JP2014198800A - プレコート用塗料組成物、塗膜、塗膜の形成方法、プレコート鋼板 - Google Patents

プレコート用塗料組成物、塗膜、塗膜の形成方法、プレコート鋼板 Download PDF

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JP2014198800A JP2013075260A JP2013075260A JP2014198800A JP 2014198800 A JP2014198800 A JP 2014198800A JP 2013075260 A JP2013075260 A JP 2013075260A JP 2013075260 A JP2013075260 A JP 2013075260A JP 2014198800 A JP2014198800 A JP 2014198800A
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Kei Kinugawa
慶 衣川
西野 徹
Toru Nishino
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忠 本田
Tadashi Honda
忠 本田
彰廣 澤口
Akihiro Sawaguchi
彰廣 澤口
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Abstract

【課題】塗膜形成後の早期から水接触角が小さく、耐雨だれ汚染性、耐候性、耐食性に優れ、塗膜外観性に優れる塗膜を提供し得るプレコート用塗料組成物、これを用いた塗膜及びその塗膜の形成方法、並びにプレコート鋼板を提供する。
【解決手段】有機樹脂(A)、ポリオキシアルキレン重合物(B)、及びアルキルシリケート(C)を含有するプレコート用塗料組成物。当該塗料組成物を用いて形成された塗膜。当該塗料組成物を鋼板に塗布した後、前記鋼板の温度が120〜300℃の範囲内となるまで加熱することにより焼付けを行なう、塗膜の形成方法。当該塗膜を有するプレコート鋼板。
【選択図】なし

Description

本発明は、プレコート用塗料組成物、これを用いて形成された塗膜及びその塗膜の形成方法、並びにプレコート鋼板に関する。
従来から、鋼板上に予め塗膜を形成したプレコート鋼板(塗装鋼板)は、建材、自動車部品などの用途に広く使用されている。
このプレコート鋼板に用いられるプレコート用塗料には種々の性能が要求されている。例えば、プレコート用塗料から形成される塗膜を屋外で使用する場合は、塗膜が耐雨だれ汚染性、耐候性、耐食性等に優れることが要求される。これらの要求に応えるべく、種々の塗料が検討されている。
例えば、特許文献1には、耐汚染性の良好な有機塗料組成物を得ることを目的として、特定のオルガノシリケート及び/又はその縮合物を配合してなる塗料組成物が開示されている。
また、特許文献2には、オルガノシリケート(アルキルシリケート)を水性塗料組成物中に混合することによるゲル化や得られる塗膜の表面光沢の低下の解消を目的として、乳化剤、アルキルシリケート及び/又はその部分加水分解縮合物、並びに必要に応じてアルコール類及び/又は水結合剤を含有する水性防汚剤組成物が開示されている。
WO1994/06870号 特開平10−17850号公報
特許文献1及び2に記載の塗料組成物には、親水化剤としてアルキルシリケートが配合されている。そして、塗膜表面のアルキルシリケートが加水分解してシラノール基(SiOH基)を形成することにより、親水性を発現し、耐雨だれ汚染性、耐候性等の機能を発揮する。
しかしながら、塗膜形成直後には十分にシラノール基(SiOH基)が形成しておらず、親水性が十分に発現していないため、その間に雨水等により塗膜表面が汚染されてしまうという問題がある。
本発明は、塗膜形成後の早期から水接触角が小さく、耐雨だれ汚染性、耐候性、耐食性に優れ、塗膜外観性に優れる塗膜を提供し得るプレコート用塗料組成物、これを用いた塗膜及びその塗膜の形成方法、並びにプレコート鋼板を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、アルキルシリケートとポリオキシアルキレン重合物(B)とを併用することで、従来の低汚染塗膜よりも早期に塗膜の水接触角を低下させることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
〔1〕有機樹脂(A)、ポリオキシアルキレン重合物(B)、及びアルキルシリケート(C)を含有するプレコート用塗料組成物。
〔2〕前記ポリオキシアルキレン重合物(B)が、ポリオキシアルキレンセグメント及びシロキサンセグメントを有する重合体(B1)である、上記〔1〕に記載のプレコート用塗料組成物。
〔3〕前記重合体(B1)は、下記式(1)で表される構成単位及び下記式(2)で表される構成単位を有しており、両末端がそれぞれ独立して下記式(3)又は下記式(4)で表されるものであり、前記重合体(B1)の含有量がプレコート用塗料組成物の固形分全量に対して1質量%以上30質量%以下である、上記〔2〕に記載のプレコート用塗料組成物。
Figure 2014198800
(式(1)中、R1は炭素数1〜2のアルキル基、R2は炭素数1〜4のアルキレン基、Aは炭素数1〜4の1種又は2種以上のオキシアルキレン基を構成単位とするポリオキシアルキレンセグメント、Bは水素、一部が官能基で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、アミノ基又はアミド基であり、R1、R2、A及びBは構成単位毎に同一でも異なっていてもよい。)
Figure 2014198800
(式(2)中、R3及びR4はそれぞれ独立して炭素数1〜2のアルキル基であり、R3及びR4は構成単位毎に同一でも異なっていてもよい。)
Figure 2014198800
(式(3)中、R5〜R7はそれぞれ独立して炭素数1〜2のアルキル基であり、R5〜R7は構成単位毎に同一でも異なっていてもよい。)
Figure 2014198800
(式(4)中、R1及びR10はそれぞれ独立して炭素数1〜2のアルキル基、R2は炭素数1〜4のアルキレン基、Aは炭素数1〜4の1種又は2種以上のオキシアルキレン基を構成単位とするポリオキシアルキレンセグメント、Bは水素、一部が官能基で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、アミノ基又はアミド基であり、R1、R2、R10、A及びBは構成単位毎に同一でも異なっていてもよい。)
〔4〕前記有機樹脂(A)が、フッ素樹脂を含むものである、上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のプレコート用塗料組成物。
〔5〕前記フッ素樹脂が、ポリフッ化ビニリデンを含むものである、上記〔4〕に記載のプレコート用塗料組成物。
〔6〕前記有機樹脂(A)が、さらにアクリル樹脂を含むものである、上記〔4〕又は〔5〕に記載のプレコート用塗料組成物。
〔7〕前記有機樹脂(A)が、ポリエステル樹脂と、メラミン樹脂及びイソシアネート化合物の少なくとも一種とを含むものである、上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のプレコート用塗料組成物。
〔8〕前記有機樹脂(A)のSP値(SPa)と、前記ポリオキシアルキレン重合物(B)のSP値(SPb)とが、下記式(5)の関係を満たす、上記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載のプレコート用塗料組成物。
