JP6564702B2 - 偏光フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、クロスニコル状態における青色光の漏れの少ない薄型の偏光フィルムおよびその製造方法に関する。
光の透過および遮蔽機能を有する偏光板は、光の偏光状態を変化させる液晶と共に液晶ディスプレイ(LCD)の基本的な構成要素である。多くの偏光板は偏光フィルムの表面に三酢酸セルロース(TAC)フィルムなどの保護膜が貼り合わされた構造を有しており、偏光板を構成する偏光フィルムとしてはポリビニルアルコールフィルム(以下、「ポリビニルアルコール」を「PVA」と略記することがある)を一軸延伸してなるマトリックス(一軸延伸して配向させた延伸フィルム)にヨウ素系色素(I やI 等)が吸着しているものが主流となっている。このような偏光フィルムは、ヨウ素系色素を予め含有させたPVAフィルムを一軸延伸したり、PVAフィルムの一軸延伸と同時にヨウ素系色素を吸着させたり、PVAフィルムを一軸延伸した後にヨウ素系色素を吸着させたりするなどして製造される。
LCDは、電卓および腕時計などの小型機器、ノートパソコン、液晶モニター、液晶カラープロジェクター、液晶テレビ、車載用ナビゲーションシステム、携帯電話、屋内外で用いられる計測機器などの広範囲において用いられるようになっているが、近年、特に小型のノートパソコンや携帯電話などのモバイル用途へ用いられることが多くなっており、偏光板への薄型化の要求が強くなっている。
偏光板を構成する偏光フィルムを薄型化する方法として、熱可塑性樹脂フィルムの片面にPVA層を形成してなる積層体を延伸、染色、乾燥してから、必要に応じて延伸された熱可塑性樹脂フィルムの層を剥離除去する方法が知られている(特許文献1および2などを参照)。
国際公開第2010/100917号 特許第4691205号明細書
しかしながら、従来公知の方法に従って薄型の偏光フィルムを製造した場合には、クロスニコル状態における青色光の漏れが多いという問題があった。そこで本発明は、クロスニコル状態における青色光の漏れの少ない薄型の偏光フィルムおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、薄型のPVAフィルムを染色および延伸して偏光フィルムを製造する際に、使用されるヨウ素系色素を含む染色浴の温度および染色浴への浸漬時間を特定の範囲とすることにより、断面をラマン分光測定して得られるフィルムの厚み方向中央部と表面近傍とにおける各測定結果が特定の関係を満たす、クロスニコル状態における青色光の漏れの少ない従来にない薄型の偏光フィルムが容易に得られることを見出し、当該知見に基づいて更に検討を重ねて本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
[1]PVAを含むマトリックスにヨウ素系色素が吸着している、厚みが25μm以下の偏光フィルムであって、当該偏光フィルムの断面をラマン分光測定して得られる、フィルムの厚み方向中央部における310cm−1でのシグナル強度(Int310)と210cm−1でのシグナル強度(Int210)との比率(Int310/Int210)をLとし、フィルムの一方の面から厚み方向に内部に厚みに対して10%進入した部分における310cm−1でのシグナル強度(Int310)と210cm−1でのシグナル強度(Int210)との比率(Int310/Int210)をMとし、フィルムの他方の面から厚み方向に内部に厚みに対して10%進入した部分における310cm−1でのシグナル強度(Int310)と210cm−1でのシグナル強度(Int210)との比率(Int310/Int210)をNとした際に( 但し、M≦Nである)、2×L/(M+N)が0.91以下である、偏光フィルムであって、クロスニコル状態における波長480nmでの吸光度(A)と波長700nmでの吸光度(B)との比率(A/B)が1.42以上2以下である、偏光フィルム(以下、これを「偏光フィルム(2)」と称することがある);
[2]偏光フィルムに含まれるアルカリ金属の含有率をXモル/kgとし、偏光フィルムの厚みをYμmとしたときに、式:Z=X×log(Y)で示されるZが0.19以下である、上記[]の偏光フィルム;
[3]単体透過率が40〜45%である、上記[1]または[2]に記載の偏光フィルム;
[4]厚みが50μm以下のPVAフィルムを染色および延伸する工程を含む、偏光フィルムの製造方法であって、染色はヨウ素系色素を含む染色浴にPVAフィルムを浸漬することにより行われ、染色浴の温度が25℃以下であり、浸漬時間が1.5分以下であって、上記染色浴中で延伸が行われる、上記[1]に記載の偏光フィルムの製造方法;
に関する。
本発明によれば、クロスニコル状態における青色光の漏れの少ない薄型の偏光フィルムが提供される。また、本発明によれば、当該偏光フィルムを容易に製造することのできる偏光フィルムの製造方法が提供される。
以下、本発明について詳細に説明する。
