JP6496263B2 - 新規なテトラカルボン酸二無水物及び該酸二無水物から得られるポリイミド - Google Patents

新規なテトラカルボン酸二無水物及び該酸二無水物から得られるポリイミド Download PDF

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本発明は、スピロ構造を有する新規なテトラカルボン酸二無水物及び該テトラカルボン酸二無水物から得られるポリイミドに関する。
マイクロエレクトロニクス用のプラスチック材料として半田実装温度(260℃)以上の高温に耐えるポリイミドは、半導体素子やフレキシブルプリント配線基板など絶縁層として広く用いられている。しかしながら、耐熱性の高いポリイミドの多くは加工性に乏しく、ポリイミドの前駆体、即ち溶媒に可溶なポリアミド酸から加工する場合がほとんどである(非特許文献1)。
ポリアミド酸からポリイミドを形成するためには、300℃以上の高温を必要とするため、そのイミド化温度により用途が限定される場合がある。また、ポリアミド酸フィルムからポリイミドフィルムを製造する場合、熱イミド化条件によっては、硬化収縮によるフィルム破断やフィルム中にボイドが発生する懸念もあり、イミド化反応制御が非常に難しい。更には、イミド化時に300℃以上の高温炉が必要となり製造コストも高くなるという欠点があった。
そこで、既にイミド化が完結している状態で溶媒に可溶なポリイミド(溶媒可溶性ポリイミド)や、溶融成型可能な熱可塑性ポリイミドが近年開発され、従来のポリイミドよりも加工性が改善されている。このようなポリイミドの大部分は、ポリイミド主鎖中にシロキサン鎖やエーテル結合のような高分子主鎖を屈曲させ、分子内回転運動がし易い結合を導入したり、側鎖に嵩高い置換基を入れ高分子鎖の凝集を阻害したり、主鎖中のイミド基濃度を低下させるなどして加工性を高めている(非特許文献2,3)。しかしながら、このような分子設計は、ほぼ例外なくポリイミド本来の耐熱性を著しく低下させてしまう。従って、260℃以上、特に290℃以上の耐熱性と高い溶媒溶解性を兼ね備えたポリイミドは、ほとんど知られていない。
Prog.Polym.Sci.,16,561(1991). Polym.Eng.Sci.,29,1413(1989). Polym.,39,1945(1998).
本発明は、優れた溶媒溶解性(溶液加工性)と高い耐熱性を併せ持つ樹脂を与えるためのテトラカルボン酸二無水物、そのテトラカルボン酸二無水物から合成される溶液加工性に優れたポリイミド並びに該ポリイミドを含む溶液、および該ポリイミド並びにポリイミド溶液から得られる高い耐熱性を有するフィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、下記式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物から溶液加工性に優れたポリイミドが得られ、該ポリイミドを含む溶液から260℃以上の耐熱性を有するポリイミドフィルムが得られることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は以下の通りである。
〔1〕
下記式(1):
Figure 0006496263

で表されるテトラカルボン酸二無水物。
〔2〕
下記一般式(2):
Figure 0006496263
(式(2)中、Xは2価の芳香族または脂肪族基を表す。)
で表される繰り返し単位を有するポリイミド。
〔3〕
〔2〕に記載のポリイミドを固形分濃度で5重量%以上含むポリイミド溶液。
〔4〕
〔2〕に記載のポリイミドを含むポリイミドフィルム。
〔5〕
ガラス転移温度が260℃以上である〔2〕に記載のポリイミドを含む耐熱性フィルム。
本発明によれば、従来技術では極めて両立困難であった高い耐熱性(高ガラス転移温度)と溶媒可溶性を併せ持つポリイミド、該ポリイミドを含む溶液から製造されるポリイミドフィルム、及び該ポリイミドを与えるためのフルオレン骨格とスピロ骨格を有するテトラカルボン酸二無水物が提供可能となる。
実施例2において測定したFT−IRのチャートである。 実施例3において測定したFT−IRのチャートである。 実施例4において測定したFT−IRのチャートである。
本発明のテトラカルボン酸二無水物は、以下式(1)で表される構造を有する。
Figure 0006496263
本発明の式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物の合成方法は、特に限定されないが、例えば、下記式(3)で表されるジオール、即ちスピロ[フルオレン−9,9’−(2’,7’−ジヒドロキシキサンテン)]または、そのジアセテート体と下記式(4)で表されるトリメリット酸またはその誘導体から公知のエステル化反応によって合成される。
Figure 0006496263
Figure 0006496263
トリメリット酸誘導体としては、無水トリメリット酸、無水トリメリット酸ハライド等が挙げられる。
本発明にかかる式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物の構造的特徴は、キサンテン構造とフルオレン構造が直交したスピロ構造を有し、無水フタル酸部位がエステル結合を介しキサンテン構造に結合している点にある。
