以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明の実施形態の一例としての移動車両1が示された概略側面図であり、図2は図1の移動車両1の概略平面図である。なお、以下では、説明の便宜上、図1における左側を進行前方向とし、進行前方向に対して直交して、かつ水平である図1における奥側を右方向、手前側を左方向とし、進行前方向に対して直交して、かつ鉛直である図1における上側を上方向、下側を下方向とする。
図1、図2に示されるように、移動車両1は、車体フレーム10と、車体フレーム10の前部に配設される前操舵輪11と、車体フレーム10の後部に配設される後操舵輪12と、車体フレーム10の上部に配設されるシート13と、車体フレーム10の左側方に配設される前ステップ14と後ステップ15などを備える。また、移動車両1は、前操舵輪11と後操舵輪12との間に配設される走行装置としてのクローラ走行装置16、車体フレーム10の左側方に配設される補助輪17、車体フレーム10に対してシート13を昇降させるシート位置調節装置18、動力源としての電気を蓄電するバッテリ19、演算部や記憶部などから構成されて各装置を制御する制御部20なども備える。
移動車両1は略前後対称に構成され、作業者は左側方を向いてシート13に着座して乗車する。作業者は、座位での乗車の際に、右左の足をそれぞれ前ステップ14と後ステップ15に載置させる。そして、詳細については後述するが、移動車両1は、前ステップ14で前操舵輪11と後操舵輪12が操作されるように構成されている。
車体フレーム10は、円筒状のパイプや板状のプレートなどの複数の鋼材を溶接などによって結合して構成される。車体フレーム10の外形は、平面視で前後方向に長尺な略六角形状であり、側面視で略船底状である。なお、車体フレーム10を構成する材料は特に限定されるものではなく、例えば、樹脂や、樹脂にガラス繊維や炭素繊維などの繊維が含有された複合材料などであっても構わない。
車体フレーム10は、前端に円筒状の前操舵ポスト21を有し、後端に円筒状の後操舵ポスト22を有する。前操舵ポスト21には、下端に前操舵輪11を備える前操舵軸23が挿通され、後操舵ポスト22には、下端に後操舵輪12を備える後操舵軸24が挿通される。前操舵輪11及び後操舵輪12は、いずれも左右2つの車輪で構成され、それぞれ前操舵軸23及び後操舵軸24の下端に回転自在に支持されている。前操舵軸23は、前操舵ポスト21の上端より上方に位置する上端に、平面視で略ひし形状で左右方向に突出する平板状のフランジ25を有する。そして、前操舵輪11は、前操舵ポスト21と前操舵軸23とによって、車体フレーム10の前端に、上下方向を軸として回転自在に取り付けられている。なお、フランジ25の左側端部には、後述する操舵リンク機構52のリンクアーム55の一端が接続される。後操舵軸24は、前操舵軸23と同様に、後操舵ポスト22の上端より上方に位置する上端に、平面視で略ひし形状で左右方向に突出する平板状のフランジ26を有する。そして、後操舵輪12は、後操舵ポスト22と後操舵軸24とによって、車体フレーム10の後端に、上下方向を軸として回転自在に取り付けられている。なお、フランジ26の左側端部には、後述する操舵リンク機構52のリンクアーム56の一端が接続される。
ここで、前操舵輪11及び後操舵輪12は、2つの車輪からなる構成に限定されるものではなく、後述する補助輪17のように、1つの車輪からなる構成であっても構わない。また、前操舵輪11及び後操舵輪12は、緩衝機構を介して前操舵軸23及び後操舵軸24に支持される構成であっても良く、前操舵軸23及び後操舵軸24が緩衝機構を有する構成であっても良い。緩衝機構としては、例えばシリンダなどから構成される伸縮自在な棒状のダンパが例示でき、前操舵輪11及び後操舵輪12が安定して接地するとともに、走行性や乗り心地が向上する。
車体フレーム10の前後方向の中央部には、走行装置としてのクローラ走行装置16が取り付けられる。クローラ走行装置16は前操舵輪11と後操舵輪12との間に位置しており、クローラ走行装置16の上方と左右の両側方は車体フレーム10によって覆われている。
車体フレーム10の上面には、上下方向に延びる複数の支柱27を介して、水平方向へ延びる平板状の支持台28が取り付けられる。そして、車体フレーム10と支持台28との間には、前ステップ14と前操舵軸23及び後操舵軸24とを連動連結させる後述する操舵リンク機構52などが配置される間隙が形成されている。
車体フレーム10の上面の前後及び左右の中央には、上方へ延びて支持台28に接続する前回動軸29及び後回動軸30が設けられる。前回動軸29と後回動軸30は、車体フレーム10の左右方向の中心であって、所定の間隔を有して前後対称の位置に配置されている。詳細については後述するが、前回動軸29に前ステップ14が回動自在に取り付けられ、後回動軸30に後ステップ15が回動自在に取り付けられる。
車体フレーム10は、前回動軸29より前方の上面と後回動軸30より後方の上面に、下方へ向けて窪んだ凹部が形成され、この凹部にバッテリ19が配置される。そして、車体フレーム10や支持台28などには、図示せぬカバーが被せられる。
シート13は、平面視で前後方向に長尺な略長方形状で平板状である座部31と、座部31の下方に位置し、座部31と同様の形状である平板状の台座部32と、座部31の上面である座面31aから上方へ突出する2つのシートポスト33,33と、4つの荷重センサ34などを備える。2つのシートポスト33,33は、左右方向に延びる円筒棒状部材の両端部が下方へ向けて折り曲げられて略門型状に形成され、その両端が座部31に着脱自在に取り付けられている。2つのシートポスト33,33は、所定の間隔を有して前後対称に配置されている。ここで、2つのシートポスト33,33は、その間隔が右側から前ステップ14及び後ステップ15が位置する左側へ向けて漸次広くなるように配置されている。また、2つのシートポスト33,33は、座部31の左右方向の中央ではなく、右側に偏って位置している。また、2つのシートポスト33,33は、作業者が把持できる把持部35を上部に有する。
作業者は、2つのシートポスト33,33の間に臀部を挟み込むように着座する。そして、2つのシートポスト33,33は、座面31aから突出し、乗車時の作業者の臀部を挟み込むように保持するとともに、作業者が把持できる把持部35を有するように構成されている。したがって、作業者は、この簡易な構成のシートポスト33によって安定した着座姿勢をとれるとともに、把持部35を掴むことによって移動車両1が激しく揺れても着座姿勢を維持できる。
なお、2つのシートポスト33,33は、作業者の体格に合わせて取り付け位置が調節できるように構成されることが好ましい。ここで、シート13は、上述のシートポスト33を有する構成に限定されるものではなく、例えばシートポスト33が平面視で外方へ湾曲された構成であっても良く、背もたれや肘掛けを有する構成などであっても良い。また、座部31の上面である座面31aは、水平な面に限定されるのではなく、左右方向に傾斜する面であっても良く、作業者の臀部が嵌るような凹凸を有していても構わない。例えば座面31aを前ステップ14及び後ステップ15が位置する左側から右側に向かって下方へ傾斜する面とすることで、乗車時の作業者の臀部が2つのシートポスト33,33に挟み込まれやすくなり、着座姿勢がより安定する。そして、作業者は、後述するシート位置調節装置18によってシート13が車体フレーム10に対して左側(乗車時の作業者の正面側)に傾倒されて前傾姿勢になっても、安定した着座姿勢を維持できる。
荷重センサ34は、座部31と台座部32との間であって、平面視で座部31の四隅の近傍にそれぞれ配設される。座部31は、4つの荷重センサ34を介して台座部32に支持されている。そして、シート13は、4つの荷重センサ34によって、座位の作業者の体重移動を検出できるように構成されている。荷重センサ34としては、座位の作業者の体重移動を検出できれば良く、例えば、ひずみゲージを用いたロードセルを用いることができ、その数や配置などは限定されるものではない。なお、荷重センサ34は、少なくとも座位の作業者の前後方向または左右方向の体重移動を検出できるように配設される。
上述のような構成のシート13は、車体フレーム10の上面に設けられた支持台28にシート位置調節装置18を介して取り付けられる。シート位置調節装置18は、ボールねじやモータなどを備えて伸縮自在な棒状に構成される2つの電動シリンダ36,36などから構成される。一方の電動シリンダ36は、平面視で支持台28の左側端部に沿うように配置され、前側の端が支持台28の上面に左右方向を軸に回動自在に連結され、後側の端が台座部32の下面に左右方向を軸に回動自在に連結される。他方の電動シリンダ36は、平面視で支持台28の右側端部に沿うように配置され、前側の端が台座部32の下面に左右方向を軸に回動自在に連結され、後側の端が支持台28の上面に左右方向を軸に回動自在に連結される。2つの電動シリンダ36,36は、側面視でX字状に交差するように配置されている。そして、シート位置調節装置18は、2つの電動シリンダ36,36が伸縮することによって、車体フレーム10に対してシート13を昇降させることができるように構成されている。なお、シート位置調節装置18は、図示せぬ伸縮自在のカバー、例えばゴムによって構成されて蛇腹形状を有するカバーによって覆われており、作業者の手の挟み込みなどを防止することができる。
ここで、シート位置調節装置18は、制御部20によって制御され、作業者の体重移動を検出する荷重センサ34の検出値に基づいて作動するように構成される。例えば、制御部20は、荷重センサ34の検出値によって作業者の体重が右側(図1における奥側)に移動したと判定された際には、シート位置調節装置18の電動シリンダ36を伸長させて車体フレーム10に対してシート13を上昇させ、荷重センサ34の検出値によって作業者の体重が左側(図1における手前)に移動したと判定された際には、シート位置調節装置18の電動シリンダ36を収縮させて車体フレーム10に対してシート13を下降させるように構成される。つまり、シート位置調節装置18は、作業者が体重移動をすることによって操作できるように構成されている。
なお、シート位置調節装置18は、上述の構成に限定されるものではなく、車体フレーム10に対してシート13を昇降させることができる構成であれば良い。例えば、電動シリンダ36が鉛直方向に伸縮するように配置される構成であっても良く、電動シリンダ36に替わって油圧シリンダや空気圧シリンダを用いる構成であっても良く、パンタグラフ式のリンク機構を用いる構成などであっても良い。また、シート位置調節装置18は、車体フレーム10に対してシート13を前後方向や左右方向に傾倒させることができる構成であっても良い。このような構成としては、例えば、鉛直方向に伸縮するように配置される4つの電動シリンダ36を用いる構成が例示でき、車体フレーム10に対してシート13を昇降及び傾倒させることができる。また、シート位置調節装置18は、別途設けられる操作スイッチによって操作できる構成であっても良いが、作業効率の観点から、作業者の体重移動によって操作できる構成であることが好ましい。