(偏光フィルム)
本発明の偏光フィルムは、PVAを含むマトリックスにヨウ素系色素が吸着している。このような偏光フィルムは、ヨウ素系色素を予め含有させたPVAフィルムを延伸したり、PVAフィルムの延伸と同時にヨウ素系色素を吸着させたり、PVAフィルムを延伸してマトリックスを形成した後にヨウ素系色素を吸着させたりするなどして製造することができる。
本発明の偏光フィルムは、厚みが25μm以下である。厚みが25μm以下であることにより、近年要求される薄型の偏光板が容易に得られる。このような観点から、偏光フィルムの厚みは、23μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることが更に好ましく、5μm以下であることが特に好ましい。なお、厚みがあまりに薄い偏光フィルムは、その製造が困難であることから、偏光フィルムの厚みは、例えば1μm以上(一例では2.5μm以上)である。
本発明の1つの側面を構成する偏光フィルム(1)では、クロスニコル状態における波長480nmでの吸光度(A)と波長700nmでの吸光度(B)との比率(A/B)が1.42以上である。当該比率(A/B)が1.42以上であることにより、青色光の漏れの少ない偏光フィルムとなる。このような観点から、当該比率(A/B)は1.43以上であることが好ましく、1.44以上であることがより好ましい。一方、当該比率(A/B)があまりに高すぎると、赤色光の漏れが多くなる傾向があることから、当該比率(A/B)は2以下であることが好ましく、1.8以下であることがより好ましく、1.6以下であることがさらに好ましい。なお、上記の吸光度(A)および吸光度(B)は分光光度計を用いて求めることができ、具体的には実施例において後述する方法により求めることができる。
また、本発明の別の側面を構成する偏光フィルム(2)では、当該偏光フィルムの断面をラマン分光測定して得られる、フィルムの厚み方向中央部における310cm−1でのシグナル強度(Int310)と210cm−1でのシグナル強度(Int210)との比率(Int310/Int210)をLとし、フィルムの一方の面から厚み方向に内部に厚みに対して10%進入した部分における310cm−1でのシグナル強度(Int310)と210cm−1でのシグナル強度(Int210)との比率(Int310/Int210)をMとし、フィルムの他方の面から厚み方向に内部に厚みに対して10%進入した部分における310cm−1でのシグナル強度(Int310)と210cm−1でのシグナル強度(Int210)との比率(Int310/Int210)をNとした際に(但し、M≦Nである)、2×L/(M+N)が0.91以下である。
偏光フィルムの断面をラマン分光測定するにあたっては、例えば、対象となる偏光フィルムをその厚み方向にスライスした試料を用いてラマン分光光度計によりラマン分光測定すればよく、具体的には、堀場製作所製 顕微レーザラマン分光測定装置「LabRAM ARAMIS VIS」等のレーザラマン分光測定装置を用いて、上記試料の測定対象部分に波長532nmのレーザー光を照射してラマン分光測定を行えばよい。そして、このようにして得られた、各測定対象部分それぞれにおける310cm−1でのシグナル強度(Int310)と210cm−1でのシグナル強度(Int210)とから、その部分における比率(Int310/Int210)が算出される。フィルムの各部分における比率(Int310/Int210)を求める際のより具体的な各測定手法ないし条件としては、実施例において後述するものをそれぞれ採用することができる。なお、偏光フィルム(2)において規定されるフィルムの各面から厚み方向に内部に厚みに対して10%進入した部分について、例えば、厚みが10μmの偏光フィルムの場合には、当該部分は偏光フィルムの各面から厚み方向に内部に1μm(10μm×10%=1μm)進入した部分に該当する。本発明を何ら限定するものではないが、フィルムの各部分における比率(Int310/Int210)は、その部分におけるI の存在量に対するI の存在量の割合に依存するものと考えられる。
偏光フィルム(2)は、上記した2×L/(M+N)が0.91以下である。2×L/(M+N)が0.91以下であることにより、クロスニコル状態における青色光の漏れの少ない偏光フィルムとなる。クロスニコル状態における青色光の漏れのより少ない偏光フィルムが得られることから、2×L/(M+N)は0.88以下であることが好ましく、0.85以下であることがより好ましい。なお、クロスニコル状態における赤色光の漏れを低減するという観点において、2×L/(M+N)は0.01以上であることが好ましく、0.1以上であることがより好ましく、0.5以上であることがさらに好ましい。
