<第1実施形態>
以下、図面を参照しながら、一実施形態に係るカッティングヘッド付きインクジェットプリンタ100(以下、プリンタ100とする。)について説明する。図1に示すように、本実施形態に係るプリンタ100は、記録媒体5に対して印刷および切断(カッティング)が可能ないわゆるプリント&カット機である。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら本発明を特に限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
以下の説明では、左、右、上、下とは、プリンタ100の正面にいるユーザから見た左、右、上、下をそれぞれ意味することとする。また、プリンタ100から上記ユーザに近づく方を前方、遠ざかる方を後方とする。図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表す。図面中の符号Yは主走査方向を表す。本実施形態では、主走査方向Yは、左右方向である。図面中の符号Xは副走査方向を表す。副走査方向Xは主走査方向Yと交差する方向(例えば、平面視で垂直に交差する方向)である。本実施形態では、副走査方向Xは前後方向である。ただし、上記方向は便宜的に定めたものに過ぎず、限定的に解釈すべきものではない。
記録媒体5は、例えば、長尺に形成され、ロール状に巻かれて用いられる。なお、記録媒体5は、ロール状に巻かれたものが所定の長さに切断されたシート状のものであってもよい。記録媒体5は、例えば、記録紙である。ただし、記録媒体5は、記録紙に限定されない。例えば、記録媒体5には、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエステルなどの樹脂材料から形成されたシート、台紙と台紙上に積層されかつ接着剤が塗布された剥離紙とからなるシール材等が含まれる。本実施形態の記録媒体5は、例えば、ポリ塩化ビニルシート材である。ポリ塩化ビニルシート材は、例えば、普通紙から形成された台紙(基材)と、ポリ塩化ビニルから形成された剥離紙と、台紙と剥離紙との間に配置された接着剤とから構成されている。剥離紙にはインクヘッド22(図2A参照)から吐出されたインクが定着する。なお、台紙および剥離紙の材料は上記のものに限定されないが、基材および剥離紙は典型的には相互に異なる材料から形成されている。本明細書において「切断」、「カッティング」とは、記録媒体5の厚み方向の全体を切断する場合(例えば、シール材の台紙および剥離紙の両方を切断する場合)と、記録媒体5の厚み方向の一部を切断する場合(例えば、シール材の台紙は切断せず、剥離紙のみを切断する場合)とが含まれる。
図1に示すように、プリンタ100は、プリンタ本体100aと、脚11と、操作パネル12と、記録媒体5が載置されるプラテン16と、インクヘッドユニット20と、カッティングヘッドユニット30と、キャリッジ移動機構40と、媒体移動機構55と、制御装置80とを備えている。プリンタ本体100aは、主走査方向Yに延びたケーシングを有する。脚11は、プリンタ本体100aを支持するものであり、プリンタ本体100aの下面に設けられている。操作パネル12は、例えばプリンタ本体100aの右側の前面に設けられている。ただし、操作パネル12の位置は特に限定されない。操作パネル12は、例えば、作業者が印刷や切断に関する操作を行うものである。操作パネル12は、表示部12Aと、入力部12Bとを備えている。表示部12Aには、例えば、解像度、インクの濃さなどの印刷に関する情報、印刷中や切断中のプリンタ100のステータス、後述する記録媒体情報、使用情報やシワ情報などが表示される。入力部12Bは、印刷や切断に関する情報(例えば記録媒体情報やシワ情報を含む)を入力する。
プラテン16は、記録媒体5への印刷および記録媒体5を切断する際、記録媒体5を支持するものである。プラテン16には、記録媒体5が載置される。プラテン16は、載置台の一例である。記録媒体5への印刷および記録媒体5の切断は、プラテン16上で行われる。図1に示すように、プラテン16は主走査方向Yに延びている。プラテン16は、プリンタ本体100aに支持されている。
図1に示すように、プリンタ100は、主走査方向Yおよび上下方向に延びる中央壁14を備えている。中央壁14は、プリンタ本体100aに支持されている。中央壁14は、プラテン16の上方に配置されている。中央壁14とプラテン16との間には、記録媒体5が通過可能な間隙が形成されている。プリンタ100は、ガイドレール15を備えている。ガイドレール15は、主走査方向Yに延びる。ガイドレール15は、中央壁14に設けられている。ガイドレール15は、プラテン16の上方に配置されている。