SPb−SPa≧0.6 (5)
〔9〕前記ポリオキシアルキレン重合物(B)のHLB値が10〜17である、上記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載のプレコート用塗料組成物。
〔10〕前記ポリオキシアルキレン重合物(B)のシロキサンセグメントの数平均分子量が、500〜1000である、上記〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載のプレコート用塗料組成物。
〔11〕前記ポリオキシアルキレン重合物(B)のポリオキシアルキレンセグメントの数平均分子量が、1000〜2000である、上記〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載のプレコート用塗料組成物。
〔12〕前記ポリオキシアルキレン重合物(B)中に占めるポリオキシアルキレンセグメントの割合が、50質量%以上である、上記〔1〕〜〔11〕のいずれかに記載のプレコート用塗料組成物。
〔13〕前記ポリオキシアルキレン重合物(B)中における少なくとも一部のポリオキシアルキレンセグメントの末端に、水酸基、カルボキシル基、カルボキシメチル基、アミノ基及びアミド基からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基を有する、上記〔1〕〜〔12〕のいずれかに記載のプレコート用塗料組成物。
〔14〕前記ポリオキシアルキレン重合物(B)の表面張力が20〜25mN/mである、上記〔1〕〜〔13〕のいずれかに記載のプレコート用塗料組成物。
〔15〕上記〔1〕〜〔14〕のいずれかに記載のプレコート用塗料組成物を用いて形成された塗膜。
〔16〕上記〔1〕〜〔14〕のいずれかに記載のプレコート用塗料組成物を鋼板に塗布した後、前記鋼板の温度が120〜300℃の範囲内となるまで加熱することにより焼付けを行なう、塗膜の形成方法。
〔17〕前記焼付けの加熱時間が3〜90秒である、銃器〔16〕に記載の塗膜の形成方法。
〔18〕上記〔15〕に記載の塗膜を有するプレコート鋼板。
本発明によると、塗膜形成後の早期から水接触角が小さく、耐雨だれ汚染性、耐候性、耐食性に優れ、塗膜外観性に優れる塗膜を提供し得るプレコート用塗料組成物、これを用いた塗膜及びその塗膜の形成方法、並びにプレコート鋼板を提供することができる。
[プレコート用塗料組成物]
本発明のプレコート用塗料組成物は、有機樹脂(A)、ポリオキシアルキレン重合物(B)、及びアルキルシリケート(C)を含有するものである。
本発明のプレコート用塗料組成物によると、塗膜形成後の早期から水接触角が小さく、耐雨だれ汚染性、耐候性、耐食性に優れ、塗膜外観性に優れる塗膜が得られる理由は定かではないが、次のとおりであると推測される。
本発明のプレコート用塗料組成物によれば、上記アルキルシリケート(C)が徐々に加水分解してSiOH基を形成することにより、親水性を発現し、長期にわたり、耐雨だれ防汚性を発揮する。また、本発明のプレコート用塗料組成物によれば、ポリオキシアルキレン重合物が塗膜形成後の早期から親水性を発現することにより、塗膜の水接触角が小さくなり、塗膜形成当初から耐雨だれ防汚性を発揮すると考えられる。これらの結果、本発明のプレコート用塗料組成物によれば、塗膜形成後の早期から水接触角が小さく、耐雨だれ汚染性、耐候性、耐食性に優れ、塗膜外観性に優れる塗膜を得ることができると考えられる。
本発明のプレコート用塗料組成物の固形分濃度は、取扱性及び媒体(溶剤)の使用量の低減の観点から、好ましくは20〜80質量%、より好ましくは50〜70質量%である。
<有機樹脂(A)>
本発明のプレコート用塗料組成物に用いられる有機樹脂(A)としては、公知の有機樹脂が挙げられ、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。また、これらは単独で使用しても2種以上を併用しても良い。これらの中で、コスト、樹脂設計の自由度の高さの観点から、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂が好ましい。また、塗膜形成後の早期から水接触角が小さく、耐雨だれ汚染性、耐候性、耐食性に優れ、塗膜外観性に優れる塗膜を得る観点から、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンとアクリル樹脂の併用、ポリエステル樹脂とメラミン樹脂との併用、ポリエステル樹脂とイソシアネート化合物との併用、並びにポリエステル樹脂、メラミン樹脂及びイソシアネート化合物の併用がより好ましい。
有機樹脂(A)のSP値(SPa)は、ポリオキシアルキレン重合物(B)との溶解性を調整し、ポリオキシアルキレン重合物(B)を塗膜表面に局在させることにより、塗膜形成後の早期から水接触角が小さく、耐雨だれ汚染性、耐候性、耐食性に優れ、塗膜外観性に優れる塗膜を得る観点から、好ましくは11以下、より好ましくは10.5以下、更に好ましくは10以下であり、また、好ましくは8以上である。
ここで、SP値(solubility parameter、溶解性パラメータ)とは、溶解性の尺度となるものである。SP値は数値が大きいほど極性が高く、数値が小さいほど極性が低いことを示す。なお有機樹脂(A)が2種以上の混合物である場合のSP値は、各成分の溶解性パラメータの加重平均値をSP値とする。
SP値は次の方法によって実測することができる[参考文献:SUH、CLARKE、J.P.S.A−1、5、1671〜1681(1967)]。
測定温度:20℃
サンプル:樹脂0.5gを100mlビーカーに秤量し、良溶媒10mlを
ホールピペットを用いて加え、マグネティックスターラーにより
溶解する。
溶媒 :良溶媒…ジオキサン、アセトンなど
貧溶媒…n−ヘキサン、イオン交換水など
濁点測定:50mlビュレットを用いて貧溶媒を滴下し、濁りが生じた点を
滴下量とする。
SP値δは次式によって与えられる。
δ=(Vm1 1/2δm1+Vmh 1/2δmh)/(Vml 1/2+Vmh 1/2
m=V12/(φ12+φ21
δm=φ1δ1+φ2δ2
i:溶媒の分子容積(ml/mol)
φi:濁点における各溶媒の体積分率
δi:溶媒のSP値
ml:低SP貧溶媒混合系
mh:高SP貧溶媒混合系
(フッ素樹脂)
フッ素樹脂としては、熱可塑性フッ素樹脂であっても熱硬化性フッ素樹脂であってもよく、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等の含フッ素モノマーの単独重合、あるいは他のモノマーとの共重合によって得られる含フッ素ポリマーの全てが含まれる。これらの中でも、塗膜形成後の早期から水接触角が小さく、耐雨だれ汚染性、耐候性、耐食性に優れ、塗膜外観性に優れる塗膜を得る観点から、ポリフッ化ビニル及びポリフッ化ビニリデンが好ましく、ポリフッ化ビニリデンがより好ましい。
具体的には、熱可塑性フッ素樹脂としては、例えばカイナー500(エルフ・アトケム・ノースアメリカ社製ポリフッ化ビニリデン)があり、また、熱硬化性フッ素樹脂としては、例えばルミフロン200(旭ガラス社製)がある。
本発明のプレコート用塗料組成物に用いられる有機樹脂(A)としてフッ素樹脂を用いる場合、プレコート用塗料組成物の固形分中におけるフッ素樹脂の含有量は、親水性と耐候性のバランスの観点から、好ましくは30〜50質量%、より好ましくは40〜45質量%である。
≪ポリフッ化ビニリデン≫