偏光フィルム(2)は、青色光の漏れを低減する観点から、クロスニコル状態における波長480nmでの吸光度(A)と波長700nmでの吸光度(B)との比率(A/B)が1.42以上であることが好ましく、1.43以上であることがより好ましく、1.44以上であることがさらに好ましい。一方、当該比率(A/B)があまりに高すぎると、赤色光の漏れが多くなる傾向があることから、当該比率(A/B)は2以下であることが好ましく、1.8以下であることがより好ましく、1.6以下であることがさらに好ましい。
上記のPVAとしては、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、酢酸イソプロペニル等のビニルエステルの1種または2種以上を重合して得られるポリビニルエステルをけん化することにより得られるものを使用することができる。上記のビニルエステルの中でも、PVAの製造の容易性、入手容易性、コスト等の点から、酢酸ビニルが好ましい。
上記のポリビニルエステルは、単量体として1種または2種以上のビニルエステルのみを用いて得られたものであってもよいが、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、1種または2種以上のビニルエステルと、これと共重合可能な他の単量体との共重合体であってもよい。
上記のビニルエステルと共重合可能な他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等の炭素数2〜30のα−オレフィン;(メタ)アクリル酸またはその塩;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸またはその塩、(メタ)アクリルアミドプロピルジメチルアミンまたはその塩、N−メチロール(メタ)アクリルアミドまたはその誘導体等の(メタ)アクリルアミド誘導体;N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン等のN−ビニルアミド;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のビニルエーテル;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル;酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物;マレイン酸またはその塩、エステルもしくは酸無水物;イタコン酸またはその塩、エステルもしくは酸無水物;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物;不飽和スルホン酸などを挙げることができる。上記のポリビニルエステルは、前記した他の単量体の1種または2種以上に由来する構造単位を有することができる。
上記のポリビニルエステルに占める前記した他の単量体に由来する構造単位の割合は、ポリビニルエステルを構成する全構造単位のモル数に基づいて、15モル%以下であることが好ましく、10モル%以下、さらには5モル%以下であってもよい。
特に前記した他の単量体が、(メタ)アクリル酸、不飽和スルホン酸などのように、得られるPVAの水溶性を促進する可能性のある単量体である場合には、偏光フィルムの製造過程においてPVAが溶解するのを防止するために、ポリビニルエステルにおけるこれらの単量体に由来する構造単位の割合は、ポリビニルエステルを構成する全構造単位のモル数に基づいて、5モル%以下であることが好ましく、3モル%以下であることがより好ましい。
上記のPVAは、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、1種または2種以上のグラフト共重合可能な単量体によって変性されたものであってもよい。当該グラフト共重合可能な単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸またはその誘導体;不飽和スルホン酸またはその誘導体;炭素数2〜30のα−オレフィンなどが挙げられる。PVAにおけるグラフト共重合可能な単量体に由来する構造単位(グラフト変性部分における構造単位)の割合は、PVAを構成する全構造単位のモル数に基づいて、5モル%以下であることが好ましい。
上記のPVAは、その水酸基の一部が架橋されていてもよいし架橋されていなくてもよい。また上記のPVAは、その水酸基の一部がアセトアルデヒド、ブチルアルデヒド等のアルデヒド化合物などと反応してアセタール構造を形成していてもよいし、これらの化合物と反応せずアセタール構造を形成していなくてもよい。
上記のPVAの平均重合度は1,000〜9,500の範囲内であることが好ましく、当該平均重合度は、1,500以上であることがより好ましく、2,000以上であることがさらに好ましく、また、9,200以下であることがより好ましく、6,000以下であることがさらに好ましい。平均重合度が1,000以上であることにより、偏光フィルムの偏光性能が向上する。一方、平均重合度が9,500以下であることにより、PVAの生産性が向上する。なお、PVAの平均重合度は、JIS K6726−1994の記載に準じて測定することができる。
