JP6070616B2 - 熱延鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱延鋼板の製造方法に関するものであり、特に自動車車体等に用いて好適な、切断の際の板反りの発生を抑制した熱延鋼板の製造方法に関する。
近年、地球環境保全の観点から、自動車車体の軽量化が進められており、自動車車体に用いられる鋼板として、薄肉化が可能な高い強度を有する鋼板が積極的に用いられるようになってきている。特に、自動車の構造用部品等には、540MPa以上の引張強度を有する熱延鋼板が使用されるようになっている。
自動車車体等に用いられる熱延鋼板は、例えば、熱間圧延ラインにて、鋼スラブを熱間圧延して熱延鋼板とした後コイル状に巻取る熱間圧延工程を施し、さらにテンションレベラーやスキンパスミル(調質圧延機ともいう)を有する形状矯正処理ラインにて、コイル状に巻取られた鋼板を巻戻しながら鋼板の形状矯正処理を行う形状矯正工程を施し、再びコイル状に巻取って、出荷される。出荷された熱延鋼板は、自動車車体の製造ラインで、打ち抜き等により、所望の大きさ、形状に切断され、プレス加工等が施されて所望の形状とされる。このような自動車車体の製造ラインは自動化が進められており、切断された鋼板に対して、厳しい平坦度が要求されている。
一方、熱延鋼板の高強度化に伴い、熱延鋼板を切断する際に発生する反りが大きくなり、良好な平坦度を確保することが困難となってきている。さらに最近、自動車車体の軽量化のため、自動車車体に用いられる鋼板素材を要求される特性に応じて適材適所に配置する技術として、例えば、材質や板厚が異なる複数の鋼板をレーザ溶接などにより接合して、プレス成形前に1枚のブランク板とする、いわゆるテーラードブランクの技術が検討されている。テーラードブランク材をレーザ溶接で作製する場合は、特に接合する鋼板に対して厳しい平坦度が要求される。
所定形状に切断した後の鋼板に反りが生じて平坦度を悪化させる原因の一つとして、鋼板の残留応力がある。このような鋼板の残留応力に着目して、鋼板を切断する際の反り等を抑制し、鋼板の平坦度を良好とする技術として、例えば、特許文献1に記載される技術が提案されている。
特許文献1に記載される技術は、トラックのフレームなどの自動車部品等に好適な高強度鋼板に関するものであり、鋼板内部の残留応力とその分布および鋼板の製造方法の最適条件を規定することで、切断後の形状が良好な高強度鋼板を得ようとする技術である。特許文献1には切断後の形状が良好な高強度熱延鋼板の製造方法として、所定の成分組成を有する鋼を、仕上げ圧延後、所定の冷却速度で冷却してコイル状に巻取り、100℃以下まで冷却した後、ロールレベラーを有する切断ラインに供し、所定の条件で矯正する方法が記載されている。また、特許文献1には、熱間圧延後巻取るまでの間のランナウトテーブル上で、鋼帯(以下、鋼板ともいう)の板幅方向の平均冷却速度差を5℃/分以下とすること、鋼板をコイル状に巻き取った後、100℃以下まで冷却する時に、鋼板の幅方向の平均冷却速度差を5℃/分以下とすること、コイル状としたとした鋼板を、圧下率1.5%以下で調質圧延を行った後に、あるいは伸び率1.5%以下でテンションレベラーなどによる張力矯正を行った後に、鋼板をコイル状にして、その後切断ラインに供することを、必要に応じて追加することができることが記載されている。
特開2000−212688号公報
