2−ピリジンカルボン酸、6−メチル−2−ピリジンカルボン酸、4−ピリジンカルボキシアルデヒド、4−アミノピリジン、2,3−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノ−4−メチルピリジン、4−ヒドロキシピリジン、4−ピリジンメタノール、2,6−ジヒドロキシピリジン、2,6−ピリジンジメタノール、6−ヒドロキシニコチン酸メチル、2−ヒドロキシ−5−ピリジンメタノール、6−ヒドロキシニコチン酸エチル、4−ピリジンメタノール、4−ピリジンエタノール、2−フェニルピリジン、3−メチルキノリン、3−エチルキノリン、キノリノール、2,3−シクロペンテノピリジン、2,3−シクロヘキサノピリジン、1,2−ジ(4−ピリジル)エタン、1,2−ジ(4−ピリジル)プロパン、2−ピリジンカルボキシアルデヒド、2−ピリジンカルボン酸、2−ピリジンカルボニトリル、2,3−ピリジンジカルボン酸、2,4−ピリジンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸、2,6−ピリジンジカルボン酸、3−ピリジンスルホン酸等が挙げられる。
イミダゾール類及びその誘導体の具体的な例としては、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−プロピルイミダゾール、2−ウンデジルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、N−ビニルイミダゾール、N−アリルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール(N−ヒドロキシエチルイミダゾール)、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、1−アセチルイミダゾール、4,5−イミダゾールジカルボン酸、4,5−イミダゾールジカルボン酸ジメチル、ベンズイミダゾール、2−アミノべンズイミダゾール、2−アミノべンズイミダゾール−2−スルホン酸、2−アミノ−1−メチルべンズイミダゾール、2−ヒドロキシべンズイミダゾール、2−(2−ピリジル)べンズイミダゾール等が挙げられる。
ピリミジン類及びその誘導体の具体的な例としては、2−アミノ−4−クロロ−6−メチルピリミジン、2−アミノ−6−クロロ−4−メトキシピリミジン、2−アミノ−4,6−ジクロロピリミジン、2−アミノ−4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−アミノ−4,6−ジメチルピリミジン、2−アミノ−4,6−ジメトキシピリミジン、2−アミノピリミジン、2−アミノ−4−メチルピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、2,4−ジヒドロキシピリミジン−5−カルボン酸、2,4,6−トリアミノピリミジン、2,4−ジメトキシピリミジン、2,4,5−トリヒドロキシピリミジン、2,4−ピリミジンジオール等が挙げられる。
ピラジン類及びその誘導体の具体的な例としては、ピラジン、2−メチルピラジン、2,5−ジメチルピラジン、ピラジンカルボン酸、2,3−ピラジンジカルボン酸、5−メチルピラジンカルボン酸、ピラジンアミド、5−メチルピラジンアミド、2−シアノピラジン、アミノピラジン、3−アミノピラジン−2−カルボン酸、2−エチル−3−メチルピラジン、2,3−ジメチルピラジン、2,3−ジエチルピラジン等が挙げられる。
トリアジン類及びその誘導体の具体的な例としては、1,3,5−トリアジン、2−アミノ−1,3,5−トリアジン、3−アミノ−1,2,4−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリ−2−ピリジン−1,3,5−トリアジン、3−(2−ピリジン)−5,6−ビス(4−フェニルスルホン酸)−1,2,4―トリアジン二ナトリウム、3−(2−ピリジン)−5,6−ジフェニル−1,2,4−トリアジン、3−(2−ピリジン)−5,6−ジフェニル−1,2,4―トリアジン−ρ,ρ’−ジスルホン酸二ナトリウム、2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
2個以上のヒドロキシ基を有する化合物としては、例えば、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、D−グルコース、D−グルシトール、イソプレングリコール、ジメチロールプロピオン酸、ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、チオジエタノール、グルコース、酒石酸、D−グルカル酸、グルタコン酸等の多価脂肪族アルコール類;
