以下、図面を参照して種々の実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
図1は、一実施形態に係る静電容量を測定する方法を示す流れ図である。図1に示す方法MTは、処理システムの搬送装置によってチャンバ内に搬送される測定器とフォーカスリングとの間の静電容量を表すデータを取得する方法である。一実施形態では、方法MTでは、取得されたデータを用いて、搬送装置の搬送先位置の座標情報が修正される。
図2は、処理システムを例示する図である。図2に示す処理システム1は、方法MTを適用し得る処理システムである。処理システム1は、台2a〜2d、容器4a〜4d、ローダモジュールLM、アライナAN、ロードロックモジュールLL1,LL2、プロセスモジュールPM1〜PM6、トランスファーモジュールTF、及び、制御部MCを備えている。なお、台2a〜2dの個数、容器4a〜4dの個数、ロードロックモジュールLL1,LL2の個数、及び、プロセスモジュールPM1〜PM6の個数は限定されるものではなく、一以上の任意の個数であり得る。
台2a〜2dは、ローダモジュールLMの一縁に沿って配列されている。容器4a〜4dはそれぞれ、台2a〜2d上に搭載されている。容器4a〜4dの各々は、例えば、FOUP(Front Opening Unified Pod)と称される容器である。容器4a〜4dのそれぞれは、被加工物Wを収容するように構成されている。被加工物Wは、略円盤形状を有する。
図3は、容器を例示する断面図である。図3には、容器4a〜4dの各々として採用され得る容器4の縦断面図が示されている。図3に示すように、容器4は、容器本体4M、及び、一対の支持部材4Sを有している。容器本体4Mは、その内部に空間を提供している。一対の支持部材4Sは、容器本体4Mによって提供された空間内において、容器本体4Mの一対の側壁に沿って設けられている。一対の支持部材4Sは、複数のスロット4Lを提供している。複数のスロット4Lは、鉛直方向に配列されており、容器本体4Mによって提供された空間の奥行き方向に延びている。複数のスロット4Lの各々には、被加工物Wが収容され得る。複数のスロット4Lの何れかに収容された被加工物Wは、一対の支持部材4Sによって支持されるようになっている。
図2に戻り、ローダモジュールLMは、大気圧状態の搬送空間をその内部に画成するチャンバ壁を有している。この搬送空間内には搬送装置TU1が設けられている。搬送装置TU1は、例えば、多関節ロボットであり、制御部MCによって制御される。搬送装置TU1は、容器4a〜4dとアライナANとの間、アライナANとロードロックモジュールLL1〜LL2の間、ロードロックモジュールLL1〜LL2と容器4a〜4dの間で被加工物Wを搬送するように構成されている。
アライナANは、ローダモジュールLMと接続されている。アライナANは、被加工物Wの位置の調整(位置の較正)を行うように構成されている。図4は、アライナを例示する斜視図である。アライナANは、支持台6T、駆動装置6D、及び、センサ6Sを有している。支持台6Tは、鉛直方向に延びる軸線中心に回転可能な台であり、その上に被加工物Wを支持するように構成されている。支持台6Tは、駆動装置6Dによって回転される。駆動装置6Dは、制御部MCによって制御される。駆動装置6Dからの動力により支持台6Tが回転すると、当該支持台6T上に載置された被加工物Wも回転するようになっている。
センサ6Sは、光学センサであり、被加工物Wが回転されている間、被加工物Wのエッジを検出する。センサ6Sは、エッジの検出結果から、基準角度位置に対する被加工物WのノッチWN(或いは、別のマーカー)の角度位置のずれ量、及び、基準位置に対する被加工物Wの中心位置のずれ量を検出する。センサ6Sは、ノッチWNの角度位置のずれ量及び被加工物Wの中心位置のずれ量を制御部MCに出力する。制御部MCは、ノッチWNの角度位置のずれ量に基づき、ノッチWNの角度位置を基準角度位置に補正するための支持台6Tの回転量を算出する。制御部MCは、この回転量の分だけ支持台6Tを回転させるよう、駆動装置6Dを制御する。これにより、ノッチWNの角度位置を基準角度位置に補正することができる。また、制御部MCは、搬送装置TU1のエンドエフェクタ(end effector)上の所定位置に被加工物Wの中心位置が一致するよう、アライナANから被加工物Wを受け取る際の搬送装置TU1のエンドエフェクタの位置を、被加工物Wの中心位置のずれ量に基づき、制御する。
図2に戻り、ロードロックモジュールLL1及びロードロックモジュールLL2の各々は、ローダモジュールLMとトランスファーモジュールTFとの間に設けられている。ロードロックモジュールLL1及びロードロックモジュールLL2の各々は、予備減圧室を提供している。ロードロックモジュールLL1とローダモジュールLMとの間にはゲートバルブが設けられている。ロードロックモジュールLL1の予備減圧室とローダモジュールLMの搬送空間とは、ゲートバルブを開くことにより連通され、ゲートバルブを閉じることにより互いに分離される。また、ロードロックモジュールLL2とローダモジュールLMとの間には別のゲートバルブが設けられている。ロードロックモジュールLL2の予備減圧室とローダモジュールLMの搬送空間とは、ゲートバルブを開放することにより連通され、ゲートバルブを閉じることにより互いに分離される。
トランスファーモジュールTFは、ロードロックモジュールLL1及びロードロックモジュールLL2にゲートバルブを介して接続されている。トランスファーモジュールTFは、減圧可能な減圧室を提供している。この減圧室には、搬送装置TU2が設けられている。搬送装置TU2は、例えば、多関節ロボットであり、制御部MCによって制御される。搬送装置TU2は、ロードロックモジュールLL1〜LL2とプロセスモジュールPM1〜PM6との間、及び、プロセスモジュールPM1〜PM6のうち任意の二つのプロセスモジュール間において、被加工物Wを搬送するように構成されている。
プロセスモジュールPM1〜PM6の各々は、トランスファーモジュールTFにゲートバルブを介して接続されている。プロセスモジュールPM1〜PM6の各々は、被加工物Wに対してプラズマ処理といった専用の処理を行うよう構成された処理装置である。プロセスモジュールPM1〜PM6の各々のチャンバとトランスファーモジュールTFの減圧室とは、ゲートバルブを開くことにより連通され、ゲートバルブを閉じることにより互いに分離される。
