JP6508884B2 - 粗面を有するポリスチレン系離型フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

粗面を有するポリスチレン系離型フィルムおよびその製造方法 Download PDF

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本発明は、粗面を有する二軸配向シンジオタクチックポリスチレン系離型フィルムに関する。
シンジオタクチックポリスチレン(SPS)系樹脂は耐熱性や耐薬品性に優れることなどから、成形品やフィルムとして、様々な分野で用途が拡大している。そのような用途の一つとして、表面張力が低く濡れ性が低いというSPS系樹脂の特性を利用して、プリント基板、セラミック電子部品、半導体パッケージ、その他各種樹脂成型品を製造する際に、成型金型や成型ロールと被成型材料の融着を防止するための離型フィルムとして、二軸配向SPS系フィルムを用いることが検討されている。
かかる離型フィルムにおいては、被成型品の表面にマット調の外観を付与するために、離型フィルムを粗面化して、その表面凹凸を被成型品に転写する場合がある。例えば、特許文献1〜3には、SPS系樹脂の単層フィルムまたはSPS系樹脂層を含む多層フィルムからなる離型フィルムまたは転写フィルムを粗面化することが記載されている。
特開2013−216779号公報 特開2013−215989号公報 特開2011−094268号公報
二軸配向SPS系フィルムを粗面化する方法としては、表面をマット調に彫刻した金属ロールにフィルムを圧着させて、ロール表面の凹凸をフィルム表面に転写する方法が従来より知られている。しかし、配向工程とは別に粗面化工程が必要であることから、製造コストの点で改善の余地があった。
本発明は、上記を考慮してなされたものであり、表面が粗面化された二軸配向SPS系フィルムをより安価に提供することを目的とする。
本発明の粗面を有するポリスチレン系離型フィルムは、シンジオタクチックポリスチレン系樹脂およびスチレン系熱可塑性エラストマーを含有し、二軸配向されている。
好ましくは、上記粗面を有するポリスチレン系離型フィルムは、光沢度が90%以下である。ここで、光沢度とは、JISZ8741:1997に規定する60度鏡面光沢、Gs(60°)、のことをいう。なお、本発明での光沢度は、縦方向(MD)および横方向(TD)の値の平均値を用いる。
また、好ましくは、上記粗面を有するポリスチレン系離型フィルムは、175℃における引張伸度が40%以上である。ここで、引張伸度とは、後述する引張試験方法により試料が破断したときの伸び率のことをいう。引張伸度は、縦方向(MD)および横方向(TD)のいずれにおいてもそれぞれ40%以上であることが好ましい。
また、好ましくは、前記スチレン系熱可塑性エラストマーが、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーである。
また、好ましくは、上記粗面を有するポリスチレン系離型フィルムは、シンジオタクチックポリスチレン系樹脂(a)とスチレン系熱可塑性エラストマー(b)の重量比が(a)/(b)=97/3〜60/40である。
また、好ましくは、前記スチレン系熱可塑性エラストマーの全部または一部は、ソフトセグメントがポリ(エチレン/プロピレン)ブロックまたはポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ランダム共重合ブロックからなり、シンジオタクチックポリスチレン系樹脂(a)とポリ(エチレン/プロピレン)ブロックまたはポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ランダム共重合ブロックを有するスチレン系熱可塑性エラストマー(c)の重量比が(a)/(c)=97/3〜60/40である。
さらに好ましくは、前記スチレン系熱可塑性エラストマーの全部または一部は、ソフトセグメントがポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ランダム共重合ブロックからなり、シンジオタクチックポリスチレン系樹脂(a)とポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ランダム共重合ブロックを有するスチレン系熱可塑性エラストマー(d)の重量比が(a)/(d)=97/3〜60/40である。
