JP6873874B2 - ジアミン、ポリアミド酸、ポリイミド及びポリイミド溶液 - Google Patents

ジアミン、ポリアミド酸、ポリイミド及びポリイミド溶液 Download PDF

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Description

本発明は、高溶媒溶解性、耐熱性及び寸法安定性に優れたポリイミド及び該ポリイミドを与えるジアミンに関する。
ポリイミドは現存する樹脂の中では最高ランクの耐熱性・難燃性および優れた機械的特性を有するため、エレクトロニクス分野を中心に様々な用途の絶縁部材に適用されている。特にポリイミドの中でも、その骨格に芳香環や複素環を有するポリイミドは耐熱性・難燃性に優れる一方、一般の有機溶媒に不溶で、高温でも溶融しないため、ポリイミド自身を加工することが困難である。
そのため、骨格に芳香環や複素環を有するポリイミドフィルム等の成形品を得る為には、通常、テトラカルボン酸二無水物とジアミンをアミド系溶媒中室温で等モル重付加反応してポリアミド酸を含む溶液(ワニス)とし、該ワニスを基板上に塗布・乾燥してフィルム状に成型した後、これを350℃以上の高温で熱処理(脱水閉環反応または熱イミド化反応と呼ばれる)することでポリイミドフィルムを作製する工程が一般的である。この工程は通常ポリイミドフィルム単体や銅張積層板を製造する際に適用される。
しかしながら、様々な電子部品を電子回路上に実装した後にポリイミド絶縁層を形成する場合、絶縁層と共存する電子部品の破損を避ける必要があり、そのため、上記した高温処理を必須とする方法によりポリイミドフィルムを製造することができない。
この問題を解決するための方法として、溶媒溶解性(溶液加工性)ポリイミドを用いる方法が有効である。その場合、ポリイミドワニスを、絶縁層を形成させたい場所に塗布した後、乾燥するだけで容易に耐熱性絶縁層を形成することが可能になる。
そこで、元来溶媒に不溶なポリイミドに溶媒溶解性を付与するためには、一般にポリイミドの分子構造中に大きく折れ曲がった構造単位や嵩高い側鎖を導入して、分子間力を低減する方法がとられる(例えば非特許文献1参照)。
しかしながら、上記構造を有するポリイミドは、上記構造を有さないポリイミドと比べ耐熱性、より具体的にはガラス転移温度(T)が低下する。そのため、ポリイミドの優れた溶液加工性と高い耐熱性(高いT)を両立することは原理的に容易ではない。
また、近年電子回路の高精細化に伴い、ポリイミドフィルムによって形成される絶縁層自身の熱寸法安定性の要求が高まりつつある。絶縁層の熱寸法安定性が低い場合、各種デバイス製造工程における様々な熱サイクルの際に、絶縁層が大きく熱膨張―熱収縮を繰り返すこととなり、発生した応力が原因で金属層等異種接合界面における接着不良・剥離、脆弱な無機電極回路の破断、電子部品の位置ずれおよび積層体の反り等の悪影響が生じる恐れがある。
絶縁層の熱寸法安定性を改善するためには、できるだけ線熱膨張係数(以下CTEと称することがある)を低くすればよいが、上述の通り、溶液加工性を確保するためにポリイミドの分子構造中に大きく折れ曲がった構造単位や嵩高い側鎖を導入すると、CTEの増加も招くことが知られている(例えば非特許文献2参照)。そのため、ポリイミドの溶液加工性と熱寸法安定性、即ち低熱膨張特性を両立することも原理的に容易ではなかった。
J. Polym. Sci., Part A, 41, 3249-3260 (2003). Polym. J., 39, 610-621 (2007).
本発明は、優れた溶液加工性、耐熱性および熱寸法安定性を兼ね備えたポリイミドおよび、該ポリイミドのモノマーであるジアミンを提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意研究した結果、以下に示すジアミンから得られるポリイミドが、優れた溶液加工性、耐熱性および熱寸法安定性を兼ね備えることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明の要旨は以下に示すものである。
〔1〕下記一般式(1):
Figure 0006873874
(一般式(1)中、Xはエステル基またはエーテル基を表す。)
で表されるジアミン。
〔2〕下記一般式(2):
Figure 0006873874
(一般式(2)中、Bは4価の芳香族基または脂肪族基を表し、Xはエステル基またはエーテル基を表す。)
で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸。
〔3〕下記一般式(3):
Figure 0006873874
(一般式(3)中、Bは4価の芳香族基または脂肪族基を表し、Xはエステル基またはエーテル基を表す。)
で表される繰り返し単位を有するポリイミド。
〔4〕〔3〕に記載のポリイミドを固形分濃度で5重量%以上含むポリイミド溶液。
〔5〕〔3〕に記載のポリイミドを含むポリイミドフィルム。
〔6〕ガラス転移温度が250℃以上である、〔3〕に記載のポリイミド、又は〔5〕に記載のポリイミドフィルム。
本発明によれば、前述した技術常識からは両立することが困難とされた、優れた溶液加工性と、耐熱性および熱寸法安定性(低線熱膨張性)を同時に兼ね備えるポリイミド、及び該ポリイミドを与えるジアミンが製造可能となる。
実施例2で得られた、ポリイミドフィルムの赤外線吸収スペクトル図である。
<本発明のジアミン及びその製造方法>
本発明のポリイミドのモノマーである、本発明のジアミンは上記一般式(1)で表される。上記一般式(1)中、Xはエステル基またはエーテル基を表し、ジアミンの製造容易性の観点からエステル基が好ましい。
上記一般式(1)で表されるジアミンは、スピロ[フルオレン−9,9’−キサンテン]−2,7’−ジオール(以下式(4):
Figure 0006873874
で表されるビスフェノール)から後述する方法により製造される。まずはじめに、上記式(4)で表されるビスフェノールの製造方法について詳述する。
本発明の上記式(4)で表されるビスフェノールは、酸存在下、9−フルオレノン(以下、フルオレノンと称することもある)とレゾルシン及びヒドロキノンとを反応させることにより製造される(以下、ビスフェノール化反応と称することがある)。
レゾルシン及びヒドロキノンの合計使用量は通常、フルオレノン1モルに対し2〜15モルであり、上記式(4)で表されるビスフェノールをより収率良く得る観点から、好ましくは4〜12モル使用する。また、レゾルシンとヒドロキノンの使用比率は通常、モル比で、レゾルシン:ヒドロキノン=10:90〜90:10、より収率良く上記式(4)で表されるビスフェノールを得る観点から、好ましくは20:80〜60:40、さらに好ましくは、20:80〜50:50とする。
ビスフェノール化反応に使用される酸として例えば無機酸、有機酸等各種の酸が使用可能であり、具体的に無機酸としては、硫酸、塩化水素、塩酸、リン酸、ヘテロポリ酸、ゼオライト、粘土鉱物等が例示され、有機酸としては、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、酸性イオン交換樹脂等が例示される。これら酸の中でも入手性、取扱性の観点から塩酸、又はパラトルエンスルホン酸が好適に用いられる。酸の使用量は通常、フルオレノン1モルに対し0.01〜5.0モルであり、十分な反応速度を得る観点及び後処理の容易さの観点から好ましくはフルオレノン1モルに対し0.05〜1.0モル使用する。これら酸は1種、あるいは必要に応じ2種以上併用してもよい。
