JP6620522B2 - 無方向性電磁鋼板用の熱延鋼帯及び無方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

無方向性電磁鋼板用の熱延鋼帯及び無方向性電磁鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、無方向性電磁鋼板の中間製品である通板性に優れた無方向性電磁鋼板用の熱延鋼帯および磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板の製造方法に関する。
無方向性電磁鋼板において磁気特性を向上させるために、冷延前の鋼帯(熱延鋼帯)の結晶粒径を大きくすることが有効であることはよく知られている(特許文献1)。
冷延前の鋼帯の結晶粒を成長させるためには、熱延板焼鈍が有効であるが、熱延後の鋼帯を焼鈍ラインに通板させることは、製造コストの上昇に繋がるため課題となっている。これに対し、熱間圧延時の仕上圧延温度を高めて、巻取りのための冷却開始までの短時間の間に粒成長させる技術や(特許文献2)、熱間圧延終了後の鋼帯をそのまま高温で巻取り、その保持熱でコイルのまま自己焼鈍を行う技術(特許文献3)が開発されている。
特許文献2において、仕上圧延後に、一定時間冷却水の注水を停止してからROT(Run Out Table)で冷却を始めるプロセスでは、短時間の無注水時間中に熱延鋼帯の結晶粒成長を行わせるため、熱延仕上温度を上昇させる必要がある。このため、スラブの加熱温度を通常の無方向性電磁鋼板の仕上圧延時の加熱温度よりも高くする必要がある。しかしながら、加熱温度を高めるとスラブ加熱時に析出物が再固溶し、この再固溶した析出物が仕上圧延中およびROT冷却の際に微細に再析出するので、磁気特性の改善が不十分となる課題がある。また、スラブ加熱温度を上昇させるため、加熱に要するコストも上昇し、熱延スケジュールも組みにくくなる課題がある。
また特許文献3において、熱間圧延工程において高温仕上を実施する自己焼鈍では、熱延仕上温度が高いためにコイル内で部分的に異常粒成長が発生しやすいという課題がある。
これら特許文献2、3に記載の方法は、基本的には正常粒成長による粒径増大を狙ったものではあるが、実用においては異常粒成長が発生しやすいことが指摘されている。異常粒成長が発生した場合でも、平均粒径が大きくなっていれば磁気特性は向上するため実用化が進展している。しかし、異常粒成長が発生すると熱延鋼板の酸洗ライン等の通板時に、特定の粒界への応力集中が大きくなり板破断が発生することが課題となっている。このような異常成長粒に起因する破断は、特性付与のため高合金化させることで高硬度した無方向性電磁鋼板において発生し、また、Siなどの合金添加量が比較的低い鋼材においてすら発生する場合があり、大きな課題となっている。
また異常粒成長が発生した熱延鋼帯を冷延、焼鈍して得られる無方向性電磁鋼板(最終製品)は、鋼板表面に凹凸を伴うオレンジピールが生じて外観がよくないだけでなく、電機部材を形成するため鋼板を積層した際の占積率が大きく低下し、部材効率が劣化する原因ともなる。
特開昭51−74923号公報 特開昭62−54023号公報 特開昭54−76422号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、異常粒成長が抑制され、かつ、結晶の平均粒径が大きな無方向性電磁鋼板の中間製品である通板性に優れた無方向性電磁鋼板用の熱延鋼帯および磁気特性の優れた無方向性電磁鋼板の製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決する本発明の要旨は以下の通りである。
(1) 質量%で、
C:0.003%以下、
Si:0.1%〜4.5%、
Mn:0.1%〜1.5%、
N:0.003%以下、
S:0.004%以下を含有し、残部がFe及び不純物よりなる成分を有する熱延鋼帯であり、
前記熱延鋼帯の圧延方向と熱延鋼帯の板面垂直方向を含む断面における結晶粒の円相当粒径(μm)を測定し、これを常用対数で表示した結晶粒度分布において、最大粒度と最小粒度の中間値mと、結晶粒数の個数率が最大となる粒度nの間に、以下の関係式(1)が成り立つとともに、前記中間値mは1.287以上であることを特徴とする無方向性電磁鋼板用の熱延鋼帯。
n<m …(1)
(2) 更に、質量%で、Al:0.1〜2.5%を含有することを特徴とする(1)記載の無方向性電磁鋼板用の熱延鋼帯。
(3) 更に、質量%で、Sn:0.05〜0.2%を含有することを特徴とする(1)または(2)記載の無方向性電磁鋼板用の熱延鋼帯。
