以下、図面を参照して、本発明をより具体的に説明する。
図1(a)は、本発明の第1実施形態である二重容器用キャップ1が、これに適合する二重容器本体2に装着された状態を示す。なお、本明細書、特許請求の範囲、要約書および図面では、後述する蓋体30が位置する側を上方(図1(a)における上側)とし、底部4fが位置する側を下方(図1(a)における下側)とする。二重容器用キャップ1は、キャップ本体10、及び蓋体30で構成されている。また、二重容器本体2は、内層体3、及び外層体4で構成されている。なお、図1(a)は、流通時の二重容器本体2の状態を示しており、口部上端2bには、流通時に内容物がキャップ本体10内に入り込まないようにシール材2dが取り付けられている。そして、利用者は、使用前にキャップ本体10を二重容器本体2から取り外してシール材2dを剥がし、再度キャップ本体10を二重容器本体2に固定してから使用を開始する。
まず、二重容器本体2について説明する。本実施形態では、二重容器本体2は、内層体3の合成樹脂素材と外層体4の合成樹脂素材とを積層して形成されるパリソンに対し、押出しブロー成形を行うことによって積層剥離容器を形作っている。そして、二重容器本体2を構成する内層体3の材料にはエチレン―ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)又はナイロンを用いている。また、外層体4の材料には、低密度ポリエチレン(LDPE)又は高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)を用いており、特にLDPEを用いた場合には高いスクイズ性を付与することができる。しかし、この態様に限定されず、例えば二軸延伸ブロー成形を行うことによって積層剥離容器を形成する場合には、内層体3の材料にはポリプロピレン(PP)を用い、外層体4の材料にはポリエチレンテレフタレート(PET)を用いてもよい。また、内層体3及び外層体4の材料には、相互に相溶性が低い他の樹脂を用いることができる。更に、二重容器本体2は、積層剥離容器ではなく、外層体と内層体とを個別に形成して組み付けるものであってもよい。
図1(a)に示すように、内層体3は、減容変形可能に形成されるものであって、本実施形態では、積層状態で形成された二重容器本体2に対し、外層体4から剥離させることで得られるものである。内層体3は、その内側に内容物を収容する収容空間Sを備えている。
外層体4は、円筒状の口部周壁4aに、復元自在な可撓性を有する胴部4e、及び胴部4eの下端を閉鎖する底部4fを連結したものである。図2に示すように、口部周壁4aの外周面には、後述するキャップ本体10の外周壁11に設けた雌ねじ部12にねじ係合させるための雄ねじ部4bを設けている。このように、二重容器本体2は、雄ねじ部4bによりキャップ本体10を強固に固定することができる。また、雄ねじ部4bの下方には、ネックリング4gが設けられている。
なお、図1(a)において、外層体4の胴部4eを押圧して内層体3を減容変形させた後に外層体4が自らの剛性により元の形状に復元すると、外層体4と内層体3との間の空間が負圧となる。このとき、図1(b)に示す、ブロー成形によって形成された底部4fのピンチオフ部に形成されるスリット4sから、外層体4と内層体3との間の空間に空気が導入される。
次に、二重容器用キャップ1を構成するキャップ本体10について図2を用いて説明する。キャップ本体10は、口部周壁4aを取り囲む外周壁11を備えていて、外周壁11の内周面には、口部周壁4aの雄ねじ部4bにねじ係合する雌ねじ部12が形成されている。また、外周壁11の上部には、頂壁19が一体に連結されている。そして、雄ねじ部4bを雌ねじ部12にねじ係合させ、二重容器本体2の口部上端2bをキャップ本体10の頂壁19の下面に当接させることによって、キャップ本体10を二重容器本体2の口部2aにしっかりと固定することができる。頂壁19の中央部には注出筒14cが配置され、注出筒14cの上端面14eには内容物を注出する注出孔14a,14bが設けられている。また、頂壁19の外周端には係合突部19dが設けられ、蓋体30を閉じる時に蓋体30の蓋体周壁33の内周面に設けられた蓋体突部37がアンダーカット係合して蓋体30をキャップ本体10に対して固定する。また、頂壁19の外周端から外周壁11の上端に向かって鉛直方向に延びる頂壁段部19eが形成されている。なお、外周壁11の上端には、外周方向に向けてヒンジ38aが設けられており、キャップ本体10に対して後述する蓋体30を開閉可能に結合している。
