JP6612705B2 - 塗装金属板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、塗装金属板の製造方法に関する。
屋外の建造物や土木構造等には、塗装金属板が多く用いられている。このような塗装金属板では、自動車の排気ガス、工場からの煤煙等に含まれるカーボン系汚染物質(以下、「疎水性カーボン」とも称する)の付着による汚れが問題となっている。また、汚れの中でも特に、雨筋に沿って付着する汚れ(以下、「雨筋汚れ」とも称する)が目立ちやすい。従来の塗装金属板では、このような雨筋汚れが比較的短時間のうちに目立つようになることが避けられず、雨筋汚れが発生し難い塗装金属板が求められていた。
これに対し、塗膜表面を親水性にすることで、雨筋汚れを防止することが提案されている。対水接触角が低い親水性の塗膜表面では、雨水によって疎水性カーボンが浮き上がり、疎水性カーボンが洗い流されると考えられる。塗装金属板表面を親水化する手法の一つとして、オルガノシリケートまたはその縮合物を含む組成物を金属板表面に塗布し、塗膜を形成する方法が挙げられる(特許文献1)。オルガノシリケートまたはその縮合物を含む組成物を金属板表面に塗布すると、オルガノシリケート等が膜の表面側に移動する。そして、これらが空気中の水分等と反応し、塗膜表面にシラノール基やシロキサン結合が生じることで、塗装金属板の表面が親水性となる。
国際公開第1994/6870号
近年、プレコート鋼板を作製する場合等、金属板上に塗布した各種組成物(膜)に風を吹き付けながら、膜を硬化させる手法が利用されることがある。風を吹き付けながら組成物を硬化させると、組成物に含まれる溶媒が素早く蒸発する。そのため、組成物の硬化時時間を短縮でき、塗装金属板の製造効率が高まる、との利点がある。
しかしながら、比較的低分子量のオルガノシリケートまたはその縮合物を含む組成物を上記方法で硬化させると、得られる塗膜表面の親水性が十分に高まらず、さらには塗装金属板に外観不良が発生しやすいとの課題があった。その理由は、以下のように考えられる。
比較的低分子量のオルガノシリケート等を含む組成物に風を吹き付けると、溶媒だけでなく、オルガノシリケートやその縮合物の多くが蒸発してしまう。その結果、塗膜に含まれるオルガノシリケート等の量が少なくなり、塗膜表面が十分に親水化されなくなると考えられる。また、蒸発したオルガノシリケート等は、組成物を硬化させるための加熱装置の壁面等に付着し、シリカを生成する。そして、当該シリカが、加熱中の膜と接触したり、加熱装置から剥がれ落ちて膜表面に付着したりすることで、塗装金属板の外観不良が発生する。
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、表面に雨筋汚れが生じ難く、良好な外観を有する塗装金属板の製造方法の提供を目的とする。
本発明は、以下の塗装金属板の製造方法を提供する。
[1]金属板の表面に、重量平均分子量が1100以上であるオルガノシリケートの縮合物を含む組成物を塗布する工程と、前記組成物からなる膜を、前記膜表面の風速が1m/s以上である環境下で加熱する工程と、を有する、塗装金属板の製造方法。
[2]前記オルガノシリケートの縮合物が、メチルシリケート縮合物、エチルシリケート縮合物、およびエトキシ部分置換メチルシリケート縮合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体である、[1]に記載の塗装金属板の製造方法。
[3]前記組成物が、オルト酢酸トリメチルをさらに含む、[1]または[2]に記載の塗装金属板の製造方法。
[4]前記組成物が、ポリエステル樹脂またはアクリル樹脂をさらに含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の塗装金属板の製造方法。
本発明の製造方法によれば、表面に雨筋汚れが生じ難く、良好な外観を有する、塗装金属板が得られる。
本発明は、金属板と、当該金属板上に形成された、親水性の高い塗膜と、を有する塗装金属板の製造方法に関する。前述のように、従来、金属板の表面に、オルガノシリケートやその縮合物を含む組成物の塗膜を形成し、雨筋汚れを防止することが試みられている。しかしながら、比較的低分子量のオルガノシリケートやその縮合物を含む組成物を金属板表面に塗布し、風を吹き付けながら膜を硬化させると、得られる塗膜において耐雨筋汚れ性が十分に発現し難く、さらには塗装金属板の外観不良も生じやすいとの課題があった。
これに対し、本発明の塗装金属板の製造方法では、金属板に重量平均分子量が1100以上であるオルガノシリケート縮合物を含む組成物を塗布し、塗膜を形成する。オルガノシリケート縮合物の重量平均分子量が1100以上であると、風を吹き付けながら膜を硬化させても、オルガノシリケート縮合物が蒸発し難くなる。したがって、当該方法によれば、塗膜表面におけるオルガノシリケート縮合物の濃度を十分に高めることが可能であり、得られる塗装金属板表面の親水性を十分に高めることが可能である。また、当該方法によれば、膜を硬化させるための加熱装置が汚染され難いことから、得られる塗装金属板に外観不良等が生じ難い。以下、本発明の塗装金属板の製造方法の各工程について説明する。
