JP6636210B1 - 制御装置、懸架システム - Google Patents

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Abstract

制御装置は、車両本体と前輪との間に生じる力を減衰させる減衰装置の減衰力を、車両本体の前後加速度Gxと、前輪の回転加速度Afとを用いて制御する。

Description

本発明は、制御装置、懸架システムに関する。
従来、車両挙動が不安定になったときにも車体姿勢を適正化することができる制御装置が提案されている。
例えば、特許文献1に記載されたサスペンション制御装置は、車輪速センサが検出した車輪速変動量に基づいて車両の基本入力量を算出する基本入力量算出手段と、基本入力量に基づいて第1目標電流を設定する第1目標電流設定手段と、加速度センサが検出した車体加速度に基づいて第2目標電流を設定する第2目標電流設定手段と、車両の挙動を制御する車両挙動制御装置の非作動時には第1目標電流に基づいて、車両挙動制御装置の作動時には第2目標電流に基づいてダンパを制御するダンパ制御手段とを備える。
特開2015−47906号公報
車両の挙動を安定させるためには、懸架装置に生じる振動を低減することが望ましい。特許文献1に開示されている技術には、車両の挙動を安定させるという点で、さらなる改善の余地があった。
本発明は、車両の挙動を安定させるように減衰装置の減衰力を制御する制御装置等を提供することを目的とする。
本発明者らは、ブレーキ操作後の車両挙動、より具体的には、ブレーキ操作後の前輪の車輪速、後輪の車輪速、及び、サスペンション挙動の時間変化を解析した。また、本発明者らは、スロットルグリップ操作後の車両挙動を解析した。その結果、車両本体の前後加速度及び車輪の回転加速度を用いて、減衰装置の減衰力を制御することにより、車両の挙動を安定させることが可能になることを知見した。本発明者らは、このような知見に基づいて本発明を完成させた。
以下、本発明について説明する。以下の説明では、本発明の理解を容易にするために添付図面中の参照符号を括弧書きで付記するが、それによって本発明が図示の形態に限定されるものではない。
第1の形態は、車両本体(10)と車輪(2、3)との間に生じる力を減衰させる減衰装置(21d、22d)の減衰力を、前記車両本体(10)の前後加速度(Gx)と、前輪(2)の回転加速度(Af)とを用いて制御する、制御装置(100、400、500)であって、前記前輪(2)側に配置された第1減衰装置(21d)における、前記車両本体(10)と前記前輪(2)との間の相対変位が大きくなる伸長方向の減衰力、及び、後輪(3)側に配置された第2減衰装置(22d)における、前記車両本体(10)と前記後輪(3)との間の相対変位が小さくなる圧縮方向の減衰力の、一方又は両方の減衰力を制御し、前記前後加速度(Gx)が予め定められた0(g)未満である第1所定値(Gx1)以下であり、かつ、前記前輪(2)の前記回転加速度(Af)が予め定められた0(g)よりも大きい第2所定値(Af1)以上である場合には、前記前後加速度(Gx)が前記第1所定値(Gx1)より大きい場合、又は、前記前輪(2)の前記回転加速度(Af)が前記第2所定値(Af1)未満である場合よりも前記減衰力を大きくするように制御する、制御装置(100、400、500)である
た、上記第1の形態において、前記前輪(2)の前記回転加速度(Af)が前記前後加速度(Gx)よりも大きい場合に、前記前輪(2)に生じる制動トルクを調整可能な制動装置(60)を制御して前記前輪(2)のスリップ状態を制御するようにアンチロックブレーキシステム(80)が作動していると判断しても良い。
また、上記第1の形態において、前記アンチロックブレーキシステム(80)が作動していると判断した場合には、前記アンチロックブレーキシステム(80)が作動していると判断していない場合よりも前記減衰力を大きくするように制御しても良い。
また、第2の形態は、車両本体(10)と車輪(2、3)との間に生じる力を減衰させる減衰装置(21d、22d)の減衰力を、前記車両本体(10)の前後加速度(Gx)と、後輪(3)の回転加速度(Ar)とを用いて制御する、制御装置(600、700、800)であって、前輪(2)側に配置された第1減衰装置(21d)における、前記車両本体(10)と前記前輪(2)との間の相対変位が小さくなる圧縮方向の減衰力、及び、前記後輪(3)側に配置された第2減衰装置(22d)における、前記車両本体(10)と前記後輪(3)との間の相対変位が大きくなる伸長方向の減衰力の、一方又は両方の減衰力を制御し、前記前後加速度(Gx)が予め定められた0(g)よりも大きい第3所定値(Gx3)以上であり、かつ、前記後輪(3)の前記回転加速度(Ar)が予め定められた0(g)未満である第4所定値(Ar1)以下である場合には、前記前後加速度(Gx)が前記第3所定値(Gx3)未満である場合、又は、前記後輪(3)の前記回転加速度(Ar)が前記第4所定値(Ar1)より大きい場合よりも前記減衰力を大きくするように制御する、制御装置(600、700、800)である
た、上記第2の形態において、前記後輪(3)の前記回転加速度(Ar)が前記前後加速度(Gx)よりも小さい場合に、前記後輪(3)の空転を抑制するように制御するトラクションコントロールシステム(90)が作動していると判断しても良い。
また、上記第2の形態において、前記トラクションコントロールシステム(90)が作動していると判断した場合は、前記トラクションコントロールシステム(90)が作動していると判断していない場合よりも前記減衰力を大きくするように制御しても良い。
また、第3の形態は、上記の制御装置(100、400、500、600、700、800)と、前記制御装置(100、400、500、600、700、800)によって減衰力が制御されるサスペンション(21、22)とを備えた、懸架システム(20)である。
本発明によれば、車両の挙動を安定させるように減衰装置の減衰力を制御することができる制御装置等を提供することができる。
第1の実施形態に係る自動二輪車1の概略構成を示す図である。 第1の実施形態に係る減衰装置200の概略構成を示す図である。 第1の実施形態に係る制御装置100の概略構成を示す図である。 基準電流Ibfと速度Vpfとの関係の例を示す制御マップの概略図である。 第1の実施形態に係る補正部122の概略構成を示す図である。 補正部122が行う設定処理の手順を示すフローチャートである。 第1比較車において、ブレーキ操作が行われた際の挙動を示す図である。 自動二輪車1において、ブレーキ操作が行われた際の挙動を示す図である。 第2の実施形態に係る制御装置400の補正部422の概略構成を示す図である。 第3の実施形態に係る制御装置500の補正部522の概略構成を示す図である。 第4の実施形態に係る制御装置600の補正部622の概略構成を示す図である。 第5の実施形態に係る制御装置700の補正部722の概略構成を示す図である。 第6の実施形態に係る制御装置800の補正部822の概略構成を示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る自動二輪車1の概略構成を示す図である。
図2は、第1の実施形態に係る減衰装置200の概略構成を示す図である。
図3は、第1の実施形態に係る制御装置100の概略構成を示す図である。
自動二輪車1は、前側の車輪である前輪2と、後側の車輪である後輪3と、車両本体10とを備えている。車両本体10は、自動二輪車1の骨格をなす車体フレーム11と、ハンドル12と、ブレーキレバー13と、シート14とを有している。シート14に着座した運転者から見た場合のハンドル12の右端部には、ハンドル12の軸に対して回動可能であり、自動二輪車1の加速を指示するスロットルグリップ17が設けられている。