ビスフェノール化反応を実施する際、反応速度向上の観点から含硫黄化合物を共存させてもよい。使用可能な含硫黄化合物として例えば、メルカプトカルボン酸類、アルキルメルカプタン類、アラルキルメルカプタン類及びこれらの塩類等が挙げられる。具体的に例えばチオ酢酸、β−メルカプトプロピオン酸、α−メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸、チオシュウ酸、メルカプトコハク酸、メルカプト安息香酸、n−ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等のC1−16アルキルメルカプタン等が挙げられる。これら含硫黄化合物の中でも、工業的な取扱性の良さからドデシルメルカプタン及びβ-メルカプトプロピオン酸が好適に用いられる。これら含硫黄化合物を使用する場合の使用量は、フルオレノン1重量部に対し通常0.01〜1.0重量部、十分な反応速度を得る観点及び後処理の容易さの観点から、好ましくはフルオレノン1重量部に対し0.01〜0.50重量部である。これら含硫黄化合物は1種、あるいは必要に応じ2種以上併用してもよい。
ビスフェノール化反応を実施する際、必要に応じ溶媒存在下で反応を実施してもよい。使用可能な溶媒としては、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類などが例示される。脂肪族炭化水素類としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等が例示され、芳香族炭化水素類としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等が例示され、エーテル類としては、ジエチルエーテルなどのジアルキルエーテル類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類が例示され、ハロゲン化炭化水素類としては、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等の脂肪族ハロゲン化炭化水素類、及びクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族ハロゲン化炭化水素類が例示される。これら溶媒の中でも、入手性や取扱性、反応速度、反応選択性の観点からトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類が好適に使用される。これら溶媒を使用する場合の使用量は、フルオレノン1重量部に対し通常0.1〜20重量部、十分な反応速度を得る観点及び経済的な観点から、好ましくはフルオレノン1重量部に対し5〜10重量部使用する。これら溶媒は1種、あるいは必要に応じ2種以上併用してもよい。
ビスフェノール化反応にはフルオレノン、レゾルシン、ヒドロキノン及び酸、並びに必要に応じ含硫黄化合物及び溶媒を反応容器に入れ、通常内温50〜200℃、好ましくは80〜140℃、さらに好ましくは120℃〜140℃で撹拌を行うことによって実施される。また、十分な反応速度を得る観点から必要に応じて、常圧あるいは減圧還流下、脱水しながら反応を実施してもよい。
ビスフェノール化反応後、得られた反応液を必要に応じ中和、水洗、濃縮、晶析、濾過等の常法により、上記式(4)で表されるビスフェノールを取り出すことができる。得られた上記式(4)で表されるビスフェノールは、再結晶、蒸留、吸着、カラムクロマトグラフィー等の常法により精製することも可能である。また、必要に応じ、得られた反応液をそのまま、後述する本発明のジアミンの製造へと供してもよい。
続いて本発明のジアミン(上記一般式(1)で表されるジアミン)の製造方法について詳述する。まずはじめに、上記一般式(1)において、連結基Xがエステル基の場合、即ち、下記式(5):
Figure 0006873874
で表されるジアミンの合成方法について以下に例示する。
上記式(5)で表されるジアミンは、4−ニトロ安息香酸(以下4−NBAと称する)またはその誘導体を原料としてエステル化反応を行い、下記式(6):
Figure 0006873874
で表されるジニトロ体を合成した後、ニトロ基を還元することにより製造することができる。
上記エステル化反応の際適用できる方法として、例えば、上記式(4)で表されるビスフェノールのヒドロキシ基と4−NBAのカルボキシル基を高温で直接脱水縮合反応させる方法、ジシクロヘキシルカルボジイミド等の脱水縮合試薬を用いる方法や、あるいは該ビスフェノールのジアセテート化体と4−NBAとを高温で反応させ脱酢酸してエステル化する方法(エステル交換法)、4−NBAのカルボキシル基を酸ハライドに変換し、これとビスフェノールとを脱酸剤(塩基)の存在下で反応させる方法(酸ハライド法)、トシルクロリド/N,N−ジメチルホルムアミド/ピリジン混合物を用いて4−NBA中のカルボキシル基を活性化してエステル化する方法等が挙げられる。上述の方法の中でもエステル交換法や酸ハライド法が経済性、反応性および簡便性の点で好ましく適用できる。以下に酸ハライド法によって上記式(6)で表されるジニトロ体を合成する方法について具体的に説明する。
まず反応容器に、上記式(4)で表されるビスフェノールを脱水した溶媒に溶かし、該溶液に、更に脱酸剤として塩基を添加し混合した溶液(以下、該溶液をA液と称する)を調製する。また、別の反応容器に、4−ニトロ安息香酸ハライドを、脱水した溶媒に溶解した溶液(以下、該溶液をB液と称する)を調製する。続いて、撹拌しながら後述する温度にてB液にA液を添加する。添加終了後、後述する温度にて更に撹拌を実施することにより反応を完結させる。なお、撹拌中、析出物により攪拌が困難となった場合、適宜溶媒を添加してもよい。
上記エステル化反応の際に使用可能な溶媒は、反応原料と反応せず、原料を十分に溶解すればよく、具体的に例えばテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン−ビス(2−メトキシエチル)エーテル等のエーテル系溶媒、ピコリン、ピリジン等の芳香族アミン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン等のケトン系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等の含ハロゲン溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のアミド系溶媒、ヘキサメチルホスホルアミド等の含リン溶媒、ジメチルスルホオキシド等の含イオウ溶媒、γ-ブチロラクトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒等が使用可能である。これらの溶媒は1種、あるいは必要に応じ2種類以上併用してもよい。これら溶媒の中でも、溶媒留去のしやすさの観点から、ケトン系溶媒及びエーテル系溶媒が好ましく、特にアセトン、テトラヒドロフランが好適に用いられる。
溶媒の使用量としては、上記エステル化反応における溶質濃度が通常、5〜50重量%の範囲となる量であり、副反応の抑制、反応収率、濾過工程、溶媒留去等の観点から、10〜40重量%の範囲とすることが好ましい。
上記エステル化反応に使用可能な4−ニトロ安息香酸ハライドとしては、4−ニトロ安息香酸クロリド、4−ニトロ安息香酸ブロミド等が例示される。4−ニトロ安息香酸ハライドの使用量としては、上記式(4)で表されるビスフェノール1モルに対し通常2〜10モル、反応率の向上、及び反応終了後の過剰な4−ニトロ安息香酸ハライドの除去の容易さの観点から2.1〜4モルが好ましい。