図2Aに示すように、インクヘッドユニット20は、第1キャリッジ21と、複数のインクヘッド22と、を備えている。第1キャリッジ21は、ガイドレール15に係合している。第1キャリッジ21は、ガイドレール15に沿って主走査方向Yに移動可能に構成されている。インクヘッド22は、プラテン16に載置された記録媒体5にインクを吐出するノズル(図示せず)を有する。インクヘッド22は、記録媒体5に所定の画像を印刷する。インクヘッド22は、第1キャリッジ21に搭載されている。インクヘッド22は、第1キャリッジ21の移動に伴って、主走査方向Yに移動可能に構成されている。ここでは、5つのインクヘッド22が第1キャリッジ21に搭載されている。ただし、インクヘッド22の個数は5個に限定されない。
図2Aに示すように、カッティングヘッドユニット30は、第2キャリッジ31と、カッティングヘッド38とを備えている。カッティングヘッド38は、ソレノイド32と、カッター33とを備えている。第2キャリッジ31は、ガイドレール15に係合している。第2キャリッジ31は、主走査方向Yに関して第1キャリッジ21の側方(ここでは左方)に配置されている。第2キャリッジ31は、ガイドレール15に沿って主走査方向Yに移動可能に構成されている。カッティングヘッド38は、第2キャリッジ31に搭載されている。カッター33は、プラテン16に載置された記録媒体5を切断する。ソレノイド32は、制御装置80(図1参照)によって制御される。ソレノイド32がON/OFFされると、カッター33は上下方向に移動して記録媒体5に接触し、あるいは記録媒体5から離反する。カッター33は、第2キャリッジ31の移動に伴って、主走査方向Yに移動可能に構成されている。
キャリッジ移動機構40は、プラテン16に載置された記録媒体5に対してインクヘッドユニット20の第1キャリッジ21およびカッティングヘッドユニット30の第2キャリッジ31を相対的に主走査方向Yに移動させる機構である。キャリッジ移動機構40は、第1キャリッジ21および第2キャリッジ31を主走査方向Yに移動させる。なお、キャリッジ移動機構40の構成は特に限定されない。図1に示すように、キャリッジ移動機構40は、第1プーリ41と、第2プーリ42と、無端状のベルト43と、キャリッジモータ44とを備えている。第1プーリ41は、ガイドレール15の左端側に設けられている。第2プーリ42は、ガイドレール15の右端側に設けられている。ベルト43は、第1プーリ41と第1プーリ42とに巻き掛けられている。ベルト43は、第2キャリッジ31(図2A参照)の背面上部に固定されている。第2プーリ42には、キャリッジモータ44が接続されている。ただし、キャリッジモータ44は、第1プーリ41に接続されていてもよい。ここでは、キャリッジモータ44が駆動して、第2プーリ42が回転することで、第1プーリ41と第2プーリ42との間においてベルト43が走行する。これにより、第2キャリッジ31は主走査方向Yに移動する。即ち、キャリッジモータ44は、第2キャリッジ31を主走査方向Yに移動させる。後述するように、第1キャリッジ21は、第2キャリッジ31の移動に伴って主走査方向Yに移動する。キャリッジモータ44は、第2キャリッジ31を介して第1キャリッジ21を間接的に主走査方向Yに移動させる。キャリッジモータ44は、制御装置80(図1参照)に制御される。
図2Aに示すように、第1キャリッジ21の左側部分には、磁石によって構成される第1連結部材24が設けられている。第2キャリッジ31の右側部分には、磁石によって構成される第2連結部材34が固定されている。第1連結部材24は、第2連結部材34に対し、着脱自在に連結する。本実施形態では、第1連結部材24および第2連結部材34は、磁力を利用するものである。ただし、第1連結部材24および第2連結部材34は磁力を利用するものに限られず、係合部材等の他の構成を備えたものであってもよい。第1キャリッジ21の右側には、L字状に形成された第1受け金具25が設けられている。
図2Aに示すように、プラテン16の左方および右方には、それぞれ左サイドフレーム7Lおよび右サイドフレーム7Rが配置されている。右サイドフレーム7Rには、インクヘッドユニット20を待機位置にロックするためのロック装置35が設けられている。ロック装置35は、第1受け金具25に引っ掛けられる第2受け金具36と、第2受け金具36をロック位置(図2B参照)と非ロック位置(図2A参照)との間で移動させるロック用ソレノイド37(図3参照)とを備えている。ロック用ソレノイド37は、制御装置80によって制御される。
