従来技術において、キャニスタ取り付け構造が開示されるが、キャニスタを自動二輪車のフレームに取り付けるものであって、値段の高い部品である大型の金属ステイと大型のゴム部品とが必要である。更に、この大型の金属ステイは、自動二輪車のフレームの一部に溶接するが、これはコストがかかる製造手順である。また、この従来技術において、クロスパイプにボルト止めされた更なる金属ステイによってパージコントロール弁が自動二輪車に取り付けられるが、これによっても部品及び組み立てのコストが上がり、部品の点数も増える。
更に、この従来技術において、燃料タンクにアクセスする際には、パージコントロール弁を最初に取り外す必要があり、次に幾つかのホースと共にキャニスタを取り外す必要があるため、組み立て及び解体に時間がかかる。このように、燃料タンクはキャニスタ取り付け構造の下にあるため、キャニスタ取り付け構造を解体することが困難であることにより、結果的に保守のために燃料タンクにアクセスすることが困難となってしまう。
請求項1に係る発明は、蒸発ガスキャニスタ及びキャニスタ接続チューブを含むキャニスタ部品を、燃料タンクと前記燃料タンクの上に取り付けるトレイ部を備える燃料トレイとを有する自動二輪車に取り付けるための自動二輪車用のキャニスタ取り付け構造であって、
前記燃料トレイは更に、前記キャニスタを固定するキャニスタ取り付け部を備えることを特徴とする、キャニスタ取り付け構造である。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、
前記キャニスタ取り付け構造は更に、
前記キャニスタの周りに巻いたラバーホルダを備え、
前記キャニスタ取り付け部は、一対のフック部材を備え、前記一対のフック部材は、前記キャニスタ取り付け部と一体形成され、且つ、前記キャニスタ取り付け部から上方に突き出ており、前記キャニスタを前記燃料トレイに取り付けると、前記一対のフック部材が前記ラバーホルダと係合する。
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において、
前記キャニスタ取り付け構造は、
前記燃料トレイの前記キャニスタ取り付け部に取り付ける上部キャニスタホルダを備え、
前記上部キャニスタホルダと前記キャニスタ取り付け部とは、前記ラバーホルダをしっかりとクリップすることによって、前記燃料トレイの前記キャニスタ取り付け部上に前記キャニスタを支持する。
請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明において、
前記上部キャニスタホルダが、
前記上部キャニスタホルダを前記取り付け部に取り付けた際に、前記フック部材が通過し前記フック部材と係合する一対の孔と、
前記一対の孔の間にてパージコントロール弁を前記上部キャニスタホルダに取り付けるためのパージコントロール弁取り付け部と、を備える。
請求項5に係る発明は、請求項1に係る発明において、
前記燃料トレイのトレイ部が燃料タンクキャップを囲み、
前記キャニスタ取り付け部は前記トレイ部から後方に延びる。
請求項6に係る発明は、請求項5に係る発明において、
前記自動二輪車用の燃料蓋をロック及び開放するロック機構を更に備え、前記燃料トレイは、前記トレイ部の前部に形成したカバー部を備え、前記カバー部は前記ロック機構の少なくとも側部及び下部を覆う。
請求項7に係る発明は、請求項5に係る発明において、
前記接続チューブは、前記燃料タンクの左右に配管されたキャニスタ充填チューブを備え、
前記燃料トレイは更に、
前記トレイ部の周りに一体形成されたクリップ部であって、前記キャニスタ充填チューブを前記燃料タンクの左右に少なくとも略近接してクリップするクリップ部と、
前記キャニスタパージチューブが前記燃料トレイの左右方向に延びる部分において前記キャニスタパージチューブを誘導するガイド部とを備える。
請求項8に係る発明は、請求項7に係る発明において、
前記ガイド部は、
前記ロック機構と前記燃料タンクの燃料キャップとの間に配置した第1ガイド部と、
前記燃料キャップと前記キャニスタとの間に配置した第2ガイド部と、を備える。
請求項9に係る発明は、請求項8に係る発明において、
前記燃料タンクは、
燃料供給パイプの周りに取り付けた基部を備え、
前記燃料トレイは、フック構造を備え、前記フック構造を前記基部に係合させることにより、前記燃料タンクに前記燃料トレイを固定するよう構成され、
前記フック構造は、
前記燃料供給パイプの前方に形成され、且つ、前記基部に掛かるフック部と、
前記フック部の反対側に位置し、且つ、前記基部が当接する当接部と、を備え、
前記フック構造は、前記第1ガイド部と第2ガイド部と略同じ位置に配置される。
請求項10に係る発明は、請求項3に係る発明において、
前記キャニスタ取り付け部は、前記燃料トレイ部の前記トレイ部と反対の後端部に形成された垂下部を備え、前記垂下部は、荷物用ボックスの下に延びる本体フレームに吊り下げて固定し、前記垂下部と前記上部キャニスタホルダとは前記荷物用ボックスのピン部によって共に束ねられる。
請求項11に係る発明は、請求項10に係る発明において、
前記垂下部は、第1結束孔を備え、
前記上部キャニスタホルダは、前記第1結束孔と位置決めした際に同じ位置に形成された第2結束孔を備え、
前記荷物用ボックスの前記ピン部は、前記第1結束孔及び前記第2結束孔内に挿入されるピン構造を備える。
請求項12に係る発明は、請求項1に係る発明において、
