JP4127496B2 - 保存安定性を高めた固形発酵スターター - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、保存安定性を有する発酵スターター、特に各種発酵食品及び発酵飲料の製造に使用される保存安定性を高めた固形発酵スターター及びその利用に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、各種の発酵食品或いは発酵飲料の製造に際しては、その多くが、発酵を円滑及び均一に進めるために、予め用いる種菌となる微生物を発酵原料等の一部を用いて発酵させ、微生物の活性化と生育フェーズを合わせた発酵スターターを調製し、用いている。
例えば、パンの製造に際しては、発酵の前に、予め原料小麦粉の一部と酵母を混合し、十分発酵させて中種を作成し、これに全原料小麦粉を加えて、混合、発酵させる方法が行われている。また、ヨーグルトのような発酵乳製品の製造に際しては、予め種菌を脱脂乳のような培地で培養し、発酵用のスターターを調製することが行われている。
【0003】
更に、アルコール飲料の製造に際しても、発酵スターターが利用されている。例えば、清酒の製造に際しては、清酒原料の仕込み、発酵に先立って、米麹、蒸米等に清酒酵母を添加して発酵させ、酒母と呼ばれるスターターが調製される。
近年、ビール様アルコール飲料の製造に、清酒の製造に際して用いられる酒母(清酒元)を利用する方法が開示されている(特開平7−168)。該方法では、麦芽及び澱粉質原料に、白麹あるいはリゾプス属を繁殖した米麹、大麦麹、とうもろこし麹を添加して得た糖化液に、清酒元(種母、スターター)を加えて、もろみを調製する発泡酒の製造法を採用している。
【0004】
一般に、発酵工業では、その必要とする微生物を前培養し、これを種として段階的に拡大培養するのが普通であり、前記のように、種々の発酵食品或いは発酵飲料の製造に際して、発酵スターターが用いられている。
このような発酵スターターは、通常、本発酵工程の前段階として、その都度調製されるのが普通であり、基本的に発酵バッチ毎に調製しなければならないことから、結果的に発酵食品或いは発酵飲料の製造期間の長期化に繋がることとなっている。
近年、このような便宜のために、予め調製した発酵スターターを冷蔵等により保存する方法が開発され、発酵スターターの均一化の問題や製造期間の短縮化の問題の解消が図られている。しかし、これらも冷蔵設備の問題や微生物の冷蔵(低温)耐性の問題等、いくつかの問題を抱えているのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、保存安定性を有する発酵スターターを提供すること、特に発酵食品及び発酵飲料の製造に使用されるスターターを、簡便な手段で、保存性及び安定性に優れた発酵スターターとして提供することからなるものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意研究の結果、発酵スターターを麦等の穀物のような澱粉質原料からなる固形スターターとし、この固形スターターの表面を焙焼のような乾熱処理により短時間処理することにより、保存性、安定性に優れた発酵スターターを製造することができることを見い出し、本発明を完成した。即ち、本発明によれば、固形酵母スターターの表面に、焙焼のような乾熱処理によって処理された層を形成することによって、表面の微生物の滅菌を図ると共に、この層により外部からの微生物の侵入を防止し、尚且つ内部の酵母及びその他の菌は、処理された層に保護されて、その活性を維持したまま保存することが可能となる。また、その後の表面には麹菌、リゾプス属菌、ムコール属菌などの糖化能のある菌を付着させることも可能である。本発明の固形発酵スターターは、焙焼のような簡便な処理により調製することができ、しかも保存性、安定性に優れた発酵スターターとすることができるという利点を有する。本発明の発酵スターターには、酵母のようなアルコール発酵能のある微生物の他に、乳酸菌のような酸生成能のある微生物を共存させることができ、更に発酵原料によっては澱粉等の糖化能のある微生物又は糖化活性を有する酵素を含有させることができる。本発明の発酵スターターは、特に、発酵アルコール飲料の製造法に便利に利用することができる。
【0007】