補助輪17は、車体フレーム10の前後方向の中央の左側方であって、前ステップ14と後ステップ15との間に位置している。この補助輪17によって、移動車両1の左右方向の安定性が向上されている。補助輪17は、鉛直断面の形状が略逆U字形状であるブラケット37に回転自在に支持され、緩衝機構としてのダンパ38と2つのロアリンク39,39とを有するリンク機構を介して車体フレーム10の左側部に連結されている。
ダンパ38は、シリンダなどから構成される伸縮自在な棒状の緩衝機構である。ダンパ38は、一端がブラケット37の右側部に前後方向を軸として回動自在に連結され、他端が車体フレーム10の左側部に前後方向を軸として回動自在に連結される。なお、ダンパ38の車体フレーム10との連結部である他端は、ブラケット37との連結部である一端より上方に位置している。2つのロアリンク39,39は、剛性を有する棒状部材であり、それぞれ一端がブラケット37の右側部に前後方向を軸として回動自在に連結され、他端が車体フレーム10の左側部に前後方向を軸として回動自在に連結される。なお、2つのロアリンク39,39は、前後対称に配設され、ダンパ38よりも下方に位置し、略水平方向に延びている。
そして、移動車両1は、ダンパ38を含むリンク機構によって、車体フレーム10と補助輪17との間における衝撃を緩衝することができ、走行時の安定性が向上される。例えば、補助輪17には、地面の***などによって上方への衝撃荷重が加わる場合があり、この衝撃荷重によって補助輪17は上方へ揺動される。この際、緩衝機構としてのダンパ38が収縮して衝撃を緩衝し、移動車両1は安定して走行することができる。
なお、補助輪17の数や配置は、上述の構成に限定されるものではない。例えば、前ステップ14及び後ステップ15と反対側である車体フレーム10の右側方に補助輪17を設ける構成であっても良い。また、車体フレーム10の左右の両側方にそれぞれ補助輪17を設ける構成であっても良く、このような構成にすることで、移動車両1の安定性が更に向上される。なお、作業者は乗車時に前かがみなりやすいため、少なくとも前ステップ14及び後ステップ15が位置する車体フレーム10の左側方に設けることが好ましく、移動車両1の左右方向の幅を狭くすることもできる。また、前ステップ14と後ステップ15との間に補助輪17を設けることで、移動車両1のコンパクト化が図れるとともに、安定性を効果的に向上させることができる。
また、補助輪17を車体フレーム10に連結する構成は、上述のリンク構成に限定されるものではないものの、走行時の安定性の観点から緩衝機構を含むリンク機構であることが好ましい。例えば、車体フレーム10の左右の両側方にそれぞれ補助輪17を設ける場合には、一端が左側方の補助輪17に連結され、他端が右側方の補助輪17に連結され、中央部が車体フレーム10に前後方向を軸として回動自在に連結される剛性を有する棒状部材と、左側方の補助輪17と車体フレーム10との間に設けられるダンパ38と、右側方の補助輪17と車体フレーム10との間に設けられるダンパ38とで構成されるリンク機構であっても良い。
また、補助輪17を車体フレーム10に対して昇降可能とするリンク機構であっても構わない。このような構成としては、例えば、上述のダンパ38に替わって、ボールねじやモータなどを備えて伸縮自在な棒状に構成される電動シリンダを備える構成を例示できる。このような構成の場合には、車体フレーム10の左右方向の傾斜のロール角度を検出する姿勢角度センサを更に備え、制御部20がこの姿勢角度センサの検出値に応じて電動シリンダを制御するような構成とすることで、移動車両1の姿勢制御が可能となり、移動車両1の走行時の安定性が更に向上される。姿勢角度センサとしては、例えばジャイロセンサなどを用いることができ、姿勢角度センサの配置や数は限定されるものではない。
そして、走行時の安定性の観点から、補助輪17は、ダンパ38や電動シリンダなどの伸縮可能な連結部材を含むリンク機構を介して車体フレーム10に取り付けられることが好ましい。
走行装置としてのクローラ走行装置16は、駆動輪40と、従動輪41と、クローラベルト42と、クローラ走行装置16を駆動する駆動装置としてのモータ43などを備える。クローラベルト42は、駆動輪40と従動輪41に外接するように掛け回されている。駆動輪40と従動輪41は、車体フレーム10に回転自在に支持される。モータ43は、駆動輪40と従動輪41の間で車体フレーム10に支持されており、モータ43の駆動力が図示せぬギヤケースを介して駆動輪40に伝達され、クローラ走行装置16が駆動するように構成されている。なお、クローラ走行装置16は、車体フレーム10に対する従動輪41の位置を移動させることでクローラベルト42のテンションを調節する図示せぬテンション調節装置、駆動輪40の回転を止める図示せぬブレーキ装置なども備える。
クローラ走行装置16を駆動するモータ43は、動力源としてのバッテリ19の電力によって駆動する電動モータであり、制御部20によって制御される。そして、モータ43をバッテリ19の電力で駆動させることによって、クローラ走行装置16が駆動し、移動車両1を走行させることができる。
ここで、走行装置としてのクローラ走行装置16、前操舵輪11、及び後操舵輪12は、平面視において前後方向に列を成して配置されており、移動車両1の左右方向のコンパクト化が図られている。
なお、上述のクローラ走行装置16は、車体フレーム10に直接的に支持される構成であるが、例えば、クローラ走行装置16が車体フレーム10に左右方向を軸として上下方向に揺動可能に取り付けられ、この上下方向の揺動を抑制する緩衝機構を備える構成であっても良い。緩衝機構は、車体フレーム10とクローラ走行装置16との間に備えられるものであり、例えばシリンダなどから構成される伸縮自在な棒状のダンパが例示できる。このような構成にすること、クローラ走行装置16が安定して接地するとともに、走行性や乗り心地が向上する。
また、移動車両1は、動力源としてのバッテリ19の電力によって走行装置としてのクローラ走行装置16を駆動して走行する構成に限定されるものではない。移動車両1は、例えば動力源としてエンジンを備え、エンジンの動力によって走行装置としてのクローラ走行装置16を駆動して走行する構成であっても構わない。更に、移動車両1は、人力によって走行装置としてのクローラ走行装置16を駆動する構成であっても良く、例えば後ステップ15を踏みこんだり回転させたりする動力をクローラ走行装置16へ伝達し、この動力によってクローラ走行装置16を駆動して走行する構成であっても良い。
また、移動車両1における走行装置は、クローラ式の走行装置に限定されるものではなく、ホイール式の走行装置であっても構わない。クローラ式の走行装置である場合には、接地面積が広く安定性が良く、不整地や比較的軟弱な地盤でも良好な走行が可能となる。一方、ホイール式の走行装置である場合には、走行速度と旋回性を向上することができる。
前ステップ14は、車体フレーム10に取り付けられるステップアーム44と、ステップアーム44に取り付けられ、作業者の右足が載置されるフットプレート45などから構成される。ステップアーム44は、水平方向に延びる四角柱状部材が下方へ向けて折り曲げられて略逆L字状に形成される。ステップアーム44は、下方に位置する端部にフットプレート45が取り付けられ、上方に位置する端部に上下方向に延びる円筒状の筒部46を有する。筒部46は、上部にその外径が小さくされた連結筒部47を有する。そして、筒部46には前回動軸29が挿通され、前ステップ14は車体フレーム10に前回動軸29を軸として前後方向に回動自在に取り付けられている。なお、ステップアーム44は、図示せぬ係止ピンによって前回動軸29を軸とした回動を抑制できるように、つまり、車体フレーム10に固定できるように構成されている。
フットプレート45は、平面視で略扇形状であり、ステップアーム44の下方に位置する端部に水平方向へ延びて外方へ突出するように取り付けられている。フットプレート45の前側及び後側の縁部は上方へ折り曲げられている。なお、フットプレート45は、ステップアーム44に沿うように上方へ回転することができるようにステップアーム44に取り付けられている。
後ステップ15は、前ステップ14と同様の構成であり、車体フレーム10に取り付けられるステップアーム48と、ステップアーム48に取り付けられ、作業者の左足が載置されるフットプレート49などから構成される。ステップアーム48は、水平方向に延びる四角柱状部材が下方へ向けて折り曲げられて略逆L字状に形成される。ステップアーム48は、下方に位置する端部にフットプレート49が取り付けられ、上方に位置する端部に上下方向に延びる円筒状の筒部50を有する。筒部50は、上部にその外径が小さくされた連結筒部51を有する。そして、筒部50には後回動軸30が挿通され、後ステップ15は車体フレーム10に後回動軸30を軸として前後方向に回動自在に取り付けられている。なお、ステップアーム48は、図示せぬ係止ピンによって後回動軸30を軸とした回動が抑制されており、車体フレーム10に固定されている。
フットプレート49は、平面視で略扇形状であり、ステップアーム48の下方に位置する端部に水平方向へ延びて外方へ突出するように取り付けられている。フットプレート49の前側及び後側の縁部は上方へ折り曲げられている。なお、フットプレート49は、ステップアーム48に沿うように上方へ回転することができるようにステップアーム48に取り付けられている。
そして、前ステップ14は、図3に示すように、操舵リンク機構52を介して、前操舵軸23及び後操舵軸24に連動連結されている。ここで、図3は操舵リンク機構52の構成を説明する概略平面図であり、シート13、シート位置調節装置18、制御部20、支持台28などの記載は省略され、支柱27は断面で示されている。
操舵リンク機構52は、2つのリンクプレート53,54と、2つのリンクアーム55,56などから構成される。リンクプレート53は、一端に上下方向に延びる円筒状の支持筒部57と、支持筒部57に固定されたギヤ部58とを有する。支持筒部57には、前ステップ14のステップアーム44の筒部46の連結筒部47が挿入され、リンクプレート53はステップアーム44に連結筒部47を軸として前後方向に回動自在に取り付けられている。なお、前回動軸29、筒部46、連結筒部47、支持筒部57、及びギヤ部58は同軸上に位置している。また、リンクプレート53は、図示せぬ係止ピンによって連結筒部47と支持筒部57とを連結して連結筒部47を軸とした回動が抑制されており、ステップアーム44に固定されている。つまり、リンクプレート53は、前ステップ14と一体的に、前回動軸29を軸として前後方向に回動自在に構成されている。
リンクアーム55は、円柱状の棒状部材であり、一端がリンクプレート53の他端に上下方向を軸として回動自在に連結され、他端が前操舵軸23のフランジ25の左側端部に上下方向を軸として回動自在に連結される。