前記燃料トレイは、前記キャニスタ取り付け部の下側に形成され、且つ、燃料ポンプを前記燃料タンクの所定の位置に固定する固定手段に向かって突き出た一組のストッパ部を備える。
請求項1に開示した本発明によれば、キャニスタを燃料トレイと一体に取り付けるので、自動二輪車にキャニスタを取り付けるための一対の大型のゴム製係合部材と関連する大型の金属ステイを使用する必要がなくなる。これにより部品点数や製造コストが減る。キャニスタを燃料トレイと一体に取り付けることで、キャニスタ取り付け構造の組み立て及び解体がより簡単且つより便利になる。キャニスタ取り付け構造により、そこに取り付ける特定のキャニスタ部品をサブアセンブリとして担持可能であって、自動二輪車の製造がより便利となり時間がかからなくなる。自動二輪車から燃料トレイを取り外すと、キャニスタも自動二輪車から取り外され、燃料タンクへの迅速で直接のアクセスが可能となり、保守の人員や顧客が素早く且つ簡単に保守作業を行える。
請求項2に開示した本発明によれば、フック部材は燃料トレイ上に一体形成されているので、自動二輪車のフレームや燃料タンクにフック部材を形成する必要がない。加えて、フック部材とラバーホルダが係合する結果、キャニスタは、燃料トレイ上で浮いた状態で上手く支持される。
請求項3に開示した本発明によれば、上部キャニスタホルダとラバーホルダとがそれぞれフック部材と共にキャニスタを支持するので、燃料トレイ上の取り付け部でキャニスタが適切な位置で強力に保持され、ラバーホルダの大きさを最小化することができる。
請求項4に開示した本発明によれば、上部キャニスタホルダは、フック部材が通過して係合する一対の孔を有するので、上部キャニスタホルダによってキャニスタをしっかりと保持及び/又は上部キャニスタホルダがキャニスタに接することができる。加えて、上部キャニスタホルダの構造によって、所定の高さ即ち鉛直方向の間隔内で上部キャニスタホルダの上にパージコントロール弁を取り付けることができる。
請求項5に開示した本発明によれば、キャニスタはキャニスタ取り付け部に取り付けるのであって、トレイ部から少しの距離離れており、燃料タンクに燃料を簡単に注げるような十分な空間をトレイ部によって提供でき便利である。
請求項6に開示した本発明によれば、燃料トレイによって一体的にカバー部が形成されるので、ロック機構のための特別なカバーが必要なく、部品点数が減り、設計の詳細な部分が簡略化されてコストが下がる。
請求項7に開示した本発明によれば、キャニスタ充填チューブは燃料トレイのクリップ及びガイド部によってクリップ留めされて誘導されるので、キャニスタ充填チューブを配管するための特別に成形したチューブや、追加的な特定のクリップ及びガイド部品の必要がなく、製造コストが減る。
請求項8に開示した本発明によれば、第1ガイド部及び第2ガイド部は、デッドスペースであったであろう場所に形成されるので、空間利用効率が上がる。加えて、キャニスタ充填チューブが長い場合でも、第1ガイド部及び第2ガイド部によってキャニスタ充填チューブを安定させておくことができる。
請求項9に開示した本発明によれば、燃料トレイのフック構造は構造的に単純であって、フック要素と当接要素として形成されており、燃料トレイの設置及び取り外しが簡単である。更に、ガイド部とフック構造とが互いに近接して位置決めされており、これらの形状や設計に関してガイド部とフック構造とを共通して互いに利用可能である。
請求項10の発明によれば、燃料トレイは、燃料キャップ部でのフック構造に加えて、燃料キャップの反対側の位置で自動二輪車のクロスパイプに対して垂下及び結束することにより固定される。この結果、非常に単純な構成となり、部品の数が減少し、燃料トレイを迅速に設置及び取り外し可能である。更に、キャニスタはキャニスタ取り付け構造の前方固定箇所及び後方固定箇所の中心点に取り付けられるので、キャニスタの防振に役立つ。
請求項11の発明によれば、孔とピン構造により、燃料トレイは側方即ち左右方向に位置合わせされるので、単純な位置合わせの機構が得られ、燃料トレイの位置合わせに必要な締結部品の数が減る。
請求項12の発明によれば、ストッパ部によって下向き方向に適切な空間が得られ、振動によって燃料トレイが移動しても自動二輪車内部の他の部品の配置に影響しない。
簡潔に且つ明確にするために、本発明の特定の実施形態に係る、自動二輪車用の蒸発ガスキャニスタ取り付け構造の典型的な実施形態について以下に説明する。簡潔に且つ明確にするために、以下の説明において、蒸発ガスキャニスタ取り付け構造を単にキャニスタ取り付け構造と呼び、蒸発ガスキャニスタを単にキャニスタと呼ぶ。
図1を参照すると、自動二輪車10の様々な実施形態において、本実施形態に係るキャニスタ取り付け構造300は、関連する技術の当業者であれば容易に理解されるような方法で、スクータ型、アンダーボーン型若しくは同様の種類の鞍型/鞍乗り型の車両に対応する構造的な要素/構造的な特徴であって、又は、このような構造的な要素/構造的な特徴を示す。但し、本実施形態に係るキャニスタ取り付け構造300がこのような種類の自動二輪車10に限定されないことは、当業者であれば更に認識されるであろう。以下に更に詳細に説明するように、キャニスタ取り付け構造300は、自動二輪車10用の燃料トレイ構造若しくは燃料トレイを含む、又は、燃料トレイ構造若しくは燃料トレイである。