この処理システム1において被加工物Wの処理が行われる際の一連の動作は以下の通り例示される。ローダモジュールLMの搬送装置TU1が、容器4a〜4dの何れかから被加工物Wを取り出し、当該被加工物WをアライナANに搬送する。次いで、搬送装置TU1は、その位置が調整された被加工物WをアライナANから取り出して、当該被加工物WをロードロックモジュールLL1及びロードロックモジュールLL2のうち一方のロードロックモジュールに搬送する。次いで、一方のロードロックモジュールが、予備減圧室の圧力を所定の圧力に減圧する。次いで、トランスファーモジュールTFの搬送装置TU2が、一方のロードロックモジュールから被加工物Wを取り出し、当該被加工物WをプロセスモジュールPM1〜PM6のうち何れかに搬送する。そして、プロセスモジュールPM1〜PM6のうち一以上のプロセスモジュールが被加工物Wを処理する。そして、搬送装置TU2が、処理後の被加工物WをプロセスモジュールからロードロックモジュールLL1及びロードロックモジュールLL2のうち一方のロードロックモジュールに搬送する。次いで、搬送装置TU1が被加工物Wを一方のロードロックモジュールから容器4a〜4dの何れかに搬送する。
この処理システム1は、上述したように制御部MCを備えている。制御部MCは、プロセッサ、メモリといった記憶装置、表示装置、入出力装置、通信装置等を備えるコンピュータであり得る。上述した処理システム1の一連の動作は、記憶装置に記憶されたプログラムに従った制御部MCによる処理システム1の各部の制御により、実現されるようになっている。
図5は、プロセスモジュールPM1〜PM6の何れかとして採用され得るプラズマ処理装置の一例を示す図である。図5に示すプラズマ処理装置10は、容量結合型プラズマエッチング装置である。プラズマ処理装置10は、略円筒形状のチャンバ本体12を備えている。チャンバ本体12は、例えば、アルミニウムから形成されており、その内壁面には、陽極酸化処理が施され得る。このチャンバ本体12は保安接地されている。
チャンバ本体12の底部上には、略円筒形状の支持部14が設けられている。支持部14は、例えば、絶縁材料から構成されている。支持部14は、チャンバ本体12内に設けられており、チャンバ本体12の底部から上方に延在している。また、チャンバ本体12によって提供されるチャンバS内には、載置台PDが設けられている。載置台PDは、支持部14によって支持されている。
載置台PDは、下部電極LE及び静電チャックESCを有している。下部電極LEは、第1プレート18a及び第2プレート18bを含んでいる。第1プレート18a及び第2プレート18bは、例えばアルミニウムといった金属から構成されており、略円盤形状をなしている。第2プレート18bは、第1プレート18a上に設けられており、第1プレート18aに電気的に接続されている。
第2プレート18b上には、静電チャックESCが設けられている。静電チャックESCは、導電膜である電極を一対の絶縁層又は絶縁シート間に配置した構造を有しており、略円盤形状を有している。静電チャックESCの電極には、直流電源22がスイッチ23を介して電気的に接続されている。この静電チャックESCは、直流電源22からの直流電圧により生じたクーロン力等の静電力により被加工物Wを吸着する。これにより、静電チャックESCは、被加工物Wを保持することができる。
第2プレート18bの周縁部上には、フォーカスリングFRが設けられている。このフォーカスリングFRは、フォーカスリングFRは、被加工物Wのエッジ及び静電チャックESCを囲むように設けられている。フォーカスリングFRは、第1部分P1及び第2部分P2を有している(図8参照)。第1部分P1及び第2部分P2は環状板形状を有している。第2部分P2は、第1部分P1上に設けられている。第2部分P2の内縁P2iは第1部分P1の内縁P1iの直径よりも大きい直径を有している。被加工物Wは、そのエッジ領域が、フォーカスリングFRの第1部分P1上に位置するように、静電チャックESC上に載置される。このフォーカスリングFRは、シリコン、炭化ケイ素、酸化シリコンといった種々の材料のうち何れかから形成され得る。
第2プレート18bの内部には、冷媒流路24が設けられている。冷媒流路24は、温調機構を構成している。冷媒流路24には、チャンバ本体12の外部に設けられたチラーユニットから配管26aを介して冷媒が供給される。冷媒流路24に供給された冷媒は、配管26bを介してチラーユニットに戻される。このように、冷媒流路24とチラーユニットとの間では、冷媒が循環される。この冷媒の温度を制御することにより、静電チャックESCによって支持された被加工物Wの温度が制御される。
また、プラズマ処理装置10には、ガス供給ライン28が設けられている。ガス供給ライン28は、伝熱ガス供給機構からの伝熱ガス、例えばHeガスを、静電チャックESCの上面と被加工物Wの裏面との間に供給する。
また、プラズマ処理装置10は、上部電極30を備えている。上部電極30は、載置台PDの上方において、当該載置台PDと対向配置されている。上部電極30は、絶縁性遮蔽部材32を介して、チャンバ本体12の上部に支持されている。上部電極30は、天板34及び支持体36を含み得る。天板34はチャンバSに面しており、当該天板34には複数のガス吐出孔34aが設けられている。この天板34は、シリコン又は石英から形成され得る。或いは、天板34は、アルミニウム製の母材の表面に酸化イットリウムといった耐プラズマ性の膜を形成することによって構成され得る。
支持体36は、天板34を着脱自在に支持するものであり、例えばアルミニウムといった導電性材料から構成され得る。この支持体36は、水冷構造を有し得る。支持体36の内部には、ガス拡散室36aが設けられている。このガス拡散室36aからは、ガス吐出孔34aに連通する複数のガス通流孔36bが下方に延びている。また、支持体36には、ガス拡散室36aに処理ガスを導くガス導入口36cが形成されており、このガス導入口36cには、ガス供給管38が接続されている。
ガス供給管38には、バルブ群42及び流量制御器群44を介して、ガスソース群40が接続されている。ガスソース群40は、複数種のガス用の複数のガスソースを含んでいる。バルブ群42は複数のバルブを含んでおり、流量制御器群44はマスフローコントローラといった複数の流量制御器を含んでいる。ガスソース群40の複数のガスソースはそれぞれ、バルブ群42の対応のバルブ及び流量制御器群44の対応の流量制御器を介して、ガス供給管38に接続されている。
また、プラズマ処理装置10では、チャンバ本体12の内壁に沿ってデポシールド46が着脱自在に設けられている。デポシールド46は、支持部14の外周にも設けられている。デポシールド46は、チャンバ本体12にエッチング副生物(デポ)が付着することを防止するものであり、アルミニウム材にY2O3等のセラミックスを被覆することにより構成され得る。
チャンバ本体12の底部側、且つ、支持部14とチャンバ本体12の側壁との間には排気プレート48が設けられている。排気プレート48は、例えば、アルミニウム材にY2O3等のセラミックスを被覆することにより構成され得る。排気プレート48には、その板厚方向に貫通する複数の孔が形成されている。この排気プレート48の下方、且つ、チャンバ本体12には、排気口12eが設けられている。排気口12eには、排気管52を介して排気装置50が接続されている。排気装置50は、圧力調整弁及びターボ分子ポンプなどの真空ポンプを有しており、チャンバ本体12内の空間を所望の真空度まで減圧することができる。また、チャンバ本体12の側壁には被加工物Wの搬入出口12gが設けられており、この搬入出口12gはゲートバルブ54により開閉可能となっている。
