JP6520104B2 - シーラントフィルム - Google Patents
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Description
このような直進カット性包装材料としては、一方向への直進カット性を有する基材と、シーラントフィルムとを積層した包装材料が知られている(特許文献1)。
しかしながら、これまでの直進カット性シーラントフィルムは、プロピレン系樹脂を主成分とするものであったため、低温シール性に劣るという問題がある。
(1)少なくとも、第1の樹脂層、第2の樹脂層及び第3の樹脂層が順に積層されたシーラントフィルムであって、該第1の樹脂層及び第3の樹脂層は、該シーラントフィルムの最表層であって、ポリエチレン系樹脂からなる層であり、該第2の樹脂層は、ポリエチレン系樹脂と環状ポリオレフィンとの混合樹脂からなる層であり、JIS Z1702の引張試験に準拠して、該シーラントフィルムの破断伸度を測定したときに、一方向の破断伸度(E1)と、該一方向に直交する方向の破断伸度(E2)との比(E1/E2)が0.1〜0.4である、上記シーラントフィルム。
(2)前記一方向の破断伸度(E1)が100〜300%である、上記(1)に記載のシーラントフィルム。
(3)前記一方向の破断伸度(E1)は、機械流れ方向(MD)の破断伸度(EMD)であり、前記一方向と直交する方向の破断伸度(E2)は、機械流れ方向と直交する方向(TD)の破断伸度(ETD)である、上記(1)または(2)に記載のシーラントフィルム。(4)前記第1の樹脂層及び第3の樹脂層を構成するポリエチレン系樹脂は、シングルサイト触媒を使用して重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体であり、前記第2の樹脂層を構成する混合樹脂中のポリエチレン系樹脂は、マルチサイト触媒を使用して重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のシーラントフィルム。
(5)前記第1の樹脂層と第2の樹脂層との間、及び/または、第2の樹脂層と第3の樹脂層との間に、熱可塑性樹脂からなる中間層を含む、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のシーラントフィルム。
(6)前記第2の樹脂層を構成する混合樹脂は、環状ポリオレフィンを20〜50質量%の割合で含む、上記(1)〜(5)のいずれかに記載のシーラントフィルム。
(7)共押出成形されたものである、上記(1)〜(6)のいずれかに記載のシーラントフィルム。
(8)上記(1)〜(7)のいずれかに記載のシーラントフィルムをヒートシール層として有する包装材料からなる包装体。
(9)少なくとも、第1の樹脂層、第2の樹脂層及び第3の樹脂層が順に積層されたシーラントフィルムを、インフレーション法により共押出成形するシーラントフィルムの製造方法であって、該第1の樹脂層及び第3の樹脂層は、該シーラントフィルムの最表層であって、ポリエチレン系樹脂からなる層であり、該第2の樹脂層は、ポリエチレン系樹脂と環状ポリオレフィンとの混合樹脂からなる層であり、JIS Z1702の引張試験に準拠して、該シーラントフィルムの破断伸度を測定したときに、一方向の破断伸度(E1)と、該一方向に直交する方向の破断伸度(E2)との比(E1/E2)が0.1〜0.4となるように、ダイス温度を160〜180℃にして押し出して、第1の樹脂層及び第3の樹脂層を形成する、シーラントフィルムの製造方法。
<1>本発明のシーラントフィルムの層構成
図1及び2は、本発明のシーラントフィルムの層構成の一例を示す概略的断面図である。
本発明のシーラントフィルムは、図1に示すように、第1の樹脂層1、第2の樹脂層2及び第3の樹脂層3、の3層を基本の構成とする。ここで、第1の樹脂層1及び第3の樹脂層3は、シーラントフィルムの最表層に位置し、ポリエチレン系樹脂からなる層である。また、第2の樹脂層2は、第1の樹脂層と第3の樹脂層との間に位置し、ポリエチレン系樹脂と環状ポリオレフィンとの混合樹脂からなる層である。
