JP6066023B1 - 熱延鋼板、フルハード冷延鋼板及び熱延鋼板の製造方法 - Google Patents

熱延鋼板、フルハード冷延鋼板及び熱延鋼板の製造方法 Download PDF

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Abstract

高強度であるとともに、板厚変動の小さいフルハード冷延鋼板を製造するための熱延鋼板、該熱延鋼板の製造方法、該熱延鋼板を用いて製造してなるフルハード冷延鋼板を提供する。質量%で、C:0.06%以上0.18%以下、Si:0.3%未満、Mn:1.8%以上3.2%以下、P:0.03%以下、S:0.005%以下、Al:0.08%以下、N:0.0010%以上0.0070%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成と、フェライト粒の平均アスペクト比が3.0以上である鋼組織と、を有する熱延鋼板とする。

Description

本発明は、熱延鋼板、熱延鋼板の製造方法及び該熱延鋼板を用いて製造してなるフルハード冷延鋼板に関する。
近年、地球環境保全の観点から、CO排出量の規制を目的として自動車業界全体で自動車の燃費改善が指向されている。自動車の燃費改善には、使用部品の薄肉化による自動車の軽量化が最も有効であるため、近年、自動車部品用素材としての高強度鋼板の使用量が増加しつつある。一方、一般に鋼板の高強度化にともない冷間圧延時の板厚変動は大きくなる。これにより、ライン内での板破断の危険性が高まり生産性が著しく低下する。さらに、自動車部品への成形時には、板厚変動により形状凍結性が低下し、型かじりにより金型が損傷する。そのため、自動車部品等を軽量化するうえで、高強度に加え良好な形状性を兼ね備えた冷延鋼板が求められている。ここで、良好な形状性とは板厚変動が小さいことを意味する。
以上から、冷間圧延後での良好な形状性と高強度とを兼備した鋼板開発が必須であり、これまでにも形状を良好なものとする高強度冷延鋼板および溶融めっき鋼板について、様々な技術が提案されている。
例えば、特許文献1では、圧延機の板厚制御方法において、圧延終了後の測定板厚と目標板厚との偏差を用いて板厚制御を行うに際して、板厚が公差内にある場合の制御ゲインを、板厚が公差外にある場合の制御ゲインよりも小さくすることを特徴とする圧延機の板厚制御方法を提案している。
特許文献2では、鋼帯が、質量%で、C:0.05〜0.22%、Si:0.3〜2.0%、Mn:1.3〜3.2%、P:0.025%以下、S:0.015%以下、Al:0.08%以下を含有し、熱延コイルの尾端から少なくとも200m以下の範囲が、ベイナイト主体の組織であって、組織中のパーライト分率が15%以下であり、パーライト分率の長手方向の変動(最大値−最小値)が10%以下であることを特徴とする、冷間圧延後の板厚変動が小さい冷延高張力鋼板用熱延鋼帯が得られるとしている。
特開2012−110939号公報 特開2007−111708号公報
しかしながら、特許文献1で提案された技術ではコイルの先端部分の板厚変動を抑制することは極めて困難であり、鋼板長手方向全面にわたって板厚変動の小さいコイルを製造することはできない。
また、特許文献2で提案された技術では、特許文献2に記載の(1)式で定めるLの値を制御するには、強制冷却速度および変態発熱の影響を加味した高精度管理が必要となる。しかし、ランアウトテーブル上では温度制御が困難であるため実施は難しく、特許文献2の技術によっても、高強度と良好な形状性の両立は困難である。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、高強度であるとともに、板厚変動の小さいフルハード冷延鋼板を製造するための熱延鋼板、該熱延鋼板の製造方法、該熱延鋼板を用いて製造してなるフルハード冷延鋼板を提供することにある。
本発明者らは、板厚変動が小さいフルハード冷延鋼板を得るための要件について鋭意検討した。その結果、熱延鋼板の鋼組織におけるフェライト粒の形状を制御することで鋼板長手方向に対し機械的性質の変動が小さい鋼板が得られ、それにより冷間圧延時に安定した冷間圧延率が得られることが明らかとなった。
また、フェライト粒の平均アスペクト比上昇により、冷間圧延時の鋼板面内での加工硬化の変動が小さくなり、冷間圧延による結晶粒の回転がさらに小さくなり、形状を低下させるボイド生成を抑制できることがわかった。