上記エステル化反応において脱酸剤として使用する塩基は、使用する溶媒に可溶であり、反応原料と反応せず、副生する酸を中和可能であればよく、具体的に例えば、ピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン等の有機3級アミン類が使用可能であり、特に経済性が高く、かつ毒性が低いことからピリジンが好適に用いられる。これら塩基は1種、あるいは必要に応じ2種以上併用してもよい。塩基の使用量として例えば、上記式(4)で表されるビスフェノール1モルに対し2.1〜20モルであり、反応率の向上、及び反応終了後の過剰な塩基の除去の容易さの観点から3 〜10モルがより好ましい。
上記エステル化反応は、B液にA液を添加する際は通常−78℃〜5℃、好ましくは−30〜5℃で実施する。添加後、同温度で0.5〜48時間、好ましくは1〜24時間撹拌を行う。なお、前記撹拌後、エステル化を完結させるため、更に0〜100℃、好ましくは10〜50℃で0.5〜48時間、好ましくは1〜24時間撹拌してもよい。
上述したエステル化反応によって得られた上記式(6)で表されるジニトロ体はそのまま後述する還元工程に用いてもよく、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の公知の方法に精製してもよい。
続いて上記式(6)で表されるジニトロ体の還元方法(還元工程)について詳述する。還元方法は適宜、公知の方法を適用することができる。例えば水素雰囲気下、パラジウムや白金等の遷移金属原子を活性炭に担持させた触媒を用い還元する方法(以下、水添法と称する)、塩酸酸性中スズ、亜鉛、鉄等の金属粉末用いる接触還元法や塩化スズ二水和物のエタノール溶液を用いる方法等が挙げられる。これら還元方法の中でも、反応の簡便性、反応収率、反応速度、触媒残渣除去のしやすさの観点から、水添法が好適である。
水添法を実施する際に用いられる触媒としては、パラジウムや白金等の遷移金属原子を活性炭に担持させた触媒が用いられ、この中でもパラジウムを活性炭に担持させた触媒(パラジウム/カーボン)又は白金を活性炭に担持させた触媒(白金/カーボン)が反応速度を向上させやすい点から好適に用いられる。これら触媒の使用量は、触媒中の遷移金属原子の重量として上記式(6)で表されるジニトロ体1重量部に対し、通常0.001〜0.01重量%用いられる。
水添法を実施する際に用いる溶媒としては、上記式(6)で表されるジニトロ体、あるいは生成物である上記一般式(1)で表されるジアミンと反応せず、水添時に反応を受けないものであればよく、例えばメタノール、エタノール等のアルコール溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジグライム、トリグライム等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、γ-ブチロラクトン等のエステル系溶媒、アセトン等のケトン系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のアミド系溶媒、ピコリン、ピリジン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。またこれら溶媒は単独でも、2種類以上混合して用いてもよい。反応試薬の溶解性、反応後の溶媒留去や乾燥除去のしやすさの観点から、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が好適に用いられる。これら溶媒の使用量として例えば、上記式(6)で表されるジニトロ体1重量倍に対し通常2〜10重量倍使用する。
水添法を実施する際の温度は通常20〜150℃であり、反応速度の向上及び不純物生成抑制の観点から30〜120℃とすることが好ましい。反応終点の確認方法として例えば、反応溶液を適宜サンプリングして、薄層クロマトグラフィーにより、原料であるジニトロ体の完全な消失と新たなスポットが1つのみ出現することをもって確認する方法が例示される。
水添法を実施する際の水素の圧力は通常、101.3kPa〜1013kPaである。101.3kPa以上とすることにより十分な還元速度が得られ、1013kPa以下とすることにより反応速度のコントロールが可能となり、不必要な副反応やゲル化を抑制することが可能となる。
上述した水添法を実施後、該反応に使用した触媒を濾過により除去した後、例えば溶媒の一部または全部を留去した後、必要に応じ貧溶媒を添加し析出させることにより、上記一般式(1)で表されるジアミンを分離することができる。
続いて本発明のジアミン(上記一般式(1)で表されるジアミン)の内、上記一般式(1)において、連結基Xがエーテル基の場合、即ち、下記式(7):
Figure 0006873874
で表されるジアミンの合成方法について以下に例示する。
上記式(7)で表されるジアミンは例えば、塩基性化合物存在下、上記式(4)で表されるビスフェノールと下記一般式(8):
Figure 0006873874
(式中、Xはハロゲン原子を表す。)
で表されるハロゲン化ニトロベンゼンとを反応することにより、以下式(9):
Figure 0006873874
で表されるジニトロ体を得(以下、該工程をエーテル化反応と称することがある)、該ジニトロ体を還元することによって得られる。なお、上記式(9)で表されるジニトロ体の還元条件等は、前述した上記式(6)で表されるジニトロ体の還元条件と同様の条件が適用可能である。よって、以下、上記式(9)で表されるジニトロ体の製造方法(エーテル化反応)について詳述する。
エーテル化反応に用いられる上記一般式(8)で表されるハロゲン化ニトロベンゼンの使用量は通常、上記式(4)で表されるビスフェノール1モルに対して、2モル〜10モル使用し、好ましくは2モル〜4モルである。ハロゲン化ニトロベンゼンの使用量を2モル以上とすることにより反応速度を向上することが可能であり、10モル以下とすることにより、より選択的に反応を進行させることが可能となる。
エーテル化反応に用いられる塩基性化合物として例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素塩、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド等のアルコキシド類等が挙げられる。これら塩基性化合物は、1種、あるいは必要に応じ2種以上併用してもよい。塩基性化合物の使用量として例えば、上記式(4)で表されるビスフェノール1モルに対し、通常1モル〜10モル、好ましくは1.5モル〜5モル、さらに好ましくは1.5モル〜3モルである。使用量を1モル以上とすることにより反応速度を向上させることが可能となり、10モル以下とすることにより不純物の生成を抑制することが可能となる。
エーテル化反応を行う際、必要に応じ有機溶媒を使用することができる。使用可能な有機溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン溶媒、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテルなどのエーテル溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、スルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド等の非プロトン性極性溶媒を挙げることができる。好ましくはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の非プロトン性極性溶媒である。これら有機溶媒は、1種、あるいは必要に応じ2種以上併用してもよい。これら有機溶媒を使用する際の使用量は、上記式(4)で表されるビスフェノール1重量倍に対し、通常、1〜20重量倍、好ましくは1〜7重量倍である。