しかしながら、特許文献1に記載される技術でも、切断する鋼板の形状やロールレベラーの能力によって、充分な矯正を行えない場合があった。一般に、切断前の鋼板の形状を良好とするために、スキンパスミルやテンションレベラーによる形状矯正が施されている。特許文献1に記載の技術でも、鋼板をコイル状に巻き取った後で、切断工程までの間にさらに圧下率1.5%以下で調質圧延を行うことで、鋼板の形状不良が改善されてロールレベラーによる残留応力の除去が改善されること、伸び率1.5%以下でテンションレベラーなどによる張力矯正を行うことにより、ロールレベラーでの矯正・切断工程で残留応力を著しく低減できることが記載されている。
しかしながら、540MPa以上の引張強度を有する熱延鋼板の製造において、鋼板をコイル状に巻き取った後で、切断工程までの間に、調質圧延やテンションレベラーによる形状矯正を行い、切断前の鋼板の形状を良好としても、切断後に充分な平坦度を得られない場合があった。本発明は、上記した従来技術の問題を解決して、切断後の平坦度に優れた540MPa以上の引張強度を有する熱延鋼板の製造方法を提供するものである。なお、本発明が対象とする熱延鋼板は、板厚:1.2〜6.0mm程度、板幅:500〜2300mm程度である、引張強度が540MPa以上の熱延鋼板である。
本発明者らは、特に熱間圧延工程で製造した熱延鋼板について、切断後の熱延鋼板の反りを抑制して平坦度を良好とすべく、スキンパスミルやテンションレベラーを用いた形状矯正処理工程の条件を種々検討した。熱延鋼板の形状矯正処理では、コイル状に巻き取った熱延鋼板を巻戻しながら、張力を付与した条件下で、スキンパスミルやテンションレベラーで加工して鋼板に伸びを与えて形状矯正処理を施し、再びコイル状に巻き取る。ここで、スキンパスミルやテンションレベラーの操業条件としては、特許文献1に示されるように、調質圧延(スキンパスともいう)の圧下率やテンションレベラーでの伸び率といった、被処理材である熱延鋼板の変形量が所定の値となるように設定されていた。
しかし、発明者らが詳細な検討を行ったところ、スキンパスミルやテンションレベラーにより鋼板に与える変形量を一定として形状矯正処理を行い、切断前の鋼板の形状を改善した場合、切断後の熱延鋼板に、大きな反りが生じる場合があった。このような現象に着目して、発明者らが検討を重ねた結果、このような鋼板の切断後に生じる反りは、熱延鋼板の変形量が一定量となるような圧下率や伸び率を熱延鋼板に対して与えることにより、熱延鋼板に蓄積される残留応力が大きくなることに起因するものであることを見出した。そして、さらに検討を重ねた結果、巻取り温度の板幅方向の温度差を50℃以下として熱延鋼板の板幅方向の冷却歪を抑制した上で、形状矯正処理において、熱延鋼板に与える張力の変動幅を抑制することで、切断後の鋼板の反りを抑制して平坦度を良好とできることを知見した。本発明は、このような知見に基づき完成したものであり、その要旨構成は下記のとおりである。
(1)質量%で、C:0.01〜0.20%、Si:2.0%以下(0%を含む)、Mn:0.2〜2.0%、P:0.05%以下、S:0.010%以下、Al:0.1%以下(0%を含む)を含有する鋼スラブを、熱間圧延して熱延鋼板とした後、巻取り温度の板幅方向の温度差を50℃以下として巻取り、その後、前記熱延鋼板に、0.1〜3.0%の範囲内の目標伸び率を与える所定の張力を設定して、前記張力の変動幅を前記所定の値の−20.0%〜+20.0%として張力を与えながら形状矯正処理を施すことを特徴とする、板厚:1.2〜6.0mm、板幅:500〜2300mm、引張強度:540MPa以上である熱延鋼板の製造方法。
本発明によれば、切断の際の板反りの発生を抑制することができ、平坦度に優れる高強度熱延鋼板を得ることができるため、自動車車体製造ライン等での生産効率を向上することができる。
形状処理ラインの模式図である。 熱延鋼板(試験片)の板反りの測定位置を示す模式図である。