セルロース、多糖、糖アルコール等の高分子アルコール;
1,4−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、2,3−ジヒドロキシ−1−ペンタデシルベンゼン、2,4−ジヒドロキシアセトフェノン、2,5−ジヒドロキシアセトフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,6−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,5−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、2,2’,5,5’−テトラヒドロキシジフェニルスルフォン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、ヒドロキシキノンカルボン酸及びその塩類、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、1,4−ヒドロキノンスルホン酸及びその塩類、4,5−ヒドロキシベンゼン−1,3−ジスルホン酸及びその塩類、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン−2,6−ジカルボン酸、1,6−ジヒドロキシナフタレン−2,5−ジカルボン酸、1,5−ジヒドロキシナフトエ酸、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、4,5−ジヒドロキシナフタレン−2,7−ジスルホン酸及びその塩類、1,8−ジヒドロキシ−3,6−ナフタレンジスルホン酸及びその塩類、6,7−ジヒドロキシ−2−ナフタレンスルホン酸及びその塩類、1,2,3−トリヒドロキシベンゼン(ピロガロール)、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、5−メチル−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、5−エチル−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、5−プロピル−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシ安息香酸、トリヒドロキシアセトフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾアルデヒド、トリヒドロキシアントラキノン、2,4,6−トリヒドロキシベンゼン、テトラヒドロキシ−p−ベンゾキノン、テトラヒドロキシアントラキノン、ガーリック酸メチル(没食子酸メチル)、ガーリック酸エチル(没食子酸エチル)等の芳香族化合物、ヒドロキノンスルホン酸カリウム等が挙げられる。
1個以上のヒドロキシ基及び1個以上のカルボキシ基を有する化合物としては、酒石酸、グリセリン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールプロパン酸、D−グルカル酸、グルタコン酸等が挙げられる。
アミド基を有する化合物は、−CO−NH−(COの部分は二重結合)で表されるアミド結合を分子中に有する単分子化合物である。すなわち、アミド化合物としては、例えば、上記結合の両末端に官能基を有する化合物、上記結合の一方の末端に環状化合物が結合された化合物、上記両末端の官能基が水素である尿素及び尿素誘導体などが挙げられる。
アミド化合物の具体例としては、アセトアミド、マロンアミド、スクシンアミド、マレアミド、フマルアミド、ベンズアミド、ナフトアミド、フタルアミド、イソフタルアミド、テレフタルアミド、ニコチンアミド、イソニコチンアミド、2−フルアミド、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、プロピオンアミド、プロピオルアミド、ブチルアミド、イソブチルアミド、パルミトアミド、ステアリルアミド、オレアミド、オキサミド、グルタルアミド、アジプアミド、シンナムアミド、グリコールアミド、ラクトアミド、グリセルアミド、タルタルアミド、シトルアミド、グリオキシルアミド、ピルボアミド、アセトアセトアミド、ジメチルアセトアミド、ベンジルアミド、アントラニルアミド、エチレンジアミンテトラアセトアミド、ジアセトアミド、トリアセトアミド、ジベンズアミド、トリベンズアミド、ローダニン、尿素、1−アセチル−2−チオ尿素、ビウレット、ブチル尿素、ジブチル尿素、1,3−ジメチル尿素、1,3−ジエチル尿素及びこれらの誘導体等が挙げられる。