エーテル化反応を行う際、通常、50〜250℃、好ましくは50〜200℃、さらに好ましくは50〜180℃で反応を行う。反応温度を250℃以下とすることにより副生成物の生成が抑制可能となり、反応温度を50℃以上とすることにより反応速度が向上する。
エーテル化反応終了後の後処理法として例えば、反応液に水及び水と分離可能な有機溶媒を加え、水洗を行い、上記式(9)で表されるジニトロ体を有機溶媒層に抽出する方法が挙げられる。この水洗操作により副生した塩類を除去することができる。上記式(9)で表されるジニトロ体を抽出するための有機溶媒として例えば酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒が使用される。好ましくは芳香族炭化水系溶媒である。有機溶媒の使用量は、上記式(4)で表されるビスフェノール1重量倍に対し通常1〜50重量倍、好ましくは1〜30重量倍である。水洗工程で使用する水の使用量は、上記式(4)で表されるビスフェノール1重量倍に対し通常1〜10重量倍、好ましくは、2〜6重量倍である。また、水洗工程は通常10〜90℃で実施する。水洗工程後、例えば溶媒の一部または全部を留去した後、必要に応じ貧溶媒を添加し晶析により上記式(9)で表されるジニトロ体を得ることができる。前述の通り得た上記式(9)で表されるジニトロ体はこのまま還元工程に供してもよく、慣用の精製方法(抽出、晶析など)を利用して再精製した後、還元工程に供してもよい。
<本発明のポリアミド酸及びポリイミド>
本発明のポリアミド酸は上記一般式(2)で表され、本発明のポリイミドは上記一般式(3)で表される。上記一般式(2)及び(3)中、Xはエステル基又はエーテル基を表し、上記一般式(1)で表されるジアミンの製造容易性の観点からエステル基が好ましい。
上記一般式(2)及び(3)中、Bは4価の芳香族基または脂肪族基を表す。本発明における4価の芳香族基または脂肪族基とは、上記一般式(1)で表されるジアミンと後述する方法によって反応(重合)させるテトラカルボン酸二無水物に由来する。
4価の芳香族基または脂肪族基を構成させるテトラカルボン酸二無水物として例えば、ピロメリット酸二無水物、4,4’−ジオキシジフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノン−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホン−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、4,4’−(2,2−ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物、3,3”,4,4”−m−タ−フェニル−テトラカルボン酸二無水物、3,3”,4,4”−p−タ−フェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1−カルボキシメチル−2,3,5−シクロペンタントリカルボン酸−2,6:3,5−二酸無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、4−フェニルエチニルフタル酸無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロイソベンゾフラン−5−カルボン酸)1,4−フェニレン等が挙げられる。これらテトラカルボン酸二無水物は1種、あるいは必要に応じ2種以上併用してもよい。これら酸二無水物の中でも、上述した本発明の効果がより発現することから、剛直で直線的な構造のテトラカルボン酸二無水物を用いることが好ましく、例えば3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物が好適に用いられる。
本発明のポリアミド酸及びポリイミドには、本発明にかかるポリイミドを重合する際の重合反応性およびポリイミドの特性を著しく損なわない範囲で、上記一般式(1)で表されるジアミン以外の、他の芳香族または脂肪族ジアミン由来の構成単位を有していてもよい。併用可能なジアミンとして例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノキシレン、2,4−ジアミノデュレン、4,4’−メチレンジアニリン、4,4’−メチレンビス(3−メチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(3−エチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−メチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−エチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(3,5−ジメチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(3,5−ジエチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチルアニリン)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、2,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、ベンジジン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、o−トリジン、m−トリジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、p−ターフェニレンジアミン等が挙げられる。これら併用可能なジアミンの中でも、本発明の効果をより発現させる観点から、剛直で直線的な構造のジアミンを用いることが好ましく、このようなジアミンとして例えば2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(以下TFMBと称することがある)が挙げられる。これら併用可能なジアミンは1種、あるいは必要に応じ2種以上併用してもよい。
上記一般式(1)で表されるジアミン以外の、他の芳香族または脂肪族ジアミン由来の構成単位の含有比率は通常、モル比で、上記一般式(1)で表されるジアミン:他のジアミン=100:0〜10:90、好ましくは100:0〜40:60、特に好ましくは80:20〜40:60である。
本発明のポリイミドは、耐熱性(物理的耐熱性)の観点から、該ポリイミドのガラス転移温度が250℃以上であることが好ましく、300℃以上であることがより好ましい。ガラス転移温度の測定法については実施例の項で後述する。
<本発明のポリイミド溶液>
本発明のポリイミド溶液は、上述したポリイミドと有機溶媒とを含有する。ポリイミド溶液中のポリイミド濃度は、ポリイミドフィルムの製造容易性の観点から、固形分濃度で5重量%以上であることが好ましく、ポリイミド溶液を用いて塗工されたフィルムの平滑性を確保する観点から5〜40重量%、特に5〜20重量%であることが好ましい。