リンクプレート54は、リンクプレート53と同様の構成であり、一端に上下方向に延びる円筒状の支持筒部59と、支持筒部59に固定されたギヤ部60とを有する。支持筒部59には、後ステップ15のステップアーム48の筒部50の連結筒部51が挿入され、リンクプレート54はステップアーム48に連結筒部51を軸として前後方向に回動自在に取り付けられている。後回動軸30、筒部50、連結筒部51、支持筒部59、及びギヤ部60は同軸上に位置している。リンクプレート53のギヤ部58は、リンクプレート54のギヤ部60と噛み合っており、ギヤ部58とギヤ部60のピッチは同じである。なお、リンクプレート54は、図示せぬ係止ピンによって連結筒部51と支持筒部59とを連結して連結筒部51を軸とした回動が抑制できるように構成されている。つまり、リンクプレート54は、後ステップ15と一体的に、後回動軸30を軸として前後方向に回動自在となるように構成されている。
リンクアーム56は、円柱状の棒状部材であり、一端がリンクプレート54の他端に上下方向を軸として回動自在に連結され、他端が後操舵軸24のフランジ26の左側端部に上下方向を軸として回動自在に連結される。
そして、上述のような構成の操舵リンク機構52によって、前ステップ14は前操舵軸23及び後操舵軸24に連動連結されており、図4に示すように、前ステップ14が前回動軸29を軸として前後方向に回動されることで、前操舵輪11と後操舵輪12が操作されるように構成されている。ここで、図4は操舵リンク機構52の動作を説明する概略平面図であり、図4Aは右旋回時の状態であり、図4Bは左旋回時の状態である。また、図4は、図3と同様の図であり、シート13、シート位置調節装置18、制御部20、支持台28などの記載は省略され、支柱27は断面で示されている。
図4Aに示されるように、図3に示される状態から前ステップ14が前回動軸29を軸として前方向(平面視で時計回り)に回動された際、係止ピンによって連結筒部47と支持筒部57は連結されているので、リンクプレート53は、前ステップ14と一体的に、前回動軸29を軸として前方向(平面視で時計回り)に回動される。リンクプレート53が前回動軸29を軸として前方向(平面視で時計回り)に回動されることによって、リンクアーム55が前方へと押し出される。そして、前操舵軸23が平面視で時計回りに回動されて、移動車両1が右旋回するように前操舵輪11が操作される。
ここで、リンクプレート53のギヤ部58は、リンクプレート54のギヤ部60と噛み合っている。したがって、リンクプレート53が平面視で時計回りに回動されることによって、リンクプレート54は、ステップアーム48の連結筒部51を軸として後方向(平面視で反時計回り)に回動される。リンクプレート54が連結筒部51を軸として後方向(平面視で反時計回り)に回動されることによって、リンクアーム56が後方へと押し出される。そして、後操舵軸24が平面視で反時計回りに回動されて、移動車両1が右旋回するように後操舵輪12が操作される。
したがって、前ステップ14が前回動軸29を軸として平面視で時計回りに回動されることで、前操舵軸23は平面視で時計回りに回動され、後操舵軸24は平面視で反時計回りに回動され、移動車両1が右旋回するように前操舵輪11及び後操舵輪12が操作される。
一方で、図4Bに示されるように、図3に示される状態から前ステップ14が前回動軸29を軸として後方向(平面視で反時計回り)に回動された際、係止ピンによって連結筒部47と支持筒部57は連結されているので、リンクプレート53は、前ステップ14と一体的に、前回動軸29を軸として後方向(平面視で反時計回り)に回動される。リンクプレート53が前回動軸29を軸として後方向(平面視で反時計回り)に回動されることによって、リンクアーム55が後方へと引っ張られる。そして、前操舵軸23が平面視で反時計回りに回動されて、移動車両1が左旋回するように前操舵輪11が操作される。
また、リンクプレート53のギヤ部58にギヤ部60が噛み合うリンクプレート54は、リンクプレート53が平面視で反時計回りに回動されることによって、ステップアーム48の連結筒部51を軸として前方向(平面視で時計回り)に回動される。リンクプレート54が連結筒部51を軸として前方向(平面視で時計回り)に回動されることによって、リンクアーム56が前方へと引っ張られる。そして、後操舵軸24が平面視で時計回りに回動されて、移動車両1が左旋回するように後操舵輪12が操作される。
したがって、前ステップ14が前回動軸29を軸として平面視で反時計回りに回動されることで、前操舵軸23は平面視で反時計回りに回動され、後操舵軸24は平面視で時計回りに回動され、移動車両1が左旋回するように前操舵輪11及び後操舵輪12が操作される。
そして、移動車両1は、操舵リンク機構52を介して前操舵軸23と後操舵軸24とに連動連結された前ステップ14で、前操舵輪11と後操舵輪12が操作されるように構成されている。したがって、作業者は、座位での脚の動きによって移動車両1の操舵ができる。なお、座位での作業者は、大腿部を含めた右脚を車両の前後方向に動かす、つまり、脚を開いたり閉じたりすることで移動車両1の操舵を行う。ここで、座位の作業者を保持するシートポスト33,33は、その間隔が右側から前ステップ14及び後ステップ15が位置する左側へ向けて漸次広くなるように配置されている。また、2つのシートポスト33,33は、座部31の左右方向の中央ではなく、右側に偏って位置している。したがって、作業者は、大腿部を含めた脚を良好に前後方向に動かす(開いたり閉じたりする)ことができる。
ここで、前ステップ14、後ステップ15、及び操舵リンク機構52は、前ステップ14に替わって後ステップ15によって前操舵輪11と後操舵輪12とを操作するように切り換え可能に構成されている。切り換える方法としては、まず、係止ピンによって前ステップ14のステップアーム44の前回動軸29を軸とした回動を抑制し、前ステップ14を車体フレーム10に固定する。次に、ステップアーム44の連結筒部47とリンクプレート53の支持筒部57とを連結している係止ピンを外し、リンクプレート53をステップアーム44の連結筒部47を軸として前後方向に回動自在とする。次に、後ステップ15のステップアーム48の後回動軸30を軸とした回動を抑制している係止ピンを外して、後ステップ15が後回動軸30を軸として回動自在となるようにする。次に、係止ピンによって連結筒部51と支持筒部59とを連結し、リンクプレート54が後ステップ15と一体的に、後回動軸30を軸として前後方向に回動自在となるようにする。
上述のように、前回動軸29に対する前ステップ14の回動、前ステップ14に対するリンクプレート53の回動、後回動軸30に対する後ステップ15の回動、及び後ステップ15に対するリンクプレート54の回動をそれぞれ変更することで、後ステップ15によって前操舵輪11と後操舵輪12とを操作するように切り換えることができる。このように、前ステップ14と後ステップ15は、いずれかで前操舵輪11と後操舵輪12を操作するように切り換え可能に構成されるので、作業者の利き脚、前進と後進の切り換えなどに応じて操舵操作を行うステップを選択することができるので、使い勝手が良い。
なお、移動車両1の操舵機構は、上述の操舵リンク機構52を用いる構成に限定されるものではない。前ステップ14または後ステップ15のいずれか一方によって前操舵輪11と後操舵輪12を操作するように構成されていれば良い。例えば、車体フレーム10に対する前ステップ14の回動方向と回動量とを検出する角度センサと、上下方向を軸として前操舵軸23と後操舵軸24を車体フレーム10に対してそれぞれ回転させる2つのモータとを備え、この2つのモータを角度センサの検出値に応じて制御部20が制御するように構成されても良い。角度センサとしては、例えばロータリエンコーダなどを用いることができる。このような構成にすることで、移動車両1の構成が簡略化され、生産効率が向上される。
また、前ステップ14と後ステップ15は、車体フレーム10のいずれか一方の側方に設けられる構成であれば良く、例えば車体フレーム10の右側方に設けられる構成であっても良い。なお、上述の前ステップ14、後ステップ15、及び操舵リンク機構52の構成は、左右対称の位置にそれぞれを配置することで、前ステップ14と後ステップ15を車体フレーム10の右側方に位置させることができる。したがって、作業者の利き脚などに応じて前ステップ14と後ステップ15の位置を車体フレーム10の左右で選択することができるので、使い勝手が良い。
また、リンクアーム55と前操舵軸23、リンクアーム56と後操舵軸24は、ギヤを介して連動連結される構成としても良い。このような構成にすることで、操作時の前ステップ14の回動角度を小さくしたり、前ステップ14の回動操作に要する力を小さくしたりできるので、操作性が向上される。
また、操舵操作する前ステップ14と後ステップ15の切り換え構成は、上述の係止ピンを用いた構成に限定されるものではなく、例えば電磁石などを用いて切り換えることができる構成であっても良く、容易に切り換えることができる。
また、上述の構成では、前ステップ14の全体を車体フレーム10に対して回動させるが、前ステップ14のフットプレート45をステップアーム44に対して上下方向を軸として前後方向に回転させたり、前後方向を軸として上下方向に回転させたりして、前操舵輪11と後操舵輪12を操作するように構成されも良い。
ここで、前操舵輪11と後操舵輪12を操作するように構成される前ステップ14及び後ステップ15は、移動車両1を変速するようにも構成されている。前ステップ14及び後ステップ15は、図2に示されるように、それぞれフットプレート45,49に、移動車両1を前進または後進させるアクセルスイッチ61と、移動車両1を制動させるブレーキスイッチ62と、移動車両1の前進及び後進を切り換える前後進切り換えスイッチ63と、シート位置調節装置18を作動させるシート調節スイッチ64などを備える。
アクセルスイッチ61とブレーキスイッチ62は、自動復帰型(モーメンタリ型)の押圧式スイッチである。前後進切り換えスイッチ63とシート調節スイッチ64は、位置保持型(オルタネイト型)の押圧式スイッチである。そして、移動車両1は、アクセルスイッチ61が押圧操作されている間だけ、クローラ走行装置16が所定の速さで駆動され、ブレーキスイッチ62が押圧操作されている間だけ、クローラ走行装置16のブレーキ装置が駆動されるように構成されている。また、移動車両1は、前後進切り換えスイッチ63が押圧操作される度に、クローラ走行装置16の駆動方向が切り換えられるように構成されている。また、移動車両1は、シート調節スイッチ64が押圧操作される度に、シート位置調節装置18の荷重センサ34の検出値に基づく制御のオン・オフがされるように構成されている。したがって、作業者は手を使うことなく移動車両1の走行操作ができ、使い勝手が良い。
ここで、前ステップ14によって前操舵輪11と後操舵輪12とを操作する際には、前ステップ14に配置されたアクセルスイッチ61、ブレーキスイッチ62、前後進切り換えスイッチ63、及びシート調節スイッチ64は機能せず、後ステップ15によって前操舵輪11と後操舵輪12とを操作する際には、後ステップ15に配置されたアクセルスイッチ61、ブレーキスイッチ62、前後進切り換えスイッチ63、及びシート調節スイッチ64は機能しないように構成されている。したがって、移動車両1の操舵を行う脚によってその他の操作を行うことがなく、操作性が良好となるとともに、作業者は安定した座位を保つことができる。
