JP6536204B2 - 空気入りタイヤの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、空気入りタイヤの製造方法に関する。
図9には、タイヤ2のビード4の部分が示されている。この部分は、リムに嵌め合わされる。この部分は、ビード4以外に、カーカス6及びクリンチ8を備えている。
カーカス6はカーカスプライ10を備えている。カーカスプライ10は、ビード4の周りにて、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。クリンチ8は、ビード4の軸方向外側に位置している。クリンチ8は、タイヤ2のヒール12の近くから半径方向略外向きに延在している。この図9には示されていないが、このクリンチ8の半径方向外側にはサイドウォールが設けられている。このクリンチ8及びサイドウォールはタイヤ2の側面を形成する。
タイヤ2は、多数の部品からなる。前述のビード4、カーカス6及びクリンチ8は、これらの部品の一部である。タイヤ2の製造では、これらの部品を組み合わせてローカバー(未架橋タイヤ2とも称される。)が得られる。このローカバーを得る工程は、成形工程と称される。
図10には、ローカバーを得るために準備される部品の一つが示されている。この部品は、サイドシート14と称される。サイドシート14は、押し出し機(図示されず)において、サイドウォール16のためのゴム組成物及びクリンチ8のためのゴム組成物を押し出しすることで得られる。成形工程においてこのサイドシート14をカーカス6の外側に貼り付けて、ローカバーの側面部分が構成される。
図11には、サイドシート14が貼り付けられたローカバー18の、このサイドシート14の端20の部分が示されている。クリンチ8は、タイヤ2のビード4の部分に位置している。このサイドシート14の端20のうち、このクリンチ8に対応する部分の端20aは、このビード4の部分に位置している。このサイドシート14の端20のうち、サイドウォール16に対応する部分の端20bは通常、トレッド(図示されず)で覆われる。
成形工程で準備されたローカバー18は、モールド(図示されず)に投入される。ローカバー18は、モールド内で加圧及び加熱される。これにより、タイヤ2が得られる。ローカバー18を加圧及び加熱する工程は、加硫工程と称される。
モールドは、キャビティ面を備えている。加硫工程では、ローカバー18はキャビティ面に押し当てられる。これにより、トレッドパターンのような凹凸模様がタイヤ2の外面に形成される。
前述したように、成形工程では、多数の部品が組み合わされる。この組み合わせでは、部品と部品との間にエアが巻き込まれやすい。加硫工程では、開かれたモールドにローカバー18が投入される。ローカバー18を投入後、モールドは閉じられる。これにより、ローカバー18はキャビティ面に囲まれる。モールドに投入前のローカバー18の形状は、キャビティ面の形状とは一致していない。このため、モールドが閉じられた直後においては、ローカバー18とキャビティ面との間には隙間が形成される。言い換えれば、モールドが閉じられた直後においては、ローカバー18とキャビティ面との間にはエアが残存してしまう。
エアは、ゴム組成物の流動に影響する。エアがスムーズに排出されなければ、ゴム組成物の流動が阻害される。この場合、タイヤ2の外観品質が低下する恐れがある。タイヤ2の製造において、エアの排出は重要である。良好な外観品質の観点から、キャビティ内に残存するエアの排出について、様々な検討がなされている。この検討の例が、下記特許文献1及び2に開示されている。
国際公開第2013/035555号公報 特開2014−162041公報
図11に示されているように、サイドシート14を貼り付けてクリンチ8及びサイドウォール16を構成したローカバー18には、このサイドシート14の端20aに起因した段差が形成される。言い換えれば、このローカバー18のビード4の部分には段差が形成されている。
加硫工程では、ローカバー18はモールドのキャビティ面に押し当てられる。ローカバー18とキャビティ面との間には、前述の段差に起因して隙間が形成される。
モールドに投入直後のローカバー18は、低い温度を有する。投入直後においては、ゴム組成物の流動性が低いため、前述の隙間は潰れにくい。この隙間の周りはキャビティ面と密着するので、隙間を構成するエアは排出されにくい。従来の製造方法では、段差の部分にはエアが残存しやすいという問題がある。エアの残存は、タイヤ2の外観品質に影響する。
エアの排出の観点から、ローカバー18において、サイドシート14の端20aの位置を調整することがある。しかし、この調整は、ビード4の部分の仕上がりに変化を招来する。この部分の仕上がりによっては、タイヤ2の性能が影響を受ける恐れがある。
エアの排出の観点から、ローカバー18において、サイドシート14の端20aの部分の厚さを調整することがある。しかし、この調整は、ビード4の部分の仕上がりに変化を招来する。この部分の仕上がりによっては、タイヤ2の性能が影響を受ける恐れがある。しかもこの調整は、タイヤ2のコストにも影響する。この調整の仕方によっては、タイヤ2のコストが上昇する恐れもある。
エアの排出の観点から、ビードリングにベントピースを設けることがある。しかしこのベントピースの採用は、スピューの形成を招来する。スピューの形状又は大きさによっては、このスピューが外観品質に影響することがある。前述したように、タイヤ2において、ビード4の部分はリムに嵌め合わされる。タイヤ2は、内部にエアを充填して、内圧を調整して使用される。ビード4の部分にスピューがあると、このスピューはビード4の部分とリムとの密着に影響する。不十分な密着では、内部に充填したエアが漏れ出てしまう。ベントピースの採用は、タイヤ2にエア漏れを招来する恐れがある。
本発明の目的は、良好な外観品質を有する空気入りタイヤを製造するための方法の提供にある。
本発明は、ヒールの近くから半径方向略外向きに延在し、第一ゴム組成物を架橋することにより形成されるクリンチと、上記クリンチの半径方向外側に位置し、第二ゴム組成物を架橋することにより形成されるサイドウォールとを備える空気入りタイヤを、このタイヤの外面を形作るキャビティ面を有するモールドを用いて製造するための方法である。この製造方法は、
(1)上記第一ゴム組成物を押し出して第一シートを得て、上記第二ゴム組成物を押し出して第二シートを得て、上記第一シートが上記第二シートと一体となったサイドシートを形成する工程、
(2)上記サイドシートのうち、上記第一シートで構成される部分に、溝形成装置を用いて溝を形成する工程、
(3)上記溝が形成された上記サイドシートを用いて、このサイドシートを含むローカバーを形成する工程