本実施形態において、注出孔14aは、注出筒14cの上端に形成された上端面14eの中心に設けられると共に、注出孔14aよりも直径がやや小さい複数の注出孔14bが注出孔14aの周囲に等間隔で設けられている。なお、注出孔14a,14bの直径の大小関係及び配列は上記態様には限定されず、例えば粉状又は粒状の内容物の大きさ等に合わせて適宜選択することができる。また、注出孔14bは必ずしも本実施形態に必須のものではなく、注出孔14aのみが1箇所に設けられるように構成されていてもよい。
蓋体30は、図2に示すように、キャップ本体10の外周壁11の上端においてヒンジ38aを介して連結されており、ヒンジ38aを折り曲げることによって注出孔14a,14bを覆い隠すことができる。蓋体30の周壁(蓋体周壁33)には蓋体段部30aが設けられており、蓋体30を閉めたときに頂壁段部19eが当接する。このとき係合突部19dに蓋体突部37がアンダーカット係合して蓋体30はキャップ本体10に固定される。蓋体30の上壁31中央部に設けられた中央筒36には、内層体3内の空気を外部に排出可能な一方向弁を構成する弁体32dを備えた栓体32が嵌合されている。栓体32は、中央に上下方向に延びる摺動筒32bを有しており、摺動筒32bが中央筒36の内周面を摺動することにより上下に移動可能に構成されている。
栓体32は、摺動筒32bの外側に更に円筒側面形状を有する外周壁32cを有し、この外周壁32cの下端から外側に向けて前述の弁体32dが斜め上方に向かって延びている。上壁31における中央筒36の外側には、弁収納筒35が設けられており、前述の弁体32dの先端はこの弁収納筒35の内周面に当接する。なお、中央筒36及び弁収納筒35の下端は弁部底壁39により連結されており、蓋体30が閉じている状態においてこの弁部底壁39の下面には、注出筒14cの上端面14eに当接する通気用突起39aが円周上に複数設けられている。この通気用突起39aにより形成される弁部底壁39と注出筒14cの上端面14eとの間の空間は、後述するように注出孔14bから弁体32dへと向かう空気の流路を形成する。
蓋体30の上壁31の下面には、鉛直方向に垂下する円筒側面形状を有する係合筒34が設けられている。蓋体30を閉じるとき、この係合筒34の下端近傍の内周面に設けられた係合突部34aが注出筒14cの上端近傍の外周面に設けられた係合突部14dにアンダーカット係合することにより、蓋体30はキャップ本体10に対して固定される。
本実施形態において、蓋体30における上壁31の上部には、栓体32が蓋体30から抜け出さないように保持するための栓体蓋40が設けられている。栓体蓋40の中央に設けられている栓体開口43は、栓体32の外周壁32cの直径よりもやや大きい直径を有しており、栓体32の外周壁32cには当接しないで弁体32dを上方から覆っている。これにより、栓体32を上下方向に移動可能としつつ、蓋体30から抜け出さないように保持することができる。
なお、栓体蓋40は、ヒンジ38bを介して蓋体周壁33の上端に連結されており、栓体蓋突部40b及び中央壁突部41aが、それぞれ係合突部31d及び収納筒突部35aにアンダーカット係合することにより、栓体蓋40は上壁31の外周部の上壁段部31eにしっかりと固定される。なお、この栓体蓋40の上壁31への固定は、洗浄時以外に取り外すことは想定されていないため、利用者が誤って開けることがないようにアンダーカット係合の強度を高めておくことが望ましい。