上記のPVAのけん化度は、偏光フィルムの偏光性能などの観点から、98モル%以上であることが好ましく、98.5モル%以上であることがより好ましく、99モル%以上であることがさらに好ましい。けん化度が98モル%未満であると、偏光フィルムの製造過程でPVAが溶出しやすくなり、溶出したPVAがフィルムに付着して偏光フィルムの偏光性能を低下させる場合がある。なお、本明細書におけるPVAのけん化度とは、PVAが有する、けん化によってビニルアルコール単位に変換され得る構造単位(典型的にはビニルエステル単位)とビニルアルコール単位との合計モル数に対して当該ビニルアルコール単位のモル数が占める割合(モル%)をいう。けん化度はJIS K6726−1994の記載に準じて測定することができる。
上記のヨウ素系色素としては、I やI 等が挙げられる。これらのカウンターカチオンとしては、例えば、カリウム等のアルカリ金属が挙げられる。ヨウ素系色素は、例えば、ヨウ素(I)とヨウ化カリウムとを接触させることにより得ることができる。
本発明の偏光フィルムに含まれるアルカリ金属の含有率をXモル/kgとし、偏光フィルムの厚みをYμmとしたときに、式:Z=X×log(Y)で示されるZが0.19以下であると、偏光フィルムの耐熱性および耐湿熱性が向上することから好ましい。このような観点から、Zは0.185以下であることが好ましく、0.175以下であることがより好ましい。また、クロスニコル状態における青色光の漏れをより低減することができることから、Zは0.15以上であることが好ましく、0.16以上であることがより好ましい。アルカリ金属としては、例えば、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、カリウムが好ましい。当該含有率は、例えば、ICP−MS測定により求めることができる。
本発明の偏光フィルムの単体透過率は、偏光性能の観点から、40〜45%の範囲内であることが好ましく、当該単体透過率は、41%以上であることがより好ましく、42%以上であることがさらに好ましく、また、44%以下であることがより好ましい。偏光フィルムの単体透過率は、実施例において後述する方法により測定することができる。
(偏光フィルムの製造方法)
本発明の偏光フィルムを製造するための方法は特に制限されず、PVAフィルムを原反フィルムとして用いて、これを染色および延伸することにより製造することができ、例えば、原反フィルムとして使用されるPVAフィルムにヨウ素系色素を含む染色液を特定の量および濃度で散布する;ヨウ素系色素を含む染色液を塗布したロールに原反フィルムとして使用されるPVAフィルムを接触させる;ヨウ素系色素を含む染色液をスポンジ等の多孔質体に含浸させた含浸体に原反フィルムとして使用されるPVAフィルムを接触させる;などして、得られる偏光フィルムの厚み方向中央部と表面近傍とのそれぞれにおけるI の存在量に対するI の存在量の割合に差をつけることによって容易に製造することができるが、以下の本発明の製造方法によれば、本発明の偏光フィルムをより容易に製造することができることから好ましい。
すなわち、本発明の製造方法は、厚みが50μm以下のPVAフィルムを染色および延伸する工程を含み、染色はヨウ素系色素を含む染色浴にPVAフィルムを浸漬することにより行われ、染色浴の温度が25℃以下であり、浸漬時間が1.5分以下である。
上記の通り、本発明の製造方法では、厚みが50μm以下のPVAフィルムを染色および延伸する工程を含む。使用されるPVAフィルムは、単層のものであってもよいし、特許文献1および2等に記載されているように、熱可塑性樹脂基材等の基材に積層されたものであってもよいが、単層のものが好ましい。
PVAフィルムを構成するPVAとしては、本発明の偏光フィルムの説明において、上記したのと同様のものとすることができるため、ここでは重複する記載を省略する。
PVAフィルムは、それを延伸する際の延伸性向上の観点から可塑剤を含むことが好ましい。当該可塑剤としては、例えば、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジグリセリン、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコールなどを挙げることができ、PVAフィルムはこれらの可塑剤の1種または2種以上を含むことができる。これらの中でも、延伸性の向上効果の観点からグリセリンが好ましい。
PVAフィルムにおける可塑剤の含有量は、それに含まれるPVA100質量部に対して、1〜20質量部の範囲内であることが好ましい。当該含有量が1質量部以上であることにより、PVAフィルムの延伸性をより向上させることができる。一方、当該含有量が20質量部以下であることにより、PVAフィルムが柔軟になり過ぎて取り扱い性が低下するのを防止することができる。PVAフィルムにおける可塑剤の含有量はPVA100質量部に対して2質量部以上であることがより好ましく、4質量部以上であることがさらに好ましく、5質量部以上であることが特に好ましく、また、15質量部以下であることがより好ましく、12質量部以下であることがさらに好ましい。
