JP6484439B2 - 焙煎コーヒー豆の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、焙煎コーヒー豆の製造方法に関する。
コーヒー飲料にはポリフェノールの一種である、クロロゲン酸、カフェ酸、フェルラ酸等のクロロゲン酸類が含まれており、クロロゲン酸類は血圧降下作用等の優れた生理活性を有することが知られている。しかしながら、生コーヒー豆を焙煎すると、ヒドロキシヒドロキノンが自然発生し、このヒドロキシヒドロキノンがクロロゲン酸類の生理作用を阻害することが報告されている。したがって、クロロゲン酸類による生理作用を十分発現させるためには、クロロゲン酸類の含有量が高く、かつヒドロキシヒドロキノンの含有量の低い焙煎コーヒー豆とすることが有利である。そこで、ヒドロキシヒドロキノン含有量を低減させた焙煎コーヒー豆の製造方法として、例えば、L値が10〜40の原料焙煎コーヒー豆を160〜190℃で加熱処理する方法(特許文献1)、L値が30〜50の原料焙煎コーヒー豆を密閉容器内に収容して100〜160℃で加熱処理する方法(特許文献2)等が提案されている。
特開2011−223996号公報 特開2012−183035号公報
前記従来技術は、ヒドロキシヒドロキノン量の低減に有効であるものの、加熱処理により原料焙煎コーヒー豆が更に焙煎されるため、得られる焙煎コーヒー豆のL値は原料焙煎コーヒー豆よりも低くなる。そのため、前記従来技術においては、所望のL値の焙煎コーヒー豆を得るために、最適なL値の原料焙煎コーヒー豆を選択した上で、加熱温度、加熱時間等を設定する必要があり、製造工程が煩雑であった。
そこで、本発明の課題は、焙煎度を大きく変動させることなく、ヒドロキシヒドロキノンが短時間で効率よく低減された焙煎コーヒー豆の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み検討した結果、焙煎コーヒー豆を大気よりも酸素濃度の高い雰囲気下で加熱処理することにより、意外にも、焙煎度を大きく変動させることなく、ヒドロキシヒドロキノンを短時間で効率よく低減できることを見出した。
すなわち、本発明は、原料焙煎コーヒー豆を大気よりも酸素濃度の高い雰囲気下で加熱処理する、焙煎コーヒー豆の製造方法を提供するものである。
本発明はまた、前記製造方法により得られた第1の焙煎コーヒー豆と、第1の焙煎コーヒー豆よりもクロロゲン酸類の含有量が高い第2の焙煎コーヒー豆を含む、焙煎コーヒー豆ブレンドを提供するものである。
本発明は更に、前記焙煎コーヒー豆ブレンドから抽出して得られるコーヒー抽出物、及び前記焙煎コーヒー豆ブレンドから抽出されたコーヒー抽出物を乾燥して得られるソリュブルコーヒーを提供するものである。
本発明によれば、焙煎度を変動させることなく、ヒドロキシヒドロキノンが低減された焙煎コーヒー豆を簡便な操作で、かつ短時間で効率よく製造することができる。また、本発明によれば、ヒドロキシヒドロキノンが低減された焙煎コーヒー豆ブレンド、並びにそれを用いて得られるコーヒー抽出物及びソリュブルコーヒーを提供することができる。
〔焙煎コーヒー豆の製造方法〕
本発明の焙煎コーヒー豆の製造方法は、原料焙煎コーヒー豆を大気よりも酸素濃度の高い雰囲気下で加熱処理するものである。
原料焙煎コーヒー豆の豆種としては、例えば、アラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種等が挙げられる。また、コーヒー豆の産地としては特に限定されないが、例えば、ブラジル、コロンビア、タンザニア、モカ、キリマンジャロ、マンデリン、ブルーマウンテン、グァテマラ、ベトナム等が挙げられる。
原料焙煎コーヒー豆は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。2種以上の原料焙煎コーヒー豆を使用する場合、豆種や産地の異なるコーヒー豆だけでなく、焙煎度の異なるコーヒー豆を混合して使用することも可能である。