(組成物の塗布工程)
本発明の塗装金属板の製造方法では、金属板上に、重量平均分子量が1100以上であるオルガノシリケートの縮合物を含む組成物を塗布し、膜を形成する。金属板の表面に組成物を塗布する方法は特に制限されず、公知の方法から適宜選択することが可能である。組成物の塗布方法の例には、ロールコート法や、カーテンフロー法、スピンコート法、エアースプレー法、エアーレススプレー法および浸漬引き上げ法が含まれる。これらの中でも、ロールコート法が効率よく、所望の厚みを有する塗膜を得やすいとの観点から好ましい。
また、組成物を塗布する金属板は、一般的に建築板として使用されている金属板を使用することができる。このような金属板の例には、溶融Zn−55%Al合金めっき鋼板等のめっき鋼板;普通鋼板やステンレス鋼板等の鋼板;アルミニウム板;銅板等が含まれる。金属板には、本発明の効果を阻害しない範囲で、その表面に化成処理皮膜や下塗り塗膜等が形成されていてもよい。さらに、当該金属板には、本発明の効果を損なわない範囲で、エンボス加工や絞り成形加工等の凹凸加工がなされていてもよい。
金属板の厚みは特に制限されず、塗装金属板の用途に応じて適宜選択される。例えば、塗装金属板を金属サイディング材に使用する場合には、金属板の厚みは0.15〜0.5mmとすることができる。
一方、金属板上に塗布する組成物は、重量平均分子量が1100以上であるオルガノシリケートの縮合物を少なくとも含んでいればよい。組成物は、オルガノシリケートの縮合物の他に、樹脂や硬化剤、無機粒子、有機粒子、着色顔料、脱水剤、溶媒等を含んでいてもよい。
ここで、本明細書でいう「オルガノシリケート」とは、下記一般式(1)で表される化合物とする。
Si−(OR) (1)
上記一般式(1)において、Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜10の炭化水素基を表し、複数のRは同一であってもよく、異なっていてもよい。
また、本明細書でいう「オルガノシリケートの縮合物(以下、「オルガノシリケート縮合物」とも称する)」とは、上記オルガノシリケートが直鎖状または分岐鎖状に重縮合した構造を有する重合体をいう。つまり、オルガノシリケート縮合物は、−Si−O−で表されるシロキサン結合からなる骨格と、当該シロキサン結合のSiに結合した−OR(Rは上記一般式(1)におけるRと同様である)で表されるアルコキシ基を構造中に含む。なお、「オルガノシリケート縮合物」には、オルガノシリケートを加水分解・重縮合して得られる重合体だけでなく、当該重合体の合成後、アルコキシ基の一部または全部を、所望の炭素数を有するアルコキシ基(例えばエトキシ基)に置換した重合体等も含む。
ここで、オルガノシリケート縮合物が含むアルコキシ基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、芳香環を有していてもよい。ただし、アルコキシ基中の炭素数が少ないほど、塗膜表面で、オルガノシリケート縮合物が加水分解されやすくなる。したがって、炭素数は少ないことが好ましい。
オルガノシリケート縮合物が含むアルコキシ基の例には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、iso−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、iso−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、iso−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、iso−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、フェニルオキシ基、トルイルオキシ基、キシリルオキシ基、ナフチルオキシ基等が含まれる。これらの中でもメトキシ基およびエトキシ基が好ましい。
また特に、オルガノシリケート縮合物は、メチルシリケート縮合物(テトラメトキシシランの縮合物)、エチルシリケート縮合物(テトラエトキシシランの縮合物)、およびエトキシ部分置換メトキシシリケート縮合物(メチルシリケート縮合物のメトキシ基の一部を、エトキシ基で置換したもの)のいずれか、またはこれらの混合物であることが特に好ましい。なお、エトキシ部分置換メチルシリケート縮合物は、エタノールとメチルシリケート縮合物とを、トリエチルアミン等の触媒存在下で反応させることにより、調製することができる。エトキシ部分置換メチルシリケート縮合物が含むエトキシ基の割合は、反応時間によって調整することができる。