なお、前ステップ14に配置されたアクセルスイッチ61、ブレーキスイッチ62、前後進切り換えスイッチ63、及びシート調節スイッチ64は、上述の構成に限定されるものではなく、スイッチの形態、位置などは適宜選択できる。例えば、アクセルスイッチ61やブレーキスイッチ62は、押圧操作の操作量(押し込み量)に応じて、クローラ走行装置16の駆動速度やクローラ走行装置16のブレーキ装置の動作が変更されるように構成されても良い。また、アクセルスイッチ61を押圧操作する(ひと踏み)毎に所定の距離だけ移動車両1が進むように構成されても良く、操作が簡略化されて使い勝手が良い。また、荷重センサ34で荷重が検出されている場合のみ、アクセルスイッチ61が機能するように構成されても良く、不意に移動車両1が走行することなく、使い勝手が良い。
また、前ステップ14と後ステップ15は、例えば電源スイッチなどその他のスイッチを備える構成であっても良く、スイッチ類を備えない構成であっても良い。しかしながら、作業性の観点から、前ステップ14と後ステップ15の少なくとも一方は、移動車両1を変速するように構成されることが好ましく、作業者は手を使うことなく移動車両1の走行操作ができ、手で別の作業を行うことができる。
また、前ステップ14と後ステップ15は、フットプレート45,49に載置される作業者の足を固定させるバンドなどの固定具を備える構成であっても良い。このような構成にすることで、前ステップ14と後ステップ15による前操舵輪11と後操舵輪12の操作が容易となる。なお、このような固定具は、安全性の観点から、前操舵輪11と後操舵輪12の操作を行ういずれかに設けることが好ましい。また、作業者の足が載置されるフットプレート45,49の上面は、水平な面に限定されるのではなく、左右方向に傾斜する面であっても良い。例えばフットプレート45,49の上面を外方側(左側)へ向かって上方へ傾斜する面とすることで、作業者は、位置調節装置18によってシート13が車体フレーム10に対して左側(乗車時の作業者の正面側)に傾倒されて前傾姿勢になっても、安定した着座姿勢を維持できる。また、フットプレート45,49は、前側及び後側の縁部とともに外方側(左側)の縁部も上方へ折り曲げられる構成であっても良い。
次に、移動車両1を用いた作物の収穫作業の一例について説明する。ここで、図5は、作物の一例としてのブドウが栽植される圃場70の一例が示された概略平面図であり、図6は、ブドウの栽植状態を説明するためのブドウの垣根71の概略側面図である。なお、図5における矢印は移動車両1の圃場70での経路の一部を示す。
ワインの原料として用いられるブドウは、育成や管理における効率化、日照や風通しなどの育成条件の向上などの観点から、図5、図6示されるように、圃場70に垣根状に複数の列を成して栽植される場合がある。このように列を成すブドウの垣根71は、複数の杭72やロープ73などを用いて形成される。杭72は、圃場70に略等間隔で直線状に配置される。隣接する杭72の間には、高さの異なる複数のロープ73が張られる。ブドウの木74は、杭72の列に沿って略等間隔で植えつけられる。それぞれのブドウの木74の幹は、図6に示すように、下方に位置するロープ73に固定されるとともに、このロープ73に沿って伸びるように育成される。そして、ブドウの垣根71は、ブドウの木74の幹から伸びるつるを他のロープ73に這わせることによって形成される。
ブドウの木74は、土壌Gから所定の高さ、例えば500mm〜2000mmの位置に、果実としてのブドウの房75が上下二段の列を形成してなるように剪定などがなされて育成される。つまり、ブドウの房75は、椅子などに着座した状態で手元附近に位置するような高さになる。また、複数の列を形成しているブドウの垣根71の間(畝間)は、生産効率の観点などから、例えば作業者がすれ違うことができる程度、1000mm〜2000mmに形成される。
なお、杭72やロープ73などは特に限定されるものではないが、土壌Gへの影響が少ないものを用いることが好ましく、例えば、杭72には丸太などの材木を用い、ロープ73には生分解性プラスチックから形成されるものを用いることが好ましい。
そして、上述のようにブドウが栽植される圃場70において、作業者は移動車両1の左側方を向いてシート13に着座して移動車両1に乗車し、複数の列を形成しているブドウの垣根71の間(畝間)を走行してブドウの収穫を行う。なお、作業者の乗車姿勢は、移動車両1の左側方を向いた座位であり、前進方向に向かって左側に位置するブドウの垣根71の側面に正対した状態である。そして、作業者は、座位にて目の前にあるブドウの房75の果柄を切断器具としてのはさみなどで切断して、ブドウの房75を手摘みする。なお、摘み取られたブドウの房75は、圃場70に配置された図示せぬ収穫箱などに収容する。
ここで、移動車両1は、作業者の座位での作業姿勢が保たれたままで畝間を走行し、作業者は手を使うことなく前ステップ14によって前操舵輪11と後操舵輪12の操作ができるように構成されている。したがって、手摘みによる収穫作業での作業者の負荷が低減され、収穫作業の効率が向上する。
また、移動車両1は、動力源としてのバッテリ19の電力によって駆動するクローラ走行装置16によって走行するため、作業者の圃場70での移動に費やす労力が低減され、収穫作業の効率が向上する。
また、移動車両1は、作業者は手を使うことなく後ステップ15に配設されたアクセルスイッチ61、ブレーキスイッチ62、前後進切り換えスイッチ63などによって移動車両1を変速するように構成されているので、手摘み作業を中断することなく走行操作ができ、使い勝手が良く、収穫作業の効率が向上する。
また、移動車両1は、クローラ走行装置16、前操舵輪11、及び後操舵輪12が平面視において前後方向に列を成して配置されており、移動車両1の左右方向のコンパクト化が図られている。そして、移動車両1の左右方向の幅は、概ね作業者の座位でのつま先から背中までの幅である。したがって、移動車両1は、幅が狭い畝間、例えば作業者がすれ違うことができる程度に狭い圃場70の畝間を走行することができる。なお、移動車両1は、左右方向のコンパクト化が図られることによって、左右方向の安定性が低下する場合があるが、クローラ走行装置16によって接地面積を確保するとともに、補助輪17を備えるため、安定性が向上されている。
また、移動車両1は、略前後対称の構造であり、作業者は移動車両1の左側方を向いた座位で乗車するので、前後進を切り換えた際の操作性が低下しにくい。したがって、例えば図5に示されるように、前後進を切り換えて旋回するスイッチバック方式の旋回を操作性が低下することなく容易にでき、畝間の幅が狭い圃場70での走行性が良好である。また、移動車両1は、前部の前操舵輪11と後部の後操舵輪12とを備えるので、旋回半径を小さくすることができる。したがって、例えば図5に示されるように、畝間の幅が狭い圃場70であってもUターン走行を良好に行うことができる。
また、移動車両1は、荷重センサ34の検出値に基づいて作動するように構成されるシート位置調節装置18を備えるので、作業者の体格、収穫物としてのブドウの房75のなる位置などに応じてシート13の位置を変更することができ、作業者は収穫作業をしやすい体勢をとれ、使い勝手が良い。更に、作業者は手を使うことなくシート13の高さを変更することができ、使い勝手が良く、手摘みによる収穫作業の効率が向上する。
また、移動車両1は、乗車時の作業者の臀部を挟み込むように保持するとともに、把持部35を有するシートポスト33を備えるので、簡易な構成で作業者は安定した座位での作業姿勢をとれ、手摘みによる収穫作業の効率が向上する。また、作業者は把持部35を掴むことができ、移動車両1が激しく揺れても着座姿勢を維持できる。
ここで、2つのシートポスト33,33は座部31に対して着脱自在であるので、この2つのシートポスト33,33を座部31から取り外すことによって、移動車両1の用途が拡大し、使い勝手が良い。例えば、移動車両1に外部からの情報を受信する通信装置を更に設け、移動車両1を作業者が乗車せずに外部の操作装置によって遠隔操作が可能な構成とする。このような構成にすることで、図7に示されるように、摘み取られたブドウの房75が収容された収穫箱76をシート13の座部31に載置して搬送する搬送用の車両などとして使用することができる。
なお、移動車両1が搬送するものは、ブドウの房75が収容された収穫箱76に限定されるのもではなく、シート13の座部31に載置できるものであれば良く、例えば肥料、消毒液、水などが収容される薬液タンクなどであっても良い。
ここで、移動車両1を遠隔操作する際には、前ステップ14と後ステップ15のフットプレート45,49をステップアーム44,48に沿うように上方へ回転させて収納する。フットプレート45,49を収納することで、フットプレート45,49が地面の凹凸や草などに引っ掛かることが防止され、走行性が向上される。
また、移動車両1は、シート13を昇降させるシート位置調節装置18を備えるので、座部31に載置された収穫箱76を昇降させることができ、例えば収穫箱76のトラックへの積み込み作業を容易に行うことができる。また、移動車両1を遠隔操作が可能な構成とすることで、例えば乗車することなく移動車両1を搬送トラックへ積み込んだり積み出したりすることができ、使い勝手が良い。
なお、移動車両1を搬送用の車両として用いる場合には、1つの外部の操作装置によって2つの移動車両1が並走するように遠隔操作ができる構成としても良い。このような構成にすることで、2つの移動車両1の座部31に架け渡すように搬送物を載置して搬送することができるので、大きな搬送物を安定して搬送することができる。また、走行路の凹凸や傾斜に応じて2つの移動車両1のシート位置調節装置18を作動させることで、搬送物を更に安定して搬送することができる。シート位置調節装置18は、作業者が外部の操作装置によって操作しても良く、移動車両1が備える姿勢角度センサや荷重センサ34などの検出値に応じて制御されても良い。また、2つの移動車両1は、剛性を有するフレームなどによって並列状態に連結できるように構成されても良い。
また、本実施形態は、外部の動力源の動力によって駆動する構成であっても良く、例えば図8、図9に示される移動車両2であっても良い。図8は別の実施形態に係る移動車両2の一例が示された概略側面図であり、図9は図8の移動車両2の概略平面図である。なお、移動車両2は、上述の移動車両1が更に支持フレーム180を備える構成である。そして、移動車両2は、支持フレーム180と支持フレーム180に取り付けられる各種装置に関する構成以外は上述の移動車両1と同様の構成であり、その説明は適宜省略する。
移動車両2は、車体フレーム10から上方へ延びる支持フレーム180と、支持フレーム180に取り付けられるケーブル181、コネクタ182、2つの撮像装置183、及び2つの警報装置184などを備える。