本発明にかかる下記式(2)で表されるポリイミドは、上記式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物を原料とすることで、上述した特異な物性を有する有用なポリイミドを得ることができる。その製造方法については特に限定されないが、例えば、上記式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物と、2価の求核反応性官能基をもつ芳香族または脂肪族化合物を反応させて下記式(2)で表される繰り返し単位を有するポリイミドの前駆体を得た後、イミド化する工程を経る二段階合成法、または高沸点溶媒中、上記式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物と2価の求核反応性官能基をもつ芳香族または脂肪族化合物を150〜220℃で撹拌しながら反応させる一段階合成法がある。
本発明のポリイミドは、以下式(2)で表される構造を有する。
Figure 0006496263
(式(2)中、Xは2価の芳香族または脂肪族基を表す。)
上記式(2)中、Xで表される2価の芳香族または脂肪族基は、後述する上記式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物と反応させる、2価の求核反応性官能基を有する芳香族または脂肪族化合物の骨格構造を表す。なお、本発明における2価の求核反応性官能基としてはアミノ基、イソシアナート基等が例示される。
2価の求核反応性官能基をもつ芳香族または脂肪族化合物として具体的に例えば、ジアミン類として、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、p−ターフェニレンジアミン、ベンジジン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、o−トリジン、m−トリジン、4,4’‐ジアミノ−2,2’‐ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、2,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノキシレン、2,4−ジアミノデュレン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−メチレンビス(2−メチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−エチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチルアニリン)等の芳香族ジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、イソホロンジアミン、トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン、シス−1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンビス(メチルアミン)、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、3,8−ビス(アミノメチル)トリシクロ〔5.2.1.0〕デカン、1,3−ジアミノアダマンタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)ヘキサフルオロプロパン等の脂環式ジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−テトラメチレンジアミン、1,5−ペンタメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,7−ヘプタメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,9−ノナメチレンジアミン、ジアミノシロキサン等の鎖状脂肪族ジアミンが挙げられる。また、ジイソシアナート類としては、1,5−フェニレンジイソシアナート、1,3−ジイソシアナトベンゼン、3,3'−ジクロロ-4,4'−ジイソシアナトビフェニル、4,4'−ジイソシアナト-3,3'−ジメチルジフェニルメタン、1,5−ジイソシアナトナフタレン、トリレン−2,6−ジイソシアナート、m−キシリレンジイソシアナート、2,2−ビス(4-イソシアナトフェニル)ヘキサフルオロプロパン等の芳香族ジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアナート等の脂環式ジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート等の鎖状脂肪族ジイソシアナートが挙げられる。また、これらを2種類以上併用することもできる。
本発明にかかるポリイミドを重合する際の重合反応性およびポリイミドの特性を著しく損なわない範囲で、上記式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物以外の芳香族または脂肪族テトラカルボン酸二無水物を共重合成分として併用できる。その際に使用可能な芳香族テトラカルボン酸二無水物として例えば、ピロメリット酸二無水物、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ハイドロキノン−ビス(トリメリテートアンハイドライド)、メチルハイドロキノン−ビス(トリメリテートアンハイドライド)、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,4,2’,3’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,4,2’,3’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン酸二無水物等が挙げられる。脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、特に限定されないが、例えば、脂環式のものとしては、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、5−(ジオキソテトラヒドロフリル−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)テトラリン−1,2−ジカルボン酸無水物、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。また、これらを2種類以上併用することもできる。
本発明にかかるポリイミドまたはポリアミド酸を合成する際の溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホオキシド等の非プロトン性溶媒が好ましいが、原料と生成するポリイミド前駆体、そしてイミド化されたポリイミドが溶解し、原料や生成物と反応しないものであればどのような溶媒であっても何ら問題なく使用でき、特にその溶媒の種類に限定されない。
具体的に例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド溶媒、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル等のエステル溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコール系溶媒、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール、3−クロロフェノール、4−クロロフェノール等のフェノール系溶媒、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジブチルエーテル等のエーテル系溶媒、その他汎用溶媒として、アセトフェノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、プロピレングリコールメチルアセテート、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、2−メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、ブタノール、エタノール、キシレン、トルエン、クロルベンゼン、ターペン、ミネラルスピリット、石油ナフサ系溶媒などが使用でき、これらを2種類以上混合して用いてもよい。
本発明の式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物を合成する方法は特に限定されず、公知のエステル化反応を適宜用いることができる。具体的には、例えば、無水トリメリット酸クロリドを脱水非プロトン性溶媒に溶解させ、式(3)のジオールと脱酸剤を同様の溶媒に溶解させた溶液を、メカニカルスターラー等を用いて、温度−78℃〜0℃の範囲、好ましくは−30℃〜−5℃で加え、0.5〜48時間、好ましくは1〜24時間撹拌する。その後、反応溶液を0〜100℃、好ましくは10〜50℃まで昇温させ0.5〜48時間、好ましくは1〜24時間撹拌し、エステル化を完結させる。続いて、生成物を含む溶液から生成物を単離し、適宜洗浄し、真空乾燥器等で20〜220℃、より好ましくは50〜200℃で乾燥させ、本発明の式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物を得ることができる。本発明の式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物の純度が低い場合は、公知の方法、例えば昇華法や再結晶法で適宜精製できる。
本発明の上記式(2)で表されるポリイミド及び該ポリイミドを含む溶液を合成する方法は、特に限定されず、公知のイミド化反応を適宜用いることができる。
具体的には、例えば、以下の一段階法で合成できる。2価の求核反応性官能基がイソシアナート基の場合、芳香族または脂肪族ジイソシアナートを溶媒に溶解させ、この溶液にジイソシアナート基と等モルの式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物の粉末を徐々に、または分割して加え、メカニカルスターラー等を用いて、温度−20〜100℃の範囲、より好ましくは、0〜50℃で0.5〜168時間、より好ましくは1〜72時間撹拌することで、上記式(2)で表されるポリイミドを含む溶液が得られる。
また、2価の求核反応性官能基がアミノ基の場合、芳香族または脂肪族ジアミンを高沸点溶媒に溶解させ、この溶液にジアミンと等モルの式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物の粉末を徐々に、または分割して加えた後、トルエンなどの共沸剤を加え、不活性ガスを導入しながら150〜220℃、より好ましくは、160〜190℃でメカニカルスターラー等を用いて0.5〜10時間、より好ましくは1〜5時間で撹拌し、イミド化時に生成する水を共沸剤とともに系外に除去することでイミド化でき、室温に戻すだけで上記式(2)で表されるポリイミドを含む溶液を得ることができる。尚、イミド化反応の副生成物である水や共沸剤を除去する際に、反応容器内を減圧にすることも可能であり、この工程により固形分濃度を高めることもできる。