原料焙煎コーヒー豆は、生コーヒー豆を焙煎したものでも、市販品でもよい。生コーヒー豆の焙煎方法としては特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができる。例えば、焙煎温度は好ましくは180〜300℃、より好ましくは190〜280℃、更に好ましくは200〜280℃であり、加熱時間は所望の焙煎度が得られるように適宜設定可能である。また、焙煎装置としては、例えば、焙煎豆静置型、焙煎豆移送型、焙煎豆攪拌型等の装置を使用できる。具体的には、棚式乾燥機、コンベア式乾燥機、回転ドラム型乾燥機、回転V型乾燥機等が挙げられる。加熱方式としては、直火式、熱風式、半熱風式、遠赤外線式、赤外線式、マイクロ波式、過熱水蒸気式等が挙げられる。
原料焙煎コーヒー豆の焙煎度は、浅焙煎でも、深焙煎であってもよく、例えば、所望する焙煎コーヒー豆のL値と略同一のL値を有する原料焙煎コーヒー豆を選択することができる。中でも、本発明の効果を十分に享受する観点から、深焙煎が好ましい。原料焙煎コーヒー豆のL値は、21未満が好ましく、20未満がより好ましく、19未満が更に好ましい。また、風味の観点から、原料焙煎コーヒー豆のL値は、10以上が好ましく、12以上がより好ましく、14以上が更に好ましい。原料焙煎コーヒー豆のL値の範囲としては、好ましくは10以上21未満、より好ましくは12以上20未満、更に好ましくは14以上19未満である。なお、焙煎度の異なる2種以上の原料焙煎コーヒー豆を使用する場合、L値の平均値が上記範囲内となるように適宜組み合わせて使用すればよく、L値の平均値は、使用する原料焙煎コーヒー豆のL値に、当該原料焙煎コーヒー豆の含有質量比を乗じた値の総和として求められる。なお、L値の測定は、JIS Z 8722及びJIS Z 8730−2009に準じて行うことができる。また、L値の計算は、L100を規定する基準試料として硫酸バリウム(和光純薬(株)製、一級試薬)を用いるものとする。
また、原料焙煎コーヒー豆は、未粉砕のものでも、粉砕したものでもよいが、ヒドロキシヒドロキノン低減の観点から、粉砕したものが好ましい。粉砕方法は特に限定されず、公知の方法及び装置を用いることができる。例えば、カッターミル、ハンマーミル、ジェットミル、インパクトミル、ウィレー粉砕機等の粉砕装置を挙げることができる。カッターミルとしては、例えば、ロールグラインダー、フラットカッター、コニカルカッター、グレードグラインダーを挙げることができる。
粉砕原料焙煎コーヒー豆の大きさは適宜選択することが可能であるが、ヒドロキシヒドロキノン低減の観点から、細かいものほど好ましい。粉砕原料焙煎コーヒー豆の粒径は、生産性の観点から、1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、20μm以上が更に好ましく、またヒドロキシヒドロキノン低減の観点から、1000μm以下が好ましく、600μm以下がより好ましく、100μm以下が更に好ましい。粉砕焙煎コーヒー豆の粒径の範囲としては、好ましくは1〜1000μm、より好ましくは5〜600μm、更に好ましくは20〜100μmである。このような粒径の粉砕焙煎コーヒー豆を得るためには、焙煎コーヒー豆を粉砕した後、JIS Z 8801に準拠した篩により分級すればよい。
加熱処理は、大気の酸素濃度を超える酸素富化雰囲気で行えばよい。雰囲気中の酸素濃度は大気の酸素濃度を超えるものであれば特に限定されないが、ヒドロキシヒドロキノン低減の観点から、雰囲気酸素体積分率として30%以上が好ましく、35%以上がより好ましく、50%以上が更に好ましく、また安全性、生産性の観点から、99%以下が好ましく、95%以下がより好ましく、75%以下が更に好ましい。かかる雰囲気酸素体積分率の範囲としては、好ましくは30〜99%、より好ましくは35〜95%、更に好ましくは50〜75%である。