ここで、オルガノシリケート縮合物の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下「GPC」とも称する)で測定される値(ポリスチレン換算)である。オルガノシリケート縮合物の重量平均分子量は、1100以上であればよいが、3000未満であることが好ましく、1100〜2000であることがさらに好ましい。前述のように、オルガノシリケート縮合物の重量平均分子量が1100以上であると、風を吹き付けながら膜を硬化させてもオルガノシリケート縮合物が蒸発し難くなる。一方で、オルガノシリケート縮合物の重量平均分子量が過度に高いと、少量の水分によって、組成物の粘度が上昇し、保存安定性が低下しやすくなる。これに対し、オルガノシリケート縮合物の重量平均分子量が3000以下であると、組成物の粘度が高まり難く、保存安定性が良好になりやすい。
また、オルガノシリケート縮合物の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、1.0〜2.5であることが好ましく、1.0〜1.5であることがより好ましい。Mw/Mnが小さいほど、オルガノシリケート縮合物に含まれる低分子量成分が少なくなり、吹き付けながら膜を硬化させてもオルガノシリケート縮合物が蒸発し難くなる。オルガノシリケート縮合物の数平均分子量(Mn)は、GPCによって測定される値(ポリスチレン換算)である。
ここで、オルガノシリケート縮合物は、各種オルガノシリケートを加水分解重縮合して調製したものであってもよく、市販品であってもよい。オルガノシリケート縮合物の市販品の例には、メチルシリケートMS56、MS57、MS56S(いずれも三菱化学株式会社製)等のメチルシリケート縮合物;シリケート45(多摩化学工業株式会社製)等のエチルシリケート縮合物;EMS−485(コルコート株式会社製)等のエトキシ部分置換メチルシリケート縮合物;等が含まれる。
また、組成物はその固形分100質量部に対して、オルガノシリケート縮合物を2質量部以上含むことが好ましく、3〜7質量部含むことがより好ましい。組成物が、オルガノシリケート縮合物を上記範囲含むことで、塗膜表面の親水性を十分に高めることが可能となり、塗装金属板の耐雨筋汚れ性が良好となる。
一方、組成物が含む樹脂の例には、ポリエステル樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、アミノ−ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アミノ−アクリル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂等の高分子化合物が含まれる。これらの中でも、汚れ付着性が低いことから、ポリエステル樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、アミノ−ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アミノ−アクリル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂が好ましく、耐候性が高いことから、ポリエステル樹脂またはアクリル樹脂が特に好ましい。
ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸および多価アルコールを重縮合させた公知の樹脂とすることができる。多価カルボン酸の例には、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸及びこれらの無水物;2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類及びこれらの無水物;コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸類及びこれらの無水物;γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等のラクトン類;トリメリット酸、トリメジン酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸類;等が含まれる。ポリエステル樹脂は、上記多価カルボン酸由来の構造を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