また、フェライト粒の形状は、特に熱延工程の粗圧延および仕上げ圧延の圧延方法により大きく異なるため、熱延工程を厳密に管理する必要があることが判明した。そして、フェライト粒の形状と熱延工程条件との関係を精査した結果、再結晶が進行していない加工オーステナイトの加工度の増大とともに、そこから変態したフェライト粒の平均アスペクト比は大きくなることを知見した。
本発明は上記の知見に基づき完成されたものであり、その要旨は次のとおりである。
[1]質量%で、C:0.06%以上0.18%以下、Si:0.3%未満、Mn:1.8%以上3.2%以下、P:0.03%以下、S:0.005%以下、Al:0.08%以下、N:0.0010%以上0.0070%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成と、フェライト粒の平均アスペクト比が3.0以上である鋼組織と、を有する熱延鋼板。
[2]前記成分組成は、質量%で、さらに、Ti:0.005%以上0.060%以下、V:0.001%以上0.3%以下、W:0.001%以上0.2%以下、Hf:0.001%以上0.3%以下、Nb:0.001%以上0.08%以下、Cu:0.001%以上0.1%以下の1種または2種以上を含有する[1]に記載の熱延鋼板。
[3]前記成分組成は、質量%で、さらに、Cr:0.001%以上0.8%以下、Ni:0.001%以上0.5%以下、Mo:0.001%以上0.5%以下、B:0.0001%以上0.0030%以下の1種または2種以上を含有する[1]又は[2]に記載の熱延鋼板。
[4]前記成分組成は、質量%で、さらに、REM、Mg、Ca、Sbの1種または2種以上を合計で0.0002%以上0.01%以下含有する[1]から[3]のいずれかに記載の熱延鋼板。
[5]下記の方法で測定された降伏強さの最大値と最小値との差が35MPa以下であり、下記の方法で測定された加工硬化指数の最大値と最小値との差が0.015以下である[1]から[4]のいずれかに記載の熱延鋼板。
(測定方法)
長さ1000mの熱延鋼板から長手方向50m毎に幅方向中央からサンプルを20個採取し、この20個のサンプルの降伏強さ及び加工硬化指数を測定する。
[6][1]から[5]のいずれかに記載の熱延鋼板を冷間圧延してなり、
下記の方法で測定された板厚の最大値と最小値との差が50μm以下であり、該板厚の標準偏差が20μm以下であるフルハード冷延鋼板。
(測定方法)
長さ1000mのフルハード冷延鋼板から長手方向50m毎に幅方向中央からサンプルを20個採取し、この20個のサンプルの板厚を測定する。
[7][1]から[4]のいずれかに記載の成分組成を有する鋼素材を、1000℃以上1300℃以下で加熱し、粗圧延開始から完了までの圧下率を80%以上92%以下、粗圧延の圧延間隔時間を5秒以上30秒以下とする粗圧延を施し、仕上げ圧延の最終パスから数えて4パス前の圧下から最終パスの間までの時間および圧下率をそれぞれ5秒以下および40%以上、仕上げ圧延温度を800℃以上920℃以下とする仕上げ圧延を施し、仕上げ圧延完了から3.0秒以内に平均冷却速度が30℃/s以上の強制冷却を開始し、下記の方法で測定された巻取温度を500℃以上720℃以下、該巻取温度の標準偏差を30℃以内として巻き取る熱延鋼板の製造方法。
(測定方法)
長さ1000mの熱延鋼板から長手方向50m毎、幅方向中央の20箇所の測定箇所で巻取温度を測定する。
本発明の熱延鋼板を用いると、自動車の構造部材等の使途に好適な、良好な形状性及び高強度を有するフルハード冷延鋼板が得られる。本発明によれば、自動車部品の軽量化やその信頼性を向上させることができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
<熱延鋼板>
本発明の熱延鋼板は、特定の成分組成と特定の鋼組織を有する。以下、本発明の熱延鋼板について、成分組成、鋼組織の順で説明する。
成分組成
本発明の熱延鋼板は、質量%で、C:0.06%以上0.18%以下、Si:0.3%未満、Mn:1.8%以上3.2%以下、P:0.03%以下、S:0.005%以下、Al:0.08%以下、N:0.0010%以上0.0070%以下を含有する。以下の成分組成の説明において、成分の含有量を表す「%」は「質量%」を意味する。
C:0.06%以上0.18%以下