(4) (1)乃至(3)の何れか一項に記載の化学成分を有する鋼を、850〜950℃の熱延仕上げ温度で熱間仕上圧延し、400〜950℃の巻取温度で巻取って(1)乃至(3)の何れか一項に記載の熱延鋼帯からなる熱延コイルとし、
この際、熱延鋼帯全長にわたる熱延仕上温度の平均値FT(℃)と熱延鋼帯全長における熱延仕上温度の変動ΔFT(℃)が(2)式を満足させるとともに、
熱延鋼帯全長にわたる巻取温度の平均値CT(℃)と熱延鋼帯全長における巻取温度の変動ΔCT(℃)が(3)式を満足させることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
ΔFT≦−0.589×FT+707 …(2)
ΔCT≦−0.259×(FT−CT)+91 …(3)
(5) 前記巻取り温度が700〜950℃である(4)に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
(6) 前記熱延コイルに対して、加熱速度30℃/s以下、焼鈍温度800℃以上900℃以下、加熱時間を含めた焼鈍時間1分以上10分未満の条件で熱延板焼鈍を行い、その後、冷却速度20℃/s以下で400℃以下まで冷却することを特徴とする(4)または(5)に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
(7) 前記熱延コイルにその保有熱により、焼鈍温度800℃以上900℃以下、焼鈍時間5分以上15分未満の条件で自己焼鈍を行い、その後、冷却速度5℃/s以上で400℃以下まで冷却することを特徴とする(4)または(5)に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
本発明によれば、異常粒成長が抑制され、かつ、結晶の平均粒径が大きな無方向性電磁鋼板の中間製品である通板性に優れた熱延鋼帯および磁気特性の優れた無方向性電磁鋼板の製造法を提供できる。
(a)は実施例1における発明例の結晶粒の粒度分布であって(n<m)であることを示すグラフであり、(b)は実施例1における比較例の結晶粒の粒度分布であって(n>m)であることを示すグラフである。 実施例1における発明例の結晶粒の粒度分布を示すグラフであって、横軸を粒径(μm)の常用対数の値としたグラフである。 実施例1における比較例の結晶粒の粒度分布を示すグラフであって、横軸を粒径(μm)の常用対数の値としたグラフである。 実施例3における自己焼鈍時間と歪取焼鈍後の磁束密度B50との関係を示すグラフであって、本発明自己焼鈍材、比較例自己焼鈍材及び非自己焼鈍材を示すグラフである。 実施例3における自己焼鈍時間と歪取焼鈍後の鉄損W15/50との関係を示すグラフであって、本発明自己焼鈍材、比較例自己焼鈍材及び非自己焼鈍材を示すグラフである。
本発明者らは、熱延温度が高い場合に異常粒成長が発生する原因を検討した。その結果、熱延中の鋼帯の温度バラつきが大きくなると、局所的に高温となった部位で異常粒成長が発生するとの知見を得た。この現象は熱延温度が高いと顕著に現れる。
つまり、熱延高温仕上げにより熱延板の粒成長を促進する従来技術では、スラブ加熱温度を高く設定する必要があるため、スラブ加熱中の析出物の固溶量が多くなり、これが熱延中およびその後の熱延板焼鈍または自己焼鈍で一気に析出するため、熱延中のわずかな温度の変動が、析出物の析出分布にも大きな影響を及ぼすことが原因になっていると考えられる。
この推定は、熱延板焼鈍のような熱処理を別工程で行う場合には、熱延高温仕上げによるものよりも異常粒成長に関連する課題が発生しにくいこととも合致する。
このため、平均粒径を大きくしつつ異常粒成長を抑制するには単に仕上げ圧延温度の平均温度を上げるだけでなく、仕上熱延中の各段階における圧延開始温度FT0、熱延仕上温度FT、コイル巻取温度CTのコイル内の変動を制御することが重要であることを知見した。これにより、本発明では、従来技術で得られなかった特殊な粒度分布が得られることにより、熱延以降の後工程での通板性の優れた熱延鋼帯が得られることを発明者らは新規に知見した。以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態の無方向性電磁鋼板用の熱延鋼帯の化学成分について説明する。本実施形態における鋼成分は、質量%で、C:0.003%以下、Si:0.1%〜4.5%、Mn:0.1%〜1.5%、N:0.003%以下、S:0.004%以下を含有し、残部がFe及び不純物よりなる。また、質量%でAl:0.1〜2.5%を含有してもよい。
更に、質量%でSn:0.05%〜0.2%を含有してもよい。
C:0.003%以下
Cの含有量が0.003%を超えると微細な炭化物が析出して磁気特性が劣化するので、上限を0.003%以下とする。C量の下限は0.0001%である。