ポリフッ化ビニリデンとしては、ずり速度100sec-1で温度232℃の条件における溶融粘度が、2000〜8000Pa・sであるものが好ましい。この溶融粘度は、塗料化して塗装焼付けした際におけるポリフッ化ビニリデンの流動性を低くして低光沢の塗膜を得る観点からは、より好ましくは5000〜7000Pa・s、更に好ましくは5500〜6200Pa・sである。
上記溶融粘度は、キャピラリーレオメータを使用して、232℃に保持した溶融ポリフッ化ビニリデンが、直径1mmのオリフィスを100sec-1のずり速度で通過する際の粘度を測定することによって得ることができる。
塗料用として使用されるポリフッ化ビニリデンとしては、代表的には、米国、エルフ・アトケム・ノースアメリカ社製の「KYNAR500(カイナ−500)」を挙げることができる。このKYNAR500の上記溶融粘度は、2900〜3300Pa・s程度である。
また、上記溶融粘度の高いポリフッ化ビニリデンとしては、Ausimont USA,Inc.(米国 アウジモント社)製の「HYLAR5000(ハイラー5000)などを挙げることができる。
ポリフッ化ビニリデンの数平均分子量は、塗膜形成後の早期から水接触角が小さく、耐雨だれ汚染性、耐候性、耐食性に優れ、塗膜外観性に優れる塗膜を得る観点から、好ましくは1,000〜200,000、より好ましくは5,000〜100,000、更に好ましくは10,000〜50,000、より更に好ましくは12,000〜20,000である。
なお、本発明において、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法による測定値をポリスチレン標準で換算した値である。
屋外使用においては、一般に低光沢の塗膜が好まれており、低光沢とするためにはシリカ粉末などの無機艶消剤を配合することがある。しかしながら、無機艶消剤の配合量が増加するにつれて塗膜の耐候性などの耐久性が低下する傾向がある。そこで、上記溶融粘度の高い上記のポリフッ化ビニリデンを用いることにより、無機艶消剤を配合しなくても低光沢とすることができる。これにより、無機艶消剤の配合が不要であったり、配合しても光沢の微調整のための微量の添加でよいため、耐久性を向上させることができる。
(アクリル樹脂)
本発明のプレコート用塗料組成物における有機樹脂(A)であるアクリル樹脂には特に制限はない。
アクリル樹脂を構成するモノマー成分としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、2−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレンなどの芳香族系ビニルモノマー;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−,i−又はt−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−,i−又はt−ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸シクロヘキシル等のアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数1〜18のアルキルエステル又はシクロアルキルエステル;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸のC2 〜C8 ヒドロキシアルキルエステル;N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミドなどのN−置換アクリルアミド系又はN−置換メタクリルアミド系モノマー;アクリル酸、メタクリル酸、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレートなどの1種又は2種以上の混合物を挙げることができる。
上記モノマー成分を溶液重合、塊状重合などの常法により重合することによってアクリル樹脂を製造できる。
アクリル樹脂の数平均分子量は、特に制限されるものではないが、塗膜形成後の早期から水接触角が小さく、耐雨だれ汚染性、耐候性、耐食性に優れ、塗膜外観性に優れる塗膜を得る観点から、好ましくは1,000〜200,000、より好ましくは5,000〜100,000、更に好ましくは10,000〜50,000、より更に好ましくは12,000〜20,000であり、
(ポリフッ化ビニリデンとアクリル樹脂との併用)
本発明組成物における有機樹脂(A)としては、ポリフッ化ビニリデンとアクリル樹脂との併用であることが好ましい。
その場合、アクリル樹脂は、塗料を塗装して塗膜を形成する際にポリフッ化ビニリデン粒子同士の結着剤(バインダ)として働くものであり、塗膜の焼き付け条件に対して良好な耐熱性を示し、溶融したポリフッ化ビニリデンとなじみやすく良好な塗膜外観を示す。
本発明塗料組成物において、これらポリフッ化ビニリデンとアクリル樹脂の合計100質量%に対するポリフッ化ビニリデンの含有量は、同様の観点から、好ましくは50〜90質量%、より好ましくは60〜80質量%である。同様の観点から、これらポリフッ化ビニリデンとアクリル樹脂の合計100質量%に対するアクリル樹脂の含有量は、好ましくは10〜50質量%、より好ましくは20〜40質量%である。
(ポリエステル樹脂)
本発明のプレコート用塗料組成物における有機樹脂(A)であるポリエステル樹脂は、多塩基酸と多価アルコールとのエステル反応によって得られる樹脂であることが好ましい。
多塩基酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水マレイン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸などの二塩基酸、無水トリメリト酸、メチルヒドロエキセントリカルボン酸、無水ピロメリト酸などの三価以上の多塩基酸が用いられ、これらを組み合わせて使用してもよい。
多価アルコールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチルペンタジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの脂肪族または脂環族の二価アルコールが主に用いられ、更に必要に応じてグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリストールなどの三価以上の多価アルコールを併用してもよい。多塩基酸、多価アルコールのエステル化は公知の方法で行うことができる。
ポリエステル樹脂の数平均分子量は、好ましくは1,000〜30,000の範囲である。数平均分子量が1,000以上であると加工性が良好であり、30,000以下であるとシリケート化合物との相溶性が良好になる。当該観点から、ポリエステル樹脂の数平均分子量は、より好ましくは2,000〜20,000、更に好ましくは2,000〜10,000、より更に好ましくは2,000〜5,000である。
本発明のプレコート用塗料組成物に用いられる有機樹脂(A)としてポリエステル樹脂を用いる場合、プレコート用塗料組成物の固形分中におけるポリエステル樹脂の含有量は、親水性と耐候性のバランスの観点から、好ましくは10〜70質量%、より好ましくは20〜65質量%である。
(ポリエステル樹脂と硬化剤との併用)
本発明のプレコート用塗料組成物における有機樹脂(A)としては、ポリエステル樹脂と共に、硬化剤として、メラミン樹脂及びイソシアネート化合物の少なくとも1種を併用してもよい。
≪メラミン樹脂≫
メラミン樹脂としては、特に限定されるものではなく、メチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂あるいはメチル、ブチル混合型メラミン樹脂を用いることができる。例えば、日本サイテック社製の「サイメル−303」、「サイメル254」、三井化学社製の「ユーバン20N60」、「ユーバン128」、住友化学工業社製の「スミマールシリーズ」等が挙げられる。
