JP6607135B2 - コネクタ - Google Patents
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Description
一方この種の車両側コネクタでは、ハウジングにおけるリテーナの装着部分の防水対策を講じる必要があり、従来比較的シンプルな構造のものとして、リテーナの前面に、ハウジングの後面開口部内にクリアランスを持って嵌合可能な嵌合筒部が設けられ、同嵌合筒部の外周面に、ハウジングの後面開口部の内周面との間で弾縮されるシールリングを装着するものが提案されている。
本明細書によって開示される技術は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、シールリングを正規位置に強固に保持し得、かつ保持状態の適否を目視により容易に判別できるようにしたところにある。
(1)前記抜止部が板状をなし、前記係止頭部は、前記抜止部の両側縁から側方に張り出すように形成されている。
抜止部による抜止力を高めようとすれば、係止頭部の後縁を軸線と直角をなすように形成することが望ましいが、同係止頭部は成形型の型孔から無理抜きする必要がある関係上、係止頭部の後縁を直角に近付けるには限界がある。
そこで、抜止部を板状として同抜止部の両側縁から側方に張り出すように係止頭部を設けた形状としたから、係止頭部の後縁を軸線と直角をなすように形成しても、型孔の孔縁との係合面積が小さく抑えられることで無理抜きが可能となる。結果、高い抜止力を得ることができる。
シールリングの内周面におけるリップの内側に対応する位置に切り込み溝が形成されていることで、シールリングの厚さが軸方向においてほぼ一定とされる。シールリングは、リテーナの嵌合筒部の外周面に対して、摩擦抵抗を受けて摺接しつつ装着されるが、上記のように厚さがほぼ一定とされていることで、装着時に座屈することが避けられ、ひいてはシールリングの装着をよりスムーズに行うことができる。
抜止部の係止頭部を係止孔に押し込む動作が容易となり、ひいてはシールリングの装着作業が容易になる。
車両側コネクタに適用した一実施形態を、図1ないし図19に基づいて説明する。本実施形態の車両側コネクタVCは、電気自動車やハイブリッド自動車などに搭載されたバッテリ(図示せず)に接続され、このバッテリへの充電時に充電用コネクタ(図示せず)と嵌合接続されるようになっている。車両側コネクタVCは、5極コネクタであって、図1ないし図4に示すように、図示しない端子金具を収容して車両のボディに装着されるインレットハウジング20(以下、ハウジング20)と、端子金具を抜け止めするべく同ハウジング20の後面側に装着されるリテーナ50とを備えている。
端子金具は、全体として丸棒状の鍛造品として形成され、小径の端子接続部、フランジ部、及び大径の電線接続部が前側から順次に設けられている。
電線接続部の後部側には、後面に開口した圧着孔(図示せず)が形成されている。図示しない電線は、絶縁被覆の端末が所定長さ切除(皮剥ぎ)された端末処理が施され、露出した芯線の端末が、上記の圧着孔に挿入されて圧着されることにより、電線の端末が端子金具における電線接続部に対して電気的に接続されるようになっている。
端子収容部25の外周にはフード部26が形成され、フード部26ともども端子収容部25の前端側が取付板21の前面に所定寸法突出した形態で、一体形成されている。
端子収容部25には5個の端子収容室30が形成され、図1に示す配置で形成されている。端子収容室30は、収容する端子金具の種類に応じて長さ寸法等を異にする場合があるが、基本的な構造は同様である。図4には、アース端子を収容する端子収容室30が示されている。
端子金具は端子収容室30の後部収容室に後方から挿入され、端子接続部が端子挿通孔33を通して押し込まれたのち、フランジ部が中間壁32の後面に当接することで挿入が停止されるようになっている。このとき、端子接続部の先端部が前部収容室内に突出し、またフランジ部並びに電線接続部の後端寄りの位置までが後部収容室に収容された状態となる。
詳細には、端子収容部25の後面側には、一部既述したように、同端子収容部25の後端部からその後方領域の回りを囲むようにして、後面開口の円筒形をなす周壁40が形成されている。この周壁40の後面開口部40Aに、リテーナ50が装着されるようになっている。
後記するように、リテーナ50が周壁40の後面開口部40Aに正規に被着された場合には、図4に示すように、5本の係止スリーブ55の先端が、後部収容室における中間壁32の所定間隔を開けた後方位置まで進出し、前止まりされた端子金具に後方から当接するようになっている。
なお、係止スリーブ55の内部には、端子金具におけるフランジ部から電線接続部、並びに電線接続部から後方に引き出された電線の端末の一部が挿通可能となっている。
なお、リテーナ50のロック構造として、二重筒部52における外筒54の前縁には、図7及び図8に示すように、4個のロック片58が所定の角度間隔を開けて形成されているとともに、周壁40の外周面には、各ロック片58に嵌るロック突部(図示せず)が対応して形成されている。
シールリング70は、図14ないし図17に示すように、内筒53の突出長さに匹敵する幅(軸方向の長さ)と、内筒53の外周面と、周壁40の後面開口部40Aの内周面との間のクリアランスに緊密に嵌る厚さを持った環形に形成されている。シールリング70の外周面には、図18に示すように、全周に亘る2条のリップ71が、軸方向に所定間隔を開けて形成されている。一方、シールリング70の内周面には、各リップ71の内側に対応する位置において、2本の切り込み溝72が全周に亘って形成されている。これにより、シールリング70の厚さが軸方向においてほぼ一定とされている。
一方、リテーナ50の基板51の外周縁、詳細には上記した二重筒部52の奥壁60に相当する部分には、図12に示すように、シールリング70のフランジ74が嵌る嵌合溝61が全周に亘って形成され、同嵌合溝61の奥面には、各抜止部75(等幅の基端部)を挿通可能な4個の係止孔62が、対応して形成されている。