また、プラズマ処理装置10は、第1の高周波電源62及び第2の高周波電源64を更に備えている。第1の高周波電源62は、プラズマ生成用の第1の高周波を発生する電源であり、例えば、27〜100MHzの周波数を有する高周波を発生する。第1の高周波電源62は、整合器66を介して上部電極30に接続されている。整合器66は、第1の高周波電源62の出力インピーダンスと負荷側(上部電極30側)の入力インピーダンスを整合させるための回路を有している。なお、第1の高周波電源62は、整合器66を介して下部電極LEに接続されていてもよい。
第2の高周波電源64は、被加工物Wにイオンを引き込むための第2の高周波を発生する電源であり、例えば、400kHz〜13.56MHzの範囲内の周波数の高周波を発生する。第2の高周波電源64は、整合器68を介して下部電極LEに接続されている。整合器68は、第2の高周波電源64の出力インピーダンスと負荷側(下部電極LE側)の入力インピーダンスを整合させるための回路を有している。
このプラズマ処理装置10では、複数のガスソースのうち選択された一以上のガスソースからのガスがチャンバSに供給される。また、チャンバSの圧力が排気装置50によって所定の圧力に設定される。さらに、第1の高周波電源62からの第1の高周波によってチャンバS内のガスが励起される。これにより、プラズマが生成される。そして、発生した活性種によって被加工物Wが処理される。なお、必要に応じて、第2の高周波電源64の第2の高周波に基づくバイアスにより、被加工物Wにイオンが引き込まれてもよい。
以下、方法MTにおいて用いられる測定器について説明する。図6は、測定器を例示する斜視図である。図6に示す測定器100は、ベース基板102を備えている。ベース基板102は、例えば、シリコンから形成されており、被加工物Wの形状と同様の形状、即ち略円盤形状を有している。ベース基板102の直径は、被加工物Wと同様の直径であり、例えば、300mmである。測定器100の形状及び寸法は、このベース基板102の形状及び寸法によって規定される。したがって、測定器100は、被加工物Wの形状と同様の形状を有し、且つ、被加工物Wの寸法と同様の寸法を有する。また、ベース基板102のエッジには、ノッチ102N(或いは、別のマーカー)が形成されている。
ベース基板102は、下側部分102a及び上側部分102bを有している。下側部分102aは、測定器100が静電チャックESCの上方に配置されるときに、上側部分102bよりも静電チャックESCの近くに位置する部分である。ベース基板102の下側部分102aには、静電容量測定用の複数のセンサ部104A〜104Hが設けられている。なお、測定器100に設けられるセンサ部の個数は、三個以上の任意の個数であり得る。複数のセンサ部104A〜104Hは、ベース基板102のエッジに沿って、例えば当該エッジの全周において等間隔に、配列されている。具体的には、複数のセンサ部104A〜104Hの各々の前側端面104fがベース基板102の下側部分102aのエッジに沿うように設けられている。なお、図6では、複数のセンサ部104A〜104Hのうちセンサ部104A〜104Cが見えている。
ベース基板102の上側部分102bの上面は、凹部102rを提供している。凹部102rは、中央領域102c及び複数の放射領域102hを含んでいる。中央領域102cは、中心軸線AX100と交差する領域である。中心軸線AX100は、ベース基板102の中心を板厚方向に通過する軸線である。中央領域102cには、回路基板106が設けられている。複数の放射領域102hは、中央領域102cから複数のセンサ部104A〜104Hが配置されている領域の上方まで中心軸線AX100に対して放射方向に延在している。複数の放射領域102hには、複数のセンサ部104A〜104Hと回路基板106とをそれぞれ電気的に接続するための配線群108A〜108Hが設けられている。なお、複数のセンサ部104A〜104Hはベース基板102の上側部分102bに設けられていてもよい。
以下、センサ部について詳細に説明する。図7は、センサ部の一例を示す斜視図である。図8は、図7のVIII−VIII線に沿ったとった断面図であり、センサ部と共に測定器のベース基板及びフォーカスリングを示している。図9は、図8のIX−IX線に沿ってとった断面図である。図7〜図9に示すセンサ部104は、測定器100の複数のセンサ部104A〜104Hとして利用されるセンサ部であり、一例では、チップ状の部品として構成されている。なお、以下の説明では、XYZ直交座標系を適宜参照する。X方向は、センサ部104の前方向を示しており、Y方向は、X方向に直交する一方向であってセンサ部104の幅方向を示しており、Z方向は、X方向及びY方向に直交する方向であってセンサ部104の上方向を示している。
図7〜図9に示すように、センサ部104は、前側端面104f、上面104t、下面104b、一対の側面104s、及び後側端面104rを有している。前側端面104fは、X方向においてセンサ部104の前側表面を構成している。センサ部104は、前側端面104fが中心軸線AX100に対して放射方向に向くように、測定器100のベース基板102に搭載される(図6参照)。また、センサ部104がベース基板102に搭載されている状態では、前側端面104fは、ベース基板102のエッジに沿って延在する。したがって、測定器100が静電チャックESC上に配置されるときに、前側端面104fは、フォーカスリングFRの内縁に対面する。
後側端面104rは、X方向においてセンサ部104の後側表面を構成している。センサ部104がベース基板102に搭載されている状態では、後側端面104rは、前側端面104fよりも中心軸線AX100の近くに位置する。上面104tはZ方向においてセンサ部104の上側表面を構成しており、下面104bはZ方向においてセンサ部104の下側表面を構成している。また、一対の側面104sは、Y方向においてセンサ部104の表面を構成している。
センサ部104は、電極143を有している。センサ部104は、電極141及び電極142を更に有していてもよい。電極141は、導体から形成されている。電極141は、第1部分141aを有している。図7及び図8に示すように、第1部分141aは、X方向及びY方向に延在している。
電極142は、導体から形成されている。電極142は、第2部分142aを有している。第2部分142aは、第1部分141aの上で延在している。センサ部104内において、電極142は、電極141から絶縁されている。図7及び図8に示すように、第2部分142aは、第1部分141aの上で、X方向及びY方向に延在している。