上記メラミン樹脂の使用量は、ポリエステル樹脂の固形分100質量部に対して、好ましくは10〜50質量部である。使用量が10質量部以上であると硬化性が十分となり、50質量部以下であると硬化膜が堅くなりすぎることが抑制され、塗膜にした場合にチッピング性が向上する。当該観点から、上記メラミン樹脂の使用量は、ポリエステル樹脂の固形分100質量部に対して、より好ましくは15〜40質量部、更に好ましくは20〜30質量部である。
プレコート用塗料組成物の固形分中におけるメラミン樹脂の含有量は、親水性と耐候性のバランスの観点から、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは2〜15質量%、更に好ましくは3〜12質量%、より更に好ましくは5〜10質量%である。
上記メラミン樹脂の数平均分子量は、塗膜形成後の早期から水接触角が小さく、耐雨だれ汚染性、耐候性、耐食性に優れ、塗膜外観性に優れる塗膜を得る観点から、好ましくは500〜200,000、より好ましくは800〜10,000、更に好ましくは1,000〜5,000、より更に好ましくは1,100〜2,000であり、
≪イソシアネート化合物≫
上記イソシアネート化合物としては、1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)等の脂肪族ジイソシアネート類;イソホロンジイソシアネート(IPDI)等の脂環族ジイソシアネート類;キシリレンジイソシアネート(XDI)等の芳香族−脂肪族ジイソシアネート類;トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等の芳香族ジイソシアネート類;ダイマー酸ジイソシアネート(DDI)、水素化されたTDI(HTDI)、水素化されたXDI(H6XDI)、水素化されたMDI(H12MDI)等の水素添加ジイソシアネート類;これらの2量体、3量体、4量体以上の多量体のポリイソシアネート類;これらとトリメチロールプロパン等の多価アルコール、水又は低分子量ポリエステル樹脂との付加物等を挙げることができる。
上記イソシアネート化合物は、得られる塗料組成物の安定性を高めるために、通常、反応基を適当なブロック化剤でブロックしたブロックイソシアネート化合物として使用される。上記ブロック化剤としては特に限定されず、例えば、メチルエチルケトオキシム、アセトキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトフェノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム等のオキシム系ブロック化剤;m−クレゾール、キシレノール等のフェノール系ブロック化剤;メタノール、エタノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノエチルエーテル等のアルコール系ブロック化剤;ε−カプロラクタム等のラクタム系ブロック化剤;マロン酸ジエチル、アセト酢酸エステル等のジケトン系ブロック化剤;チオフェノール等のメルカプタン系ブロック化剤;チオ尿素等の尿素系ブロック化剤;イミダゾール系ブロック化剤;カルバミン酸系ブロック化剤等を挙げることができる。なかでも、ラクタム系ブロック化剤、オキシム系ブロック化剤、ジケトン系ブロック化剤が好ましい。
上記ブロックイソシアネート化合物は、常法により、上記イソシアネート化合物及び上記ブロック化剤を遊離のイソシアネート基がなくなるまで反応させて得られる。これらは市販されているものもあり、例えば、デスモジュールシリーズ(住友バイエルウレタン社製)、バーノックDシリーズ(大日本インキ化学工業社製)、タケネートBシリーズ(武田薬品工業社製)、コロネート2500シリーズ(日本ポリウレタン工業社製)等を使用することができる。
上記硬化剤として上記ブロックイソシアネート化合物を使用する場合、上記ブロックイソシアネート化合物の配合量は、上記ポリオール樹脂(a1)のヒドロキシル価に対して、当量以上のイソシアネート基を提供することができる量であればよく、通常は、当量の0.8〜1.5倍である。少なすぎると、硬化性が低下し、軟弱な塗膜しか得ることができず、硬度だけではなく、耐酸性、耐アルカリ性、耐汚染性も低下し、多すぎると、添加した量に対する充分な効果が得られないばかりでなく、イソシアネート化合物やブロックイソシアネート化合物が多量に添加されるために、ポリオール樹脂(a1)の物性に基づいて設計された塗膜の強度、硬度、加工性等の物性が低下し、耐酸性、耐アルカリ性も低下する。また、塗膜の黄変性や耐候性も低下しやすい。より好ましくは、当量の1.0〜1.2倍である。
上記硬化剤(a2)として上記イソシアネート化合物又はブロックイソシアネート化合物を使用する場合には、通常、ポリオール樹脂(a1)との反応を促進する触媒(D)として、公知のジブチルすずラウレート等のすず化合物を使用することが好ましい。
上記イソシアネート化合物の使用量は、ポリエステル樹脂の固形分100質量部に対して、好ましくは10〜50質量部である。使用量が10質量部以上であると硬化性が十分となり、50質量部以下であると硬化膜が堅くなりすぎることが抑制され、塗膜にした場合にチッピング性が向上する。当該観点から、上記イソシアネート化合物の使用量は、ポリエステル樹脂の固形分100質量部に対して、より好ましくは15〜40質量部、更に好ましくは20〜30質量部である。
プレコート用塗料組成物の固形分中におけるイソシアネート化合物の含有量は、親水性と耐候性のバランスの観点から、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは2〜15質量%、更に好ましくは3〜12質量%、より更に好ましくは2〜10質量%である。
<ポリオキシアルキレン重合物(B)>
本発明のプレコート用塗料組成物で用いられるポリオキシアルキレン重合物(B)は、ポリオキシアルキレン鎖構造(以下、「ポリオキシアルキレンセグメント」ともいう)を有する化合物である。
ポリオキシアルキレン鎖構造は、エチレングリコ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、1,5−ペンタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル等の直鎖グリコールに由来する単位を繰り返し単位とする。これらのうち1種類の直鎖グリコールに由来する単位のみが繰り返し単位となっていてもよく、複数種の直鎖グリコールに由来する単位が繰り返し単位となっていてもよい。
本発明で用いるポリオキシアルキレン重合物としては、ポリエチレングリコール、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドのブロック共重合体あるいはランダム共重合体、テトラヒドロフランとエチレンオキサイドのブロック共重合体あるいはランダム共重合体等が挙げられる。
ポリオキシアルキレン重合物(B)中における少なくとも一部のポリオキシアルキレンセグメントの末端に、水酸基、カルボキシル基、カルボキシメチル基、アミノ基及びアミド基からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基を有することが好ましい。この末端の官能基が有機樹脂(A)と反応することにより、塗膜中にポリオキシアルキレン重合物(B)が安定して存在することが可能となるため、耐汚染性が継続して発現されると共に、親水性が付与される。