上記本発明のシーラントフィルムのいずれか一方の面に、基材を任意の方法でラミネートすることにより、一方向のみの直進カット性に優れた包装材料が得られる。
本発明のシーラントフィルムは、破断伸度に方向性を有する。すなわち、本発明は、フィルムの一方向について測定される破断伸度E1と、これに直交する方向について測定される破断伸度E2とが異なり、このE1とE2との比が特定の範囲にあるときに、一方向のみ優れた直進カット性が発揮されるという発見に基くものである。このため、本発明のシーラントフィルムは、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン等のポリアミド(PA)等のような様々な基材と組み合わせることができ、多種多様な包装材料を構成することができるため、使用用途を広げることができる。
E=(L−L0)/L0×100
E:破断伸度(%)
L:破断時の標線間距離(mm)
L0:試験前の標線間距離(mm)
本発明において、シーラントフィルムの総厚及び各層の厚さは、高い直進カット性や所望のシール強度を得るために、例えば、シーラントフィルムの総厚は20〜125μm、より好ましくは40〜80μmである。また、各層の厚みについて、第1の樹脂層の厚みは、例えば、それぞれ3〜50μmであり、好ましくは5〜20μmである。そして、第2の樹脂層の厚みは、例えば、3〜25μmであり、好ましくは3〜10μmである。そして、第3の樹脂層の厚みは、例えば、3〜50μmであり、好ましくは5〜30μmである。またさらに、第2の樹脂層の厚みは、シーラントフィルム全体の厚みに対して、1/10〜1/3の割合が好ましく、より好ましくは1/8〜1/4である。第2の樹脂層が薄過ぎると、直進カット性が得られにくい。逆に、第2の樹脂層が厚く、その他の層が薄過ぎると、所望のシール強度やフィルムの強度が得られない可能性がある。
第1及び第3の樹脂層を形成するポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE、密度0.940g/cm3以上)、中密度ポリエチレン(MDPE、密度0.925以上0.940g/cm3未満)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE、エチレンとα−オレフィンとの共重合体)、及びこれらの混合物を挙げることができる。
第2の樹脂層を形成する混合樹脂において好適に使用されるポリエチレン系樹脂としては、上記第1及び第3の樹脂層について記載されるものと同様のポリエチレン系樹脂が挙げられる。
特に、第1及び第3の樹脂層がLLDPEからなる場合、同様にLLDPEを用いることにより、高い層間接着強度が得られる。
ここで、シングルサイト触媒(メタロセン触媒、いわゆるカミンスキー触媒を含む)は、活性点が均一(シングルサイト)であるという特徴を持つ。このシングルサイト触媒は、メタロセン系遷移金属化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒であり、無機物に担持されて使用されることもある。
環状オレフィンとしては、エチレン系不飽和結合及びビシクロ環を有する任意の環状炭化水素を使用することができるが、特にビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(ノルボルネン)骨格を有するものが好ましい。
本発明において、開環メタセシス重合体の製造は、公知の開環メタセシス重合反応であれば特に限定されず、上記の環状オレフィンを、重合触媒を用いて開環重合させることによって製造することができる。
本発明において好適に使用される開環メタセシス重合体及び環状オレフィンコポリマーは、いくつか市販されており、例えば日本ゼオン株式会社製の「ZEONOR(R)」やポリプラスチック株式会社製の「TOPAS(R)」等が挙げられる。
本発明の上記範囲内において、第2の樹脂層の層厚を薄くし、且つ、第2の樹脂層中の環状ポリオレフィン濃度を高くすることにより、直進カット性が一層高まる傾向がある。
中間層を形成する熱可塑性樹脂は、第1または第3の樹脂層と、第2の樹脂層との接着性を有する任意の熱可塑性樹脂であってよい。