すなわち本発明は、澱粉質原料に、発酵用微生物を含有させて調製した固形発酵スターターの表面を、焙焼により乾熱処理し、該固形発酵スターターの表面を焙焼固形化したことを特徴とする保存安定性を高めた固形発酵スターター(請求項1)や、固形発酵スターターに含有させる微生物が、アルコール発酵能のある微生物であることを特徴とする請求項1記載の保存安定性を高めた固形発酵スターター(請求項)や、アルコール発酵能のある微生物が、酵母であることを特徴とする請求項2記載の保存安定性を高めた固形発酵スターター(請求項)や、固形発酵スターターに含有させる微生物が、アルコール発酵能のある微生物及び酸生成能のある微生物であることを特徴とする請求項1記載の保存安定性を高めた固形発酵スターター(請求項)や、アルコール発酵能のある微生物が酵母であり、酸生成能のある微生物が乳酸菌であることを特徴とする請求項4記載の保存安定性を高めた固形発酵スターター(請求項)や、固形発酵スターターに、更に糖化能のある微生物又は糖化活性を有する酵素を含有させたことを特徴とする請求項2〜5のいずれか記載の保存安定性を高めた固形発酵スターター(請求項)や、糖化能のある微生物が、麹菌、リゾプス属の菌、ムコール属の菌又はこれらの2種以上の混合した菌であることを特徴とする請求項6記載の保存安定性を高めた固形発酵スターター(請求項)や、澱粉質原料が、穀物から調製された澱粉質原料であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか記載の保存安定性を高めた固形発酵スターター(請求項)や、穀物から調製された澱粉質原料が、発芽若しくは未発芽麦原料からなることを特徴とする請求項8記載の保存安定性を高めた固形発酵スターター(請求項)や、表面が焙焼により焙焼固形化され、全体がパン状態に保持されたものであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか記載の保存安定性を高めた固形発酵スターター(請求項10)からなる。
【0008】
また本発明は、請求項1〜10のいずれか記載の保存安定性を高めた固形発酵スターターを、発酵食品又は発酵飲料製造のための発酵スターターとして用いることを特徴とする発酵食品又は発酵飲料の製造法(請求項11)や、請求項1〜10のいずれか記載の保存安定性を高めた固形発酵スターターを、発酵アルコール飲料製造のための発酵スターターとして用いることを特徴とする発酵アルコール飲料の製造法(請求項12)や、発酵アルコール飲料が、発酵麦芽アルコール飲料であることを特徴とする請求項12記載の発酵アルコール飲料の製造法(請求項13)や、発酵アルコール飲料が、甘味のあるサワー香味のアルコール飲料であることを特徴とする請求項12記載の発酵アルコール飲料の製造法(請求項14)や、発酵アルコール飲料が、みりん様アルコール飲料であることを特徴とする請求項12記載の発酵アルコール飲料の製造法(請求項15)からなる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、澱粉質原料に発酵用微生物を接種して固形発酵スターターを形成し、この固形発酵スターターの表面を、乾熱処理することにより保存性、安定性に優れた固形発酵スターターとすることよりなる。本発明による乾熱処理としては、焙焼による処理が有利に利用される。本発明において、原料として用いる澱粉質原料としては、酵母発酵食品或いは発酵飲料の製造に使用される発酵原料を使用するのが好ましいが、麦類のような穀類発酵原料が有利に利用できる。例えば、発酵麦芽アルコール飲料のような発酵アルコール飲料の製造のための発酵スターターとして用いる場合は、澱粉質原料として、発芽若しくは未発芽麦原料等を用いるのが好ましい。固形発酵スターターに含有させる発酵用微生物としては、酵母のようなアルコール発酵能のある微生物が用いられる。発酵用微生物として、固形発酵スターターに乳酸菌のような酸生成能を有する微生物を併存させ、その微生物の生成物により固形発酵スターターの保存性を更に高めることができる。
更に、発酵スターターを用いる発酵食品或いは発酵飲料の原料によっては、発酵スターターに加えて、麹菌やリゾプス属の菌やムコール属の菌のような糖化能のある微生物又は糖化活性を有する酵素を併存させ、発酵用微生物の澱粉質原料の発酵中での利用を容易にして、発酵の促進を図ることができる。糖化活性を有する酵素としては、麦芽の糖化酵素やその他の糖化酵素を用いることができる。
【0010】