ポリオキシアルキレン重合物(B)の表面張力は、好ましくは20〜25mN/mである。これにより、塗料の安定性を損なわずにポリオキシアルキレン重合物(B)を塗膜の表面に局在させることができるため、塗膜形成後の早期から水接触角が小さく、耐雨だれ汚染性、耐候性、耐食性に優れ、塗膜外観性に優れる塗膜を得ることができる。当該観点から、より好ましくは20〜24mN/m、更に好ましくは20〜23mN/mである。
この表面張力は、白金リング引き上げ法により、BYK社製DYNOMETERを用いて測定される。
ポリオキシアルキレン重合物(B)の含有量は、プレコート用塗料組成物の固形分全量に対して、好ましくは1質量%以上30質量%以下である。当該範囲内であると、塗料の安定性を損なわずにポリオキシアルキレン重合物(B)を塗膜の表面に局在させることができるため、塗膜形成後の早期から水接触角が小さく、耐雨だれ汚染性、耐候性、耐食性に優れ、塗膜外観性に優れる塗膜を得ることができる。当該観点から、当該割合は、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下である。
ポリオキシアルキレン重合物(B)のHLB(親水性−親油性バランス)値は、塗膜に親水性を付与して、塗膜形成後の早期から水接触角が小さく、耐雨だれ汚染性、耐候性、耐食性に優れ、塗膜外観性に優れる塗膜を得る観点から、好ましくは10〜17、より好ましくは10〜15、更に好ましくは10.5〜13、より更に好ましくは11〜12である。
なお、HLB値は、グリフィン式に基づき、「HLB=20×(親水部の式量の総和)/(分子量)」により、算出した値である[(参考)「界面活性剤」竹内節著、米田出版(1999年)]。
ポリオキシアルキレン重合物(B)のポリオキシアルキレンセグメントの数平均分子量は、好ましくは1000〜2000である。これにより、塗料の安定性を損なわずにポリオキシアルキレン重合物(B)を塗膜の表面に局在させることができるため、塗膜形成後の早期から水接触角が小さく、耐雨だれ汚染性、耐候性、耐食性に優れ、塗膜外観性に優れる塗膜を得ることができる。ここで、ポリオキシアルキレンセグメントの数平均分子量とは、ポリオキシアルキレンセグメントの由来成分であるポリオキシアルキレンの数平均分子量のことを意味する。なお、この数平均分子量は、溶媒としてテトラヒドロフランを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
ポリオキシアルキレン重合物(B)の全質量に占めるポリオキシアルキレンセグメント(末端の水素もしくはアルキル基を含まない)の割合は、50質量%以上であることが好ましい。50質量%以上であると、塗料の安定性を損なわずに重合体(B1)を得られる塗膜の表面に局在させることができるため、塗膜形成後の早期から水接触角が小さく、耐雨だれ汚染性、耐候性、耐食性に優れ、塗膜外観性に優れる塗膜を得ることができる。当該観点から、当該割合は、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは75質量%以上であり、また、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは85質量%以下である。
前記有機樹脂(A)のSP値(SPa)と、ポリオキシアルキレン重合物(B)のSP値(SPb)とは、下記式(5)の関係を満たすことが好ましい。これにより、ポリオキシアルキレン重合物(B)が塗膜表面近傍に局在しやすくなるため、塗膜形成後の早期から水接触角が小さく、耐雨だれ汚染性、耐候性、耐食性に優れ、塗膜外観性に優れる塗膜を得ることができる。
SPb−SPa≧0.6 (5)
当該観点から、〔SPb−SPa〕は、より好ましくは0.65以上、更に好ましくは0.70以上であり、また、好ましくは2.4以下、より好ましくは2.3以下、更に好ましくは2.2以下である。
ポリオキシアルキレン重合物(B)のSP値(SPa)は、同様の観点から、好ましくは11.2以上、より好ましくは11.4以上、更に好ましくは11.5以上であり、また、塗料の安定性の観点から、好ましくは12.3以下、より好ましくは12.1以下、更に好ましくは12.0以下である。
また、本発明で用いるポリオキシアルキレン重合物は、ポリオキシアルキレン鎖をその構造の一部に有している化合物であることが好ましく、ポリオキシアルキレンセグメント及びシロキサンセグメントを有する重合体(B1)がより好ましい。次に、重合体(B1)について説明する。
(重合体(B1))
本発明において、重合体(B1)とは、ポリオキシアルキレンセグメント及びシロキサンセグメントを有する重合体のことを意味する。
この重合体(B1)は、ポリオキシアルキレンセグメントをシロキサンセグメントの少なくとも末端以外の部分に有する分岐型の重合体(B1−A)であってもよく、ポリオキシアルキレンセグメントをシロキサンセグメントの末端のみに有する直鎖型の重合体(B1−B)であってもよいが、有機樹脂(A)との相溶性に優れることから、分岐型の重合体(B1−A)が好ましい。これにより、塗料の安定性を損なわずにポリオキシアルキレン重合物(B)を塗膜の表面により局在させることができるため、塗膜形成後の早期から水接触角が小さく、耐雨だれ汚染性、耐候性、耐食性に優れ、塗膜外観性に優れる塗膜を得ることができる。
重合体(B1)のシロキサンセグメントの数平均分子量は、塗膜形成後の早期から水接触角が小さく、耐雨だれ汚染性、耐候性、耐食性に優れ、塗膜外観性に優れる塗膜を得る観点から、好ましくは500〜1000である。
この重合体(B1)は、得られる塗膜の水接触角を低下させ、耐雨だれ汚染性を向上させる観点から、下記式(1)で表される構成単位及び下記式(2)で表される構成単位を有しており、両末端がそれぞれ独立して下記式(3)又は下記式(4)で表される分岐型重合体(B1−A)であることが好ましい。
Figure 2014198800
(式(1)中、R1は炭素数1〜2のアルキル基、R2は炭素数1〜4のアルキレン基、Aは炭素数1〜4の1種又は2種以上のオキシアルキレン基を構成単位とするポリオキシアルキレンセグメント、Bは水素、一部が官能基で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、アミノ基又はアミド基であり、R1、R2、A及びBは構成単位毎に同一でも異なっていてもよい。)
1は、上記観点から、より好ましくはメチル基である。
2は、上記観点から、より好ましくは3つの炭素からなる直鎖アルキルである。
Aは、上記観点から、より好ましくはエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとがランダムに結合した構造である。
Bは、より好ましくは水酸基、カルボキシル基、カルボキシメチル基、アミノ基及びアミド基からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基が置換された炭素数1〜4のアルキル基である。この末端の官能基が有機樹脂(A)と反応することにより、塗膜中にポリオキシアルキレン重合物(B)が安定して存在することが可能となるため、耐汚染性がより継続して発現されると共に、親水性がより良好になる。
Figure 2014198800
(式(2)中、R3及びR4はそれぞれ独立して炭素数1〜2のアルキル基であり、R3及びR4は構成単位毎に同一でも異なっていてもよい。)
3は、上記観点から、より好ましくはメチル基である。
4は、上記観点から、より好ましくはメチル基である。
Figure 2014198800