なお、偏光フィルムの製造条件などにもよるが、PVAフィルムに含まれる可塑剤は偏光フィルムを製造する際に溶出するなどするため、その全量が偏光フィルムに残存するとは限らない。
PVAフィルムは、必要に応じて、酸化防止剤、凍結防止剤、pH調整剤、隠蔽剤、着色防止剤、油剤、界面活性剤などの成分をさらに含んでいてもよい。
PVAフィルムにおけるPVAの含有率は、所望とする偏光フィルムの調製のしやすさなどから、50〜99質量%の範囲内であることが好ましく、当該含有率は、75質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましく、85質量%以上であることが特に好ましく、また、98質量%以下であることがより好ましく、96質量%以下であることがさらに好ましく、95質量%以下であることが特に好ましい。
本発明の製造方法において使用されるPVAフィルムは、厚みが50μm以下である。厚みが50μm以下であることにより、上記した薄型の偏光フィルムが容易に得られる。このような観点から、PVAフィルムの厚みは、40μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることが更に好ましい。なお、厚みがあまりに薄いPVAフィルムは、その製造が困難であることから、PVAフィルムの厚みは、例えば2μm以上(一例では5μm以上)である。
PVAフィルムの形状は特に制限されないが、偏光フィルムを製造する際に連続して使用することができることから長尺のPVAフィルムであることが好ましい。長尺のPVAフィルムの長さ(長尺方向の長さ)は特に制限されず、製造される偏光フィルムの用途などに応じて適宜設定することができ、例えば、5〜20,000mの範囲内とすることができる。
PVAフィルムの幅は特に制限されず、製造される偏光フィルムの用途などに応じて適宜設定することができるが、近年、液晶テレビや液晶モニターの大画面化が進行している点から、PVAフィルムの幅を0.5m以上、より好ましくは1.0m以上にしておくと、これらの用途に好適である。一方、PVAフィルムの幅があまりに広すぎると実用化されている装置で偏光フィルムを製造する場合に均一に延伸することが困難になる傾向があることから、PVAフィルムの幅は7m以下であることが好ましい。
本発明の製造方法は、上記の通り、PVAフィルムを染色する工程(染色工程)および延伸する工程(延伸工程)を含み、当該製造方法は染色工程および延伸工程の他に、膨潤工程、架橋工程、固定処理工程、洗浄工程、乾燥工程などを必要に応じてさらに含むことができる。各工程の順番は必要に応じて適宜変更してもよく、各工程を2回以上実施してもよく、異なる工程を同時に実施してもよい。
本発明の製造方法の一例としては、まずPVAフィルムを、膨潤工程に供し、次いで染色工程に供し、必要に応じてさらに架橋工程に供し、その後延伸工程に供し、必要に応じてさらに固定処理工程および/または洗浄工程に供し、そして乾燥工程に供する方法が挙げられる。
膨潤工程は、PVAフィルムを水に浸漬することにより行うことができる。水に浸漬する際の水の温度としては、20〜40℃の範囲内であることが好ましく、当該温度は、22℃以上であることがより好ましく、25℃以上であることがさらに好ましく、また、38℃以下であることがより好ましく、35℃以下であることがさらに好ましい。当該温度を20〜40℃の範囲内にすることでPVAフィルムを効率良く膨潤させることができる。また、水に浸漬する時間としては、0.1〜5分間の範囲内であることが好ましく、0.5〜3分間の範囲内であることがより好ましい。0.1〜5分間の範囲内にすることでPVAフィルムを効率良く膨潤させることができる。なお、水に浸漬する際の水は純水に限定されず、各種成分が溶解した水溶液であってもよいし、水と水性媒体との混合物であってもよい。
本発明の製造方法において、染色はヨウ素系色素を含む染色浴にPVAフィルムを浸漬することにより行われ、ここで、染色浴の温度は25℃以下であり、浸漬時間は1.5分以下であることが必要である。
染色浴の温度が25℃を超えると、得られる偏光フィルムは、クロスニコル状態における青色光の漏れが多くなる。このような観点から、染色浴の温度は、23℃以下であることが好ましく、21℃以下であることがより好ましく、18℃以下であることがさらに好ましく、15℃以下、さらには10℃以下であってもよく、特により薄いPVAフィルムを用いる場合には染色浴の温度をより低くすることにより目的とする偏光フィルムをより効率的に得ることができる。一方、染色浴の温度があまりに低すぎると、得られる偏光フィルムにおいて斑が生じる場合があることから、染色浴の温度は3℃以上であることが好ましく、5℃以上であることがより好ましい。