本発明のポリイミド溶液に含まれる有機溶媒として例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドおよびN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノンおよびシクロヘキサノン等のケトン系溶媒;テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソランおよび1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン、α−アセトラクトン、β−プロピオラクトンおよびδ−バレロラクトン等のエステル系溶媒;メチルモノグライム(1,2−ジメトキシエタン)、メチルジグライム(ビス(2−メトキシエチル)エーテル)、メチルトリグライム(1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン)、メチルテトラグライム(ビス[2−(2−メトキシエトキシエチル)]エーテル)、エチルモノグライム(1,2−ジエトキシエタン)、エチルジグライム(ビス(2−エトキシエチル)エーテル)およびブチルジグライム(ビス(2−ブトキシエチル)エーテル)等の対称グリコールジエーテル系溶媒;ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルおよびエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル系溶媒等を挙げることができる。これら有機溶媒は1種、あるいは必要に応じ2種以上併用してもよい。
上述した有機溶媒の中でもアミド系溶媒、ケトン系溶媒またはエーテル系溶媒、あるいはこれらの混合溶媒が好ましく、更には、ケトン系溶媒またはエーテル系溶媒単体か、あるいはこれらの混合溶媒での使用がより好ましい。これら有機溶媒の中でも、アミド系溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドおよびN−メチル−2−ピロリドン、ケトン系溶媒としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノンおよびシクロヘキサノン、エーテル系溶媒としてはメチルモノグライム(1,2−ジメトキシエタン)、メチルジグライム(ビス(2−メトキシエチル)エーテル)およびメチルトリグライム(1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン)等が特に好ましい。
本発明のポリイミド溶液には、得られるポリイミドフィルムの要求特性を損なわない範囲で、無機フィラー、接着促進剤、剥離剤、難燃剤、紫外線安定剤、界面活性剤、レベリング剤、消泡剤、蛍光増白剤、架橋剤、重合開始剤、感光剤等各種添加剤が含まれていてもよい。
本発明のポリイミド溶液から、公知の方法を適用することで容易にポリイミドフィルムを製造することができる。具体的に例えば、ガラス基板などの支持体上にポリイミド溶液を公知の方法、例えば、ドクターブレードなどを用いて塗布後、乾燥し、ポリイミドフィルムを作製することができる。また、銅箔等の金属箔上に公知の方法、例えば、ドクターブレードなどを用いて塗布後、乾燥し、ポリイミド/金属箔の積層フィルムを得ることができ、更に前記ポリイミド溶液を半導体やフレキシブル配線基板用の絶縁材料に適用する場合であれば、直接デバイス上にコーティングし、溶媒を乾燥させることで絶縁層が容易に形成できる。
<本発明のポリアミド酸の製造方法>
本発明のポリアミド酸を製造する方法は特に限定されず、公知の方法を適用することができる。より具体的には、上述した上記一般式(1)で表されるジアミン、及び必要に応じ併用する他のジアミンを後述する重合溶媒に溶解し、これに上述した本発明のポリアミド酸及びポリイミドを構成するテトラカルボン酸二無水物を徐々に添加し、0〜100℃、好ましくは20〜60℃で、0.5〜100時間、好ましくは1〜72時間攪拌する。
ポリアミド酸を製造する際の溶媒(重合溶媒)は、モノマーおよび生成するポリアミド酸を溶解し、これらと反応しなければよく、具体的に例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル等のエステル系溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコール系溶媒、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール、3−クロロフェノール、4−クロロフェノール等のフェノール系溶媒、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジブチルエーテル等のエーテル系溶媒、その他汎用溶媒として、アセトフェノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、プロピレングリコールメチルアセテート、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、2−メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、ブタノール、エタノール、キシレン、トルエン、クロルベンゼン、ターペン、ミネラルスピリット、石油ナフサ系溶媒などが挙げられる。これら溶媒は1種、あるいは必要に応じ2種以上併用してもよい。
溶媒の使用量は、モノマー濃度が5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%となる範囲とする。前記モノマー濃度範囲で重合を行うことにより均一で高重合度のポリアミド酸溶液を得ることができる。ポリアミド酸の重合度が増加しすぎて、重合溶液が攪拌しにくくなった場合、適宜前述した溶媒で希釈してもよい。
ジアミン(上記一般式(1)で表されるジアミン及び必要に応じ併用するジアミンの総量)とテトラカルボン酸二無水物の使用比率(モル比)は、通常、ジアミン:テトラカルボン酸二無水物=0.9:1〜1:0.9の範囲であるが、ポリアミド酸の重合度をできるだけ高くするとの観点から0.95:1〜1:0.95の範囲であることがより好ましく、1:1であることが更に好ましい。
ポリアミド酸の重合溶液はそのまま後述するポリイミドの製造に供してもよく、また、大量の水やメタノール等の貧溶媒中に滴下・濾過・乾燥し、粉末として単離してもよい。
上述した方法にて得られる本発明のポリアミド酸の固有粘度は、本発明のポリイミドフィルムの靭性、およびポリアミド酸溶液のハンドリング性の観点から、通常0.3〜10.0dL/gの範囲であり、0.5〜5.0dL/gの範囲であることが好ましい。なお、固有粘度の測定法は、実施例の項で後述する。
<本発明のポリイミドの製造方法>
本発明のポリイミドは、上記の方法で得られたポリアミド酸を脱水閉環反応(イミド化反応)することで製造することができる。イミド化反応の方法としては、熱イミド化反応と化学イミド化反応が例示される。
熱イミド化反応は、ポリアミド酸溶液を無機ガラス、銅、アルミニウム、ステンレス、シリコン等からなる基板上に流延し、40〜150℃、好ましくは50〜120℃で乾燥することで、ポリアミド酸フィルムを形成し、これを基板上で真空中または窒素等の不活性ガス雰囲気中、200〜400℃、好ましくは250〜350℃で加熱することにより実施される。熱イミド化反応は真空中あるいは不活性ガス中で行うことが望ましいが、空気中で行うことも可能である。なお、ポリアミド酸溶液を調製するための溶媒としては、上述したポリアミド酸を製造する際に用いる溶媒と同様の溶媒が使用可能である。また、イミド化反応の副生成物である水を共沸留去するために、トルエンやキシレン等の水と共沸する溶媒を添加してもよく、またイミド化触媒としてγ―ピコリン等の塩基を添加してもよい。