図2Aに示すように、インクヘッド22によって記録媒体5に所定の画像を印刷する際には、第2受け金具36が非ロック位置に設定される。カッティングヘッドユニット30の第2キャリッジ31が右方に移動し、第2連結部材34と第1連結部材24とが接触すると、第2キャリッジ31と第1キャリッジ21とが連結される。その結果、インクヘッドユニット20は、カッティングヘッドユニット30と共に主走査方向Yに移動可能となる。即ち、キャリッジモータ44が駆動することで、第1キャリッジ21および第2キャリッジ31が主走査方向Yに移動する。一方、カッター33によって記録媒体5を切断する際には、図2Bに示すように、インクヘッドユニット20が待機位置に位置付けられ、ロック装置35の第2受け金具36がロック位置に設定される。これにより、インクヘッドユニット20の主走査方向Yの移動が阻止される。第2キャリッジ31が左方へ移動すると、第2連結部材34と第1連結部材24とが離反し、第2キャリッジ31と第1キャリッジ21との連結が解除される。その結果、インクヘッドユニット20が待機位置に待機した状態で、カッティングヘッドユニット30のみが主走査方向Yに移動可能となる。即ち、キャリッジモータ44が駆動することで、第2キャリッジ31のみが主走査方向Yに移動する。
媒体移動機構55は、プラテン16に載置された記録媒体5をインクヘッド22およびカッティングヘッド38に対して副走査方向Xに移動させるものである。ここでは、媒体移動機構55は、プラテン16に載置された記録媒体5を副走査方向Xに移動させる。図4に示すように、媒体移動機構55は、複数のグリットローラ57と、フィードモータ58(図3参照)と、一つのサイドピンチローラユニット60と、複数のセンターピンチローラユニット70と、保持シャフト45と、回転機構46(図1参照)と、昇降機構47と、を備えている。
図4に示すように、グリットローラ57は、プラテン16に設けられている。グリットローラ57は、グリットローラ57の上部が外部に露出するようにプラテン16に埋設されている。本実施形態では、プリンタ10は、8個のグリットローラ57を備えている。なお、グリットローラ57の個数は8個に限定されない。グリットローラ57は、駆動ローラの一例である。グリットローラ57は、主走査方向Yに並列している。一部のグリットローラ57は、後述するサイドピンチローラ62の下方に配置されている。一部のグリットローラ57は、サイドピンチローラ62との間に記録媒体5を挟み込む。他の一部のグリットローラ57は、後述するセンターピンチローラ72の下方に配置されている。他の一部のグリットローラ57は、センターピンチローラ72との間に記録媒体5を挟み込む。フィードモータ58(図3参照)は、グリットローラ57に接続されている。フィードモータ58は、制御装置80(図1参照)に制御される。グリットローラ57とサイドピンチローラ62との間およびグリットローラ57とセンターピンチローラ72との間に記録媒体5が挟まれた状態で、フィードモータ58が駆動してグリットローラ57が回転すると、記録媒体5は副走査方向Xに搬送される。本実施形態では、グリットローラ57とサイドピンチローラ62との間およびグリットローラ57とセンターピンチローラ72との間に記録媒体5が挟まれた状態で、記録媒体5は上流側から下流側または下流側から上流側に移動する。
図5に示すように、サイドピンチローラユニット60は、サイドピンチローラ62と、第1保持部材64とを備えている。図4に示すように、サイドピンチローラユニット60は、プラテン16より上方に配置されている。サイドピンチローラ62は、記録媒体5の端部を上から押さえる。サイドピンチローラ62は、グリットローラ57と上下方向で対向するように、グリットローラ57の上方に配置されている。サイドピンチローラ62は、回動可能に構成されている。第1保持部材64は、サイドピンチローラ62を回転可能に支持する。第1保持部材64は、サイドピンチローラ62を上下方向に移動可能に支持する。図5に示すように、第1保持部材64には、保持シャフト45(図4参照)が取り付けられる凹部65が形成されている。凹部65は、側面視で略U字形状に形成されている。
本実施形態では、プリンタ10は、サイドピンチローラ62として左サイドピンチローラユニット60Lおよび右サイドピンチローラユニット60Rを備えている。左サイドピンチローラユニット60Lおよび右サイドピンチローラユニット60Rは、主走査方向Yに並列している。左サイドピンチローラユニット60Lは、複数のセンターピンチローラユニット70より左方に位置する。右サイドピンチローラユニット60Rは、複数のセンターピンチローラユニット70より右方に位置する。本実施形態では、左サイドピンチローラユニット60Lの左サイドピンチローラ62Lは、記録媒体5の左端部を上から押さえる。右サイドピンチローラユニット60Rの右サイドピンチローラ62Rは、記録媒体5の右端部を上から押さえる。左サイドピンチローラ62Lおよび右サイドピンチローラ62Rは、例えば、ゴム材料から形成されている。