本発明の粗面を有するポリスチレン系離型フィルムの製造方法は、シンジオタクチックポリスチレン系樹脂およびスチレン系熱可塑性エラストマーを含有する前駆体フィルムを製造する工程と、前記前駆体フィルムを同時二軸延伸する工程とを有する。
本発明によれば、粗面を有する二軸配向シンジオタクチックポリスチレン系フィルムをより低コストで利用することができる。
本発明の粗面化されたポリスチレン系離型フィルムの評価方法を説明するための図である。
本実施形態のポリスチレン系フィルムは、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)系樹脂にスチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)を配合し、二軸延伸することにより、表面が粗面化された離型フィルムである。
まず、本実施形態のフィルムの組成について説明する。
SPS系樹脂は、シンジオタクチック構造を有するスチレン系ポリマーである。シンジオタクチック構造とは、立体化学構造がシンジオタクチック構造、即ち、炭素−炭素結合から形成される主鎖に対して側鎖であるフェニル基または置換フェニル基が交互に反対方向に位置する立体構造を意味する。
SPS系樹脂の立体規則性の程度(タクティシティー)は同位体炭素による核磁気共鳴法(13C−NMR法)により定量することができる。13C−NMR法により測定されるSPS系樹脂のタクティシティーは、数個のモノマー単位からなる連鎖、例えば、2個の場合はダイアッド、3個の場合はトリアッド、5個の場合はペンタッドのうち、構成単位の立体配置が逆のシンジオタクチックであるもの(ラセミダイアッド等)の割合によって示すことができる。本発明におけるSPS系樹脂は、通常、ラセミダイアッドで75%以上、好ましくは85%以上、もしくはラセミトリアッドで60%以上、好ましくは75%以上、もしくはラセミペンタッドで30%以上、好ましくは50%以上のシンジオタクティシティーを有するスチレン系ポリマーである。
SPS系樹脂としてのスチレン系ポリマーの種類としては、ポリスチレン、ポリ(アルキルスチレン)、ポリ(ハロゲン化スチレン)、ポリ(ハロゲン化アルキルスチレン)、ポリ(アルコキシスチレン)、ポリ(ビニル安息香酸エステル)、これらの水素化重合体等及びこれらの混合物、又はこれらを主成分とする共重合体が挙げられる。ポリ(アルキルスチレン)としては、ポリ(メチルスチレン)、ポリ(エチルスチレン)、ポリ(イソプロピルスチレン)、ポリ(ターシャリーブチルスチレン)、ポリ(フェニルスチレン)、ポリ(ビニルナフタレン)、ポリ(ビニルスチレン)等が挙げられる。ポリ(ハロゲン化スチレン)としては、ポリ(クロロスチレン)、ポリ(ブロモスチレン)、ポリ(フルオロスチレン)等が挙げられる。ポリ(ハロゲン化アルキルスチレン)としては、ポリ(クロロメチルスチレン)等が挙げられる。ポリ(アルコキシスチレン)としては、ポリ(メトキシスチレン)、ポリ(エトキシスチレン)等が挙げられる。
本発明に係るプラスチックフィルムを構成するSPS系樹脂の重量平均分子量は、10,000〜3,000,000、好ましくは30,000〜1,500,000、特に好ましくは50,000〜500,000である。SPS系樹脂のガラス転移温度は60〜140℃、好ましくは70〜130℃である。SPS系樹脂の融点は200〜320℃、好ましくは220〜280℃である。本明細書中、樹脂のガラス転移温度および融点はJISK7121に従って測定された値を用いている。
本実施形態の離型フィルムに含有されるSPS系樹脂は、異なる2種類以上の樹脂を混合したものであってもよい。
ポリスチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)としては、種々の市販のものを用いることができる。SPS系樹脂にTPSを配合することにより、フィルムに柔軟性が付与されるとともに、二軸延伸処理によってフィルムが粗面化される。TPSは、熱可塑性エラストマー(TPE)のうち、ハードセグメントがポリスチレンからなるもので、これによりSPS系フィルムに配合した場合に外観欠点等が出にくい。
TPSとしては、水素添加されたものを用いることが好ましい。これによりTPSの耐熱性が向上し、また高温で行われるSPS系樹脂の溶融・押出工程において予期せぬ反応が生じることを防止することができる。