図1に示す実施形態において、自動二輪車10は、ダウンチューブ即ち前方フレームパイプ32と、一対の下部フレームパイプ34L、34R(図示せず)と、一対の下部クロスパイプ36L、36R(図示せず)と、一対の後方フレームパイプ38L、38R(図示せず)と、クロスパイプ40とを備える、下部構造フレームを備える。前方フレームパイプ32は、ステアリングヘッドパイプ20に接続し、若干後方向きの角度でそこから下方に延びる。最後に、クロスパイプ40は、左右後方フレームパイプ38L、38Rの間に延びて、これらのフレームパイプを連結している。
自動二輪車10は更に、運転手や乗員が座ることのできるシート50と、シート50の下に配置した荷物用ボックス60とを備える。エンジンユニット90は、自動二輪車のフレームに揺動可能に取り付けられ、荷物用ボックス60の下に位置する。燃料供給源を担持する燃料タンク70は、下部クロスパイプ36L、36Rの間に配置され、エンジンユニット90の前方に取り付けられる。後に詳細に述べるように、キャニスタ取り付け構造300は、燃料タンク70の上に配置した燃料トレイ部320を備える燃料トレイ310と、燃料トレイ部320から離れるように延びるキャニスタ取り付け部400とを備える(例えば、キャニスタ取り付け部400は、燃料トレイ部320と一体形成され、そこから後方に向かって突出する)。キャニスタ取り付け部400は、後に詳細に記載するように、自動二輪車のクロスパイプ40上に延びてクロスパイプ40上に垂下し、荷物用ボックス60の下方に突出するピン部62と連携する。キャニスタ取り付け部400は、細長い円筒形のキャニスタ700とパージコントロール弁750とを担持する。このキャニスタ700とパージコントロール弁750とによって、燃料タンク70内部で蒸発した燃料蒸気を捕らえてエンジンユニット90内に送る。
エンジンユニット90は、シリンダーヘッド92とシリンダーブロック91とを備え、燃焼室が形成される。推進力、即ち駆動力は、後部タイヤ122を担持する後輪120に伝達される。後輪120は、後ろ車軸125によって支持され、車輪120は、推進力に応じてこの車軸の周りを回転する。特に、エンジンの推進力は、クランクシャフト軸95の周りを回転するクランクシャフトや、ベルトコンバータ即ちベルト駆動軸115を有する無段変速機(CVT)110によって、後輪120に伝えられる。ベルト110は、エンジンユニット90の左側に配置される。空気をろ過するためのエアクリーナー100がエンジンユニット90に接続しており、エアクリーナーはベルト110の上に配置される。エンジンユニット90からの排気筒130は、エンジンユニット90の右部に位置するマフラー132に連結する。
エンジンユニット90は更にメインスタンド54を有する。自動二輪車10の左側には、自動二輪車10を駐車する際に自動二輪車10を支持するためのサイドスタンド56が配置される。シート50の下であって、後部タイヤ122の上でその後方には、後部タイヤ122から飛んでくる道路上のしぶきやがれきを阻止するリアフェンダ140が配置される。これにより、道路上のしぶきやがれきがリアフェンダ140を超えてくるのを防ぐことができる。リアサスペンション、即ちクッション142が後方フレーム38とエンジンユニット90との間に連結している。これは、自動二輪車10が動いている間の道路での振動を吸収するためのものである。即ち、エンジンユニット90は、フレーム上で揺動可能に支持される。自動二輪車10は、更に、乗員が握れる後方グリップ144、複合型テールライト等の後方コンビネーションライト146、リアウィンカ、及びライセンスライトを備える。
自動二輪車10の前方部分に関して、ステアリングヘッドパイプ20が一対のフロントフォーク24を支持する。外部フロントフォーク150がフロントフォーク24に連結しており、前車軸155を支持する。前車軸155は、前方タイヤ162を担持する前輪160を支持する。フロントフェンダー164が前輪162の上に配置される。ステアリングハンドルパイプがフロントフォーク24に連結しており、ステアリングヘッドパイプ20を超えて、フロントフォークから上方に延びる。一対のハンドルグリップ170L、170Rがステアリングハンドルパイプに取り付けられる。運転手は、このハンドルグリップ170L、170Rを握り、操舵軸を中心にハンドルグリップを旋回させることができ、フロントフォーク24、前車軸155及び前輪160を左右に回転させることにより、自動二輪車の走行方向を制御する。
自動二輪車10は更に、フロントディスクブレーキ等のフロントブレーキ機構を備える。フロントブレーキ機構は、フロントブレーキディスク、即ちロータ153と、フロントブレーキディスク153に選択的に係合可能なフロントブレーキキャリパー154とを備える。フロントブレーキ機構は、右ハンドグリップ170R(図示せず)の前方に配置されたフロントブレーキレバー172R(図示せず)を運転手が起動したことに応じて、自動二輪車10の速度を落とすブレーキ力を加える。対応するリアブレーキレバーが左ハンドグリップ170Lの前方に配置され、運転手は選択的にリアブレーキ機構を起動させることができる。
自動二輪車10は更に、運転手の脚を支持するための一対のステップフロア202L、202Rを提供する一対のフロントステップフロアパネル200L、200Rと、フロントステップフロアパネル200L、200Rの下に配置した一対の下部アンダーカバー204L、204Rとを備える。自動二輪車10は更に、シート50の下に配置した一対の後部サイドカバー206L、206Rと、後部サイドカバー206L、206Rの下に配置した一対の後部ステップカバー208L、208Rとを備え、そこから乗員の脚を支持するための一対の後部乗員用ステップ52L、52Rにアクセス可能(例えば折り畳めるよう延長可能)である。