本発明の発酵スターターの製造について、その一例を示せば、まず、麦粉等の澱粉質原料を用意する。次いで、この澱粉質原料を、水等と共に混練した後、酵母や乳酸菌及びその他の菌を添加し、それらの微生物のミクロフローラが形成されるまで半固形状態で保持する。この間、微生物の増殖と活性化がなされると共に、混合原料の酸性化、糖化等がなされる。このようにして製造した半固形状態のスターターを適当な大きさに分取し、内部のミクロフローラの活性に影響がないような条件下で、短時間表面を焙焼する。焙焼により、半固形状態のスターターは、表面が乾燥固形化され、表面全体がパン状態に保持される。本発明の発酵スターターは、安定化して保存することができ、利用に際しては、切り出して用いることができる。
本発明の固形発酵補助スターターは、固形発酵スターターを加熱して内在する発酵用微生物を死滅させ、発酵用微生物が生成した発酵生産物を、発酵用微生物の働きを止めた形で用いることができる。このような固形発酵補助スターターの利用の形は、特に発酵用微生物として乳酸菌を含有させたものは、十分量の乳酸や、栄養塩類、ビタミン、アミノ酸などの発酵促進物質や、雑菌阻害物質などが蓄積されるので、該発酵生産物を発酵スターターとともに利用するような場合に有利に用いることができる。
【0011】
本発明の発酵スターターの利用の一例として、発芽もしくは未発芽の麦原料を澱粉質原料として用いて、もろみを製造する場合について述べる。
澱粉質原料として、発芽もしくは未発芽の麦原料を用いた発酵スターターは、原料として発芽麦原料(麦芽原料)を用いて調製した糖化液(含む部分糖化液)に、発芽もしくは未発芽の麦原料を用いて、もろみを形成する場合の発酵スターターとして特に有利に用いることができる。
かかる場合に、もろみ形成のために供する発芽もしくは未発芽の麦原料を用いた糖化液(含む部分糖化液)には、発芽もしくは未発芽の麦原料に、副原料として他の穀物或いはそのエキス、シロップを用いたものを麦芽中の加水分解酵素(各種アミラーゼ、プロテアーゼ等)や外部添加の加水分解酵素を用いて糖化した液や、穀物原料に白麹あるいはリゾプス属、ムコール属の菌を繁殖した米麹、大麦麹、とうもろこし麹などを加水分解酵素源としたもの、もしくはこれらを適宜調整したものを用いることができる。もちろん、更にホップや各種ハーブを添加しても良い。
【0012】
発酵もろみ形成に用いる本発明の発酵スターターは、被糖化すべき麦及びその加工品に、場合によって他の澱粉質や糖分、更に果実、ハーブ類を加えたものを添加して調製することができる。微生物としては、アルコール発酵能を有する酵母の他に、乳酸発酵能を有する微生物、更には澱粉や蛋白質の加水分解能を有する微生物を添加して調製することができる。微生物を接種し、ある程度の数量まで増殖させた後、本発明の発酵スターター処理工程を施して、発酵の促進作用と保存性を付与し、安定化するものである。アルコール発酵能を有する微生物は、酵母類の微生物であるが、Saccharomyces 属の他、Pichia属、Hansenulla属などを挙げることができる。
乳酸発酵能のある微生物は、その代表的なものは乳酸菌であり、Lactobacillus属、Lactococcus属、Streptococcus属の微生物を挙げることができる。加水分解能(澱粉及び蛋白質の加水分解能)を持つ微生物は、Aspergillus属、Rhizopus属、Mucor属や加水分解能を持つ一部の酵母類を挙げることができるが、これらは澱粉原料として用いられる麦の糖化に役立てられ、発酵スターターに用いられる乳酸菌や酵母菌の発酵中での澱粉の利用を助けるものである。
澱粉原料の糖化には、麦芽の糖化酵素を用いて、糖化を行うこともできる。
【0013】
本発明の発酵スターターは、各種発酵食品或いは発酵飲料を製造するに際しての発酵スターターとして利用することができるが、発酵アルコール飲料の製造に際しての発酵スターターとして、特に有利に利用することができる。該発酵アルコール飲料の例示としては、ビールや発泡酒のような発酵麦芽アルコール飲料又は甘味のあるサワー香味のアルコール飲料或いはみりん様アルコール飲料などを挙げることができる。
【0014】
本発明の発酵スターターを、発酵アルコール飲料の製造に用いた場合について詳述する。
発酵アルコール飲料として、発芽もしくは未発芽の麦原料を澱粉質原料として用いた場合の例を挙げると、まず、発酵原料として、発芽もしくは未発芽の麦原料を用いた糖化液(含む部分糖化液)を調製する(以下麦汁という)。