(式(3)中、R5〜R7はそれぞれ独立して炭素数1〜2のアルキル基であり、R5〜R7は構成単位毎に同一でも異なっていてもよい。)
5、R6、R7は、上記観点から、より好ましくはいずれもメチル基である。
Figure 2014198800
(式(4)中、R1及びR10はそれぞれ独立して炭素数1〜2のアルキル基、R2は炭素数1〜4のアルキレン基、Aは炭素数1〜4の1種又は2種以上のオキシアルキレン基を構成単位とするポリオキシアルキレンセグメント、Bは水素、一部が官能基で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、アミノ基又はアミド基であり、R1、R2、R10、A及びBは構成単位毎に同一でも異なっていてもよい。)
1、R10は、上記観点から、より好ましくはメチル基である。
2は、上記観点から、より好ましくは3つの炭素からなる直鎖アルキルである。
Aは、上記観点から、より好ましくはエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとがランダムに結合した構造である。
Bは、上記観点から、より好ましくは水酸基である。
重合体(B1)として市販品を用いてもよい。分岐型重合体(B1−A)としては、たとえば、ポリエーテル変性シリコーン(東レダウ社製、「8616ADDITIVE」)などが挙げられる。直鎖型重合体(B1−B)としては、たとえば、ポリエーテル変性シリコーン(信越シリコーン社製、「X22−4952」)などが挙げられる。
<アルキルシリケート(C)>
本発明のプレコート用塗料組成物は、アルキルシリケート(C)を含む。このアルキルシリケート(C)が加水分解によりシラノール基を生成することにより、そのシラノール基の親水性により塗膜の耐雨垂れ汚染性が向上する。
アルキルシリケート(C)とは、1分子中にアルコキシ基を1個以上有するシラン化合物又はその縮合物であり、1分子中にアルコキシ基を2個以上有するシラン化合物又はその縮合物であることが好ましい。また、1分子中にアルコキシ基の他にアルキル基が含まれていてもよい。これらアルコキシ基及びアルキル基は、当該基内の一部が他の官能基で置換されていてもよい。他の官能基としては、アミノ基、グリシドキシ基、エポキシ基、クロロ基、メルカプト基の少なくとも1種が好ましい
アルキルシリケート(C)としては、テトラメトキシシリケート、テトラエトキシシリケート、テトラブトキシシリケート、テトラ−2−メトキシエチルシリケート、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン類、更にはその縮合物が挙げられる。
これらの中でも、上記観点から、テトラメトキシシリケート、テトラエトキシシリケート、テトラブトキシシリケートの少なくとも1種が好ましい。
プレコート用塗料組成物の固形分中におけるアルキルシリケート(C)の含有量は、親水性と耐候性のバランスの観点から、好ましくは1〜6質量%、より好ましくは3〜6質量%、更に好ましくは4〜5質量%である。
<顔料>
本発明のプレコート用塗料組成物は、顔料を含むエナメル塗料組成物であってもよく、顔料を含まないクリヤー塗料組成物であってもよい。顔料の添加により、塗膜に素地隠蔽性が付与される。
顔料としては、塗料に使用される従来公知のものを使用することができ、たとえば、アゾキレート系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属錯体顔料等の有機系顔料、および、黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、カーボンブラック、二酸化チタン、各種焼成顔料等の無機系顔料が挙げられる。これらは1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
顔料の含有量は、塗料組成物の固形分中、通常10〜50質量%、好ましくは15〜50質量%、さらに好ましくは20〜45質量%である。顔料の含有量が10質量%以上であると、十分な素地隠蔽性を付与することができ、また、50質量%以下であると、塗膜が強くなり、プレコート鋼板加工時おける塗膜の追従性が良好である。
<媒体>
本発明のプレコート用塗料組成物における媒体は、有機溶媒が好ましい。有機溶媒としては、シクロヘキサノン、イソホロン、n−ブタノール、イソブタノール、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、ソルベッソ100、ソルベッソ150、ソルベッソ200等が好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、好ましくはシクロヘキサノン、イソホロン及びブタノールの少なくとも1種である。
<その他の添加剤>
本発明のプレコート用塗料組成物は、上記以外にも、一般に、塗料用として用いられているようなものは、いずれのものをも配合することができる。たとえば、前掲したような顔料以外の充填剤、pH調整剤、レベリング剤、増粘剤、撥水剤、消泡剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ハジキ防止剤、皮張り防止剤(皮バリ防止剤)、分散剤または樹脂類などのような、公知慣用の種々のものをも、適宜、添加して使用することができる。
[塗膜、その製造方法及びプレコート鋼板]
本発明の塗膜は、前述のプレコート用塗料組成物を用いて形成されたものである。本発明の塗膜は、このように前述のプレコート用塗料組成物を用いて形成されるため、塗膜形成後の早期から水接触角が小さく、耐雨だれ汚染性、耐候性、耐食性に優れ、塗膜外観性に優れる。
この塗膜は、鋼板に形成することが好ましい。鋼板としては、例えば、亜鉛めっき鋼板、合金化亜鉛めっき鋼板、溶融亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼板、アルミニウム合金めっき鋼板、溶融亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金めっき鋼板、ステンレス鋼板、冷延鋼板等を用いることができる。
鋼板は、リン酸亜鉛処理、日本ペイント社製サーフコートEC2200等のクロムフリー処理、塗布型クロメート等の表面処理が施されたものであってもよく、また、特に耐食性を必要とする場合など、当該表面処理層上に更にエポキシ樹脂プライマー、ポリウレタ変性エポキシ樹脂プライマー、ポリエステル樹脂プライマー等のプライマー層を備えるものであってもよい。
本発明の塗膜の膜厚は特に制限されないが、上記と同様の観点から、好ましくは2μm以上、より好ましくは5μm以上、更に好ましくは10μm以上である。また、プレコート鋼板加工時における塗膜の追従性の観点から、膜厚は、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下、更に好ましくは30μm以下である。
塗膜の膜厚は、電磁膜厚計(フィッシャー社製)を用い、任意に選択した10箇所を測定し、その平均値から算出される。
本発明の塗膜は、前述のプレコート用塗料組成物を鋼板に塗布した後、加熱して焼付けを行なうことにより製造することができる。
塗布方法は特に制限されず、ロールコーター、エアレススプレー、静電スプレー、カーテンフローコーターなど従来公知の方法を採用することができる。
焼付け処理における焼付け温度(すなわち、鋼板の温度)は、樹脂成分の分解等を防止しかつ均質な塗膜を得る観点から、好ましくは120〜300℃、より好ましくは150〜280℃、更に好ましくは180〜260℃、より更に好ましくは200〜250℃である。
