JP6576031B2 - 甘酒の飲食物、及び、麹飲食物・麹調味料の製造方法 - Google Patents

甘酒の飲食物、及び、麹飲食物・麹調味料の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、甘酒の飲食物、及び、麹飲食物・麹調味料の製造方法に関するものである。
日本の伝統的な発酵食品である甘酒は、江戸時代には夏バテ予防になることから「夏の栄養ドリンク」として親しまれてきた。甘酒の栄養素は、点滴とほぼ同じであることから「飲む点滴」としても有名である。インターネットを使った甘酒に関するアンケート調査の結果でも、「甘酒」は「体にいい」、「栄養満点」「美肌効果がある」などの健康イメージが定着してきている。
一方で、甘酒は「甘くどい」「カロリー・糖分が気になる」「アルコールが含まれる」などの理由から敬遠される場合も多い。そこで、甘酒の健康イメージはそのままで「カロリーが低く」「すっきりした甘さ」「急激な血糖値の上昇がない」甘酒が望まれてきた。
にもかかわらず、甘酒の分野においては、これら全ての要求を満たす甘酒の開発は少ない。例えば、甘酒に乳酸菌を添加して発酵を行うものは知られている(例えば、特許文献1、特許文献2等)が、これらはいずれも、乳酸菌の胃酸耐性による腸内環境改善や風味、嗜好性に着目したものであり、カロリーや血糖値の観点での技術ではない。その証左として、特許文献1では、甘味より酸味が強く感じられる場合に、果糖、異性化糖といった甘味料を加えることを提案している。
特開2010−187633号公報 特開2010−142214号公報
しかしながら、米に含まれる澱粉が分解されることでブドウ糖を元来含んでいる甘酒にさらに果糖や異性化糖を添加することは、血糖値の直接の上昇要因であるブドウ糖の絶対量を増やすことにほかならず、摂取後の血糖の急激な上昇をもたらす要因となる。したがって、昨今注目されているGlycemic index[GI]値に着目した食餌療法の流れにも逆行する。また果糖を単体で添加することもブドウ糖の絶対量を減少させることにはならず、糖質過剰になる。
本発明の目的は、上記現状に鑑み、カロリーが低く、摂取後の血糖の急激な上昇を抑える甘酒の飲食物、該甘酒を含む麹飲食物・麹調味料の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討するなかで、ブドウ糖と果糖との甘味度の違い(ブドウ糖:砂糖の0.6倍程度、果糖:砂糖の1.2〜1.5倍程度)に着目し、麹飲食物・麹調味料の製造過程において逐次生成しているブドウ糖又は既に一定量生成しているブドウ糖を果糖で置き換えることによって、希釈してカロリー低減をはかりながらも従来品と同等の甘味を確保することができるのではないかと考えた。
そこで、上記目的を達成するためになされた本発明の1つの側面は、仕込み原料に含まれる穀物の糖化工程の間、又は、その後工程においてグルコースイソメラーゼを添加する段階を含む麹飲食物・麹調味料の製造方法である。本製法により、ブドウ糖を果糖で置き換えることで、常法により得られる麹飲食物・麹調味料と同程度の甘さを確保しつつ摂取後の血糖の急激な上昇を抑えることができる。
上記製造方法においては、仕込み原料に含まれる穀物麹の量が、仕込み原料の全重量に対して、0%を超え15%以下であってもよい。穀物麹の量を常法の規定量に比べて減らすことによって、穀物麹又は穀物麹とその他の原料との混合物(諸味)のpHが上がり、通常のグルコースイソメラーゼの至適pH(7〜8)に近づくので、アミラーゼによって逐次生成するブドウ糖の果糖への異性化が進みやすくなる。
上記製造方法においては、穀物の糖化工程は、穀物麹又は穀物麹とその他の原料との混合物(諸味)のpHを上げる段階と、pHを上げた該穀物麹又は穀物麹とその他の原料との混合物に対して、アミラーゼとグルコースイソメラーゼとを同時に添加する段階とを含んでいてもよい。穀物麹のpHを上げることで通常のグルコースイソメラーゼの至適pH(7〜8)に近づくので、アミラーゼによって逐次生成するブドウ糖の果糖への異性化が進みやすくなる。