Si:0.1〜4.5%
Siは、電気抵抗を増加させる作用を有しているので、鉄損低減のために0.1%以上含有させる。しかしながら、過剰に含有させると磁束密度の低下が著しくなり、また、圧延作業性の劣化、仕上げ焼鈍温度の上昇を招き、さらにはコスト高ともなるので4.5%以下とする。
Mn:0.1〜1.5%
Mnは、電気抵抗を増加させる作用を有しているので、鉄損低減のために含有させる。そのためには、0.1%以上含有させることが必要である。しかしながら、過剰に含有させると磁束密度の低下が著しくなるので、1.5%以下とする。
N:0.003%以下
Nは、不純物として含有され、多量に含有すると窒化物の増加により磁気特性が劣化する。そのため上限値を0.003%とすることが望ましい。N量を少なくするほど製造コストが増大するため、下限値は0.0001%以上とするとよい。
S:0.004%以下
Sは、多量に含有すると硫化物が多数析出し磁気特性が劣化する。そのため上限値を0.004%とすることが望ましい。S量を少なくするほど製造コストが増大するため、下限値は0.0001%以上とするとよい。
残部はFeおよび不純物である。不純物には製造過程で不可避的に混入する各種元素が含まれる。
Al:0.1〜2.5%
Alの含有は任意であり、必要に応じて含有させる。Alは、電気抵抗を増加させて鉄損を低減する作用を有し、そのためには0.1%以上含有することが好ましい。しかしながら、過剰に含有させると磁束密度の低下が著しくなるので、2.5%以下とする。
磁気特性を改善し、本発明の効果を向上させるため、0.05%≦Sn≦0.2%の範囲で添加しても良い。0.05%未満では添加効果が不十分であり、0.2%超ではその効果が飽和する。Sn添加量はさらに好ましくは、0.05%以上0.015%以下である。
また、本実施形態の熱延鋼帯は、圧延方向と鋼板垂直方向を含む断面における結晶粒の粒径(単位:μm)を常用対数で表示した結晶粒度分布において、最大粒度と最小粒度の中間値mと、結晶粒数の個数率が最大となる粒度nの間に、以下の関係式(1)が成り立つものとなる。結晶粒径については後ほど詳細に説明する。
n<m …(1)
次に、本実施形態の熱延鋼帯の製造方法及び無方向性電磁鋼板の製造方法を説明する。
本実施形態では、上述した鋼組成を備える鋼塊または鋼片を熱間圧延および必要に応じて熱延板焼鈍または自己焼鈍することにより、熱延鋼帯とする。更に、この熱延鋼帯に対して、冷間圧延および仕上焼鈍を実施することにより、無方向性電磁鋼板を製造する。
先ず上述した組成を有する鋼を、連続鋳造法あるいは鋼塊を分塊圧延する方法など一般的な方法によりスラブとし、加熱炉に装入して熱間圧延を施す。この際、スラブ温度が高い場合には加熱炉に装入しないで熱間圧延を行ってもよい。スラブ加熱温度は特に限定されるものではないが、コストおよび熱間圧延性の観点から1000〜1300℃とすることが好ましい。より好ましくは1050〜1250℃である。
また、熱間圧延の各種条件は、仕上げ温度が850〜950℃、巻き取り温度が400〜950℃の範囲がよい。巻き取り温度は、さらに好ましくは700℃〜950℃がよい。
この際、熱延鋼帯全長にわたる熱延仕上温度の平均値FT(℃)と熱延鋼帯全長における熱延仕上温度の変動ΔFT(℃)が(2)式を満足させるとともに、熱延鋼帯全長にわたる巻取温度の平均値CT(℃)と熱延鋼帯全長における巻取温度の変動ΔCT(℃)が(3)式を満足させるようにする。
ΔFT≦−0.589×FT+707 …(2)
ΔCT≦−0.259×(FT−CT)+91 …(3)
上記(2)式及び上記(3)式において、熱延仕上げ温度の平均値FT(℃)は、熱間仕上圧延直後の鋼帯の長手方向の温度分布の平均値である。また、熱延仕上温度の変動ΔFT(℃)は、熱間仕上圧延直後の鋼帯の長手方向の温度分布の最大値と最小値の差である。鋼帯の長手方向の温度分布は、例えば、仕上げ圧延直後の鋼帯の幅方向中央において測定すればよい。
また、上記(3)式において、巻取り温度の平均値CT(℃)は、巻取り直前の鋼帯の長手方向の温度分布の平均値である。また、巻取り温度の変動ΔCT(℃)は、巻取り直前の鋼帯の長手方向の温度分布の最大値と最小値の差である。鋼帯の長手方向の温度分布は、例えば、巻取り直前の鋼帯の幅方向中央において測定すればよい。
本発明で定めたΔFTが(2)式で定めた範囲を超えるか、あるいは、ΔCTが(3)式で定めた範囲を超えると、熱延仕上温度およびコイル巻取り温度の熱延鋼帯の長手方向および幅方向の変動が大きくなる。その結果、熱延鋼帯の長手方向、幅方向全体にわたり、安定した結晶組織と析出物の分布が得られなくなる。