左サイドピンチローラ62Lおよび右サイドピンチローラ62Rのゴム硬度は、センターピンチローラ72のゴム硬度より高い。ここで、ゴム硬度とは、例えばJIS K6253に準拠しデュロメータのタイプAにより温度20℃で測定した値である。左サイドピンチローラ62Lおよび右サイドピンチローラ62Rのゴム硬度は、例えば、75〜100程度であり、センターピンチローラ72のゴム硬度は、例えば、45〜70程度であり、左サイドピンチローラ62Lおよび右サイドピンチローラ62Rのゴム硬度は、センターピンチローラ72のゴム硬度よりも約1.1〜2.2倍高い。図6に示すように、左サイドピンチローラ62Lは、円錐台形状に形成されている。左サイドピンチローラ62Lのうちセンターピンチローラ72側(ここでは右方)に位置する第1面62LAの直径DL1は、主走査方向Yに関して第1面62LAの反対側に位置する第2面62LBの直径DL2より小さい。図7に示すように、右サイドピンチローラ62Rは、円錐台形状に形成されている。右サイドピンチローラ62Rのうちセンターピンチローラ72側(ここでは左方)に位置する第1面62RAの直径DR1は、主走査方向Yに関して第1面62RAの反対側に位置する第2面62RBの直径DR2より小さい。
図8に示すように、センターピンチローラユニット70は、センターピンチローラ72と、第2保持部材74とを備えている。図4に示すように、センターピンチローラユニット70は、プラテン16(図1参照)より上方に配置されている。センターピンチローラユニット70は、左サイドピンチローラユニット60Lと右サイドピンチローラユニット60Rとの間に設けられている。センターピンチローラ72は、記録媒体5(例えば記録媒体5の印刷領域)を上から押さえる。センターピンチローラ72は、グリットローラ57と上下方向で対向するように、グリットローラ57の上方に配置されている。センターピンチローラ72は、回動可能に構成されている。第2保持部材74は、センターピンチローラ72を回転可能に支持する。第2保持部材74は、センターピンチローラ72を上下方向に移動可能に支持する。図8に示すように、第2保持部材74には、保持シャフト45(図4参照)が取り付けられる凹部75が形成されている。凹部75は、側面視で略U字形状に形成されている。第2保持部材74には、後述するフレーム部材18の傾斜壁18L(図11参照)と接触する係止部79が形成されている。係止部79は、前斜め上方に向けて延びる部分を有する。
本実施形態では、プリンタ10は、センターピンチローラユニット70として6つのセンターピンチローラユニット70A、70B、70C、70D、70E、70Fを備えているが、センターピンチローラユニット70の個数はこれに限定されない。センターピンチローラユニット70A〜70Fは、左方から右方に向けてこの順で、主走査方向Yに並列している。図9に示すように、センターピンチローラ72は、円柱形状に形成されている。
図10に示すように、保持シャフト45は、主走査方向Yに延びる。保持シャフト45は、ガイドレール15より下方に配置されている。図11に示すように、保持シャフト45は、後述するフレーム部材18より下方に配置されている。保持シャフト45は、プラテン16より上方に配置されている。保持シャフト45は、断面形状が矩形状である。保持シャフト45は、サイドピンチローラユニット60およびセンターピンチローラユニット70を保持する。保持シャフト45は、サイドピンチローラ62およびセンターピンチローラ72を保持する。より詳細には、サイドピンチローラユニット60の第1保持部材64に形成された凹部65に保持シャフト45が係合している。センターピンチローラユニット70の第2保持部材74に形成された凹部75に保持シャフト45が係合している。サイドピンチローラユニット60およびセンターピンチローラユニット70は、主走査方向Yにおいて取り付け位置を変えることができるように、保持シャフト45に対して摺動可能に設けられている。即ち、サイドピンチローラ62およびセンターピンチローラ72は、保持シャフト45に沿って主走査方向Yに移動可能に設けられている。
図1に示すように、回転機構46は、プラテン16の右方に配置されている。回転機構46は、保持シャフト45の中心軸を軸にして保持シャフト45を回転させる。なお、回転機構46の構成は特に限定されない。例えば、回転機構46は、図示しないリンク機構を介して保持シャフト45の右端に接続されたレバー46Aを備えている。レバー46Aは、押し下げ、および、押し上げることが可能である。レバー46Aを押し下げることで、保持シャフト45が回転し、サイドピンチローラ62およびセンターピンチローラ72をグリットローラ57に対して接近させることができる。一方、レバー46Aを押し上げることで、保持シャフト45が回転し、サイドピンチローラ62およびセンターピンチローラ72をグリットローラ57に対して離反させることができる。回転機構46は、回転手段の一例である。