多価アルコールの例には、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−ドデカンジオール、1,2−オクタデカンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAアルキレンオキシド付加物、ビスフェノールSアルキレンオキシド付加物等のグリコール類;トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の3価以上の多価アルコール類等が含まれる。ポリエステル樹脂は、上記多価アルコール由来の構造を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
上記樹脂が、ポリエステル樹脂である場合、GPCで測定される数平均分子量(ポリスチレン換算)は、2,000〜8,000であることが好ましい。数平均分子量が2,000より小さくなると塗装金属板の加工性が低下することがあり、塗膜ワレが発生しやすくなることがある。また、数平均分子量が8,000より大きくなると、得られる塗膜の架橋密度が低くなる。そのため、塗膜の耐候性が低下することがある。加工性と耐候性のバランスから数平均分子量は3,000〜6,000であることが特に好ましい。
一方、アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルをモノマー成分として含む樹脂であればよく、(メタ)アクリル酸エステルと共に、他のモノマー成分を一部に含んでいてもよい。本明細書において(メタ)アクリルとは、アクリルおよび/またはメタクリルをいう。アクリル樹脂を構成するモノマー成分の例には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−、i−、またはt−ブチル、(メタ)アクリル酸へキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロへキシル等の炭素数1〜18のエステル基を有する(メタ)アクリルエステルまたは(メタ)アクリルシクロアルキルエステル;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の炭素数2〜8のヒドロキシアルキルエステル基を有する(メタ)アクリルヒドロキシエステル;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のN−置換(メタ)アクリルアミド系モノマー;スチレン、ビニルトルエン、2−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン等の芳香族ビニルモノマー;(メタ)アクリル酸;グリシジル(メタ)アクリレート等が含まれる。アクリル樹脂は、これらのモノマー成分を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
上記樹脂がアクリル樹脂である場合、GPCで測定される数平均分子量(ポリスチレン換算)は、塗膜硬度および耐候性に優れた塗膜を得る観点から、1,000〜200,000であることが好ましく、5,000〜100,000であることがより好ましく、10,000〜50,000であることがさらに好ましい。
樹脂の量は、塗装金属板の用途や、樹脂の種類に応じて適宜選択される。得られる塗膜の強度等の観点から、組成物は、その固形分100質量部に対して、上記樹脂を25〜60質量部含むことが好ましく、30〜50質量部含むことがより好ましい。
一方、硬化剤は、塗膜の性状や物性(例えば塗膜表面硬度や耐久性)等を調整するための成分であり、硬化剤の一例として、上記樹脂を架橋可能な化合物が挙げられる。硬化剤は、樹脂の種類に応じて適宜選択される。例えば、上記樹脂がポリエステル樹脂である場合、硬化剤は、メラミン系硬化剤であることが好ましい。メラミン系硬化剤の例には、メチロールメラミンメチルエーテル等のメチル化メラミン系樹脂硬化剤;メチロールメラミンブチルエーテル等のn−ブチル化メラミン系樹脂硬化剤;メチルとn−ブチルとの混合エーテル化メラミン樹脂硬化剤等が含まれる。
硬化剤の量は、塗装金属板の用途や、樹脂の種類に応じて適宜選択される。組成物は、上記樹脂100質量部に対して、上記硬化剤を5〜20質量部含むことが好ましく、7〜15質量部含むことがより好ましい。硬化剤の量が上記範囲であると、得られる塗膜の硬化性が良好になる。
組成物は、無機粒子や有機粒子を含んでもよい。組成物がこれらを含むと、得られる塗膜の表面粗さ等が調整されやすくなる。ここで、無機粒子または有機粒子の平均粒子径は4〜80μmであることが好ましく、10〜60μmであることがより好ましい。無機粒子や有機粒子の平均粒子径は、コールターカウンター法で測定される値である。なお、無機粒子や有機粒子の形状は特に制限されないが、得られる塗膜の表面状態を調整しやすいとの観点から、略球状であることが好ましい。