その結果、仕上熱延における熱延鋼帯中の結晶組織と析出物の分布が不均一となり、結晶粒成長の駆動力が熱延鋼帯全体において均一とならず、本発明が目的とする異常粒成長を抑制しつつ適正な結晶粒度分布を得ることが困難となる。
異常粒成長の抑制が不十分であれば、熱延後の熱延鋼帯の後工程の通板性に大きな課題が生じ、本発明が目的とする通板性に優れた熱延鋼帯を得ることができない。
このため(2)式と(3)式を同時に満たす条件で仕上熱延を行う必要がある。
また、(2)式と(3)式を同時に満たすことが出来ない場合は、析出物のサイズと分布が熱延鋼帯の長手方向、幅方向において不均一であるので、製品の鉄損がコイル内において大きく変動する。
よって、熱延鋼帯の通板性を確保しつつ、製品において良好な磁束密度と鉄損を両立する優れた磁気特性を達成する熱延鋼帯を得ることが困難となる。
(2)式と(3)式を満足するための具体的手段としては、例えば、仕上熱延機に低速でシートバーを噛み込ませる段階から、圧延速度を増速するに従い、従来よりもスタンド間の冷却を従来よりもより細かく制御すればよい。これには、鋼帯幅方向、鋼帯の表裏の冷却量を個別に制御する技術を適用すればよい。そのほか、通板速度に応じて各スタンドの圧下率を1スラブの圧延中に可変とし、熱間圧延の歪速度を鋼板全長にわたり可能な限り均一とし、注水制御と合わせて加工発熱を利用して鋼帯長手方向および幅方向全体にわたり均熱化する技術を適用してもよい。
また、最終スタンド後面のROT(Run Out Table)を熱延鋼帯が通過する際にも、従来技術のように区間ごとに全幅の注水量を均一に変化させるだけにとどまらず、最終スタンドからROT(Run Out Table)に至るまで、もしくはROT(Run Out Table)内において鋼帯の幅方向および長手方向の温度を二次元的にきめ細かく測定し、鋼板の長手方向ばかりでなく、幅方向の注水量を1本のスラブを圧延する間にきめ細かくフィードバック制御する技術を適用すればよい。
加えて、異なる冷却方法を同一の1本のスラブから圧延されるコイルに対して1本のROT(Run Out Table)において混在させてΔCTを可能な限り抑制すればよい。
さらに、表面温度を二次元的に測定した結果から、フィードバック制御により計算機により伝熱方程式を解くことによりオンラインでフィードバック冷却を行い、ΔCTを出来るだけ小さくしてもよい。
次に、上記熱間圧延により得られた熱延鋼帯に必要に応じて熱延板焼鈍または自己焼鈍を施す。熱延板焼鈍または自己焼鈍を行うことにより、無方向性電磁鋼板の磁気特性が向上する。
自己焼鈍は、高温で巻き取った熱延コイルをその保有熱により、焼鈍温度800℃以上900℃以下、焼鈍時間5分以上15分未満の条件で自己焼鈍を行う。その後、冷却速度5℃/s以上で400℃以下まで冷却する。
自己焼鈍温度が800℃未満であると本発明が目的とする自己焼鈍中の結晶粒成長が十分に得られなくなるので800℃以上に定める。また、自己焼鈍温度が900℃超であると、鋼板表面の酸化が過度に進行しやすくなり酸洗性に課題が生じるので900℃以下に定める。
自己焼鈍時間は精密な制御熱延と組み合わせて行うので従来の自己焼鈍よりも短時間でよい。発明者らの検討によれば、本発明の粒度分布を維持しながら自己焼鈍を行うのであれば、その焼鈍時間は最低5分は必要であり、15分以上となると、その磁気特性に対する効果が飽和するので5分以上15分未満が好ましい。さらに、本発明の条件を適切に管理することでより好ましい自己焼鈍時間は5分以上10分未満がより好ましい。
自己焼鈍後の熱延コイルは、鋼板表面の酸化を防止するために速やかに冷却を施す。その冷却速度はコイル内のどの部位においても自己焼鈍保定温度から、鋼板表面の酸化がほとんど発生しない400℃までの平均冷却速度を5℃/s以上とする。
一方、熱延板焼鈍は、一旦巻き取った熱延コイルに対して、加熱速度30℃/s以下で焼鈍温度800℃以上900℃以下まで加熱し、加熱時間を含めた焼鈍時間1分以上10分未満の条件で焼鈍を行う。その後、冷却速度20℃/s以下で400℃以下まで冷却する。
熱延板焼鈍温度が800℃未満であると本発明が目的とする熱延板焼鈍中の結晶粒成長が十分に得られなくなるので800℃以上に定める。また、熱延板焼鈍温度が900℃超であると、鋼板表面の酸化が過度に進行しやすくなり酸洗性に課題が生じるので900℃以下に定める。
熱延板焼鈍時間は精密な制御熱延と組み合わせて行うので従来の熱延板焼鈍よりも短時間でよい。発明者らの検討によれば、本発明の粒度分布を維持しながら熱延板焼鈍を行うのであれば、その焼鈍時間は最低1分は必要であり、10分以上となると、その磁気特性に対する効果が飽和するので1分以上10分未満が好ましい。さらに、本発明の条件を適切に管理することでより好ましい熱延板焼鈍時間は5分以上10分未満がより好ましい。