染色浴にPVAフィルムを浸漬する際の浸漬時間が1.5分を超える場合においても、得られる偏光フィルムは、クロスニコル状態における青色光の漏れが多くなる。このような観点から、浸漬時間は1.3分以下であることが好ましく、1.1分以下であることがより好ましく、0.8分以下、0.5分以下、さらには0.3分以下であってもよく、特により薄いPVAフィルムを用いる場合には浸漬時間をより短くすることにより目的とする偏光フィルムをより効率的に得ることができる。一方、浸漬時間があまりに短すぎると、得られる偏光フィルムにおいて斑が生じる場合があることから、浸漬時間は0.05分以上であることが好ましく、0.1分以上であることがより好ましい。
染色浴の代表例としては、ヨウ素(I)およびヨウ化カリウムを水と混合することにより得られるものが挙げられる。ヨウ素およびヨウ化カリウムを水と混合することで、I およびI といったヨウ素系色素を発生させることができる。染色浴におけるヨウ素およびヨウ化カリウムの濃度に特に制限はないが、ヨウ素の濃度としては、得られる染色浴の質量に対する使用されるヨウ素の質量の割合として、0.01〜2質量%の範囲内であることが好ましく、0.02〜0.5質量%の範囲内であることがより好ましく、また、ヨウ化カリウムの濃度としては、上記使用されるヨウ素の質量に対する使用されるヨウ化カリウムの質量の割合として、10〜200質量倍の範囲内であることが好ましく、15〜150質量倍の範囲内であることがより好ましい。染色浴には、ホウ酸、ホウ砂等のホウ酸塩などのホウ素化合物を含んでいてもよい。
PVAフィルムに対して架橋工程を行うことで、比較的高い温度で湿式延伸する際にPVAが水へ溶出するのをより効果的に防止することができる。この観点から架橋工程は染色工程の後であって延伸工程の前に行うのが好ましい。架橋工程は、架橋浴として架橋剤を含む水溶液にPVAフィルムを浸漬することにより行うことができる。当該架橋剤としては、ホウ酸、ホウ砂等のホウ酸塩などのホウ素化合物の1種または2種以上を使用することができる。架橋浴における架橋剤の濃度は1〜15質量%の範囲内であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、また、7質量%以下であることがより好ましく、6質量%以下であることがさらに好ましい。架橋剤の濃度が1〜15質量%の範囲内にあることで十分な延伸性を維持することができる。架橋浴はヨウ化カリウム等の助剤を含有してもよい。架橋浴の温度は、20〜50℃の範囲内、特に25〜40℃の範囲内とすることが好ましい。当該温度を20〜50℃の範囲内にすることで効率良く架橋することができる。
PVAフィルムを延伸する際の延伸方法に特に制限はなく、湿式延伸法および乾式延伸法のうちのいずれで行ってもよい。湿式延伸法の場合は、ホウ酸、ホウ砂等のホウ酸塩などのホウ素化合物の1種または2種以上を含む水溶液中で行うこともできるし、上記した染色浴中や後述する固定処理浴中で行うこともできる。また乾式延伸法の場合は、室温のまま延伸を行ってもよいし、熱をかけながら延伸してもよいし、吸水後に延伸してもよい。これらの中でも、得られる偏光フィルムにおける幅方向の厚みの均一性の点から湿式延伸法が好ましく、ホウ酸水溶液中で延伸することがより好ましい。ホウ酸水溶液中におけるホウ酸の濃度は0.5〜6.0質量%の範囲内であることが好ましく、当該濃度は、1.0質量%以上であることがより好ましく、1.5質量%以上であることがさらに好ましく、また、5.0質量%以下であることがより好ましく、4.0質量%以下であることがさらに好ましい。ホウ酸の濃度が0.5〜6.0質量%の範囲内にあることで幅方向の厚みの均一性に優れる偏光フィルムが得られる。上記したホウ素化合物を含む水溶液はヨウ化カリウムを含有してもよく、その濃度は0.01〜10質量%の範囲内であることが好ましい。ヨウ化カリウムの濃度が0.01〜10質量%の範囲内にあることで偏光性能がより良好な偏光フィルムが得られる。
PVAフィルムを延伸する際の温度は、5〜90℃の範囲内であることが好ましく、当該温度は、10℃以上であることがより好ましく、また、80℃以下であることがより好ましく、70℃以下であることがさらに好ましい。当該温度が5〜90℃の範囲内であることで幅方向の厚みの均一性に優れる偏光フィルムが得られる。
PVAフィルムを延伸する際の延伸倍率は4倍以上であることが好ましく、5倍以上であることがより好ましく、6倍以上であることがさらに好ましい。PVAフィルムの延伸倍率を上記の範囲内にすることで、偏光性能により優れる偏光フィルムが得られる。PVAフィルムの延伸倍率の上限は特に制限されないが、8倍以下であることが好ましい。PVAフィルムの延伸は一度に行っても、複数回に分けて行ってもどちらでもよいが、複数回に分けて行う場合には各延伸の延伸倍率を掛け合わせた総延伸倍率が上記範囲内にあればよい。なお、本明細書における延伸倍率は延伸前のPVAフィルムの長さに基づくものであり、延伸をしていない状態が延伸倍率1倍に相当する。