水素添加TPSとしては、ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)−ポリスチレン(TPS−SEBS)、ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)−ポリスチレン(TPS−SEPS)、ポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)−ポリスチレン(TPS−SEEPS)、ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)−ポリスチレン(TPS−SEP)などの、ソフトセグメントが異なる各種のものを用いることができる。
本実施形態の離型フィルムに含有されるTPSは、異なる2種類以上の樹脂を混合したものであってもよい。また、TPSの全部または一部は、ソフトセグメントがポリ(エチレン/プロピレン)ブロックまたはポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ランダム共重合ブロックからなるものであってもよい。なかでも、フィルムの粗面化効果が大きいことから、TPSの全部または一部に、ソフトセグメントがポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)のランダム共重合体からなるTPS−SEEPSを用いることが特に好ましい。
TPSの配合量は、SPS系樹脂(a)とTPS(b)の重量比が(a)/(b)=97/3〜60/40とすることが好ましく、さらに、97/3〜65/35、97/3〜70/30、97/3〜80/20とすることがより好ましい。TPSの配合量が少なすぎると、粗面化の効果や柔軟性の向上が十分に得られない。一方、TPSの配合量が多すぎると、SPS系樹脂の特徴である耐熱性、耐薬品性、低表面張力などの特性が低下する。
TPSの全部または一部として、ソフトセグメントがポリ(エチレン/プロピレン)ブロックまたはポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ランダム共重合ブロックからなるものを用いる場合、その配合量は、SPS系樹脂(a)とかかるTPS(c)の重量比が(a)/(c)=97/3〜60/40とすることが好ましく、さらに、97/3〜65/35、97/3〜70/30、97/3〜80/20とすることがより好ましい。
TPSの全部または一部としてTPS−SEEPSを用いる場合、その配合量は、SPS系樹脂(a)とTPS−SEEPS(d)の重量比が、(a)/(d)=97/3〜60/40とすることが好ましく、さらに、97/3〜65/35、97/3〜70/30、97/3〜80/20とすることがより好ましい。TPS−SEEPSの配合量が少なすぎると、粗面化の効果や柔軟性の向上が十分に得られない。一方、TPS−SEEPSの配合量が多すぎると、SPS系樹脂の特徴である耐熱性、耐薬品性、低表面張力などの特性が低下する。
また、SPS系フィルムの特徴である耐熱性、耐薬品性、低表面張力などに実用上の悪影響を与えない範囲で、上記以外の樹脂を含有してもよい。その場合でも、プラスチックフィルム中の全ポリマー成分に対するSPS系樹脂の含有割合は、50重量%以上であることが好ましく、60重量%以上であることがさらに好ましく、75重量%以上であることが特に好ましい。
また、本実施形態の離型フィルムは、要求特性に応じて、上記したポリマー以外に、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、帯電防止剤、無機フィラー、着色剤、結晶核剤、難燃剤等の添加剤を含有してもよい。ただし、プリント基板などの電子部品の成型時に離型フィルムとして用いる場合には、被成型品を汚染する恐れがある成分、例えば無機フィラー等を含有させない方が好ましい。
次に、本実施形態のフィルムの特性について説明する。
離型フィルムの厚さは、多くの用途に対応できること、製造やハンドリングが容易なことから、10〜100μmとすることが好ましい。離型フィルムとして用いられる二軸延伸フィルムの厚さは、典型的には50μmである。
フィルムの粗面化の程度は、JISZ8741:1997に規定する60度鏡面光沢、Gs(60°)によって表すことができる。粗面化の程度の指標としては、算術平均粗さRaなど表面形状に関する測定値を用いることもできるが、後述するように、光沢度を用いる方が、目視で感じるマット調の程度をより良く表すことができる。
フィルムに求められる光沢度は用途に応じて定まり、被成型品表面に「てかり」を感じないために、90%以下であることが好ましい。さらに、被成型品表面にマット調の外観を与えるためには、60%以下であることが好ましく、35%以下であることがより好ましく、30%以下であることが特に好ましい。