なお、本実施形態において、蓋体30は、ヒンジ38aを介してキャップ本体10と一体成形されているが、この態様には限定されない。例えば、蓋体30がキャップ本体10とは別体のものとして構成され、両者が更なる連結手段によって連結されるように構成されていてもよい。また、蓋体30は、ねじやアンダーカットでキャップ本体10に装着するように構成してもよく、これらの態様は全て蓋体30がキャップ本体10に連結されている状態を指すものとする。
図2は、内層体3内の空気が注出孔14a,14bから排出されることがない保管位置の状態を示している。具体的には、栓体32の摺動筒32bが中央筒36の内周面及び注出孔14aに隙間無く嵌合し、摺動筒32bの下端近傍に設けられている係合突部32fが注出孔14aにアンダー係合して固定されるため、栓体32は図2の位置を維持することが出来、内層体3内の空気は摺動筒32bの側面を上方に通り抜けることがない。これによって内層体3内の空気が外部に漏れ出すことが無く、保管に適した密閉状態を維持することができる。
図3は、折り曲げられたヒンジ38aを戻して蓋体30を開き、注出孔14aに嵌合している栓体32を抜き去った状態を示している。上記のように構成される二重容器用キャップ1から内容物を吐出するにあたっては、二重容器本体2を図3の起立姿勢から図の左回りに回転させて傾倒姿勢に姿勢変更することによって、粉状又は粒状の内容物は、自重で落下して注出孔14a,14bから吐出される。このとき、外層体4の胴部4eを押圧し、外層体4と内層体3との間の空気を介して内層体3を減容変形させることにより内層体3内部が正圧となり、内容物を更に勢いよく注出孔14a,14bから吐出することができる。なお、胴部4eを押圧して内層体3を減容変形させた場合には、外層体4は自らの剛性により元の形状に復元するため、外層体4と内層体3との間に負圧が発生する。この負圧により外部の空気が底部4fのピンチオフ部のスリット4sから外層体4と内層体3の間の空間に導入される。
ところで、内容物が注出孔14a,14bから吐出する場合には、吐出された内容物に代わって内層体3内には注出孔14a,14bから空気が導入される。このとき、外部が多湿環境である場合には内層体3内に湿った空気が入り込んでしまうことになる。
内容物の吐出が終了すると、利用者は二重容器本体2を傾倒姿勢から図4の起立姿勢へと戻す。そして、蓋体30を閉めることにより、栓体32の摺動筒32bの下端が注出孔14aの内周面に当接して持ち上げられ、栓体32は図4に実線で示す位置へと移動する。なお、図4において、保管位置における栓体32の位置を二点鎖線により示している。
次に利用者は、外層体4の胴部4eを押圧して内層体3を減容変形させる。これにより、内層体3の内部は正圧となり、内層体3内の空気は、図5に破線矢印で示すように、注出孔14bから上方に抜けた後、通気用突起39aの周囲を通過し、摺動筒32bの外周面と中央筒36の内周面との間の間隙を上方に向かう。この間隙の途中には、摺動筒32b及び中央筒36の双方に通気リブ32e、36aが円周方向に交互に設けられており、内層体3からの空気はこれらの通気リブ32e、36aの間を通って上方に抜ける。なお、通気リブ32e、36aは必ずしも両方設ける必要はなく、いずれか一方のみが設けられていてもよい。通気リブ32e、36aを通過した空気は、更に中央筒36の外周側を通って弁体32dに至る。一方向弁を構成する弁体32dは、内層体3内部の正圧によって上方に変位するため、弁体32dと弁収納筒35の内周面との間に間隙を生じ、空気は弁体32dの外周側を通って栓体開口43から外部に排出される。なお、図5において、保管位置における栓体32の位置を二点鎖線によって示している。
そして胴部4eの押圧を止めると、弁体32dは再び弁収納筒35の内周面に当接する。このように栓体32は一方向弁として機能し、内層体3内の空気を排出しつつ、外部から空気が内層体3内に流入するのを防止する。これにより、内層体3内の空気が適切に外部に排出されるため、内容物の粉体等が吸湿して固化することがない。また、このとき外層体4の剛性により押圧された胴部4eは元の形状に戻るため、排出された空気の体積の分だけ底部4fに形成されたスリット4sから外層体4と内層体3の間の空間に空気が取り込まれる。