昇降機構47は、センターピンチローラ72をプラテン16に対して上昇および下降させる機構である。ここでは、昇降機構47は、複数のセンターピンチローラ72を同時に上昇および下降させるように構成されている。なお、昇降機構47の構成は特に限定されない。例えば、図示は省略するが、昇降機構47は、複数のセンターピンチローラユニット70を連結させる連結部材と、リンク機構を介して上記連結部材に接続され、上記連結部材を上下方向に移動させる駆動モータを備えている。
図11に示すように、ガイドレール15の下部には、フレーム部材18が設けられている。フレーム部材18は、主走査方向Yに延びる。フレーム部材18は、ガイドレール15が固定される中央壁14にネジ14Aによって固定されている。フレーム部材18は、上下方向に延びる縦壁18Kと、縦壁18Kの下端から後斜め下方に延びる傾斜壁18Lとを備えている。傾斜壁18Lは、グリットローラ57の上方には設けられていない。傾斜壁18Lは、主走査方向Yに関してグリットローラ57と重ならない位置に配置されている。傾斜壁18Lは、センターピンチローラ72の下方への移動を阻止する部材である。傾斜壁18Lは、センターピンチローラ72がグリットローラ57に対して接近することを阻止する。傾斜壁18Lは、ストッパーの一例である。傾斜壁18Lは、センターピンチローラ72の下方にグリットローラ57が位置せずかつ保持シャフト45が回転したときに、第2保持部材74の係止部79と接触する。このため、保持シャフト45が回転しても、センターピンチローラ72は下方へ移動しない。即ち、センターピンチローラ72とグリットローラ57とは接触しない。
図3に示すように、プリンタ100の全体の動作は、制御装置80によって制御されている。制御装置80の構成は特に限定されない。制御装置80は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードウェアの構成は特に限定されないが、例えば、ホストコンピュータなどの外部機器から印刷データなどを受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU:central processing unit)と、CPUが実行するプログラムを格納したROM(read only memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、プログラムや各種データを格納するメモリなどの記憶装置と、を備えている。図1に示すように、制御装置80は、プリンタ本体100aの内部に設けられている。ただし、制御装置80はプリンタ本体100aの内部に設けられていなくてもよい。例えば、制御装置80は、プリンタ本体100aの外部に設置されたコンピュータなどであってもよい。この場合、制御装置80は、有線または無線を介してプリンタ100と通信可能に接続されている。
図3に示すように、制御装置80は、インクヘッド22、ソレノイド32、ロック用ソレノイド37、フィードモータ58、キャリッジモータ44、操作パネル12と通信可能に接続している。制御装置80は、インクヘッド22、ソレノイド32、ロック用ソレノイド37、フィードモータ58およびキャリッジモータ44を制御する。即ち、制御装置80は、キャリッジ移動機構40および媒体移動機構55を制御する。
図3に示すように、制御装置80は、記憶部82と、第1設定部84と、第1決定部86と、第1通知部88とを備えている。制御装置80の各部の機能は、プログラムによって実現されている。このプログラムは、例えばCDやDVDなどの記録媒体から読み込まれる。なお、このプログラムは、インターネットを通じてダウンロードされるものであってもよい。また、制御装置80の各部の機能は、プロセッサおよび/または回路などによって実現可能なものであってもよい。なお、これら各部の具体的な機能については後述する。