また、アミド化合物として、アクリルアミドを使用することもできる。アクリルアミドとしては、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなどが挙げられる。
アミド化合物の分子量は46以上10,000以下であることが好ましく、46以上5,000以下であることがより好ましく、46以上1,000以下であることが特に好ましい。
アミド化合物としては、導電性がより高くなることから、イミド結合を有する単分子化合物(以下、イミド化合物という。)が好ましい。イミド化合物としては、その骨格より、フタルイミド及びフタルイミド誘導体、スクシンイミド及びスクシンイミド誘導体、ベンズイミド及びベンズイミド誘導体、マレイミド及びマレイミド誘導体、ナフタルイミド及びナフタルイミド誘導体などが挙げられる。
また、イミド化合物は両末端の官能基の種類によって、脂肪族イミド、芳香族イミド等に分類されるが、溶解性の観点からは、脂肪族イミドが好ましい。
さらに、脂肪族イミド化合物は、分子内の炭素間に不飽和結合を有さない飽和脂肪族イミド化合物と、分子内の炭素間に不飽和結合を有する不飽和脂肪族イミド化合物とに分類される。
飽和脂肪族イミド化合物は、R−CO−NH−CO−Rで表される化合物であり、R,Rの両方が飽和炭化水素である化合物である。具体的には、シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシイミド、アラントイン、ヒダントイン、バルビツル酸、アロキサン、グルタルイミド、スクシンイミド、5−ブチルヒダントイン酸、5,5−ジメチルヒダントイン、1−メチルヒダントイン、1,5,5−トリメチルヒダントイン、5−ヒダントイン酢酸、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、セミカルバジド、α,α−ジメチル−6−メチルスクシンイミド、ビス[2−(スクシンイミドオキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン、α−メチル−α−プロピルスクシンイミド、シクロヘキシルイミドなどが挙げられる。
不飽和脂肪族イミド化合物は、R−CO−NH−CO−Rで表される化合物であり、R,Rの一方又は両方が1つ以上の不飽和結合である化合物である。具体例は、1,3−ジプロピレン尿素、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−ヒドロキシマレイミド、1,4−ビスマレイミドブタン、1,6−ビスマレイミドヘキサン、1,8−ビスマレイミドオクタン、N−カルボキシヘプチルマレイミドなどが挙げられる。
イミド化合物の分子量は60以上5,000以下であることが好ましく、70以上1,000以下であることがより好ましく、80以上500以下であることが特に好ましい。
ラクタム化合物とは、アミノカルボン酸の分子内環状アミドであり、環の一部が−CO−NR−(Rは水素又は任意の置換基)である化合物である。ただし、環の一個以上の炭素原子が不飽和やヘテロ原子に置き換わっていてもよい。
ラクタム化合物としては、例えば、ペンタノ−4−ラクタム、4−ペンタンラクタム−5−メチル−2−ピロリドン、5−メチル−2−ピロリジノン、ヘキサノ−6−ラクタム、6−ヘキサンラクタム等が挙げられる。
グリシジル基を有する化合物としては、例えば、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、t−ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル、グリシジルフェニルエーテル、ビスフェノールA、ジグリシジルエーテル、アクリル酸グリシジルエーテル、メタクリル酸グリシジルエーテル等のグリシジル化合物などが挙げられる。
高導電化剤の含有割合は導電性複合体の合計質量に対して1倍量以上1000倍量以下であることが好ましく、2倍量以上100倍量以下であることがより好ましい。高導電化剤の含有割合が前記下限値以上であれば、高導電化剤添加による導電性向上効果が充分に発揮され、前記上限値以下であれば、π共役系導電性高分子濃度の低下に起因する導電性の低下を防止できる。
導電性高分子分散液には、公知の添加剤が含まれてもよい。
添加剤としては、本発明の効果を有する限り特に制限されず、例えば、界面活性剤、無機導電剤、消泡剤、カップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを使用できる。ただし、添加剤は、前記ポリアニオン、前記エポキシイソシアヌレート化合物、前記トリアリルイソシアヌレート、前記分散媒、前記バインダ成分及び前記高導電化剤以外の化合物からなる。