無機粒子の例には、シリカ、硫酸バリウム、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、ガラスビーズ、ガラスフレークが含まれる。また、有機粒子の例には、アクリル樹脂やポリアクリロ二トリル樹脂からなる樹脂ビーズが含まれる。これらの樹脂ビーズは、公知の方法を用いて製造したものであってもよく、市販品であってもよい。市販のアクリル樹脂ビーズの例には、東洋紡株式会社製の「タフチック AR650S(平均粒径18μm)」、「タフチック AR650M(平均粒径30μm)」、「タフチック AR650MX(平均粒径40μm)」、「タフチック AR650MZ(平均粒径60μm)」、「タフチック AR650ML(平均粒径80μm)」が含まれる。また、市販のポリアクリロニトリル樹脂ビーズの例には、東洋紡株式会社製の「タフチック A−20(平均粒径24μm)」、「タフチック YK−30(平均粒径33μm)」、「タフチック YK−50(平均粒径50μm)」および「タフチック YK−80(平均粒径80μm)」等が含まれる。
無機粒子および/または有機粒子の量は、所望の塗膜の表面状態等に応じて適宜選択される。通常、組成物の固形分100質量部に対する無機粒子および/または有機粒子の合計量は、1〜40質量部とすることができる。
またさらに、組成物は、必要に応じて着色顔料を含んでいてもよい。着色顔料の平均粒子径は、例えば0.2〜2.0μmとすることができる。このような着色顔料の例には、酸化チタン、酸化鉄、黄色酸化鉄、フタロシアニンブルー、カーボンブラック、コバルトブルー等が含まれる。なお、組成物が着色顔料を含む場合、その量は、組成物の固形分100質量部に対して、20〜60質量部であることが好ましく、30〜55質量部であることがより好ましい。
組成物は、さらに脱水剤を含んでいてもよい。上記無機粒子や着色顔料等は、大気中の水分を吸湿しやすく、組成物が水分を含みやすい。組成物が水分を含むと、オルガノシリケート縮合物が組成物内で反応し、組成物の増粘等が生じやすくなる。そこで、脱水剤によって、組成物の増粘等を抑制することが好ましい。
脱水剤は、組成物中の水と反応して、オルガノシリケート縮合物と反応し難い成分を生成する化合物であれば特に制限されない。脱水剤の例には、オルト酢酸トリメチル、オルトギ酸トリエチル等が含まれるが、特に、オルト酢酸トリメチルが好ましい。脱水剤が反応して生成する酸のpHが過度に高いと、オルガノシリケート縮合物が反応して、組成物が増粘することがある。これに対し、オルト酢酸トリメチルと水とが反応して生じる酢酸は、オルガノシリケート縮合物に影響を及ぼし難い。
組成物は、脱水剤を組成物の固形分100質量部に対して2〜25質量部含むことが好ましく、5〜15質量部含むことが好ましい。
また、組成物は、必要に応じて有機溶剤等の溶媒を含んでもよい。溶媒が有機溶剤である場合、当該有機溶剤は、上記オルガノシリケート縮合物や樹脂、硬化剤、無機粒子や有機粒子、脱水剤等を十分に溶解、または分散させることが可能なものであれば特に制限されない。有機溶剤の例には、トルエン、キシレン、Solvesso(登録商標)100(商品名、エクソンモービル社製)、Solvesso(登録商標)150(商品名、エクソンモービル社製)、Solvesso(登録商標)200(商品名、エクソンモービル社製)等の炭化水素系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤;メタノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール等のアルコール系溶剤;エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテルアルコール系溶剤;等が含まれる。組成物は、これらを1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。これらの中でも、樹脂との相溶性等の観点から、好ましくはキシレン、Solvesso(登録商標)100、Solvesso(登録商標)150、シクロヘキサノン、n−ブチルアルコールである。
組成物の調製方法は特に制限されない。例えば、公知の塗料と同様の方法により、上記材料を混合し、攪拌もしくは分散することで、調製することができる。なお、オルガノシリケート縮合物は、他の成分と予め混合してもよい。また、オルガノシリケート縮合物以外の材料を予め混合しておき、オルガノシリケート縮合物を後から混合してもよい。
(塗膜の加熱工程)
本発明の塗装金属板の製造方法では、上述の組成物からなる膜の形成後、膜表面の風速(以下、「板面風速」とも称する)が1m/s以上となる環境下で膜を加熱し、膜(組成物)を硬化させる。膜の加熱および風の吹き付けを行う装置は特に制限されず、公知の加熱装置を用いることができる。公知の加熱装置の一例として、株式会社東上熱学製自動排出型乾燥器(型式 ATO−101)が挙げられる。膜表面に吹き付ける風の温度は特に制限されず、常温の風を吹き付けてもよく、熱風を吹き付けてもよい。また、膜表面に吹き付ける風(気体)の種類は特に制限されず、例えばクリーンエアーや窒素等とすることができる。なお、板面風速は、加熱装置に供給する気体の量によって調整することができる。また、板面風速は日本カノマックス株式会社製中高温アネモマスター風速計MОDEL6162で測定することができる。