利用者は、内層体3内の空気の排出を終了すると、栓体32の天壁32aを下方に向けて押下する。これによって、栓体32は、図2に示す位置まで戻るため、内層体3内は、保管に適した密閉状態を維持することが可能となる。
以上述べたように、本実施形態によれば、栓体32を蓋体30の中央筒36に対して上下方向に摺動可能に構成し、蓋体30を開いた状態から閉じたときに栓体32が注出孔14aに嵌合しないで当接し、外層体4の押圧による正圧によって内層体3内の空気を一方向弁を経由して外部に排出可能である一方、栓体32を押圧して注出孔14aに嵌合させることにより、内層体3内の空気が外部に排出不能となるように構成した。これにより蓋体30を閉じると内層体3内の空気が容易に排出可能となる一方、外部からの空気の流入を防止することができる。従って、内容物の粉体等が吸湿して固化することがない。また、栓体32を押圧することにより空気の排出機能を停止させて保管に適した密閉状態にすることができる。
また、本実施形態によれば、内層体3の内部の空気を排出して内層体3の体積を内容物の残量に合わせて小さく維持することができる。これによって、例えば内容物が錠剤である場合に錠剤が内層体3の内部で大きく動くことがないので、当該錠剤の欠け、割れ等を防止することができる。
また、本実施形態によれば、栓体32と一方向弁の弁体32dを一体化して設けるように構成したので、部品点数を削減しつつ、上記利点を享受することができる。
なお、本実施形態では栓体32の摺動筒32bが注出孔14aに嵌合可能に構成したが、この態様には限定されない。栓体32がキャップ本体10に設けた他の嵌合孔に嵌合可能となるように構成してもよい。
図6は、本発明の第2実施形態である二重容器用キャップ5が、これに適合する二重容器本体2に装着された状態を示す。
外層体4は、円筒状の口部周壁4aに、復元自在な可撓性を有する胴部4e、及び胴部4eの下端を閉鎖する底部4fを連結したものである。口部周壁4aの外周面には雄ねじ部4bを設けている。また、口部周壁4aには、内層体3との相互間に空気を取り込むための貫通孔4cを設けていて、更に、貫通孔4cを設けた外周面には、上下方向に雄ねじ部4bを切り欠く溝部4dを設けている。また、二重容器本体2は、雄ねじ部4bによりキャップ本体50を強固に固定することができる。
なお、図6において、外層体4の胴部4eを押圧して内層体3を減容変形させた後に外層体4が自らの剛性により元の形状に復元すると、外層体4と内層体3との間の空間が負圧となる。このとき、口部周壁4aに設けた貫通孔4cから、外層体4と内層体3との間の空間に空気が導入される。
次に、二重容器用キャップ5を構成するキャップ本体50について図7を用いて説明する。ここでは、キャップ本体50について、第1実施形態のキャップ本体10との構成上の差異点に絞って説明する。キャップ本体50は、頂壁59の中央に注出筒54が設けられており、内層体3の内部の内容物を外部に吐出するための注出孔54aを構成している。また、注出筒54の内周面には、後述する栓体62をアンダーカット係合するための内周側突部54bが設けられている。また、頂壁59の外周端の頂壁段部59eには、外部の空気を内層体3内に導入するための外気導入孔58が設けられている。更に、口部上端2bと外周壁51との間には通気ギャップG1が設けられており、外気導入孔58から導入された空気は、通気ギャップG1及び溝部4dを経由して貫通孔4cから外層体4と内層体3との間の空間に導かれる。なお、通気ギャップG1を通過した空気は、雄ねじ部4bと雌ねじ部52との隙間を経由しても貫通孔4cに導かれるので、溝部4dは必ずしも必須の構成ではない。頂壁59の下面には、環状突部59fが設けられており、キャップ本体50を二重容器本体2にねじ係合させたときに口部上端2bに当接して二重容器本体2の気密性を確保する。