Cは熱延での再結晶を抑制する効果がある。この効果を得るには、Cを0.06%以上含有する必要がある。一方で、C含有量が0.18%を上回ると、過度のパーライトが生成し、マルテンサイト硬度が上昇するため、鋼板長手方向の機械的性質が変動する要因となる。したがって、C含有量は0.06%以上0.18%以下とする。下限について望ましいC含有量は0.07%以上であり、下限について望ましいC含有量は0.17%以下である。
Si:0.3%未満
Siはフェライトを生成させやすくする元素であり、オーステナイトからフェライトへの変態温度を上昇させる効果がある。0.3%以上のSiを含有すると、仕上げ圧延後の冷却過程の高温域でフェライト変態が開始する。高温域で生成したフェライト粒は等軸に近く冷間圧延時の形状を悪化させる。そのため、Si含有量は0.3%未満とした。望ましいSi含有量は0.25%以下である。下限は特に定めないが、0.01%のSiは不可避的に鋼中に混入する場合がある。
Mn:1.8%以上3.2%以下
Mnは、オーステナイトからフェライトへの変態の変態点を低下させ、等軸のフェライト粒の生成を抑制する。また、Mnは熱延工程での再結晶を阻害するため、加工オーステナイトが得られやすくなる。そのためには、Mnを1.8%以上含有する必要がある。一方で、Mn含有量が3.2%を上回ると巻取後マルテンサイトが生成され、巻取中の鋼板長手方向の冷却速度の違いに起因するマルテンサイト分率の変動が不可避となる。以上から、Mn含有量の範囲は1.8%以上3.2%以下とした。下限について好ましいMn含有量は1.9%以上であり、上限について好ましいMn含有量は3.0%以下である。
P:0.03%以下
Pは、粒界に偏析することで冷間圧延時に偏析に起因したボイドを生成させる。ボイド生成により冷間圧延時の形状が悪化するため、P含有量は極力低減することが好ましい。本発明ではP含有量は0.03%まで許容できる。好ましいP含有量は0.02%以下である。P含有量は極力低減する方が望ましいが、製造上、0.001%は不可避的に混入する場合がある。
S:0.005%以下
Sは、鋼中でMnSなどの介在物として存在する。この介在物は、マトリックスと剛性が著しく異なるため、冷間圧延時にマトリックスとMnSとの界面でボイドが生成し、熱延鋼板を冷間圧延して得られるフルハード冷延鋼板の板厚変動が大きくなる。したがって、本発明では、S含有量は極力低減することが好ましく、0.005%以下とする。好ましいS含有量は0.003%以下である。S含有量は極力低減する方が望ましいが、製造上、0.0001%は不可避的に混入する場合がある。
Al:0.08%以下
Alを製鋼の段階で脱酸剤として添加する場合、Alを0.02%以上含有することが好ましい。一方で、Al含有量が0.08%を超えるとアルミナなどの介在物の影響で冷間圧延時にボイドが生成し、冷間圧延時の形状が悪化する。したがって、Al含有量は0.08%以下とする。好ましいAl含有量は0.07%以下である。
N:0.0010%以上0.0070%以下
Nは、Tiと結合しTi系窒化物として析出する。このTi系窒化物はオーステナイトの再結晶を阻害し加工オーステナイト生成に寄与する。この効果を得るには、少なくともNを0.0010%以上含有する必要がある。一方で、N含有量が0.0070%を上回ると上記効果が飽和するばかりか、Ti系窒化物により冷間圧延時にボイドが生成しフルハード冷延鋼板の厚み変動が大きくなる。下限について好ましいN含有量は0.0020%以上であり、上限について好ましいN含有量は0.0060%以下である。なお、Ti系窒化物を生成しなくても本発明の効果は得られるが、後述する含有量でTiを含有して、Ti系窒化物を生成させることが好ましい。
本発明の熱延鋼板の成分組成は、質量%で、さらに、Ti:0.005%以上0.060%以下、V:0.001%以上0.3%以下、W:0.001%以上0.2%以下、Hf:0.001%以上0.3%以下、Nb:0.001%以上0.08%以下、Cu:0.001%以上0.1%以下の1種または2種以上を任意成分として含有することができる。
Ti:0.005%以上0.060%以下
上記の通り、TiはNと結合し窒化物を生成する。この生成のためにTi含有量を0.005%以上とする必要がある。一方で、Ti含有量が0.060%を上回ると結合するN量が不足するため、窒化物による加工オーステナイト生成効果が得られなくなる。そのため、Ti含有量の範囲は0.005%以上0.060%以下とした。下限について好ましいTi含有量は0.010%以上であり、上限について好ましいN含有量は0.055%以下である。