熱延板焼鈍後の熱延コイルは、鋼板表面の酸化を防止するために速やかに冷却を施す。その冷却速度はコイル内のどの部位においても自己焼鈍保定温度から、鋼板表面の酸化がほとんど発生しない400℃までの平均冷却速度を20℃/s以下とする。
次に、冷間圧延を施し、鋼板を所定の板厚に仕上げる。冷間圧延を実施することで、圧延方向に伸びた繊維状のα相を有する組織とすることができる。冷間圧延までは特段の制限を設けない。
そして、冷間圧延により得られた冷間圧延鋼板を所定の温度域まで昇温させ、仕上焼鈍を行う。この仕上焼鈍の昇温時に、700℃から最高温度までの平均加熱速度を20℃/s以上、1000℃/s以下、さらに好ましくは100℃/s以上、1000℃/s以下とし、最高温度での保定時間を1秒以上60秒以下とする。1秒以下では焼鈍効果が十分に得られず、60秒以上となると、生産性が劣りコスト増となるため、1秒以上60秒以下、さらに好ましくは15秒以上30秒以上である。本発明の仕上焼鈍においては、最高温度は700℃以上必要である。700℃未満であると、再結晶が十分に進行せず、目的とする優れた磁気特性が得られないからである。
最高温度は、αγ変態を有する成分の鋼の場合は、Ac1点以下かつ1050℃以下とする。Ac1点超となると、最高温度で存在するγ相が降温時にα相へ変態する際に、結晶組織が細粒となり、鉄損が増加するため磁気特性が劣るからである。また、1050℃超であると、加熱コスト増および鋼板表面の過度の酸化で鉄損が悪化する。以上の理由から、αγ変態を有する成分の鋼は最高温度はAc1点以下かつ1050℃以下とする。
一方、αγ変態を有しない成分の鋼の場合は、仕上焼鈍の最高温度は1050℃以下とする。1050℃超となると、温度上昇の効果が飽和するとともに、加熱に必要とする熱エネルギーのコストが増加し、焼鈍時に鋼板表面の酸化が過度に進行して鉄損が増大し、磁気特性が劣るからである。このため、αγ変態を有しない成分の鋼においては仕上焼鈍の上限を1050℃以下とする。また、室温から700℃までの平均加熱速度は、例えば50℃/s以下とすることが加熱時の鋼板の変形を防止し、鋼板の形状を良好とするために好ましい。
上記の製造範囲で得られた熱延鋼帯の特徴を調査した結果、結晶個数の結晶粒度との関係において特徴的な分布を示すことが判明した。
熱間圧延の仕上圧延温度および巻取温度の変動を抑制することは仕上圧延中の析出物の形成挙動を制御する効果があり、鋼板全体にわたり均一なサイズと個数の析出物分布を得ることが可能となる。これはとりもなおさず、仕上圧延中から冷却過程を経てコイルに巻取り、自己焼鈍または熱延板焼鈍を施すまでの一連のプロセスにおける再結晶および粒成長に影響を与え、結晶粒度個数率分布が変化する。
すなわち、連続鋳片もしくは分塊した鋼塊を粗圧延したシートバーを仕上熱延機に噛み込む時点から最終スタンド通過までの各パス及びパス間の温度制御を精密に行うことによって、板全体にわたり温度履歴の管理が精密になる。あわせて、仕上圧延温度を低めることで金属組織内の各種元素の拡散速度を抑制することで、析出物および結晶粒の成長を統合的に制御する。
これにより、圧延時の加工により導入された転移等の格子欠陥の形成と圧延中のその消滅を従来利術よりも精密に制御できる。結果として、本発明では、格子欠陥に選択的に析出しやすい固溶元素が鋼板内で均一に析出するようになる。
また、仕上圧延から自己焼鈍までの温度履歴管理が精密となるので、析出物においては、その様々な機構の拡散現象に基づく析出物自身のオストワルド成長や複合析出の速度を鋼板全体で均一化でき、母相組織の金属組織においては結晶粒成長の速度を鋼板全体にわたって均一化できる。
結晶粒成長においては、結晶粒の表面エネルギーを減少させる結晶粒成長と、粒界をピニングしてその粒成長を妨げる析出物や介在物との相互作用により最終的な自己焼鈍(または熱延板焼鈍)後の熱延鋼板の結晶粒の形態が決まるのであるが、本発明に定める規定により従来の技術よりも精密に制御が可能となる。結果として、鋼板全体において異常粒成長を抑制し、均一な正常粒成長を行わせることが可能となる。
これにより、熱延鋼帯の圧延方向と鋼帯の板面垂直方向を含む断面における結晶粒径の粒度分布のグラフを、粒径をμmにて測定して10を基底値とする対数表示とする片対数グラフで表すと、結晶粒の円相当直径は、粒度分布の個数率が結晶粒度の小さい側に偏る結果、図1(a)のように、本発明の粒度分布のグラフが、片対数グラフにおける分布の中心値よりも左よりとなる。