また、酸素富化雰囲気とするために、大気から酸素以外の成分を除去しても、大気に酸素ガスを混合しても、酸素ガスと不活性ガスとの混合ガスに置換してもよい。不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス、アルゴンガス等を挙げることができる。
酸素富化ガス発生装置として、例えば、酸素ボンベと不活性ガスボンベに圧力調整器を設置したもの、薬剤を混合して純酸素を発生させるもの、空気をゼオライトなどの窒素吸着剤に通して酸素を濃縮させるもの、又は、酸素富化膜を用いて酸素を濃縮させるもの等を挙げることができるが、これらに限定されない。
加熱処理は、所定の酸素濃度に制御したガスを通気しながら行っても、密閉容器内に原料焙煎コーヒー豆を充填し、密閉容器内の気相を所定の酸素濃度に調整されたガスに置換して行ってもよい。密閉容器内の気相の置換は、例えば、所定の酸素濃度に調整したグローブボックス内で、原料焙煎コーヒー豆が充填された容器内の気相を置換した後、開口部を密閉すればよい。密閉容器は、加熱により変質せず、かつ加圧又は減圧に耐え得る容器であれば特に限定されず、例えば、缶、ビン等を使用することができる。なお、缶及びピンは、栓や蓋により開閉自在なものが好ましい。また、密閉容器の形状及び材質も特に限定されないが、例えば、密閉容器の材質として、金属、ガラス等を挙げることができる。
酸素富化ガスを通気する場合には、酸素富化ガス発生装置から圧力及び流量を調節して密封容器に供給すれば良く、また酸素富化ガスの流量及び圧力の制御はガス流量計及び圧力計により管理すれば良い。また、酸素富化ガス供給装置と密閉容器とを接続する配管の間、密閉容器へガスを導入する導入管、又は密封容器からガスを排出する排気管に酸素濃度計を設置し、排気ガスが所望の酸素濃度になるまで通気するのが好ましい。
加熱装置としては、例えば、オートクレーブや乾燥器等を使用することができる。
加熱温度は、ヒドロキシヒドロキノン低減の観点から、100℃以上が好ましく、110℃以上がより好ましく、115℃以上が更に好ましく、120℃以上がより更に好ましく、そして160℃以下が好ましく、145℃以下がより好ましく、135℃以下が更に好ましく、130℃以下がより更に好ましい。加熱温度の範囲としては、好ましくは100〜160℃、より好ましくは110〜145℃、更に好ましくは115〜135℃、より更に好ましくは120〜130℃である。
加熱処理は、常圧下、加圧下又は減圧下で行うことが可能である。加圧下又は減圧下で行う場合、圧力条件は適宜選択可能である。例えば、加圧下で行う場合の圧力は、ゲージ圧で、好ましくは0.1〜0.6MPa、更に好ましくは0.1〜0.4MPaである。
加熱時間は、ヒドロキシヒドロキノン低減の観点から、30分未満が好ましく、20分未満がより好ましく、15分未満が更に好ましく、そして3分以上が好ましく、5分以上が更に好ましい。加熱時間の範囲としては、好ましくは3分以上30分未満、より好ましくは5分以上20分未満、更に好ましくは5分以上15分未満である。ここでいう加熱時間は、予め加熱装置を所望の温度に加熱しておく場合は、加熱装置に密閉容器を投入してからの経過時間であり、また加熱装置に密閉容器を投入後に昇温を行う場合は、所望の温度に到達してからの経過時間である。
加熱処理後、加熱装置から焙煎コーヒー豆を取り出し、30分以内に、好ましくは0〜100℃、更に好ましくは10〜60℃まで冷却することができる。
このようにして得られた焙煎コーヒー豆は、原料焙煎コーヒー豆の焙煎度と略同一であり、焙煎コーヒー豆の焙煎度を大きく変動させることなく、ヒドロキシヒドロキノンを焙煎コーヒー豆中に通常含まれる量よりも低減することができる。なお、原料焙煎コーヒー豆の焙煎度と略同一とは、焙煎コーヒー豆のL値が原料焙煎コーヒー豆と同一、あるいはL値の差が±1の範囲内であることをいう。