シート50の下であって後部サイドカバー206L、206Rと隣接してその前方には、センターカバー210が配置される。センターカバーは、シート50の前方に形成した開口部を備える。この開口部に、回動して開放/閉鎖可能な燃料蓋212が取り付けられる。燃料蓋212を開放すると、燃料トレイ部320が露出する。センターカバー210の下で後方サイドカバー206L、206Rの一部の前方には、一対の前方サイドカバー214L、214Rが配置される。自動二輪車10は更に、前方サイドカバー214L、214Rに連接してその前方で、フロントステップフロアパネル200L、200Rの前方部分の上に配置した一対の脚用シールド216L、216Rを備える。一対の脚用シールド216L、216Rは、運転手が自動二輪車10に乗った際に運転手の脚を守る。
自動二輪車10は更に、センターカバー210に隣接してその前方であって前方サイドカバー214L、214Rに隣接してその上に配置したインナーカバー218を備える。インナーカバー218は、運転手と対向する自動二輪車の構造フレームの特定の部分に重なる。後方ハンドルカバー220がインナーカバー218の上に延び、前方ハンドルカバー222がステアリングハンドルパイプを覆う。ハンドルグリップ160L、160Rは、前方ハンドルカバー222の若干後方側に配置される。
フロントカバー230は、インナーカバー218に隣接してその前方に取り付けられる。フロントカバー230は、前方ハンドルカバー222の下でその前方に延び、脚用シールド216L、216Rの上にあって、自動二輪車の幅を略横切る。フロントカバー230は、側面から見ると下方に向かう傾斜を描く。フロントカバー230は、取り外し可能なフロントフード234を担持する開口又は隙間を備え、その下にヘッドライトユニット236が位置する。ヘッドライトユニット236は、関連する技術の当業者であれば理解されるような方法で、自動二輪車の左右ヘッドライトと左右ウィンカーとを提供する。
特に図2A〜図8を参照して、キャニスタ取り付け構造300の詳細及びキャニスタ取り付け構造300の構成要素を燃料タンク70、クロスパイプ40、及び荷物用ボックス60に対して配置する方法について以下に詳細に説明する。図2A〜図2Bに示すように、燃料タンクは、燃料タンク70の略中央部、即ち上部−中央部の周りに燃料タンクの周囲を超えて所定の距離だけ外側に延びる縁部、即ちフランジ部71を備える。燃料タンク70は、フランジ部71のコーナー部の開口部を介して、下部クロスパイプ36L、36Rに形成した金属ステイ構造37内に延びるボルト等の4つの締結部品によって取り付けられる。この結果、燃料タンク70は、前方フレームパイプ32の後方に延びクロスパイプ40の前方で終端する下部クロスパイプ36L、36Rの間に位置する。燃料タンク70は、自動二輪車の前方フレームパイプ32と後方フレームパイプ38L、38Rとの間で下向きに傾斜する下部クロスパイプ36L、36Rに対してフランジ71が平行又は略平行となるような向きとする。従って、燃料タンク70を下部クロスパイプ36L、36Rに取り付けると、燃料タンクのフランジ部71は、これに対応して後方下向きに傾斜する。
燃料タンク70は更に、タンクに溶接されて一体形成された燃料供給スリーブ、チューブ、又はパイプ72を備える。この燃料供給パイプは、燃料タンク70の上部前側表面から上方且つ若干後ろ向きに突出し、燃料タンク70の内部では下方且つ前向きに突出する。燃料供給パイプ72は、燃料を燃料タンク70に注入、即ち導入可能とする導管、即ち流路を提供する。これにより、従来の燃料供給ノズルを介して燃料タンク70を(再)充填することができる。燃料キャップ74は、燃料供給パイプ72の頂部に螺合可能に固定可能であって、頂部から取り外し可能である。
燃料ポンプ76は、ボルトやナット一式等の締結具75により燃料タンク70の後方部でキャニスタ取り付け部400の下に設置される。燃料タンク70は更に、燃料タンクの上部前方表面の右側に担持され、これに隣接する従来の燃料気液分離器80を備える。サイドスタンド56によって支持されると自動二輪車10は左側に傾き、燃料タンク70の右側が左側より高くなるので、燃料気液分離器は、燃料供給パイプ72から横方向右側に偏らせている。通常、燃料供給パイプ72は、燃料タンク70の最も高い位置に配置する。従って、燃料供給パイプ72と較べて右に偏った位置に燃料気液分離器80を取り付けるのがよい。燃料気液分離器80は、液体燃料から燃料蒸気を分離するよう構成され、即ち、燃料蒸気を受け入れて通過させるが、液体燃料の通過を防止するよう構成される。燃料気液分離器80は、以下に更に説明するように、キャニスタ700の充填入口(charge input)に連結され、燃料蒸気を充填入口に伝達する。
自動二輪車10の中央ライン311を図3に示す。キャニスタ取り付け構造300は、燃料タンク70の上で自動二輪車10に取り付けるが、燃料トレイ部320が自動二輪車の燃料蓋212の下に配置され、(例えば、燃料タンク70の(再)充填中に)燃料蓋212を持ち上げると、燃料トレイ部にアクセス可能になる。キャニスタ取り付け部400は、燃料トレイ部320から後方に向かって延びる。キャニスタ取り付け部400は、典型的に、燃料トレイ部320と一つのユニットとして一体形成されるので、部品点数やコストが減る。