また、自動二輪車1は、前輪2と車両本体10とを連結する前輪側のサスペンション21を有している。また、自動二輪車1は、前輪2の左右それぞれに配置された2つのサスペンション21を保持する2つのブラケット15と、2つのブラケット15の間に配置されたシャフト16とを備えている。サスペンション21は、路面等から前輪2に加わった衝撃を吸収する懸架スプリング21sと、懸架スプリング21sの振動を減衰する減衰装置21dとを備えている。
また、自動二輪車1は、後輪側のサスペンション22を有している。サスペンション22は、路面等から後輪3に加わった衝撃を吸収する懸架スプリング22sと、懸架スプリング22sの振動を減衰する減衰装置22dとを備えている。
以下の説明において、減衰装置21dと減衰装置22dとをまとめて「減衰装置200」と称する場合もある。
自動二輪車1は、サスペンション21の伸縮量を検出するストロークセンサ31と、サスペンション22の伸縮量を検出するストロークセンサ32とを有している。以下の説明において、ストロークセンサ31とストロークセンサ32とをまとめて「ストロークセンサ30」と称する場合もある。
また、自動二輪車1は、前輪2の回転速度を検出する車輪速センサ41と、後輪3の回転速度を検出する車輪速センサ42とを有している。
また、自動二輪車1は、自動二輪車1の前後方向の加速度を検出する、前後加速度センサの一例としての前後Gセンサ50を有している。
また、自動二輪車1は、ストロークセンサ31、32、車輪速センサ41、42及び前後Gセンサ50の検出値を用いて、減衰装置21d及び減衰装置22dの減衰力を制御する制御装置100を備えている。
本発明に係る懸架システム20は、サスペンション21、22と、制御装置100とを有するシステムである。
また、自動二輪車1は、前輪2側に、ブレーキ装置60を備えている。ブレーキ装置60は、前輪2のハブの外周側に設けられ、かつ、前輪2と一体に回転するディスク61と、ディスク61を挟み込んで前輪2に制動力(摩擦力)を付与するキャリパ62とを有している。また、自動二輪車1は、挟み込みのためのブレーキ圧(油圧)をキャリパ62に供給する前輪側マスターシリンダ(不図示)を有している。
また、自動二輪車1は、後輪3側に、ディスク式のブレーキ装置70を備えている。ブレーキ装置70は、後輪3のハブの外周側に設けられ、かつ、後輪3と一体に回転するディスク71と、ディスク71を挟み込んで後輪3に制動力(摩擦力)を付与するキャリパ72とを有している。また、自動二輪車1は、ブレーキペダル73と、ブレーキペダル73の操作に応じて、キャリパ72にブレーキ圧を供給する後輪側マスターシリンダ(不図示)とを有している。
また、自動二輪車1は、前輪側マスターシリンダとキャリパ62とを接続する配管の途中、及び、後輪側マスターシリンダとキャリパ72とを接続する配管の途中にアンチロックブレーキシステム(Antilock Brake System)80を備えている。アンチロックブレーキシステム80は、前輪2、後輪3の制動時に、前輪2、後輪3のスリップ(ロック)を回避するために、スリップ率が所望のスリップ率となるように、キャリパ62、キャリパ72のブレーキ圧を制御する。以下において、アンチロックブレーキシステム80を、「ABS80」と称する場合もある。
また、自動二輪車1は、駆動輪である後輪3のスリップを検出したときに、後輪3の駆動トルクを低下させる制御を行うことにより、後輪3のスリップを抑制するトラクションコントロールシステム(Traction Control System)90を備えている。トラクションコントロールシステム90が行う後輪3の駆動トルクを低下させる制御としては、エンジン(不図示)の出力トルク(以下、「エンジントルク」と称する場合もある。)を低下させる制御、ブレーキ装置70にて後輪3にブレーキをかける制御等を例示することができる。以下において、トラクションコントロールシステム90を、「TCS90」と称する場合もある。
(減衰装置)
減衰装置200は、作動油で満たされたシリンダ210と、ピストン221と、ピストンロッド222とを備えている。シリンダ210の一方側(図2においては上側)の端部210aが車両本体10に連結されている。ピストンロッド222は、一方側の端部にピストン221を保持し、他方側(図2においては下側)の端部222aが車輪に連結されている。
シリンダ210内は、ピストン221がシリンダ210内に収容されていることにより、圧縮行程において作動油の圧力が高まる油室211と、伸長行程において作動油の圧力が高まる油室212とに区画されている。
減衰装置200は、シリンダ210内の油室211に接続された第1油路231と、シリンダ210内の油室212に接続された第2油路232とを有している。また、減衰装置200は、第1油路231と第2油路232との間に設けられた第3油路233と、第3油路233に設けられた減衰力制御弁240とを有している。また、減衰装置200は、第1油路231と第3油路233の一方の端部とを接続する第1分岐路251と、第1油路231と第3油路233の他方の端部とを接続する第2分岐路252と、を有している。また、減衰装置200は、第2油路232と第3油路233の一方の端部とを接続する第3分岐路253と、第2油路232と第3油路233の他方の端部とを接続する第4分岐路254と、を有している。
また、減衰装置200は、第1分岐路251に設けられた第1チェック弁271と、第2分岐路252に設けられた第2チェック弁272とを有している。また、減衰装置200は、第3分岐路253に設けられた第3チェック弁273と、第4分岐路254に設けられた第4チェック弁274とを有している。また、減衰装置200は、作動油を貯留すると共に作動油を給排する機能を有するリザーバ290と、リザーバ290と第3油路233の他方の端部とを接続するリザーバ通路291とを有している。
減衰力制御弁240は、ソレノイドを有しており、ソレノイドに通電する電流量が制御されることによって、弁を通過する作動油の圧力を制御可能である。本実施の形態に係る減衰力制御弁240は、ソレノイドに供給される電流量が大きくなるのに従って弁を通過する作動油の圧力を高くする。ソレノイドに通電する電流量は、制御装置100によって制御される。
ピストン221が油室211の方に移動すると、油室211の油圧が上昇する。そして、油室211内の作動油が、第1油路231、及び、第1分岐路251を介して、減衰力制御弁240に向かう。減衰力制御弁240を通過する作動油の圧力が減衰力制御弁240の弁圧にて調整されることにより、圧縮側の減衰力が調整される。減衰力制御弁240を通過した作動油は、第4分岐路254、及び、第2油路232を介して、油室212に流入する。
他方、ピストン221が油室212の方に移動すると、油室212の油圧が上昇する。そして、油室212内の作動油が、第2油路232、及び、第3分岐路253を介して、減衰力制御弁240に向かう。減衰力制御弁240を通過する作動油の圧力が減衰力制御弁240の弁圧にて調整されることにより、伸長側の減衰力が調整される。減衰力制御弁240を通過した作動油は、第2分岐路252、及び、第1油路231を介して、油室211に流入する。
(制御装置100)
制御装置100は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM等からなる算術論理演算回路である。
図3に示したように、制御装置100には、ストロークセンサ31にて検出されたサスペンション21のストローク量が出力信号に変換された、前輪側のストローク信号sfが入力される。また、制御装置100には、ストロークセンサ32にて検出されたサスペンション22のストローク量が出力信号に変換された、後輪側のストローク信号srが入力される。このほか、制御装置100には、車輪速センサ41にて検出された前輪2の回転速度が出力信号に変換された、前輪側の回転速度信号vwfが入力される。また、制御装置100には、車輪速センサ42にて検出された後輪3の回転速度が出力信号に変換された、後輪側の回転速度信号vwrが入力される。また、制御装置100には、前後Gセンサ50にて検出された車両本体10の前後方向の加速度が出力信号に変換された、出力信号g等が入力される。