電極143は、導体から形成されたセンサ電極である。電極143は、電極141の第1部分141a及び電極142の第2部分142aの上に設けられている。電極143は、センサ部104内において電極141及び電極142から絶縁されている。電極143は、前面143fを有している。この前面143fは、第1部分141a及び第2部分142aに交差する方向に延びている。また、前面143fは、センサ部104の前側端面104fに沿って延在している。一実施形態では、前面143fは、センサ部104の前側端面104fの一部を構成している。或いは、センサ部104は、電極143の前面143fの前側に当該前面143fを覆う絶縁膜を有していてもよい。
図7〜図9に示すように、電極141及び電極142は、電極143の前面143fが配置されている領域の側(X方向)で開口し、且つ、電極143の周囲を囲むように延在していてもよい。即ち、電極141及び電極142は、電極143の上方、後方、及び、側方において、当該電極143を囲むように延在していてもよい。
また、センサ部104の前側端面104fは、所定の曲率を有する曲面であり得る。この場合に、前側端面104fは、当該前側端面の任意の位置で一定の曲率を有しており、当該前側端面104fの曲率は、測定器100の中心軸線AX100と当該前側端面104fとの間の距離の逆数であり得る。このセンサ部104は、前側端面104fの曲率中心が中心軸線AX100に一致するように、ベース基板102に搭載される。
また、センサ部104は、基板部144、絶縁領域146〜148、パッド151〜153、及び、ヴィア配線154を更に有し得る。基板部144は、本体部144m及び表層部144fを有している。本体部144mは、例えばシリコンから形成されている。表層部144fは、本体部144mの表面を覆っている。表層部144fは、絶縁材料から形成されている。表層部144fは、例えば、シリコンの熱酸化膜である。
電極142の第2部分142aは、基板部144の下方において延在しており、基板部144と電極142との間には、絶縁領域146が設けられている。絶縁領域146は、例えば、SiO2、SiN、Al2O3、又は、ポリイミドから形成されている。
電極141の第1部分141aは、基板部144及び電極142の第2部分142aの下方において延在している。電極141と電極142との間には絶縁領域147が設けられている。絶縁領域147は、例えば、SiO2、SiN、Al2O3、又は、ポリイミドから形成されている。
絶縁領域148は、センサ部104の上面104tを構成している。絶縁領域148は、例えば、SiO2、SiN、Al2O3、又は、ポリイミドから形成されている。この絶縁領域148には、パッド151〜153が形成されている。パッド153は、導体から形成されており、電極143に接続されている。具体的には、絶縁領域146、電極142、絶縁領域147、及び、電極141を貫通するヴィア配線154によって、電極143とパッド153が互いに接続されている。ヴィア配線154の周囲には絶縁体が設けられており、当該ヴィア配線154は電極141及び電極142から絶縁されている。パッド153は、ベース基板102内に設けられたヴィア配線123、及び、凹部102rの放射領域102hに設けられた配線183を介して回路基板106に接続されている。パッド151及びパッド152も同様に導体から形成されている。パッド151及びパッド152はそれぞれ、対応のヴィア配線を介して、電極141、電極142に接続されている。また、パッド151及びパッド152は、ベース基板102に設けられた対応のヴィア配線及び凹部102rの放射領域102hに設けられた対応の配線を介して回路基板106に接続される。
以下、回路基板106の構成について説明する。図10は、測定器の回路基板の構成を例示する図である。図10に示すように、回路基板106は、高周波発振器161、複数のC/V変換回路162A〜162H、A/D変換器163、プロセッサ164、記憶装置165、通信装置166、及び、電源167を有している。
複数のセンサ部104A〜104Hの各々は、複数の配線群108A〜108Hのうち対応の配線群を介して回路基板106に接続されている。また、複数のセンサ部104A〜104Hの各々は、対応の配線群に含まれる幾つかの配線を介して、複数のC/V変換回路162A〜162Hのうち対応のC/V変換回路に接続されている。以下、複数のセンサ部104A〜104Hの各々と同構成の一つのセンサ部104、複数の配線群108A〜108Hの各々と同構成の一つの配線群108、及び複数のC/V変換回路162A〜162Hの各々と同構成の一つのC/V変換回路162について説明する。
配線群108は、配線181〜183を含んでいる。配線181の一端は、電極141に接続されたパッド151に接続されている。この配線181は、回路基板106のグランドGCに接続されたグランド電位線GLに接続されている。なお、配線181は、グランド電位線GLにスイッチSWGを介して接続されていてもよい。また、配線182の一端は、電極142に接続されたパッド152に接続されており、配線182の他端はC/V変換回路162に接続されている。また、配線183の一端は、電極143に接続されたパッド153に接続されており、配線183の他端はC/V変換回路162に接続されている。
高周波発振器161は、バッテリーといった電源167に接続されており、当該電源167からの電力を受けて高周波信号を発生するよう構成されている。なお、電源167は、プロセッサ164、記憶装置165、及び、通信装置166にも接続されている。高周波発振器161は、複数の出力線を有している。高周波発振器161は、発生した高周波信号を複数の出力線を介して、配線182及び配線183に与えるようになっている。したがって、高周波発振器161は、センサ部104の電極142及び電極143に電気的に接続されており、当該高周波発振器161からの高周波信号は、電極142及び電極143に与えられるようになっている。
C/V変換回路162の入力には配線182及び配線183が接続されている。即ち、C/V変換回路162の入力には、センサ部104の電極142及び電極143が接続されている。C/V変換回路162は、その入力における電圧振幅から、当該入力に接続された電極(電極143)の静電容量を表す電圧信号を生成し、当該電圧信号を出力するよう構成されている。なお、C/V変換回路162に接続された電極の静電容量が大きいほど、当該C/V変換回路162が出力する電圧信号の電圧の大きさは大きくなる。
A/D変換器163の入力には、複数のC/V変換回路162A〜162Hの出力が接続している。また、A/D変換器163は、プロセッサ164に接続している。A/D変換器163は、プロセッサ164からの制御信号によって制御され、複数のC/V変換回路162A〜162Hの出力信号(電圧信号)をデジタル値に変換する。即ち、A/D変換器163は、電極143の静電容量を表すデジタル値を生成し、当該デジタル値をプロセッサ164に出力する。