上記製造方法においては、穀物の糖化工程において、穀物麹又は穀物麹とその他の原料との混合物(諸味)にアミラーゼを添加したのち、時間差をおいてpHを上げてグルコースイソメラーゼを添加してもよい。ブドウ糖の果糖への異性化反応は、最初の反応が平衡反応であるので、グルコースイソメラーゼを作用させる前にアミラーゼで一定時間糖化を十分に進めておくことにより、果糖への異性化が進みやすくなる。
上記製造方法においては、グルコースイソメラーゼとして、至適pHが7未満のグルコースイソメラーゼを用いてもよい。麹のpHは通常4.8〜5.5であるので、酸性領域に至適pHがあるグルコースイソメラーゼの使用によって、pHを上げる操作をせずともブドウ糖の果糖への異性化が促進される。
穀物の糖化工程の間、又は、穀物の糖化工程の後工程において、乳酸菌を添加する段階を含んでいてもよい。乳酸菌の発酵によるブドウ糖消費を異性化と同時並行で又は事後的に進めることで、さらなるカロリー低減を図れるとともに、産生する乳酸の酸味が甘酒の甘さにすっきりした印象を付与することができる。
上記目的を達成するためになされた本発明の他の側面は、飲料液重量に対し、ブドウ糖を5.5〜17.0%、果糖を1.5〜10.0%含有する甘酒飲料である。上記範囲内であると、すっきりした甘さで、ブドウ糖の量が従来品に比べて少ないことから、カロリーが低く、摂取後の血糖の急激な上昇を抑える甘酒飲料となる。
上記目的を達成するためになされた本発明の他の側面は、飲料液重量に対し、ブドウ糖を5.5〜17.0%含有し、さらに果糖を含有する、乳酸発酵を経た甘酒飲料である。上記範囲内であると、乳酸の酸味によってすっきり感やさわやか感が格段に向上し、ブドウ糖の量が従来品に比べて少ないことから、カロリーが低く、摂取後の血糖の急激な上昇を抑える甘酒飲料となる。
上記目的を達成するためになされた本発明の他の側面は、食品重量に対し、ブドウ糖を12.1〜37.4%、果糖を3.3〜22.0%含有する甘酒食品である。上記範囲内であると、冷やして食した時に、ブドウ糖の量が従来品に比べて少ないことから、カロリーが低く、摂取後の血糖の急激な上昇を抑える甘酒食品となる。なお、甘酒食品は、乳酸発酵を経たものであってもよい。乳酸発酵を経ることで食した際のさわやか感を増大することができる。
本発明によれば、カロリーが低く、摂取後の血糖の急激な上昇を抑える麹飲食物・麹調味料を得ることができる。特に冷やした麹飲食物においては、果糖の甘味が際立ち好適なものとなる。
実施例3における結果を示すグラフである。
以下、仕込み原料に含まれる穀物が米である場合の本発明の麹調味料・麹飲食物の製造方法について説明するが、大麦、小麦、大豆、小豆、そら豆、蕎麦、粟、稗、トウモロコシ等の他の穀物の場合も同様である。なお、本明細書において「仕込み原料」は、麹原料及び掛原料の両方を含む概念である。
本発明の麹調味料・麹飲食物の製造方法は、固体麹を使用する場合と液体麹を使用する場合とに大別されるが、いずれを採用してもよい。
固体麹を使用する場合、仕込み原料に対して任意に施される前処理工程と、蒸米を得るための蒸し工程と、糖化工程とを含む。
前処理工程には、米の焙炒工程、精白工程、浸漬工程等が含まれる。焙炒工程は、任意であるが、精白前又は精白後の穀物原料のいずれにおいて行ってもよい。精白工程において、精米歩合等は任意であるが、通常、40%〜90%の範囲とする。
蒸し工程には、100℃以下での無圧蒸、100℃を越える温度での加圧蒸のいずれを採用することもできる。