キャニスタ取り付け部400は、例えば図8に示すように、その上にクレードル部410を備える。クレードル部410は、燃料ポンプ76の上であって燃料トレイ部320の後部、即ち燃料トレイ部320とクロスパイプ40の境界でキャニスタ700を支持するよう構成され、キャニスタの長手方向が横方向に延びる、即ちクレードル部410と交差するようにキャニスタを配置する。キャニスタ700は、燃料トレイ部320の後部とクロスパイプ40との中ほど又は略中ほどで支持可能である。これにより、燃料トレイ部320は燃料キャップ74で固定され、燃料トレイ310はクロスパイプ40にフック構造420によって垂下し、燃料トレイ310がクレードル部410の前方及び後方に取り付けられているので、キャニスタ700の適切な防振を補助することができる。加えて、後に詳細に示すように、上部キャニスタホルダ600がクレードル部410の上に取り付けられ、パージコントロール弁750が更に上部キャニスタホルダ600上に取り付けられる。キャニスタ取り付け構造300とそれが担持するキャニスタ部品(例えば、キャニスタ700やそれに対応する一以上の接続チューブ)を単一のサブユニットとして事前に組み立て可能であり、自動二輪車の製造が容易となり製造スピードを上げることができる。
図8に示すように、燃料トレイ部320は、内部ボール部、即ち窪みを備え、この窪みは全ての方向において壁に囲まれている。図8に最もよく示されるように、窪みは、略平坦な床部322を有し、その中央部又は略中央部に燃料供給開口部324が配置される。この開口部を通って、燃料供給パイプ27の上部が延びている。図4A〜図4B等に示すように、周方向凹部332の嵌合により、燃料供給パイプ72と平坦床部との間に密閉リング330がしっかりと取り付けられ周方向に配置される。これによって、燃料トレイ部310が燃料供給パイプ72に固定され、これに応じてキャニスタ取り付け構造300及び燃料トレイ部310の前方部が燃料タンク70に固定される。図4B等に示すように、密閉リング330を嵌める力を調節することによって、係合手段がなくても、キャニスタ取り付け構造300及び燃料トレイ部310の前方部を燃料タンク70に確実に保持可能である。
更に、図2A、図4A及び図5Aに示すような幾つかの実施形態において、燃料タンク70の上部前方表面は、その上に取り付けた又は一体形成された基部86を担持する又は備える。基部86は、小型の金属ワイヤによって正方形又は略正方形形状の周りに形成され、燃料タンクのフランジ部71と平行又は略平行となるように、燃料供給パイプ72の周囲で燃料タンク70に溶接される。このような実施形態において、燃料トレイ部320は、燃料タンクの基部86に更に取り付ける。特に、燃料トレイ部320の後部は、下方に突出する当接部334を備える。この当接部に対して、燃料タンクの基部86の後端88は、位置決め可能である。燃料トレイ部320の前方下方部は、下方に突出するフック部又は一対のフック部332を備える。このフック部は、当接部334に向かい合って配置され、基部86の前端87と係合するように構成される。当接部334を基部86の後端88に対して配置又は当接させ、その後、基部86の前端87にフック部332を引っ掛ける又は掛けることによって、キャニスタ取り付け構造300を基部86にしっかりと取り付けることができる。フック部332と当接部334との突出対は、プラスチック材料である燃料トレイ部310と一体形成される。
燃料トレイ部320の底後部には、燃料トレイドレインチューブ800と流体連結したドレイン用開口326が備わっている。上述のように、後方下向きの傾斜によって、タンクの(再)充填中に燃料トレイ部320内に誤って飛び散った又はこぼれた燃料は、ドレイン開口326へと、そしてドレインチューブ800内へと送られるので、燃料トレイ部320は自動的に空になる。
更に、キャニスタ取り付け構造300の後部は、(a)クロスパイプ40上にキャニスタ取り付け部400の後方部を重ねる又は垂下すること、更に(b)上部キャニスタホルダ600の後部を介して荷物用ボックス60のピン部62とキャニスタ取り付け部400とをクロスパイプ40の真上で係合させることによって、自動二輪車10にしっかりと取り付ける。特に、図2A〜図2B、図4A〜図4B、図5A〜図5B及び図8に示すように、キャニスタ取り付け部400は、後方に突き出た垂下部420を有する。垂下部420は、起伏のある(contoured)下側表面422を有する。下側表面422は、クロスパイプの形状の一部に沿った、即ち一致する輪郭を有する。この結果、垂下部420は、クロスパイプ40上に、例えばクロスパイプ40の中央部に沿って、安定して掛けられる又はしっかりと取り付け可能であって、クロスパイプ40の外側上部表面は、垂下部420の起伏のある下側表面422と係合し、これを支持する。この結果、垂下部420によって、キャニスタ取り付け構造300の後部を、自動二輪車10に、容易に安定してしっかりと取り付けることができる。
更に、図8に示すように、垂下部420は、ピン受け入れ構造430を備える。ピン受け入れ構造430は、第1ピン結束開口部、即ち孔432を有する。更に図2A〜図2B、図4A〜図4Bを参照すると、上部キャニスタホルダ600は、第2ピン結束開口部、即ち孔632を備える。後に詳細に説明するように、垂下部420をクロスパイプ40上に掛け、上部キャニスタホルダ600をキャニスタ取り付け部400に取り付けると、第1結束孔432及び第2結束孔632が互いに一直線上に並ぶ。荷物用ボックス60のピン部62は、下方に突出するピン構造64を備える。垂下部420をクロスパイプ40の上に掛けて、第1結束孔432及び第2結束孔632が一直線上に並ぶと、ピン構造64が第1結束孔432及び第2結束孔632内に延びるように荷物用ボックス60が設置可能となる。これによって、垂下部420と上部キャニスタカバー600とが荷物用ボックス60のピン部62に固定され、これに応じて、更にキャニスタ取り付け構造300の後部が自動二輪車10に固定される。このようにピン結束開口部432、632と下方に突出するピン構造64をその内部に挿入することによって、キャニスタ取り付け部の垂下部420と上部キャニスタホルダ600とを荷物用ボックス60のピン部62に位置合わせすると、構造的に簡便でコスト効率のよい方法で、キャニスタ取り付け構造300の側方即ち左右の(例えばクロスパイプ40に沿った)位置合わせを行うことができる。