麦汁は、通常、ビールや発泡酒の製造において調製される麦汁を用いても良い。また独自の味を調整するため、麦芽や麦と他の穀物或いはそのエキス、シロップを、麦芽中の加水分解酵素(各種アミラーゼ、プロテアーゼ等)や外部添加の加水分解酵素を用いて糖化したもの、麦に、穀物原料に白麹あるいはリゾプス属、ムコール属の菌を繁殖した米麹、大麦麹、とうもろこし麹などを加水分解酵素源として糖化したものを用いた麦汁でも良い。加水分解酵素源としては、麦芽、外部酵素、麹等これまで紹介された方法を適宜組み併せて調製すればよい。更に、果汁或いは果実シロップを加えることもできる。
【0015】
このように調製された麦汁に、本発明の発酵スターターを添加する。発酵スターターとしては、発芽もしくは未発芽の麦原料を澱粉質原料とし、これに酵母及び乳酸菌を、場合により更に麹菌或いは麦芽を添加して、生育させた、該育成物を本発明による乾熱処理により処理した保存安定性固形発酵スターターが、使用される。添加時期は、ビールや発泡酒の製造の場合ように、完全に糖化が終了するものである場合には、糖化終了後添加しても良いし、発酵スターターに加水分解能を有する微生物をミクロフローラに加え、その加水分解能により澱粉質原料の糖化を行う場合は、その糖化途中で加え、いわゆる複式発酵である糖化と発酵を並行させて行っても良い。本発酵スターターには、その抗菌性及び保存性をより確実に付与しておくために、乳酸菌の添加は特に好ましい。場合により乳酸の添加も可能である。もろみの形成に際して乳酸菌の生成する乳酸による酸性化、場合により乳酸菌培養物中の抗菌物質の作用により、もろみもしくは麦汁が雑菌に対して抵抗性が増した状態となる。発酵スターターをパン様に調製したものは、それを砕いて添加し、もろみと為すことが容易に可能である。また、少量の製造では、本発酵スターターの保持材である麦或いはそれに他の澱粉質を加えたもの(パン状態の場合はパンそのもの)で製造しても良い。
【0016】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
[発酵スターターの調製]
実施例1
醸造用乳酸500mgを40℃の温水135gに溶解し、大麦粉70gと普通小麦粉(強力粉)30g(または全量大麦粉100g)に添加し、更に酵母菌としてSaccharomyces cerevisiae(圧搾ビール酵母)を2g添加し、Rhizopus属カビを繁殖させた乾燥麦麹を10g添加する。これを混練した後、30−35℃で膨化するまで(約12時間)保持した後、これを約200℃オーブンで表面に若干焦げ面ができる程度に焼く。
【0017】
実施例2
大麦粉100gに室温の水135gを加え、混合する。同時に乳酸菌としてLactobacillus(bulgaricus)を約105のレベルで添加し、更に乾燥酵母、Saccharomycescerevisiae(ビール酵母)を約2ml添加して、混練した後、ラップをかけて蒸散を防止しながら30℃前後で約12時間保存後ドウの膨化を行った。これをオーブントースター(800W シーズヒーター)で3分間焼き、表面を焙焼固形化した。この後室内に約一週間静置しRhizopus属、Aspergullus属の麹カビを付着させた。この紛砕物約10%を上記の添加すべき菌に換えて使用して、ドウを再調製し、表面を焙焼固形化した。発酵スターターの調製はこの再調製を繰り返すことにより行なわれる。表面を内部のミクロフローラが死滅しないように焙焼固形化しなければならない。
【0018】
[本発酵スターターによる発酵アルコール飲料の製造]
実施例3
麦芽エキス130g(乾物換算)、ホップエキス15mgを80℃の温水に溶かし1Lにして微生物汚染しないように蓋をして室温まで冷却する。これに実施例2の発酵スターター400gの粉砕物を添加し、25〜30℃で3日間発酵させた。発酵の状況をみて更に室温で2日ほど延長させることもある。発酵液の上澄を遠心分離後、炭酸ガスを吹き込みガス付けした。官能検査に供したところ、芳醇な香味のアルコール飲料を得た。
【0019】
実施例4
デュラム小麦粉50gに大麦麦芽粉50gを加え、篩で混合した。水を80ml、砂糖小匙1/2,ドライイースト小匙1/2を加えてよくこねた。ラップをかけて約3時間暖保存した。膨化したら、一度こねて、再膨化させた。これを200℃で20分間に焼成し、パンを得た。このパンと実施例2の発酵スターター100gと、更に乾燥デーツ果実部分50gをミキサーで粉砕混合し、固形分が浸る程度に水を入れ、発酵させた(発酵のあわ立ちが不十分な場合は必要に応じて、乾燥酵母を添加する。)。発酵液を遠心分離し、官能検査に供したところ、甘味のあるサワー香味のアルコール飲料を得た。