プロセッサ164には記憶装置165が接続されている。記憶装置165は、揮発性メモリといった記憶装置であり、後述する測定データを記憶するよう構成されている。また、プロセッサ164には、別の記憶装置168が接続されている。記憶装置168は、不揮発性メモリといった記憶装置であり、プロセッサ164によって読み込まれて実行されるプログラムが記憶されている。また、記憶装置168には、後述するパラメータも記憶され得る。
通信装置166は、任意の無線通信規格に準拠した通信装置である。例えば、通信装置166は、Bluetooth(登録商標)に準拠している。通信装置166は、記憶装置165に記憶されている測定データを無線送信するように構成されている。
プロセッサ164は、上述したプログラムを実行することにより、方法MTにおいて測定器100の各部を制御するように構成されている。例えば、プロセッサ164は、電極142及び電極143に対する電源167からの高周波信号の供給、記憶装置165に対する電源167からの電力供給、通信装置166に対する電源167からの電力供給等を制御するようになっている。さらに、プロセッサ164は、上述したプログラムを実行することにより、方法MTにおけるデジタル値の取得、測定データの記憶装置165への記憶、及び、測定データの送信等を実行するようになっている。
この測定器100では、センサ部104A〜104Hがベース基板102のエッジに沿って配列されている。したがって、この測定器100を静電チャックESC上に配置すると、フォーカスリングFRとセンサ部104A〜104Hのそれぞれとの間の静電容量を表すデジタル値を取得することができる。なお、静電容量Cは、C=εS/dで表される。εは電極143の前面143fとフォーカスリングFRの内縁との間の媒質の誘電率であり、Sは電極143の前面143fの面積であり、dは電極143の前面143fとフォーカスリングFRの内縁との間の距離と見なすことができる。したがって、測定器100によって取得される複数のデジタル値は、電極143の前面143fとフォーカスリングFRの内縁との間の距離が大きくなるほど、小さくなる。
また、上述したように、測定器100に搭載されるセンサ部104では、電極143(センサ電極)が、電極141の上に設けられており、電極141と電極143との間には電極142の第2部分が介在している。このセンサ部104の利用時には、スイッチSWGが閉じられて電極141の電位がグランド電位に設定され、電極142と電極143には高周波信号が供給される。このとき、電極143の電圧振幅は、当該電極143に対して電極141が設けられている方向、即ちセンサ部104の下方からの静電容量の影響を受けず、特定方向、即ち、電極143の前面143fが向いている方向(X方向)における静電容量を反映した電圧振幅となる。したがって、センサ部104によれば、特定方向に高い指向性をもって静電容量を測定することが可能となる。なお、センサ部104の利用時にスイッチSWGが開かれると、C/V変換回路162は、電極143の静電容量と電極142の静電容量との合成容量の大きさに応じた大きさの電圧を有する電圧信号を出力するようになる。
また、電極141及び電極142は、電極143の前面が配置されている領域の側(X方向)で開口し、且つ、電極143の周囲を囲むように延在している。したがって、電極141及び電極142によって、電極143が特定方向以外の方向に対して遮蔽される。故に、静電容量の測定において、特定方向に対するセンサ部104の指向性が更に向上される。
また、センサ部104の前側端面104fは所定の曲率を有する曲面として構成されており、電極143の前面143fは、前側端面104fに沿って延在している。したがって、電極143の前面143fの各位置とフォーカスリングFRの内縁との間の径方向の距離を略等距離に設定することができる。故に、静電容量の測定の精度が更に向上される。
以下、再び図1を参照し、方法MTについて詳細に説明する。また、以下の説明では、図1と共に図11を参照する。図11は、図1に示す方法に関連するタイミングチャートである。図1に示すように、方法MTでは、まず、工程ST1が実行される。工程ST1では、測定器100の電源167がONに設定される。そして、プロセッサ164が記憶装置168に記憶されたプログラムの実行を開始する。続く工程ST2では、測定器100が容器4a〜4dのうち何れかのスロットに収容される。
続く工程ST3では、測定器100にパラメータが入力される。パラメータは、制御部MCから測定器100に無線送信され得る。測定器100は、受信したパラメータを記憶装置168に記憶する。パラメータは、第1のモニタリング期間の時間長TA、時間間隔IA、第1のサンプリング周期、測定期間の時間長TM、第2のサンプリング周期、第2のモニタリング期間の時間長TB、時間間隔IB、第3のサンプリング周期、第1の閾値Th1、及び、第2の閾値Th2を含む。なお、時間長TA、時間間隔IA、第1のサンプリング周期はそれぞれ、時間長TB、時間間隔IB、第3のサンプリング周期と共通であってもよい。この場合には、パラメータは、時間長TB、時間間隔IB、及び、第3のサンプリング周期を含まない。以後、方法MTでは、並列的に処理が進行する。なお、図1において二つの二重線の間に描かれた二つの処理の流れは、並列的に実行される処理の流れである。
工程ST3に続く工程ST4では、制御部MCによる制御の下で、測定器100が、搬送装置TU1によってアライナANに搬送される。そして、アライナANでは、制御部MCによる制御の下で、上述した被加工物Wの位置の調整と同様に、測定器100の位置の調整、即ち、位置の較正が行われる。
続く工程ST5では、測定器100が、載置台PD上でフォーカスリングFRによって囲まれた領域内に搬送される。具体的には、制御部MCによる制御の下で、測定器100が、搬送装置TU1によって、アライナANからロードロックモジュールLL1及びロードロックモジュールLL2のうちの一方のロードロックモジュールに搬送される。次いで、搬送装置TU2によって、一方のロードロックモジュールから、プロセスモジュールPM1〜PM6のうちの一つのプロセスモジュールのチャンバ内に搬送される。チャンバ内においては、測定器100は、載置台PD上でフォーカスリングFRによって囲まれた領域内に配置される。なお、搬送装置TU2による測定器100の搬送先位置(載置台PD上の位置)は、予め設定された座標情報によって特定される。その後、当該一つのプロセスモジュールとトランスファーモジュールTFとの間のゲートバルブが閉じられる。
工程ST5に続く工程ST6では、測定器100がチャンバから搬出される。具体的には、制御部MCによる制御の下で、その後、上記一つのプロセスモジュールとトランスファーモジュールTFとの間のゲートバルブが開かれ、次いで、測定器100は、搬送装置TU2によって、チャンバから取り出されて、ロードロックモジュールLL1及びロードロックモジュールLL2のうち一方のロードロックモジュールに搬送される。続く工程ST7では、測定器100が、容器4a〜4dのうちの一つの容器のスロットに収容される。具体的には、制御部MCによる制御の下で、測定器100は、搬送装置TU1によって、一方のロードロックモジュールから一つの容器のスロットに搬送される。