以下、本発明の一実施形態を述べる。なお、成分組成に関する「%」表示は、特に断らない限り、「質量%」を意味するものとする。
まず、鋼スラブの成分組成について説明する。
C:0.01〜0.20%
Cは熱延鋼板の引張強度を上昇させるのに有効な元素であり、引張強度540MPa以上を達成するために、C量を0.01%以上とする。より好ましくは、0.03%以上である。一方、C量が0.20%を超えると焼入れ性が大きく上昇し、後述する熱間圧延後の冷却において、熱延鋼板中の残留応力が大きくなり、熱延鋼板の形状が劣化しやすくなる。したがって、C量は0.20%以下とする。より好ましくは、0.18%以下である。
Si:2.0%以下(0%を含む)
Si量が2.0%を超えると、酸化スケールの生成による表面性状の悪化が著しくなるため、Si量は2.0%以下とする。より好ましくは、1.5%以下である。なお、本発明において、Si量は0%としても良いが、Siは固溶強化能を有しており、熱延鋼板の引張強度を上昇させる上で有効な元素であるため、熱延鋼板の高強度化を図る上では、添加する場合がある。
Mn:0.2〜2.0%
Mnは熱延鋼板の強度を上昇させる元素であり、また、Sによる熱間脆性に起因する表面割れを抑制する有用な元素である。これらの効果を得るため、Mn量は0.2%以上とする。より好ましくは、0.5%以上である。一方、Mn量が2.0%を超えると、焼入れ性が大きくなり、熱間圧延後の冷却条件のばらつきにより残留応力が大きくなりやすい。したがって、Mn量は2.0%以下とする。
P:0.05%以下
Pは、熱延鋼板の加工性や耐食性を低下させる元素である。P量が0.05%を超えると、その影響が顕著となるため、P量は0.05%以下とする。より好ましくは、P量は0.03%以下である。
S:0.010%以下
Sは、鋼の延性や靭性を低下させる元素である。S量が0.010%を超えると、その影響が顕著となるため、S量は0.010%以下とする。より好ましくは、S量は0.005%以下である。
Al:0.1%以下(0%を含む)
Alは脱酸剤として作用し、鋼の清浄度を向上させる元素である。このような効果を得る上では、Al量は0.001%以上とすることが好ましい。Al量が0.1%を超えると、清浄度改善効果が飽和するほか、製造コストの上昇、表面欠陥の発生傾向の増大などの問題を生じやすくなる。このため、Al量は0.1%以下とする。なお、Al量は0%としてもよい。
本発明で使用する鋼スラブは、上記の成分のほか、析出強化を利用して、熱延鋼板を高強度化する上では、Nb、Ti、V、Moといった炭化物形成元素を添加することが好ましい。これら元素は、熱延鋼板中で、微細な炭化物を形成することで、熱延鋼板の引張強度上昇に寄与する。この効果を得るため、Nb:0.01〜0.05%、Ti:0.01〜0.15%、V:0.1〜0.3%、Mo:0.1〜0.3%の1種以上を添加することが好ましい。
上記した以外の残部は、Feおよび不可避的不純物であるが、熱延鋼板の所望の特性を向上させるため、上記以外の元素を適宜添加することも可能である。例えば、熱延鋼板の引張強度上昇のため、Cr:0.1〜1.5%、B:0.001〜0.010%等の1種以上を、また、非金属介在物の形態を制御して熱延鋼板の加工性を向上させるため、Ca:0.001〜0.010%等を適宜添加することができる。
本発明では、上記した成分組成の鋼スラブを熱間圧延して熱延鋼板とした後、冷却して、巻取り温度の板幅方向の温度差を50℃以下として巻取り、0.1〜3.0%の範囲内の目標伸び率を与える所定の張力を設定して、前記張力の変動幅を前記所定の値の−20.0%〜+20.0%として張力を与えながら形状矯正処理を施す。