界面活性剤としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系の界面活性剤が挙げられるが、保存安定性の面からノニオン系が好ましい。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどのポリマー系界面活性剤を添加してもよい。
無機導電剤としては、金属イオン類、導電性カーボン等が挙げられる。なお、金属イオンは、金属塩を水に溶解させることにより生成させることができる。
消泡剤としては、シリコーン樹脂、ポリジメチルシロキサン、シリコーンオイル等が挙げられる。
カップリング剤としては、ビニル基、アミノ基、エポキシ基等を有するシランカップリング剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、糖類等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキサニリド系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤等が挙げられる。
導電性高分子分散液が上記添加剤を含有する場合、その含有割合は、添加剤の種類に応じて適宜決められるが、通常、導電性複合体の固形分100質量部に対して、0.001質量部以上5質量部以下の範囲内である。
上記導電性高分子分散液を得るための導電性高分子分散液の製造方法は、析出回収工程と有機溶剤添加工程とを有する。
析出回収工程は、導電性高分子水分散液にエポキシイソシアヌレート化合物を添加し、導電性複合体を析出させて析出物を得た後、該析出物を濾過により回収する工程である。
導電性高分子水分散液にエポキシイソシアヌレート化合物を添加すると、エポキシイソシアネート化合物のエポキシ基の少なくとも一部が、ポリアニオンのアニオン基と反応する。これにより、導電性複合体は疎水性になるため、水系分散液中での安定的な分散が困難になり、析出して析出物となる。
前記導電性高分子水分散液は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含有する導電性複合体が水系分散媒中に含まれる分散液である。
導電性高分子水系分散液は、例えば、ポリアニオンの水溶液中で、π共役系導電性高分子を形成するモノマーを化学酸化重合することにより得られる。また、導電性高分子水系分散液は市販のものを使用しても構わない。
析出回収工程によって得られる析出物の水分量はできるだけ少ないことが好ましく、水分を全く含まないことが最も好ましいが、実用の観点からは、水分を10質量%以下の範囲で含んでも構わない。
水分量を少なくする方法としては、例えば、有機溶剤で析出物を洗い流す方法、析出物を乾燥する方法等が挙げられる。
有機溶剤添加工程は、回収した析出物に有機溶剤を添加する工程である。
析出物に有機溶剤を添加した後には攪拌して分散処理を施すことが好ましい。攪拌の方法は特に制限されず、スターラー等の剪断力が弱い攪拌であってもよいし、高剪断力の分散機(ホモジナイザ等)を用いて攪拌してもよい。
バインダ成分、高導電化剤、添加剤等を導電性高分子分散液に含有させる場合には、有機溶剤を添加した後に、バインダ成分、高導電化剤、添加剤等を添加することが好ましい。
上記導電性高分子分散液では、ポリアニオンのアニオン基がエポキシイソシアヌレート化合物によって非親水化されるため、導電性複合体を有機溶剤中に高い分散性で分散させることができる。
また、エポキシイソシアヌレート化合物によって導電性複合体を有機溶剤分散性にできるから、アミン化合物の配合の必要はない。そのため、アミン化合物が存在すると硬化阻害が生じる付加硬化型シリコーンをバインダ成分として用いた場合には、アミン化合物を配合させなくても導電性複合体が有機溶剤に分散性する本態様の導電性高分子分散液が好適である。
また、理由は明らかではないが、導電性高分子分散液がエポキシイソシアヌレート化合物を含むことで、該導電性高分子分散液から形成される導電層の導電性が高くなり、しかも、導電層の空気中での経時的な導電性低下を抑制できる。具体的には、エポキシイソシアヌレート化合物を含む導電性高分子分散液から形成した導電層は、イソシアヌレート環を有さないエポキシ化合物を含む導電性高分子分散液から形成した導電層よりも、導電層の空気中での経時的な導電性低下を抑制できる。この効果は、導電性高分子分散液が付加硬化型シリコーン等のバインダ成分を含む場合でも同様である。
<導電性フィルムの製造方法>