ここで、板面風速が速いほど、膜中の溶媒を効率良く蒸発させることができ、膜の硬化時間を早めることができる。ただし、板面風速が過度に速いと、上述のオルガノシリケート縮合物が蒸発することがある。したがって、板面風速は4m/s以下であることが好ましく、1〜2.5m/sであることがより好ましい。
また、膜の加熱温度、すなわち加熱装置内の温度は、組成物中の樹脂等の分解を防止し、かつ均質な塗膜を得るとの観点から、120℃〜300℃であることが好ましく、150℃〜280℃であることがより好ましく、180〜260℃であることがさらに好ましい。処理時間は特に制限されず、上記と同様の観点から、3〜90秒であることが好ましく、10〜70秒であることがより好ましく、20〜60秒であることがさらに好ましい。
上述の方法により形成される塗膜の厚みは、塗装金属板の用途等に応じて適宜選択することができ、通常3〜30μmの範囲内であることが好ましい。当該厚みは、得られた塗膜の比重とサンドブラスト等による塗膜除去前後の塗装金属板の重量差から重量法によって求めることができる。塗膜が薄すぎる場合、塗膜の耐久性および隠蔽性が不十分となることがある。一方、塗膜が厚すぎる場合、製造コストが増大するとともに、塗膜形成時にワキが発生しやすくなることがある。
以上のように、本発明の塗装金属板の製造方法では、重量平均分子量が比較的大きいオルガノシリケート縮合物を用いて塗膜を形成する。そのため、塗膜の形成を、風を吹き付けながら行ったとしても、オルガノシリケート縮合物が蒸発し難く、得られる塗膜表面の親水性を十分に高めることができる。また、塗膜形成の際に、加熱装置の汚染が生じ難い。つまり、膜の加熱の際に加熱装置と膜とが接触すること等が少なく、さらには、加熱装置から剥がれ落ちたシリカ等によって、外観不良が発生すること等が少ない。したがって、本発明によれば、各種建築物の外装建材等に適用可能な、雨筋汚れ等が生じ難く、外観性が良好な塗装金属板を効率よく製造することができる。
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例により限定されない。
1.金属板の準備
板厚0.27mm、A4サイズ、片面当りめっき付着量90g/mの溶融Zn−55%Al合金めっき鋼板を金属板として準備し、表面をアルカリ脱脂した。その後、当該表面に、塗布型クロメート処理液(日本ペイント株式会社製 NRC300NS)を、Crの付着量が50mg/mとなるように塗布した。さらに、エポキシ樹脂系プライマー塗料(日本ファインコーティングス株式会社製 700P)を、乾燥膜厚が5μmとなるようにロールコーターで塗布した。続いて、基材の最高到達板温215℃となるように焼き付け、プライマー塗膜を形成しためっき鋼板(以下、単に「めっき鋼板」とも称する)を得た。
2.塗膜の形成
2−1.材料の準備
オルガノシリケートまたはその縮合物は、以下の市販品を使用した。
[メチルシリケートまたはその縮合物]
・オルト珪酸テトラメチル(東京化成工業株式会社製、テトラメトキシシラン)分子量:152
・メチルシリケート51(コルコート株式会社製、テトラメトキシシランの縮合物)重量平均分子量(Mw):590、数平均分子量(Mn):470
・メチルシリケートMS51(三菱化学株式会社製、テトラメトキシシランの縮合物)重量平均分子量(Mw):620、数平均分子量(Mn):500
・メチルシリケート53A(コルコート株式会社製、テトラメトキシシランの縮合物)重量平均分子量(Mw):840、数平均分子量(Mn):610
・メチルシリケートMS56(三菱化学株式会社製、テトラメトキシシランの縮合物)重量平均分子量(Mw):1100、数平均分子量(Mn):710
・メチルシリケートMS57(三菱化学株式会社製、テトラメトキシシランの縮合物)重量平均分子量(Mw):1400、数平均分子量(Mn):810
・メチルシリケートMS56S(三菱化学株式会社製、テトラメトキシシランの縮合物)重量平均分子量(Mw):2000、数平均分子量(Mn):900
[エチルシリケートまたはその縮合物]
・エチルシリケート28(コルコート株式会社製、テトラエトキシシラン)分子量:208
・エチルシリケート40(コルコート株式会社製、テトラエトキシシランの縮合物)重量平均分子量(Mw):650、数平均分子量(Mn):430
・シリケート40(多摩化学工業社製、テトラエトキシシランの縮合物)重量平均分子量(Mw):930、数平均分子量(Mn):500
・シリケート45(多摩化学工業株式会社製、テトラエトキシシランの縮合物)重量平均分子量(Mw):1100、数平均分子量(Mn):820