フィルムの引張伸度は、常温において、好ましくは5%以上であり、より好ましくは10%以上であり、特に好ましくは15%以上である。常温での引張伸度は、特にフィルムのハンドリング性に関係する。常温での引張伸度が小さすぎると、ハンドリング時にフィルムが破損しやすい。そのため、より大きな製品では、より大きい引張伸度を有することが好ましい。
また、フィルムの引張伸度は、175℃において、好ましくは40%以上であり、より好ましくは60%以上であり、特に好ましくは80%以上である。さらに、縦方向(MD)および横方向(TD)のいずれにおいても、それぞれ40%以上であり、より好ましくはそれぞれ60%以上であり、特に好ましくはそれぞれ80%以上である。175℃での引張伸度が小さすぎると、金型等の凹凸に十分に追従することができない。金型等の凹凸が深くなるにつれて、175℃での引張伸度がより大きいことが求められる。
フィルムの引張伸度は、引張試験によって求めることができる。本明細書中で、引張伸度とは、ASTMD1708−6aに規定された形状の試験片を200mm/分の速度で引っ張った場合の破断時の伸び率のことをいう。
また、フィルムの濡れ性は、好ましくは40mN/m以下であり、より好ましくは38mN/m以下であり、特に好ましくは35mN/m以下である。本実施形態のフィルムの濡れ性が低いのはSPS系樹脂の特性によるものである。SPS系樹脂の濡れ性は、典型的には32〜33mN/mである。濡れ性は、JISK6768:1999に規定された方法で測定することができる。
また、熱収縮率は、175℃においてその絶対値が、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、特に好ましくは8%以下である。熱収縮率の絶対値は、MD方向およびTD方向のいずれの方向についても、上記範囲内であることが好ましい。また、熱収縮率のMD方向とTD方向との差は、それぞれの方向における絶対値が上記範囲にあれば特に問題とはならないが、当該差が小さいほど成型工程の条件設定が容易になる等のメリットがあるので好ましい。熱収縮率のMD方向とTD方向との差の絶対値は、より好ましくは8%以下である。
本明細書中、175℃における熱収縮率は、試験片(150mm×150mm)を雰囲気温度175℃で30分間放置したときのMD方向およびTD方向の各方向における熱収縮率であり、具体的には後述する方法により測定される。熱収縮率の値は正の値が収縮を意味し、負の値が膨張を意味する。
次に、本実施形態のフィルムの製造方法について説明する。
本実施形態のフィルムは、上記の樹脂を含む組成物を、溶融・混練して前駆体フィルム(延伸前原反フィルム)を製造した後、得られた前駆体フィルムに対して二軸延伸工程を実施することで製造することができる。
前駆体フィルムの製造方法は公知の方法を採用することができる。例えば、所望の成分からなる混合物を押出機により溶融・混練し、混練物をTダイより押し出した後、冷却すればよい。
二軸延伸工程は、フィルムの二軸方向に対して延伸を行い、次いで任意に熱固定を行う工程である。この二軸延伸工程によって、SPS系樹脂が結晶化し、フィルムのガラス転移温度が上昇し、機械的強度が向上する。また、本実施形態のフィルムは、二軸延伸工程によって表面が粗面化される。
二軸延伸は、フィルムのMD方向およびTD方向について延伸を行う。延伸方式は、逐次二軸延伸方式と同時二軸延伸方式があるが、耐熱寸法安定性や引張伸度をより向上させることができるので、同時二軸延伸方式によるのが好ましい。例えば、同時二軸延伸方式によれば、熱収縮率の絶対値のMD方向とTD方向との差を容易に8%以下にすることができる。二軸延伸を行うに際して、延伸倍率、延伸温度および延伸速度は、所望の熱膨張率等を得るのに適当な条件を選択することができる。
熱固定は、延伸フィルムを延伸温度以上の温度で保持することにより、ポリマー分子の配向を固定する処理である。熱処理温度、時間、弛緩倍率は、所望の熱収縮率等を得るのに適当な条件を選択することができる。
なお、本実施形態のフィルムの製造にあたり、延伸工程後に、さらに他の粗面化工程を実施してもよい。例えば、延伸工程後に、表面を彫刻したロールに圧着させてもよい。これにより、二軸延伸による表面凹凸に加えて、より大きな凹凸、例えばより大きなRaをもたらす凹凸をフィルム表面に付与することができる。
以下に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。