PVAフィルムの延伸は、得られる偏光フィルムの性能の観点から一軸延伸が好ましい。長尺のPVAフィルムを延伸する場合における一軸延伸の方向に特に制限はなく、長尺方向への一軸延伸や横一軸延伸を採用することができるが、偏光性能により優れる偏光フィルムが得られることから長尺方向への一軸延伸が好ましい。長尺方向への一軸延伸は、互いに平行な複数のロールを備える延伸装置を使用して、各ロール間の周速を変えることにより行うことができる。一方、横一軸延伸はテンター型延伸機を用いて行うことができる。
固定処理工程は、主として、PVAフィルムへのヨウ素系色素の吸着を強固にするために行われる。固定処理工程は、延伸前、延伸中または延伸後のPVAフィルムを固定処理浴に浸漬することにより行うことができる。固定処理浴としては、ホウ酸、ホウ砂等のホウ酸塩などのホウ素化合物の1種または2種以上を含む水溶液を使用することができる。また、必要に応じて、固定処理浴中にヨウ素化合物や金属化合物を添加してもよい。固定処理浴として使用されるホウ素化合物を含む水溶液中におけるホウ素化合物の濃度は、一般に0.1〜15質量%の範囲内、特に1〜10質量%の範囲内であることが好ましい。当該濃度を0.1〜15質量%の範囲内にすることでヨウ素系色素の吸着をより強固にすることができる。固定処理浴の温度は、10〜60℃の範囲内、特に15〜40℃の範囲内であることが好ましい。当該温度を10〜60℃の範囲内にすることでヨウ素系色素の吸着をより強固にすることができる。
洗浄工程は、フィルム表面の不要な薬品類や異物を除去したり、最終的に得られる偏光フィルムの光学的性能を調節したりするために行われることが多い。洗浄工程は、PVAフィルムを洗浄浴に浸漬させたり、PVAフィルムに洗浄液を散布したりすることによって行うことができる。洗浄浴や洗浄液としては水を使用することができ、これらにヨウ化カリウムを含有させてもよい。
乾燥工程における乾燥の条件は特に制限されないが、30〜150℃の範囲内、特に50〜130℃の範囲内の温度で乾燥を行うのが好ましい。30〜150℃の範囲内の温度で乾燥することで寸法安定性に優れる偏光フィルムが得られやすい。
(使用形態)
偏光フィルムは、通常、その両面または片面に保護膜を貼り合わせて偏光板にして使用される。保護膜としては、光学的に透明でかつ機械的強度を有するものが挙げられ、具体的には例えば、三酢酸セルロース(TAC)フィルム、酢酸・酪酸セルロース(CAB)フィルム、アクリル系フィルム、ポリエステル系フィルムなどを使用することができる。また、貼り合わせのための接着剤としては、PVA系接着剤やウレタン系接着剤などを挙げることができるが、PVA系接着剤が好適である。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
なお、以下の実施例、比較例および参考例において採用された、偏光フィルムの吸光度、単体透過率、アルカリ金属の含有率および2×L/(M+N)の各測定ないし算出方法を以下に示す。
[偏光フィルムの吸光度および単体透過率]
以下の実施例、比較例または参考例で得られた偏光フィルムの幅方向(TD)の中央部から、偏光フィルムの長さ方向(MD)に2cmの長方形のサンプルを採取し、積分球付き分光光度計(日本分光株式会社製「V7100」)を用いて、このサンプルを当該分光光度計の偏光板に対してクロスニコル状態に設置し、波長480nmでの吸光度(A)および波長700nmでの吸光度(B)を測定した。次いで、同じサンプルおよび分光光度計を用いてJIS Z 8722(物体色の測定方法)に準拠し、C光源、2°視野の可視光領域の視感度補正を行い、当該サンプルについて、長さ方向に対して45°傾けた場合の光の透過率と−45°傾けた場合の光の透過率を測定して、それらの平均値(%)をその偏光フィルムの単体透過率とした。
[偏光フィルムに含まれるアルカリ金属の含有率]
ICP−MS測定により求めた。なお、いずれの実施例、比較例および参考例においても、測定されたアルカリ金属のうちの99モル%以上はカリウムであった。
[偏光フィルムの2×L/(M+N)]
以下の実施例、比較例または参考例で得られた偏光フィルムについて、その長さ方向(MD)の任意の位置で、幅方向(TD)における中央部からMD×TD=2mm×10mmの大きさの細片を切り出し、その細片の両面を厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム2枚で挟んでミクロトームに取り付けた。当該細片をポリエチレンテレフタレートフィルムの上から、MDと平行に20μm間隔でスライスし、サイズがMD×TD=2mm×20μmである試料を採取した。