本発明の一態様の導電性フィルムの製造方法は、前記導電性高分子分散液をフィルム基材の少なくとも一方の面に塗工して塗工フィルムを形成する塗工工程と、塗工した導電性高分子分散液を乾燥させる乾燥工程とを有する。
前記導電性高分子分散液が活性エネルギー線硬化性のバインダ成分を含有する場合には、乾燥工程後に、乾燥した導電性高分子の塗膜に活性エネルギー線を照射する活性エネルギー線照射工程を有してもよい。活性エネルギー線照射工程を有すると、導電層の形成速度を速くでき、導電性フィルムの生産性が向上する。
この製造方法により得られる導電性フィルムは、フィルム基材と、該フィルム基材の少なくとも一方の面に形成された導電層とを備え、導電層が、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体を含有する。
導電層の平均厚さとしては、10nm以上20000nm以下であることが好ましく、20nm以上10000nm以下であることがより好ましく、30nm以上5000nm以下であることがさらに好ましい。導電層の平均厚さが前記下限値以上であれば、充分に高い導電性を発揮でき、前記上限値以下であれば、導電層を容易に形成できる。
本態様の塗工工程において使用するフィルム基材としては、プラスチックフィルムが挙げられる。
プラスチックフィルムを構成するフィルム基材用樹脂としては、例えば、エチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン、ポリアリレート、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネートなどが挙げられる。これらのフィルム基材用樹脂のなかでも、安価で機械的強度に優れる点から、ポリエチレンテレフタレート、セルローストリアセテートが好ましい。
前記フィルム基材用樹脂は、非晶性でもよいし、結晶性でもよい。
また、フィルム基材は、未延伸のものでもよいし、延伸されたものでもよい。
また、フィルム基材には、導電性高分子分散液から形成される導電層の密着性を向上させるために、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理等の表面処理が施されてもよい。
フィルム基材の平均厚みとしては、10μm以上500μm以下であることが好ましく、20μm以上200μm以下であることがより好ましい。フィルム基材の平均厚みが前記下限値以上であれば、破断しにくくなり、前記上限値以下であれば、フィルムとして充分な可撓性を確保できる。
本明細書における厚さは、任意の10箇所について厚さを測定し、その測定値を平均した値である。
導電性高分子分散液を塗工する方法としては、例えば、グラビアコーター、ロールコーター、カーテンフローコーター、スピンコーター、バーコーター、リバースコーター、キスコーター、ファウンテンコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、キャストコーター、スクリーンコーター等のコーターを用いた塗工方法、エアスプレー、エアレススプレー、ローターダンプニング等の噴霧器を用いた噴霧方法、ディップ等の浸漬方法等を適用することができる。
上記のうち、簡便に塗工できることから、バーコーターを用いることがある。バーコーターにおいては、種類によって塗工厚が異なり、市販のバーコーターでは、種類ごとに番号が付されており、その番号が大きい程、厚く塗工できるものとなっている。
前記導電性高分子分散液のフィルム基材への塗工量は特に制限されないが、固形分として、0.1g/m以上10.0g/m以下の範囲であることが好ましい。
乾燥工程における乾燥する方法としては、加熱乾燥、真空乾燥等が挙げられる。加熱乾燥としては、例えば、熱風加熱や、赤外線加熱などの通常の方法を採用できる。
加熱乾燥を適用する場合、加熱温度は、使用する分散媒に応じて適宜設定されるが、通常は、50℃以上150℃以下の範囲内である。ここで、加熱温度は、乾燥装置の設定温度である。
活性エネルギー線照射工程を有する場合、使用される活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、可視光線等が挙げられる。活性エネルギー線のなかでも、汎用的である点では、紫外線が好ましい。紫外線の照射においては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプなどの光源を用いることができる。