記憶部82は、記録媒体情報と、使用情報とが関連付けられたテーブルを記憶する。記録媒体情報は、記録媒体5に関する情報である。記録媒体情報には、例えば、記録媒体5の材質、記録媒体5のサイズ(例えば記録媒体5の幅、即ち記録媒体5の主走査方向Yの長さ。記録媒体5の厚み等。)、記録媒体5の硬度(柔らかめ、普通、硬め等の簡易情報を含む。)、記録媒体5の製品名、記録媒体5の型番、記録媒体5を製造するメーカー名等が含まれる。使用情報は、記録媒体5を副走査方向Xに移動させるときのセンターピンチローラ72毎の使用または不使用の情報である。図12は、記憶部82に記憶されるテーブルTの一例である。図12に示すように、例えば、テーブルTには、記録媒体A〜Dに対するセンターピンチローラA〜Fの使用または不使用が予め設定されている。なお、図12において、○はセンターピンチローラを使用することを表し、×はセンターピンチローラを使用しないこと(不使用)を表す。また、センターピンチローラA〜Fは、左方から右方に向けて順に並んでいる。本実施形態では、センターピンチローラAは、センターピンチローラユニット70Aのセンターピンチローラ72に相当し、センターピンチローラFは、センターピンチローラユニット70Fのセンターピンチローラ72に相当する。テーブルTにおいて、例えば、記録媒体Bを使用する場合には、センターピンチローラA、C、D、Fは使用され、かつ、センターピンチローラB、Eは使用されない。
第1設定部84は、記録媒体情報を設定する。記録媒体情報の設定は、例えば、操作パネル12を用いてユーザによって行われる。なお、記録媒体情報の設定は、プリンタ10に接続された操作端末(例えばノート型のパソコン)を用いてユーザによって行われてもよい。記録媒体情報の設定は、例えば、記録媒体5に関する情報が一覧表示されたリストから選択することによって行われる。
第1決定部86は、第1設定部84によって設定された記録媒体情報と記憶部82に記憶されたテーブルとに基づいて、記録媒体5を副走査方向Xに移動させるときに使用するセンターピンチローラ72を決定する。例えば、図12に示す例において、第1設定部84によって記録媒体Aが設定されたとき、第1決定部86は、センターピンチローラA〜Fを使用するセンターピンチローラ72として決定する。
第1通知部88は、第1決定部86によって決定された使用するセンターピンチローラ72を通知する。即ち、第1通知部88は、使用するセンターピンチローラ72をユーザに通知する。第1通知部88は、使用しないセンターピンチローラ72をユーザに通知してもよい。なお、通知方法は特に限定されず、例えば、視覚的な表示、音声等による通知が挙げられる。本実施形態では、例えば、操作パネル12の表示部12Aを通じて視覚的に作業者に対する通知を行う。即ち、表示部12Aに使用するセンターピンチローラ72が表示される。例えば、第1通知部88によって、使用するセンターピンチローラ72としてセンターピンチローラD〜Fが通知された場合、本実施形態のプリンタ100では、図13に示すように、センターピンチローラユニット72D、72E、72Fを使用する。即ち、記録媒体5を、左サイドピンチローラ62L、右サイドピンチローラ62Rおよびセンターピンチローラユニット72D、72E、72Fのセンターピンチローラ72とグリットローラ57とによって挟む。このとき、例えば、ユーザはセンターピンチローラユニット72A、72B、72Cを保持シャフト45に沿って主走査方向Yに移動させ、センターピンチローラユニット72A、72B、72Cがグリットローラ57の上方からずれた位置に配置させる。ここでは、センターピンチローラユニット72A、72B、72Cは、それぞれ、主走査方向Yに関してグリットローラ57の間に位置する。また、左サイドピンチローラ62Lが記録媒体5の左端部を上から押さえてグリットローラ57との間に記録媒体5を挟むように、左サイドピンチローラユニット60Lを保持シャフト45に沿って右方に移動させる。即ち、左サイドピンチローラユニット60Lを、左から2つめのグリットローラ57上に移動させる。この状態で、保持シャフト45が回転すると、左サイドピンチローラ62L、右サイドピンチローラ62R、センターピンチローラユニット72D、72E、72Fのセンターピンチローラ72は、下方に移動してグリットローラ57に接近する。一方、センターピンチローラユニット72A、72B、72Cのセンターピンチローラ72は、傾斜壁18Lに接触するため下方には移動しない(即ちグリットローラ57に接近しない)。
以上のように、本実施形態のプリンタ100によると、第1決定部86は、第1設定部84によって設定された記録媒体情報と記憶部82に記憶されたテーブルとに基づいて、記録媒体5を副走査方向Xに移動させるときに使用するセンターピンチローラ72を決定する。例えば、ユーザが記録媒体情報を設定することによって、記録媒体5の性質に合せて、該記録媒体5を副走査方向Xに移動させるときに使用されるセンターピンチローラ72が決定される。そして、第1通知部88は、第1決定部86によって決定された使用するセンターピンチローラ72を通知する。これにより、ユーザは、例えば使用しないセンターピンチローラ72を媒体移動機構55から取り外したり、使用しないセンターピンチローラ72を媒体移動機構55の所定の位置に移動させることによってグリットローラ57との間に記録媒体5を挟み込めないようにしたりして、使用するセンターピンチローラ72とグリットローラ57とを用いて記録媒体5を適切に挟むことができる。この結果、副走査方向Xに移動する記録媒体5にシワが発生することが抑制される。このように、上記プリンタ100によると、記録媒体情報を設定することによって、使用するセンターピンチローラ72が決定されるため、記録媒体5を副走査方向Xに適切に移動させることができる。