焙煎コーヒー豆1kg当たりの(A)ヒドロキシヒドロキノンの含有量は、好ましくは50mg未満、より好ましくは40mg以下、更に好ましくは30mg以下である。なお、焙煎コーヒー豆1kg当たりの(A)ヒドロキシヒドロキノンの含有量は、0mgであってもよいが、生産効率の観点から、好ましくは0.1mg以上、より好ましくは0.5mg以上、更に好ましくは1mg以上である。焙煎コーヒー豆1kg当たりの(A)ヒドロキシヒドロキノンの含有量の範囲としては、好ましくは0.1mg以上50mg未満、より好ましくは0.5mg以上40mg以下、更に好ましくは1mg以上30mg以下である。ここで、本明細書において「(A)ヒドロキシヒドロキノンの含有量が0mg」とは、後掲の実施例に記載の「ヒドロキシヒドロキノンの分析」において、(A)ヒドロキシヒドロキノンの含有量が検出限界以下である場合も包含する概念である。
更に、得られた焙煎コーヒー豆は、以下の特性を具備することができる。
gである。
(1)焙煎コーヒー豆1kg当たりの(B)クロロゲン酸類の含有量は、好ましくは6g以上、より好ましくは7g以上、更に好ましくは8g以上であり、そして好ましくは15g以下、より好ましくは13g以下、更に好ましくは11g以下である。焙煎コーヒー豆1kg当たりの(B)クロロゲン酸類の含有量の範囲としては、好ましくは6〜15g、より好ましくは7〜13g、更に好ましくは8〜11gである。ここで、本明細書において「クロロゲン酸類」とは、3−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸及び5−カフェオイルキナ酸のモノカフェオイルキナ酸と、3−フェルラキナ酸、4−フェルラキナ酸及び5−フェルラキナ酸のモノフェルラキナ酸を併せての総称であり、クロロゲン酸類量は上記6種の合計量に基づいて定義される。
(2)焙煎コーヒー豆1kg当たりの(C)ジカフェオイルキナ酸類の含有量は、好ましくは0.5g以上、更に好ましくは1g以上であり、そして好ましくは3g以下、更に好ましくは2g以下である。焙煎コーヒー豆1kg当たりの(C)ジカフェオイルキナ酸類の含有量の範囲としては、好ましくは0.5〜3g、更に好ましくは1〜2gである。ここで、本明細書において「ジカフェオイルキナ酸類」とは、3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸及び4,5−ジカフェオイルキナ酸を併せての総称であり、ジカフェオイルキナ酸類量は上記3種の合計量に基づいて定義される。
(3)(A)ヒドロキシヒドロキノンと(B)クロロゲン酸類の質量比[(A)/(B)]は、0.01以下が好ましく、0.005以下がより好ましく、0.003以下が更に好ましい。なお、質量比[(A)/(B)]の下限値は特に限定されず、0であってもよいが、生産効率の観点から、0.00001以上が好ましく、0.0001以上が更に好ましい。かかる質量比[(A)/(B)]の範囲としては、好ましくは0.00001〜0.01、より好ましくは0.00001〜0.005、更に好ましくは0.0001〜0.003である。
(4)(B)クロロゲン酸類と(C)ジカフェオイルキナ酸類の質量比[(C)/(B)]は、0.3以下が好ましく、0.2以下がより好ましく、そして0.05以上が好ましく、0.1以上が更に好ましい。かかる質量比[(C)/(B)]の範囲としては、好ましくは0.05〜0.3、更に好ましくは0.1〜0.2である。
〔焙煎コーヒー豆ブレンド〕
本発明の焙煎コーヒー豆ブレンドは、第1の焙煎コーヒー豆と第2の焙煎コーヒー豆を含むものである。本発明の焙煎コーヒー豆ブレンドは、第1の焙煎コーヒー豆及び第2の焙煎コーヒー豆以外の焙煎コーヒー豆を含有しても構わないが、第1の焙煎コーヒー豆と第2の焙煎コーヒー豆とを混合した混合物であることが好ましい。ここで、本明細書において「焙煎コーヒー豆ブレンド」とは、焙煎コーヒー豆の混合物をいう。