制御装置100は、減衰力制御弁240のソレノイドに供給する電流量を制御することにより、減衰力を制御する。具体的には、制御装置100は、減衰力を大きくする場合には、減衰力制御弁240のソレノイドに供給する電流量を大きくし、減衰力を小さくする場合には、減衰力制御弁240のソレノイドに供給する電流量を小さくする。
制御装置100は、ストロークセンサ30からのストローク信号sf、srを用いて、サスペンション21のストローク量の変化の速度である速度Vpf、及び、サスペンション22のストローク量の変化の速度である速度Vprを算出する、算出部110を備えている。また、制御装置100は、減衰力制御弁240のソレノイドに供給する目標電流Itf、Itrを設定する設定部120と、減衰力制御弁240を駆動させる駆動部130とを備えている。
算出部110は、単位時間当たりの、サスペンション21のストローク量の変化量を算出することにより、前輪側の速度Vpfを算出する。また、算出部110は、単位時間当たりの、サスペンション22のストローク量の変化量を算出することにより、後輪側の速度Vprを算出する。なお、以下の説明において、サスペンション21、22の伸長方向における速度Vpの符号を正、サスペンション21、22の圧縮方向における速度Vpの符号を負とする。
設定部120については後で詳述する。
駆動部130は、例えば電源の正極側ラインと、減衰力制御弁240のソレノイドのコイルとの間に接続された、スイッチング素子としてのトランジスタ(Field Effect Transistor:FET)を備えている。
より具体的には、駆動部130は、減衰装置21dの減衰力制御弁240へと供給する目標電流が、設定部120によって設定された目標電流Itfとなるように、トランジスタをスイッチング動作させる。また、駆動部130は、減衰装置22dの減衰力制御弁240へと供給する目標電流が、設定部120によって設定された目標電流Itrとなるように、トランジスタをスイッチング動作させる。
(設定部120)
設定部120は、算出部110が算出した速度Vpf等に基づいて、減衰装置21dの減衰力制御弁240のソレノイドへと供給する、前輪側の目標電流Itfを設定する。また、設定部120は、算出部110が算出した速度Vpr等に基づいて、減衰装置22dの減衰力制御弁240のソレノイドへと供給する、後輪側の目標電流Itrを設定する。
設定部120は、目標電流Itf、Itrを設定する上で基準となる基準電流Ibf、Ibrを設定する、基準部121を有している。また、設定部120は、自動二輪車1の走行状態に応じて基準電流Ibf、Ibrを補正するための補正電流Icf、Icrを設定する、補正部122を有している。
また、設定部120は、基準部121が設定した基準電流Ibf、Ibrと、補正部122が設定した補正電流Icf、Icrと、を加算することにより、最終的に目標電流Itf、Itrを設定する目標設定部123を有している。
図4は、基準電流Ibfと速度Vpfとの関係の例を示す制御マップの概略図である。
基準部121は、速度Vpfに応じた基準電流Ibfを算出する。基準部121は、例えば、予め経験則に基づいて作成しROMに記録しておいた、基準電流Ibfと速度Vpfとの関係を示す図4に例示した制御マップに、速度Vpfを代入することにより基準電流Ibfを算出する。
図4に例示した制御マップにおいては、速度Vpfが負である場合には、速度Vpfが第1所定速度V1以上であるときには速度Vpfが小さいほど電流量が大きくなり、速度Vpfが第1所定速度V1より小さいときには一定の電流量となるように設定されている。また、速度Vpfが正である場合には、速度Vpfが第2所定速度V2以下であるときには速度Vpfが大きいほど電流量が大きく、速度Vpfが第2所定速度V2より大きいときには一定の電流量となるように設定されている。
なお、基準部121が基準電流Ibrを算出する手法は、基準電流Ibfを算出する手法と同じであるので、詳細な説明は省略する。また、基準電流Ibrと速度Vprとの関係の例を示す制御マップは、基準電流Ibfと速度Vpfとの関係の例を示す制御マップと同じであるので、詳細な説明は省略する。ただし、基準電流Ibrと速度Vprとの関係を示す制御マップにおいて、第1所定速度V1、第2所定速度V2、及び、一定の電流量の具体的な値は、基準電流Ibfと速度Vpfとの関係を示す制御マップの場合と同じであっても良いし、異なっていても良い。
(補正部122)
図5は、第1の実施形態に係る補正部122の概略構成を示す図である。
補正部122は、前後Gセンサ50にて検出された前後加速度Gxが予め定められた所定値Gx1以下であるか否かを判断するとともに、前後加速度Gxが所定値Gx1以下であると判断した場合には、その旨を出力する第1判断部151を有している。所定値Gx1は、0(g)未満の値であることを例示することができる。
また、補正部122は、前輪2の回転加速度を算出する算出部161と、算出部161が算出した回転加速度の単位を重力加速度に変換する変換部162とを有している。算出部161は、車輪速センサ41からの回転速度信号vwfを用いて(微分することにより)前輪2の回転加速度(km/h/s)を算出する。変換部162は、算出部161にて算出された前輪2の回転加速度(km/h/s)の単位を重力加速度(g)に変換し、変換後の値を出力する。以下、変換部162にて単位が重力加速度(g)に変換された、変換後の前輪2の回転加速度の値を、前輪加速度Af(g)と称する場合がある。
そして、補正部122は、前輪加速度Afが予め定められた所定値Af1以上であるか否かを判断するとともに、前輪加速度Afが所定値Af1以上であると判断した場合には、その旨を出力する第2判断部163を有している。所定値Af1は、0(g)よりも大きな値であることを例示することができる。
また、補正部122は、サスペンション21の伸縮方向が伸長方向であるのか圧縮方向であるのかを判断するとともに、伸長方向であると判断した場合には、その旨を出力する伸縮判断部181を有している。伸縮判断部181は、速度Vpf>0である場合に伸長方向であると判断する。
また、補正部122は、第1判断部151による判断結果、第2判断部163による判断結果、及び、伸縮判断部181による判断結果を用いて補正電流Icfを設定する補正設定部190を有している。
補正設定部190は、前後加速度Gxが所定値Gx1以下であると第1判断部151が判断し、かつ、前輪加速度Afが所定値Af1以上であると第2判断部163が判断し、かつ、サスペンション21の伸縮方向が伸長方向であると伸縮判断部181が判断した場合には、予め定められた所定量I0を補正電流Icfとして設定する。すなわち、補正設定部190は、前後加速度Gx≦所定値Gx1、かつ、前輪加速度Af≧所定値Af1、かつ、Vpf>0である場合には所定量I0を補正電流Icfとして設定する。所定量I0は、図4を用いて説明した、速度Vpfが第2所定速度V2より大きいときの基準電流Ibfよりも小さな、正の電流量であることを例示することができる。
一方、補正設定部190は、上記以外の場合、すなわち、前後加速度Gx>所定値Gx1であるか、又は、前輪加速度Af<所定値Af1であるか、又は、サスペンション21の伸縮方向が伸長方向ではない場合には補正電流Icfを0に設定する。
また、補正設定部190は、補正電流Icrを0に設定する。
上述した第1判断部151、算出部161、変換部162、第2判断部163、伸縮判断部181、補正設定部190は、上記処理を、予め定めた期間(例えば1ミリ秒)毎に繰り返し行う。
次に、フローチャートを用いて、補正部122が行う補正電流Icfの設定処理の手順について説明する。
図6は、補正部122が行う設定処理の手順の一例を示すフローチャートである。
補正部122は、この処理を、予め定めた期間(例えば1ミリ秒)毎に繰り返し実行する。