本実施形態のプリンタ100によれば、サイドピンチローラ62およびセンターピンチローラ72は、ゴム材料から形成されており、サイドピンチローラ62のゴム硬度は、センターピンチローラ72のゴム硬度より高い。センターピンチローラ72は、記録媒体5のうち印刷領域に接触するため、センターピンチローラ72とグリットローラ57とによって記録媒体5を挟み込む力(即ちセンターピンチローラ72がグリットローラ57を押圧する力)は、比較的小さくしたい。このため、センターピンチローラ72のゴム硬度をサイドピンチローラ62のゴム硬度より低くすることによって、記録媒体5を挟み込む力を小さくしても記録媒体5を適切に移動させることができる。これにより、記録媒体5にシワが発生することが抑制される。
本実施形態のプリンタ100によれば、左サイドピンチローラ62Lおよび右サイドピンチローラ62Rは、円錐台形状に形成され、センターピンチローラ72は、円柱形状に形成されている。左サイドピンチローラ62Lのうちセンターピンチローラ72側に位置する第1面62LAの直径DL1は、主走査方向Yに関して第1面62LAの反対側に位置する第2面62LBの直径DL2より小さく、右サイドピンチローラ62Rのうちセンターピンチローラ72側に位置する第1面62RAの直径DR1は、主走査方向Yに関して第1面62RAの反対側に位置する第2面62RBの直径DR2より小さい。これにより、記録媒体5が副走査方向Xに移動するときに、各サイドピンチローラ62L、62Rにおいて主走査方向Yに関してセンターピンチローラ72から離れる方向に記録媒体5を引っ張ることができるため、記録媒体5にシワが発生することを抑制することができる。
本実施形態のプリンタ100は、センターピンチローラ72がグリットローラ57に対して接近することを阻止する傾斜壁18Lを備えている。これにより、ユーザは、例えば使用しないセンターピンチローラ72を傾斜壁18Lと接触可能な位置に移動させることによって、保持シャフト45を回転させてもセンターピンチローラ72をグリットローラ57に接近させないようにすることができる。
本実施形態のプリンタ100によれば、傾斜壁18Lは、主走査方向Yに関してグリットローラ57と重ならない位置に配置されている。これにより、使用しないセンターピンチローラ72を主走査方向Yに関してグリットローラ57とずれた位置に移動させることで、保持シャフト45を回転させても傾斜壁18Lによってセンターピンチローラ72をグリットローラ57に接近させないようにすることができる。
本実施形態のプリンタ100は、主走査方向Yに移動可能であり、プラテン16に載置された記録媒体5を切断するカッター33を有するカッティングヘッド38を備えている。これにより、印刷時だけでなく記録媒体5をカッター33によって切断するときにも記録媒体5にシワが発生することを抑制することができる。
<第2実施形態>
図14は、第2実施形態に係るプリンタ200の制御系のブロック図である。図14に示すように、制御装置180は、搬送部90、第2設定部92、第2決定部94および第2通知部96をさらに備える点を除き、第1実施形態に係る制御装置80と同様の構成である。制御装置180の各部の機能は、プログラムによって実現されている。このプログラムは、例えばCDやDVDなどの記録媒体から読み込まれる。なお、このプログラムは、インターネットを通じてダウンロードされるものであってもよい。また、制御装置180の各部の機能は、プロセッサおよび/または回路などによって実現可能なものであってもよい。なお、これら各部の具体的な機能については後述する。
搬送部90は、第1決定部86によって決定された使用するセンターピンチローラ72を用いて、プラテン16に載置された記録媒体5を副走査方向Xにテスト搬送する。即ち、搬送部90は、記録媒体5にインクヘッド22からインクを吐出したり、カッター33によって記録媒体5を切断したりする前に、事前に記録媒体5を副走査方向Xに移動させる。例えば、ユーザが操作パネル12を操作することによって、記録媒体5のテスト搬送が行われる。
第2設定部92は、テスト搬送された記録媒体5に発生したシワの情報であるシワ情報を設定する。シワ情報には、例えば、シワの程度を示す情報や、記録媒体5におけるシワの発生場所に関する場所情報等が含まれる。シワ情報の設定は、例えば、操作パネル12を用いてユーザによって行われる。なお、シワ情報の設定は、プリンタ10に接続された操作端末を用いてユーザによって行われてもよい。シワ情報の設定は、例えば、記録媒体の位置情報が一覧表示されたリストから選択したり、シワの程度を一覧から選択したりすることによって行われる。