及び
(4)上記ローカバーを上記モールドに投入し、このローカバーを加圧及び加熱する工程を含む。上記溝形成装置はローラーを備えており、このローラーは上記溝の形成のための突条を有している。上記溝の形成工程において、上記ローラーを上記第一シートに押し付けつつ回転させることにより、この第一シートに上記溝は刻まれる。上記サイドシートにおいて、上記第一シート及び上記第二シートはこのサイドシートの幅方向に並んでおり、上記溝は上記第一シートにおいて上記サイドシートの略幅方向に延在している。
好ましくは、この空気入りタイヤの製造方法では、上記溝形成装置はエアシリンダーをさらに備えている。上記エアシリンダーは、その内部に気体を導入することにより、上記ローラーを上記第一シートを押し付けるように構成されている。上記気体の圧力は、0.3MPa以上0.6MPa以下である。
好ましくは、この空気入りタイヤの製造方法では、上記突条の高さは5mm以上10mm以下である。
好ましくは、この空気入りタイヤの製造方法では、上記突条の硬さは60以上70以下である。
好ましくは、この空気入りタイヤの製造方法では、上記ローラーは上記突条を多数備えている。これらの突条は、このローラーの回転方向に間隔をあけて配置されている。これらの突条のピッチは、2mm以上5mm以下である。
本発明に係る空気入りタイヤの製造方法では、サイドシートが準備される。このサイドシートでは、クリンチのための第一ゴム組成物からなる第一シートの部分に溝が形成される。この溝は、第一シートにおいて、サイドシートの略幅方向に延在している。このサイドシートを組み合わせて得たローカバーにおいては、溝は、このサイドシートの端から略半径方向外向きに延在している。この溝は、ローカバーとモールドのキャビティ面との間に残存するエアの排出を促す。この製造方法では、加硫工程において、エアによるゴム組成物の流動阻害が防止される。ゴム組成物がスムーズに流動するので、この製造方法では、良好な外観品質を有するタイヤが得られる。
図1は、本発明の一実施形態に係る製造方法で製造された空気入りタイヤの一部が示された断面図である。 図2は、図1のタイヤの製造の様子が示された模式図である。 図3は、図1のタイヤの製造のための設備の一部が示された正面図である。 図4は、図3の設備の一部が示された側面図である。 図5は、図3の設備を用いてタイヤを製造している様子が示された模式図である。 図6は、図5とは別の位置から見た製造の様子が示された模式図である。 図7は、ローカバーがビードリングと接触している様子が示された断面図である。 図8は、図3の設備の一部が示された拡大図である。 図9は、従来の方法で製造された空気入りタイヤの一部が示された斜視図である。 図10は、サイドウォール及びクリンチの形成のためのサイドシートの一部が示された斜視図である。 図11は、図9のタイヤの形成のためのローカバーの一部が示された断面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1には、空気入りタイヤ22が示されている。図1において、上下方向がタイヤ22の半径方向であり、左右方向がタイヤ22の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ22の周方向である。図1において、一点鎖線CLはタイヤ22の赤道面を表わす。このタイヤ22の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面に対して対称である。
このタイヤ22は、トレッド24、一対のサイドウォール26、一対のウィング28、一対のクリンチ30、一対のビード32、カーカス34、ベルト36、バンド38、インナーライナー40及び一対のチェーファー42を備えている。このタイヤ22は、チューブレスタイプである。このタイヤ22は、乗用車に装着される。
トレッド24は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド24は、路面と接地するトレッド面44を形成する。トレッド24には、溝46が刻まれている。この溝46により、トレッドパターンが形成されている。トレッド24は、ベース層48とキャップ層50とを有している。キャップ層50は、ベース層48の半径方向外側に位置している。キャップ層50は、ベース層48に積層されている。ベース層48は、接着性に優れた架橋ゴムからなる。キャップ層50は、耐摩耗性、耐熱性及びグリップ性に優れた架橋ゴムからなる。
それぞれのサイドウォール26は、トレッド24の端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール26の半径方向外側部分は、トレッド24と接合されている。このサイドウォール26は、クリンチ30の半径方向外側に位置している。このサイドウォール26の半径方向内側部分は、クリンチ30と接合されている。このサイドウォール26は、タイヤ22の側面を形成する。このサイドウォール26は、耐カット性及び耐候性に優れた架橋ゴムからなる。
サイドウォール26の硬さは通常、40以上75以下である。これにより、サイドウォール26によるタイヤ22の性能への影響が適切に調整されている。
本願において、サイドウォール26の硬さはJIS−A硬さである。この硬さは、「JIS−K6253」の規定に準拠して、23℃の環境下で、タイプAのデュロメータによって測定される。より詳細には、硬さは、図1に示された断面にタイプAのデュロメータが押し付けられることで測定される。
それぞれのウィング28は、トレッド24とサイドウォール26との間に位置している。ウィング28は、トレッド24及びサイドウォール26のそれぞれと接合している。ウィング28は、接着性に優れた架橋ゴムからなる。
それぞれのクリンチ30は、サイドウォール26の半径方向略内側に位置している。クリンチ30は、軸方向において、ビード32及びカーカス34よりも外側に位置している。このクリンチ30は、タイヤ22の側面を形成する。図示されていないが、クリンチ30はリムのフランジと当接する。クリンチ30は、耐摩耗性に優れた架橋ゴムからなる。
クリンチ30の硬さは通常、55以上80以下である。これにより、クリンチ30によるタイヤ22の性能への影響が適切に調整されている。このクリンチ30の硬さもJIS−A硬さである。このクリンチ30の硬さも、前述されたサイドウォール26の硬さと同様、図1に示された断面にタイプAのデュロメータが押し付けられることで測定される。
通常タイヤ22では、クリンチ30はその硬さが前述のサイドウォール26の硬さよりも大きくなるように構成される。このタイヤ22では、クリンチ30の剛性は高く、サイドウォール26の剛性は低い。