キャニスタ取り付け部400は更に、下方に突出する複数のストッパ部、即ちストッパ450を備える。ストッパ450は、クレードル部410と反対の面の前方且つ下方に配置される。キャニスタ取り付け構造300を自動二輪車10に取り付けると、これらのストッパ450は、燃料ポンプ固定構造79の締結具75の軸に対して縦方向に位置決めされ、これらの締結具75の少なくとも若干上で終端する。ストッパ450は、燃料トレイ310と同じ材料であって、ゴム等の少なくとも幾分弾力性のある材料からなり、振動によるキャニスタ取り付け構造300/燃料トレイ310の動きを制限することができるので、燃料トレイ310を、他の部品と接触しないように意図した位置に留めておくことができる。更に、これによって、ナット等の燃料ポンプ76の締結具75が(保守の間等に)落下するのを防止することもできる。これは、ストッパ450と締結具との距離がナットの厚みより小さいからである。加えて、このようなストッパ450は、使用しない空間、即ちデッドスペースとなるような空間に配置されるので、防振/振動吸収の効果に対して得られる総空間効率が向上する。
キャニスタ取り付け構造300上にキャニスタ700を配置することに関して、(a)キャニスタ700の周囲の少なくとも一部に巻き付けられた即ち、巻かれたラバーホルダ500と、(b)ラバーホルダ500の一部を介し、キャニスタ取り付け部400と一体形成され、そこから上方に延びる、一対の突出フック部材460a〜460bと、(c)上部キャニスタホルダ600とによって、キャニスタ700をキャニスタ取り付け構造300に固定する。上部キャニスタホルダ600は、フック部材460a〜460bを受け入れる開口612a〜612bを備え、ラバーホルダ500と下部のキャニスタ700とを覆う。具体的には、図4A他に示すように、キャニスタ取り付け部400は、クレードル部410のすぐ後ろの(即ち、垂下部420の方に)第1フック部材460aと、クレードル部410のすぐ前の(即ち、燃料トレイ部310の方に)第2フック部材460bとを備える。更に図8に示すように、この第1フック部材460a及び第2フック部材460bは略矩形構造である。フック部材460a〜460bによって、上方に突き出た障壁、即ち壁が形成され、その間にクレードル部410を配置する。各フック部材460a、460bは、その遠位端に、フック状即ち下側を切り取った先端部462a、462bを備え、上部キャニスタホルダ600と係合するための部分である。
更に図8に示すように、ラバーホルダ500は、キャニスタ700の中央部の周りに巻いたゴム等の材料の帯を備える又はそのような帯である。更に図4A〜図4B及び図8に示すように、このラバーホルダ500は、第1突出部及び第2突出部、即ち肩部510a、510bを備える。肩部510a、510bは、相対する表面領域で前方及び後方方向にキャニスタ700から離れて外側に放射状に延びている。この第1肩部510a及び第2肩部510bはそれぞれ、内部に通路、即ち長孔(slot)512a、512bを有し、キャニスタ取り付け部400の対応するフック部材460a、460bを受け入れて密着して覆うように構成される。ラバーホルダ500によってキャニスタ700を巻いた後、(a)ラバーホルダの長孔512a、512bとフック部材460a、460bのフック状の先端部462a、462bと位置合わせして、(b)ラバーホルダを巻いたキャニスタ700をクレードル部410の方へとずらして、各フック部材460a、460bを対応する肩部510a、510bの長孔512a、512b内に通し、ラバーホルダを巻いたキャニスタ700をキャニスタ取り付け部400のクレードル部410上に据え付けることによって、キャニスタ700をキャニスタ取り付け部400上に設置可能である。キャニスタ700とその周りに巻いたラバーホルダ500とをクレードル部410上に据え付けた後、キャニスタの中央縦軸(すなわち、キャニスタの長手方向)が自動二輪車の中央ライン311に垂直となるようなキャニスタ700の向きとする。なお、ラバーホルダを巻いたキャニスタ700をクレードル部410上に挿入すると、第1フック部材460a及び第2フック部材460bは、ラバーホルダの肩部510a、510bから突き出て、フック状の先端部462a、462bがこれらの肩部510a、510bの上に露出したままとなる。
ラバーホルダ500、その肩部510a、510b、長孔512a、512b及びフック部材460a、460bは、クレードル部410内にキャニスタ700を確実に保持するのに役立ち、更にラバーホルダ500の材料とキャニスタ700がキャニスタ取り付け構造300によって浮遊状態に保持されていることとによって、内在的にキャニスタの振動吸収/防振が得られることは、関連する技術の当業者であれば認識されるであろう。本実施形態に係るキャニスタ取り付け構造は、単一のラバーホルダ500のみを利用しているので、部品点数とコストが減る。