【0020】
実施例5
炊飯米に実施例2の発酵スターター粉砕物を約10%混和し、約30℃で5日間発酵に供する。浸出する発酵液を収集し、官能検査に供したところ、みりん様の発酵アルコール飲料を得た。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、発酵食品や発酵飲料等の製造に通常用いられる麦等の穀物のような澱粉質原料からなる固形スターターを、表面を焙焼のような乾熱処理により短時間処理することにより、保存性、安定性に優れた発酵スターターを製造することができる。本発明の発酵固形スターターは、焙焼のような簡便な表面処理により調製することができるものであるため、特別の冷蔵設備を設けることなく利用することができ、しかも微生物の冷蔵耐性の問題も生ずることがない。更に、本発明の発酵固形スターターは、保存性、安定性に優れた発酵スターターとすることができることから、品質の均一な発酵スターターを常時準備、提供することが可能である。従って、本発明の発酵固形スターターを用いて、発酵食品や発酵飲料等の製造における安定的な発酵品の製造、発酵期間の短縮を図ることができる。

Claims (15)

  1. 澱粉質原料に、発酵用微生物を含有させて調製した固形発酵スターターの表面を、焙焼により乾熱処理し、該固形発酵スターターの表面を焙焼固形化したことを特徴とする保存安定性を高めた固形発酵スターター。
  2. 固形発酵スターターに含有させる微生物が、アルコール発酵能のある微生物であることを特徴とする請求項1記載の保存安定性を高めた固形発酵スターター。
  3. アルコール発酵能のある微生物が、酵母であることを特徴とする請求項2記載の保存安定性を高めた固形発酵スターター。
  4. 固形発酵スターターに含有させる微生物が、アルコール発酵能のある微生物及び酸生成能のある微生物であることを特徴とする請求項1記載の保存安定性を高めた固形発酵スターター。
  5. アルコール発酵能のある微生物が酵母であり、酸生成能のある微生物が乳酸菌であることを特徴とする請求項4記載の保存安定性を高めた固形発酵スターター。
  6. 固形発酵スターターに、更に糖化能のある微生物又は糖化活性を有する酵素を含有させたことを特徴とする請求項2〜5のいずれか記載の保存安定性を高めた固形発酵スターター。
  7. 糖化能のある微生物が、麹菌、リゾプス属の菌、ムコール属の菌又はこれらの2種以上の混合した菌であることを特徴とする請求項6記載の保存安定性を高めた固形発酵スターター。
  8. 澱粉質原料が、穀物から調製された澱粉質原料であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか記載の保存安定性を高めた固形発酵スターター。
  9. 穀物から調製された澱粉質原料が、発芽若しくは未発芽麦原料からなることを特徴とする請求項8記載の保存安定性を高めた固形発酵スターター。
  10. 表面が焙焼により焙焼固形化され、全体がパン状態に保持されたものであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか記載の保存安定性を高めた固形発酵スターター。
  11. 請求項1〜10のいずれか記載の保存安定性を高めた固形発酵スターターを、発酵食品又は発酵飲料製造のための発酵スターターとして用いることを特徴とする発酵食品又は発酵飲料の製造法。
  12. 請求項1〜10のいずれか記載の保存安定性を高めた固形発酵スターターを、発酵アルコール飲料製造のための発酵スターターとして用いることを特徴とする発酵アルコール飲料の製造法。
  13. 発酵アルコール飲料が、発酵麦芽アルコール飲料であることを特徴とする請求項12記載の発酵アルコール飲料の製造法。
  14. 発酵アルコール飲料が、甘味のあるサワー香味のアルコール飲料であることを特徴とする請求項12記載の発酵アルコール飲料の製造法。
  15. 発酵アルコール飲料が、みりん様アルコール飲料であることを特徴とする請求項12記載の発酵アルコール飲料の製造法。
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