補正部122は、先ず、前後Gセンサ50が検出した前後加速度Gxが所定値Gx1以下(Gx≦Gx1)であるか否かを判断する(S601)。これは、第1判断部151が判断する処理である。そして、前後加速度Gxが所定値Gx1以下である場合(S601でYes)、変換部162から出力された前輪加速度Afが所定値Af1以上(Af≧Af1)であるか否かを判断する(S602)。これは、第2判断部163が判断する処理である。そして、前輪加速度Afが所定値Af1以上である場合(S602でYes)、サスペンション21の伸縮方向が伸長方向であるか否かを判断する(S603)。これは、伸縮判断部181が判断する処理である。そして、伸長方向である場合(S603でYes)、補正電流Icfを所定量I0に設定する(S604)。
一方、前後加速度Gxが所定値Gx1以下ではない場合(S601でNo)、補正電流Icfを0に設定する(S605)。また、前輪加速度Afが所定値Af1以上ではない場合(S602でNo)、補正電流Icfを0に設定する(S605)。また、伸長方向ではない場合(S603でNo)、補正電流Icfを0に設定する(S605)。
以上のように構成された制御装置100は、以下のように作用する。
図7は、第1比較車において、ブレーキ操作が行われた際の挙動を示す図である。
図8は、自動二輪車1において、ブレーキ操作が行われた際の挙動を示す図である。
以下では、自動二輪車1に対して、制御装置100の補正部122を有しておらず、補正電流Icf、Icrを加えない自動二輪車を、第1比較車とする。
第1比較車において、ブレーキレバー13が急に握られることによる急ブレーキ操作が開始された場合、キャリパ62のブレーキ圧が上がり、前輪2に制動トルクが働く。その結果、図7に示すように、後輪3の回転速度よりも前輪2の回転速度の方が急激に小さくなる。その後、前輪2のスリップ率が設定値に達すると、ABS80により、キャリパ62のブレーキ圧が減圧され、制動トルクが減少する。制動トルクが減少したことに起因して前輪2が加速を始め、前輪2のスリップ率が小さくなってくると、再度制動トルクを増加させるべくブレーキ圧を高める。以上のサイクルが、第1比較車の停止まで繰り返される。
前輪2側のサスペンション21に着目すると、前輪2の制動トルクが増加するとサスペンション21が縮み、その後、制動トルクが減少して前輪2が加速することでサスペンション21が伸びる。ゆえに、急ブレーキ操作が行われた後、第1比較車が停止するまで、制動トルクの増加と減少のサイクルが繰り返されることで、サスペンション21の縮み動作と伸び動作が繰り返され、振動が発生し易くなる。
前輪加速度Afに着目すると、キャリパ62のブレーキ圧が高められて制動トルクが増加することで、前輪加速度Afは負となる。その後、ABS80により、キャリパ62のブレーキ圧が減圧されると、制動トルクが減少して前輪2が加速することで、前輪加速度Afは正となる。前後加速度Gxは、ブレーキ操作が行われた後、第1比較車の停止まで負である。
自動二輪車1においては、補正部122の補正設定部190が、前後加速度Gxが所定値Gx1以下、かつ、前輪加速度Afが所定値Af1以上である場合であって、サスペンション21の伸縮方向が伸長方向(Vpf>0)である場合に、補正電流Icfとして所定量I0を設定する。それゆえ、Vpf>0の場合であって、かつ、所定値Gx1が0(g)未満の値(負の値)であり、所定値Af1が0(g)よりも大きな値(正の値)である場合、すなわち、Af>Gxである場合には、ABS80によりキャリパ62のブレーキ圧が減圧されて制動トルクが減少し、前輪2が加速したときに、補正電流Icfとして所定量I0を設定する。これにより、目標電流Itf(=Ibf+I0)が大きくなり、伸長方向の減衰力が大きくなる。その結果、サスペンション21が伸び難くなる。つまり、ABS80により、キャリパ62のブレーキ圧が減圧され、制動トルクが減少して前輪2が加速する際に、サスペンション21が伸び難くなる。その結果、急ブレーキ操作が行われた後、自動二輪車1が停止するまでに、制動トルクの増加と減少のサイクルが繰り返されたとしても、振動が発生し難くなる。また、たとえ、振動が発生したとしても、振幅が小さくなる。すなわち、制御装置100によれば、急ブレーキ操作が行われたとしても自動二輪車1の挙動が安定する。それゆえ、操舵フィーリングが向上する。
また、急ブレーキ操作が行われた場合、ABS80によりブレーキ圧が減圧されたことに起因して、制動トルクが減少したときにサスペンション21が伸び難くなると、その後再度ブレーキ圧が高められて制動トルクが増加したときのばね力が大きくなる。その結果、前輪2の路面との接地荷重が早期に大きくなる。そして、再度ブレーキ圧が高められて制動トルクが増加し、スリップ率が設定値に到達すると、ABS80によりブレーキ圧が減圧される。これらにより、ブレーキ圧が減圧された後に再度ブレーキ圧が高められ、その後再度ブレーキ圧が減圧されるというサイクルの周期が短くなるので、サスペンション21が伸長方向の動作、圧縮方向の動作、伸長方向の動作へと切り換わる周期が短くなる。また、周期が短くなるので、早期に自動二輪車1が停止する。
このように、制御装置100によれば、急ブレーキ操作が行われたとしても、振動の振幅を小さくすることができ、さらに、振動の周期を短くすることができる。これにより、自動二輪車1の挙動が安定し、運転者は揺動を感じ難くなる。したがって、制御装置100を有することにより、急ブレーキ操作が行われたときの挙動が安定し、操舵フィーリングを向上させることが可能な、自動二輪車1を提供することができる。
上述したように、制御装置100は、車両本体10と車輪の一例としての前輪2との間に生じる力を減衰させる減衰装置21dの減衰力を、車両本体10の前後加速度Gxと、前輪2の回転加速度の一例としての前輪加速度Afとを用いて制御する。
急ブレーキ操作が行われた場合について例示したように、前後加速度Gxと前輪加速度Afは、自動二輪車1の挙動を把握する上での指標となる。それゆえ、これらの値を用いて減衰装置21dの減衰力を制御することで、車両の挙動を安定させることが可能となる。
例えば、前後加速度Gxが0(g)未満の値である所定値Gx1以下、つまり車両本体10が減速しているときに、前輪加速度Afが0(g)よりも大きな値である所定値Af1以上、つまり前輪2が加速している状況は、ブレーキ操作を行わない場合には生じない状況である。このような状況である場合に、減衰装置21dの減衰力を大きくすることで、サスペンション21の動作が不安定になることを抑制することが可能となる。車両本体10が減速しているときに、前輪2が加速している場合には、車両本体10が減速しているにも関わらずサスペンション21が伸長方向に動作していると考えられるため、減衰装置21dの伸長方向の減衰力を大きくすることで、サスペンション21の動作が不安定になることを抑制することが可能となる。
また、制御装置100は、前輪2に生じる制動トルクを調整可能な制動装置の一例としてのブレーキ装置60を制御して前輪2のスリップ状態を制御するように、ABS80が作動している(キャリパ62のブレーキ圧を減圧している)か否か、を判断する装置としても捉えることができる。そして、制御装置100は、ABS80が作動していると判断した場合には、ABS80が作動していると判断していない場合よりも減衰力を大きくする。制御装置100は、前後加速度Gxが所定値Gx1以下であり、かつ、前輪加速度Afが所定値Af1以上である場合に、ブレーキ装置60を制御して前輪2のスリップ状態を制御するようにABS80が作動していると判断する。
なお、本発明者等が鋭意研究したところ、ABS80により、キャリパ62のブレーキ圧が減圧されると、例えば、前後加速度Gxが−0.3(g)以下であるときに、前輪加速度Afが0.1(g)以上となる特異な状況が起こり得ることが判明した。それゆえ、例えば、所定値Gx1を−0.3(g)、所定値Af1を0.1(g)に設定することで、急ブレーキ操作時にABS80によりブレーキ圧が減圧されることに起因して生じる振動を精度高く抑制することができる。