熱間圧延に供する鋼スラブは、連続鋳造法等の従来公知の方法で製造すればよい。鋳造後の鋼スラブは、一旦冷却後、あるいは温片のまま加熱炉に装入して所望の温度(スラブ加熱温度)に再加熱した後、粗圧延および仕上げ圧延からなる熱間圧延を行い、熱延鋼板とする。ここで、スラブ加熱温度は、1250℃を超えて高くなると、鋼スラブ表層のスケール生成量が顕著に多くなりやすく、生産性が低下するため1250℃以下とすることが好ましい。なお、鋼スラブを鋳造後、直に熱間圧延を行う連続鋳造−直送圧延といったプロセスで熱間圧延を行ってもよい。
熱間圧延の条件は特に限定する必要は無く、常法にしたがって行えばよい。なお、熱間圧延の仕上げ圧延終了温度は、得られる熱延鋼板の鋼組織の均一性を良好とする観点からは、1000℃以下とすることが好ましい。また、仕上げ圧延終了温度が低くなりすぎると、圧延荷重が大きくなり、圧延設備への負荷が大きくなるため、仕上げ圧延終了温度は、800℃以上とすることが好ましい。
熱間圧延後の熱延鋼板は、巻取り温度の板幅方向の温度差が50℃以下となるように冷却した後、コイル状に巻き取られる。
冷却歪の発生を抑制し、後述する形状矯正処理に供する熱延鋼板の形状を良好とし、また、残留応力を小さくするため、巻取り温度は、熱延鋼板の板幅方向の温度差を50℃以下とする必要がある。すなわち、熱間圧延後巻き取られるまでの熱延鋼板は、ランナウトテーブルで冷却が施される。このランナウトテーブルでの冷却の際、板幅方向の温度差を小さくして、板幅方向の温度むらによる冷却歪を低減する。具体的には、ランナウトテーブル上での熱延鋼板の幅方向の温度差を小さくして、冷却後巻取る際の温度、すなわち巻取り温度の板幅方向の温度差を50℃以下とし、熱延鋼板の板幅方向の冷却歪を抑制し、形状矯正処理に供する熱延鋼板の形状を良好とする。また、巻取り温度の板幅方向の温度差を50℃以下にすることにより、形状矯正処理に供する熱延鋼板の残留応力を低減して、切断後の熱延鋼板の板反りも抑制できる。このため、巻取り温度の板幅方向の温度差を50℃以下とする。さらに好ましくは30℃以下である。なお、ランナウトテーブルでの冷却における板幅方向の温度むらを抑制するためには、過冷却されやすい熱延鋼板の板幅方向端部(エッジ部ともいう)をマスキングして、熱延鋼板のエッジ部の過冷却を防止することが好ましい。
上記のように製造された熱延鋼板は、テンションレベラーやスキンパスミルを有する形状矯正処理ラインにて、コイル状に巻取られた熱延鋼板を巻戻し、巻戻された熱延鋼板に張力を付与しながら、スキンパスミルやテンションレベラーといった形状矯正処理装置を用いて歪を与えて形状矯正処理する形状矯正工程を施される。ここで、スキンパスミルでは鋼板を圧延して鋼板の形状を改善し、また、テンションレベラーでは、張力を付与された鋼板にテンションレベラーのロールにより曲げ曲げ戻し加工を加えて鋼板の形状を改善する。ここで、形状矯正処理工程で与えられる歪量は、鋼板の強度や形状等に応じて、適宜決定される。具体的には、形状矯正処理に供される鋼板の強度や板厚、形状等により、スキンパスミルやテンションレベラーといった形状矯正処理装置での鋼板の伸び量(伸び率)が決定され、形状矯正処理が施される。
図1に、スキンパスミル3およびテンションレベラー4を有する形状矯正ラインの模式図を示す。図1の形状矯正ラインでは、コイル状に巻き取られた熱延鋼板Sを、ペイオフリール1で巻戻し、ブライドルロール2、5で張力を付与した状態で、スキンパスミル3で圧下を加え、テンションレベラー4で曲げ曲げ戻しを行い、形状矯正処理を施した後、テンションリール6でコイル状に巻取る。なお、図1には、スキンパスミルとテンションレベラーを有する形状矯正ラインを示しているが、スキンパスミル3のみ、あるいはテンションレベラー4のみを有する形状矯正ラインとしてもよい。