また、本発明の上記式(2)で表されるポリイミド及び該ポリイミドを含む溶液は以下の二段階法を用いても合成できる。2価の求核反応性官能基がアミノ基の場合、まず、第一段階目として、芳香族または脂肪族ジアミンを溶媒に溶解させ、この溶液にジアミンと等モルの式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物の粉末を徐々に、または分割して加え、メカニカルスターラー等を用いて、温度0〜100℃の範囲、より好ましくは、5〜50℃で0.5〜168時間、より好ましくは1〜96時間撹拌することで、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸溶液が得られる。この際の固形分濃度は、ポリアミド酸の分子量を最大限に高めるため、溶液が均一となり撹拌できる最大濃度が望ましい。即ち、固形分濃度は1〜50重量%、より好ましくは5〜40重量%である。このような固形分濃度であれば、生成するポリアミド酸の重合度が十分高くなる。また、脂肪族ジアミンを使用した場合、重合初期にしばしば塩形成が起こり、重合が妨害されるが、塩形成を抑制しつつできるだけ重合度を上げるためには、重合時の固形分濃度を上記の好適な濃度範囲に管理することが好ましい。
次いで、第二段階目として前記で得られたポリイミド前駆体、即ちポリアミド酸をイミド化する方法について説明する。本発明のポリイミドを得るためには、熱的に脱水閉環する高温溶液イミド化法、脱水剤を用いる化学イミド化法などの公知の方法が適宜使用できる。
具体的には、例えば、高温溶液イミド化法を適用する場合は、高沸点溶媒中で合成した前記方法で得られたポリアミド酸溶液に、上述したポリアミド酸を製造する際に使用可能な溶媒、特に前記ポリアミド酸製造時に用いた溶媒と同一の溶媒を加えて撹拌し易い適度な溶液粘度とし、更にトルエンなどの共沸剤を加え、不活性ガスを導入しながら150〜220℃、より好ましくは、160〜190℃でメカニカルスターラー等を用いて0.5〜10時間、より好ましくは1〜5時間、撹拌し、イミド化時に生成する水を共沸剤とともに系外に除去することで容易にイミド化でき、これを室温に戻すだけで上記式(2)で表されるポリイミド含む溶液を得ることができる。尚、イミド化時に副生成物である水や共沸剤を除去する際に、反応容器内を減圧にすることも可能であり、これにより固形分濃度を高めることもできる。
また、化学イミド化法を適用する場合は、前記方法で得られたポリアミド酸溶液に上述したポリアミド酸を製造する際に使用可能な溶媒、特に前記ポリアミド酸製造時に用いた溶媒と同一の溶媒を加えて撹拌し易い適度な溶液粘度とし、メカニカルスターラーなどで撹拌しながら、有機酸の無水物と、塩基性触媒として3級アミンからなる脱水閉環剤(化学イミド化剤)を滴下し、温度0〜100℃、好ましくは10〜50℃で1〜72時間撹拌することで化学的にイミド化を完結させることができる。その際に使用可能な有機酸無水物としては、特に限定されないが、無水酢酸、無水プロピオン酸等が挙げられる。試薬の取り扱いや分離のし易さから無水酢酸が好適に使用される。また塩基性触媒としては、ピリジン、トリエチルアミン、キノリン等が使用できるが試薬の取り扱いや分離のし易さからピリジンが好適に用いられるが、これらに限定されない。化学イミド化剤中の有機酸無水物量は、ポリアミド酸の理論脱水量の1〜20倍モルの範囲であり、より好ましくは1〜10倍モルである。また塩基性触媒の量は、有機酸無水物量に対して0.1〜2倍モルの範囲であり、より好ましくは0.1〜1倍モルの範囲である。
前記化学イミド化法で得られた反応溶液中には、塩基や未反応の化学イミド化剤、有機酸などの副生成物(以下、不純物という)が混入しているため、これらを除去してポリイミドを単離・精製してもよい。精製は公知の方法が利用できる。例えば、最も簡便な方法としては、イミド化した反応溶液を撹拌しながら大量の貧溶媒中に滴下してポリイミドを析出させた後、ポリイミド粉末を回収して不純物が除去されるまで繰返し洗浄し、減圧乾燥して、ポリイミド粉末を得る方法が適用できる。この時、使用できる溶媒としては、ポリイミドを析出させ、不純物を効率よく除去でき、乾燥し易い溶媒であれば特に限定されないが、例えば、水をはじめ、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類が好適であり、これらを混合して用いてもよい。貧溶媒中に滴下して析出させる時のポリイミド溶液の固形分濃度は、高すぎると析出するポリイミドが粒塊となり、その粗大な粒子中に不純物が残留する場合や、得られたポリイミド粉末を溶媒に再溶解する際に長時間要する場合がある。一方、ポリイミド溶液の濃度を薄くし過ぎると、多量の貧溶媒が必要となり、廃溶剤処理による環境負荷増大や製造コスト高になる場合がある。したがって、貧溶媒中に滴下する時のポリイミド溶液の濃度(固形分濃度)は、20重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。この時使用する貧溶媒の量はポリイミド溶液中の溶媒やポリイミドの種類に応じて当業者であれば適宜調整可能である。前述のように析出させたポリイミド粉末は回収し、残留溶媒を真空乾燥や熱風乾燥などで除去する。乾燥温度と時間は、ポリイミドが変質しない温度であれば制限はなく、温度30〜150℃で3〜24時間乾燥させることが好ましい。