V:0.001%以上0.3%以下、
Vは主に析出物として微細に分散するため、鋼板の高強度化に寄与する元素である。一方で、Vを過度に含有した場合は、スラブ加熱時にVが溶解せず粗大な炭化物として残存する、又は熱延巻取時に粗大に粒子成長し冷間圧延時にボイド生成の要因となる。そのため、上記効果をえるためには、V含有量は0.001%以上0.3%以下とする。
W:0.001%以上0.2%以下
Wは主に析出物として微細に分散するため、鋼板の高強度化に寄与する元素である。一方で、Wを過度に含有した場合は、スラブ加熱時にWが溶解せず粗大な炭化物として残存する、又は熱延巻取時に粗大に粒子成長し冷間圧延時にボイド生成の要因となる。そのため、上記効果を得るためには、W含有量は0.001%以上0.2%以下とする。
Hf:0.001%以上0.3%以下
Hfは主に析出物として微細に分散するため、鋼板の高強度化に寄与する元素である。一方で、Hfを過度に含有した場合は、スラブ加熱時にHfが溶解せず粗大な炭化物として残存する、又は熱延巻取時に粗大に粒子成長し、冷間圧延時にボイド生成の要因となる。そのため、上記効果を得るには、Hf含有量は0.001%以上0.3%以下とする。
Nb:0.001%以上0.08%以下
Nbは主に析出物として微細に分散するため、鋼板の高強度化に寄与する元素である。一方で、Nbを過度に含有した場合は、スラブ加熱時にNbが溶解せず粗大な炭化物として残存する、もしくは熱延巻取時に粗大に粒子成長し、冷間圧延時にボイド生成の要因となる。そのため、この効果を得るには、Nb含有量は0.001%以上0.08%以下とする。
Cu:0.001%以上0.1%以下
Cuは主に析出物として微細に分散するため、鋼板の高強度化に寄与する元素である。一方で、Cuを過度に含有した場合は、Cuに起因した欠陥発生の原因となる。本発明においては0.1%までは許容できる。以上の観点から、Cu含有量は0.001%以上0.1%以下とする。
本発明の熱延鋼板の成分組成は、質量%で、さらに、Cr:0.001%以上0.8%以下、Ni:0.001%以上0.5%以下、Mo:0.001%以上0.5%以下、B:0.0001%以上0.0030%以下の1種または2種以上を任意成分として含有することができる。
上記元素はオーステナイトからフェライトへの変態を抑制する効果がある元素であり、高温でのフェライト変態開始による等軸フェライト粒生成を抑えるのに寄与する。一方で、過度に添加すると巻取工程時にマルテンサイト変態が進行し、鋼板長手方向の冷却速度の違いに起因する鋼板の硬さ変動が生じ、冷間圧延時の形状が悪化する。そのため、Cr:0.001%以上0.8%以下、Ni:0.001%以上0.5%以下、Mo:0.001%以上0.5%以下、B:0.0001%以上0.0030%以下とした。
本発明の熱延鋼板の成分組成は、質量%で、さらに、REM、Mg、Ca、Sbの1種または2種以上を合計で0.0002%以上0.01%以下を任意成分として含有することができる。
REM(REM:原子番号57から71までのランタノイド元素)、MgおよびCaは、ベイナイト中に析出するセメンタイトを球状化させる。これにより、セメンタイト周りでの応力集中が低下するため、冷間圧延時でのボイド生成を抑制させることができる。また、Sbは脱炭や吸窒を抑制するため表層部の組織の異常化を抑制する効果があり、曲げ性の改善に寄与する。一方で、REM、Mg、Ca、Sbのいずれか1種または2種以上の合計含有量が0.01%を超えるとセメンタイトの形態変化の効果が飽和するうえ、延性に悪影響をもたらす。以上から、REM、Mg、Ca、Sbの1種または2種以上を合計で0.0002%以上0.01%以下とした。望ましくは、REM、Mg、Ca、Sbの1種または2種以上を合計で0.0005%以上0.005%以下である。
上記以外の成分は、Feおよび不可避的不純物である。不可避的不純物とは、製造中に不可避的に混入する成分以外に、所望の特性付与のために添加しなければならない成分であって、本発明の効果を害さないものも含む。また、上記任意成分の含有量が上記下限値未満の場合には、上記任意成分は不可避的不純物として含まれるとする。
鋼組織
本発明の熱延鋼板の鋼組織は、フェライト粒の平均アスペクト比が3.0以上であることを特徴とする。
フェライト粒の平均アスペクト比が3.0以上