支持フレーム180は、側面視で門型状であり、下端が車体フレーム10の前部に取り付けられて上方へ延びる円筒状のフロントフレーム185と、下端が車体フレーム10の後部に取り付けられて上方へ延びる円筒状のリアフレーム186と、フロントフレーム185の上端からリアフレーム186の上端に前後方向へ延びる角筒状のアッパーフレーム187とを有する。そして、アッパーフレーム187は、作物、例えば上述のブドウの垣根71の上端より上方に位置しており、このアッパーフレーム187にケーブル181とコネクタ182が取り付けられる。
なお、支持フレーム180は、車体フレーム10から作物の上端より上方に延びる構成であれば良く、例えばフロントフレーム185とリアフレーム186が伸縮自在な構成であっても良い。
ケーブル181は、らせん状に巻かれて伸縮可能に構成されており、一端がアッパーフレーム187の左側部に前後方向にスライド可能に取り付けられ、他端にコネクタ188を有している。アッパーフレーム187に取り付けられたケーブル181の一端は、アッパーフレーム187の内部に設けられる図示せぬ通電レールや図示せぬワイヤーハーネスなどを介してバッテリ19と接続されており、その接続はケーブル181がスライドする際でも維持されるように構成されている。そして、移動車両2は、ケーブル181を介して外部電源の電力をバッテリ19に蓄電できるように構成されている。
なお、ケーブル181は、作物の上端より上方に位置する支持フレーム180から延び、外部の動力源と接続可能な構成であれば良く、例えば一端がアッパーフレーム187に固定される構成であっても良い。また、ケーブル181は、ケース、ケース内に設けられた円筒状のリール、及びリールを回転させるゼンマイバネなどから構成される巻き取り装置に引き出し自在に収納される構成であっても良い。
コネクタ182は、ケーブル181と同様に、アッパーフレーム187の右側部に前後方向にスライド可能に取り付けられている。コネクタ182は、アッパーフレーム187の内部に設けられる図示せぬ通電レールなどを介してケーブル181の一端と接続されており、その接続はコネクタ182がスライドする際でも維持されるように構成されている。そして、移動車両2は、ケーブル181が外部電源と接続されている際に、外部電源の電力をコネクタ182から外部に供給できるように構成されている。
なお、コネクタ182は、作物の上端より上方に位置する支持フレーム180に設けられ、動力としての電力を外部へ供給できる構成であれば良く、例えばアッパーフレーム187に固定される構成であっても良い。また、コネクタ182は、バッテリ19にも接続可能な構成であっても良く、このような場合には、バッテリ19の電力を外部へ供給できる。また、コネクタ182は、アッパーフレーム187から延びるケーブル181と同様に、ケーブルの先端に設けられる構成であっても良い。
フロントフレーム185とリアフレーム186には、それぞれ前ステップ14と後ステップ15が位置する側である車体フレーム10の左側方を撮像する撮像装置183と、警報装置184が取り付けられ、撮像装置183と警報装置184は制御部20によって制御される。そして、移動車両2は、撮像装置183によって撮像された画像に基づいて未収穫物の有無を判定し、未収穫物が有ると判定された際に警報装置184を作動させて作業者に未収穫物があることを知らせるように構成されている。
撮像装置183は、例えばCCD(Charge Coupled Device)カメラである。撮像装置183は、座位の作業者の手元付近の高さに位置しており、作業者が収穫作業をしている領域付近の撮像が可能である。移動車両1が前進している際には、リアフレーム186に取り付けられた撮像装置183が、収穫作業をしている領域の後方側(収穫直後の領域)を撮像する。一方、移動車両1が後進している際には、フロントフレーム185に取り付けられた撮像装置183が、収穫作業をしている領域の前方側(収穫直後の領域)を撮像する。
なお、撮像装置183は、収穫直後の領域を撮像できる構成であれば良く、その配置や数は適宜設計でき、例えば、リアフレーム186やフロントフレーム185とは異なる部材によって支持される構成であっても良い。
ここで、制御部20は、撮像装置183によって収穫直後の領域が撮像された画像に所定の処理を行うことで未収穫物の有無を判定する図示せぬ判定部を有する。判定部は、例えばプログラムによって構成される。判定部が行う所定の処理とは、フィルタリング処理や統計処理などであり、未収穫物の有無を判定することができる構成であれば特に限定されるものではない。例えば、判定部は、撮像装置183によって撮像された画像に収穫物の色に基づくフィルタリング処理を施して収穫物であると仮定される領域を抽出し、この抽出された領域の大きさについて統計処理を行って未収穫物の有無を判定するように構成される。なお、移動車両1が前進している際には、判定部は、リアフレーム186に取り付けられた撮像装置183によって撮像された画像に所定の処理を行って未収穫物の有無を判定する。一方、移動車両1が後進している際には、判定部は、フロントフレーム185に取り付けられた撮像装置183によって撮像された画像に所定の処理を行って未収穫物の有無を判定する。
警報装置184は、作業者に未収穫物があることを知らせるものであり、判定部によって未収穫物があると判定された際に作動する。警報装置184の構成は特に限定されるものではなく、音や光によって作業者に未収穫物があることを知らせるように構成される。警報装置184としては、例えば警報音発生装置やランプ点滅装置などが例示でき、警報装置184の配置や数は限定されるものではない。
次に、上述の移動車両2を用いた作物の収穫作業の一例について説明する。図10は、移動車両2による収穫作業の一例が示された概略平面図である。そして、図10には、上述の移動車両1における収穫作業と同様に、複数の杭72やロープ73などを用いて複数の列を成すブドウの垣根71が形成された圃場70での収穫作業が示されている。
移動車両2は、外部電源としての発電車両189とともに、複数台で用いられる。なお、図10では、6台の移動車両2a,2b,2c,2d,2e,2fを用いた収穫作業が例示されている。発電車両189は、図示せぬエンジン、発電機、バッテリなどを備え、外部へ電気を供給できるとともに、遠隔操作ができるように構成されている。なお、発電車両189は、移動車両2の支持フレーム180と同様の構成であって、作物としてのブドウの垣根71の上端より上方に延びるフレーム190を有している。また、発電車両189は、このフレーム190の上部に外部へ電力を供給する図示せぬ電力供給コネクタを備える。そして、発電車両189は、最も外方側(図10では上方側)のブドウの垣根71aの外方側に配置される。
6台の移動車両2a,2b,2c,2d,2e,2fは、それぞれ異なるブドウの垣根71の間(畝間)に配置される。各作業者は、それぞれ移動車両2a,2b,2c,2d,2e,2fに座位で乗車し、それぞれ異なる畝間を連れだって走行してブドウの収穫を行う。なお、発電車両189は、いずれかの作業者、例えば移動車両2aに乗車する作業者によって、移動車両2の走行に追随して垣根71aに沿って走行するように遠隔操作される。
ここで、6台の移動車両2a,2b,2c,2d,2e,2fと発電車両189は、それぞれが備えるケーブル181によって接続されている。より詳細には、発電車両189の隣の畝間に位置する移動車両2aは、ケーブル181のコネクタ188を発電車両189の電力供給コネクタに接続させる。また、移動車両2aの隣の畝間に位置する移動車両2bは、ケーブル181のコネクタ188を移動車両2aのコネクタ182に接続させる。同様にして、移動車両2bの隣の畝間に位置する移動車両2cは、ケーブル181のコネクタ188を移動車両2bのコネクタ182に接続させる。そして、各移動車両2は、発電車両189の側の隣の畝間に位置する別の移動車両2のコネクタ182に自身のケーブル181のコネクタ188を接続させる。
なお、ケーブル181は、ブドウの垣根71の上端より上方に位置するアッパーフレーム187から延びており、ブドウの垣根71の上方を越えて別の移動車両2のコネクタ182や発電車両189の電力供給コネクタに接続される。
6台の移動車両2a,2b,2c,2d,2e,2fのケーブル181を上述のように接続させることで、6台の移動車両2a,2b,2c,2d,2e,2fを順次発電車両189に接続することができる。そして、6台の移動車両2a,2b,2c,2d,2e,2fのバッテリ19は、6台の移動車両2a,2b,2c,2d,2e,2fのケーブル181とコネクタ182を介して外部電源としての発電車両189のバッテリに並列に接続される。つまり、6台の移動車両2a,2b,2c,2d,2e,2fは、発電車両189から電力の供給を受けながら走行することができる。
また、ケーブル181は、ブドウの垣根71の上方を越えて別の移動車両2のコネクタ182や発電車両189の電力供給コネクタに接続されているので、走行時にブドウの垣根71にケーブル181が引っ掛かって収穫作業が中断されることがなく、収穫作業の効率が向上する。
また、6台の移動車両2a,2b,2c,2d,2e,2fは、それぞれが別々のケーブルによって発電車両189に接続されるのではなく、隣接する別の移動車両2にケーブル181が接続されることで発電車両189に接続される。したがって、6台の移動車両2a,2b,2c,2d,2e,2fのケーブル181が走行によって絡み合うことがなく、収穫作業が中断されることがなく、収穫作業の効率が向上する。
また、6台の移動車両2a,2b,2c,2d,2e,2fは、連れだって走行するものの、ケーブル181は伸縮可能であるとともにアッパーフレーム187に前後方向にスライド可能に取り付けられるので、隣接する移動車両2の間において、一方の移動車両2は他方の移動車両2に対して前後方向に所定の範囲でずれて走行することができ、使い勝手が良い。なお、発電車両189にケーブル181が接続される移動車両2aは、発電車両189に対して前後方向に所定の範囲でずれて走行することができる。
また、例えば移動車両2c,2d,2e,2fなどに乗車する作業者は、騒音源となる外部電源としての発電車両189から離れた位置での収穫作業を行うことになるので、収穫作業中の作業者同士の意思の疎通を容易に行える。
また、移動車両2は、撮像装置183と制御部20の判定部によって未収穫物の有無を判定し、未収穫物が有ると判定された際に警報装置184を作動させて作業者に未収穫物があることを知らせるように構成されている。したがって、作業者が多大な注意を払うことなく未収穫物の発生を防止することができ、収穫作業の効率が向上する。
なお、移動車両2は、収穫物としてのブドウの房75が図6に示されるように上下二段の列を形成してなる場合には、少なくとも上下の一方の列における未収穫物を判定し、未収穫物が有ると判定された際に作業者に未収穫物があることを知らせるように構成されても良い。このような構成にすることで、未収穫物の判定における制御部20の演算量を低減させることができるとともに、判定の確実性を向上することができる。また、作業者は、すべての収穫物としてのブドウの房75に対して注意を払うのではなく、未収穫物の判定がなされない側の列のブドウの房75のみに多くの注意を払えば良く、作業者の負担が軽減されるとともに、収穫作業の効率が向上する。