焼付け処理における焼付け時間は特に制限されず、上記と同様の観点から、好ましくは3〜120秒、より好ましくは10〜100秒、更に好ましくは30〜60秒である。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。また、実施例中、「部」は特に断りのない限り「質量部」を意味し、「%」は特に断りのない限り「質量%」を意味する。
[原料等]
なお、以下の実施例及び比較例では、以下の原料等を用いた。
(1)ポリエステル樹脂
東洋紡社製「バイロンGK−57CS」、ガラス転移温度13℃
数平均分子量:4,500、SP値:11、
(2)メラミン樹脂
DIC社製「スーパーベッカミンL−155−70」、
数平均分子量:1,600、SP値:10.1
(3)ポリフッ化ビニリデン(PVdF)
米国アウジモント社製「HYLAR5000」、
数平均分子量:15,000、SP値:9.6、
(4)イソシアネート化合物
三洋化成社製「サンプレックスBL−160」
数平均分子量1,100、SP値:12
(5)アクリル樹脂
ローム・アンド・ハース社製「パラロイドB44」、
数平均分子量:15,000、SP値:9.4
(6)ポリトリフルオロエチレンビニルエーテル
旭硝子社製「ルミフロンシリーズ」
数平均分子量15,000、SP値:10.0
(7)分岐型重合体(B1−A)
東レダウ社製ポリエーテル変性シリコーン「8616ADDITIVE」、
シロキサンセグメントを構成するシロキサン化合物の数平均分子量:500、
エチレンオキシドとプロピレンオキシドのランダム共重合物で構成される
ポリオキシアルキレンオキシドの数平均分子量:2,000、
ポリオキシアルキレンセグメントの割合:80質量%、
ポリオキシアルキレンセグメントの末端の官能基:OH基、
SP値:11.6、HLB値:11.5、表面張力:21mN/m
(8)直鎖型重合体(B1−B)
信越シリコーン社製ポリエーテル変性シリコーン「X-22-4952」、
シロキサンセグメントを構成するシロキサン化合物の数平均分子量:600、
ポリオキシアルキレンセグメントを構成するポリオキシアルキレンオキシドの
数平均分子量:1,400、
ポリオキシアルキレンセグメントの割合:80質量%、
ポリオキシアルキレンセグメントの末端の官能基:OH基、
SP値:12、HLB値:12.5、表面張力:23mN/m
(9)PEG2000
三洋化成社製ポリエチレングリコール「PEG−2000」、
数平均分子量:2,000、
SP値:17.7
(10)アルキルシリケート(加水分解性シリル基を有する化合物)
三菱化学社製「MKCシリケート MS57」、化合物名:テトラメトキシ
シリケートの縮合物
[実施例1]
シクロヘキサノン20部とイソホロン40部を仕込み、アクリル樹脂(ローム・アンド・ハース社製「パラロイドB44」)を徐々に仕込み溶解させ、固形分40%のアクリル樹脂溶液(パラロイドB−44溶液)を得た。
またこのアクリル樹脂溶液(パラロイドB−44溶液)15部とイソホロン35部、ポリフッ化ビニリデン樹脂(米国アウジモント社製、「HYLAR5000」)を50部仕込み、フッ素樹脂分散ベースを作成した。
アクリル樹脂溶液(パラロイドB−44溶液)40部に酸化チタン顔料50部及びイソホロン10部を混合し、白顔料ペーストを得た。次に、上記のようにして得た白顔料ペースト57.2部に、フッ素樹脂分散ベース85.8部、イソホロン5部を加えて均一に混合し白色塗料を作成した。この白色塗料に加水分解性シリル基を有する化合物(三菱化学社製「MKCシリケート MS57」)4.3部を加え耐汚染塗料を作成した。当該塗料にポリエチレングリコール(三洋化成社製「PEG−2000」)を固形分濃度として10部加え、実施例1の塗料組成物を調製した。
[実施例2〜9]
実施例2〜9ではポリエチレングリコールに代えて分岐型重合体(B1−A)もしくは直鎖型重合体(B1−B)を用い、実施例8ではさらにフッ素樹脂としてポリフッ化ビニリデンをポリトリフルオロエチレンビニルエーテルに代えて、表1に記載の配合量にて調製したほかは実施例1と同様にして、塗料組成物を調製した。
[比較例1〜2]
比較例1ではポリオキシアルキレン重合物(B)を添加せず、比較例2ではアルキルシリケート(C)を添加せず、表1に記載の配合量にて調製したほかは実施例1と同様にして、それぞれ、比較例1〜2の塗料組成物を調製した。
[実施例10]
ポリエステル樹脂(「バイロンGK−57CS」、東洋紡社製)34.9部(固形分)、酸化チタン顔料41.8部、シクロヘキサノン10部、ブタノール25部を混合し、ビーズミル練肉し、練肉後、硬化剤として、メラミン樹脂(DIC製「スーパーベッカミンL−155−70)8.4部(固形分)、加水分解性シリル基を有する化合物(三菱化学社製「MKCシリケート MS57」)4.9部を加え、ベースとなるポリエステル/メラミン塗料を作製した。
当該塗料にポリエチレングリコール(三洋化成社製「PEG−2000」)固形分濃度として10部加えて、実施例10の塗料組成物を調製した。
[実施例11〜18及び比較例3〜4]
実施例11〜18ではポリエチレングリコールに代えて、分岐型重合体(B1−A)もしくは直鎖型重合体(B1−B)を用い、実施例17ではさらに、メラミン樹脂をイソシアネート化合物に代えて、表2に記載の配合量にて調製したほかは実施例10と同様にして、それぞれ、実施例11〜18の塗料組成物を調製した。
比較例3ではポリオキシアルキレン重合物(B)を添加せず、比較例4ではアルキルシリケート(C)を添加せず、表2に記載の配合量にて調製したほかは実施例10と同様にして、それぞれ、比較例3〜4の塗料組成物を調製した。
[評価用の塗装鋼板の作製]
調製した塗料組成物を使用し、あらかじめエポキシプライマー(日本ファインコーティングス社製のプライマー「ファインタフC JT-25」)を塗布した厚さ0.4mmの亜鉛メッキ鋼板上に、乾燥膜厚が20μmになるように塗装し、最高到達温度が230℃になるように45秒間焼き付け、塗装鋼板を得た。
このようにして得られた各塗装鋼板について、以下の評価を行った。その結果を表1及び表2に示す。
[評価]
(1)水接触角(親水性の評価)
塗装直後の各塗装鋼板を、50℃、95%RHの雰囲気に3時間保持して加湿促進処理を行った後、室温風乾を1時間行ったものを、試料とした。
当該試料の塗膜表面に2μLのイオン交換水を滴下し、30秒後の水接触角を測定した。測定には、協和界面科学社製のポータブル接触角計「PCA-1」を用いた。水接触角が50°以下のものを、塗膜形成後の早期から水接触角が小さく、親水性が良好であると判断した。
(2)雨だれ汚染性
波板の下に雨水が落下するように垂直に各塗装鋼板を立て、6ヶ月間曝露を行い、雨だれ状汚れの付着の程度を、以下の基準で評価した。
A+(最優良) :汚れ無し
A (優良) :全体に薄く汚れが付着
A−(やや優良) :薄く雨筋汚れが付着
B (良好) :数箇所に薄い雨筋汚れが付着
C (不良) :目立つ雨筋汚れが付着
(3)塗膜外観
塗装直後の各塗装鋼板を肉眼で確認し、ブツや平滑性を保っているかを、以下の基準で評価した。
A+(優良) :ブツやハジキがなく平滑
A (良好) :平滑であるが軽微なハジキ外観あり
B (不良) :平滑性に問題あり
(4)耐候性<スーパーUV試験>
岩崎電機社製アイスーパーUV試験機F2型にて、24時間にわたり、温度35℃、湿度70%RHの雰囲気下、UV光(波長295〜450nm、強度:100mW/cm以)を照射した。その後、JIS K−5600−7−9に指定された耐湿試験機に入れ、温度50℃、湿度98RH%の条件下、24時間保持した。これを1サイクルとして、合計8サイクル試験した。