これに対して、従来の高温仕上げ高温巻取りの思想に基づく自己焼鈍技術においては、仕上圧延プロセスから冷却、巻取り、自己焼鈍または熱延板焼鈍に至る一連の過程の温度を高めた結果、熱延仕上げ温度および巻取り温度の変動が大きくなる傾向があり、自己焼鈍または熱延板焼鈍中に異常粒成長が発生しやすくなる課題がある。
その理由は、温度管理が精密でない結果、析出物の鋼板内でのサイズや個数の存在形態および自己焼鈍開始時の結晶粒径が鋼板内において大きくばらつくこととなり、自己焼鈍または熱延板焼鈍中に析出物が急成長した箇所では結晶粒成長を抑制するドラッグ効果が急速に低下するため、当該箇所で異常粒成長が発生する。
異常粒成長が発生すると、μm単位で測定した円相当直径を対数で横軸に取った粒径の個数分布は、粗大な結晶粒が増加し、著しい場合は結晶組織全体が異常粒に覆われる結果、図1(b)に示すように、グラフのピークは右寄りとなる。
また、粒度分布をμm単位の円相当平均粒径で計算し、これを対数としてグラフとした際に、グラフの最大値が右寄りになる場合に特徴的な結晶分布が生じる。これは、グラフ右よりの最大値付近に粒度分布が集まり、粒度分布はグラフの最大値を越えると急激に減少する挙動を示すものとなる。
これは、横軸が対数であるので横軸の絶対値が大きくなるほど横軸が示す結晶粒の円相当平均粒径は指数関数的に増加し、粒度が指数関数的に増大した部分に結晶粒度分布が集中することを意味している。
これを実際の金属組織の観察結果と対比させて説明すると、粗大に異常粒成長した結晶粒の個数分布が結晶粒全体に占める割合が高いことを示し、異常粒成長が発生したことを意味している。
逆に、グラフが左寄りになる本発明の場合の特徴は、個数分布が存在する横軸の最大値がグラフが右寄りになる場合よりも小さいという特徴がある。
すなわち、結晶組織において粗大な結晶粒そのものが左よりのグラフよりも少ないことになる。これは、異常粒成長と判断される粗大粒が少なく、円相当直径の個数率が結晶粒の小さい側に集中していることを示す。
このような場合の金属組織においては、熱延板の結晶粒成長において異常粒成長が発生しておらず、正常粒成長が進行したことを示すものとなる。
本発明によれば、磁気特性を向上させるために、コイルを巻き取って自己焼鈍または熱延板焼鈍を施す制御熱延により冷延前に結晶粒を粗大化させた場合でも、異常粒成長が発生しないので、焼鈍後の酸洗ラインおよび冷間圧延ラインの通板性を改善できる。また、最終製品となる電磁鋼板の表面の性状を改善し、積層して使用した場合の占積率を向上させ、電機部材の磁気効率を向上させることが可能となる。
また、異常粒成長は鋼帯全長のごく局所でしか発生しないため、従来は熱延鋼帯中に異常成長粒が存在しているかどうかは鋼帯全長にわたり多くのサンプルを採取して組織観察を実施する必要があった。本発明では、熱延鋼帯の結晶組織制御技術の向上により、焼鈍後の熱延鋼板の結晶粒度分布を測定することにより、熱延鋼板の通板性を評価することが可能であるため、生産管理上のメリットも大きい。
さらに、熱延鋼帯全長にわたり析出物の分布が均一化するため、冷延及び仕上焼鈍後の最終製品においても結晶粒径は比較的均等に成長して整粒組織となり、鋼帯全長にわたって安定した磁気特性を得ることができる。
また焼鈍を行うにあたり、好ましからざる局所的な温度変動に起因する異常粒成長の懸念がなくなるため、仕上熱延温度の平均値を高めて従来の自己焼鈍または熱延板焼鈍よりも短時間の焼鈍条件で同等の磁気特性を得ることや、長時間かつ高温の自己焼鈍または熱延板焼鈍を行うことで粒成長を促進させて、顕著に優れた磁気特性を得ることが可能となる。
(実施例1)
本発明と比較例の冷間圧延前の結晶粒度分布を測定した。
表1に示す成分の鋼からなるスラブを、1250℃で1時間加熱し、表2に示す熱間仕上温度(FT)で板厚2.3mmまで熱間仕上圧延を行い、その後、表2に示す巻取温度(CT)で巻き取った。
なお、熱延板6は仕上げ温度が高かったため、ROT(Run out Table)における注水を強化したが、巻取り温度CTは890℃となった。
熱間仕上温度の平均値(FT)及び巻取温度の平均値(CT)と、熱間仕上温度及び巻取温度のぞれぞれの変動幅ΔFTおよびΔCTを表2にあわせて示した。
熱間仕上温度の平均値FT(℃)は、熱間仕上圧延直後の鋼帯の長手方向の温度分布の平均値とした。また、熱間仕上温度の変動ΔFT(℃)は、熱間仕上圧延直後の鋼帯の長手方向の温度分布の最大値と最小値の差とした。鋼帯の長手方向の温度分布は、仕上げ圧延直後の鋼帯の幅方向中央において測定した。
また、巻取温度の平均値CT(℃)は、巻取り直前の鋼帯の長手方向の温度分布の平均値とした。また、巻取温度の変動ΔCT(℃)は、巻取り直前の鋼帯の長手方向の温度分布の最大値と最小値の差とした。鋼帯の長手方向の温度分布は、巻取り直前の鋼帯の幅方向中央において測定した。