また、移動車両2による未収穫物の有無の判定は、上述の撮像装置183と制御部20の判定部(未収穫判定装置)によってされる構成に限定されるものではない。例えば、移動車両2が外部と情報の送受信ができる通信装置を更に備え、上述の判定部を有する外部の制御部によって未収穫物の有無の判定がなされる構成であっても良い。
また、RFID(radio frequency identification)を用いて未収穫物の有無を判定する構成であってあっても良い。このような構成としては、収穫物としてのブドウの房75にIC(integrated circuit)と電波を放出するアンテナが内蔵されたタグを取り付け、タグから放出される電波を受信するアンテナを移動車両2に設ける。そして、タグの有無によって未収穫のブドウの房75の有無を判定する。このような構成であっても、同様の効果が得られる。
また、本実施形態は、図11に示されるように、収穫物を収集する収集装置280を備える移動車両3であっても良い。ここで、図11は別の実施形態に係る移動車両3の一例が示された概略側面図であり、図11における矢印は収集装置280の収容箱281の搬送方向を示す。なお、移動車両3は、上述の移動車両1の後部に収集装置280が連結される構成である。そして、移動車両3は、この収集装置280に関する構成以外は、上述の移動車両1と同様の形態であり、その構成についての詳細な説明は省略する。
図11に示されるように示されるように、移動車両3は、車体フレーム10の後部に連結されて牽引される収集装置280を備える。収集装置280は、作業者が収穫した収穫物を収容する複数の収容箱281と、収容箱281に収容される収穫物を収集する台車282と、収容箱281に収容された収穫物を台車282に移送するように収容箱281を搬送する搬送装置283などを備える。図11には、6つの収容箱281を備える収集装置280が示されている。
収容箱281は、上面に開口を有する直方体状の箱であり、後側の側面が後方へ向かって傾斜している。収容箱281は、収容箱281の左右いずれか一方の側面に、外方へ向けて突出する突起部284を有する。そして、収容箱281は、後述する搬送装置283の支持バー292に回動自在に吊り下げられている。
台車282は、上面に開口を有する直方体状の箱状に形成され、前部と後部にそれぞれ車輪285を有し、前側の側面に前方へ突出する台車連結部286を有する。台車連結部286は、車体フレーム10の後部から後方へ突出する本体連結部287に着脱可能に連結される。
なお、台車連結部286と本体連結部287の連結構成は特に限定されるものではなく、例えば係止ピンなどによる連結であっても良い。また、台車連結部286から離れた場所、例えば台車282の後部で、移動車両3に乗車していない別の作業者が台車連結部286と本体連結部287を連結させたり、分離されたりすることができる構成であっても良い。例えば電磁石を用いて台車連結部286と本体連結部287を連結し、電磁石を操作するスイッチを台車連結部286と台車282の後部に設ける構成であっても良い。このような構成にすることで、移動車両3に乗車している作業者とともに、台車282の後方に位置する別の作業者が、台車282を車体フレーム10に着脱させることができる。したがって、幅が狭い畝間を走行する場合であっても、台車282の受け渡しを容易にでき、使い勝手が良い。
台車282は、左側の側面の前部に上方へ突出する第1突起部288を有し、右側の側面の前後方向の略中央部に上方へ突出する第2突起部289を有する。第1突起部288は、収容箱281の左側(図11では手前側)の側面に設けられた突起部284に対応している。そして、第1突起部288は、収容箱281が搬送装置283によって搬送される際に、収容箱281の突起部284と当接し、収容箱281が支持バー292を軸に回動するように構成されている。一方、第2突起部289は、収容箱281の右側(図11では奥側)の側面に設けられた突起部284に対応している。そして、第2突起部289は、収容箱281が搬送装置283によって搬送される際に、収容箱281の突起部284と当接し、収容箱281が支持バー292を軸に回動するように構成されている。
搬送装置283は、左右方向に所定の間隔を有して配置され、側面視で前後方向に周状に延びた一対のレール290と、レール290に沿って配置された図示せぬチェーンと、チェーンに噛み合う図示せぬスプロケットと、スプロケットを回転させる回動ハンドル291と、左右方向に延びて左右の端部がそれぞれレール290に支持される円柱状の支持バー292と、レール290、チェーン、スプロケット、回動ハンドル291などを支持する図示せぬフレームなどを備える。支持バー292は、図示せぬブラケットを介してチェーンに取り付けられている。フレームは、車輪を有し、車体フレーム10の後部に連結されて牽引される。そして、搬送装置283は、回動ハンドル291を回転させることで、支持バー292に支持される収容箱281を台車282の上方で、前後方向に周回させるように構成されている。
収容箱281は、レール290に沿って側面視で反時計回りに周回する。この際、収容箱281は、移動車両3に乗車した作業者の搬送装置283の側に位置する手である左手付近を通過するとともに、台車282の開口に沿って移動する。移動車両3に乗車した作業者は、左手付近に搬送させた収容箱281に収穫した収穫物を収容する。そして、回動ハンドル291を回転させて収穫物が収容された収容箱281をレール290に沿って搬送する。
この際、左側の側面に突起部284が設けられた収容箱281は、突起部284が台車282の第1突起部288に当接し、支持バー292を軸に時計回りに回動され、収容されていた収穫物が台車282の前部へ移送される。一方、右側の側面に突起部284が設けられた収容箱281は、突起部284が台車282の第2突起部289に当接し、支持バー292を軸に時計回りに回動され、収容されていた収穫物が台車282の略中央部へ移送される。
ここで、左側の側面に突起部284が設けられた収容箱281と、右側の側面に突起部284が設けられた収容箱281は、周回方向に交互に配置されているので、収穫物は台車282の前後方向の2箇所に順次分散するようにして移送される。また、収容箱281に収容された収穫物は、所定量毎に、台車282の開口付近で収容箱281から台車282へ移送される。したがって、移動車両3は、作業者が座位での作業姿勢を大きく変えることなく収穫した収穫物を台車282に効率良く移送することができ、収穫物の収集が容易となり、収穫作業の効率が向上する。また、移動車両3は、収穫物の傷つきを防止した収穫物の収集が可能であり、収穫物の品質を良好に保つことができる。
なお、収集装置280は上述の構成に限定されるものではない。例えば、台車282は複数台の台車が前後方向に連結された構成であっても良い。また、収容箱281から台車282へ収穫物の移送構成は、収容箱281が支持バー292を軸に回動する構成ではなく、例えば収容箱281の底が解放されて台車282へ移送される構成であっても良い。また、搬送装置283は、収容箱281を、台車282の上方で前後方向に周回させるように搬送する構成であれば良く、例えば平面視で前後方向に周回させるような構成であっても良い。また、収集装置280は、搬送装置283を駆動させる動力源を有する構成であっても良い。
また、本実施形態は、上述の移動車両1において前操舵輪11と後操舵輪12を上下方向に揺動させる構成であっても良く、例えば図12、図13に示される移動車両4であっても良い。ここで、図12は別の実施形態に係る移動車両4の一例が示された概略側面図であり、図13は別の実施形態に係る移動車両4の走行時の状態の一例が示された概略側面図である。なお、図12、図13には移動車両4の一部の構成、特に足回りのみが示されている。
移動車両4は、上述の移動車両1における車体フレーム10への前操舵輪11と後操舵輪12の取り付け構成が異なるものであって、移動車両1と同様に図示せぬシート、前ステップ、後ステップ、補助輪、シート位置調節装置、バッテリ、制御部などを備え、その説明は適宜省略する。
移動車両4は、略前後対称の構成であり、走行装置としてのクローラ走行装置316が取り付けられるとともに、クローラ走行装置316の上方と左右の両側方を覆う車体フレーム310と、車体フレーム310の前部に左右方向を軸として上下方向に揺動可能に連結された前操舵輪311と、車体フレーム310の後部に左右方向を軸として上下方向に揺動可能に連結された後操舵輪312などを備える。また、移動車両4は、下端に前操舵輪311を備える前操舵軸323が挿通される円筒状の前操舵ポスト321と、下端に後操舵輪312を備える後操舵軸324が挿通される円筒状の後操舵ポスト322と、前操舵軸323の上端に連結されて前操舵軸323を前操舵ポスト321に対して回動させる前操舵モータ380と、後操舵軸324の上端に連結されて後操舵軸324を後操舵ポスト322に対して回動させる後操舵モータ381なども備える。前操舵モータ380と後操舵モータ381は、それぞれ前操舵ポスト321と後操舵ポスト322に固定されている。前操舵モータ380と後操舵モータ381は制御部によって制御される電動モータである。そして、移動車両4は、前操舵モータ380と後操舵モータ381によって、前操舵軸323と後操舵軸324をそれぞれ回動させることで操舵ができるように構成されている。
前操舵ポスト321は、一端が前操舵ポスト321に固定され、他端が車体フレーム310の前部に左右方向を軸として上下方向に揺動可能に連結された前連結アーム382を介して車体フレーム310に取り付けられる。後操舵ポスト322は、一端が後操舵ポスト322に固定され、他端が車体フレーム310の後部に左右方向を軸として上下方向に揺動可能に連結された後連結アーム383を介して車体フレーム310に取り付けられる。
また、移動車両4は、前連結アーム382または前操舵ポスト321と、車体フレーム310との間に図示せぬ付勢機構を備える。付勢機構は、図12において前連結アーム382が車体フレーム310に対して反時計回りに回動するように力を付与するものであり、シリンダなどから構成される伸縮自在な棒状のダンパが例示できる。同様に、移動車両4は、後連結アーム383または後操舵ポスト322と、車体フレーム310との間に図示せぬ付勢機構を備える。付勢機構は、図12において後連結アーム383が車体フレーム310に対して時計回りに回動するように力を付与するものであり、シリンダなどから構成される伸縮自在な棒状のダンパが例示できる。
このような構成の移動車両4は、図13に示されるように、地面の傾斜の変化に対して前操舵輪311と後操舵輪312が追随し、前操舵輪311と後操舵輪312を地面に確実に接地させるとともに走行時の衝撃を吸収することができ、走行性や乗り心地が向上する。