また、本発明のポリイミドは、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを溶媒中高温で反応させることにより、ポリアミド酸を単離することなく、一段階で重合(ワンポット重合)することもできる。この際の重合温度は、溶媒の沸点にもよるが、通常150〜250℃の範囲である。またポリイミドが用いた溶媒に不溶な場合、ポリイミドは沈殿として得られ、可溶な場合はポリイミドのワニスとして得られる。
ワンポット重合の際に使用可能な溶媒として例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン等の非プロトン性溶媒及びフェノール、クレゾール等のフェノール系溶媒が挙げられる。また、ワンポット重合の際に、イミド化反応の副生成物である水を共沸留去するために、トルエンやキシレン等を添加してもよく、イミド化触媒としてγ―ピコリン等の塩基を添加してもよい。
続いて化学イミド化反応について詳述する。化学イミド化反応は、前記方法で得られたポリアミド酸溶液に上述したポリアミド酸を製造する際に使用可能な溶媒、特に前記ポリアミド酸製造時に用いた溶媒と同一の溶媒を加えて撹拌し易い適度な溶液粘度とし、撹拌しながら、有機酸の無水物と、塩基性触媒として3級アミンからなる脱水閉環剤(化学イミド化剤)を滴下し、0〜100℃、好ましくは10〜50℃で1〜72時間撹拌することで化学的にイミド化を完結させることができる。
化学イミド化反応の際に使用可能な有機酸無水物として例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪等が挙げられる。試薬の取り扱いや分離のし易さから無水酢酸が好適に使用される。また塩基性触媒としては、ピリジン、ピコリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン等が使用でき、試薬の取り扱いや分離のし易さからピリジンが好適に用いられる。有機酸無水物量の使用量は通常、ポリアミド酸の理論脱水量の1〜20倍モルの範囲であり、より好ましくは1〜10倍モルである。また、塩基性触媒の使用量は、有機酸無水物1モルに対して0.1〜2倍モルの範囲であり、より好ましくは0.1〜1倍モルの範囲である。
化学イミド化反応の完結は、化学イミド化後の反応溶液からポリイミドを粉末として単離したものを重水素化溶媒に溶解してH−NMRスペクトルを測定し、ポリアミド酸由来のアミド基(NHCO)のプロトンピークやカルボキシル基(COOH)のプロトンピークの完全な消失より確認することができる。また、ポリイミドフィルムを作製するか、ポリイミド粉末を用いてKBr法により赤外線吸収スペクトルを測定し、例えばポリアミド酸由来のアミドC=O伸縮振動吸収帯の完全な消失とイミドC=O伸縮振動吸収帯の出現から化学イミド化の完結を確認することができる。
前記化学イミド化法で得られた反応溶液はそのまま、前述したポリイミド溶液としても良く、また、反応溶液に含まれる塩基や未反応の化学イミド化剤、有機酸などの副生成物(以下、不純物という)を除去するため、精製操作に供してもよい。精製は公知の方法が利用できる。例えば、最も簡便な方法としては、イミド化した反応溶液を撹拌しながら大量の貧溶媒中に滴下してポリイミドを析出させた後、ポリイミド粉末を回収して不純物が除去されるまで繰返し洗浄し、減圧乾燥して、ポリイミド粉末を得る方法が適用できる。
上記した精製操作を実施するにあたり使用可能な貧溶媒としては、ポリイミドを析出させ、不純物を効率よく除去でき、乾燥し易い溶媒であればよく、例えば、水やメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類が挙げられ、これらを混合して用いてもよい。貧溶媒の量はポリイミド溶液中の溶媒やポリイミドの種類に応じ適宜調整する。
また、貧溶媒中に滴下する反応溶液に含まれるポリイミドの固形分濃度は、高すぎると析出するポリイミドが粒塊となり、その粗大な粒子中に不純物が残留する場合や、得られたポリイミド粉末を溶媒に再溶解する際に長時間要する場合がある。一方、濃度を薄くし過ぎると、多量の貧溶媒が必要となり、廃溶剤処理による環境負荷増大や製造コスト高になる場合がある。したがって、貧溶媒中に滴下する反応溶液に含まれるポリイミドの固形分濃度は、20重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。反応溶液中のポリイミドの固形分濃度が前記範囲にない場合、適宜濃縮、あるいは溶媒を追加することにより調整可能である。
前述の方法により貧溶媒中に析出させたポリイミド粉末は回収し、残留溶媒を真空乾燥や熱風乾燥などで除去する。乾燥温度と時間は、ポリイミドが変質しない温度であれば制限はなく、30〜150℃で3〜24時間乾燥させることが好ましい。
前述した方法によって得られたポリイミド粉末は、200〜450℃、好ましくは250〜400℃で加熱圧縮することでポリイミドの成型体としてもよく、また、有機溶媒に再溶解させ、前述したポリイミド溶液としてもよい。
また、ポリアミド酸溶液中にN,N−ジシクロヘキシルカルボジイミドやトリフルオロ無水酢酸等の脱水試薬を添加・撹拌して0〜100℃、好ましくは0〜60℃で反応させることにより、ポリイミドの異性体であるポリイソイミドへ変換することができる。ポリイソイミドはポリイミドよりも溶媒溶解性に優れるため、固形分濃度を高くするのに適している。ポリイソイミド溶液は、無機ガラス、銅、アルミニウム、ステンレス、シリコン等からなる基板上に流延した後、250〜450℃、好ましくは270〜400℃で熱処理することにより、熱力学的により安定なポリイミドへ容易に変換することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これら実施例に限定されるものではない。なお、以下の例における物性値は、次の方法により測定した。
1.上記式(4)で表されるビスフェノールの製造例における分析条件
〔1〕HPLC分析
・装置:(株)島津製作所製 LC−2010C
・カラム:一般財団法人 化学物質評価研究機構製 L−column ODS(5μm、4.6mmφ×250mm)
・移動相:A液=50%メタノール水、B液=メタノール。なお、B液濃度に付、下記の通り濃度を変化させ分析を行った。
・B液濃度:0%(0分)→100%(30分)→100%(40分)。
・流量:1.0ml/分
・カラム温度:40℃
・検出波長:UV 254nm
なお、以下実施例にて記載した各成分の含量及び純度は上記条件で測定したHPLCの面積百分率である。
〔2〕NMR測定
H−NMR及び13C−NMRは、内部標準としてテトラメチルシランを用い、溶媒としてDMSO−dを用いて、JEOL−ESC400分光計によって記録した。
〔3〕LC−MS測定
・装置:Waters社製 Xevo G2 Q−Tof
・カラム:化学物質評価研究機構製 L−Column2 ODS(2μm、2.1mmφ×100mm)
・カラム温度:40℃
・検出波長:UV 220−500nm
・移動相:A液=10mM酢酸アンモニウム水、B液=メタノール。なお、B液濃度に付、下記の通り濃度を変化させ分析を行った。