それぞれのビード32は、クリンチ30の軸方向内側に位置している。ビード32は、コア52と、このコア52から半径方向外向きに延びるエイペックス54とを備えている。コア52はリング状であり、巻回された非伸縮性ワイヤーを含む。ワイヤーの典型的な材質は、スチールである。エイペックス54は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス54は、高硬度な架橋ゴムからなる。
カーカス34は、カーカスプライ56を備えている。カーカスプライ56は、両側のビード32の間に架け渡されており、トレッド24及びサイドウォール26に沿っている。カーカスプライ56は、コア52の周りにて、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。
図示されていないが、カーカスプライ56は並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのコードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、75°から90°である。換言すれば、このカーカス34はラジアル構造を有する。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維として、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。このタイヤ22のカーカス34は1枚のカーカスプライ56からなる。このカーカス34が、2枚以上のカーカスプライ56から形成されてもよい。
ベルト36は、トレッド24の半径方向内側に位置している。ベルト36は、カーカス34と積層されている。ベルト36は、カーカス34を補強する。ベルト36は、内側層58及び外側層60からなる。図1から明らかなように、軸方向において、内側層58の幅は外側層60の幅よりも若干大きい。
図示されていないが、内側層58及び外側層60のそれぞれは並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのコードは、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の一般的な絶対値は、10°以上35°以下である。内側層58のコードの赤道面に対する傾斜方向は、外側層60のコードの赤道面に対する傾斜方向とは逆である。コードの好ましい材質は、スチールである。コードに、有機繊維が用いられてもよい。ベルト36の軸方向幅は、タイヤ22の最大幅の0.7倍以上が好ましい。ベルト36が、3以上の層を備えてもよい。
バンド38は、ベルト36の半径方向外側に位置している。軸方向において、バンド38の幅はベルト36の幅よりも大きい。
図示されていないが、バンド38はコードとトッピングゴムとからなる。コードは、螺旋状に巻かれている。このバンド38は、いわゆるジョイントレス構造を有する。コードは、実質的に周方向に延びている。周方向に対するコードの角度は、5°以下、さらには2°以下である。このコードによりベルト36が拘束されるので、ベルト36のリフティングが抑制される。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維として、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
インナーライナー40は、カーカス34の内側に位置している。インナーライナー40は、カーカス34の内面に接合されている。インナーライナー40は、空気遮蔽性に優れた架橋ゴムからなる。インナーライナー40の典型的な基材ゴムは、ブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴムである。インナーライナー40は、タイヤ22の内圧を保持する。
それぞれのチェーファー42は、ビード32の近傍に位置している。タイヤ22がリムに組み込まれると、このチェーファー42がリムと当接する。この当接により、ビード32の近傍が保護される。この実施形態では、チェーファー42は、布とこの布に含浸したゴムとからなる。このチェーファー42がクリンチ30と一体とされてもよい。この場合、チェーファー42はクリンチ30の材質と同じ材質で構成される。
本発明では、タイヤ22の各部材の寸法及び角度は、タイヤ22が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ22に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ22には荷重がかけられない。本明細書において正規リムとは、タイヤ22が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤ22が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。乗用車用タイヤ22の場合は、内圧が180kPaの状態で、寸法及び角度が測定される。
前述したように、このタイヤ22のクリンチ30は架橋ゴムからなる。言い換えれば、このクリンチ30は、ゴム組成物を架橋することにより形成される。本発明においては、クリンチ30のためのゴム組成物は第一ゴム組成物と称される。
このタイヤ22では、クリンチ30の第一ゴム組成物は基材ゴムを含む。この基材ゴムとしては、天然ゴム、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、ポリクロロプレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体及びイソブチレン−イソプレン共重合体が例示される。2種以上のゴムが併用されてもよい。
クリンチ30の第一ゴム組成物は、補強剤を含むことができる。典型的な補強剤は、カーボンブラックである。FEF、GPF、HAF、ISAF、SAF等が用いられうる。クリンチ30の強度の観点から、カーボンブラックの量は、基材ゴム100質量部に対して5質量部以上が好ましい。クリンチ30の軟質の観点から、カーボンブラックの量は80質量部以下が好ましい。カーボンブラックと共に、又はカーボンブラックに代えて、シリカが用いられてもよい。このシリカとしては、乾式シリカ及び湿式シリカが用いられうる。
クリンチ30の第一ゴム組成物は、軟化剤を含むことができる。好ましい軟化剤として、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル及び芳香族系プロセスオイルが例示される。クリンチ30の軟質の観点から、軟化剤の量は、基材ゴム100質量部に対して10質量部以上が好ましい。クリンチ30の強度の観点から、軟化剤の量は40質量部以下が好ましい。