なお、上述した第1の実施形態において、補正電流Icfは、一定でなくても良い。例えば、前後加速度Gxが小さいほど大きな値に設定しても良い。
また、補正部122は、補正電流Icrとして0を出力するのではなく、補正電流Icrを出力しないようにしても良い。
<第2の実施形態>
図9は、第2の実施形態に係る制御装置400の補正部422の概略構成を示す図である。
第2の実施形態に係る制御装置400は、第1の実施形態に係る制御装置100に対して、補正部122に相当する補正部422が異なる。以下、制御装置100と異なる点について説明する。制御装置100と制御装置400とで、同じ機能を有するものについては同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
補正部422は、伸縮判断部181に代えて、サスペンション22の伸縮方向が伸長方向であるのか圧縮方向であるのかを判断するとともに、圧縮方向であると判断した場合には、その旨を出力する伸縮判断部486を有している。伸縮判断部486は、速度Vpr<0である場合に圧縮方向であると判断する。
また、補正部422は、補正設定部190に代えて、第1判断部151による判断結果、第2判断部163による判断結果、及び、伸縮判断部486による判断結果を用いて補正電流Icrを設定する補正設定部490を有している。
補正設定部490は、前後加速度Gxが所定値Gx2以下であると第1判断部151が判断し、かつ、前輪加速度Afが所定値Af2以上であると第2判断部163が判断し、かつ、サスペンション22の伸縮方向が圧縮方向であると伸縮判断部486が判断した場合には、予め定められた所定量I1を補正電流Icrとして設定する。すなわち、補正設定部490は、前後加速度Gx≦所定値Gx2、かつ、前輪加速度Af≧所定値Af2、かつ、Vpr<0である場合には所定量I1を補正電流Icrとして設定する。所定量I1は、速度Vprが第1所定速度V1より小さいときの基準電流Ibrよりも小さな、正の電流量であることを例示することができる。
一方、補正設定部490は、上記以外の場合、すなわち、前後加速度Gx>所定値Gx2であるか、又は、前輪加速度Af<所定値Af2であるか、又は、サスペンション22の伸縮方向が圧縮方向ではない場合には補正電流Icrを0に設定する。
また、補正設定部490は、補正電流Icfを0に設定する。
上述した伸縮判断部486、補正設定部490は、上記処理を、予め定めた期間(例えば1ミリ秒)毎に繰り返し行う。
第1比較車において、ブレーキレバー13が急に握られることによる急ブレーキ操作が行われた場合に、後輪側のサスペンション22に着目すると、前輪2の制動トルクが増加するとサスペンション22が伸び、その後、制動トルクが減少して前輪2が加速することでサスペンション22が縮む。ゆえに、急ブレーキ操作が行われた後、第1比較車が停止するまで、制動トルクの増加と減少のサイクルが繰り返されることで、サスペンション22の伸び動作と縮み動作が繰り返され、振動が発生し易くなる。
これに対して、第2の実施形態に係る制御装置400を有する自動二輪車においては、補正部422の補正設定部490が、前後加速度Gxが所定値Gx2以下、かつ、前輪加速度Afが所定値Af2以上である場合であって、サスペンション22の伸縮方向が圧縮方向(Vpr<0)である場合に、補正電流Icrとして所定量I1を設定する。それゆえ、Vpr<0である場合であって、かつ、所定値Gx2が0(g)未満の値(負の値)であり、所定値Af2が0(g)よりも大きな値(正の値)である場合、すなわち、Af>Gxである場合には、ABS80によりキャリパ62のブレーキ圧が減圧され、制動トルクが減少し、前輪2が加速したときに、補正電流Icrとして所定量I1を設定する。これにより、目標電流Itrが大きくなり、圧縮方向の減衰力が大きくなる。その結果、サスペンション22が縮み難くなる。つまり、ABS80により、キャリパ62のブレーキ圧が減圧され、制動トルクが減少して前輪2が加速する際に、サスペンション22が縮み難くなる。その結果、急ブレーキ操作が行われた後、自動二輪車1が停止するまでに、制動トルクの増加と減少のサイクルが繰り返されたとしても、振動が発生し難くなる。また、たとえ、振動が発生したとしても、振幅が小さくなる。さらに、ブレーキ圧が減圧された後に再度ブレーキ圧が高められ、その後再度ブレーキ圧が減圧されるというサイクルの周期が短くなる。
このように、制御装置400によれば、急ブレーキ操作が行われたとしても、振動の振幅を小さくすることができ、さらに、振動の周期を短くすることができる。これにより、自動二輪車1の挙動が安定し、運転者は揺動を感じ難くなる。したがって、制御装置400を有することにより、急ブレーキ操作が行われたときの挙動が安定し、操舵フィーリングを向上させることが可能な、自動二輪車を提供することができる。
なお、上述した第2の実施形態において、補正電流Icrは、一定でなくても良い。例えば、前後加速度Gxが小さいほど大きな値に設定しても良い。
また、補正部422は、補正電流Icfとして0を出力するのではなく、補正電流Icfを出力しないようにしても良い。
また、第2の実施形態における所定値Gx2は、第1の実施形態における所定値Gx1と同一であっても良く、異なっていても良い。
また、第2の実施形態における所定値Af2は、第1の実施形態における所定値Af1と同一であっても良く、異なっていても良い。
<第3の実施形態>
図10は、第3の実施形態に係る制御装置500の補正部522の概略構成を示す図である。
第3の実施形態に係る制御装置500は、第1の実施形態に係る制御装置100に対して、補正部122に相当する補正部522が異なる。以下、制御装置100と異なる点について説明する。制御装置100と制御装置500とで、同じ機能を有するものについては同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
補正部522は、伸縮判断部181に加えて、第2の実施形態に係る補正部422が有する伸縮判断部486を有している。
また、補正部522は、補正設定部190に代えて、第1判断部151による判断結果、第2判断部163による判断結果、及び、伸縮判断部181による判断結果を用いて補正電流Icfを設定するとともに、第1判断部151による判断結果、第2判断部163による判断結果、及び、伸縮判断部486による判断結果を用いて補正電流Icrを設定する補正設定部590を有している。
補正設定部590は、補正設定部190と同様の手法を用いて、補正電流Icfを設定する。また、補正設定部590は、第2の実施形態に係る補正設定部490と同様の手法を用いて、補正電流Icrを設定する。
つまり、補正設定部590は、前後加速度Gx≦所定値Gx1、かつ、前輪加速度Af≧所定値Af1である場合に、Vpf>0である場合には所定量I0を補正電流Icfとして設定する。また、補正設定部590は、前後加速度Gx≦Gx2、かつ、前輪加速度Af≧所定値Af2である場合に、Vpr<0である場合には所定量I1を補正電流Icrとして設定する。
一方、補正設定部590は、上記以外の場合には補正電流Icf、Icrを0に設定する。
第3の実施形態に係る制御装置500によれば、第1の実施形態に係る制御装置100が奏する効果と、第2の実施形態に係る制御装置400が奏する効果とを奏することができる。すなわち、制御装置500によれば、急ブレーキ操作が行われたとしても、振動の振幅を小さくすることができ、さらに、振動の周期を短くすることができる。これにより、自動二輪車の挙動が安定し、運転者は揺動を感じ難くなる。したがって、制御装置500を有することにより、急ブレーキ操作が行われたときの挙動が安定し、操舵フィーリングを向上させることが可能な、自動二輪車を提供することができる。
<第4の実施形態>
図11は、第4の実施形態に係る制御装置600の補正部622の概略構成を示す図である。