次に蓋体60について図7を用いて説明する。蓋体60についても第1実施形態の蓋体30との構成上の差異点に絞って説明する。
本実施形態の蓋体60は、図7に示すように、上壁61の中央に上壁段部61aが設けられ、上壁段部61aの下端から延びる底壁65には栓体開口65bが設けられている。この栓体開口65bには栓体62が挿入されており、栓体62の摺動筒62aの外周面が栓体開口65b内において図7の上下方向に摺動可能に構成されている。摺動筒62aの下端近傍には、係合突部62dが設けられており、二重容器用キャップ5の保管位置において、図7に示すように注出筒54の内周側突部54bにアンダーカット係合する。
上壁段部61aから下方に垂下する係合筒64の外周面には、内層体3内の空気を外部に排出するための一方向弁67が取り付けられている。また係合筒64の内周面には、注出孔54aから排出された空気を一方向弁67に導くための通気溝64aが円周方向に複数設けられている。一方向弁67は、係合筒64の外周面に取り付けられる弁部周壁67bと、弁部周壁67bの下端から外周方向且つ下方に向かって延びる弁体67aとを有する。図7に示す保管位置において、弁体67aの先端は頂壁59の上面に当接する。蓋体周壁63の内周面の下端近傍には、蓋体段部60aが設けられており、蓋体周壁63及び蓋体段部60aの内周面には、一方向弁67を通過した空気を外部に排出するための蓋体空気溝66が設けられている。
なお、図7に示す保管位置の状態においては、栓体62の摺動筒62aが注出孔54aの内周面に隙間無く嵌合し、注出孔54aは栓体62により完全に閉塞されている。
図8は、上記のように構成される二重容器用キャップ5から内容物を吐出するために、折り曲げられたヒンジ68を戻して蓋体60を開いて注出孔54aに嵌合している栓体62を抜き去り、二重容器本体2を図7の起立姿勢から図の左回りに回転させて傾倒姿勢に姿勢変更させた状態を示している。これによって、粉状又は粒状の内容物は、自重で落下して注出孔54aから吐出される。このとき、外層体4の胴部4eを押圧し、外層体4と内層体3との間の空気を介して内層体3を減容変形させることにより内層体3内部が正圧となり、内容物を更に勢いよく注出孔54aから吐出することができる。なお、胴部4eを押圧して内層体3を減容変形させた場合には、外層体4は自らの剛性により元の形状に復元するため、外層体4と内層体3との間に負圧が発生する。この負圧により外部の空気が貫通孔4cから外層体4と内層体3の間の空間に導入される。
ところで、内容物が注出孔54aから吐出する場合には、吐出された内容物に代わって内層体3内には注出孔54aから空気が導入される。このとき、外部が多湿環境である場合には内層体3内に湿った空気が入り込んでしまうことになる。
内容物の吐出が終了すると、利用者は二重容器本体2を傾倒姿勢から図9の起立姿勢へと戻す。そして、蓋体60を閉めることにより、栓体62の摺動筒62aの下端が注出孔54aの内周面に当接して持ち上げられ、栓体62は上方へと移動する。これにより、摺動筒62aの外周面に設けられた係合凹部62eに、栓体開口65bの内周面に設けられた係合突部65aが係合し、摺動筒62aの下端が注出孔54aに当接した状態が維持される。なお、注出孔54aの内周面には、通気路として内周側溝部54dが設けられている。
次に利用者は、外層体4の胴部4eを押圧して内層体3を減容変形させる。これにより、内層体3の内部は正圧となり、内層体3内の空気は、図9に破線矢印で示すように、内周側溝部54dから排出され、更に通気溝64aを経由して一方向弁67に至る。内層体3の内部の正圧によって弁体67aの先端は外周方向に変位するため、それによって生じる弁体67aと頂壁59の上面との隙間を空気が通過し、更に蓋体空気溝66を経由して外部に排出される。
そして胴部4eの押圧を止めると、弁体67aは再び頂壁59の上面に当接する。このように一方向弁67により内層体3内の空気を排出しつつ、外部から空気が内層体3内に流入するのを防止することができる。これにより、内層体3内の空気が適切に外部に排出されるため、内容物の粉体等が吸湿して固化することがない。