第2決定部94は、第1設定部84によって設定された記録媒体情報と記憶部82に記憶されたテーブルと第2設定部92によって設定されたシワ情報とに基づいて、記録媒体5を副走査方向Xに移動させるときに使用する複数のセンターピンチローラ72の中から使用しないセンターピンチローラ72を決定する。第2決定部94は、例えば、複数のセンターピンチローラ72から記録媒体5に加わる押圧力が均等となるように、使用しないセンターピンチローラ72を決定する。また、第2決定部94は、例えば、シワ情報のうち場所情報に基づいて、テスト搬送で使用されたセンターピンチローラ72のうち発生したシワに最も近いセンターピンチローラ72を使用しないセンターピンチローラ72としてもよい。例えば、図12に示す例において、記録媒体Aをテスト搬送するときに、センターピンチローラDの近くでシワが発生した場合、第2決定部94は、センターピンチローラDを使用しないセンターピンチローラ72とする。
第2通知部96は、第2決定部94によって決定された使用しないセンターピンチローラ72を通知する。第2通知部96は、使用するセンターピンチローラ72をユーザに通知してもよい。なお、通知の方法は、第1通知部88による通知の方法と同様である。
本実施形態のプリンタ200によれば、第2決定部94は、第1設定部84によって設定された記録媒体情報と記憶部82に記憶されたテーブルと第2設定部92によって設定されたシワ情報とに基づいて、記録媒体5を副走査方向Xに移動させるときに使用する複数のセンターピンチローラ72の中から使用しないセンターピンチローラ72を決定する。通常は、第1決定部86によって決定されたセンターピンチローラ72を用いて、プラテン16に載置された記録媒体5を副走査方向Xにテスト搬送しても、記録媒体5にシワが発生することは抑制される。しかしながら、プリンタ200の環境温度や記録媒体5の状態(記録媒体5の温度等)によっては、記録媒体5にシワが発生し得る。このため、例えば、ユーザがシワ情報を設定することによって、記録媒体5の状態に合せて、該記録媒体5を副走査方向Xに移動させるときに使用されないセンターピンチローラ72が決定される。そして、第2通知部96は、第2決定部94によって決定された使用しないセンターピンチローラ72を通知する。これにより、ユーザは、例えば使用しないセンターピンチローラ72を媒体移動機構55から取り外したり、使用しないセンターピンチローラ72を媒体移動機構55の所定の位置に移動させることによってセンターピンチローラ72とグリットローラ57との間に記録媒体5を挟み込めないようにしたりして、使用するセンターピンチローラ72とグリットローラ57とを用いて記録媒体5をより適切に挟むことができる。この結果、副走査方向Xに移動する記録媒体5にシワが発生することがよりよく抑制される。
本実施形態のプリンタ10によれば、シワ情報には、シワの発生場所に関する場所情報が含まれ、第2決定部94は、場所情報に基づいて、テスト搬送で使用されたセンターピンチローラ72のうち発生したシワに最も近いセンターピンチローラ72を使用しないセンターピンチローラ72としてもよい。これにより、副走査方向Xに移動する記録媒体5にシワが発生することがよりよく抑制され得る。
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。しかし、上述の各実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することができる。
上述した実施形態では、カッティングヘッド付きインクジェットプリンタを例に説明したが、カッティングヘッドを備えていないプリンタであってもよい。
上述した実施形態では、保持シャフト45の回転に伴って全てのセンターピンチローラ72がグリットローラ57に接近または離反するように構成されていたが、これに限定されない。図示しないリンク機構等によって各センターピンチローラ72を単独でグリットローラ57に接近または離反させるように構成されていてもよい。
上述した実施形態では、使用しないセンターピンチローラ72は、ユーザが保持シャフト45に沿って移動させていたが、図示しないリンク機構等によってセンターピンチローラ72を自動で保持シャフト45に沿って移動させてもよい。
上述した実施形態では、記録媒体情報の設定はユーザによって行われていたが、例えば、記録媒体5に予め設けられた識別標識(例えば二次元コード)をプリンタ100に設けられたリーダによって読み取ることで自動的に設定されてもよい。