当該試料について、堀場製作所製 顕微レーザラマン分光測定装置「LabRAM ARAMIS VIS」を用いて、ミクロトームによるスライスで生じた断面上の測定対象部分に対して、波長532nmのレーザー光を照射してラマン分光測定を行い、そのときに観測されたシグナルのうち、310cm−1でのシグナルの強度(Int310)と210cm−1でのシグナルの強度(Int210)とから、その部分における比率(Int310/Int210)を算出した。なお上記の測定対象部分は、偏光フィルムの厚み方向中央部、および、偏光フィルムの各面からフィルムの厚み方向に内部に厚みに対して10%進入した部分とし、偏光フィルムの厚み方向中央部より得られた比率(Int310/Int210)をLとし、また、偏光フィルムの各面からフィルムの厚み方向に内部に厚みに対して10%進入した部分より得られた2つの比率(Int310/Int210)について、M≦Nを満たすようにそれぞれの値をMまたはNとし、これらのL、MおよびNを用いて2×L/(M+N)を算出した。
[実施例1]
PVA(酢酸ビニルとエチレンとの共重合体のけん化物、平均重合度2,400、けん化度99.4モル%、エチレン単位の含有率2.5モル%)100質量部、可塑剤としてグリセリン10質量部、界面活性剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム0.1質量部および水からなる製膜原液を用いてキャスト製膜することにより得られた、厚み30μmのPVAフィルムに対して、膨潤工程、染色工程、架橋工程、延伸工程、固定処理工程および乾燥工程を行うことにより偏光フィルムを製造した。
すなわち、上記のPVAフィルムを、温度30℃の水中に1分間浸漬している間に元の長さの2倍まで長さ方向(MD)に一軸延伸(1段目延伸)した後、使用量としてヨウ素を0.03質量%およびヨウ化カリウムを0.7質量%の濃度で水に混合してなる温度20℃の染色浴に1分間浸漬している間に元の長さの3倍まで長さ方向(MD)に一軸延伸(2段目延伸)し、次いでホウ酸を2.5質量%の濃度で含有する温度32℃の架橋浴に2分間浸漬している間に元の長さの3.6倍まで長さ方向(MD)に一軸延伸(3段目延伸)し、さらにホウ酸を2.8質量%およびヨウ化カリウムを5質量%の濃度で含有する温度57℃のホウ酸/ヨウ化カリウム水溶液中に浸漬している間に元の長さの6倍まで長さ方向(MD)に一軸延伸(4段目延伸)し、その後、ホウ酸を1.5質量%およびヨウ化カリウムを5質量%の濃度で含有する温度22℃のヨウ化カリウム水溶液中に5秒間浸漬することによりフィルムを洗浄し、続いて60℃の乾燥機で240秒間乾燥することにより、厚み13μmの偏光フィルムを製造した。
得られた偏光フィルムを用いて、上記した方法により、吸光度、単体透過率、アルカリ金属の含有率および2×L/(M+N)を測定ないし算出した。結果を表1に示した。
[比較例1〜4および参考例1]
PVAフィルムの厚み、染色浴の温度、染色浴への浸漬時間および染色浴の組成を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして表1に示す厚みを有する偏光フィルムを製造した。
得られた偏光フィルムを用いて、上記した方法により、吸光度、単体透過率、アルカリ金属の含有率および2×L/(M+N)を測定ないし算出した。結果を表1に示した。
Figure 0006564702

Claims (4)

  1. ポリビニルアルコールを含むマトリックスにヨウ素系色素が吸着している、厚みが25μm以下の偏光フィルムであって、当該偏光フィルムの断面をラマン分光測定して得られる、フィルムの厚み方向中央部における310cm−1でのシグナル強度(Int310)と210cm−1でのシグナル強度(Int210)との比率(Int310/Int210)をLとし、フィルムの一方の面から厚み方向に内部に厚みに対して10%進入した部分における310cm−1でのシグナル強度(Int310)と210cm−1でのシグナル強度(Int210)との比率(Int310/Int210)をMとし、フィルムの他方の面から厚み方向に内部に厚みに対して10%進入した部分における310cm−1でのシグナル強度(Int310)と210cm−1でのシグナル強度(Int210)との比率(Int310/Int210)をNとした際に(但し、M≦Nである)、2×L/(M+N)が0.91以下である、偏光フィルムであって、クロスニコル状態における波長480nmでの吸光度(A)と波長700nmでの吸光度(B)との比率(A/B)が1.42以上2以下である、偏光フィルム。
  2. 偏光フィルムに含まれるアルカリ金属の含有率をXモル/kgとし、偏光フィルムの厚みをYμmとしたときに、式:Z=X×log(Y)で示されるZが0.19以下である、請求項に記載の偏光フィルム。
  3. 単体透過率が40〜45%である、請求項1または2に記載の偏光フィルム。
  4. 厚みが50μm以下のポリビニルアルコールフィルムを染色および延伸する工程を含む、偏光フィルムの製造方法であって、染色はヨウ素系色素を含む染色浴にポリビニルアルコールフィルムを浸漬することにより行われ、染色浴の温度が25℃以下であり、浸漬時間が1.5分以下であって、上記染色浴中で延伸が行われる、請求項1に記載の偏光フィルムの製造方法。
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