このようにして得られた上記式(2)で表されるポリイミド粉末は、ポリイミド溶液とするために溶媒に溶解させる必要がある。使用可能な溶媒は、ポリイミド溶液の使用用途や加工条件に合わせて適宜選択可能である。具体的には例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド溶媒、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル等のエステル溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコール系溶媒、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール、3−クロロフェノール、4−クロロフェノール等のフェノール系溶媒、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジブチルエーテル等のエーテル系溶媒、その他汎用溶媒として、アセトフェノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、プロピレングリコールメチルアセテート、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、2−メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、ブタノール、エタノール、キシレン、トルエン、クロルベンゼン、ターペン、ミネラルスピリット、石油ナフサ系溶媒なども使用でき、これらを2種類以上混合して用いてもよい。
特に、長時間にわたり連続塗工する場合、ポリイミド溶液中の溶媒が大気中の水分を吸湿し、ポリイミドが析出する恐れがある場合は、トリエチレングリコールジメチルエーテル、γ−ブチロラクトンあるいはシクロペンタノンなどの低吸湿性溶媒を使用することが好ましい。また、吸湿性溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド溶媒でも、上記低吸湿性溶媒と組み合わせることで、ポリイミドの析出を抑制することもできる。ポリイミド粉末の溶解方法は、空気中、または不活性ガス中で室温〜溶媒の沸点以下の温度範囲で1〜48時間かけて溶解させ、ポリイミド溶液にすることができる。
本発明の式(2)で表されるポリイミドの固有粘度は、ポリイミドフィルムの膜靭性を考慮すると、0.1dL/g以上、より好ましくは0.2dL/g以上であることが好ましい。固有粘度が0.1dL/g未満だとポリイミドフィルムの膜靭性が確保できず、脆弱なフィルムになる場合がある。
本発明のポリイミドの分子量はその成形性や取扱性の点から重量平均分子量で5000以上であることが好ましく、10000以上であることがより好ましい。なお、ポリイミドの分子量はポリイミド溶液の粘度を目安にすることができる。
次に、本発明の上記式(2)で表されるポリイミドを含むポリイミド溶液及びそれを成形して得られるポリイミドフィルムの製造方法について説明する。ポリイミド溶液中のポリイミドの固形分濃度としては、該溶液の用途に応じて適宜選択することができるが、例えばフィルムとする場合、ポリイミドの分子量、製造方法や所望するフィルムの厚さにもよるが、固形分濃度を5重量%以上、好ましくは5重量%〜40重量%とすることが好ましい。固形分濃度が低すぎると、十分な膜厚のフィルムを形成することが困難となる場合があり、逆に固形分濃度が高いと溶液粘度が高すぎて塗工が困難となる場合がある。なお、本発明におけるポリイミドの固形分濃度とはポリイミド溶液から定法により溶媒を除去した後に残った固形分(主に上記式(2)で表されるポリイミド)の含量のことを表す。
また、本発明の上記式(2)で表されるポリイミドを含むポリイミド溶液には、必要に応じて離型剤、フィラー、シランカップリング剤、架橋剤、末端封止剤、酸化防止剤、消泡剤、レベリング剤などの添加物を加えることができる。
前記ポリイミド溶液を用いてフィルムを製造する最も好ましい形態について説明するが、膜靭性のある自立膜が作製できれば特に製造方法は限定されない。
具体的には、例えば、ガラス基板などの支持体上にポリイミド溶液を公知の方法、例えば、ドクターブレードなどを用いて塗布後、乾燥し、ポリイミドフィルムを作製する方法がある。または、銅箔等の金属箔上に公知の方法、例えば、ドクターブレードなどを用いて塗布後、乾燥し、ポリイミド/金属箔の積層フィルムを得ることができ、半田実装時の高温工程にも耐えられるフレキシブルプリント配線基板用の銅張積層板にも使用できる。更に前記ポリイミド溶液を半導体やフレキシブル配線基板用の絶縁材料に適用する場合であれば、直接デバイス上にコーティングし、溶媒を乾燥させることで絶縁層が容易に形成できる。
上述のように製造されたポリイミドフィルムは通常、そのガラス転移温度が260℃以上、特に290℃以上となるため特に耐熱性フィルムとして好適に用いられる、例えば、半導体やフレキシブル配線基板用の絶縁材料として用いる場合、その絶縁層のガラス転移温度が260℃以上となるため、無鉛半田実装温度である260℃にも十分に耐え得るので、絶縁材料として好適に使用される。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これら実施例に限定されるものではない。なお、以下の例における物性値は、次の方法により測定した。
(評価方法)
<赤外吸収スペクトル>
フーリエ変換赤外分光光度計FT/IR−4100(日本分光社製)を用い、KBr法にてテトラカルボン酸二無水物の赤外線吸収スペクトルを測定した。また、ポリイミドの赤外線吸収スペクトルについては、ポリイミド溶液を調製後、ガラス基板上に流延し、100℃で30分乾燥してガラス基板上から剥離したポリイミド薄膜試料(約5μm厚)を測定した。