なお、移動車両4は、前操舵輪311と後操舵輪312を上下方向に揺動させる構成であれば良く、車体フレーム310、前連結アーム382、後連結アーム383、クローラ走行装置316などは上述の構成に限定されるものではない。例えば、図14、図15に示される移動車両5の構成であっても、上述の移動車両4と同様の効果がえられる。ここで、図14は別の実施形態に係る移動車両5の一例が示された概略側面図であり、図15は別の実施形態に係る移動車両5の走行時の状態の一例が示された概略側面図である。なお、図14、図15には、図12、図13と同様に移動車両5の一部の構成、特に足回りのみが示されている。
移動車両5は、上述の移動車両4における車体フレーム310と走行装置の構成が異なるものであり、移動車両4と同様に図示せぬシート、前ステップ、後ステップ、補助輪、シート位置調節装置、バッテリ、制御部などを備え、その説明は適宜省略する。
移動車両5は、略前後対称の構成であり、車体フレーム410と、走行装置としてのホイール式走行装置416と、前操舵輪411と、後操舵輪412などを備える。車体フレーム410は、前後方向の中央部に位置し、ホイール式走行装置416が取り付けられるメインフレーム410aと、メインフレーム410aの前方に位置し、後端部がメインフレーム410aに左右方向を軸として上下方向に揺動可能に連結された前サブフレーム410bと、メインフレーム410aの後方に位置し、前端部がメインフレーム410aに左右方向を軸として上下方向に揺動可能に連結された後サブフレーム410cとを有する。
前サブフレーム410bは、前端部に、下端に前操舵輪411を備える前操舵軸423が挿通される円筒状の前操舵ポスト421を有する。後サブフレーム410cは、後端部に、下端に後操舵輪412を備える後操舵軸424が挿通される円筒状の後操舵ポスト422を有する。前操舵ポスト421には、前操舵軸423の上端に連結されて前操舵軸423を前操舵ポスト421に対して回動させる前操舵モータ480が設けられる。後操舵ポスト422には、後操舵軸424の上端に連結されて後操舵軸424を後操舵ポスト422に対して回動させる後操舵モータ481が設けられる。前操舵モータ480と後操舵モータ481は制御部によって制御される電動モータである。そして、移動車両5は、前操舵モータ480と後操舵モータ481によって、前操舵軸423と後操舵軸424をそれぞれ回動させることで操舵ができるように構成されている。
また、移動車両5は、前サブフレーム410bまたは前操舵ポスト421と、メインフレーム410aとの間に図示せぬ付勢機構を備える。付勢機構は、図14において前サブフレーム410bがメインフレーム410aに対して反時計回りに回動するように力を付与するものであり、シリンダなどから構成される伸縮自在な棒状のダンパが例示できる。同様に、移動車両5は、後サブフレーム410cまたは後操舵ポスト422と、メインフレーム410aとの間に図示せぬ付勢機構を備える。付勢機構は、図14において後サブフレーム410cがメインフレーム410aに対して時計回りに回動するように力を付与するものであり、シリンダなどから構成される伸縮自在な棒状のダンパが例示できる。
このような構成の移動車両5は、上述の移動車両4と同様に、図15に示されるように、地面の傾斜の変化に対して前操舵輪411と後操舵輪412が追随し、前操舵輪411と後操舵輪412を地面に確実に接地させるとともに走行時の衝撃を吸収することができ、走行性や乗り心地が向上する。なお、移動車両5は、上述の移動車両4と比較して、車両の全長を長くすることなく、前操舵輪411と後操舵輪412をより大きく揺動させることができ、更に走行性や乗り心地が向上する。
また、本実施形態は、図16〜図18に示されるように、ハンドル580や補助ステップ581を備える移動車両6であっても良い。ここで、図16は別の実施形態に係る移動車両6の一例が示された概略側面図であり、図17は別の実施形態に係る移動車両6におけるハンドル580の一例が示された概略図であり、図17Aはハンドルレバー583を折り畳む前の状態であり、図17Bはハンドルレバー583を折り畳んだ後の状態であり、図18は別の実施形態に係る移動車両6のハンドル580と補助ステップ581が折り畳まれた状態の一例が示された概略側面図である。なお、移動車両6は、上述の移動車両1が更にハンドル580や補助ステップ581などを備える構成であり、ハンドル580や補助ステップ581などに関する構成以外は上述の移動車両1と同様の構成であり、その説明は適宜省略する。
ハンドル580は、上下方向に延びる円柱棒状のハンドルシャフト582と、ハンドルシャフト582の上端に連結され、車体フレーム10の両側方へそれぞれ突出する2つのハンドルレバー583とを備える。ハンドルシャフト582は、上下方向の中央のやや下方において折り曲げることができるとともに、下端部に連結用の貫通孔584を有する。そして、ハンドルシャフト582の下端は、前操舵軸23の上端から上方へ突設された円柱状の操舵軸連結部585に着脱自在に連結される。より詳細には、操舵軸連結部585の上面に形成された平面視円形状の窪みにハンドルシャフト582の下端が挿入され、操舵軸連結部585の前側の側面に形成された図示せぬ貫通孔とハンドルシャフト582の貫通孔584に係止ピン586が挿入され、ハンドルシャフト582の下端が操舵軸連結部585に連結されている。係止ピン586が引き抜かれることで、ハンドルシャフト582の下端と操舵軸連結部585との連結が分離される。なお、ハンドルシャフト582の下端と操舵軸連結部585の連結構成は特に限定されるものではなく、例えば螺合によって連結させる構成であっても良く、フックや電磁石などによって連結させる構成であっても良く、スプラインによる嵌合やキーとキー溝の嵌合によって連結させる構成であっても良い。なお、螺合、スプライン、キーとキー溝などによって連結させる構成の場合には、ハンドルシャフト582を操舵軸連結部585から取り外した後に、後述する保持部588にハンドルシャフト582を保持させる。
左右のハンドルレバー583は、端部にそれぞれグリップ部587を有するとともに、図17Bに示されるように、ハンドルシャフト582との連結部においてハンドルシャフト582に沿うように折り畳み可能に構成されている。また、グリップ部587には、図示せぬアクセルスイッチ、ブレーキスイッチなどを備える。そして、ハンドル580は、左右のグリップ部587が把持され、ハンドルシャフト582の軸周りに回動されることで前操舵軸23が回動し、前操舵輪11が操作されるように構成されている。
補助ステップ581は、車体フレーム10の両側部から外方へ突出する円柱棒状部材であり、車体フレーム10の前部に位置しており、車体フレーム10の側部に沿うようにそれぞれ上方へ折り畳み可能に構成されている。
以上のような構成の移動車両6は、作業者が前方を向いてシート13に跨って乗車する鞍乗り式の乗車が可能となる。詳細には、シート13をシート位置調節装置18によって所定の高さまで上昇させる。前ステップ14と後ステップ15のフットプレート45,49をステップアーム44,48に沿うように上方へ回転させて収納する。
ここで、前ステップ14のステップアーム44は、後ステップ15のステップアーム48と同様に、図示せぬ係止ピンによって前回動軸29を軸とした回動を抑制し、車体フレーム10に固定されている。また、操舵リンク機構52のリンクプレート53は、リンクプレート54と同様に、図示せぬ係止ピンによる連結筒部47と支持筒部57とを連結が解放され、連結筒部47を軸とした回動ができるようにされている。つまり、リンクプレート53と前ステップ14とが一体的に回動しない状態である。
そして、作業者は前方を向いてシート13に跨って着座し、左右の足をそれぞれ左右の補助ステップ581に載置して乗車する。このような乗車姿勢においては、移動車両5の走行操作はハンドル580にて行われる。作業者は、ハンドルレバー583の左右のグリップ部587を把持し、ハンドルシャフト582の軸周りにハンドル580を回動させることで前操舵軸23を回動させ、前操舵輪11の操作を行う。この際、前操舵軸23は操舵リンク機構52を介して後操舵軸24に連動連結されているので、前操舵輪11とともに後操舵輪12も操作される。このようにして、移動車両6は、作業者が前方を向いてシート13に跨って乗車する鞍乗り式の乗車が可能であり、収穫作業以外での移動が容易となり、使い勝手が良い。
一方で、移動車両6は、図18に示すように、収穫作業をする際には、ハンドル580と補助ステップ581を折り畳み収納することができるように構成されている。まず、ハンドル580のハンドルレバー583をハンドルシャフト582との連結部においてハンドルシャフト582に沿うように折り畳む。次に、ハンドルシャフト582を、上下方向の中央のやや下方において後方へ向けて折り曲げ、支持台28の上面に沿うように収納する。ここで、支持台28には、折り畳まれたハンドルシャフト582を保持する保持部588が形成されている。保持部588は、鉛直断面の形状が略U字状であり、折り畳まれたハンドルシャフト582を挟み込むように保持する。なお、保持部588の構成は特に限定されるものではなく、例えば一端が支持台28に固定されたバンドによってハンドルシャフト582を保持する構成であっても良い。
次に、ハンドルシャフト582の下端と操舵軸連結部585を連結している係止ピン586を引き抜き、ハンドルシャフト582と操舵軸連結部585との連結を解放させる。また、前ステップ14のステップアーム44を車体フレーム10に固定させている図示せぬ係止ピンを外して、ステップアーム44が前回動軸29を軸として回動自在となるようにする。また、連結筒部47と支持筒部57とを図示せぬ係止ピンによって連結し、操舵リンク機構52のリンクプレート53が前ステップ14と一体的に前回動軸29を軸として回動自在となるようにする。
次に、補助ステップ581を、車体フレーム10の側部に沿うようにそれぞれ上方へ折り畳む。また、上方へ回転されて収納されていた前ステップ14と後ステップ15のフットプレート45,49をステップアーム44,48から外方へ突出するように回動させる。そして、シート13をシート位置調節装置18によって所定の高さまで下降させる。このようにして、移動車両6は、ハンドル580と補助ステップ581を折り畳み収納することができ、ハンドル580と補助ステップ581によって収穫作業が妨げられることがなく、使い勝手が良い。
ここで、ハンドル580や補助ステップ581は、上述の構成に限定されるものではない。しかしながら、取り扱いの観点において、ハンドル580や補助ステップ581は、上述のように折り畳み収納することができる構成が好ましく、ハンドル580は移動車両6から分離されない構成がより好ましい。例えば、図19、図20に示されるようなハンドル680であっても良い。ここで、図19は別のハンドル680の一例が示された概略正面図であり、図20は、図19のハンドル680のハンドルレバー682が折り畳まれた状態の一例が示された概略正面図である。なお、図19、図20において、後述するハンドルレバー連結機構683の連結部687と、支持筒684と、ケーシング696は、断面で示されている。また、上述のハンドル580と同様の構成については適宜説明を省略する。