それに加え、周壁40、端子収容部25及びリテーナ50の間において閉空間が形成されるようになっている。
車両側コネクタVCは、例えば以下のような手順で組み立てられる。リテーナ50について、二重筒部52における内筒53の外周にシールリング70が嵌着される。
抜止部75の係止頭部76は先細り形状とされているから、係止孔62に押し込む動作が容易にできる。また、シールリング70は、内筒53の外周面に対して摩擦抵抗を受けつつ摺動装着されるが、シールリング70の厚さが軸方向においてほぼ一定とされていることで、摺動時に座屈することが避けられる。従って、シールリング70の装着は比較的スムーズに行われる。
シールリング70の装着後、リテーナ50の裏面側において、4本の抜止部75の係止頭部76が、それぞれ対応する係止孔62の裏側に通過しているのを目視することで、シールリング70が正規位置において、正規に抜け止めされていることが判別される。仮に、抜止部75の係止頭部76が係止孔62の裏側に抜けていない箇所があれば、係止頭部76が裏側に抜け出るまで、シールリング70の所定箇所を押し込む。
最後に、リテーナ50の各係止スリーブ55の後端から引き出された5本の電線が、下向きに屈曲されたのち一纏めにされ、図示しないカバー内に収容されつつ下方に延出されることで、車両側コネクタVCの組み立てが完了する。
一方、車両側コネクタVCの後面側において、一纏めとなって下方に延出された電線は、コルゲートチューブやブーツに通されて防水処理が施された上で、車両に搭載されたバッテリと接続される。
また、シールリング70に設けられた抜止部75の係止頭部76が係止孔62の裏側に通過しているのを目視することで、シールリング70が正規位置に装着されていることが判別でき、ひいてはリテーナ50の装着時に正規のシール機能が発揮されることも担保される。そのため、洩れの有無を検査する大掛かりな検査工程を設ける必要が無く、コネクタの組立工程の簡略化を図ることが可能となる。
そこで本実施形態では、抜止部75を板状として同抜止部75の両側縁から側方に張り出すように係止頭部76を設けた形状としたから、係止頭部76の後縁77を軸線と直角をなすように形成しても、型孔の孔縁との係合面積が小さく抑えられることで無理抜きが可能となる。結果、抜止部75による高い抜止力を得ることができる。
シールリング70は、リテーナ50の二重筒部52における内筒53の外周面に対して摩擦抵抗を受けつつ装着されるが、上記のように厚さがほぼ一定とされていることで、装着時に座屈することが避けられ、ひいてはシールリング70の装着をよりスムーズに行うことができる。
また、リテーナ50に設けられた抜止部75の係止頭部76が先細り形状に形成されているから、同抜止部75の係止頭部76を係止孔62に押し込む動作が容易となり、これもシールリング70をスムーズに装着する上で有益となる。
本明細書で開示される技術は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
(1)シールリングの後面に設けられる抜止部75の数や配置は、上記実施形態に例示したものに限らず任意であるが、複数個であって、かつ全周に亘ってバランイ良く配されていることが好ましい。
(2)上記実施形態では、抜止部75が板状である場合を例示したが、丸や角の棒状等、他の形状であってもよい。
(4)一方、シールリングの内周面の切り込み溝72は必ずしも必要ではなく、切り込み溝72が形成されていないもの、あるいは外周面のリップ71の位置とは無関係に内周リップを設けたものであってもよく、そのようなものも技術的範囲に含まれる。
(5)上記実施形態に例示した車両側コネクタVCの組立手順はあくまでも一例であって、例えばリテーナ50に対するシールリング70の装着タイミングをずらす等、適宜に変更し得るものである。
(7)上記実施形態では、ハウジング20の後面側に引き出された電線を直角に屈曲して延出した場合を例示したが、電線が後方に向けて軸線方向に沿って延出される形態であってもよい。
(8)本明細書開示技術は車両側コネクタに限らず、端子金具が収容されたハウジングの後面開口に、同端子金具を抜け止めするためのリテーナが被着される形態のコネクタ全般の防水構造について、広く適用することができる。
20…インレットハウジング(ハウジング)
30…端子収容室
40…周壁
40A…後面開口部
50…リテーナ
53…内筒(嵌合筒部)
55…係止スリーブ
60…奥壁(リテーナ50の周縁部)
62…係止孔
70…シールリング
71…リップ
72…切り込み溝
75…抜止部
76…係止頭部
77…(係止頭部76の)後縁
Claims (3)
- 端子収容室が設けられたハウジングと、
前記ハウジングの後面開口部を覆って装着されるリテーナと、
前記リテーナの前面において前記ハウジングの前記後面開口部内にクリアランスを持って嵌合可能に設けられた嵌合筒部と、
前記嵌合筒部の外周面に装着され前記後面開口部の内周面との間で弾縮されるシールリングと、が備えられ、
前記シールリングの後面には、先端に係止頭部を有する抜止部が突出形成されているとともに、
前記リテーナの周縁部には、前記抜止部を貫通可能な係止孔が設けられ、かつ前記係止孔の孔縁部に前記係止頭部が後方から係止し、
前記抜止部が板状をなし、前記係止頭部は、前記抜止部の両側縁から側方に張り出すように形成されているコネクタ。 - 前記シールリングの外周面には、前記ハウジングの前記後面開口部の内周面に密着するリップが全周に亘って形成されているとともに、
前記シールリングの内周面における前記リップの内側に対応する位置には、切り込み溝が全周に亘って形成されている請求項1に記載のコネクタ。 - 前記抜止部の前記係止頭部が先細り形状に形成されている請求項1または請求項2に記載のコネクタ。
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