一方、工程ST3の後に、工程ST11において、測定器100のプロセッサ164が、一以上の第1のデータセットを取得する。この工程ST11は、時間長TAの第1のモニタリング期間において実行される。時間長TAは、限定されるものではないが、例えば、1秒である。工程ST11において取得される一以上の第1のデータセットの各々は、プロセッサ164が、複数のセンサ部104A〜104Hに含まれる一以上のセンサ部のうち対応のセンサ部の電極143の静電容量を表すデジタル値を第1のサンプリング周期で取得することにより得られる。第1のサンプリング周期は限定されるものではないが、例えば、0.1秒である。なお、工程ST11において用いられるセンサ部は、複数のセンサ部104A〜104Hの全てであってもよく、或いは、上述したパラメータにおいて指定される一以上のセンサ部であってもよい。
続く工程ST12では、プロセッサ164は、工程ST11で取得された一以上の第1のデータセットの各々に含まれる複数のデジタル値の平均値が第1の閾値Th1以上であるか否かを判定する。なお、測定器100がフォーカスリングFRに囲まれた領域に配置されると、上述の一以上のセンサ部の電極143の静電容量が大きくなる。したがって、第1の閾値Th1と一以上のデータセットの各々に含まれる複数のデジタル値の平均値とを比較することにより、測定器100がフォーカスリングFRに囲まれた領域に配置されているか否かを判定することができる。プロセッサ164は、工程ST12において平均値が第1の閾値Th1以上ではないと判定した場合には、続く工程ST13において、工程ST11の終了時から時間間隔IAが経過したか否かを判定する。時間間隔IAは、限定されるものではないが、例えば、29秒である。工程ST11の終了時から時間間隔IAが経過していない場合には、プロセッサ164は、再び工程ST13の判定を行う。一方、工程ST11の終了時から時間間隔IAが経過している場合には、プロセッサ164は、再び工程ST11において、一以上の第1のデータセットの取得を行う。なお、時間間隔IAにおいて、プロセッサ164は、電源167から高周波発振器161への電力の供給を停止してもよい。
工程ST12において、プロセッサ164は、平均値が第1の閾値Th1以上になったと判定すると、工程ST14の処理に移行する。なお、工程ST12では、平均値ではなく、一以上の第1のデータセットの各々に含まれる複数のデジタル値のうち一以上が第1の閾値Th1と比較されてもよい。
工程ST14では、プロセッサ164は、複数の第2のデータセットの取得を行う。この工程ST14は、時間長TMの測定期間において実行される。時間長TMは、限定されるものではないが、例えば、1秒である。工程ST14において取得される複数の第2のデータセットの各々は、複数のセンサ部104A〜104Hのうち対応のセンサ部の電極143の静電容量を表すデジタル値を測定期間内において第2のサンプリング周期で取得することにより得られる複数のデジタル値を含む。第2のサンプリング周期は、限定されるものではない、例えば、0.1秒である。
続く工程ST15では、プロセッサが、測定データを記憶装置165に記憶させる。測定データは、複数の第2のデータセットであってもよい。或いは、測定データは、複数の第2のデータセットの各々に含まれる複数のデジタル値の平均値を求めることにより得られる複数の平均値であってもよい。
続く工程ST16では、プロセッサ164が、一以上の第3のデータセットの取得を行う。この工程ST16は、時間長TBの第2のモニタリング期間において実行される。第2のモニタリング期間の時間長TBは、上述したように時間長TAと共通であってもよい。工程ST16において取得される一以上の第3のデータセットの各々は、プロセッサ164が、複数のセンサ部104A〜104Hに含まれる一以上のセンサ部のうち対応のセンサ部の電極143の静電容量を表すデジタル値を第3のサンプリング周期で取得することにより得られる。なお、工程ST16において用いられるセンサ部は、複数のセンサ部104A〜104Hの全てであってもよく、或いは、上述したパラメータにおいて指定される一以上のセンサ部であってもよい。また、第3のサンプリング周期は、第1のサンプリング周期と共通であってもよい。
続く工程ST17では、プロセッサ164は、工程ST16で取得された一以上の第3のデータセットの各々に含まれる複数のデジタル値の平均値が第2の閾値Th2以上であるか否かを判定する。なお、測定器100が容器4a〜4dのうち任意の一つの容器のスロットに収容されると、上述の一以上のセンサ部の電極143の静電容量が大きくなる。したがって、第2の閾値Th2と一以上のデータセットの各々に含まれる複数のデジタル値の平均値とを比較することにより、測定器100が容器4a〜4dのうち何れかのスロットに収容されているか否かを判定することができる。なお、容器のスロットに測定器100が収容されているときの電極143の静電容量は、フォーカスリングFRに囲まれた領域に測定器100が配置されるときの電極143の静電容量よりも小さい。したがって、第2の閾値Th2は第1の閾値Th1よりも小さい値である。
プロセッサ164は、工程ST17において平均値が第2の閾値Th2以上ではないと判定した場合には、続く工程ST18において、工程ST16の終了時から時間間隔IBが経過したか否かを判定する。工程ST11の終了時から時間間隔IBが経過していない場合には、プロセッサ164は、再び工程ST18の判定を行う。一方、工程ST16の終了時から時間間隔IBが経過している場合には、プロセッサ164は、再び工程ST16において、一以上の第3のデータセットの取得を行う。なお、時間間隔IBにおいて、プロセッサ164は、電源167から高周波発振器161への電力の供給を停止してもよい。また、第2のモニタリング期間と次の第2のモニタリング期間との間の時間間隔は、時間間隔IBではなく、時間間隔IAであってもよい。
工程ST17において、プロセッサ164は、平均値が第2の閾値Th2以上になったと判定すると、工程ST19の処理に移行する。なお、工程ST17では、平均値ではなく、一以上の第3のデータセットの各々に含まれる複数のデジタル値のうち一以上が第2の閾値Th2と比較されてもよい。
工程ST19では、プロセッサ164は、記憶装置165によって記憶されている測定データを制御部MCに接続された受信部に無線送信する。制御部MCは、測定データを受信すると、工程ST8において、制御部MCは、搬送装置TU2の搬送先位置の座標情報を補正する。具体的には、測定データから特定されるフォーカスリングFRと測定器100のエッジとの間の間隔の周方向における差が低減されるよう、座標情報を補正する。この工程ST19の実行が完了すると、方法MTは終了する。