H−NMRスペクトル>
フーリエ変換核磁気共鳴JNM―ECP400(JEOL製)を用い、重水素化ジメチルスルホキシド中でテトラカルボン酸二無水物および化学イミド化したポリイミド粉末のH−NMRスペクトルを測定した。標準物質はテトラメチルシランを使用した。
<示差走査熱量分析(融点)>
テトラカルボン酸二無水物の融点は、示差走査熱量分析装置DSC3100(ネッチ・ジャパン社)を用いて、窒素雰囲気中、昇温速度5℃/分で測定した。融点が高く融解ピークがシャープであるほど、高純度であることを示す。
<固有粘度>
0.5重量%のポリイミド前駆体溶液、または、ポリイミド溶液をオストワルド粘度計を用いて30℃で還元粘度を測定した。この値をもって固有粘度とみなした。
<ポリイミド粉末の有機溶媒への溶解性試験>
ポリイミド粉末0.1gに対し、有機溶媒9.9g(固形分濃度1重量%)をサンプル管に入れ、試験管ミキサーを用いて5分間撹拌して溶解状態を目視で確認した。溶媒として、クロロホルム(CF)、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン(DOX)、酢酸エチル、シクロペンタノン(CPN)、シクロヘキサノン(CHN)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、m−クレゾール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、γ−ブチロラクトン(GBL)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(Tri-GL)を使用した。評価結果は、室温で溶解した場合を++、加熱により溶解し、且つ室温まで放冷後も均一性を保持していた場合を+、膨潤/一部溶解した場合を±、不溶の場合を−と表示した。
<ガラス転移温度:Tg>
ポリイミドフィルムのガラス転移温度は、ネッチ・ジャパン社製TMA4000を用いて(サンプルサイズ 幅5mm、長さ15mm)、荷重(静荷重)を膜厚(μm)×0.5gとして、5℃/minで150℃まで一旦昇温(1回目の昇温)させた後、20℃まで冷却し、さらに5℃/minで昇温(2回目の昇温)させて2回目の昇温時のTMA曲線から接線法より求めた。
<合成例1>(テトラカルボン酸二無水物の合成)
比較例としてスピロ構造を含まないテトラカルボン酸二無水物の合成。
ナスフラスコに無水トリメリット酸クロリド8.4228g(40.0mmol)を入れ、脱水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)36mLに室温で溶解させ、セプタムシールして溶液Aを調製した(溶質濃度20wt%)。更に別のフラスコ中で4,4’−ビフェノール3.7242g(20.0mmol)を脱水DMF16mLに室温で溶解し(溶質濃度20wt%)、これにピリジン120mmolを加えてセプタムシールし溶液Bを調製した。氷浴中で冷却、撹拌しながら、溶液Aに溶液Bをシリンジにて徐々に滴下し、その後室温で12時間撹拌した。反応終了後、黄色沈澱物を濾別し、DMFおよびイオン交換水で洗浄した。ピリジン塩酸塩の除去は、硝酸銀水溶液を用いて確認した。洗浄した生成物を回収し、180℃で12時間真空乾燥した。得られた生成物は黄色粉末であり、収量は4.8465g、収率は38.5%であった。得られた生成物は、フーリエ変換赤外分光光度計FT/IR−4100(日本分光社製)より、1861cm−1および1782cm−1に酸無水物基C=O伸縮振動、1730cm−1にエステル基C=O伸縮振動を確認した。また、フーリエ変換核磁気共鳴JNM―ECP400(JEOL製)を用いてプロトンNMR測定を行った結果、DMSO−d,δ,ppm:7.52(d,4H), 7.58(d,4H), 8.51(d,2H),8.6(m,4H), 8.71−8.76(m,4H)と帰属でき、目的物のテトラカルボン酸二無水物であることが確認された。また、示差走査熱量分析装置DSC3100(ネッチ・ジャパン社)によって融点を測定したところ、326℃に鋭い融解ピークを示したことからこの生成物は高純度であることが示唆された。
<実施例1>(テトラカルボン酸二無水物の合成)
本発明の式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物の合成。
ナスフラスコに無水トリメリット酸クロリド6.4617g(30.687mmol)を入れ、脱水テトラヒドロフラン(THF)16.6mLに室温で溶解させ、セプタムシールして溶液Aを調製した(溶質濃度30.0重量%)。別のナスフラスコにスピロ[フルオレン−9,9’−(2’,7’−ジヒドロキシキサンテン)]3.6439g(10.057mmol)を脱水THF47.1mLに室温で溶解し(溶質濃度8.0重量%)、これにピリジン4.85mL(60.0mmol)を加えてセプタムシールし溶液Bを調製した。氷浴中で冷却、撹拌しながら、溶液Aに溶液Bをシリンジにて徐々に滴下して1時間撹拌し、その後室温で12時間撹拌した。反応終了後、白色沈澱物を濾別し、THFと水で洗浄した。ピリジン塩酸塩の除去は、洗液に硝酸銀水溶液を添加し白色沈殿が見られなくなったことをもって確認した。洗浄した生成物を回収し、100℃で12時間真空乾燥した。得られた生成物は白色粉末であり、収量は2.8336g、収率は39.8%であった。