フェライト相は軟質な組織であり、冷間圧延時には優先して変形する。本発明において、フェライト相よりも高硬度であるパーライト相、ベイナイト相およびマルテンサイト相といった第二相は不可避的に生成されるが、フェライト相におけるフェライト粒の平均アスペクト比が3.0以上の場合、フェライト相と第二相との硬度差に起因するボイド生成が抑制される。この原因として、フェライト粒の平均アスペクト比3.0以上の場合、フェライト粒の結晶回転が小さく、多くのすべり面が活動しないため、フェライト相の加工硬化が大きく、かつフェライト粒間の加工硬化の差異が小さくなることが考えられる。さらに、フェライト粒の平均アスペクト比の上昇にともない、第二相における結晶粒のアスペクト比も上昇し、かつ結晶粒が微細に分散するため、フェライト相と第二相とのひずみ勾配が小さくなる傾向がある。この傾向もフルハード冷延鋼板の形状改善に寄与している可能性がある。第二相の結晶粒のアスペクト比は2.0以上であることが好ましく、第二相の平均結晶粒径は5.0μm以下であることが好ましい。本発明で得られる上記フェライト粒の平均アスペクト比の好ましい上限は6.0である。また、上記フェライト粒の平均アスペクト比は5.1以上であってもよい。なお、上記の通り、本発明の鋼組織は、第一相であるフェライト相と、第二相であるパーライト相、ベイナイト相およびマルテンサイト相から構成される。本発明では、第一相であるフェライトの面積率は40%以上70%以下であり、第二相であるパーライト等の合計面積率は30%以上70%以下であることがフェライト相と第二相との硬度差に起因するボイド生成が抑制されるという理由で好ましい。また、下記の方法で測定されたフェライト相および第二相の面積率の標準偏差はそれぞれ10%以下に抑えることが望ましい。なお、平均アスペクト比の測定も下記の方法で行う。
(測定方法)
先ず、長さが約1000mの熱延鋼板から、鋼板長手方向に50m間隔で20個のサンプルを幅方向中央位置から採取する。次いで、各サンプルの観察視野数は10として、各視野で鋼組織を観察し、フェライト相の面積率の10視野における平均値、第二相の合計面積率の10視野における平均値を算出する。その後、20個のサンプルでのフェライト相の面積率の平均値、第二相の平均値を算出し、この平均値をフェライト相の面積率、マルテンサイト相の面積率とする。また、10視野×20サンプル(合計200個)の面積率の結果から標準偏差を算出する。
平均アスペクト比は次の方法で導出する。各サンプルにおける1視野での観察において、50〜100個のフェライト粒をランダムに選びこれらのフェライト粒のアスペクト比の平均値を導出する。次いで、1サンプル(10視野)での平均値を算出し、さらに、他の19個のサンプルでも同様に行い全体(20個)での平均値を算出し、この全体の平均値をフェライト粒の平均アスペクト比とする。
本発明ではフェライト粒の形状制御により、特性等の鋼板面内での変動を小さくしたことに特徴がある。具体的には、本発明の熱延鋼板は、下記の方法で測定された降伏強さの最大値と最小値との差が35MPa以下であることが好ましく、下記の方法で測定された加工硬化指数の最大値と最小値との差が0.015以下であることが好ましい。
(測定方法)
長さ1000mの熱延鋼板から長手方向50m毎に幅方向中央からサンプルを20個採取し、この20個のサンプルの降伏強さ及び加工硬化指数を測定する。
冷間圧延時の変形抵抗は、熱延鋼板の降伏強さおよび加工硬化指数により決定される。そのため、冷間圧延後の形状を良好なものとするには、鋼板長手方向に対する降伏強さおよび加工硬化指数の変動(上記測定における最大値と最小値の差)をそれぞれ35MPa以下および0.015以下とすることが好ましい。より好ましい降伏強さおよび加工硬化指数の変動は30MPa以下および0.012以下である。本発明の熱延鋼板の降伏強さは、オーステナイトの加工度、オーステナイトからフェライトへの変態の変態開始温度および巻取温度の影響を受けるため、各工程を後述するように制御すれば鋼板長手方向の降伏強さの変動が35MPa以下の熱延鋼板が得られる。鋼板長手方向の加工硬化指数の変動を0.015以下とするには、鋼板長手方向の降伏強さの変動を抑えたうえで、主にフェライト相の加工硬化を安定化させる必要があり、本発明ではフェライト粒の平均アスペクト比を3.0以上とする。
<熱延鋼板の製造方法>