上部キャニスタホルダ600は、第1受け入れ部610a及び第2受け入れ部610bを備え、この第1受け入れ部及び第2受け入れ部は、(a)ラバーホルダの第1肩部510a及び第2肩部510bをそれぞれ受け入れて覆い、(b)このような受け入れ部610a、610bに形成した第1開口612a及び第2開口612bによって第1フック部材460a及び第2フック部材460bを受け入れ、(c)キャニスタ取り付け部の上方に突き出たフック部材460a、460bのフック状の先端部462a、462bと掛止係合するよう構成される。従って、図8他により分かるように、一旦ラバーホルダ500を巻いたキャニスタ700をクレードル部410に据え付けると、上部キャニスタホルダ600は、上方からキャニスタ取り付け部400上に配置可能であり、これによって(i)ラバーホルダ500を巻いたキャニスタ700の少なくとも一部を覆い、(ii)ラバーホルダの肩部510a、510bを覆い、(iii)フック状の先端部462a、462bを受け入れ部610a、610bの上部/露出表面領域と係合させて、上部キャニスタホルダ600をキャニスタ取り付け部400の適切な位置に効率的に掛止める。図4A〜図4B及び図8に示すように、上部キャニスタホルダ600の曲線部602は、キャニスタ700やその周りに巻いたラバーホルダ500の形状又は曲率に略沿う、即ち一致するような輪郭を有する。
上部キャニスタホルダ600には更に、第1取り付け孔及び第2取り付け孔、即ち開口620a、620bが形成され、上部キャニスタホルダ600がキャニスタ取り付け部400の位置まで下げられると、キャニスタ取り付け部400の第1固定箇所412a及び第2固定箇所412bと協働して位置決めされるよう構成される。この結果、上部キャニスタホルダ600は、ねじ404等の締結具によってキャニスタ取り付け部400に固定され、キャニスタ取り付け構造300へのキャニスタ700の確実な保持に更に役立ち、この保持が確立される。
更に、上部キャニスタホルダ600の中央部には、上方に突き出たパージコントロール弁取り付け部650が配置される。パージコントロール弁取り付け部650は、一対の開口、即ち孔652a、652bを有し、ねじ等の締結具654によってパージコントロール弁750を上部キャニスタホルダ600に取り付け可能である。
パージコントロール弁750を上部キャニスタホルダ600に取り付けた後、複数のホースやチューブを、キャニスタ取り付け構造300に接続して、それに対して配管可能である。特に、様々な実施形態において、キャニスタ充填チューブ810を燃料気液分離器80に接続し、燃料タンク70及び燃料トレイ部310の左右両側に配管して、キャニスタ700の従来のキャニスタ充填入口700aに接続する。キャニスタ取り付け構造300は、少なくとも2つのガイド部又は構造を備える。例えば、キャニスタ充填チューブ810の配管を容易にするための、燃料トレイ部320の下部背面、即ち端部に形成した後方ガイド部350a、燃料トレイ部320の下部前面、即ち端部に形成した前方ガイド部350b、及び複数のクリップ部360、362a、362b等を備える。
後方ガイド部350aは、燃料トレイ部320の後方壁部の後ろに配置し、後方に延びる2つの壁を備える。後方ガイド部350aは、燃料キャップ74とキャニスタ700との間のクレードル部410とは反対側の表面に燃料トレイ部310と一体形成される。後方ガイド部350aの各壁は、キャニスタ充填チューブ810が通過する孔構造を備え、例えば、燃料トレイの中央ライン311に対して若干傾けて燃料トレイ部320の後方にキャニスタ充填チューブ路を形成する。従って、燃料トレイ部310とキャニスタ取り付け部400との間のデッドスペースであったであろう場所を使ってキャニスタ充填チューブ810を配管及び誘導することができる。燃料トレイ部320は更に、左後方側から外側に延びる後方クリップ部360を備えてもよく、後方ガイド部350aと燃料トレイ部320の左側に対してキャニスタ充填チューブ810を滑らかに配管し易くする方向に、キャニスタ充填チューブ810の一部を保持するよう構成される。後方ガイド部350aと後方クリップ部860とにより、追加的なクリップやガイド手段を用いずに、キャニスタ充填チューブ810を燃料トレイ部310に近接して保持可能となる。
前方ガイド部350bは、燃料トレイ部320のすぐ前であって(以下に説明する)燃料蓋ロック機構900と燃料キャップ74との間に一体形成される。前方ガイド部は、少なくとも一つの直線又は略直線構造(例えば、一以上の中空シリンダ、リング等の構造)を備え、中央ライン311に垂直な直線又は略直線の左右の経路に沿ってキャニスタ充填チューブ810の一部がこの構造を通過する。幾つかの実施形態において、前方ガイド部350bは更に、燃料気液分離器80から離れる方向の若干下向きの傾斜に沿ってキャニスタ充填チューブ810を誘導し、これによって燃料蒸気をキャニスタ700に送り易くする。キャニスタ取り付け構造300は更に、燃料トレイ部320から外側に延びる一対の前方クリップ部362a、362bを備える。これらの前方クリップ部362a、362bは、前方ガイド部350bと一直線上に並ぶ。前方クリップ部362a、362bは、キャニスタ充填チューブ810が燃料トレイ部310の一方の側から前方ガイド部350bを通って燃料トレイ部320の他方側へと滑らかに配管されるように、キャニスタ充填チューブ810の一部を適切な位置にクリップ又は保持する。