得られた生成物は、フーリエ変換赤外分光光度計FT/IR−4100(日本分光社製)より、1856cm−1および1781cm−1に酸無水物基C=O伸縮振動吸収帯、1738cm−1にエステル基C=O伸縮振動吸収帯を確認した。また、フーリエ変換核磁気共鳴JNM―ECP400(JEOL製)を用いてプロトンNMR測定を行った結果、DMSO−d,δ,ppm;8.62−8.51(m,4H),8.27(dd,2H,J=8.0,0.6Hz),8.15(dd,2H,J=8.3,1.8Hz),8.04(d,2H,J=7.7Hz),7.49−7.46(m,4H),7.32(t,2H,J=7.5Hz),6.94(dd,2H,J=8.7,2.4Hz,),6.41(d,2H,J=8.8Hz)と帰属でき、元素分析値は、計算値C:72.47%,H:2.83%,実測値C:72.61%,H:2.97%
と式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物と0.3%以内で一致した。また、示差走査熱量分析装置DSC3100(ネッチ・ジャパン社)によって融点を測定したところ、332℃に鋭い融解ピークを示したことからこの生成物は高純度であることが示唆された。
<実施例2>(ポリアミド酸の重合;DABA系)
4,4’−ジアミノベンズアニリド(DABA)0.6818g(3mmol)を脱水N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)6.57gに溶解した。ここに実施例1で合成した式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物粉末2.1378g(3mmol)をゆっくり加えて固形分濃度30.0重量%で撹拌した。適宜DMAcで希釈しながら室温で72時間撹拌しポリイミド前駆体であるポリアミド酸を得た(固形分濃度15.0重量%)。得られたポリアミド酸の固有粘度は、1.41dL/gであった。
(化学イミド化によるポリイミドの合成)
得られたポリアミド酸溶液を脱水DMAcで固形分濃度8重量%に希釈後、3.0627g(30mmmol)の無水酢酸と1.1865g(15mmol)のピリジンの混合溶液を室温でゆっくり滴下し、その後24時間撹拌した。得られたポリイミド溶液を大量の脱イオン水に加え、目的生成物を沈澱させた。得られた析出物をメタノールで十分洗浄し、100℃で12時間真空乾燥しポリイミド粉末を得た。得られたポリイミドの固有粘度は、0.69dL/gであった。イミド化の完結は、H−NMRよりポリアミド酸中のカルボキシ基のプロトン消失、及びFT−IRによって確認した(図1)。得られたポリイミド粉末の各溶媒に対する溶解性評価を表1に示す。
(ポリイミド溶液の調製およびポリイミドフィルムの作製)
得られたポリイミド粉末を室温でDMAcに再溶解し、15重量%の溶液を調製した。このポリイミド溶液をガラス基板上に流延し、60℃で2時間熱風乾燥器によって乾燥した。その後、ガラス基板ごと減圧下200℃で1時間乾燥した後、室温まで放冷後、ガラス基板からポリイミドフィルムを剥した。このポリイミドフィルムをもう一度減圧下で300℃1時間乾燥した。得られたフィルムの膜物性を表2に示す。
<実施例3>(ポリアミド酸の重合;4,4’‐ODA系)
4,4’−オキシジアニリン(4,4’−ODA)0.6007g(3mmol)を脱水N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)6.39gに溶解した。ここに実施例1で合成した式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物粉末2.1378g(3mmol)をゆっくり加えて固形分濃度30.0重量%で撹拌した。適宜DMAcで希釈しながら室温で72時間撹拌しポリイミド前駆体であるポリアミド酸を得た(固形分濃度22.9重量%)。得られたポリアミド酸の固有粘度は、0.96dL/gであった。
(化学イミド化によるポリイミドの合成)
得られたポリアミド酸溶液を脱水DMAcで固形分濃度8重量%に希釈後、3.0627g(30mmmol)の無水酢酸と1.1865g(15mmol)のピリジンの混合溶液を室温でゆっくり滴下し、その後24時間撹拌した。得られたポリイミド溶液を大量の脱イオン水に加え、目的生成物を沈澱させた。得られた析出物をメタノールで十分洗浄し、100℃で12時間真空乾燥しポリイミド粉末を得た。得られたポリイミドの固有粘度は、1.17dL/gであった。イミド化の完結は、H−NMRよりポリアミド酸中のアミドプロトン消失、及びFT−IRによって確認した(図2)。得られたポリイミド粉末の各溶媒に対する溶解性評価を表1に示す。
(ポリイミド溶液の調製およびポリイミドフィルムの作製)
得られたポリイミド粉末を室温でN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に再溶解し、15重量%の溶液を調製した。このポリイミド溶液をガラス基板上に流延し、80℃で2時間熱風乾燥器によって乾燥した。その後、ガラス基板ごと減圧下200℃で1時間乾燥した後、室温まで放冷後、ガラス基板からポリイミドフィルムを剥した。このポリイミドフィルムをもう一度減圧下で300℃1時間乾燥した。得られたフィルムの膜物性を表2に示す。
<実施例4>(ポリアミド酸の重合;TFMB系)