本発明の熱延鋼板は、上記成分組成を有する鋼素材を、1000℃以上1300℃以下で加熱し、粗圧延開始から完了までの圧下率を80%以上92%以下、粗圧延の圧延間隔時間を5秒以上30秒以下とする粗圧延を施す。次に、仕上げ圧延の最終パスから数えて4パス前の圧下から最終パスの間までの時間および圧下率をそれぞれ5秒以下および40%以上、仕上げ圧延温度を800℃以上920℃以下とする仕上げ圧延を施す。次に、仕上げ圧延完了から3.0秒以内に平均冷却速度が30℃/s以上の強制冷却を開始し、下記の方法で測定された巻取温度を500℃以上720℃以下、該巻取温度の標準偏差を30℃以内として巻き取る方法で製造される。以下、各条件について説明する。
(測定方法)
長さ1000mの熱延鋼板から長手方向50m毎、幅方向中央の20箇所の測定箇所で巻取温度を測定する。
先ず、加熱対象となる鋼素材の製造方法について説明する。鋼素材を製造するための鋼の溶製方法は特に限定されず、転炉、電気炉等、公知の溶製方法を採用することができる。また、真空脱ガス炉にて2次精錬を行ってもよい。また、スラブ中の介在物分布状態を均質なものとするため、溶融状態にあるスラブ内部に電磁誘導撹拌処理を施すことが好ましい。
上記の如く得られた鋼素材に粗圧延および仕上げ圧延を施す本発明の製造方法においては、粗圧延に先立ち鋼素材を加熱して実質的に均質なオーステナイト相とする必要がある。また、粗大な介在物の生成を抑制するためには加熱温度の制御が重要となる。加熱温度が1000℃を下回ると仕上げ圧延温度が800℃以上で熱間圧延を完了させることができない。一方、加熱温度が1300℃を上回ると、オーステナイト相の均一化が十分なものの、スケールロスにより歩留まりが低下する。そのため、鋼素材の加熱温度は1000℃以上1300℃以下とする。望ましくは1050℃以上1270℃以下である。
上記加熱後、粗圧延開始から完了までの圧下率を80%以上92%以下、粗圧延の圧延間隔時間を5秒以上30秒以下とする粗圧延を施す。粗圧延工程ではオーステナイト粒を十分に再結晶させ、粒径が均一なオーステナイト相を得る必要がある。粒径が均一でなければ仕上げ圧延で結晶粒毎にオーステナイトの加工度が異なり、再結晶挙動に不均一が生じ、安定したオーステナイト相の加工度が得られなくなる。粗圧延の各パスでオーステナイト粒を十分に再結晶させる観点で、粗圧延での圧下率の合計は80%以上92%以下とし、粗圧延の圧延間隔時間を5秒以上30秒以下とした。粗圧延の間隔時間は、圧下を受けた部位が再び圧下されるまでに要する時間である。粗圧延での合計圧下率が80%未満もしくは粗圧延の圧延間隔時間が5秒未満の場合、オーステナイトの再結晶に要する駆動力が不足する、もしくは再結晶粒の粒成長する猶予がないため、十分に再結晶させることができなくなる。一方で、粗圧延での圧下率合計が92%を上回ると、仕上げ圧延で十分に加工することができなくなる。粗圧延の圧延間隔時間が30秒を上回ると、仕上げ圧延温度が800℃以上で仕上げ圧延を完了させることが困難となる。また、粗圧延の圧下回数(パス数)は、3回以上であることが望ましい。
上記粗圧延後に行う仕上げ圧延では、仕上げ圧延の最終パスから数えて4パス前の圧下から最終パスの間までの時間および圧下率がそれぞれ5秒以下および40%以上である。オーステナイトの加工度を制御するにあたり、最終パスから数えて4パス前から最終パスまでの4回の圧下がフェライト粒の形状を決定する。これは、加工温度および時間の関係から、上記4パス分がオーステナイトの未再結晶領域にあたるためである。オーステナイトの加工度を十分に得るには、該4パスでの合計圧下率を40%以上とする必要がある。一方で、上記合計圧下率が70%を上回ると熱延鋼板の形状が悪化することやパス間での板破断の恐れがあるため、70%以下とすることが好ましい。上記で得られた加工オーステナイトは時間の経過とともに、粒内の転位の回復などにより加工度が失われる。そのため、仕上げ圧延の最終パスから数えて4パス前の圧下から最終パスの間までは5秒以下で完了させる必要がある。
また、仕上げ圧延における、仕上げ圧延温度は800℃以上920℃以下である。仕上げ圧延温度が800℃を下回ると、仕上げ圧延中にフェライト変態が開始してフェライト粒が伸展された組織となるうえ、フェライト粒の平均アスペクト比が大きくなるため、冷間圧延時の板厚精度に悪影響をもたらす。一方、仕上げ圧延温度が920℃を上回ると加工したオーステナイトが急速に回復するため、所望の加工度が得られない。したがって、仕上げ圧延温度は800℃以上920℃以下とする。好ましくは820℃以上900℃以下である。