利用者は、内層体3内の空気の排出を終了すると、栓体62の天壁62bを下方に向けて押下する。これによって、栓体62は、図7に示す位置まで戻るため、内層体3内は、保管に適した密閉状態を維持することが可能となる。
以上述べたように、本実施形態によれば、蓋体60を開いた状態から閉じたときに、栓体62が注出孔54aに当接して上方に変位することにより係合突部65aと係合し、摺動筒62aの下端が注出孔54aに当接した状態が維持されるように構成した。これにより、内層体3の内部の空気は、注出孔54aの内周面に設けた内周側溝部54dから排出することが可能となる。また、内周側溝部54dの後方に一方向弁67を配置することによって内層体3内の空気が外部に排出可能となる一方、外部からの空気の流入を防止することができる。従って、内容物の粉体等が吸湿して固化することがない。また、栓体62を押圧することにより空気の排出機能を停止させて保管に適した気密状態にすることができる。
なお、本実施形態において通気手段としての蓋体空気溝66を蓋体60側に設けるように構成したが、この態様には限定されない。通気手段をキャップ本体50側に設けるように構成してもよい。
図10は、本発明の第3実施形態である二重容器用キャップ7が、これに適合する二重容器本体2に装着された状態を示す。
外層体4は、円筒状の口部周壁4aに、復元自在な可撓性を有する胴部4e、及び胴部4eの下端を閉鎖する底部4fを連結したものである。図10に示すように、口部周壁4aの外周面には、後述するキャップ本体70の外周壁71に設けた雌ねじ部72にねじ係合させるための雄ねじ部4bを設けている。このように、二重容器本体2は、雄ねじ部4bによりキャップ本体70を強固に固定することができる。また、雄ねじ部4bの下方には、ネックリング4gが設けられている。
なお、図10において、外層体4の胴部4eを押圧して内層体3を減容変形させた後に外層体4が自らの剛性により元の形状に復元すると、外層体4と内層体3との間の空間が負圧となる。このとき、ブロー成形によって形成された底部4fのピンチオフ部に形成されるスリットから、外層体4と内層体3との間の空間に空気が導入される。
次に、二重容器用キャップ7を構成するキャップ本体70について図11を用いて説明する。ここでは、キャップ本体70について、第1実施形態のキャップ本体10との構成上の差異点に絞って説明する。キャップ本体70は、頂壁79の中央に設けられた注出筒74によって、内層体3の内部の内容物を外部に吐出するための注出孔74aを形成している。
次に蓋体80について図11を用いて説明する。蓋体80についても第1実施形態の蓋体30との構成上の差異点に絞って説明する。
本実施形態の蓋体80は、図11に示すように、上壁81の中央に上壁段部81aが設けられ、上壁段部81aの下端から延びる底壁85には栓体開口85bが設けられている。この栓体開口85bには栓体82が挿入されており、栓体82の摺動筒82aの外周面が栓体開口85b内において図11の上下方向に移動可能に構成されている。摺動筒82aの外周面には、嵌合突部82dが設けられており、二重容器用キャップ7の保管位置においては、図11に示すように半径方向に弾性変形して注出筒74の内周面に嵌合する。なお、摺動筒82aの外周面のうち嵌合突部82d以外の部分は、栓体開口85b及び注出筒74の内周面と接しておらず、内層体3内の空気が通過可能な間隙を有している。また、摺動筒82aの上部には栓体段部82eが設けられており、保管位置の状態において蓋体80に設けられている上壁段部81aに当接している。
栓体82の天壁82bの周囲には、一方向弁を構成する弁体82cが設けられている。弁体82cは、注出筒74、及び摺動筒82aと同心状に形成されており、栓体82の一部として形成されている。なお、弁体82cは、必ずしも注出筒74、及び摺動筒82aと同心状に形成される必要はなく、弁体82cを一方向弁として機能させることができる任意の構成を採用することができる。