このような熱可塑性樹脂としては、例えば、上記第1〜第3の樹脂層について記載されるものと同様のポリエチレン系樹脂を、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。高い接着性が得られることから、特に好ましくはポリエチレン系樹脂である。
上記の特定の破断伸度を有する本発明のシーラントフィルムは、各層を形成する樹脂を溶融し、インフレーション法により共押出することにより、好適に製造することができる。
インフレーション法において、各溶融樹脂を、押出機から環状のダイスを通して円筒状に共押出し、この円筒状の溶融樹脂内に空気等の冷媒を吹き入れて、所定の寸法に膨らませた後、ロールに巻き取ってフィルム状に製膜する。
本発明のシーラントフィルムが、一方向のみに優れた直進カット性を発現する理由としては、以下のように考えられる。すなわち、第2の樹脂層は、面方向において、ポリエチレン系樹脂が海となり、環状ポリオレフィンが島となる、所謂海島構造を取っているものと考えられる。そして、シーラントフィルムの製膜時に、溶融樹脂を押し出した後冷却したときに、より強めに張力をかけた方向(例えばMD方向)環状ポリオレフィンが収縮することにより、ポリオレフィン系樹脂と環状ポリオレフィンとの間に空隙が生じ、この空隙が形成された箇所は脆くなるため、それと直交する方向(例えばTD方向)のみに優れた直進カット性が発現するものと考えられる。
本発明のシーラントフィルムの第1及び第3の樹脂層のいずれかの面を、任意の基材と対向させてラミネートすることにより、一方向への直進カット性に優れる包装材料が得られ、該包装材料を用いて包装体を形成することができる。
上記基材としては、通常の包装材料の基材として使用可能な様々なプラスチックフィルムが使用可能である。
本発明において、基材としてプラスチックフィルムを用いる場合、好適な易引裂性を発現するために、好ましくは9〜80μmであり、より好ましくは12〜50μmであり、さらに好ましくは12〜25μmである。
本発明のシーラントフィルムと基材とのラミネートは、任意の方法により、例えばサンドイッチラミネート法またはドライラミネート法等により、適宜に行うことができる。
上記包装材料よりなる包装袋は、化成品、医薬品、医薬部外品、化粧品、食品等の軽包装、重量袋、液体用または大容量自立性袋等のために、好適に使用することができる。
次に本発明について、実施例を挙げて具体的に説明する。
(1)メタロセン触媒で重合したLLDPE((株)プライムポリマー製エボリュー(R)SP2020、密度=0.916g/cm3、MI=2.3g/10分)97質量%と、スリップ剤マスターバッチ(宇部丸善ポリエチレン(株)製M425、エルカ酸アミド2質量%含有マスターバッチ、密度0.920g/cm3、MI=4.0g/10分)3質量%とを十分に混錬して、第1及び第3の樹脂層並びに中間層を形成する合成樹脂1を調製した(層密度0.916g/cm3)。
(2)チーグラーナッタ触媒を使用して重合されたLLDPE((株)プライムポリマー製ウルトラゼックス(R)2021L、密度0.920g/cm3、MI=2.0g/10分)70質量%と、環状オレフィンコポリマー(ポリプラスチックス(株)製TOPAS(R)8007F−500、密度1.020g/cm3、MI=2.1g/10分)30質量%とを十分に混錬して、第2の樹脂層を形成する合成樹脂2を調製した(層密度0.948g/cm3)。
第1及び第3の樹脂層並びに中間層A及びBを形成する合成樹脂1は、シリンダから環状ダイスまでで、160〜170℃で溶融混錬し、第2の樹脂層を形成する合成樹脂2は、シリンダから環状ダイスまで160〜180℃で溶融混錬し、これらを合わせて、170℃の環状ダイスから吐出量140kg/hで共押出製膜し、本発明のシーラントフィルムを製造した。
(4)上記で得られた本発明のシーラントフィルムについて、JIS Z1702に準拠して引張試験を行い、株式会社オリエンテック「RTC−1210A」を用いて、MD方向及びTD方向の破断伸度を求めた。試験はそれぞれ3回行い、その平均値を算出したところ、MD方向の破断伸度EMD=120%であり、TD方向の破断伸度ETD=790%で