クリンチ30の第一ゴム組成物には、前述の成分以外に、従来ゴム工業で使用される配合剤、例えば、硫黄、加硫促進剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、老化防止剤、ワックス、架橋助剤等が、必要に応じ、さらに添加される。
前述したように、このタイヤ22のサイドウォール26は架橋ゴムからなる。言い換えれば、このサイドウォール26は、ゴム組成物を架橋することにより形成される。本発明においては、サイドウォール26のためのゴム組成物は第二ゴム組成物と称される。
このタイヤ22では、サイドウォール26の第二ゴム組成物は、基材ゴムを含む。この基材ゴムとしては、天然ゴム、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、ポリクロロプレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体及びイソブチレン−イソプレン共重合体が例示される。2種以上のゴムが併用されてもよい。
サイドウォール26の第二ゴム組成物は、補強剤を含むことができる。典型的な補強剤は、カーボンブラックである。FEF、GPF、HAF、ISAF、SAF等が用いられうる。サイドウォール26の強度の観点から、カーボンブラックの量は、基材ゴム100質量部に対して5質量部以上が好ましい。サイドウォール26の軟質の観点から、カーボンブラックの量は80質量部以下が好ましい。カーボンブラックと共に、又はカーボンブラックに代えて、シリカが用いられてもよい。このシリカとしては、乾式シリカ及び湿式シリカが用いられうる。
サイドウォール26の第二ゴム組成物は、軟化剤を含むことができる。好ましい軟化剤として、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル及び芳香族系プロセスオイルが例示される。サイドウォール26の軟質の観点から、軟化剤の量は、基材ゴム100質量部に対して10質量部以上が好ましい。サイドウォール26の強度の観点から、軟化剤の量は40質量部以下が好ましい。
サイドウォール26の第二ゴム組成物には、前述の成分以外に、従来ゴム工業で使用される配合剤、例えば、硫黄、加硫促進剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、老化防止剤、ワックス、架橋助剤等が、必要に応じ、さらに添加される。
このタイヤ22では、クリンチ30及びサイドウォール26以外の部品、例えば、トレッド24も、ゴム組成物を架橋することにより形成されている。このゴム組成物も、前述のクリンチ30又はサイドウォール26のゴム組成物と同様、基材ゴム等を含んでいる。
タイヤ22の製造には、加硫機が用いられる。言い換えれば、タイヤ22は加硫機を用いて製造される。
図2には、加硫機62の一部が示されている。この加硫機62は、モールド64及びブラダー66を備えている。この図2には、架橋前の状態(未架橋状態)にあるタイヤ22、すなわち、ローカバー68が、モールド64内に投入されている。この図2において、左右方向はタイヤ22の半径方向に相当する。上下方向は、タイヤ22の軸方向に相当する。この紙面において垂直な方向が、タイヤ22の周方向に相当する。
モールド64は、セグメント70と、上下一対のサイドプレート72と、上下一対のビードリング74とを備えている。このモールド64は、いわゆる「割モールド」である。なお、この加硫機62では、モールド64は割モールドに制限されない。このモールド64がツーピースモールドであってもよい。
図示されていないが、モールド64は複数のセグメント70を備えている。これらセグメント70は、リング状に配置されている。各セグメント70の平面形状は、実質的に円弧状である。セグメント70の数は、通常3以上20以下である。典型的なモールド64において、セグメント70の数は、例えば8個又は9個である。セグメント70は、第一成形面76を備えている。第一成形面76は、ローカバー68と当接し、タイヤ22のトレッド面44を形作る。
それぞれのサイドプレート72は、セグメント70の半径方向内側に位置している。サイドプレート72は、実質的にリング状である。サイドプレート72は、分割されていない。サイドプレート72は、第二成形面78を備えている。第二成形面78は、ローカバー68と当接し、タイヤ22の側面のうち、主に、サイドウォール26の部分を形作る。
それぞれのビードリング74は、サイドプレート72の半径方向内側に位置している。ビードリング74は、実質的にリング状である。ビードリング74は、分割されていない。ビードリング74は、第三成形面80を備えている。第三成形面80は、ローカバー68と当接し、タイヤ22の側面のうち、主に、クリンチ30の部分を形作る。
図2に示されたモールド64は、閉じられた状態にある。この状態において、セグメント70、サイドプレート72及びビードリング74が組み合わされ、キャビティ面82が構成される。このキャビティ面82は、セグメント70の第一成形面76、サイドプレート72の第二成形面78及びビードリング74の第三成形面80から構成されている。このキャビティ面82は、ローカバー68と当接し、タイヤ22の外面を形作る。このモールド64は、タイヤ22の外面を形作るキャビティ面82を有している。
ブラダー66は、架橋ゴムからなる。ブラダー66は、袋状である。ブラダー66は、その内部が加圧媒体で満たされるように構成されている。ブラダー66に加圧媒体が充填されると、このブラダー66は膨張する。ブラダー66から加圧媒体が排出されると、このブラダー66は収縮する。加圧媒体としては、所定の温度に調節された窒素等のガスが例示される。
ブラダー66は、モールド64の内側に位置している。モールド64の内部にローカバー68が投入されたとき、ブラダー66はこのローカバー68の内側に位置する。モールド64とブラダー66とで囲まれた空間は、キャビティと称される。
図1に示されたタイヤ22は、次のようにして製造される。このタイヤ22を製造するための方法では、トレッド24等の多数の部品をアッセンブリーして、ローカバー68が得られる。この製造方法では、ローカバー68を得る工程は成形工程と称される。