第4の実施形態に係る制御装置600は、第1の実施形態に係る制御装置100に対して、補正部122に相当する補正部622が異なる。以下、制御装置100と異なる点について説明する。制御装置100と制御装置600とで、同じ機能を有するものについては同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
補正部622は、前後Gセンサ50にて検出された前後加速度Gxが予め定められた所定値Gx3以上であるか否かを判断するとともに、前後加速度Gxが所定値Gx3以上であると判断した場合には、その旨を出力する第3判断部652を有している。所定値Gx3は、0(g)よりも大きい値であることを例示することができる。
また、補正部622は、算出部161、変換部162に代えて、後輪3の回転加速度を算出する算出部671と、算出部671が算出した回転加速度の単位を重力加速度に変換する変換部672とを有している。算出部671は、車輪速センサ42からの回転速度信号vwrを用いて(微分することにより)後輪3の回転加速度(km/h/s)を算出する。変換部672は、算出部671にて算出された後輪3の回転加速度(km/h/s)の単位を重力加速度(g)に変換し、変換後の値を出力する。以下、変換部672にて単位が重力加速度(g)に変換された、変換後の後輪3の回転加速度(km/h/s)の値を、後輪加速度Ar(g)と称する場合がある。
そして、補正部622は、第2判断部163に代えて、後輪加速度Arが予め定められた所定値Ar1以下であるか否かを判断するとともに、後輪加速度Arが所定値Ar1以下であると判断した場合には、その旨を出力する第4判断部673を有している。
補正部622は、伸縮判断部181に代えて、サスペンション22の伸縮方向が伸長方向であるのか圧縮方向であるのかを判断するとともに、伸長方向であると判断した場合には、その旨を出力する伸縮判断部687を有している。伸縮判断部687は、速度Vpr>0である場合に伸長方向であると判断する。
また、補正部622は、補正設定部190に代えて、第3判断部652による判断結果、第4判断部673による判断結果、及び、伸縮判断部687による判断結果を用いて補正電流Icrを設定する補正設定部690を有している。
補正設定部690は、前後加速度Gxが所定値Gx3以上であると第3判断部652が判断し、かつ、後輪加速度Arが所定値Ar1以下であると第4判断部673が判断し、かつ、サスペンション22の伸縮方向が伸長方向であると伸縮判断部687が判断した場合には、予め定められた所定量I2を補正電流Icrとして設定する。すなわち、補正設定部690は、前後加速度Gx≧所定値Gx3、かつ、後輪加速度Ar≦所定値Ar1、かつ、Vpr>0である場合には所定量I2を補正電流Icrとして設定する。所定量I2は、図4を用いて説明した、速度Vprが第2所定速度V2より大きいときの基準電流Ibrよりも小さな、正の電流量であることを例示することができる。
一方、補正設定部690は、上記以外の場合、すなわち、前後加速度Gx<所定値Gx3であるか、又は、後輪加速度Ar>所定値Ar1であるか、又は、サスペンション22の伸縮方向が伸長方向ではない場合には補正電流Icrを0に設定する。
また、補正設定部690は、補正電流Icfを0に設定する。
上述した第3判断部652、算出部671、変換部672、第4判断部673、伸縮判断部687、補正設定部690は、上記処理を、予め定めた期間(例えば1ミリ秒)毎に繰り返し行う。
以上のように構成された制御装置600は、以下のように作用する。
以下では、制御装置600を有する自動二輪車に対して、制御装置600の補正部622を有しておらず、補正電流Icf、Icrを加えない自動二輪車を第2比較車とする。
第2比較車において、スロットルグリップ17が急に回されることによる急加速操作が行われた場合、エンジントルクが急激に大きくなり、後輪3の駆動トルクが急激に大きくなるため、前輪2の回転速度よりも後輪3の回転速度の方が急激に大きくなる。そして、後輪3が空転すると、TCS90により、後輪3の駆動トルクが低下させられる。駆動トルクが減少したことに起因して後輪3が減速し始め、後輪3が空転しなくなると、TCS90が作動しなくなり、再度駆動トルクが増加する。以上のサイクルが、第2比較車のスロットルグリップ17が戻されるまで繰り返される。
後輪3側のサスペンション22に着目すると、後輪3の駆動トルクが減少するとサスペンション22が伸び、その後、駆動トルクが増加して後輪3が加速することでサスペンション22が縮む。ゆえに、スロットルグリップ17が急激に回された後再度戻されるまで、駆動トルクの減少と増加のサイクルが繰り返されることで、サスペンション22の伸び動作と縮み動作が繰り返され、振動が発生し易くなる。
後輪加速度Arに着目すると、スロットルグリップ17が急激に回されて駆動トルクが増加することで、後輪加速度Arは正となる。その後、TCS90により、駆動トルクが低下させられると、後輪3が減速することで、後輪加速度Arは負となる。前後加速度Gxは、急加速が行われた後、第2比較車が定速となるまで正である。
制御装置600を有する自動二輪車においては、補正部622の補正設定部690が、前後加速度Gxが所定値Gx3以上、かつ、後輪加速度Arが所定値Ar1以下である場合であって、サスペンション22の伸縮方向が伸長方向(Vpr>0)である場合に、補正電流Icrとして所定量I2を設定する。それゆえ、Vpr>0の場合であって、かつ、所定値Gx3が0(g)よりも大きな値(正の値)であり、所定値Ar1が0(g)未満の値(負の値)である場合、すなわち、Ar<Gxである場合には、TCS90により後輪3の駆動トルクが低下させられ、駆動トルクが減少し、後輪3が減速したときに、補正電流Icrとして所定量I2を設定する。これにより、目標電流Itrが大きくなり、伸長方向の減衰力が大きくなる。その結果、サスペンション22が伸び難くなる。つまり、TCS90により、後輪3の駆動トルクが低下させられ、後輪3が減速する際に、サスペンション22が伸び難くなる。その結果、急加速操作が行われた後、スロットルグリップ17が戻されるまでに、駆動トルクの増加と減少のサイクルが繰り返されたとしても、振動が発生し難くなる。また、たとえ、振動が発生したとしても、振幅が小さくなる。すなわち、制御装置600によれば、急加速操作が行われたとしても制御装置600を有する自動二輪車の挙動が安定する。それゆえ、操舵フィーリングが向上する。
また、急加速操作が行われた場合、TCS90の作動により、後輪3の駆動トルクが低下させられたことに起因してサスペンション22が伸び難くなると、その後TCS90が非作動となり後輪3の駆動トルクが増加したときのばね力が大きくなる。その結果、後輪3の路面との接地荷重が早期に大きくなる。そして、TCS90が非作動となって駆動トルクが増加し、再度後輪3が空転すると、TCS90により後輪3の駆動トルクが低下させられる。これらにより、TCS90が非作動となった後に再度TCS90が作動し、その後再度TCS90が非作動になるというサイクルの周期が短くなるので、サスペンション22が伸長方向の動作、圧縮方向の動作、伸長方向の動作へと切り換わる周期が短くなる。また、周期が短くなるので、早期に制御装置600を有する自動二輪車の速度が上昇する。
このように、制御装置600によれば、急加速操作が行われたとしても、振動の振幅を小さくすることができ、さらに、振動の周期を短くすることができる。これにより、制御装置600を有する自動二輪車の挙動が安定し、運転者は揺動を感じ難くなる。したがって、制御装置600を有することにより、急加速操作が行われたときの挙動が安定し、操舵フィーリングを向上させることが可能な、自動二輪車を提供することができる。
上述したように、制御装置600は、車両本体10と車輪の一例としての後輪3との間に生じる力を減衰させる減衰装置22dの減衰力を、車両本体10の前後加速度Gxと、後輪3の回転加速度の一例としての後輪加速度Arとを用いて制御する。
急加速操作が行われた場合について例示したように、前後加速度Gxと後輪加速度Arは、制御装置600を有する自動二輪車の挙動を把握する上での指標となる。それゆえ、これらの値を用いて減衰装置22dの減衰力を制御することで、車両の挙動を安定させることが可能となる。