SPSを単独で、またはSPSとTPSを予め混練したフルコンパウンドを、T−ダイを先端に取り付けた押出機を用いて280℃にて溶融押出後、冷却して前駆体フィルムを得た。この前駆体フィルムを110℃で延伸速度約500%/分で縦方向(MD)に3.4倍および横方向(TD)に3.4倍同時二軸延伸した。延伸後、210℃で縦方向(MD)に0.95倍、横方向(TD)に0.95倍で弛緩処理して、厚さ約50μmの同時二軸延伸SPS系樹脂フィルムを得た。延伸後フィルムのガラス転移温度は、すべての比較例および実施例で170℃以上であった。
表1に、製造条件と得られたフィルムの光沢度を示す。用いた樹脂は次のとおりである。
・SPS:商品名「ザレック142ZE」、出光興産株式会社。ガラス転移温度95℃、融点247℃
・TPS(D):TPS−SEBS、商品名「ダイナロン8903P」、JSR株式会社
・TPS(T):TPS−SEBS、商品名「タフテックH1041」、旭化成株式会社
・TPS(S):TPS−SEEPS、商品名「セプトン4055」、株式会社クラレ
前駆体フィルムの外観は、目視により確認し、実用上問題となる欠点がないものを「○」、欠点が散見されるものを「△」、大部分が欠点であるものを「×」で示した。延伸後フィルムの光沢度は、JISZ8741:1997に規定する60度鏡面光沢、Gs(60°)であり、光沢計(ユニグロス60、コニカミノルタ株式会社)を用いて測定した。
SPSにTPSを配合した実施例1〜11では、いずれもTPSを含まない比較例1より光沢度が小さい。特に、TPSとしてTPS−SEEPSを用いた実施例9〜11では、光沢度に顕著な低下が見られ、目視によっても光沢が際立って小さいことが確認できた。
Figure 0006508884
次に、表2に、比較例1、実施例4および11について、表面粗さと光沢度を示す。表中、「未延伸フィルム」は溶融・押出後で延伸前の前駆体フィルム、「延伸フィルム」は延伸・熱固定後のフィルム、「成型品」は延伸後フィルムを離型フィルムとしてエポキシ樹脂板を熱プレス成型したときの被成型品、「成型後フィルム」は当該離型フィルムとして使用した後のフィルム、「175℃加熱後フィルム」は延伸後フィルムを175℃で5分間保持した後のフィルム、についてのデータである。表面粗さは、JISB0601:1994に規定された算術平均粗さRa、最大高さRy、十点平均粗さRz、凹凸の平均間隔Smである。表面粗さは、表面粗さ測定器(ハンディサーフ、株式会社東京精密)を用いて測定した。
評価にあたり、エポキシ樹脂板の熱プレス成型品は、次のとおりに調製した。図1に示すように、エポキシ樹脂フレーク1を上下金型2,3により熱プレス成型するに際し、フレーク1と金型2,3との間にフィルム4を介在させた。フィルム4は金型より外側で把持し固定した。プレス時において、金型2,3の接近はスペーサー5により制限された。プレス成型後、成型体を取り出し、すぐにフィルム4を成型体から剥離した。プレス条件は、金型2,3の温度は175℃;プレス圧は100kgf/cm;プレスクリアランスは1mm;プレス時間は3分間であった。
表2から、実施例のフィルムでは、成型後や175℃で保持した後も、低い光沢度を維持していることが分かる。また、成型品の光沢度も低く、フィルムの表面凹凸が精度よく被成型体に転写されていることが分かる。
表2から、光沢度が低い実施例のフィルムまたは成形品では、比較例1と比べて、Ra、RyおよびRzが大きく、Smが小さいことが分かる。しかしながら、個々のパラメータの差はあまり大きくない。例えば、実施例11のフィルムのRaは0.17μmで、比較例1のフィルムのRa(0.1μm)との差はあまり大きくない。そのため、表面粗さの測定値を指標としてマット調の程度を判断することは容易ではない。また、目視によって感得できるマット調の程度は、光沢度の数値とよく一致した。したがって、実施形態のフィルムの粗面化の程度の指標としては、光沢度が最も適していると考えられる。
Figure 0006508884
表3に、得られたフィルムの濡れ性、熱収縮率および引張特性を示す。
表3において、濡れ性は、JISK6768:1999に従って測定した。
熱収縮率は次のとおりに測定した。試験片(フィルム;150mm×150mm)上に、長さ100mmの2本の直線をそれぞれMD方向およびTD方向に対して平行に、かつ互いに中点で交わるように描いた。この試験片を、標準状態(温度23℃×湿度50%)に2時間放置し、その後試験前の直線の長さを測定した。続いて175℃の雰囲気に設定された熱風循環式オーブン内で一角を支持した宙吊り状態にて30分間放置した後、取り出して、標準状態に2時間放置冷却した。その後各方向の直線の長さを測定し、試験前の長さからの変化量を求め、当該試験前の長さに対する変化量の割合として熱収縮率を求めた。