上記仕上げ圧延完了後、仕上げ圧延完了から3.0秒以内に平均冷却速度が30℃/s以上の強制冷却を開始する。仕上げ圧延完了から3.0秒以内に冷却が開始されなければ、オーステナイト粒内の転位が回復しアスペクト比の高いフェライト粒が得られなくなる。また、平均冷却速度が30℃/s未満で強制冷却した場合、高温でオーステナイトからフェライトへの変態が開始するため、等軸のフェライト粒が生成し、フルハード冷延鋼板の板厚変動が大きくなる。そのため、仕上げ圧延完了から強制冷却開始までは3.0秒以内とし、強制冷却による平均冷却速度は30℃/s以上とした。なお、平均冷却速度の上限は特に限定されないが板のばたつきを発生することなく安定した通板をするという理由で100℃/s以下が好ましい。
冷却した後、下記の方法で測定された巻取温度を500℃以上720℃以下、該巻取温度の標準偏差を30℃以内として巻き取る。
(測定方法)
長さ1000mの熱延鋼板から長手方向50m毎、幅方向中央の20箇所の測定箇所で巻取温度を測定する。
鋼板長手方向の巻取温度にばらつきが生じると、熱延鋼板の鋼組織が変動する。このため、上記ばらつきは、熱延鋼板の長手方向に対する機械的性質の変動の要因となる。この悪影響は巻取温度の上記標準偏差が30℃を上回ると顕在化するため、本発明では30℃以内とした。巻取温度が500℃を下回るとマルテンサイトが過度に生成され本発明で想定する所望の形状が得られなくなる。一方、720℃を上回ると等軸のフェライト粒が多くなるため、所望のフェライト結晶粒形状が得られなくなる。以上から、巻取温度の範囲を500℃以上720℃以下とした。好ましくは530℃以上680℃である。
<フルハード冷延鋼板>
本発明のフルハード冷延鋼板は、本発明の熱延鋼板を、必要に応じて酸洗の後、冷間圧延してなる。冷間圧延の条件は特に限定されず適宜設定すればよい。ここで、フルハード冷延鋼板とは、冷間圧延後に焼鈍処理を施さない方法で製造された冷延鋼板を意味する。
本発明のフルハード冷延鋼板は、本発明の熱延鋼板を用いて製造されるため、下記の方法で測定された板厚の最大値と最小値との差が50μm以下であり、該板厚の標準偏差が20μm以下である。
(測定方法)
長さ1000mのフルハード冷延鋼板から長手方向50m毎に幅方向中央からサンプルを20個採取し、この20個のサンプルの板厚を測定する。
表1に示す成分組成を有する肉厚250mmの鋼素材に、表2に示す熱延条件で熱延鋼板とし、該熱延鋼板を酸洗の後、表2に示す冷延条件でフルハード冷延鋼板とした。なお、温度は多重反射温度計で測定した鋼板表面温度を基準とした。上記により熱延鋼板もしくはフルハード冷延鋼板から試験片を採取し、以下の手法で評価した。
(i)組織観察像
各相の面積率は以下の手法により評価した。熱延鋼板から、コイル長手方向に対し50m間隔で鋼板幅方向中央からサンプルを採取した。圧延方向に平行な断面が観察面となるよう切り出し、板幅中心部を1%ナイタールで腐食現出し、走査型電子顕微鏡で2000倍に拡大して板厚1/4t部(鋼板表面から板厚方向に1/4tの位置(tは板厚))を10視野分撮影した。フェライト相は粒内に腐食痕やセメンタイトが観察されない形態を有する組織であり、ベイナイト相は粒内に腐食痕や大きな炭化物が認められる組織である。マルテンサイト相は粒内に炭化物が認められず、白いコントラストで観察される組織である。パーライト相はセメンタイトがラメラー状の形態で観察される組織である。ベイナイト相、マルテンサイト相、パーライト相を第二相組織として計上した。観察視野面積に対し、求める金属組織が占める面積を各金属組織の面積率とし、画像解析により、各相の面積率、面積率の標準偏差を求めた。また、上記画像解析に基づき、フェライト粒のアスペクト比も求めた。フェライト粒のアスペクト比は各フェライト粒の長軸方向の長さを短軸方向の長さで割った商の平均値を求めた。結果を表3に示した。
(ii)引張試験
得られた鋼板から圧延方向に対して垂直方向にJIS5号引張試験片を作製し、JIS Z 2241(2011)の規定に準拠した引張試験を5回行い、降伏強さおよび加工硬化指数(n値)を求めた。引張試験のクロスヘッドスピードは10mm/minとした。加工硬化指数はJIS Z 2253(1996)で定める方法に従って求められる値であり、真ひずみ域が0.02〜0.05から求めた。降伏強さの変動、n値の変動の結果を表3に示した。なお、降伏強さの変動、n値の変動は、長さ1000mの熱延鋼板から長手方向50m毎に幅方向中央からサンプルを20個採取し、この20個のサンプルの降伏強さ及び加工硬化指数を測定することで求めた。なお、変動とは最大値と最小値との差である。