あり、EMD/ETD=0.15であった。
(1)第1及び第3の樹脂層を形成する合成樹脂3として、チーグラーナッタ触媒で重合したLLDPE(日本ポリエチレン(株)製ノバテックTMUF320、密度=0.922g/cm3、MI=0.9g/10分)を用意した。
(2)第2の樹脂層を形成する合成樹脂4として、チーグラーナッタ触媒で重合したLLDPE(日本ポリエチレン(株)製ノバテックTMUF320、密度=0.922g/cm3、MI=0.9g/10分)80質量%と、環状オレフィンコポリマー(ポリプラスチックス(株)製TOPAS(R)8007F−500)20質量%との混合樹脂を用意した。
(3)上記(1)及び(2)で用意した合成樹脂3及び合成樹脂4を用いて、第1の樹脂層(10μm)/第2の樹脂層(10μm)/第3の樹脂層(20μm)の層構成となるように、インフレーション法により共押出製膜し、本発明のシーラントフィルムを製造した。
樹脂の溶融温度、ダイス温度及び吐出量は、実施例1と同様にした。
(4)上記で得られた本発明のシーラントフィルムについて、JIS Z1702に準拠して引張試験を行い、株式会社オリエンテック「RTC−1210A」を用いて、MD方向及びTD方向の破断伸度を求めた。試験はそれぞれ3回行い、その平均値を算出したところ、MD方向の破断伸度EMD=180%であり、TD方向の破断伸度ETD=790%であり、EMD/ETD=0.23であった。
第2の樹脂層を形成する合成樹脂5として、チーグラーナッタ触媒で重合したLLDPE(日本ポリエチレン(株)製ノバテックTMUF320)70質量%と、環状オレフィンコポリマー(ポリプラスチックス(株)製TOPAS(R)8007F−500)30質量%との混合樹脂を用意し、第1の樹脂層(15μm)/第2の樹脂層(5μm)/第3の樹脂層(20μm)の膜厚とした以外は、実施例2と同様にして、本発明のシーラントフィルムを製造した。
MD方向の破断伸度EMD=170%であり、TD方向の破断伸度ETD=830%であり、EMD/ETD=0.20であった。
第2の樹脂層を形成する合成樹脂として、合成樹脂5を使用した以外は、実施例2と同様にして、本発明のシーラントフィルムを製造した。
MD方向の破断伸度EMD=260%であり、TD方向の破断伸度ETD=760%であり、EMD/ETD=0.34であった。
第2の樹脂層を形成する合成樹脂6として、チーグラーナッタ触媒で重合したLLDPE(日本ポリエチレン(株)製ノバテックTMUF320、密度=0.922g/cm3、MI=0.9g/10分)を用意し、第1の樹脂層(15μm)/第2の樹脂層(5μm)/第3の樹脂層(20μm)の膜厚とした以外は、実施例2と同様にして、シーラントフィルムを製造した。
MD方向の破断伸度EMD=680%であり、TD方向の破断伸度ETD=810%であり、EMD/ETD=0.84であった。
第2の樹脂層を形成する合成樹脂7として、チーグラーナッタ触媒で重合したLLDPE(日本ポリエチレン(株)製ノバテックTMUF320、密度=0.922g/cm3、MI=0.9g/10分)95質量%と、環状オレフィンコポリマー(ポリプラスチックス
(株)製TOPAS(R)8007F−500)5質量%との混合樹脂を用意し、第1の樹脂層(15μm)/第2の樹脂層(5μm)/第3の樹脂層(20μm)の膜厚とした以外は、実施例2と同様にして、シーラントフィルムを製造した。
MD方向の破断伸度EMD=430%であり、TD方向の破断伸度ETD=830%であり、EMD/ETD=0.52であった。
第2の樹脂層を形成する合成樹脂として、合成樹脂7を使用した以外は、実施例2と同様にして、シーラントフィルムを製造した。
MD方向の破断伸度EMD=340%であり、TD方向の破断伸度ETD=820%であり、EMD/ETD=0.41であった。
合成樹脂7を、40μmの膜厚でインフレーション法により押出製膜し、単層構成のシーラントフィルムを製造した。
MD方向の破断伸度EMD=380%であり、TD方向の破断伸度ETD=820%であり、EMD/ETD=0.46であった。