例えば、前後加速度Gxが0(g)よりも大きな値である所定値Gx3以上、つまり車両本体10が加速しているときに、後輪加速度Arが0(g)未満の値である所定値Ar1以下、つまり後輪3が減速している状況は、加速操作を行わない場合には生じない状況である。このような状況である場合に、減衰装置22dの減衰力を大きくすることで、サスペンション22の動作が不安定になることを抑制することが可能となる。車両本体10が加速しているときに、後輪3が減速している場合には、車両本体10が加速しているにも関わらずサスペンション22が伸長方向に動作していると考えられるため、減衰装置22dの伸長方向の減衰力を大きくすることで、不安定になることを抑制することが可能となる。
また、制御装置600は、後輪3の空転を抑制するように制御するTCS90が作動しているか否か、を判断する装置としても捉えることができる。そして、制御装置600は、TCS90が作動していると判断した場合には、TCS90が作動していると判断していない場合よりも減衰力を大きくする。制御装置600は、前後加速度Gxが所定値Gx3以上であり、かつ、後輪加速度Arが所定値Ar1以下である場合に、後輪3の空転を抑制するようにTCS90が作動していると判断する。
なお、上述した第4の実施形態において、補正電流Icrは、一定でなくても良い。例えば、前後加速度Gxが大きいほど大きな値に設定しても良い。
また、補正部622は、補正電流Icfとして0を出力するのではなく、補正電流Icfを出力しないようにしても良い。
また、第4の実施形態に係る制御装置600は、上記補正部622に加えて、第1の実施形態に係る制御装置100が有する補正部122、第2の実施形態に係る制御装置400が有する補正部422、及び、第3の実施形態に係る制御装置500が有する補正部522からなる群より選択される、いずれか一の補正部を有しても良い。そして、目標設定部123は、補正部622が設定した補正電流Icf、Icrと、一の補正部(例えば補正部122)が設定した補正電流Icf、Icrと、を用いて目標電流Itf、Itrを設定しても良い。例えば、目標設定部123は、基準部121が設定した基準電流Ibf、Ibrと、補正部622が設定した補正電流Icf、Icrと、一の補正部(例えば補正部122)が設定した補正電流Icf、Icrと、を加算することにより得た値を目標電流Itf、Itrに設定しても良い。
<第5の実施形態>
図12は、第5の実施形態に係る制御装置700の補正部722の概略構成を示す図である。
第5の実施形態に係る制御装置700は、第4の実施形態に係る制御装置600に対して、補正部622に相当する補正部722が異なる。以下、制御装置600と異なる点について説明する。制御装置600と制御装置700とで、同じ機能を有するものについては同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
補正部722は、伸縮判断部687に代えて、サスペンション21が伸長方向であるのか圧縮方向であるのかを判断するとともに、圧縮方向であると判断した場合には、その旨を出力する伸縮判断部782を有している。伸縮判断部782は、速度Vpf<0である場合に圧縮方向であると判断する。
また、補正部722は、補正設定部690に代えて、第3判断部652による判断結果、第4判断部673による判断結果、及び、伸縮判断部782による判断結果を用いて補正電流Icfを設定する補正設定部790を有している。
補正設定部790は、前後加速度Gxが所定値Gx4以上であると第3判断部652が判断し、かつ、後輪加速度Arが所定値Ar2以下であると第4判断部673が判断し、かつ、サスペンション21の伸縮方向が圧縮方向であると伸縮判断部782が判断した場合には、予め定められた所定量I3を補正電流Icfとして設定する。すなわち、補正設定部790は、前後加速度Gx≧所定値Gx4、かつ、後輪加速度Ar≦所定値Ar2、かつ、Vpf<0である場合には所定量I3を補正電流Icfとして設定する。所定量I3は、図4を用いて説明した、速度Vpfが第1所定速度V1より小さいときの基準電流Ibfよりも小さな、正の電流量であることを例示することができる。
一方、補正設定部790は、上記以外の場合、すなわち、前後加速度Gx<所定値Gx4であるか、又は、後輪加速度Ar>所定値Ar2であるか、又は、サスペンション21が圧縮方向ではない場合には補正電流Icfを0に設定する。
また、補正設定部790は、補正電流Icrを0に設定する。
上述した伸縮判断部782、補正設定部790は、上記処理を、予め定めた期間(例えば1ミリ秒)毎に繰り返し行う。
第2比較車において、スロットルグリップ17が急に回されることによる急加速操作が行われた場合に、前輪2側のサスペンション21に着目すると、後輪3の駆動トルクが減少するとサスペンション21が縮み、その後、駆動トルクが増加して後輪3が加速することでサスペンション21が伸びる。ゆえに、急加速操作が行われた後、スロットルグリップ17が戻されるまで、駆動トルクの減少と増加のサイクルが繰り返されることで、サスペンション21の縮み動作と伸び動作が繰り返され、振動が発生し易くなる。
これに対して、制御装置700を有する自動二輪車においては、制御装置700の補正部722の補正設定部790が、前後加速度Gxが所定値Gx4以上、かつ、後輪加速度Arが所定値Ar2以下である場合であって、サスペンション21の伸縮方向が圧縮方向(Vpf<0)である場合に、補正電流Icfとして所定量I3を設定する。それゆえ、Vpf<0の場合であって、かつ、所定値Gx4が0(g)よりも大きな値(正の値)であり、所定値Ar2が0(g)未満の値(負の値)である場合、すなわち、Ar<Gxである場合には、TCS90により後輪3の駆動トルクが低下させられて、後輪3が減速したときに、補正電流Icfとして所定量I3を設定する。これにより、目標電流Itfが大きくなり、圧縮方向の減衰力が大きくなる。その結果、サスペンション21が縮み難くなる。つまり、TCS90により、後輪3の駆動トルクが低下させられ、後輪3が減速する際に、サスペンション21が縮み難くなる。その結果、急加速操作が行われた後、スロットルグリップ17が戻されるまでに、駆動トルクの増加と減少のサイクルが繰り返されたとしても、振動が発生し難くなる。また、たとえ、振動が発生したとしても、振幅が小さくなる。さらに、TCS90が非作動となった後に再度TCS90が作動し、その後再度TCS90が非作動になるというサイクルの周期が短くなる。
このように、制御装置700によれば、急加速操作が行われたとしても、振動の振幅を小さくすることができ、さらに、振動の周期を短くすることができる。これにより、自動二輪車の挙動が安定し、運転者は揺動を感じ難くなる。したがって、制御装置700を有することにより、急加速操作が行われたときの挙動が安定し、操舵フィーリングを向上させることが可能な、自動二輪車を提供することができる。
なお、上述した第5の実施形態において、補正電流Icfは、一定でなくても良い。例えば、前後加速度Gxが大きいほど大きな値に設定しても良い。
また、補正部722は、補正電流Icrとして0を出力するのではなく、補正電流Icrを出力しないようにしても良い。
また、第5の実施形態における所定値Gx4は、第4の実施形態における所定値Gx3と同一であっても良く、異なっていても良い。
また、第5の実施形態における所定値Ar2は、第4の実施形態における所定値Ar1と同一であっても良く、異なっていても良い。
また、第5の実施形態に係る制御装置700は、上記補正部722に加えて、第1の実施形態に係る制御装置100が有する補正部122、第2の実施形態に係る制御装置400が有する補正部422、及び、第3の実施形態に係る制御装置500が有する補正部522からなる群より選択される、いずれか一の補正部を有しても良い。そして、目標設定部123は、補正部722が設定した補正電流Icf、Icrと、一の補正部(例えば補正部122)が設定した補正電流Icf、Icrと、を用いて目標電流Itf、Itrを設定しても良い。例えば、目標設定部123は、基準部121が設定した基準電流Ibf、Ibrと、補正部722が設定した補正電流Icf、Icrと、一の補正部(例えば補正部122)が設定した補正電流Icf、Icrと、を加算することにより得た値を目標電流Itf、Itrに設定しても良い。