形状矯正処理工程で与える目標伸び率は、実験等により、形状矯正処理前に、鋼板の強度や板厚、形状等の鋼板の条件に応じて適宜決定される。ここで、伸び率は、スキンパスミルの圧下量、テンションレベラーでの押し込み量(インターメッシュともいう)およびブライドルロール2、5で熱延鋼板Sに与える張力を調整することで、所定の目標伸び率とすることができる。すなわち、熱延鋼板に形状矯正処理を施す前に、決定された目標伸び率を与えるための、スキンパスミル3の条件、テンションレベラー4の条件、さらにブライドルロール2、5で与える当初の所定の張力が決定される。
熱延鋼板は、熱間圧延条件やその他の要因のばらつきにより、1枚の熱延鋼板内でも、その材料特性や形状にばらつきを有している。従来は、熱延鋼板に目標伸び率を与えるために、スキンパスミルでの圧下量、すなわち、スキンパスミルの荷重、ベンダーを所定の値に設定し、テンションレベラーでの押し込み量を所定の値とした上で、伸び率が目標伸び率となるように、熱延鋼板に与える張力を調整していた。
これに対し、本発明では、目標伸び率を与えるために設定した所定の張力Fを、この所定の張力Fの変動幅が、張力Fの−20.0%〜+20.0%の範囲内となるようにして、形状矯正処理を行う。本発明では、上記したように、熱間圧延後、巻取り温度の板幅方向の温度差が50℃以下となるように冷却して巻き取り、熱延鋼板における冷却歪の発生を抑制した上で、形状矯正処理における張力Fの変動幅を上記の範囲内とすることで、熱延鋼板を切断後の板反りを抑制することができる。張力Fの変動幅が、Fの−20.0%未満、あるいはFの+20.0%超えとなると、切断後の熱延鋼板の板反りを抑制することが困難となる。このように、形状矯正処理における張力の変動幅を規制することで、切断後の熱延鋼板の平坦度を改善できる理由としては、形状矯正処理後の熱延鋼板内の残留応力を従来に比べて小さくできるためと考えられる。なお、張力Fの変動幅を張力Fの−20.0%〜+20.0%の範囲内とするためには、形状矯正設備前後の速度を一定として張力を一定とすればよい。より好ましくは張力Fの変動幅がFの−15.0%〜+15.0%の範囲内となるようにして、形状矯正処理を行う。
また、本発明では、形状矯正処理における目標伸び率を、0.1〜3.0%とする。目標伸び率が0.1%未満では、充分な形状矯正処理を施すことが困難であり、一方、目標伸び率が3.0%を超えると、設備能力上伸び率の付与が困難となるためである。なお、好ましくは、目標伸び率は0.1〜2.0%である。
なお、本発明では、形状矯正処理において、張力の変動幅を規定し、伸び率の変動を許容しているため、従来に比べて、形状矯正処理中の伸び率の変動は大きくなるが、熱延鋼板の伸び率が0.1〜3.0%の範囲内であれば、所望の目的を達成できるため、問題ない。また、形状矯正処理中の伸び率は形状矯正設備前後の速度差(熱延鋼板の通板速度の差)により測定することができる。
なお、形状矯正処理に際して当初設定する目標伸び率は、形状矯正を施す熱延鋼板の強度等の材質や形状により、適宜設定すればよい。また、この伸び率を与えるためのスキンパスミルの条件、テンションレベラーの条件、ブライドルロール間の張力は、形状矯正処理を行う熱延鋼板と同様の材質、形状を有する熱延鋼板に、形状矯正処理を行う形状矯正処理ラインを用いた実験により、求めることができる。
なお、本発明で形状矯正処理を行う熱延鋼板としては、上記したように引張強度が540MPa以上であり、また、板厚:1.2〜6.0mm、板幅:500〜2300mm程度である。