第1の焙煎コーヒー豆は、本発明の製造方法により得られたものであり、その具体的構成は前述したとおりである。なお、第1の焙煎コーヒー豆は、豆種、産地、焙煎度等の異なるコーヒー豆を1種又は2種以上使用することができる。
第2の焙煎コーヒー豆は、第1の焙煎コーヒー豆よりもクロロゲン酸類の含有量が高いものであれば特に限定されないが、例えば、第1の焙煎コーヒー豆よりもL値の高いものを挙げることができる。
第2の焙煎コーヒー豆のL値は、クロロゲン酸類の増量の観点から、第1の焙煎コーヒー豆よりもL値が1以上高いものが好ましく、3以上高いものが好ましく、5以上高いものが更に好ましく、10以上高いものがより更に好ましい。より具体的には、例えば、第1の焙煎コーヒー豆のL値が10以上21未満である場合、第2の焙煎コーヒー豆のL値は、好ましくは21〜50、より好ましくは25〜45、更に好ましくは30〜40である。
第2の焙煎コーヒー豆の製造方法は特に限定されず、本発明の製造方法により得られたものでも、当該製造方法以外の方法により得られたものでもよく、また生コーヒー豆を焙煎したものでもよい。生コーヒー豆の焙煎条件は、所望のL値が得られるように適宜選択可能であり、焙煎装置も前述と同様のものを使用することができる。なお、第2の焙煎コーヒー豆の豆種及び産地は、第1の焙煎コーヒー豆において例示したものと同様のものが挙げられ、豆種、産地、焙煎度等の異なるコーヒー豆を1種又は2種以上使用することもできる。
本発明の焙煎コーヒー豆ブレンドは、(A)ヒドロキシヒドロキノンと(B)クロロゲン酸類との質量比[(A)/(B)]が、生理効果の観点から、0.001以下が好ましく、0.0008以下がより好ましく、0.0005以下が更に好ましい。なお、質量比[(A)/(B)]の下限値は特に限定されず、0であってもよいが、生産効率の観点から、好ましくは0.00001以上が好ましく、0.0001以上が更に好ましい。かかる質量比[(A)/(B)]の範囲としては、好ましくは0.00001〜0.001、より好ましくは0.00001〜0.0008、更に好ましくは0.0001〜0.0005である。
焙煎コーヒー豆ブレンドは、当該焙煎コーヒー豆ブレンド1kg当たりの(A)ヒドロキシヒドロキノンの含有量が、好ましくは70mg以下、より好ましくは50mg以下、更に好ましくは30mg以下である。なお、焙煎コーヒー豆ブレンド1kg当たりのヒドロキシヒドロキノンの含有量は、0mgであってもよいが、生産効率の観点から、好ましくは0.5mg以上、より好ましくは1mg以上、更に好ましくは3mg以上である。焙煎コーヒー豆1kg当たりの(A)ヒドロキシヒドロキノンの含有量の範囲としては、好ましくは0.5〜70mg、より好ましくは1〜50mg、更に好ましくは3〜30mgである。
また、焙煎コーヒー豆ブレンドは、当該焙煎コーヒー豆ブレンド1kg当たりの(B)クロロゲン酸類の含有量が、好ましくは10g以上、より好ましくは15g以上、更に好ましくは20g以上であり、そして好ましくは50g以下、より好ましくは40g以下、更に好ましくは30g以下である。焙煎コーヒー豆ブレンド1kg当たりの(B)クロロゲン酸類の含有量の範囲としては、好ましくは10〜50g、より好ましくは15〜40g、更に好ましくは20〜30gである。
焙煎コーヒー豆ブレンドのL値は、風味の観点から、12以上が好ましく、14以上がより好ましく、16以上が更に好ましく、そして30以下が好ましく、28以下がより好ましく、25以下が更に好ましい。焙煎コーヒー豆ブレンドのL値の範囲としては、好ましくは12〜30、より好ましくは14〜28、更に好ましくは16〜25である。なお、所望の焙煎コーヒー豆ブレンドのL値となるように、第1の焙煎コーヒー豆及び第2の焙煎コーヒー豆のL値や配合割合を適宜選択すればよい。なお、焙煎コーヒー豆ブレンドのL値は、第1の焙煎コーヒー豆及び第2の焙煎コーヒー豆の各L値に、第1の焙煎コーヒー豆及び第2の焙煎コーヒー豆の含有質量比をそれぞれ乗じた値の総和として求められる。