4,4’‐ジアミノ−2,2’‐ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル(TFMB)0.9607g(3mmol)を脱水N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)7.2gに溶解した。ここに実施例1で合成した式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物粉末2.1378g(3mmol)をゆっくり加えて固形分濃度30.0重量%で撹拌した。適宜DMAcで希釈しながら室温で72時間撹拌しポリイミド前駆体であるポリアミド酸を得た(固形分濃度23.6重量%)。得られたポリアミド酸の固有粘度は、0.94dL/gであった。
(化学イミド化によるポリイミドの合成)
得られたポリアミド酸溶液を脱水DMAcで固形分濃度8重量%に希釈後、3.0627g(30mmmol)の無水酢酸と1.1865g(15mmol)のピリジンの混合溶液を室温でゆっくり滴下し、その後24時間撹拌した。得られたポリイミド溶液を大量の脱イオン水に加え、目的生成物を沈澱させた。得られた析出物をメタノールで十分洗浄し、100℃で12時間真空乾燥しポリイミド粉末を得た。得られたポリイミドの固有粘度は、0.81dL/gであった。イミド化の完結は、H−NMRよりポリアミド酸中のアミドプロトン消失、及びFT−IRによって確認した(図3)。得られたポリイミド粉末の各溶媒に対する溶解性評価を表1に示す。
(ポリイミド溶液の調製およびポリイミドフィルムの作製)
得られたポリイミド粉末を室温でシクロペンタノン(CPN)に再溶解し、23重量%の溶液を調製した。このポリイミド溶液をガラス基板上に流延し、60℃で2時間熱風乾燥器によって乾燥した。その後、ガラス基板ごと減圧下200℃で1時間乾燥した後、室温まで放冷後、ガラス基板からポリイミドフィルムを剥した。このポリイミドフィルムをもう一度減圧下で280℃1時間乾燥した。得られたフィルムの膜物性を表2に示す。
<比較例1>(ポリアミド酸の重合;DABA系)
4,4’−ジアミノベンズアニリド(DABA)0.6818g(3mmol)を脱水NMP20.6gに溶解した。ここに合成例1で合成したスピロ構造を含まないテトラカルボン酸二無水物粉末1.6033g(3mmol)をゆっくり加えて固形分濃度10.0重量%で撹拌した。室温で72時間撹拌し粘稠なポリアミド酸を得た。
(化学イミド化によるポリイミドの合成)
得られたポリアミド酸溶液を脱水NMPで固形分濃度8重量%に希釈後、3.0627g(30mmmol)の無水酢酸と1.1865g(15mmol)のピリジンの混合溶液を室温でゆっくり滴下したところ、ゲル化が生じ反応を中断した。これは、高分子中にスピロ構造を含まないために、溶媒に対する溶解性が不十分となりゲル化したと考えられる。
<比較例2>(ポリアミド酸の重合;4,4’‐ODA系)
4,4’−オキシジアニリン(4,4’−ODA)0.6007g(3mmol)を脱水NMP19.8gに溶解した。ここに合成例1で合成したスピロ構造を含まないテトラカルボン酸二無水物粉末1.6033g(3mmol)をゆっくり加えて固形分濃度10.0重量%で撹拌した。室温で72時間撹拌し粘稠なポリアミド酸を得た。
(化学イミド化によるポリイミドの合成)
得られたポリアミド酸溶液を脱水NMPで固形分濃度3重量%に希釈後、3.0627g(30mmmol)の無水酢酸と1.1865g(15mmol)のピリジンの混合溶液を室温でゆっくり滴下したところ、ゲル化が生じ反応を中断した。これは、高分子中にスピロ構造を含まないために、溶媒に対する溶解性が不十分となりゲル化したと考えられる。
<比較例3>(ポリアミド酸の重合;TFMB系)
4,4’‐ジアミノ−2,2’‐ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル(TFMB)0.9607g(3mmol)を脱水N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)6.0gに溶解した。ここに合成例1で合成したスピロ構造を含まないテトラカルボン酸二無水物粉末1.6033g(3mmol)とをゆっくり加えて固形分濃度30重量%で撹拌した。適宜DMAcで希釈しながら室温で72時間撹拌しポリイミド前駆体であるポリアミド酸を得た(固形分濃度18.1重量%)。得られたポリアミド酸の固有粘度は、2.26dL/gであった。
(化学イミド化によるポリイミドの合成)
得られたポリアミド酸溶液の半分を脱水DMAcで固形分濃度8重量%に希釈後、1.5314g(15mmmol)の無水酢酸と0.5932g(7.5mmol)のピリジンの混合溶液を室温でゆっくり滴下したところ、溶液の流動性がなくなり、ゲル化したため、反応を中断した。これは、高分子中にスピロ構造を含まないために、溶媒に対する溶解性が不十分となりゲル化したと考えられる。
Figure 0006496263
Figure 0006496263

Claims (5)

  1. 下記式(1):
    Figure 0006496263

    で表されるテトラカルボン酸二無水物。
  2. 下記一般式(2−1)、(2−2)又は(2−3)で表される繰り返し単位を有するポリイミド。
    Figure 0006496263

    Figure 0006496263
    Figure 0006496263
  3. 請求項2に記載のポリイミドを固形分濃度で5重量%以上含むポリイミド溶液。
  4. 請求項2記載のポリイミドを含むポリイミドフィルム。
  5. ガラス転移温度が260℃以上である請求項2に記載のポリイミドを含む耐熱性フィルム。
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