この製造方法では、成形工程において、クリンチ30及びサイドウォール26のための部品としてサイドシートが準備される。具体的には、押し出し機(図示されず)を用いて、クリンチ30のための第一ゴム組成物及びサイドウォール26のための第二ゴム組成物が同時に押し出される。これにより、第一ゴム組成物からなる第一シートと、第二ゴム組成物からなる第二シートとが、一体となったサイドシートが形成される。この製造方法は、第一ゴム組成物を押し出して第一シートを得て、第二ゴム組成物を押し出して第二シートを得て、第一シートが第二シートと一体となったサイドシートを形成する工程を含んでいる。
この製造方法では、サイドシートを形成した後、このサイドシートのうち、第一シートで構成される部分に溝が形成される。この製造方法では、溝の形成のために、溝形成装置が用いられる。この製造方法は、サイドシートのうち、第一シートで構成される部分に、溝形成装置を用いて溝を形成する工程を含んでいる。
図3及び4には、溝形成装置84の一部が示されている。この溝形成装置84は、ローラー86とエアシリンダー88とを備えている。
ローラー86は、本体90とシャフト92とを備えている。本体90は、円柱状を呈している。シャフト92は、丸棒状を呈している。シャフト92は、本体90の中心に位置している。
このローラー86では、本体90の側面には多数の突条94が設けられている。これらの突条94は、この本体90の長さ方向に延在している。図3に示されているように、各突条94は外向きに先細りな形状を呈している。このローラー86では、この突条94の断面形状は三角形である。この突条94は、後述する溝の形成のためのものである。言い換えれば、このローラー86は溝の形成のための突条94を有している。
図4において、両矢印RBはローラー86の半径を表している。両矢印LCは、このローラの長さを表している。この装置84では、ローラー86の半径RB及び長さLCは、製造するタイヤ22の仕様が考慮され適宜決められる。ローラー86の半径RBは通常、50mm以上100mm以下である。このローラー86の長さLCは通常、50mm以上100mm以下である。
エアシリンダー88は、ピストン96とチューブ98とを備えている。ピストン96は、チューブ98に挿入されている。図示されていないが、このエアシリンダー88では、ピストン96とチューブ98との間に、気体の充填が可能な空間が形成されている。このエアシリンダー88は、この空間への気体の導入及びこの空間からの気体の排出を制御することより、ピストン96がチューブ98に対して摺動するように構成されている。本発明では、エアシリンダー88に制限はなく、市販の製品が好適に用いられる。このようなエアシリンダー88としては、SMC社製の商品名「MGP(ガイド付薄型シリンダ)」が例示される。なお、この空間に導入される気体としては、圧縮空気が例示される。
この装置84では、ローラー86のシャフト92はこのローラー86の本体90に通されている。さらにこのシャフト92は、エアシリンダー88のピストン96に通されている。これにより、この装置84では、ローラー86の本体90とエアシリンダー88とが一体とされている。
この装置84では、エアシリンダー88は、図示されない固定手段により、この装置84に固定されている。前述したように、エアシリンダー88は、ピストン96がチューブ98に対して摺動するように構成されている。詳細には、このエアシリンダー88では、内部に気体を導入すると、ピストン96は矢印Fで示された方向に移動する。さらにこのエアシリンダー88の内部から気体を排出すると、ピストン96は矢印Bで示された方向に移動する。本発明においては、矢印Fで示されたピストン96の移動方向が前進であり、矢印Bで示されたピストン96の移動方向が後退である。
この装置84では、ローラー86のシャフト92はエアシリンダー88のピストン96に固定されている。このシャフト92は、ピストン96に対しては回転しない。しかし、ローラー86の本体90はベアリング(図示されず)を介してこのシャフト92に固定されている。このローラー86は、その本体90がシャフト92を中心に回転するように構成されている。図3において、両矢印Rで示された方向はローラー86の本体90の回転方向である。なお、この装置84では、シャフト92がベアリングを介してピストン96に固定されることにより、ローラー86の本体90がシャフト92を中心に回転するように構成されてもよい。
図5及び6には、溝形成装置84を用いて、サイドシート100に溝102を形成している様子が示されている。図5において、上下方向はサイドシート100の長さ方向である。左右方向は、このサイドシート100の幅方向である。図6において、左右方向はサイドシート100の幅方向であり、紙面との垂直方向がこのサイドシート100の長さ方向である。
溝形成工程では、図示されない移動手段により、サイドシート100は溝形成工装置84に供給されこの装置84から排出される。図5における矢印Mは、この装置84におけるサイドシート100の移動方向を表している。この図5においては、紙面の上側からその下側に向かって、サイドシート100は移動していく。したがってこの紙面の上側は上流側であり、この紙面の下側は下流側である。
この溝形成工程では、サイドシート100が装置84に供給されると、エアシリンダー88の内部に気体が導入される。これにより、ローラー86がサイドシート100に向かって前進する。この前進により、図6に示されているように、ローラー86がサイドシート100の第一シート104に押し付けられる。この製造方法では、エアシリンダー88は、その内部に気体を導入することにより、ローラー86を第一シート104に押し付けるように構成されている。
前述したように、ローラー86はシャフト92を中心に回転する。このため、サイドシート100を押し付けた状態であっても、サイドシート100の移動に合わせてローラー86は回転する。
前述したように、ローラー86には突条94が設けられている。このローラー86における一の突条94の動きに着目した場合、この突条94は、ローラー86の回転により、第一シート104に近接していく。ローラー86がさらに回転することにより、この突条94は第一シート104に当接する。ローラー86がさらに回転することにより、突条94は第一シート104に押し付けられる。第一シート104は未架橋の状態にあるので、この第一シート104は軟質である。突条94は第一シート104よりも硬質である。このため、突条94が第一シート104に押し付けられると、この突条94はこの第一シート104にめり込んでいく。そしてローラー86がさらに回転することにより、突条94が第一シート104から引き抜かれ、この突条94は第一シート104から離間していく。このように、この装置84では、ローラー86が回転することにより、このローラー86の突条94が第一シート104にめり込み、そして、この突条94が第一シート104から引き抜かれる。これにより、この第一シート104には、この突条94に対応する溝102が形成される。この製造方法の溝形成工程においては、このようにしてローラー86を第一シート104に押し付けつつ回転させることにより、この第一シート104に溝102が刻まれる。