その後、熱延コイルをその保有熱により、焼鈍温度830℃、焼鈍時間(自己焼鈍時間(SA時間))を5、10、60分とする条件で自己焼鈍を行い、その後、冷却速度20℃/s以上で100℃以下まで冷却した。
Figure 0006620522
そして、JIS C2550にて規定された方法で繰返し曲げ試験を行った。往復5回以上においてリバース圧延可能、往復10回以上でタンデム圧延可能と判定した。結果を表2に示す。なお、表2に示されたΔFTおよびΔCTはいずれも式2および式3を満たしている。
Figure 0006620522
また、表2に示す本発明例と比較例の冷間圧延前の結晶粒度分布を、本発明で定めた方法で円相当直径の個数率を測定し、ヒストグラムを作成し、円相当直径のμmの値を底を10とするlogの値を横軸に取り、縦軸に個数率を取りプロットして得た。その結果を図2および図3に示す。また、図2及び図3におけるデータを表3に示し、発明例及び比較例の磁気特性を表4に示す。
なお、測定個数は最低400個以上を測定することとした。これは、結晶粒が粗大であるため、観察視野の偏りによる測定誤差を防ぐためである。さらに好ましくは、700個以上、さらに好ましくは1000個以上の個数を測定して円相当直径の平均値を求めることがより好ましい。
図2に示すように、本発明例では、個数率が分布するのに対応した横軸の範囲の中間値よりも、個数率の最大値のピークの横軸の値が小さかったのに対し、繰返し曲げ試験結果の劣った比較例では個数率の最大値のピークの横軸の値が中間値よりも大きいことが判明した。
この機構については、粒度分布の広がりを表す横軸の広がりが大きくなり、相対的に個数率が分布する範囲が広がり、鋼板の結晶粒に異常粒が混粒していることが原因ではないかと推察している。
Figure 0006620522
Figure 0006620522
(実施例2)
本発明と比較例の冷間圧延前の結晶粒度分布を測定した。
表5に示す成分の鋼からなるスラブを、1100℃で1時間加熱し、熱間仕上温度の平均値FTと巻取温度の平均値CTを変化させ、10分間の自己焼鈍を行った。表6に仕上熱延の際のFT、CT、ΔFT、ΔCTと、JIS C2550により行った繰返し曲げ試験の結果を示す。
リバース圧延機での通板には往復5回以上の繰り返し曲げに耐えることが必要であり、タンデム圧延機での通板には往復10回以上の繰返し曲げに合格することが必要である。表6より、ΔFTとΔCTの範囲が本発明で定めた条件を満たす場合に、繰返し曲げ試験の結果が優れており、冷延の通板が可能であることがわかる。
Figure 0006620522
Figure 0006620522
(実施例3)
本発明と比較例の冷間圧延前の結晶粒度分布を測定した。
表7に示す成分の鋼からなるスラブを、1200℃で1時間加熱し、熱間圧延仕上温度(FT)を950℃にて板厚2.3mmまで熱間仕上圧延を行い、その後、巻取温度(CT)830℃で巻き取った。
熱間仕上温度の平均値(FT)及び巻取温度の平均値(CT)と、熱間仕上温度及び巻取温度のぞれぞれの変動幅ΔFTおよびΔCTはそれぞれ98℃、55℃であった。この仕上熱延条件の場合、式2および式3より求まるΔFTおよびΔCTの上限はそれぞれ147℃、60℃であり、式2及び式3の条件を満たした。
比較例として、熱間仕上温度の平均値(FT)1030℃にて板厚2.3mmまで熱間仕上圧延を行い、その後、巻取温度の平均値(CT)830℃で巻き取った。比較例の場合、熱間仕上げ温度及び巻取温度のそれぞれの変動幅ΔFTおよびΔCTは120℃、50℃であり、この仕上焼鈍条件の場合、式2および式3より求まるΔFTおよびΔCTの上限である100℃および39℃を超えており、発明の範囲外であった。
さらに比較例として、同じ成分で自己焼鈍を行わない、熱延仕上温度の平均値FT860℃、巻取温度の平均値CT700℃の非自己焼鈍材を仕上熱延で製造した。非自己焼鈍材の熱間仕上温度及び巻取温度のそれぞれの変動幅ΔFTおよびΔCTは110℃、60℃であり、ΔFTおよびΔCTの上限は式2および式3よりそれぞれの200℃、50℃と導出されるので、非自己焼鈍材のΔCTが本発明の範囲外であり、非自己焼鈍材の仕上熱延条件は本発明の定める仕上熱延条件を満たさない。
その後、自己焼鈍材は熱延コイルをその保有熱により、焼鈍温度830℃、焼鈍時間(自己焼鈍時間)を5、10、60分とする条件で自己焼鈍を行い、その後、冷却速度10℃/s以上で200℃以下まで冷却した。非自己焼鈍材は自己焼鈍を行わず後工程を施した。
Figure 0006620522
その後、酸洗してから板厚0.5mmになるまで冷間圧延を行い、窒素90%、水素10%、露点−40℃の条件で仕上焼鈍温度800℃で30秒均熱し、歪取焼鈍を水素100%露点−40℃の雰囲気中で温度750℃、保持時間2時間の条件で行った。