表1に示す成分組成を有する鋼スラブを、1200℃に加熱し、仕上げ圧延温度900℃とする熱間圧延により熱延鋼板とし、ランナウトテーブルで冷却後、巻取った。表2に、熱延鋼板の板幅、板厚、巻取り温度および巻取り温度の板幅方向の温度差を示す。
次に、得られた熱延鋼板を、スキンパスミルとテンションレベラーを有する形状矯正処理装置にて、各々の熱延鋼板の1コイル(鋼板長さ:500m〜2000m)について、目標伸び率を表2に示す目標伸び率として、形状矯正処理を行った。この際、この目標伸び率を得るために当初設定した張力(設定張力)を、ユニット張力(熱延鋼板の単位断面積あたりの張力)で表し、表2に示す。形状矯正処理では、形状矯正処理におけるユニット張力の変動を設定張力の±20.0%内の範囲となるようにした(発明例)。また、比較として、従来のように、形状矯正処理における伸び率が目標値にほぼ一致するように、張力変動を許容した場合(比較例)についても、形状矯正処理をおこなった。表2に、形状矯正処理を行った際のユニット張力の最大値、ユニット張力の最小値、および設定張力に対する張力変動の最大値、最小値を示す。なお、張力変動の最大値、最小値は、以下のようにして求めたものである。
張力変動の最大値(%)=[(ユニット張力の最大値)−(設定張力)]/(設定張力)×100
張力変動の最小値(%)=[(ユニット張力の最小値)−(設定張力)]/(設定張力)×100
次いで、形状矯正処理後の熱延鋼板について、板幅端部側から、300mm×650mm(圧延方向長さ×板幅方向長さ)に切断して試験片を採取した。このようにして得た試験片10枚について、板反りを調査した。板反り測定は、上記のサイズに切断した鋼板(試験片)を、定盤上におき、定盤と鋼板の隙間の長さを反り量として測定した。なお、図2に示すように、各試験片の板幅方向の両端部における、圧延方向の両端および圧延方向中央の3箇所(a〜c、d〜f)、計6箇所について、反り量を求めた。反り量全て(各板6点で10枚 合計60点)が5mm以下であった熱延鋼板を○(合格)、反り量が5mmを超えたものが一箇所でもあった熱延鋼板を×(不合格)と評価した。結果を表2に示す。
また、得られた熱延鋼板からサンプルを採取し、JISZ2241に準じて、圧延方向に対して直角方向(C方向)を引張方向とする5号試験を用いて、引張試験を行い、引張強度(TS)を測定した。結果を表2に示す。
表2から、本発明の製造方法で製造した発明例は、比較例に比べて反り量が小さく、切断の際の板反りの発生が抑制されていることがわかる。
Figure 0006070616
Figure 0006070616
1 ペイオフリール
2 ブライドルロール
3 スキンパスミル
4 テンションレベラー
5 ブライドルロール
6 テンションリール
S 鋼板
10 試験片(鋼板)
11 定盤

Claims (1)

  1. 質量%で、C:0.01〜0.20%、Si:2.0%以下(0%を含む)、Mn:0.2〜2.0%、P:0.05%以下、S:0.010%以下、Al:0.1%以下(0%を含む)を含有する鋼スラブを、熱間圧延して熱延鋼板とした後、巻取り温度の板幅方向の温度差を50℃以下として巻取り、その後、前記熱延鋼板に、0.1〜3.0%の範囲内の目標伸び率を与える所定の張力を設定して、変動幅前記所定の張力の値の−20.0%〜+20.0%、の範囲内で張力を与えながら形状矯正処理を施すことを特徴とする、板厚:1.2〜6.0mm、板幅:500〜2300mm、引張強度:540MPa以上である熱延鋼板の製造方法。
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