なお、図11に示す保管位置の状態においては、摺動筒82aの外周面に設けられた嵌合突部82dが注出孔74aの内周面に嵌合し、栓体段部82eが上壁段部81aに当接するため、注出孔74aは栓体82により完全に閉塞されている。
上記のように構成される二重容器用キャップ7から内容物を吐出するにあたっては、図11の状態から蓋体80を開いて注出筒74に嵌合している栓体82を抜き去り、二重容器本体2を起立姿勢から図11の左回りに回転させて傾倒姿勢に姿勢変更することによって、粉状又は粒状の内容物は、自重で落下して注出孔74aから吐出される。このとき、外層体4の胴部4eを押圧し、外層体4と内層体3との間の空気を介して内層体3を減容変形させることにより内層体3内部が正圧となり、内容物を更に勢いよく注出孔74aから吐出することができる。なお、胴部4eを押圧して内層体3を減容変形させた場合には、外層体4は自らの剛性により元の形状に復元するため、外層体4と内層体3との間に負圧が発生する。この負圧により外部の空気が底部4fのピンチオフ部のスリットから外層体4と内層体3の間の空間に導入される。
ところで、内容物が注出孔74aから吐出する場合には、吐出された内容物に代わって内層体3内には注出孔74aから空気が導入される。このとき、外部が多湿環境である場合には内層体3内に湿った空気が入り込んでしまうことになる。
内容物の吐出が終了すると、利用者は二重容器本体2を傾倒姿勢から図12の起立姿勢へと戻す。そして、蓋体80を閉めることにより、栓体82の摺動筒82aの嵌合突部82dが注出孔74aの上端に当接し、栓体82は持ち上げられて上方へと移動する。これにより、嵌合突部82dは、注出筒74の上端と底壁85の下面との間に入り込む。また、一方向弁を形成する弁体82cは予め外周方向に垂れ下がる形状を有しているため、栓体82が上方に持ち上げられた図12の状態においても、先端が上壁81に当接している。
次に利用者は、外層体4の胴部4eを押圧して内層体3を減容変形させる。これにより、内層体3の内部は正圧となり、注出筒74の上面に当接していた嵌合突部82dが僅かに上方に持ち上げられて内層体3内の空気が通過可能な間隙が形成される。そして、内層体3内の空気は、図12に破線矢印で示すように、摺動筒82aと、注出筒74及び栓体開口85bとの間隙を通って一方向弁の弁体82cに到達する。そして、上壁81の上面に当接していた弁体82cは、内層体3内の正圧によって僅かに上方に持ち上げられるため、空気は弁体82cと上壁81との間隙を経由して外部に排出される。
そして胴部4eの押圧を止めると、弁体82cは再び上壁81の上面に当接する。このように一方向弁により内層体3内の空気を排出しつつ、外部から空気が内層体3内に流入するのを防止することができる。これにより、内層体3内の空気が適切に外部に排出されるため、内容物の粉体等が吸湿して固化することがない。
利用者は、内層体3内の空気の排出を終了すると、栓体82の天壁82bを下方に向けて押下する。これによって、栓体82は、図11に示す位置まで戻るため、内層体3内は、保管に適した密閉状態を維持することが可能となる。
以上述べたように、本実施形態によれば、内層体3内部の空気を外部に排出し、外部からの空気の流入を防止するための一方向弁の弁体82cが蓋体80の上壁81の上面に当接するように構成した。これにより、僅かなスペースで一方向弁を形成して、内層体3内の空気が容易に排出可能となる一方、外部からの空気の流入を防止することができる。従って、内容物の粉体等が吸湿して固化することがない。また、栓体82を押圧することにより空気の排出機能を停止させて保管に適した気密状態にすることができる。
なお、上述したところは、本発明の実施形態を示したにすぎず、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。そして、そのような構成は本発明の範囲内であると理解すべきである。