糖化工程は、蒸し工程で得られた蒸米に麹菌を接種して米麹を得る第1の段階と、米麹に対して掛米及び/若しくは塩並びにお湯、焼酎若しくは醸造用アルコールを添加し、所定時間、所定温度で維持する第2の段階とを含む。本明細書において、「糖化工程」とは、仕込み原料に含まれる穀物中の澱粉をブドウ糖まで分解する一連の工程を意味する。したがって、本明細書における「糖化工程」は、澱粉をブドウ糖まで至らないまでもある程度小さく分解する意味で当業者に使用される「液化」を含む概念である。
第1の段階で使用する麹菌としては、従来公知の麹菌、又は、変異、スクリーニング若しくは遺伝子組み換え技術により得られた麹菌のいずれであってもよい。
第2の段階で使用される米麹の量は、水を含む仕込み原料の全重量に対して、15%を超えてもよいが、諸味のpHを調整せずに異性化を促進する観点では、0%を超え、15%以下、12%以下、又は10%以下とすることが好ましい。米麹の量のより好ましい下限は、仕込み原料の全重量に対して5%である。諸味のpHを調整する場合は、特に限定されない。
第2の段階で使用する掛米としては、一般の酒造米のほか、もち米、低グルテリン米を使用することもできる。精米歩合等は任意であるが、通常、40%〜90%の範囲である。予め蒸きょう法や焙炒法によって殺菌と澱粉成分の糊化をしておくことが好ましい。なお、所定温度は、通常50℃〜65℃、所定時間は、5時間以上で通常一晩放置とされるが特に限定されず、製品によっては室温で長期熟成(1ヶ月〜1年)される。第2の段階において、別途用意したα−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、イソアミラーゼ、プルラナーゼからなる群より選択される1種又は2種以上のアミラーゼを補助的に添加してもよい。
第2の段階では、米麹と掛米とを混合するタイミング、アミラーゼを補助的に添加するタイミング又はこれらのタイミングとは適当な時間差を設けて、グルコースイソメラーゼが添加される。ここで、市販されている一般的なグルコースイソメラーゼを添加する場合は、添加に先立ち、諸味のpHをグルコースイソメラーゼの至適pH(7〜8)まで上げておくことが好ましいが、至適pHが7未満のグルコースイソメラーゼを添加する場合は、pHを上げなくてもよい。なお、pHを上げる手段としては特に限定されず、例えば、水酸化ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム等のpH調整剤の使用が挙げられる。グルコースイソメラーゼの種類としては特に限定されず、例えば、SPEZYME GIPF(長瀬産業社製)、GODO AGI(合同酒精社製)、GC181(ダニスコジャパン社製)等の市販品を使用することができる。至適pHが7未満のグルコースイソメラーゼの種類としては特に限定されず、例えば、Biotechnol Lett Vol20、No.6、p.553-556(1998)に記載されたもの等を使用することができる。
グルコースイソメラーゼを添加するタイミングは、使用する米麹の量、製品において要求される果糖の割合、pH、温度等によって変わるが、例えば、使用する米麹の量、pH及び温度を常法と同じに設定する場合、アミラーゼを添加してから0時間〜24時間経過した時、あるいは、仕込み原料混合物中のブドウ糖濃度が30%に到達した時が好ましい。
糖化工程は、乳酸菌を添加する乳酸発酵工程を含んでいてもよい。乳酸菌の添加時期としては、グルコースイソメラーゼと乳酸菌とが糖化工程で生成するブドウ糖を競って消費するようにグルコースイソメラーゼの添加と同時、又は、グルコースイソメラーゼによる異性化反応の間に添加してもよいが、後述のように異性化反応の後に添加することもできる。使用する乳酸菌としては特に限定されず、求められる酸味の度合い、甘さ等に応じて特性の異なる菌を使用することができ、例えば、Pediococcus acidolactici、Leuconostoc mesenteroide、Tetragenococcus halophilus、Lactobacillus buchneri等が挙げられる。乳酸発酵工程の温度、pH、時間等の条件は、使用する菌の特性に応じて適宜設定されるが、通常、30℃〜65℃の範囲で一晩、初期pH5〜7程度である。