以上説明したように、方法MTでは、円盤状のベース基板102のエッジに沿って配列された複数の電極143(センサ電極)を備えた測定器100が用いられ、フォーカスリングFRの内縁と測定器100のエッジとの間の間隔の周方向における分布を反映する測定データが得られる。また、複数の電極143の各々の静電容量を表すデジタル値は、フォーカスリングFRによって囲まれた領域に測定器100があるときに、大きくなる。方法MTでは、常時、測定データを取得するのではなく、測定期間よりも前の期間においては、時間間隔IAで一以上の第1のデータセットが取得される。そして、一以上の第1のデータセットの各々に含まれる複数のデジタル値のうち一以上又は一以上の第1のデータセットの各々に含まれる複数のデジタル値の平均値が第1の閾値Th1以上になったときに、測定期間において第2のデータセットの取得が行われ、そして、測定データの記憶が行われる。このように、方法MTでは、測定期間よりも前の期間においては、測定器100において断続的な動作が行われるので、測定器100の電源167の消費電力が抑えられる。
また、一以上の第3のデータセットの各々に含まれる複数のデジタル値のうち一以上又は一以上の第3のデータセットの各々に含まれる複数のデジタル値の平均値が第2の閾値Th2以上になったことに応答して、通信装置166に測定データを無線送信させることにより、測定器100はプロセスモジュールのチャンバの外部にあるときに自律的に測定データを無線送信することができる。したがって、測定期間の後においても、測定器100において断続的な動作が行われるので、測定器100の電源167の消費電力が更に抑えられる。
以下、測定器100に搭載することができるセンサ部の別の例について説明する。図12は、センサ部の別の例を示す縦断面図である。図12に示すセンサ部104Aは、センサ部104の変形態様であり、基板部144に代えて基板部144Aを有している点において、センサ部104と異なっている。基板部144Aは、絶縁材料から形成されている。例えば、基板部144Aは、ホウケイ酸ガラスから形成されている。なお、基板部144Aは、窒化シリコンから形成されていてもよい。
基板部144Aは、多面体であり、前面144a及び下面144bを含む表面を有する。一例では、基板部144Aの表面は、上面144c、後面144d、及び、一対の側面を更に含んでいる。下面144b及び上面144cは、X方向及びY方向に延在しており、互いに対向している。前面144aは、基板部144AのX方向における前側端面を構成しており、下面144bに交差する方向に延びている。前面144aは、所定の曲率を有し得る。この曲率は、センサ部104Aがベース基板102に搭載されているときに、中心軸線AX100と前面144aとの間の距離の逆数である。後面144dは、X方向において基板部144Aの後側端面を構成しており、前面144aと対向している。また、一対の側面は、前面144aのY方向における一方の縁部と後面144dのY方向における一方の縁部との間、及び、前面144aのY方向における他方の縁部と後面144dのY方向における他方の縁部との間で延在している。
電極143は、基板部144Aの前面144a及び上面144cに沿って延在している。絶縁領域146は、基板部144Aの下面144b、上面144c、後面144d、及び、一対の側面、並びに、上面144c上で延在する電極143を覆うように、延在している。電極142は、絶縁領域146を覆うように設けられている。また、電極142の第2部分142aは、絶縁領域146を介して、基板部144Aの下面144bに沿って延在している。また、絶縁領域147は、電極142を覆うように、延在している。また、電極141は、絶縁領域147を覆うように設けられている。また、電極141の第1部分141aは、絶縁領域147を介して、電極142の第2部分142aの下方で延在している。
上述したセンサ部104の基板部144の本体部144mがシリコンから形成されている場合には、センサ部104は、内部静電容量を有する。この内部静電容量のために、高周波発振器161の出力を大きな出力に設定する必要が生じる。一方、センサ部104Aでは、基板部144Aが、絶縁材料によって形成されているので、内部静電容量が極めて小さい。したがって、センサ部104Aを有する測定器100では、高周波発振器161の出力を小さくすることができる。
また、測定器100は、高い温度を含む温度帯域(例えば20℃〜80℃)、及び、減圧環境(例えば、1Torr(133.3Pa)以下)において使用され得るので、基板部144Aからのガスの発生を抑制する必要がある。このため、基板部144Aをホウケイ酸ガラス、窒化シリコン、石英、又は、酸化アルミニウムから形成することができる。このような基板部144Aによれば、ガスの発生が抑制され得る。
また、測定器100は、高い温度を含む温度帯域(例えば20℃〜80℃)において使用され得るので、基板部144Aは、ベース基板102の構成材料の線膨張係数に近い線膨張係数を有することが望ましい。このため、ベース基板102がシリコンから形成されている場合には、基板部144Aを、例えばホウケイ酸ガラス又は窒化シリコンから形成することができる。このような基板部144Aの線膨張係数は、ベース基板102の線膨張係数に近い。したがって、基板部144Aの線膨張係数とベース基板102の線膨張係数の差に起因する、センサ部104Aの損傷、及び、ベース基板102からのセンサ部104Aの剥がれを抑制することができる。
また、測定器100の重量は小さいことが望ましい。したがって、基板部144Aの密度(単位体積あたりの質量)は、ベース基板102の密度に近いか、又は、ベース基板102の密度よりも小さいことが望まれる。このため、ベース基板102がシリコンから形成されている場合には、基板部144Aを、例えばホウケイ酸ガラスから形成することができる。
以下、測定器100に搭載することができるセンサ部の更に別の例について説明する。図13は、センサ部の更に別の例を示す縦断面図である。図13には、センサ部204の縦断面図が示されており、また、センサ部204と共にフォーカスリングFRが示されている。
センサ部204は、電極241、電極242、及び、電極243を有している。センサ部204は、基板部244及び絶縁領域247を更に有し得る。基板部244は、本体部244m及び表層部244fを有している。本体部244mは、例えばシリコンから形成されている。表層部244fは本体部244mの表面を覆っている。表層部244fは絶縁材料から形成されている。表層部244fは、例えば、シリコンの熱酸化膜である。
基板部244は、上面244a、下面244b、及び、前側端面244cを有している。電極242は、基板部244の下面244bの下方に設けられており、X方向及びY方向に延在している。また、電極241は、絶縁領域247を介して電極242の下方に設けられており、X方向及びY方向に延在している。
基板部244の前側端面244cは、段状に形成されている。前側端面244cの下側部分244dは、当該前側端面244cの上側部分244uよりもフォーカスリングFRの側に向けて突出している。電極243は、前側端面244cの上側部分244uに沿って延在している。