<第6の実施形態>
図13は、第6の実施形態に係る制御装置800の補正部822の概略構成を示す図である。
第6の実施形態に係る制御装置800は、第4の実施形態に係る制御装置600に対して、補正部622に相当する補正部822が異なる。以下、制御装置600と異なる点について説明する。制御装置600と制御装置800とで、同じ機能を有するものについては同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
補正部822は、伸縮判断部687に加えて、第5の実施形態に係る補正部722が有する伸縮判断部782を有している。
また、補正部822は、補正設定部690に代えて、第3判断部652による判断結果、第4判断部673による判断結果、及び、伸縮判断部782による判断結果を用いて補正電流Icfを設定するとともに、第3判断部652による判断結果、第4判断部673による判断結果、及び、伸縮判断部687による判断結果を用いて補正電流Icrを設定する補正設定部890を有している。
補正設定部890は、補正設定部690と同様の手法を用いて、補正電流Icrを設定する。また、補正設定部890は、第5の実施形態に係る補正設定部790と同様の手法を用いて、補正電流Icfを設定する。
つまり、補正設定部890は、前後加速度Gx≧所定値Gx3、かつ、後輪加速度Ar≦所定値Ar1である場合に、Vpr>0である場合には所定量I2を補正電流Icrとして設定する。また、補正設定部890は、前後加速度Gx≧Gx4、かつ、後輪加速度Ar≦所定値Ar2である場合に、Vpf<0である場合には所定量I3を補正電流Icfとして設定する。
一方、補正設定部890は、上記以外の場合には補正電流Icf、Icrを0に設定する。
第6の実施形態に係る制御装置800によれば、第4の実施形態に係る制御装置600が奏する効果と、第5の実施形態に係る制御装置700が奏する効果とを奏することができる。すなわち、制御装置800によれば、急加速操作が行われたとしても、振動の振幅を小さくすることができ、さらに、振動の周期を短くすることができる。これにより、自動二輪車の挙動が安定し、運転者は揺動を感じ難くなる。したがって、制御装置800を有することにより、急加速操作が行われたときの挙動が安定し、操舵フィーリングを向上させることが可能な、自動二輪車を提供することができる。
なお、第6の実施形態に係る制御装置800は、上記補正部822に加えて、第1の実施形態に係る制御装置100が有する補正部122、第2の実施形態に係る制御装置400が有する補正部422、及び、第3の実施形態に係る制御装置500が有する補正部522からなる群より選択される、いずれか一の補正部を有しても良い。そして、目標設定部123は、補正部822が設定した補正電流Icf、Icrと、一の補正部(例えば補正部122)が設定した補正電流Icf、Icrと、を用いて目標電流Itf、Itrを設定しても良い。例えば、目標設定部123は、基準部121が設定した基準電流Ibf、Ibrと、補正部822が設定した補正電流Icf、Icrと、一の補正部(例えば補正部122)が設定した補正電流Icf、Icrと、を加算することにより得た値を目標電流Itf、Itrに設定しても良い。
なお、上述した各実施形態における制御装置(例えば制御装置100)の構成要素は、ハードウェアによって実現されていても良いし、ソフトウェアによって実現されていても良い。また、本発明の構成要素の一部または全部がソフトウェアで実現される場合には、そのソフトウェア(コンピュータープログラム)は、コンピューター読み取り可能な記録媒体に格納された形で提供することができる。「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスクやCD−ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種のRAMやROM等のコンピューター内の内部記憶装置や、ハードディスク等の外部記憶装置も含む。
1…自動二輪車、2…前輪、3…後輪、10…車両本体、20…懸架システム、21…サスペンション、21d…第1減衰装置、22…サスペンション、22d…第2減衰装置、60…制動装置、80…アンチロックブレーキシステム、90…トラクションコントロールシステム、100、400、500、600、700、800…制御装置、110…算出部、120…設定部、121…基準部、122,422,522、622,722,822…補正部、200…減衰装置、240…減衰力制御弁

Claims (7)

  1. 車両本体と車輪との間に生じる力を減衰させる減衰装置の減衰力を、前記車両本体の前後加速度と、前輪の回転加速度とを用いて制御する、制御装置であって、
    前記前輪側に配置された第1減衰装置における、前記車両本体と前記前輪との間の相対変位が大きくなる伸長方向の減衰力、及び、後輪側に配置された第2減衰装置における、前記車両本体と前記後輪との間の相対変位が小さくなる圧縮方向の減衰力の、一方又は両方の減衰力を制御し、
    前記前後加速度が予め定められた0(g)未満である第1所定値以下であり、かつ、前記前輪の前記回転加速度が予め定められた0(g)よりも大きい第2所定値以上である場合には、前記前後加速度が前記第1所定値より大きい場合、又は、前記前輪の前記回転加速度が前記第2所定値未満である場合よりも前記減衰力を大きくするように制御する、
    制御装置。
  2. 前記前輪の前記回転加速度が前記前後加速度よりも大きい場合に、前記前輪に生じる制動トルクを調整可能な制動装置を制御して前記前輪のスリップ状態を制御するようにアンチロックブレーキシステムが作動していると判断する
    請求項1に記載の制御装置。
  3. 前記アンチロックブレーキシステムが作動していると判断した場合には、前記アンチロックブレーキシステムが作動していると判断していない場合よりも前記減衰力を大きくするように制御する
    請求項に記載の制御装置。
  4. 車両本体と車輪との間に生じる力を減衰させる減衰装置の減衰力を、前記車両本体の前後加速度と、後輪の回転加速度とを用いて制御する、制御装置であって、
    前輪側に配置された第1減衰装置における、前記車両本体と前記前輪との間の相対変位が小さくなる圧縮方向の減衰力、及び、前記後輪側に配置された第2減衰装置における、前記車両本体と前記後輪との間の相対変位が大きくなる伸長方向の減衰力の、一方又は両方の減衰力を制御し、
    前記前後加速度が予め定められた0(g)よりも大きい第3所定値以上であり、かつ、前記後輪の前記回転加速度が予め定められた0(g)未満である第4所定値以下である場合には、前記前後加速度が前記第3所定値未満である場合、又は、前記後輪の前記回転加速度が前記第4所定値より大きい場合よりも前記減衰力を大きくするように制御する、
    制御装置。
  5. 前記後輪の前記回転加速度が前記前後加速度よりも小さい場合に、前記後輪の空転を抑制するように制御するトラクションコントロールシステムが作動していると判断する
    請求項4に記載の制御装置。
  6. 前記トラクションコントロールシステムが作動していると判断した場合は、前記トラクションコントロールシステムが作動していると判断していない場合よりも前記減衰力を大きくするように制御する
    請求項に記載の制御装置。
  7. 請求項1からに記載の制御装置と、前記制御装置によって減衰力が制御されるサスペンションとを備えた、懸架システム。
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