液体麹を使用する場合、麹原料に対して施される任意の前処理工程と、液体培地調製段階及び培養段階を含む液体麹製造工程と、糖化工程とを含む。
前処理工程は、麹原料である米を殺菌するとともに米に含まれる澱粉を糊化する目的で行われるものであり、蒸きょう法や焙炒法による。
液体培地調製段階は、前処理工程を施した麹原料を水に投入する工程であり、同時に栄養源として有機物若しくは無機塩を1種または2種以上添加することが好ましく、より好ましくは、例えば、硝酸カリウムと酸性リン酸塩との組み合わせが挙げられる。
培養段階は、液体培地調製段階で得られた液体培地に、従来公知の麹菌、又は、変異、スクリーニング若しくは遺伝子組み換え技術により得られた麹菌を接種する工程であり、通常、25℃〜45℃、好ましくは30℃〜40℃で24〜72時間好気性条件下で攪拌しながら行われる。
糖化工程は、麹原料と同様の前処理工程を施した仕込み原料に対して上記培養段階で得られた液体麹と水とを加えて、30℃〜50℃で1時間程度反応させた後、液温を50℃〜65℃に上げて、所望により市販のアミラーゼを補助的に添加し、10〜20時間維持する。アミラーゼを補助的に添加するタイミング又はこれらのタイミングとは適当な時間差を設けて、グルコースイソメラーゼが添加される。ここで、市販されている一般的なグルコースイソメラーゼを添加する場合は、添加に先立ち、米麹のpHをグルコースイソメラーゼの至適pH(7〜8)まで上げておくことが好ましいが、至適pHが7未満のグルコースイソメラーゼを添加する場合は、pHを上げなくてもよい。添加するアミラーゼ、pH調整剤、グルコースイソメラーゼの種類は、固体麹において上述したものと同様のものが挙げられる。
糖化工程は、乳酸菌を添加する乳酸発酵工程を含んでいてもよい。乳酸菌の添加時期としては、グルコースイソメラーゼと乳酸菌とが糖化工程で生成するブドウ糖を競って消費するようにグルコースイソメラーゼの添加と同時に、又は、グルコースイソメラーゼによる異性化反応の間に添加することができるが、後述のように異性化反応の後に添加することもできる。使用する乳酸菌の種類や、乳酸発酵工程の温度、pH、時間等の条件としては、固体麹と同様である。
上記固体麹又は液体麹を使用した糖化工程により得られた糖化物(甘酒濃縮原液)は、食感を残すため、そのまま使用するか、適宜みそスリ機等の破砕装置を用いた簡便なスリ工程や圧搾、濾過工程に供した後、適宜加熱処理や失活物質の添加によって含まれる酵素を失活させる。
上記糖化工程において、酵素としてアミラーゼのみを添加する場合は、糖化工程により得られた糖化物の酵素失活の後に、グルコースイソメラーゼを添加してもよい。添加するpH調整剤、グルコースイソメラーゼの種類は、固体麹において上述したものと同様のものが挙げられる。
上記糖化工程の後に続けて乳酸菌を添加する乳酸発酵工程を行ってもよい。その場合は、糖化工程の間に乳酸菌を添加する段階を含まなくてもよい。
本発明の製造方法により得られた麹調味料、麹飲食物の製品形態としては特に限定されず、例えば、アイスキャンディー、シャーベットといった凍結品であってもよい。また、直接飲食又は使用する製品形態以外にも、凍結乾燥品、ペースト、スラリー、顆粒、粉末、濃縮液体等の様々な形態をとり得、これらの製品形態とするために、従来公知の加工法を採用しうる。なお、本明細書において、直接飲食する製品形態以外の製品形態における「飲料液重量」又は「食品重量」とは、製品容器等に記載の指示に従って直接飲食若しくは使用可能な状態に調製(還元)したときの飲料液重量又は食品重量である。