このセンサ部204を測定器100のセンサ部として用いる場合には、電極241が配線181に接続され、電極242が配線182に接続され、電極243が配線183に接続される。
センサ部204においては、センサ電極である電極243が、電極241及び電極242によって、センサ部204の下方に対して遮蔽されている。したがって、このセンサ部204によれば、特定方向、即ち、電極243の前面243fが向いている方向(X方向)に高い指向性をもって静電容量を測定することが可能となる。
以下、別の実施形態に係る測定器について説明する。図14は、別の実施形態に係る測定器の回路基板の構成を例示する図である。図14に示す測定器100Aは、測定器100の構成要素と同一の構成要素に加えて、加速度センサ171、温度センサ172、湿度センサ173、及び、圧力センサ174を更に有している。加速度センサ171、温度センサ172、湿度センサ173、及び、圧力センサ174は、プロセッサ164に接続されている。加速度センサ171は、測定した測定器100Aの加速度を表す加速度データをプロセッサ164に出力する。温度センサ172は、測定した測定器100Aの周囲の温度を表す温度データをプロセッサ164に出力する。湿度センサ173は、測定した測定器100Aの周囲の湿度を表す湿度データをプロセッサ164に出力する。圧力センサ174は、測定した測定器100Aの周囲の圧力を表す圧力データをプロセッサ164に出力する。
プロセッサ164は、加速度データ、温度データ、湿度データ、及び、圧力データに基づいて、異常検出処理を行う。プロセッサ164は、加速度データから特定される測定器100Aの加速度と加速度の閾値とを比較し、測定器100Aの加速度が当該加速度の閾値よりも大きい場合には、測定器100Aの搬送途中に異常が発生したものと判断し、第1の信号を制御部MCに無線送信する。また、プロセッサ164は、測定器100Aの加速度から測定器100Aに異常な振動が生じているものと判断される場合に、第2の信号を制御部MCに無線送信する。制御部MCは、第1の信号又は第2の信号を受信すると、測定器100Aの搬送を停止する。なお、第1の信号に関連する異常は、搬送装置TU1又は搬送装置TU2が、他のツールと接触した場合に発生し得る。また、第2の信号に関連する異常は、搬送装置TU1又は搬送装置TU2の動作不良が生じている場合に、発生し得る。
また、プロセッサ164は、加速度データから特定される測定器100Aの角度が角度の閾値よりも大きい場合に、第3の信号を制御部MCに無線送信する。測定器100Aの角度は、測定器100Aの水平度を示す尺度であり、例えば、加速度データから特定される測定器100Aの加速度に基づき算出される。制御部MCは、第3の信号を受信すると、測定器100Aの容器4a〜4dの何れかへの回収のための制御を行う。なお、第3の信号に関連する異常は、測定器100Aの一部がフォーカスリングFR上に乗り上げた場合に発生し得る。
また、プロセッサ164は、温度データから特定される測定器100Aの周囲の温度が温度の閾値よりも高い場合には、第4の信号を制御部MCに無線送信する。制御部MCは、第4の信号を受信すると、測定器100Aの回収のための制御を行う。なお、第4の信号に関連する異常は、測定器100Aが搬入されたチャンバを提供するプロセスモジュールの異常により発生し得る。
また、プロセッサ164は、湿度データから特定される測定器100Aの周囲の湿度が湿度の閾値よりも高い場合には、第5の信号を制御部MCに無線送信する。制御部MCは、第5の信号を受信すると、脱水シーケンスを実行する。脱水シーケンスは、例えば、排気により実現され得る。なお、第5の信号に関連する異常は、容器4a〜4d、ローダモジュールLM、ロードロックモジュールLL1、又は、ロードロックモジュールLL1における吸湿により発生し得る。
また、プロセッサ164は、圧力データから特定される測定器100Aの周囲の圧力が圧力の閾値よりも高い場合には、第6の信号を制御部MCに無線送信する。制御部MCは、第6の信号を受信すると、排気処理、パージ処理、又は、測定器100Aの回収のための制御を実行する。なお、第6の信号に関連する異常は、ロードロックモジュールLL1の予備減圧室、ロードロックモジュールLL2の予備減圧室、トランスファーモジュールの減圧室、又は、プロセスモジュールのチャンバの減圧の不足により発生し得る。また、第6の信号に関連する異常は、プロセスモジュールのチャンバ内にガスが残留している場合に発生し得る。
一実施形態において、方法MTは、上述した異常検出処理を更に含み得る。異常検出処理は、工程ST3の実行後に図1に示す二重線間の二つの処理の流れと並列的に実行され得る。この異常検出処理では上述した第1〜第6の信号の送信のために、測定器100Aと制御部MCとが無線通信可能な状態であることが必要である。このために、容器4a〜4d、ローダモジュールLM、ロードロックモジュールLL1、ロードロックモジュールLL2、及び、トランスファーモジュールTFの各々は、電波を透過可能な窓領域を有し得る。或いは、容器4a〜4dそれぞれの内部空間、ローダモジュールLMの搬送空間、ロードロックモジュールLL1の予備減圧室、ロードロックモジュールLL2の予備減圧室、及び、トランスファーモジュールTFの減圧室の各々は、電波を透過可能な窓領域に連通している。測定器100Aは、容器4a〜4dそれぞれの内部空間、ローダモジュールLMの搬送空間、ロードロックモジュールLL1の予備減圧室、ロードロックモジュールLL2の予備減圧室、及び、トランスファーモジュールTFの減圧室の何れに配置されていても、上記窓領域を介して、制御部MCと無線通信することが可能である。また、プロセスモジュールとトランスファーモジュールTFとの間のゲートバルブが開かれていれば、測定器100Aは、当該プロセスモジュールのチャンバ内に配置されていても、上記窓領域を介して、制御部MCと無線通信することが可能である。
なお、異常検出処理では、上述した全ての異常のうち少なくとも一つの異常が検出されればよい。したがって、測定器100Aは、加速度センサ171、温度センサ172、湿度センサ173、及び、圧力センサ174のうち、異常の検出に必要なセンサのみを有していてもよい。
以上、種々の実施形態について説明してきたが、上述した実施形態に限定されることなく種々の変形態様を構成可能である。例えば、プロセスモジュールPM1〜PM6の例として、プラズマ処理装置を例示したが、プロセスモジュールPM1〜PM6は、静電チャック及びフォーカスリングを利用するものであれば、任意の処理装置であることができる。また、上述したプラズマ処理装置10は、容量結合型のプラズマ処理装置であったが、プロセスモジュールPM1〜PM6として利用可能なプラズマ処理装置は、誘導結合型のプラズマ処理装置、マイクロ波といった表面波を利用するプラズマ処理装置のように、任意のプラズマ処理装置であり得る。