紫外線照射における照度は100mW/cm以上が好ましい。照度が100mW/cm未満であると、活性エネルギー線硬化性のバインダ成分が充分に硬化しないことがある。また、積算光量は50mJ/cm以上が好ましい。積算光量が50mJ/cm未満であると、充分に架橋しないことがある。なお、本発明における照度、積算光量は、トプコン社製UVR−T1(工業用UVチェッカー、受光器;UD−T36、測定波長範囲;300nm以上390nm以下、ピーク感度波長;約355nm)を用いて測定した値である。
該導電性フィルムの製造方法により形成される導電層は、エポキシイソシアヌレート化合物を含むことで、空気中での経時的な導電性低下を抑制できる。
また、フィルム基材は、通常、疎水性が高いものであるから、分散媒の主成分が有機溶剤である上記導電性高分子分散液を用いて形成した導電層はフィルム基材との密着性が高い。さらに、導電層に含まれるエポキシイソシアヌレート化合物によって、基材に対する導電層の密着性をより高くできる。
したがって、本発明の導電性フィルムの製造方法によれば、導電性高分子分散液が有機溶剤を含んでいても、導電性が高い導電性フィルムを容易に製造できる。
(製造例1)
1000mlのイオン交換水に206gのスチレンスルホン酸ナトリウムを溶解し、80℃で攪拌しながら、予め10mlの水に溶解した1.14gの過硫酸アンモニウム酸化剤溶液を20分間滴下し、この溶液を12時間攪拌した。
得られたスチレンスルホン酸ナトリウム含有溶液に10質量%に希釈した硫酸を1000ml添加し、限外濾過法によりポリスチレンスルホン酸含有溶液の約1000ml溶液を除去し、残液に2000mlのイオン交換水を加え、限外濾過法により約2000ml溶液を除去した。上記の限外濾過操作を3回繰り返した。さらに、得られたろ液に約2000mlのイオン交換水を添加し、限外濾過法により約2000mlの溶液を除去した。
この限外濾過操作を3回繰り返した。
得られた溶液中の水を減圧除去して、無色の固形状のポリスチレンスルホン酸を得た。
(製造例2)
14.2gの3,4−エチレンジオキシチオフェンと、36.7gのポリスチレンスルホン酸を2000mlのイオン交換水に溶かした溶液とを20℃で混合させた。
これにより得られた混合溶液を20℃に保ち、掻き混ぜながら、200mlのイオン交換水に溶かした29.64gの過硫酸アンモニウムと8.0gの硫酸第二鉄の酸化触媒溶液とをゆっくり添加し、3時間攪拌して反応させた。
得られた反応液に2000mlのイオン交換水を加え、限外濾過法により約2000ml溶液を除去した。この操作を3回繰り返した。
そして、得られた溶液に200mlの10質量%に希釈した硫酸と2000mlのイオン交換水とを加え、限外濾過法により約2000mlの溶液を除去し、これに2000mlのイオン交換水を加え、限外濾過法により約2000ml溶液を除去した。この操作を3回繰り返した。
さらに、得られた溶液に2000mlのイオン交換水を加え、限外濾過法により約2000mlの溶液を除去した。この操作を5回繰り返し、1.2質量%のポリスチレンスルホン酸ドープポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)水分散液(PEDOT−PSS水分散液)を得た。
(実施例1)
製造例2で得たPEDOT−PSS水分散液100gに、メタノール300gと、1,3−ジアリル−5−(2,3−エポキシプロパン−1−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン25gとを添加し、50℃で4時間攪拌した。攪拌後、析出した析出物を濾取し、メタノール100gで2回洗浄した後、メチルエチルケトン315g添加し、高圧ホモジナイザーを用いて分散処理して、導電性高分子分散液を得た。
(実施例2)
製造例2で得たPEDOT−PSS水分散液100gに、メタノール300gと、1,3−ジアリル−5−(2,3−エポキシプロパン−1−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン5.0gと、エポライトM−1230(共栄社化学株式会社製、C12,C13混合高級アルコールグリシジルエーテル)20.0gを添加し、50℃で4時間攪拌した。攪拌後、析出した析出物を濾取し、メタノール100gで2回洗浄した後、メチルエチルケトン315g添加し、高圧ホモジナイザーを用いて分散処理して、導電性高分子分散液を得た。
(比較例1)
製造例2で得たPEDOT−PSS水分散液100gに、メタノール300gと、エポライトM−1230(共栄社化学株式会社製、エポライトM−1230、C12,C13混合高級アルコールグリシジルエーテル)25gを添加し、50℃で4時間攪拌した。攪拌後、析出した析出物を濾取し、メタノール100gで2回洗浄した後、メチルエチルケトン315g添加し、高圧ホモジナイザーを用いて分散処理して、導電性高分子分散液を得た。