B液濃度:60%(0min)→65%(25min)→100%(35min)
・移動相流量:0.3ml/min
・検出法:Q−Tof
・イオン化法:ESI(+、−)法
・Ion Source:電圧(+)2.0kV、(−)1.5kV、温度120℃
・Sampling Cone :電圧 30V、ガスフロー50L/h
・Desolvation Gas:温度500℃、ガスフロー1000L/h
2.上記一般式(1)で表されるジアミンの製造例における分析条件
〔1〕赤外線吸収スペクトル
フーリエ変換赤外分光光度計(日本分光社製FT−IR4100)を用い、KBrプレート法にて本発明のジアミンの赤外線吸収スペクトルを測定した。
〔2〕NMR測定
本発明のジアミンのH−NMR及び13C−NMRは、内部標準としてテトラメチルシランを用い、溶媒としてDMSO−dを用いて、JEOL−ECP400分光計によって記録した。
〔3〕ジアミンの融点
ネッチジャパン社製示差走査熱量分析装置(DSC3100)を用いて、窒素雰囲気中、昇温速度5℃/分で測定した。
〔4〕元素分析
本発明のジアミンが十分高い純度を有していることを確認するため、ジェイ・サイエンス・ラボ(株)社製 有機微量元素分析装置(JM10)を用いて、元素分析を行った。
3.上記一般式(2)で表されるポリアミド酸及び上記一般式(3)で表されるポリイミドの製造例における分析条件
〔1〕赤外線吸収スペクトル
フーリエ変換赤外分光光度計(日本分光社製FT−IR4100)を用い、透過法にて本発明のポリイミドの薄膜の赤外線吸収スペクトルを測定した。
〔2〕固有粘度
ポリイミドの粉末をN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解し、またはポリアミド酸ワニスを希釈して0.5重量%のDMAc溶液とし、オストワルド粘度計を用いて30℃で還元粘度を測定した。この値は実質的に固有粘度と見なすことができ、この値が高い程分子量が高いことを表す。
〔3〕ガラス転移温度(T
ネッチジャパン(株)社製熱機械分析装置(TMA4000)を用い、試験片に一定の静荷重(膜厚20μmのフィルムに対して10g)をかけ、昇温速度5℃/分で昇温して、試験片の長さを計測し、TMA曲線を得た。
試験片が急激に伸びる温度の前後の曲線にそれぞれ接線を引き、2つの接線の交点より、ガラス転移温度(Tg)を求めた。Tgが高いほど、物理的耐熱性が高いことを表す。
〔4〕線熱膨張係数(CTE)
ネッチジャパン社製熱機械分析装置(TMA4000)を用いて、熱機械分析により、荷重0.5g/膜厚1μm、昇温速度5℃/分における試験片の伸びより、100〜200℃の範囲での平均値としてポリイミドフィルム(膜厚約20μm)のCTEを求めた。この値が低い程、熱寸法安定性に優れていることを表す。
〔5〕溶媒溶解性
得られたポリイミド粉末10mgに対し、有機溶媒1mL(固形分濃度約1重量%)をサンプル管に入れ、試験管ミキサーを用いて5分間撹拌して溶解状態を目視で確認した。評価基準は以下の通り。
++:室温で溶解
+:加熱して溶解
―:不溶
4.上記式(4)で表されるビスフェノールの合成例
<製造例1>
攪拌器、冷却器及び温度計を備えたガラス製反応容器に、9−フルオレノン45.00g(0.250mol)、ハイドロキノン123.74g(1.124mol)、レゾルシン41.25g(0.375mol)、p−トルエンスルホン酸4.75g(0.025mol)及びp−キシレン450.00gを仕込み、110℃まで昇温した。同温度で3時間攪拌した後、反応液をHPLCにより分析したところ、9−フルオレノンのピークは検出されなかった。
続いて得られた反応液にイオン交換水を加えて70℃まで冷却し、同温度にて24重量%水酸化ナトリウム水溶液を加え中和した後、p−キシレン45.00gを添加した。その後、反応液を86℃まで昇温し、86℃で濾過することにより無機塩を除去した。濾過後、ろ液にp−キシレンと酢酸イソプロピルを添加、撹拌、静置後、水相を分液除去した。次いで、有機相を80℃でイオン交換水を用いて洗浄した後、有機相を濃縮乾固することにより、淡橙色結晶69.87gを得た。得られた結晶をHPLCにて分析した所、上記式(4)で表されるビスフェノールの含量は54.9%であった。
次いで、得られた結晶15.0gを、シリカゲルカラム(展開溶媒 クロロホルム:酢酸エチル=12/1)で精製することで、上記式(4)で表されるビスフェノールの含量が93.9%の結晶2.59g、及び上記式(4)で表されるビスフェノールの含量が88.7%の結晶4.93gを得た。
上記実施例にて得られた結晶の内、含量(純度)が93.9%の結晶に付、1H−NMR、13C−NMR及びLC−MS分析を実施した。それぞれの分析結果を下記する。
1H-NMR(DMSO−d,400MHz,TMS)δ(ppm):9.20(bs、2H)、7.93(d、4H、J=7.6Hz)、7.36(dt、4H、J=7.2Hz、0.8Hz)、7.23(dt、4H、J=8.0Hz、1.2Hz)、7.05(d、2H、J=8.8Hz)、7.04(d、4H、J=8.0Hz)、6.58(dd、2H、J=8.8Hz、2.8Hz)、6.55(d、2H、J=2.0Hz)、6.21(dd、2H、J=8.4Hz、2.8Hz)、6.00(d、2H、J=8.8Hz)、5.64(d、2H、J=2.8Hz)。
13C-NMR(DMSO−d,400MHz,TMS)δ(ppm):157.6、154.7、152.7、151.8、143.8、139.1、128.4、128.1、127.8、127.6、125.3、125.1、120.3、117.4、115.6、113.8、112.3、111.3、102.5、53.6。
マススペクトル値(MH):363.10
5.ジアミンの合成例
<実施例1>
ナス型フラスコに、製造例1に記載の方法と同様の製法により製造した、上記式(4)で表されるビスフェノール(3.658g、10.0mmol)を脱水テトラヒドロフラン(THF、64.2mL)に溶かし、更に脱酸剤としてピリジン(4.85mL、60.0mmol)を添加し、セプタムキャップで密栓してA液とした。
次に別の三口フラスコ中、4−ニトロ安息香酸クロリド(5.587g、30.1mmol)を脱水THF(9.4mL)に溶解し、セプタムキャップで密栓してB液とした。B液を氷浴で冷却し、マグネチックスターラーで攪拌しながら、B液にA液をシリンジでゆっくりと滴下した。
滴下終了後、冷却下で数時間攪拌し、更に室温で12時間撹拌した。反応終了後、析出物を濾別し、THFで洗浄したのち、塩化物イオンが検出されなくなるまで水で洗浄した。メタノールで溶媒置換してから120℃で12時間真空乾燥し、淡黄色の粗生成物4.6g(収率:70%)が得られた(融点301℃)。FT−IRおよびH−NMRスペクトルを測定して分析したところ、目的とする高純度のジニトロ体であることを確認した。
次いで、3口フラスコに上記の操作により得られたジニトロ体(4.240g)を入れた後、更に脱水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF、100mL)をフラスコに入れてジニトロ体を溶解させ、これにPd/C粉末(0.470g)を添加した。次にフラスコ中に水素を導入し、水素バブリングしながら100℃で4時間攪拌した。撹拌後、薄層クロマトグラフィーで原料の消失を確認したところ、原料のジニトロ体のスポットは完全に消失していた。