なお、通板性を改善するため、熱延仕上温度1030℃材は冷間圧延前に熱延コイルを90℃の熱水中に60分以上つけてコイル全体を70℃以上に暖めた後、ワークロール径110mmのリバース圧延機で冷間圧延を行った。このようにして無方向性電磁鋼板を製造した。
得られた電磁鋼板について、磁束密度と鉄損を測定した。結果を図4及び図5に示す。
図4および図5に示すように、本発明では自己焼鈍時間が15分未満である10分の短時間で磁束密度の向上および鉄損低減が60分の自己焼鈍を施した場合と同じ効果が得られることがわかる。また、本発明の規定する範囲を外れた仕上熱延条件であった自己焼鈍材および、非自己焼鈍材と比較しても磁束密度B50が高く、鉄損W15/50が低く、より優れた磁気特性を示していることがわかる。
(実施例4)
本発明による熱延鋼帯と比較材を出発材とする無方向性電磁鋼板について磁気特性を比較した。
表8に示す成分の鋼A〜Sのスラブを1100℃1時間加熱し、熱延は925℃にて仕上げ、巻取り温度800℃で巻取り、これを1時間自己焼鈍に供した。ΔFTおよびΔCTは式2および式3を満たす95℃(上限162℃)、51℃(上限59℃)に制御して仕上熱延を行った。
JIS C2550に定められた方法で測定したエプスタイン試料の磁気測定結果を表8に示す。
本発明で規定した範囲に成分がおさまる鋼は、比較例よりも優れた磁気特性を示していることがわかる。
Figure 0006620522

Claims (7)

  1. 質量%で、
    C:0.003%以下、
    Si:0.1%〜4.5%、
    Mn:0.1%〜1.5%、
    N:0.003%以下、
    S:0.004%以下を含有し、残部がFe及び不純物よりなる成分を有する熱延鋼帯であり、
    前記熱延鋼帯の圧延方向と熱延鋼帯の板面垂直方向を含む断面における結晶粒の円相当粒径(μm)を測定し、これを常用対数で表示した結晶粒度分布において、最大粒度と最小粒度の中間値mと、結晶粒数の個数率が最大となる粒度nの間に、以下の関係式(1)が成り立つとともに、前記中間値mは1.287以上であることを特徴とする無方向性電磁鋼板用の熱延鋼帯。
    n<m …(1)
  2. 更に、質量%で、Al:0.1〜2.5%を含有することを特徴とする請求項1記載の無方向性電磁鋼板用の熱延鋼帯。
  3. 更に、質量%で、Sn:0.05〜0.2%を含有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の無方向性電磁鋼板用の熱延鋼帯。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の化学成分を有する鋼を、850〜950℃の熱延仕上げ温度で熱間仕上圧延し、400〜950℃の巻取温度で巻取って請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の熱延鋼帯からなる熱延コイルとし、
    この際、熱延鋼帯全長にわたる熱延仕上温度の平均値FT(℃)と熱延鋼帯全長における熱延仕上温度の変動ΔFT(℃)が(2)式を満足させるとともに、
    熱延鋼帯全長にわたる巻取温度の平均値CT(℃)と熱延鋼帯全長における巻取温度の変動ΔCT(℃)が(3)式を満足させることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
    ΔFT≦−0.589×FT+707 …(2)
    ΔCT≦−0.259×(FT−CT)+91 …(3)
  5. 前記巻取り温度が700〜950℃である請求項4に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
  6. 前記熱延コイルに対して、加熱速度30℃/s以下、焼鈍温度800℃以上900℃以下、加熱時間を含めた焼鈍時間1分以上10分未満の条件で熱延板焼鈍を行い、その後、冷却速度20℃/s以下で400℃以下まで冷却することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
  7. 前記熱延コイルにその保有熱により、焼鈍温度800℃以上900℃以下、焼鈍時間5分以上15分未満の条件で自己焼鈍を行い、その後、冷却速度5℃/s以上で400℃以下まで冷却することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
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