(iii)フルハード冷延鋼板の形状性
長さ1000mのフルハード冷延鋼板から長手方向50m毎に幅方向中央からサンプルを20個採取し、この20個のサンプルの板厚を測定した。板厚変動と板厚の標準偏差の結果を表3に示した。
Figure 0006066023
Figure 0006066023
Figure 0006066023
本発明例はいずれも、フルハード冷延鋼板の板厚変動が50μm以下、板厚の標準偏差が20μm以下であり、良好な形状が得られていることがわかる。一方、本発明の範囲を外れる比較例は、フェライト結晶粒のアスペクト比の増大にともない、特に加工硬化指数の変動が大きくなった。その結果、冷間圧延時の加工硬化にばらつきが生じ、フルハード冷延鋼板の形状は悪化した。

Claims (6)

  1. 質量%で、C:0.06%以上0.18%以下、Si:0.3%未満、Mn:1.8%以上3.2%以下、P:0.03%以下、S:0.005%以下、Al:0.08%以下、N:0.0010%以上0.0070%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成と、
    フェライト粒の平均アスペクト比が3.0以上であり、フェライト相の面積率が40%以上70%以下である鋼組織と、を有し、
    下記の方法で測定された降伏強さの最大値と最小値との差が35MPa以下であり、
    下記の方法で測定された加工硬化指数の最大値と最小値との差が0.015以下である熱延鋼板。
    (測定方法)
    長さ1000mの熱延鋼板から長手方向50m毎に幅方向中央からサンプルを20個採取し、この20個のサンプルの降伏強さ及び加工硬化指数を測定する。
  2. 前記成分組成は、質量%で、さらに、Ti:0.005%以上0.060%以下、V:0.001%以上0.3%以下、W:0.001%以上0.2%以下、Hf:0.001%以上0.3%以下、Nb:0.001%以上0.08%以下、Cu:0.001%以上0.1%以下の1種または2種以上を含有する請求項1に記載の熱延鋼板。
  3. 前記成分組成は、質量%で、さらに、Cr:0.001%以上0.8%以下、Ni:0.001%以上0.5%以下、Mo:0.001%以上0.5%以下、B:0.0001%以上0.0030%以下の1種または2種以上を含有する請求項1又は請求項2に記載の熱延鋼板。
  4. 前記成分組成は、質量%で、さらに、REM、Mg、Ca、Sbの1種または2種以上を合計で0.0002%以上0.01%以下含有する請求項1から3のいずれかに記載の熱延鋼板。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の熱延鋼板を冷間圧延してなり、
    下記の方法で測定された板厚の最大値と最小値との差が50μm以下であり、該板厚の標準偏差が20μm以下であるフルハード冷延鋼板。
    (測定方法)
    長さ1000mのフルハード冷延鋼板から長手方向50m毎に幅方向中央からサンプルを20個採取し、この20個のサンプルの板厚を測定する。
  6. 請求項1から4のいずれかに記載の熱延鋼板の製造方法であって、
    素材を、1000℃以上1300℃以下で加熱し、
    粗圧延開始から完了までの圧下率を80%以上92%以下、粗圧延の圧延間隔時間を5秒以上30秒以下とする粗圧延を施し、
    仕上げ圧延の最終パスから数えて4パス前の圧下から最終パスの間までの時間および圧下率をそれぞれ5秒以下および40%以上、仕上げ圧延温度を800℃以上920℃以下とする仕上げ圧延を施し、
    仕上げ圧延完了から3.0秒以内に平均冷却速度が30℃/s以上の強制冷却を開始し、下記の方法で測定された巻取温度を500℃以上720℃以下、該巻取温度の標準偏差を30℃以内として巻き取る熱延鋼板の製造方法。
    (測定方法)
    長さ1000mの熱延鋼板から長手方向50m毎、幅方向中央の20箇所の測定箇所で巻取温度を測定する。
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