引張物性は次のとおりに測定した。ASTMD1708−6aに規定された形状の試験片(つかみ部の長さは16mm)を作製し、引張試験機(オートグラフ「AG−10kNIS MO」、株式会社島津製作所)を用いて、200mm/分の速度で行った。試験はMD方向およびTD方向のそれぞれについて3回行い、その平均を取った。常温での試験は室温が23℃の実験室内で行った。175℃での試験は175℃に設定した恒温槽内で行い、試験装置のつかみ具(チャック)にフィルムが貼り付くことを防ぐために、アルミホイルを介して試験片を保持した。引張伸度は、試料が破断したときの伸び率である。
表3から、TPSを配合することによって、フィルムの柔軟性が向上していることが分かる。このことは、離型フィルムとしての用途では、成型金型面の凹凸を精度よく被成型材料へ転写し、フィルム表面のマット調を精度よく被成型体へ転写するために、特に好ましい。
Figure 0006508884
本発明は上記の実施形態や実施例に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の変形が可能である。
本発明の粗面化されたポリスチレン系フィルムは、エポキシ樹脂製プリント基板等成型時の離型フィルムとして特に有用であるが、その用途はこれに限られるものではない。被成型材料を構成するプラスチックの種類は特に制限されず、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂、ポリミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂等の成型に利用可能である。

Claims (5)

  1. シンジオタクチックポリスチレン系樹脂およびスチレン系熱可塑性エラストマーを含有し、
    全ポリマー成分に対する前記シンジオタクチックポリスチレン系樹脂の含有割合が50重量%以上であり、
    前記スチレン系熱可塑性エラストマーの全部または一部は、ソフトセグメントがポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ランダム共重合ブロックからなり、
    シンジオタクチックポリスチレン系樹脂(a)とポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ランダム共重合ブロックを有するスチレン系熱可塑性エラストマー(d)の重量比が(a)/(d)=97/3〜60/40であり、
    二軸配向された、
    粗面を有するポリスチレン系離型フィルム。
  2. 光沢度が90%以下である、
    請求項1に記載の粗面を有するポリスチレン系離型フィルム。
  3. 175℃における引張伸度が、縦方向(MD)および横方向(TD)のいずれにおいてもそれぞれ40%以上である、
    請求項1または2に記載の粗面を有するポリスチレン系離型フィルム。
  4. 前記スチレン系熱可塑性エラストマーが、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーである、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の粗面を有するポリスチレン系離型フィルム。
  5. シンジオタクチックポリスチレン系樹脂およびスチレン系熱可塑性エラストマーを含有し、
    全ポリマー成分に対する前記シンジオタクチックポリスチレン系樹脂の含有割合が50重量%以上であり、
    前記スチレン系熱可塑性エラストマーの全部または一部は、ソフトセグメントがポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ランダム共重合ブロックからなり、シンジオタクチックポリスチレン系樹脂(a)とポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ランダム共重合ブロックを有するスチレン系熱可塑性エラストマー(d)の重量比が(a)/(d)=97/3〜60/40である前駆体フィルムを製造する工程と、
    前記前駆体フィルムを二軸延伸する工程とを有する、
    粗面を有するポリスチレン系離型フィルムの製造方法。
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