この製造方法では、ローラー86は、その長さ方向がサイドシート100の幅方向と一致するように配置される。前述したように、突条94はローラー86の長さ方向に延在している。このため、このローラー86により形成される溝102は、サイドシート100の幅方向に延在する。なお、突条94がローラー86の長さ方向に対して傾斜して延在するように、このローラー86に設けられてもよい。この場合、このローラー86により、サイドシート100の幅方向に対して傾斜して延在する溝102が形成される。なお、本発明においては、溝102の延在方向がサイドシート100の幅方向に対してなす角度の絶対値の範囲が0°から20°の範囲にある場合、この溝102の延在方向は「略幅方向」として表される。
前述したように、ローラー86には多数の突条94が設けられている。この装置84を用いることにより、第一シート104には多数の溝102を刻むことができる。この製造方法では、ローラー86に設けられた多数の突条94は、このローラー86の回転方向に間隔をあけて配置されている。このため、このローラー86により形成される溝102は、図5に示されているように、サイドシート100の長さ方向に間隔をあけて刻まれていく。言い換えれば、突条94は一定のピッチでローラー86に設けられているので、この突条94により形成される溝102も一定のピッチで第一シート104に設けられる。
この製造方法では、図6に示されているように、ローラー86の側面と第一シート104の溝102を形成する面(以下、基準面)とが平行となるように、このローラー86はサイドシート100に対して配置される。これにより、長さ方向において略一様な深さを有する溝102が形成される。なお、この製造方法では、ローラー86の側面が第一シート104の基準面に対して傾斜するように、このローラを配置してもよい。これにより、溝102の深さをその長さ方向に変化させた溝102の形成が可能となる。なお、この基準面は、サイドシート100の外面を構成する第一シート104の一端106とその他端108とを結んで得られる仮想平面により表される。
この製造方法では、溝形成工程で得た、溝102が形成されたサイドシート100は、フォーマー(図示されず)に供給される。このフォーマーにおいて、このサイドシート100は他の部品と組み合わされる。この組み合わせのとき、サイドシート100は、その長さ方向がタイヤ22の周方向に相当する方向と一致するように貼り付けられる。これにより、このサイドシート100を含むローカバー68が形成される。この製造方法は、溝102が形成されたサイドシート100を用いて、このサイドシート100を含むローカバー68を形成する工程を含んでいる。
前述したように、この製造方法では、サイドシート100のうち、第一シート104で構成される部分に溝102が形成される。このサイドシート100において、第一シート104及び第二シート110はこのサイドシート100の幅方向に並んでいる。この第一シート104は、クリンチ30のための第一ゴム組成物からなる。このため、このサイドシート100を組み合わせてローカバー68を形成するとき、このサイドシート100は、第一シート104の部分がタイヤ22のクリンチ30の位置に相当する部分に位置するように貼り付けられる。
図1に示されているように、クリンチ30は、タイヤ22のヒール112の近くから半径方向略外向きに延在している。図5に示されているように、サイドシート100に形成される溝102は、第一シート104において、このサイドシート100の略幅方向に延在している。前述したように、サイドシート100は、その長さ方向がタイヤ22の周方向に相当する方向と一致するように貼り付けられる。このため、このサイドシート100を含むローカバー68においては、溝102は、このローカバー68の、タイヤ22のヒール112に相当する位置の近くにおいて、略半径方向に延在している。
この製造方法では、溝102が形成されたサイドシート100を含むローカバー68は加硫機62に供給される。このローカバー68は、開かれたモールド64に投入される。投入のとき、ブラダー66は収縮している。
ローカバー68が投入されると、ブラダー66に加圧媒体が充填される。これにより、ブラダー66は膨張する。膨張したブラダー66はローカバー68の内面に当接する。
この製造方法では、モールド64が閉じられ、ブラダー66の内圧が高められる。ローカバー68はブラダー66によってモールド64のキャビティ面82に押し当てられる。これにより、ローカバー68は加圧及び加熱される。この製造方法は、ローカバー68をモールド64に投入し、このローカバー68を加圧及び加熱する工程を含んでいる。この工程では、加圧と加熱とにより、ローカバー68のゴム組成物は流動する。加熱によりゴムが架橋反応を起こし、タイヤ22が得られる。この製造方法では、ローカバー68を加圧及び加熱してタイヤ22を得る工程は加硫工程と称される。この製造方法では、ブラダー66に代えて剛体からなる中子が用いられてもよい。この場合、ローカバー68は中子で組み立てられる。ローカバー68は中子とともに、モールド64に投入される。
図7には、ローカバー68がビードリング74と接触している様子が示されている。詳細には、この図7は図2のVII−VII線に沿った断面である。この図7において、左右方向はタイヤ22の軸方向に相当する方向であり、紙面との垂直方向はこのタイヤ22の半径方向に相当する方向である。
この製造方法の加硫工程では、タイヤ22のクリンチ30に相当する第一シート104の部分はビードリング74に押し当てられる。前述したように、この第一シート104の部分には、多数の溝102が形成されている。このため、ローカバー68がモールド64のキャビティ面82に当接した直後においては、図7に示されているように、ローカバー68とキャビティ面82との間には、溝102とキャビティ面82とで構成された空間(以下、パスと称される。)が形成される。
この製造方法では、ローカバー68のクリンチ30及びサイドウォール26はサイドシート100を貼り付けて形成される。このため、このローカバー68のビード32の部分には、このサイドシート100の端114に起因した段差が形成されている。加硫工程において、ローカバー68がモールド64のキャビティ面82に当接したとき、この段差の部分にはエアが巻き込まれやすい。