[エトキシ部分置換メチルシリケート縮合物]
・EMS−485(コルコート株式会社製)重量平均分子量(Mw):1200、数平均分子量(Mn):910
[n−プロピルシリケート]
・N−プロピルシリケート(コルコート株式会社製、n−プロポキシシラン)分子量:264
2−2.ポリエステル樹脂系の塗膜の形成(比較例1〜14、実施例1〜10)
数平均分子量5,000、ガラス転移温度30℃、水酸基価28mgKOH/gの高分子ポリエステル樹脂(DIC株式会社製)と、メトキシ基90モル%のメチル化メラミン樹脂(三井サイテック株式会社製 サイメル303)とを混合し、ベースとなるポリエステル樹脂/メラミン塗料を得た。ポリエステル樹脂とメチル化メラミン樹脂との配合比は70/30とした。
上記ポリエステル樹脂/メラミン塗料に、平均粒径5.5μmの疎水性シリカ(富士シリシア株式会社製 サイシリア456)を1〜8質量%添加した。疎水性シリカの添加量は、得られる塗膜の60°鏡面光沢度が30となるように調整した。また同時に、着色顔料として、平均粒径0.28μmの酸化チタン(テイカ株式会社製 JR−603)を、組成物の固形分量に対して36質量%添加した。
その後、触媒として、ドデシルベンゼンスルフォン酸を、上記ポリエステル樹脂/メラミン塗料の固形分量に対して1質量%加え、さらに、ジメチルアミノエタノールを加えた。ジメチルアミノエタノールの添加量は、ドデシルベンゼンスルフォン酸の酸当量に対してアミン当量が1.25倍となる量とした。
さらに、表1および表2に示すオルガノシリケートもしくはその縮合物を、組成物の総固形分量に対して5質量%となるように添加した。また、表1および表2に示す脱水剤(オルト酢酸トリメチルまたはオルトギ酸トリエチル)を、組成物の総固形分量に対して5質量%となるように添加した。得られた組成物中の水分量を、カールフィシャー法により測定したところ、0.46wt%であった。
上記組成物を、乾燥膜厚が18μmとなるように上述のめっき鋼板にロールコーターで塗布した。その後、最高到達板温225℃、板面風速が表1および表2に示す速度となるように加熱装置を調整し、当該環境下で上記組成物を45秒間焼き付けた。なお、組成物中の水分による加水分解の影響を少なくするために、オルガノシリケートまたはその縮合物の添加後、1時間〜3時間の範囲内で組成物を塗布した。
2−3.アクリル樹脂系の塗膜の形成(比較例15〜25、実施例11〜16)
アクリル樹脂(株式会社日本触媒製 アロセット5534−SB60)37.85質量部(固形分量)、平均粒径0.28μmの酸化チタン顔料(テイカ株式会社製 JR−603)37.85質量部、シクロヘキサノン10質量部、およびブタノール25質量部を混合し、ビーズミルで混練した。その後、硬化剤として、メラミン樹脂(DIC株式会社製 スーパーベッカミンL−155−70)15.06質量部(固形分量)を加え、ベースとなるアクリル樹脂塗料を調製した。
このアクリル樹脂塗料に平均粒径5.5μmの疎水性シリカ(富士シリシア株式会社 サイシリア456)1〜8質量%添加した。疎水性シリカの添加量は、得られる塗膜の60°鏡面光沢度が30となるように調整した。さらに、表1および表2に示すオルガノシリケート縮合物を、組成物の総固形分量に対して5質量%となるように添加した。また、表1および表2に示す脱水剤(オルト酢酸トリメチルまたはオルトギ酸トリエチル)を、組成物の総固形分量に対して5質量%となるように添加した。得られた組成物中の水分量を、カールフィシャー法により測定したところ、0.41質量%であった。
上記組成物を、乾燥膜厚が18μmとなるように上述のめっき鋼板にロールコーターで塗布した。その後、最高到達板温225℃、板面風速が表1および表2に示す速度となるように加熱装置を調整し、当該環境下で上記組成物を45秒間焼き付けた。なお、組成物中の水分による加水分解の影響を少なくするため、オルガノシリケートまたはその縮合物の添加後、1時間〜3時間の範囲内で組成物を塗布した。
[評価]
各実施例および比較例で得られた塗装金属板について、以下の方法で、耐雨筋汚れ性の評価、対水接触角の測定、およびオルガノシリケートまたはその縮合物の蒸発量の評価を行った。結果を表1および表2に示す。
(1)耐雨筋汚れ性の評価
耐雨筋汚れ性は、以下のように評価した。
まず、垂直暴露台に実施例、比較例、および参考例で作製した塗装金属板をそれぞれ取り付けた。さらに、当該塗装金属板の上部に、地面に対して角度20°となるように、波板を取り付けた。このとき、雨水が塗装金属板表面を筋状に流れるように、波板を設置した。この状態で、屋外暴露試験を2ヶ月間行い、汚れの付着状態を観察した。耐雨筋汚れ性の評価は、暴露前後の塗装金属板の明度差(ΔL)で、以下のように評価した。
×:ΔLが2以上の場合(汚れが目立つ)
△:ΔLが1以上2未満の場合(雨筋汚れは目立たないが視認できる)
〇:ΔLが1未満の場合(雨筋汚れがほとんど視認できない)