上記製造方法を用いて得られた、麹飲食物・麹調味料もまた、本発明の1つである。本発明の製造方法を適用可能な麹飲食物は、麹を利用して得られた飲食物であればアルコールを実質的に含むものも含まないものも含まれ、例として、甘酒の他、清酒、焼酎、ビール、発泡酒、第三のビール、リキュール等の麹飲料が挙げられる。特に好適には、甘酒である。本発明の製造方法を適用可能な麹調味料は、麹を利用して得られた調味料であればアルコールを実質的に含むものも含まないものも含まれ、例として、清酒、塩麹、醤油、みりん、みりん風調味料、めんつゆ、米味噌、豆味噌等が挙げられ、特に好適には、みりん又はみりん風調味料である。
飲料液重量に対し、ブドウ糖を5.5〜17.0%、果糖を1.5〜10.0%含有する甘酒飲料もまた、本発明の1つである。ブドウ糖及び果糖の含有量が上記範囲内であると、カロリーが低く、すっきりした甘さで、摂取後の血糖の急激な上昇を抑える甘酒飲料となる。果糖の含有量の好ましい下限は、2.5%、より好ましい下限は、3.5%である。ブドウ糖の含有量の好ましい上限は、12%、より好ましい上限は、10%である。なお本明細書において、ブドウ糖及び果糖の含有量は、高速液体クロマトグラフィー法によって測定して得られる値である。
飲料液重量に対し、ブドウ糖を5.5〜17.0%含有し、さらに果糖を含有する、乳酸発酵を経た甘酒飲料もまた、本発明の1つである。ブドウ糖の含有量が上記範囲内であり、さらに乳酸発酵を経ていると、カロリーが低く、酸味が加わることで甘さがすっきりさわやかになり、摂取後の血糖の急激な上昇を抑える甘酒飲料となる。ブドウ糖の含有量の好ましい上限は、10%である。
食品重量に対し、ブドウ糖を12.1〜37.4%、果糖を3.3〜22.0%含有する甘酒の食品もまた、本発明の1つである。ブドウ糖及び果糖の含有量が上記範囲内であると、冷やして食した時に、ブドウ糖の量が従来品に比べて少ないことから、カロリーが低く摂取後の血糖の急激な上昇を抑える甘酒食品となる。甘酒食品としては、アイスキャンディー、シャーベットといった氷菓子が特に好適である。果糖の含有量の好ましい下限は、5%、より好ましい下限は、8%、好ましい上限は、18%である。ブドウ糖の含有量の好ましい上限は、25%、より好ましい上限は、23%である。
(実施例1:糀の量を減らす手法による異性化糖含有甘酒の製造)
精米歩合90%で精米することにより得られた精白米を常法に従って、洗米し、水に20時間浸漬し、1時間水切りした後、30分間無圧蒸によって蒸煮し、これに予め用意しておいた市販の種糀を接種し、雰囲気温度30℃、湿度90%以上の条件下で2日間培養し、米糀を得た。得られた米糀27gに蒸煮した掛米294g、お湯140g、アミラーゼ製剤0.31g、グルコースイソメラーゼ[GI]3.6gを添加して50〜60℃で一晩糖化させた。得られた甘酒濃縮原液(試作品No.1)について、pHメーター(HM−25R、東亜ディーケーケー(株)製)を用いたpH測定、並びに、高速液体クロマトグラフィーによってブドウ糖及び果糖の定量を行った(表2)。そのほか、得られた甘酒濃縮原液を、比較例1と同重量、即ち総重量が730gになるように希釈したのち、甘さ、すっきり感、糀の風味の観点で5段階のレベルに分け、比較例1を基準(全ての観点で評価3)として、任意抽出した10名のパネルによる平均値で盲検官能評価した(表3)。さらに上記重量基準の官能評価とは別に、甘酒濃縮原液を水で希釈して甘さをそろえたときのすっきり感、糀の風味について比較例1を基準(全ての観点で評価3)として5段階評価するとともに、希釈後のカロリーを算出した(表4)。
(試作品No.2〜4、比較例1について)
米麹、掛米、湯、アミラーゼ、GIの各割合を表1のように変更したほかは試作品No.1と同様にして、甘酒濃縮原液を得た。糖化工程終了後の甘酒濃縮原液のpH、及び、果糖及びブドウ糖含量の結果を表2に、官能評価の結果を表3及び表4にそれぞれ示す。