ハンドル680は、上下方向に延びる円柱棒状のハンドルシャフト681と、左右のハンドルレバー682L,682Rと、ハンドルレバー連結機構683と、支持筒684などを備える。左右のハンドルレバー682L,682Rは、端部にそれぞれグリップ部685L,685Rを有する。グリップ部685L,685Rは、図示せぬアクセルスイッチ、ブレーキスイッチなどを備える。支持筒684は、円筒状であり、下端に下方へ向けて突出する左右の接続フランジ686L,686Rを有する。
ハンドルレバー連結機構683は、略円柱状の連結部687と、連結部687の上部から上方へ延びる板状の支持部688とを有する。連結部687は、ハンドルシャフト681が挿通され、ハンドルシャフト681を上下方向(軸方向)へ摺動可能に支持する貫通孔689と、外周に形成された周溝に取り付けられたベアリング690とを有する。連結部687は、支持筒684の上端部にベアリング690を介して回動自在に取り付けられる。なお、ハンドルシャフト681は、支持筒684に挿通されるとともに同軸上に位置している。支持部688には、左右のハンドルレバー685L,685Rが前後方向を軸に回動可能に取り付けられる。なお、右のハンドルレバー685Rは、回動支点から更に延びる延長部691を有し、この延長部691の端部がリンクバー692を介してハンドルシャフト681の上端に連結されている。なお、支持部688には、延長部691、リンクバー692、ハンドルシャフト681の上端部などを覆う図示せぬカバーが取り付けられる。
ハンドルシャフト681は、下端部に径方向へ突出する正面視で長方形状のキー693を有し、この下端部が前操舵軸23の上端から上方へ突設された円柱状の操舵軸連結部694に着脱自在に連結されている。より詳細には、操舵軸連結部694の上面に形成された平面視円形状の窪みにハンドルシャフト681の下端部が挿入されている。ここで、操舵軸連結部694の窪みには、ハンドルシャフト681のキー693に対応する上下方向に延びるキー溝695が形成されている。そして、このキー溝695にキー693が嵌合することによってハンドルシャフト681と前操舵軸23とが連結されている。なお、ハンドルシャフト681と前操舵軸23との連結は、スプラインの嵌合によるものであっても構わない。
支持筒684の左右の接続フランジ686L,686Rは、前操舵軸23のフランジ25を覆うとともに車体フレーム10に固定されるケーシング696に左右方向を軸として回動可能に連結される。なお、支持筒684は、下端が車体フレーム10に左右方向を軸とし回動可能に連結される構成であれば良く、その取り付け構成やケーシング696の形態は適宜設計できる。
以上のように構成されるハンドル680は、ハンドルシャフト681、左右のハンドルレバー682L,682R、ハンドルレバー連結機構683が一体となって、支持筒684に対してハンドルシャフト681の軸周りに回動可能である。そして、ハンドル680は、左右のグリップ部685L,685Rが把持され、ハンドルシャフト681の軸周りに回動されることで前操舵軸23が回動し、前操舵輪11が操作されるように構成されている。
また、ハンドル680は、図20に示されるように、左右のハンドルレバー682L,682Rをハンドルレバー連結機構683の支持部688に対して下方へ回動させることで、左右のハンドルレバー682L,682Rをハンドルシャフト681(支持筒684)に沿うように折り畳むことができる。ここで、右のハンドルレバー682Rを支持部688に対して下方へ回動させた際、リンクバー692を介して右のハンドルレバー682Rに連結されたハンドルシャフト681は、上方へ引き上げられ、下端部が操舵軸連結部694の窪みから引き抜かれ、操舵軸連結部694との連結が解放される。しかしながら、ハンドル680は、支持筒684とケーシング696によって車体フレーム10に連結されており、移動車両6から分離することがなく、使い勝手が良い。そして、ハンドル680は、支持筒684とケーシング696との連結部を支点にして後方へ回動させることで、上述のハンドル580と同様に、支持台28の上面に沿うように収納することができ、同様の効果が得られる。
一方で、ハンドル680を前操舵軸23に連結させる場合は、右のハンドルレバー682Rを支持部688に対して上方へ回動させ、ハンドルシャフト681を下方へ押し下げ、下端部を操舵軸連結部694の窪みに挿入させる。この際、操舵軸連結部694の窪みのキー溝695にハンドルシャフト681のキー693を嵌合させる。前操舵軸23に対するハンドルシャフト681の軸方向の向きは、キー693とキー溝695によって特定の向きに規制されるため、ハンドル680と前操舵軸23を容易に連結させることができる。
なお、上述の保持部588は支持筒684または左右のハンドルレバー682L,682Rを保持する構成とする。また、ハンドルシャフト681は、上端がリンクバー692を介して左のハンドルレバー682Lに連結されても良く、2つのリンクバー692によって左右のハンドルレバー682L、682Rに連結されても良い。また、ハンドル680は、ハンドルシャフト681を上方へスライド移動させるスライド機構がハンドルレバー連結機構683の支持部688に配設される構成であっても構わない。
また、本実施形態は、車体フレームに対して、シートと前ステップと後ステップとを一体に昇降や傾倒させることができる構成であっても良い。図示による説明は省略するが、例えば上述の移動車両1において、前ステップ14のステップアーム44の上方に位置する端部と、後ステップ15のステップアーム48の上方に位置する端部とを、シート13の台座部32の下面に上下方向を軸に回動自在に支持させる。また、前ステップ14と後ステップ15の台座部32に対するそれぞれの回動方向と回動量とを検出する2つの角度センサを台座部32に設ける。なお、前ステップ14と後ステップ15は、係止ピンなどによって台座部32に対する回動を抑制できるように、つまり、台座部32に固定できるような構成とし、操舵の操作に用いるいずれか一方を台座部32に対して回動可能な状態とする。また、リンクプレート53の支持筒57またはリンクプレート54の支持筒59に、出力軸が連動連結された1つの操舵モータを設ける。なお、操舵モータの出力軸は、ギヤを用いて支持筒部57に固定されたギヤ部58または支持筒部59に固定されたギヤ部60に連動連結させても良く、ベルトやリンク機構を用いて連動連結させても良く、連結機構の構成は限定されるものではない。そして、移動車両は、角度センサの検出値に応じて制御部20が1つの操舵モータを制御し、前操舵軸23と後操舵軸24をそれぞれ回動させることで操舵ができるように構成される。
このような構成にすることで、シート位置調節装置18によって、シート13と前ステップ14と後ステップ15とを一体に昇降させることができ、作業者の座位姿勢を変えることなくシート13の位置を変更することができ、使い勝手が良い。ここで、シート位置調節装置18を、例えば鉛直方向に伸縮するように配置される4つの電動シリンダ36を用いる構成とすることで、シート13と前ステップ14と後ステップ15とを一体に昇降及び傾倒させることができる。
なお、シート13と前ステップ14と後ステップ15とを一体に昇降や傾倒させる構成は、上述の構成に限定されるものではない。例えば前述の移動車両を、上述の移動車両4や移動車両5のように、前操舵軸23と後操舵軸24を車体フレーム10に対してそれぞれ回転させる2つの操舵モータを備える構成とする。また、制御部20は、角度センサの検出値に応じてこの2つの操舵モータを制御するように構成する。このような構成であっても、シート位置調節装置18によって、シート13と前ステップ14と後ステップ15とを一体に昇降させることができ、同様の効果が得られる。
また、シート13と前ステップ14と後ステップ15とを一体に昇降させることができる移動車両は、前操舵軸23と後操舵軸24を車体フレーム10に対して回転させる操舵モータを用いることなく、操舵を行う構成とすることもできる。例えば移動車両は、台座部32の下面に回動自在に支持された前ステップ14と、操舵リンク機構52のリンクプレート53とを、両端にユニバーサルジョイントを有して伸縮自在な棒状の連結部材によって連動連結させる。なお、操舵リンク機構52のリンクプレート53は、前回動軸29を軸として回動自在であり、リンクプレート54は、後回動軸30を軸として回動自在な構成とする。より詳細には、前ステップ14のステップアーム44の上方に位置する端部に連結部材の一端のユニバーサルジョイントを連結させ、リンクプレート53の前回動軸29に回動自在に支持される部位に連結部材の他端のユニバーサルジョイントを連結させる。そして、前ステップ14が台座部32に対して回動することによってリンクプレート53が前回動軸29を軸として回動するような構成とする。伸縮自在な棒状の連結部材の構成としては、内周面に軸方向に延びる溝が形成された円筒状の第1筒部材と、第1筒部材の内部に挿通可能であるとともに、外周面に軸方向に延びて第1筒部材の溝に嵌合する突起を有する第2筒部材とからなる構成を例示できる。なお、このような構成の場合には、移動車両は、支持台28を備えない構成とし、シート位置調節装置18の2つの電動シリンダ36,36の下方に位置する端は、車体フレーム10の上面に連結させる。また、制御部20は、車体フレーム10の上面に配置させる。このような構成であっても、シート位置調節装置18によって、シート13と前ステップ14と後ステップ15とを一体に昇降させることができ、同様の効果が得られる。
また、本実施形態に係る移動車両は、作業者によって走行操作されるものに限定されるものではなく、所定の経路に沿って自律走行が可能な構成であっても良い。図示による説明は省略するが、例えば移動車両は、GNSS(Global Navigation Satellite System)を利用して自律走行が可能な構成であっても良い。このような構成としては、例えば移動車両4において、更に、GNSS衛星からの電波信号を受信するGNSS受信装置、制御部20の記憶部に予め格納された、走行経路情報や移動車両4が自律走行するための自律走行プログラム、移動車両4が自律走行する上で必要な情報、例えば移動車両4の走行速度や3次元的な姿勢などを検知するためのセンサなどを備える。そして、移動車両は、制御部20によって、GNSS衛星からの電波信号に基づいて移動車両の位置を算出し、算出された位置と走行経路との偏差を算出し、移動車両が走行経路に沿うように、クローラ走行装置316、前操舵モータ380、及び後操舵モータ381の動作を制御することで、経路に沿った自律走行が可能となる。なお、移動車両4を自律走行させる構成は上述の構成に限定されるものではない。例えば、圃場内の地中に設けられた誘導線に沿って自律走行するような構成であっても良い。
このように自律走行が可能な構成であれば、移動車両の用途が拡大し、例えば、収穫物を搬送する車両などとして使用することができて使い勝手が良い。また、作業者の移動車両を操作する負担が軽減され、作業効率が向上する。
また、以上に説明がなされた本実施形態に係る移動車両1,2,3,4,5,6などは、矛盾の生じない範囲で自由に組み合わせることができる。例えば、移動車両6が、移動車両3の収穫物を収集する収集装置280を備える構成としても良い。