前記反応終了後、水素バブリングを継続したまま室温まで冷却し、Pd/Cを濾過により除去した。得られた濾液をエバポレーターで濃縮し、水(200mL)を加えて白色の粗生成物を析出させた。得られた粗生成物を水およびメタノールで洗浄・濾過し、120℃で12時間真空乾燥して、白色の生成物3.3g(収率86%)を得た。この生成物の分析結果を以下に示す。
・融点:292℃(DSC)。
・FT−IRスペクトル(KBr、cm−1):3459/3363/3217(アミン、N−H伸縮振動)、3060(芳香族C−H伸縮振動)、1714(エステルC=O伸縮振動)、1631(NH変角振動)、1516(1,4−フェニレン基)、1479(置換フェニル基)、1281(エステル+キサンテン基C−O−C伸縮振動)。
H−NMRスペクトル(400MHz,DMSO−d,δ,ppm):H−NMRスペクトル(400MHz,DMSO−d,δ,ppm):8.00(d、2H、J=7.6Hz、フルオレン基4,8−プロトン)、7.78(d、2H、J=8.7Hz、アニリン3,5−プロトン)、7.62(d、2H、J=8.8Hz、アニリン3’,5’−プロトン)、7.45(td、2H、J=7.5、1.0Hz、フルオレン基3,7−プロトン)、7.39(d、1H、J=8.9Hz、キサンテン基8−プロトン)、7.30(td、2H、J=7.6、1.0Hz、フルオレン基2,6−プロトン)、7.22(sd、1H、J=2.4Hz、キサンテン基4−プロトン)、7.19(d、2H、J=7.6Hz、フルオレン基1,5−プロトン)、7.15(dd、1H、J=8.9、2.7Hz、キサンテン基7−プロトン)、6.73(dd、1H、J=8.6、2.4Hz、キサンテン基2−プロトン)、6.63(d、2H、J=8.8Hz、アニリン2,6−プロトン)、6.52(d、2H、J=8.8Hz、アニリン2’,6’−プロトン)、6.29(d、1H、J=8.5Hz、キサンテン基1−プロトン)、6.20(s、2H、アミン)、6.13(s、2H、アミン)、6.03(sd、1H、J=2.7Hz、キサンテン基5−プロトン)。
・元素分析(分子量602.65):推定値(%)C;77.73、H;4.35、N;4.65、分析値C;77.25、H;4.48、N;4.78。
上記した分析結果より、上記の生成物は以下式(5)で表される、目的とする本発明のジアミンであることが確認された。
Figure 0006873874
6.ポリアミド酸及びポリイミドの製造例及びポリイミドフィルムの特性評価
<実施例2>
よく乾燥した密閉反応容器に、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(以下、TFMBと称することもある)1mmol、および実施例1と同様の製法により製造した、上記式(5)で表されるジアミン(1mmol)を入れ、モレキュラーシーブス4Aで十分に脱水したジメチルアセトアミド(以下、DMAcと称することもある)を入れて溶解した。この溶液に1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)粉末(2mmol)を加え、初期の全溶質濃度30重量%より重合反応を開始した。反応開始後、室温で72時間攪拌することで均一で粘稠なポリアミド酸溶液が得られた。なお、反応中、溶液粘度が高くなりすぎたため、DMAcを適宜追加し、最終溶質濃度は21%であった。
反応終了後、ポリアミド酸の固有粘度を、DMAc中、30℃、0.5重量%の濃度でオストワルド粘度計にて測定した結果、固有粘度は1.26dL/gであり、十分高分子量体であることを確認した。
続いて、上記の通り得られたポリアミド酸溶液をDMAcにて希釈し、理論脱水量の5倍モルの無水酢酸を含む化学イミド化剤(無水酢酸/ピリジンの体積比:7/3)を滴下して、室温で24時間攪拌することで化学イミド化反応を行い、本発明のポリイミドを含むポリイミド溶液を得た。得られたポリイミド溶液をDMAcにて希釈し、大量のメタノール中に滴下することでポリイミド粉末を析出させ、該粉末を濾過・乾燥することによりポリイミド粉末を単離した。このポリイミド粉末を重水素化ジメチルスルホオキシドに溶解しH−NMRスペクトルを測定したところ、化学イミド化反応が完結していることが確認された。また、得られたポリイミド粉末の固有粘度を測定した所、1.09dL/gであった。
このポリイミド粉末をDMAcに再溶解することで、固形分濃度15重量%のポリイミド溶液を得た。得られたポリイミド溶液をガラス基板に塗布し、熱風乾燥器中、60℃で2時間乾燥後、基板ごと真空中200℃で1時間乾燥することによりポリイミドフィルムとした後、更に該フィルムを基板から剥がして、200℃で1時間熱処理を行った。
得られたポリイミドフィルムについて、上述した条件にてガラス転移温度及びCTEを測定した。結果を以下に示す。
・ガラス転移温度(Tg):352℃
・CTE:17.9ppm/K
なお、CTEが17.9ppm/Kと低い値を示した理由としては、本発明のポリイミドの主鎖構造が剛直で直線性が高いことに由来して、キャスト製膜工程の際にポリイミド主鎖がフィルム面に対して平行な方向に著しく配向したことによるものと考えられる。
得られたポリイミドの溶媒溶解性を表1に示す。また、ポリイミドフィルムの赤外線吸収スペクトルを図1に示す。
<比較例1>
実施例2において、本発明の式(5)で表されるジアミン使用しない代わりに、TFMBを2mmol使用する以外は実施例2に準じて重合を行った後、熱イミド化工程を経てポリイミドフィルムを作製し、膜物性評価を行った。得られたポリイミドは如何なる溶媒にも不溶であり、溶液加工性を有していなかった。
<比較例2>
ジアミンとして以下式(10):
Figure 0006873874
で表されるジアミンを用いる以外は実施例2に準じて重合、化学イミド化及び製膜し、膜物性評価を行った。
得られたポリイミドフィルムについて、上述した条件にてガラス転移温度及びCTEを測定した。結果を以下に示す。
・ガラス転移温度(Tg):364℃
・CTE:26.0ppm/K
得られたポリイミドの溶媒溶解性を表1に示す。
Figure 0006873874
上記表1における溶媒の略称について
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
DMAc:N,N−ジメチルアセトアミド
NMP:N−メチルピロリドン
GBL:γ―ブチロラクトン
CPN:シクロペンタノン

Claims (6)

  1. 下記一般式(1):
    Figure 0006873874
    (一般式(1)中、Xはエステル基またはエーテル基を表す。)
    で表されるジアミン。
  2. 下記一般式(2):
    Figure 0006873874
    (一般式(2)中、Bは4価の芳香族基または脂肪族基を表し、Xはエステル基またはエーテル基を表す。)
    で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸。
  3. 下記一般式(3):
    Figure 0006873874
    (一般式(3)中、Bは4価の芳香族基または脂肪族基を表し、Xはエステル基またはエーテル基を表す。)
    で表される繰り返し単位を有するポリイミド。
  4. 請求項3に記載のポリイミドを固形分濃度で5重量%以上含むポリイミド溶液。
  5. 請求項3に記載のポリイミドを含むポリイミドフィルム。
  6. ガラス転移温度が250℃以上である、請求項3に記載のポリイミド、又は請求項5に記載のポリイミドフィルム。
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