[評価]
各例の導電性高分子分散液を、No.4のバーコーターを用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、ルミラーT60)に塗布し、120℃、1分間乾燥させ、導電層を形成して、導電性フィルムを得た。
得られた直後の導電層の表面抵抗値Rを、抵抗率計(株式会社三菱化学アナリティック製ハイレスタ)を用い、印加電圧10Vの条件で測定した。
また、導電性フィルムを、温度25℃で相対湿度50%の環境下、導電層の表面に空気が当たる状態で3日間放置した後、上記と同様に表面抵抗値Rを測定した。
測定結果を表1に示す。表面抵抗値が小さい程、導電性が高い。また、R/Rで表される表面抵抗値の経時変化が小さい程、空気中での経時的な導電性低下を抑制できる。
Figure 0006655484
エポキシイソシアヌレート化合物を含む実施例1,2の導電性高分子分散液は、導電層の導電性が高く、しかも空気中に放置しても導電性は変化しなかった。
エポキシイソシアヌレート化合物の代わりに、イソシアヌレート環を有さないエポキシ化合物を含む比較例1の導電性高分子分散液は、空気中に放置した際に導電性が低下した。
(実施例3)
実施例1で得た導電性高分子分散液8gに、ポリエステル溶液(東洋紡株式会社製、バイロン240、固形分濃度15質量%、メチルエチルケトン:トルエン=9:1)2gを混合して、実施例3の導電性高分子分散液を得た。
(比較例2)
比較例1で得た導電性高分子分散液8gに、ポリエステル溶液(東洋紡株式会社製、バイロン240、固形分濃度15質量%、メチルエチルケトン:トルエン=9:1)2gを混合して、比較例2の導電性高分子分散液を得た。
[評価]
各例の導電性高分子分散液を、No.4のバーコーターを用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、ルミラーT60)に塗布し、120℃、1分間乾燥させ、導電層を形成して、導電性フィルムを得た。
得られた直後の導電層の表面抵抗値Rを、抵抗率計(株式会社三菱化学アナリティック製ハイレスタ)を用い、印加電圧10Vの条件で測定した。
また、導電性フィルムを、温度25℃で相対湿度50%の環境下、導電層の表面に空気が当たる状態で7日間放置した後、上記と同様に表面抵抗値Rを測定した。
測定結果を表2に示す。
Figure 0006655484
エポキシイソシアヌレート化合物を含む実施例3の導電性高分子分散液は、導電層の導電性が高く、しかも空気中に放置しても導電性は変化しなかった。
エポキシイソシアヌレート化合物を含まない比較例2の導電性高分子分散液は、空気中に放置した際に導電性が低下した。
(実施例4)
実施例1で得た導電性高分子分散液8gに、ペンタエリスリトールトリアクリレート2gと、光重合開始剤(BASF製、イルガキュア184)0.08gとを混合して、実施例4の導電性高分子分散液を得た。
(比較例3)
比較例1で得た導電性高分子分散液8gに、ペンタエリスリトールトリアクリレート2gと、光重合開始剤(BASF製、イルガキュア184)0.08gとを混合して、比較例3の導電性高分子分散液を得た。
[評価]
各例の導電性高分子分散液を、No.4のバーコーターを用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、ルミラーT60)に塗布し、100℃1分間乾燥させて、乾燥塗膜を得た。次いで、その乾燥塗膜を、400mJの紫外線の照射により硬化させて導電層を形成し、導電性フィルムを得た。
得られた直後の導電層の表面抵抗値Rを、抵抗率計(株式会社三菱化学アナリティック製ハイレスタ)を用い、印加電圧10Vの条件で測定した。
また、導電性フィルムを、温度25℃で相対湿度50%の環境下、導電層の表面に空気が当たる状態で7日間放置した後、上記と同様に表面抵抗値Rを測定した。
測定結果を表3に示す。
Figure 0006655484
エポキシイソシアヌレート化合物を含む実施例4の導電性高分子分散液は、導電層の導電性が高く、しかも空気中に放置しても導電性は変化しなかった。
エポキシイソシアヌレート化合物を含まない比較例3の導電性高分子分散液は、空気中に放置した際に導電性が低下した。
(実施例5)
実施例1で得た導電性高分子分散液0.45gに、付加硬化型シリコーン溶液(信越化学工業社製、KS−3703T、固形分濃度30質量%、トルエン溶液)1.5gと、トルエン25.5gと、メチルエチルケトン58.5gと、白金触媒(信越化学工業株式会社製、CAT−PL−50T)0.03gとを混合して、実施例5の導電性高分子分散液を得た。
(実施例6)