この製造方法では、サイドシート100の第一シート104の部分に溝102が形成される。この溝102は、サイドシート100の端114又はこの端114の近くから略半径方向外向きに延在している。この溝102は、サイドシート100の端114又はこの端114の近くを起点としている。このため、ローカバー68がキャビティ面82に押し当てられると、この段差の部分に巻き込まれたエアは前述のパスに誘導される。
前述したように、ローカバー68においては、溝102は、タイヤ22のヒール112に相当する位置の近くにおいて、略半径方向に延在している。図2に示されているように、モールド64のビードリング74とサイドプレート72との境界面116は、このヒール112に相当する位置よりも半径方向外側に位置している。図示されていないが、このモールド64のビードリング74には、このヒール112に相当する位置よりも半径方向内側に位置するように、ベントラインが設けられている。この製造方法では、溝102は境界面116とベントラインとの間において半径方向に延在している。このため、前述のパスに誘導されたエアは、境界面116及び/又はベントラインへさらに誘導される。そしてこの境界面116及びび/又はベントラインを通じて、モールド64の外側に排出される。本発明では、サイドシート100に形成した溝102は、ローカバー68とモールド64のキャビティ面82との間に残存するエア、特に、ビード32の部分の段差の部分に巻き込まれたエアの排出を促す。この製造方法では、加硫工程において、エアによるゴム組成物の流動阻害が防止される。ゴム組成物がスムーズに流動するので、この製造方法では、良好な外観品質を有するタイヤ22が得られる。なお、溝102はゴム組成物の流動により押し潰されるので、得られたタイヤ22においてはこの溝102は消失する。
前述したように、この製造方法では、溝102の形成工程において、溝形成工装置84のエアシリンダー88の内部には気体が導入される。この製造方法では、この気体の圧力PAは、0.3MPa以上が好ましい。これにより、第一シート104がローラー86の突条94に十分に押し付けられる。この製造方法では、突条94に対応する溝102が確実に形成されるので、この溝102がエアの排出に効果的に寄与する。この製造方法では、良好な外観品質を有するタイヤ22が得られる。過剰な圧力PAは、エアシリンダー88の動作に影響する。この観点から、この気体の圧力PAは0.6MPa以下が好ましい。
この製造方法では、ローラー86の突条94を第一シート104に押し付けることにより、この第一シート104に溝102が形成される。この突条94が低い硬さを有していると、突条94を第一シート104に押し付けても、突条94が変形し、充分な大きさを有する溝102が形成されない恐れがある。逆にこの突条94が高い硬さを有していると、この突条94に欠け等の損傷が生じやすくなる恐れがある。損傷が生じやすい突条94では、安定に溝102を形成することができない。適度な硬さを有する突条94が得られるとの観点から、このローラー86の本体90の材質としては架橋ゴムが好ましい。前述したように、溝102の形成工程では、この突条94は第一シート104にめり込んだ後に、この第一シート104から引き抜かれる。この引き抜き容易の観点から、この架橋ゴムの基材ゴムとしては、ウレタンゴムが好ましい。
この製造方法では、突条94を第一シート104に押し付けても、突条94の変形が防止され、充分な大きさを有する溝102が得られるとの観点から、ローラー86の突条94の硬さHFは60以上が好ましい。突条94の損傷が防止され、溝102を安定に形成することができるとの観点から、この硬さHFは70以下が好ましい。
本願において、突条94の硬さHFはJIS−A硬さである。この硬さHFは、前述のサイドウォール26及びクリンチ30の硬さと同様、「JIS−K6253」の規定に準拠して、23℃の環境下で、タイプAのデュロメータによって測定される。より詳細には、この硬さHFは、この突条9(この実施形態では、ローラー86の本体90)の材質と同じ材質で形成されたスラブを準備して、このスラブにタイプAのデュロメータが押し付けられることで測定される。
図8には、ローラー86の突条94の部分を拡大したものが模式的に示されている。この図8において、両矢印PDは突条94のピッチを表している。両矢印HEは、この突条94の高さを表している。
この製造方法では、突条94のピッチPDは2mm以上5mm以下が好ましい。このピッチPDが2mm以上に設定されることにより、ローラー86に突条94を形成することが容易となる。このピッチPDが5mm以下に設定されることにより、この突条94により形成される溝102がエアのパスとして有効に機能する。パスを通じたエアの排出が促されるので、この製造方法では、良好な外観品質を有するタイヤ22が得られる。
この製造方法では、突条94の高さHEは5mm以上10mm以下が好ましい。この高さHEが5mm以上に設定されることにより、ローラー86に突条94を形成することが容易となるとともに、この突条94により形成される溝102の大きさが十分に確保される。この溝102は、エアのパスとして有効に機能する。パスを通じたエアの排出が促されるので、この製造方法では、良好な外観品質を有するタイヤ22が得られる。この高さHEが10mm以下に設定されることにより、突条94の損傷が防止され、溝102を安定に形成することができる。この製造方法では、良好な外観品質を有するタイヤ22が安定に製造される。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
図3及び4で示された溝形成装置を用いて、サイドシートに溝を形成した。このサイドシートを含むローカバーを、図2に示された加硫機を用いて加圧及び加熱し、図1で示されたタイヤ(サイズ=225/45R18)を製造した。エアシリンダーの内部に導入する気体の圧力PAは、0.3MPaに設定された。ローラーの半径RB及び長さLC、並びに、突条のピッチPD及び高さHEは、下記の表1の通りに設定された。ローラーの本体は、基材ゴムをウレタンゴムとする架橋ゴムで構成した。この架橋ゴムの硬さは、60であった。この硬さが、表の「突条の硬さHF」の欄に記載されている。
[比較例1]
従来の製造方法でタイヤ(サイズ=225/45R18)を製造した。この比較例1では、サイドシートには溝は形成されていない。
[実施例2−11]
圧力PA、半径RB、長さLC、ピッチPD、高さHE及び硬さHFを下記の表1及び2の通りとした他は実施例1と同様にして、タイヤを製造した。
[外観観察(不良率の把握)]