第2の樹脂層を形成する合成樹脂8として、チーグラーナッタ触媒で重合したLLDPE(日本ポリエチレン(株)製ノバテックTMUF320、密度=0.922g/cm3、MI=0.9g/10分)90質量%と、環状オレフィンコポリマー(ポリプラスチックス(株)製TOPAS(R)8007F−500)10質量%との混合樹脂を用意し、第1の樹脂層(15μm)/第2の樹脂層(5μm)/第3の樹脂層(20μm)の膜厚とした以外は、実施例2と同様にして、シーラントフィルムを製造した。
MD方向の破断伸度EMD=360%であり、TD方向の破断伸度ETD=800%であり、EMD/ETD=0.45であった。
第2の樹脂層を形成する合成樹脂として、合成樹脂8を用意した以外は、実施例2と同様にして、シーラントフィルムを製造した。
MD方向の破断伸度EMD=420%であり、TD方向の破断伸度ETD=790%であり、EMD/ETD=0.53であった。
合成樹脂8を、40μmの膜厚でインフレーション法により押出製膜し、単層構成のシーラントフィルムを製造した。
MD方向の破断伸度EMD=330%であり、TD方向の破断伸度ETD=800%であり、EMD/ETD=0.41であった。
第2の樹脂層を形成する合成樹脂として、合成樹脂4を用意し、第1の樹脂層(15μm)/第2の樹脂層(5μm)/第3の樹脂層(20μm)の膜厚とした以外は、実施例2と同様にして、シーラントフィルムを製造した。
MD方向の破断伸度EMD=480%であり、TD方向の破断伸度ETD=820%であり、EMD/ETD=0.59であった。
合成樹脂4を、40μmの膜厚でインフレーション法により押出製膜し、単層構成のシーラントフィルムを製造した。
MD方向の破断伸度EMD=300%であり、TD方向の破断伸度ETD=790%であり、EMD/ETD=0.38であった。
合成樹脂5を、40μmの膜厚でインフレーション法により押出製膜し、単層構成のシーラントフィルムを製造した。
MD方向の破断伸度EMD=260%であり、TD方向の破断伸度ETD=720%であり、EMD/ETD=0.36であった。
実施例1〜4、及び、比較例1〜10の各層を構成する合成樹脂、第2の樹脂層における環状ポリオレフィンの含有率、各層の厚みを纏めたものを表1に示す。なお、表1において、各セルの数字は実施例1〜4及び比較例1〜10で使用した合成樹脂の合成樹脂の番号を示したものであり、括弧内の数字は厚みを示したものである。また、厚みの単位はμmである。
上記実施例及び比較例で製造したシーラントフィルムから、それぞれ10cm×10cmの試験片を切り出し、ノッチを入れない状態で、MD方向及びTD方向に手で引き裂いて直進カット性を評価した。試験はそれぞれ3回行った。なお、直進カット性の評価結果は、TD方向については一直線に引き裂け、且つ、MD方向については蛇行して引き裂けた場合を1、TD方向およびMD方向とも蛇行して引き裂けた場合を2、TD方向およびMD方向とも一直線に引き裂けた場合を3とした。
上記実施例及び比較例で製造したシーラントフィルムについて、JIS−K−7128に準拠して、エルメンドルフ引裂試験機(テスター産業株式会社「IM−701」)を用いて、ノッチを入れたMD方向及びTD方向の引裂強度を測定した。実施例1を除いて、試験はそれぞれ2回ずつ行い、その平均値を算出した。
結果を表4及び図4に示す。なお、実施例1のTDの引裂強度は、試験機の測定限界以下であった。
上記実施例及び比較例で製造したシーラントフィルムについて、2枚のシーラントフィルムを準備した。その後、一方のシーラントフィルムの第3の樹脂層と他方のシーラントフィルムの第3の樹脂層とを対向させ、ヒートシール装置(テスター産業株式会社「TP−701−B」)を用いて、シール温度120℃、シール圧力1kgf/cm2、シール時間1秒でヒートシールした後、15mm幅の短冊型試験片を切り出した。そして、JIS−Z−1707に準拠して、引張試験機(株式会社オリエンテック「RTC−1210A」)を用いて、剥離強度を評価した。試験はそれぞれ5回ずつ行い、その平均値を算出した。
結果を表5に示す。なお、表5における剥離強度は、15mm幅における剥離強度の値であり、単位はNである。また、剥離強度が5N/15mm以上の場合を○、5N/15mm未満の場合を×とした。