付加硬化型シリコーン溶液及び白金触媒と共にイソシアヌル酸トリアリルを混合したこと以外は実施例5と同様にして、実施例6の導電性高分子分散液を得た。
(比較例4)
比較例1で得た導電性高分子分散液0.45gに、付加硬化型シリコーン溶液(信越化学工業社製、KS−3703T、固形分濃度30質量%、トルエン溶液)1.5gと、トルエン25.5gと、メチルエチルケトン58.5gと、白金触媒(信越化学工業株式会社製、CAT−PL−50T)0.03gとを混合して、比較例4の導電性高分子分散液を得た。
[評価]
各例の導電性高分子分散液を、No.8のバーコーターを用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、ルミラーT60)に塗布し、150℃1分間乾燥させ、導電層を形成して、導電性フィルムを得た。
得られた直後の導電層の表面抵抗値Rを、抵抗率計(株式会社三菱化学アナリティック製ハイレスタ)を用い、印加電圧10Vの条件で測定した。
また、導電性フィルムを、温度25℃で相対湿度50%の環境下、導電層の表面に空気が当たる状態で1日間放置した後、上記と同様に表面抵抗値Rを測定した。
測定結果を表4に示す。
Figure 0006655484
エポキシイソシアヌレート化合物を含む実施例5,6の導電性高分子分散液は、導電層の導電性が高く、しかも空気中に放置しても導電性が変化しなかった。
エポキシイソシアヌレート化合物を含まない比較例4の導電性高分子分散液は、空気中に放置した際に導電性が低下した。

Claims (13)

  1. π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、エポキシ基及びイソシアヌレート環を有するエポキシイソシアヌレート化合物と、有機溶剤とを含有する、導電性高分子分散液であり、
    前記エポキシイソシアヌレート化合物が、下記式(2)で表される化合物である、導電性高分子分散液
    Figure 0006655484
  2. 前記エポキシイソシアヌレート化合物と前記ポリアニオンとの反応物を含有する、請求項1記載の導電性高分子分散液。
  3. 前記有機溶剤が、メチルエチルケトン及びトルエンの少なくとも一方である、請求項1又は2に記載の導電性高分子分散液。
  4. 前記π共役系導電性高分子が、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)である、請求項1〜のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液。
  5. 前記ポリアニオンが、ポリスチレンスルホン酸である、請求項1〜のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液。
  6. バインダ成分をさらに含有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液。
  7. 前記バインダ成分が、ポリエステル樹脂である、請求項に記載の導電性高分子分散液。
  8. 前記バインダ成分が、アクリル化合物である、請求項に記載の導電性高分子分散液。
  9. 前記バインダ成分が、シリコーン化合物である、請求項に記載の導電性高分子分散液。
  10. 前記シリコーン化合物が、付加硬化型シリコーン化合物である、請求項に記載の導電性高分子分散液。
  11. イソシアヌル酸トリアリルをさらに含有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液。
  12. π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含有する導電性複合体が水系分散媒中に含まれる水分散液に、エポキシ基及びイソシアヌレート環を有するエポキシイソシアヌレート化合物を添加し、導電性複合体を析出させて析出物を得た後、該析出物を回収する析出回収工程と、回収した析出物に有機溶剤を添加する有機溶剤添加工程と、を有する、導電性高分子分散液の製造方法であり、
    前記エポキシイソシアヌレート化合物が、下記式(2)で表される化合物である、導電性高分子分散液の製造方法
    Figure 0006655484
  13. フィルム基材の少なくとも一方の面に、請求項1〜11のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液を塗工する塗工工程と、塗工した導電性高分子分散液を乾燥する乾燥工程とを有する、導電性フィルムの製造方法。
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