上述のガイド部350a、350b、クリップ部360、362a、362bによって、キャニスタ充填チューブ810が燃料タンク70の幅によって保護され、燃料タンク70と燃料トレイ部320とに接近して近接して又は略近接してしっかりと保持されるよう、燃料タンク70と燃料タンク70の幅内部の燃料トレイ部310の左右両側で、キャニスタ充填チューブ810が配管される。このような配管によって、自動二輪車10がいずれかの方向に傾いていても、キャニスタ充填チューブ801の両側は燃料タンク70より高く、燃料タンクより幅方向に広がる。ガイド部350a、350bは、使用されない即ちデッドスペースであったであろう場所に形成されるので、空間利用効率が向上する。
第1キャニスタパージチューブ820をキャニスタ700の従来のパージ出口700bに連結させて、パージコントロール弁750の入口へと送ってもよい。同様に、第2キャニスタパージチューブ822をパージコントロール弁750の出口に連結させて、自動二輪車の空気取り入れ機構へと送ってもよい。最後に、キャニスタドレインチューブ830を従来のキャニスタドレイン出口に連結させて、そこから離れるように配管することによりしてもよい。これは、飛び散った液体燃料をキャニスタ700から流出させるためのものである。
複数の図に示すように、様々な実施形態において、キャニスタ取り付け構造300は更に、自動二輪車の燃料蓋212をロック及び開放するための燃料蓋ロック機構900の一部を担持又は備える。このような実施形態において、燃料トレイ310は、その前方部と一体形成したカバー部370を有し、コンパートメント372を形成する。カバー部370は、燃料蓋ロック機構900の少なくとも一方の側と共にその下部を覆う。コンパートメント372は、燃料トレイ部320の前部の前方に延びる。
更に図9A〜図9B、図10A〜図10Bを参照すると、様々な実施形態において、ロック機構900は、燃料蓋212が担持し、そこから下方に延びるループ部材905と、コンパートメント372の後方内側表面に取り付けた主プレート910と、主プレート910に取り付けた第1回転可能プレート920と、主プレート910に取り付けた第2回転可能プレート930と、第1プレート920及び第2プレート930の間に第1ばね受け921及び第2ばね受け931によってそれぞれ連結したコイル型のばね925と、主プレート910から前方に突き出たブラケット940と、摺動可能に配置されたワイヤ又はケーブル952を有するプルライン(pull line)950と、プルユニット(pull unit)960とを備える。
プルライン950は、コンパートメント372の中央側部内に配管され、ブラケット950に当たる。ワイヤ952は、ブラケット940を超えてコンパートメント372内に側方に延び、プルユニット960と係合する。プルユニット960は、第1回転可能プレート920の下アーム部922と、ワイヤ952の遠位端をこの下アーム部922に固定するワイヤマウント部962とを備える。
第1プレート920及び第2プレート930はそれぞれ弾性的に付勢されており、第2プレート930の上アーム部932は、燃料蓋212が閉じているときにループ部材920と係合したままとなるようなデフォルト位置を保っている。上アーム部932は十分な回転力が加わらなければこのデフォルト位置をとり続けるよう付勢されており、燃料蓋212が開かないようになっている。このように、この係合の結果、燃料蓋212は掛け止め、即ちロックされる。
十分に引く力がワイヤ952に加わると、プルユニット960から伝わる力によって第1回転軸の周りで第1プレート920が回転移動し、第1プレート920はデフォルト位置から離れるよう回転する。第1プレートの回転移動によってばね925に力が加わり、この力が第2プレート930に伝わって、第2プレート930が第2回転軸の周りをデフォルト位置から離れるよう回転する。このような第2プレート930の回転により、第2プレートの上アーム部932が移動して、上アーム部932が燃料蓋のループ部材905から外れる。この結果、燃料蓋212のロックが解除される。
プルライン950に加わる引く力が開放されると、第1プレート920は第1回転軸の周りをデフォルト位置へと回転して、ばね925によって第1プレート920に連結した第2プレート930も第2回転軸の周りをデフォルト位置へと回転する。燃料蓋を閉じたことにより第2プレート930の上アーム部932にループ部材905により加わった下向きの力によって、第2プレート930は第2回転軸の周りを十分に回転移動可能であって、ループ部材905の下部が上アーム部932の上部境界の下を通過する。その後、第2プレート930はデフォルト位置に戻って、上アーム部932は再びループ部材920と係合する。
本発明の様々な実施形態により、現存する自動二輪車用の蒸発ガスキャニスタ取り付け構造に関連する問題、制限及び/又は短所の少なくとも一つが解決される。幾つかの実施形態に関連する幾つかの特徴及び/又は利点について説明してきたが、他の実施形態であってもこのような特徴及び/又は利点を示す可能性がある。また、以下の請求項の範囲内にある全ての実施形態が必ずしもこのような特徴及び/又は利点を示す必要性はない。上述の構造、要素、部品又はその代替品のうちの幾つかを、以下の請求項の範囲内で、他の異なる構造、要素又は部品に所望に組み合わせることができることを、当業者であれば理解されるであろう。加えて、当業者であれば、本明細書に記載した実施形態に様々な修正、変更及び/又は改善を行うことが可能である。本実施形態は、以下の請求項によってのみ限定される。