Figure 0006576031
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表2から、糀歩合が下がるにつれて、諸味pHが上昇し、それにともなってブドウ糖から果糖への異性化も進行し易くなることがわかった。表3から、比較例1と同重量に希釈した場合では、果糖への異性化が進行すると甘さはより甘く感じられ、かつ好みが分かれる糀特有の風味は低減する一方で、すっきり感は低下することが分かった。しかし、表4に示すように、全試作品の甘さを比較例1に揃えると、糀歩合が低いものほどよりすっきりし、単位飲料液重量あたりのカロリーは低減する傾向があることがわかった。
(実施例2:糀のpHを上げる手法による異性化糖含有甘酒の製造)
実施例1と同様の条件下で2日間培養し、得られた米糀216gにお湯225g、アミラーゼ製剤0.29gを添加した。この添加の際に食品添加用25%水酸化ナトリウム水溶液0.15gでpHを6.38まで上昇させるのと同時に、市販のグルコースイソメラーゼ(商品名:SPEZYME GIPF、長瀬産業社製)を3.6g添加し、50〜60℃で一晩糖化させた。得られた甘酒濃縮原液(試作品No.5)について、pH測定、並びに、高速液体クロマトグラフィーによってブドウ糖及び果糖の定量を行った(表6)。そのほか、甘酒濃縮原液について、比較例1と同重量、即ち総重量が730gになるように希釈したのち、甘さ、すっきり感、糀の風味の観点で5段階のレベルに分け、比較例1を基準(全ての観点で評価3)として、任意抽出した10名のパネルによる平均値で盲検官能評価した(表7)。さらに上記重量基準の官能評価とは別に、甘酒濃縮原液を水で希釈して甘さを比較例1にそろえたときのすっきり感、糀の風味について比較例1を基準(全ての観点で評価3)として5段階評価するとともに、希釈後のカロリーを算出した(表8)。
(試作品No.6〜8、比較例1について)
米麹、掛米、湯、アミラーゼ、GIの各割合を表5のように変更したほかは試作品No.5と同様にして、甘酒濃縮原液を得た。GI添加時の諸味pHと糖化工程終了後の甘酒濃縮原液のpH、並びに、果糖及びブドウ糖の割合の結果を表6に、官能評価の結果を表7及び表8にそれぞれ示す。
Figure 0006576031
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表6から、水酸化ナトリウムを添加した直後の諸味のpHを7〜8程度になるように調整すると、ブドウ糖から果糖への異性化が進行し易くなることがわかった。表7から、比較例1と同重量に希釈した場合では、果糖への異性化が進行したものほど甘く感じられる一方で、好みが分かれる糀特有の風味は際立ち、比較例1に比べてすっきり感は総じて低いことが分かった。しかし、表8に示すように、全試作品の甘さを比較例1に揃えると、比較例1に対してすっきり感は逆に向上し、単位飲料液重量あたりのカロリーは低減することがわかった。
(実施例3:異性化糖含有甘酒を摂取した後の血糖値の変化)
血糖測定キット(測定機:グルテストエースR (株)三和化学研究所製、センサー:グルテストセンサー (株)三和化学研究所製)を用いて、10人の被験者について、各種異性化糖含有甘酒を摂取した後の血糖値の変化を測定した結果を表9及び図1に示す。なお、比較例2は、比較例1で使用した甘酒濃縮原液251gを水で730gに希釈したものを使用した。
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(実施例4:乳酸菌を使用してブドウ糖含量を下げ、且つすっきり感を増した異性化糖含有甘酒の製造)