これに対し、比較例1〜8のシーラントフィルムは、EMD/ETDが0.41〜0.84であるため、一方向のみに優れた直進カット性を有さないものであった。また、比較例4、7、9及び10のシーラントフィルムは、低温シール性に劣るものであった。
2.第2の樹脂層
3.第3の樹脂層
4.中間層
5.中間層
10.ピロー包装袋
11.底部シール部
12.天部シール部
13.合掌シール部
Claims (8)
- 少なくとも、第1の樹脂層、第2の樹脂層及び第3の樹脂層が順に積層されたシーラントフィルムであって、
該第1の樹脂層及び第3の樹脂層は、シーラントフィルムの最表層であって、密度が0.925g/cm 3 未満の線状低密度ポリエチレンからなる層であり、
該第2の樹脂層は、ポリエチレン系樹脂と環状ポリオレフィンとの混合樹脂からなる層であって、該環状ポリオレフィンが、シーラントフィルム全体の質量を基準として、3.0〜12.5質量%含まれ、
JIS Z1702の引張試験に準拠して、該シーラントフィルムの破断伸度を測定したときに、一方向の破断伸度(E1)と、該一方向に直交する方向の破断伸度(E2)との比(E1/E2)が0.1〜0.4であり、
前記一方向の破断伸度(E1)が100〜300%である、上記シーラントフィルム。 - 前記一方向の破断伸度(E1)は、機械流れ方向(MD)の破断伸度(EMD)であり、前記一方向と直交する方向の破断伸度(E2)は、機械流れ方向と直交する方向(TD)の破断伸度(ETD)である、請求項1に記載のシーラントフィルム。
- 前記第1の樹脂層及び第3の樹脂層を構成するポリエチレン系樹脂は、シングルサイト触媒を使用して重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体であり、前記第2の樹脂層を構成する混合樹脂中のポリエチレン系樹脂は、マルチサイト触媒を使用して重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体である、請求項1または2に記載のシーラントフィルム。
- 前記第1の樹脂層と第2の樹脂層との間、及び/または、第2の樹脂層と第3の樹脂層との間に、熱可塑性樹脂からなる中間層を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシーラントフィルム。
- 前記第2の樹脂層を構成する混合樹脂は、環状ポリオレフィンを20〜50質量%の割合で含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のシーラントフィルム。
- 共押出成形されたものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のシーラントフィルム。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のシーラントフィルムをヒートシール層として有する包装材料からなる包装体。
- 少なくとも、第1の樹脂層、第2の樹脂層及び第3の樹脂層が順に積層されたシーラントフィルムを、インフレーション法により共押出成形するシーラントフィルムの製造方法であって、
該第1の樹脂層及び第3の樹脂層は、シーラントフィルムの最表層であって、密度が0.925g/cm 3 未満の線状低密度ポリエチレンからなる層であり、
該第2の樹脂層は、ポリエチレン系樹脂と環状ポリオレフィンとの混合樹脂からなる層であって、該環状ポリオレフィンが、シーラントフィルム全体の質量を基準として、3.0〜12.5質量%含まれ、
JIS Z1702の引張試験に準拠して、該シーラントフィルムの破断伸度を測定したときに、一方向の破断伸度(E1)と、該一方向に直交する方向の破断伸度(E2)との比(E1/E2)が0.1〜0.4であり、前記一方向の破断伸度(E1)が100〜300%となるように、ダイス温度を160〜180℃にして押し出して、第1の樹脂層及び第3の樹脂層を形成する、シーラントフィルムの製造方法。
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