また、焙煎コーヒー豆ブレンドは、未粉砕のものでも、粉砕したものでもよい。粉砕された焙煎コーヒー豆ブレンドの大きさは適宜選択することが可能である。なお、粉砕方法は特に限定されず、前述と同様の方法及び装置を用いることができる。例えば、焙煎コーヒー豆ブレンドの平均粒径は、1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、20μm以上が更に好ましく、また1000μm以下が好ましく、600μm以下がより好ましく、100μm以下が更に好ましい。粉砕された焙煎コーヒー豆ブレンドの平均粒径の範囲としては、好ましくは1〜1000μm、より好ましくは5〜600μm、更に好ましくは20〜100μmである。
焙煎コーヒー豆ブレンドは、第1の焙煎コーヒー豆と第2の焙煎コーヒー豆とを、(A)ヒドロキシヒドロキノンと(B)クロロゲン酸類との質量比[(A)/(B)]、又はL値が上記範囲となるように混合すればよく、質量比[(A)/(B)]、又はL値が上記範囲となれば、第1の焙煎コーヒー豆と第2の焙煎コーヒー豆との混合割合は適宜選択することができる。
なお、本明細書における「焙煎コーヒー豆又は焙煎コーヒー豆ブレンド(以下、「焙煎コーヒー豆等」とも称する)中のヒドロキシヒドロキノン含有量」、「焙煎コーヒー豆等中のクロロゲン酸類含有量」及び「焙煎コーヒー豆等中のジカフェオイルキナ酸類含有量」は、焙煎コーヒー豆等から得られたコーヒー抽出液中のヒドロキシヒドロキノン含有量、クロロゲン酸類含有量及びジカフェオイルキナ酸類含有量に基づいて下記式(i)〜(iii)により求めたものである。
(i)焙煎コーヒー豆等中のヒドロキシヒドロキノン含有量(mg/kg)=[コーヒー抽出液中のヒドロキシヒドロキノン含有量(mg/kg)]×[コーヒー抽出液の質量(g)]/[焙煎コーヒー豆の質量(g)]
(ii)焙煎コーヒー豆等中のクロロゲン酸類含有量[mg/kg]=[コーヒー抽出液中のクロロゲン酸類含有量(mg/kg)]×[コーヒー抽出液の質量(g)]/[焙煎コーヒー豆の質量(g)]
(iii)焙煎コーヒー豆等中のジカフェオイルキナ酸類含有量[mg/kg]=[コーヒー抽出液中のジカフェオイルキナ酸類含有量(mg/kg)]×[コーヒー抽出液の質量(g)]/[焙煎コーヒー豆の質量(g)]
なお、コーヒー抽出液の分析条件は、次のとおりである。焙煎コーヒー豆等0.8gに、抽出用水(リン酸1gと、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(HEDPO)0.03gをイオン交換水1Lに溶解した液)を80g加え、95〜99℃の間に保持しながら10分間浸漬抽出を行う。次に、コーヒー抽出液の上清を採取し、それを後掲の実施例の記載の方法に供して、ヒドロキシヒドロキノン含有量、クロロゲン酸類含有量及びジカフェオイルキナ酸類含有量を分析する。
〔コーヒー抽出物〕
本発明のコーヒー抽出物は、本発明の焙煎コーヒー豆ブレンドから抽出して得られるものである。
抽出方法は特に限定されず、例えば、ボイリング式、エスプレッソ式、サイフォン式、ドリップ式(ペーパー、ネル等)等の公知の方法を採用することができる。抽出溶媒としては、例えば、水、アルコール水溶液、ミルク、炭酸水等が挙げられる。中でも、風味の観点から、水が好ましい。抽出溶媒の温度は、通常70〜100℃、好ましくは75〜99℃、更に好ましくは80〜98℃である。なお、抽出条件は、抽出方法により適宜選択することができる。なお、コーヒー抽出物の形態としては、例えば、水溶液、濃縮液、スラリー等の種々のものが挙げられる。
本発明のコーヒー抽出物は、コーヒー抽出物100g当たり焙煎コーヒー豆ブレンドを生豆換算で1g以上、好ましくは2.5g以上、更に好ましくは5g以上使用しているものである。ここで、生豆換算値は、焙煎コーヒー豆1gが生コーヒー豆1.3gに相当するものとする(改訂新版・ソフトドリンクス、監修:全国清涼飲料工業会、発行:光琳、平成元年12月25日発行 421頁記載)。