この8サイクル試験の前後における塗装鋼板の鏡面反射60度の塗膜光沢値を、スガ試験機社製の光沢計「UVG-6P」を用いて測定し、光沢保持率を評価した。
光沢保持率は、試験前の塗装板の塗膜光沢値に対する試験後の塗装板の塗膜光沢値の百分率である。フッ素樹脂系については光沢保持率90%以上を、ポリエステル系については光沢保持率60%以上を、それぞれ合格とした。光沢保持率は、フッ素樹脂系については95%以上、ポリエステル系については70%以上がより好ましい。
(5)碁盤目試験(耐沸騰水性)
5cm×10cmの大きさに切断した各塗装鋼板を約100℃の沸騰水中に5時間浸漬した後、引き上げて表面側の塗膜外観を評価するとともに、碁盤目テープ付着試験を行い評価した。
碁盤目テープ付着試験は、JIS K−5600−5−6の碁盤目テープ法に準じて、切り傷の隙間間隔を1mmとし、碁盤目100個を作り、その表面にセロハン粘着テープを密着させ、急激に剥がした後の塗膜の残存状態を分類した。分類0から1の塗膜状態を合格とした。塗膜状態としては、分類0がより好ましい。
Figure 2014198800
Figure 2014198800
表1から明らかなとおり、実施例1〜9の塗料組成物は、水接触角(親水性)、雨だれ汚染性、塗膜外観、及び耐候性碁盤目試験の結果のいずれにも優れていた。
また、実施例1〜9のうち、ポリオキシアルキレン重合物(B)として重合体(B1−A)(分岐型)を用いた実施例2〜6、8および9は、重合体(B1−B)(直鎖型)を用いた実施例7及びポリエチレングリコール(PEG−2000)を用いた実施例1と比べて、水接触角が小さく親水性に優れ、また雨だれ汚染性に優れていた。
更に、重合体(B1−A)(分岐型)を用いた実施例2〜6、8および9のうち、その含有量が5〜15質量%である実施例3〜5が、より雨だれ汚染性および塗膜外観において優れていた。
また、表2から明らかなとおり、実施例10〜18の塗料組成物は、水接触角(親水性)、雨だれ汚染性、塗膜外観、及び耐候性碁盤目試験の結果のいずれにも優れていた。
また、実施例10〜18のうち、ポリオキシアルキレン重合物(B)として重合体(B1−A)(分岐型)を用いた実施例11〜15、17および18は、重合体(B1−B)(直鎖型)を用いた実施例16及びポリエチレングリコール(PEG2000)を用いた実施例10と比べて、水接触角が小さく親水性に優れ、また雨だれ汚染性に優れていた。
更に、重合体(B1−A)(分岐型)を用いた実施例11〜15,17および18のうち、その含有量が5〜15質量%である実施例12〜14が、より雨だれ汚染性および塗膜外観において優れていた。

Claims (18)

  1. 有機樹脂(A)、ポリオキシアルキレン重合物(B)、及びアルキルシリケート(C)を含有するプレコート用塗料組成物。
  2. 前記ポリオキシアルキレン重合物(B)が、ポリオキシアルキレンセグメント及びシロキサンセグメントを有する重合体(B1)である、請求項1に記載のプレコート用塗料組成物。
  3. 前記重合体(B1)は、下記式(1)で表される構成単位及び下記式(2)で表される構成単位を有しており、両末端がそれぞれ独立して下記式(3)又は下記式(4)で表されるものであり、
    前記重合体(B1)の含有量がプレコート用塗料組成物の固形分全量に対して1質量%以上30質量%以下である、請求項2に記載のプレコート用塗料組成物。
    Figure 2014198800
    (式(1)中、R1は炭素数1〜2のアルキル基、R2は炭素数1〜4のアルキレン基、Aは炭素数1〜4の1種又は2種以上のオキシアルキレン基を構成単位とするポリオキシアルキレンセグメント、Bは水素、一部が官能基で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、アミノ基又はアミド基であり、R1、R2、A及びBは構成単位毎に同一でも異なっていてもよい。)
    Figure 2014198800
    (式(2)中、R3及びR4はそれぞれ独立して炭素数1〜2のアルキル基であり、R3及びR4は構成単位毎に同一でも異なっていてもよい。)
    Figure 2014198800
    (式(3)中、R5〜R7はそれぞれ独立して炭素数1〜2のアルキル基であり、R5〜R7は構成単位毎に同一でも異なっていてもよい。)
    Figure 2014198800
    (式(4)中、R1及びR10はそれぞれ独立して炭素数1〜2のアルキル基、R2は炭素数1〜4のアルキレン基、Aは炭素数1〜4の1種又は2種以上のオキシアルキレン基を構成単位とするポリオキシアルキレンセグメント、Bは水素、一部が官能基で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、アミノ基又はアミド基であり、R1、R2、R10、A及びBは構成単位毎に同一でも異なっていてもよい。)
  4. 前記有機樹脂(A)が、フッ素樹脂を含むものである、請求項1〜3のいずれかに記載のプレコート用塗料組成物。
  5. 前記フッ素樹脂が、ポリフッ化ビニリデンを含むものである、請求項4に記載のプレコート用塗料組成物。
  6. 前記有機樹脂(A)が、さらにアクリル樹脂を含むものである、請求項4又は5に記載のプレコート用塗料組成物。
  7. 前記有機樹脂(A)が、ポリエステル樹脂と、メラミン樹脂及びイソシアネート化合物の少なくとも一種とを含むものである、請求項1〜3のいずれかに記載のプレコート用塗料組成物。
  8. 前記有機樹脂(A)のSP値(SPa)と、前記ポリオキシアルキレン重合物(B)のSP値(SPb)とが、下記式(5)の関係を満たす、請求項1〜7のいずれかに記載のプレコート用塗料組成物。
    SPb−SPa≧0.6 (5)
  9. 前記ポリオキシアルキレン重合物(B)のHLB値が10〜17である、請求項1〜8のいずれかに記載のプレコート用塗料組成物。
  10. 前記ポリオキシアルキレン重合物(B)のシロキサンセグメントの数平均分子量が、500〜1000である、請求項1〜9のいずれかに記載のプレコート用塗料組成物。
  11. 前記ポリオキシアルキレン重合物(B)のポリオキシアルキレンセグメントの数平均分子量が、1000〜2000である、請求項1〜10のいずれかに記載のプレコート用塗料組成物。
  12. 前記ポリオキシアルキレン重合物(B)中に占めるポリオキシアルキレンセグメントの割合が、50質量%以上である、請求項1〜11のいずれかに記載のプレコート用塗料組成物。
  13. 前記ポリオキシアルキレン重合物(B)中における少なくとも一部のポリオキシアルキレンセグメントの末端に、水酸基、カルボキシル基、カルボキシメチル基、アミノ基及びアミド基からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基を有する、請求項1〜12のいずれかに記載のプレコート用塗料組成物。
  14. 前記ポリオキシアルキレン重合物(B)の表面張力が20〜25mN/mである、請求項1〜13のいずれかに記載のプレコート用塗料組成物。
  15. 請求項1〜14のいずれかに記載のプレコート用塗料組成物を用いて形成された塗膜。
  16. 請求項1〜14のいずれかに記載のプレコート用塗料組成物を鋼板に塗布した後、前記鋼板の温度が120〜300℃の範囲内となるまで加熱することにより焼付けを行なう、塗膜の形成方法。
  17. 前記焼付けの加熱時間が3〜90秒である、請求項16に記載の塗膜の形成方法。
  18. 請求項15に記載の塗膜を有するプレコート鋼板。
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