実施例1で得られた試作品No.2の甘酒濃縮原液を358g用意し、これに92gの水、乳酸菌Pediococcus acidilacticiを含む乳酸菌液0.5gをそれぞれ添加し、37℃で一晩発酵させて乳酸発酵甘酒を得て(試作品No.10)、高速液体クロマトグラフィーによってブドウ糖及び果糖の定量を行った(表11)。そのほか、得られた乳酸発酵甘酒について、同固形分量になるように希釈したのち、甘さ、すっきり感、糀の風味、その他の風味の観点で5段階のレベルに分け、比較例1を基準(全ての観点で評価3)として、任意抽出した10名のパネルによる平均値で盲検官能評価した(表12)。
(試作品No.11〜13について)
乳酸菌の種類を表10のように変えたほかは試作品No.10と同様にして、乳酸発酵甘酒を得て、試作品No.10と同様に評価を行った。
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表11から、いずれの乳酸菌を使用した場合も、92gの水で希釈した後の試作品No.2に比べてブドウ糖含量のみが1〜2%程度低減した。また、甘酒濃縮原液のpHは著しく低下した。これは乳酸菌の発酵に伴い、ブドウ糖が消費され代謝物として乳酸を産生したことを示唆する。また表12に示すように、全ての試作品について、ブドウ糖のみで乳酸発酵を経ていない比較例1に比べて、甘さが相対的に低減する代わりに乳酸の酸味によってすっきり感が格段に向上し、好みの分かれる糀の風味を抑えたクセの少ない乳酸発酵甘酒を得ることができた。また、使用する乳酸菌によって味の印象を変えられることがわかった。
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内においてさらに種々の形態で実施することができる。
本発明は、麹調味料・麹飲食物の生産、特に甘酒の生産に好適に利用することができる。

Claims (10)

  1. 製造過程において逐次生成しているブドウ糖を果糖で置き換えることによって得られた、飲料液重量に対し、ブドウ糖を5.5〜10.0%、果糖を2.5〜10.0%を含有する乳酸発酵を経ていない甘酒飲料。
  2. 異性化率が31〜46.3%である請求項1に記載の甘酒飲料。
  3. 製造過程において逐次生成しているブドウ糖を果糖で置き換え、次いで乳酸発酵を経ることによって得られた、飲料液重量に対し、ブドウ糖を5.5〜10.0%、果糖を2.5〜10.0%を含有する甘酒飲料。
  4. 異性化率が40.3〜42.7%である請求項3に記載の甘酒飲料
  5. 仕込み原料に含まれる穀物の糖化工程の間、又は、その後工程においてグルコースイソメラーゼを添加する段階を含み、仕込み原料に含まれる穀物麹の量が、仕込み原料の全重量に対して、0%を超え23%以下である甘酒の製造方法。
  6. 仕込み原料に含まれる穀物麹の量が、仕込み原料の全重量に対して、0%を超え15%以下である請求項に記載の甘酒の製造方法。
  7. 仕込み原料に含まれる穀物の糖化工程において、穀物麹又は穀物麹とその他の原料との混合物のpHを使用するグルコースイソメラーゼの至適pHまで上げる段階と、pHを上げた穀物麹又は穀物麹とその他の原料との混合物に対して、アミラーゼとグルコースイソメラーゼとを同時に添加する段階とを含む甘酒の製造方法。
  8. 仕込み原料に含まれる穀物の糖化工程において、穀物麹又は穀物麹とその他の原料との混合物にアミラーゼを添加したのち、時間差をおいて、使用するグルコースイソメラーゼの至適pHまでpHを上げてグルコースイソメラーゼを添加する段階を含む甘酒の製造方法。
  9. グルコースイソメラーゼが、至適pHが7未満のグルコースイソメラーゼである請求項5乃至請求項8のいずれか一項に記載の甘酒の製造方法。
  10. 穀物の糖化工程の間、又は、穀物の糖化工程の後工程において、乳酸菌を添加する段階を含む請求項5乃至請求項8のいずれか一項に甘酒の製造方法。
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