試作タイヤの外観を目視で観察し、ビードの部分の段差に起因する、ゴム流れ不良の有無を確認した。試作タイヤ全数(1000本)に対して、ゴム流れ不良の確認されたタイヤの本数の比率を算出した。この結果が、不良率として、下記の表1及び2に示されている。数値が小さいほど、不良率が低く、好ましい。
Figure 0006536204
Figure 0006536204
表1及び2に示されるように、実施例の製造方法では、比較例の製造方法に比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
以上説明された方法は、種々のタイプのタイヤの製造にも適用されうる。
2、22・・・タイヤ
4、32・・・ビード
6、34・・・カーカス
8、30・・・クリンチ
10、56・・・カーカスプライ
12、112・・・ヒール
14、100・・・サイドシート
16、26・・・サイドウォール
18、68・・・ローカバー
20、20a、20b・・・サイドシート14の端
24・・・トレッド
44・・・トレッド面
64・・・モールド
66・・・ブラダー
70・・・セグメント
72・・・サイドプレート
74・・・ビードリング
82・・・キャビティ面
84・・・溝形成装置
86・・・ローラー
88・・・エアシリンダー
90・・・本体
92・・・シャフト
94・・・突条
96・・・ピストン
98・・・チューブ
102・・・溝
104・・・第一シート
110・・・第二シート
114・・・サイドシート100の端
116・・・境界面

Claims (4)

  1. ヒールの近くから半径方向略外向きに延在し、第一ゴム組成物を架橋することにより形成されるクリンチと、上記クリンチの半径方向外側に位置し、第二ゴム組成物を架橋することにより形成されるサイドウォールとを備える空気入りタイヤを、このタイヤの外面を形作るキャビティ面を有するモールドを用いて製造するための方法であって、
    上記第一ゴム組成物を押し出して第一シートを得て、上記第二ゴム組成物を押し出して第二シートを得て、上記第一シートが上記第二シートと一体となったサイドシートを形成する工程と、
    上記サイドシートのうち、上記第一シートで構成される部分に、溝形成装置を用いて溝を形成する工程と、
    上記溝が形成された上記サイドシートを用いて、このサイドシートを含むローカバーを形成する工程と、
    上記ローカバーを上記モールドに投入し、このローカバーを加圧及び加熱する工程とを含んでおり、
    上記溝形成装置がローラーを備えており、このローラーが上記溝の形成のための突条を有しており、
    上記溝の形成工程において、上記ローラーを上記第一シートに押し付けつつ回転させることにより、この第一シートに上記溝が刻まれており、
    上記サイドシートにおいて、上記第一シート及び上記第二シートがこのサイドシートの幅方向に並んでおり、
    上記溝が、上記第一シートにおいて、上記サイドシートの略幅方向に延在しており、
    上記溝形成装置がエアシリンダーをさらに備えており、
    上記エアシリンダーが、その内部に気体を導入することにより、上記ローラーを上記第一シートを押し付けるように構成されており、
    上記気体の圧力が、0.3MPa以上0.6MPa以下である、空気入りタイヤの製造方法。
  2. ヒールの近くから半径方向略外向きに延在し、第一ゴム組成物を架橋することにより形成されるクリンチと、上記クリンチの半径方向外側に位置し、第二ゴム組成物を架橋することにより形成されるサイドウォールとを備える空気入りタイヤを、このタイヤの外面を形作るキャビティ面を有するモールドを用いて製造するための方法であって、
    上記第一ゴム組成物を押し出して第一シートを得て、上記第二ゴム組成物を押し出して第二シートを得て、上記第一シートが上記第二シートと一体となったサイドシートを形成する工程と、
    上記サイドシートのうち、上記第一シートで構成される部分に、溝形成装置を用いて溝を形成する工程と、
    上記溝が形成された上記サイドシートを用いて、このサイドシートを含むローカバーを形成する工程と、
    上記ローカバーを上記モールドに投入し、このローカバーを加圧及び加熱する工程とを含んでおり、
    上記溝形成装置がローラーを備えており、このローラーが上記溝の形成のための突条を有しており、
    記溝の形成工程において、上記ローラーを上記第一シートに押し付けつつ回転させることにより、この第一シートに上記溝が刻まれており、
    上記サイドシートにおいて、上記第一シート及び上記第二シートがこのサイドシートの幅方向に並んでおり、
    上記溝が、上記第一シートにおいて、上記サイドシートの略幅方向に延在しており、
    上記突条の高さが、5mm以上10mm以下である、空気入りタイヤの製造方法。
  3. ヒールの近くから半径方向略外向きに延在し、第一ゴム組成物を架橋することにより形成されるクリンチと、上記クリンチの半径方向外側に位置し、第二ゴム組成物を架橋することにより形成されるサイドウォールとを備える空気入りタイヤを、このタイヤの外面を形作るキャビティ面を有するモールドを用いて製造するための方法であって、
    上記第一ゴム組成物を押し出して第一シートを得て、上記第二ゴム組成物を押し出して第二シートを得て、上記第一シートが上記第二シートと一体となったサイドシートを形成する工程と、
    上記サイドシートのうち、上記第一シートで構成される部分に、溝形成装置を用いて溝を形成する工程と、
    上記溝が形成された上記サイドシートを用いて、このサイドシートを含むローカバーを形成する工程と、
    上記ローカバーを上記モールドに投入し、このローカバーを加圧及び加熱する工程とを含んでおり、
    上記溝形成装置がローラーを備えており、このローラーが上記溝の形成のための突条を有しており、
    上記溝の形成工程において、上記ローラーを上記第一シートに押し付けつつ回転させることにより、この第一シートに上記溝が刻まれており、
    上記サイドシートにおいて、上記第一シート及び上記第二シートがこのサイドシートの幅方向に並んでおり、
    上記溝が、上記第一シートにおいて、上記サイドシートの略幅方向に延在しており、
    上記突条の硬さが、60以上70以下である、空気入りタイヤの製造方法。
  4. 上記ローラーが上記突条を多数備えており、これらの突条がこのローラーの回転方向に間隔をあけて配置されており、
    これらの突条のピッチが2mm以上5mm以下である、請求項1からのいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。


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