なお、メチルシリケートまたはその縮合物を添加した組成物を用いた塗装金属板はそのまま耐雨筋汚れ性を評価した。一方、エチルシリケートまたはその縮合物、エトキシ部分置換メチルシリケート縮合物、およびn−プロピルシリケートを添加した組成物を用いた塗装金属板は屋外に暴露しても、オルガノシリケートまたはその縮合物が加水分解して親水性が発現するのに数ヶ月必要となることがある。そこで、耐雨筋汚れ性評価前に、塗装金属板を10%塩酸水溶液に60秒浸漬して、オルガノシリケートまたはその縮合物を加水分解させた。そして、上記方法で耐雨筋汚れ性を評価した。
(2)対水接触角の測定
各塗装金属板を10%塩酸水溶液に60秒浸漬してオルガノシリケートまたはその縮合物を十分に加水分解させた。その後、気温23±2℃、相対湿度50±5%の恒温恒湿度室で0.01ccの精製水の水滴を形成し、協和界面科学株式会社製の接触角計DM901を使用して、対水接触角を測定した。
(3)オルガノシリケートまたはその縮合物の蒸発性評価
厚さ0.5mmのアルミ板(JIS A5052)の表面に膜厚が18μmになるように、各実施例および比較例と同様に塗膜を形成した。そして、塗膜を形成した塗装アルミ板を10cm×10cm角に切り出し、フッ化水素酸、塩酸、硝酸の混合酸溶液に溶かし、さらにマイクロ波を照射して加熱分解させた。その後、超純水で定容して検液を調製した。当該検液中のSiを、島津製作所製 ICPE−9820型ICP−AES分析装置を用いて、定量分析した。
一方、オルガノシリケートまたはその縮合物を添加しなかった以外は、実施例および比較例と同様に組成物を調製し、当該組成物を用いて各実施例及び比較例と同様に塗膜を形成した。そして、上記と同様に検液中のSiを定量分析した。
これらを比較し、各実施例及び比較例で作製した塗装金属板の塗膜中のオルガノシリケートまたはその縮合物由来のSi量を求めた。また、オルガノシリケートまたはその縮合物が全く蒸発しなかったと仮定した場合の塗膜中のSi量を計算で求めた。そして、オルガノシリケートまたはその縮合物が全く蒸発しなかった場合のSi量と、実施例または比較例で作製した塗膜中のSi量との比から、塗膜形成時のオルガノシリケートまたはその縮合物の蒸発量を以下の基準で評価した。
×:オルガノシリケートまたはその縮合物の蒸発量が70%以上
△:オルガノシリケートまたはその縮合物の蒸発量が40%以上70%未満
〇:オルガノシリケートまたはその縮合物の蒸発量が30%以上40%未満
◎:オルガノシリケートまたはその縮合物の蒸発量が30%未満
なお、△、○、◎を合格とした。
Figure 0006612705
Figure 0006612705
上記表1および表2に示すように、組成物中のオルガノシリケート縮合物の重量平均分子量が1100以上である場合には、オルガノシリケート縮合物の蒸発性評価が良好となり、得られた塗装金属板の塗膜表面の対水接触角が十分に小さくなった(実施例1〜16)。また、これに応じて耐雨筋汚れ性の評価も良好となった。オルガノシリケート縮合物の重量平均分子量が1100以上であると、組成物を板面風速が高い状態で硬化させても、オルガノシリケート縮合物が蒸発し難く、塗膜表面に十分な量のオルガノシリケートが存在すると考えられる。これに対し、オルガノシリケートまたはその縮合物の重量平均分子量が1100未満である場合には、蒸発性評価が低く、得られた塗装金属板表面の対水接触角が大きくなりやすかった(比較例1〜25)。
本発明の製造方法で得られる塗装金属板は、表面に雨筋汚れが生じ難く、さらには外観性が良好である。したがって、当該塗装金属板は、各種建築物の外装建材等に適用が可能である。

Claims (4)

  1. 金属板の表面に、重量平均分子量が1100以上3000未満であるオルガノシリケートの縮合物を含む組成物を塗布する工程と、
    前記組成物からなる膜を、前記膜表面の風速が1m/s以上2.5m/s以下であり、かつ温度が120〜300℃の環境下で3〜90秒間加熱する工程と、
    を有する、塗装金属板の製造方法。
  2. 前記オルガノシリケートの縮合物が、メチルシリケート縮合物、エチルシリケート縮合物、およびエトキシ部分置換メチルシリケート縮合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体である、請求項1に記載の塗装金属板の製造方法。
  3. 前記組成物が、オルト酢酸トリメチルをさらに含む、
    請求項1または2に記載の塗装金属板の製造方法。
  4. 前記組成物が、ポリエステル樹脂またはアクリル樹脂をさらに含む、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の塗装金属板の製造方法。
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