本発明のコーヒー抽出物は、(A)ヒドロキシヒドロキノンと(B)クロロゲン酸類との質量比[(A)/(B)]が、生理効果の観点から、0.001以下が好ましく、0.0008以下がより好ましく、0.0005以下が更に好ましい。なお、質量比[(A)/(B)]の下限値は特に限定されず、0であってもよいが、生産効率の観点から、好ましくは0.00001以上が好ましく、0.0001以上が更に好ましい。かかる質量比[(A)/(B)]の範囲としては、好ましくは0.00001〜0.001、より好ましくは0.00001〜0.0008、更に好ましくは0.0001〜0.0005である。
本発明のコーヒー抽出物は、Brix1.5%に調整したコーヒー抽出物中の(A)ヒドロキシヒドロキノンの含有量が、生理効果、雑味抑制の観点から、1質量ppm以下が好ましく、0.5質量ppm以下がより好ましく、0.3質量ppm以下が更に好ましい。かかる(A)ヒドロキシヒドロキノンの含有量の下限値は特に限定されず、0質量ppmであってもよいが、生産効率の観点から、Brix1.5%に調整したコーヒー抽出物中に、0.001質量ppm以上が好ましく、0.01質量ppm以上が更に好ましい。かかる(A)ヒドロキシヒドロキノンの含有量の範囲としては、Brix1.5%に調整したコーヒー抽出物中に、好ましくは0.001〜1質量ppm、より好ましくは0.001〜0.5質量ppm、更に好ましくは0.01〜0.3質量ppmである。ここで、本明細書において「(A)ヒドロキシヒドロキノンの含有量が0質量ppm」とは、後掲の実施例に記載の「ヒドロキシヒドロキノンの分析」において、(A)ヒドロキシヒドロキノンの含有量が検出限界以下である場合も包含する概念である。
また、本発明のコーヒー抽出物は、Brix1.5%に調整したコーヒー抽出物中の(B)クロロゲン酸類の含有量が、生理効果の観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.03質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上が更に好ましく、また風味バランスの観点から、1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.3質量%以下が更に好ましい。かかる(B)クロロゲン酸類の含有量の範囲としては、Brix1.5%に調整したコーヒー抽出物中に、好ましくは0.01〜1質量%、より好ましくは0.03〜0.5質量%、更に好ましくは0.05〜0.3質量%である。
〔ソリュブルコーヒー〕
本発明のソリュブルコーヒーは、本発明の焙煎コーヒー豆ブレンドから抽出されたコーヒー抽出物を乾燥して得られるものである。ここで、本明細書において「ソリュブルコーヒー」とは、飲用時に水、牛乳等の液体で還元した後、即座に飲用可能なインスタント製品をいい、ソリュブルコーヒー中の固形分量は通常95質量%以上、好ましくは97質量%以上である。なお、かかる固形分量の上限は特に限定されず、100質量%であってもよい。ここで、本明細書において「固形分量」とは、試料を105℃の電気恒温乾燥機で3時間乾燥して揮発物質を除いた残分の質量をいう。
コーヒー抽出物の乾燥方法としては、例えば、噴霧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等が挙げられ、その操作方法は公知の方法を採用することができる。ソリュブルコーヒーの形態としては、例えば、粉末、粒状、錠剤等を挙げられる。
本発明のソリュブルコーヒーは、(A)ヒドロキシヒドロキノンと(B)クロロゲン酸類との質量比[(A)/(B)]が0.001以下であるが、生理効果の観点から、0.0008以下が好ましく、0.0005以下が更に好ましい。なお、かかる質量比[(A)/(B)]の下限値は特に限定されず、0であってもよいが、生産効率の観点から、好ましくは0.00001以上が好ましく、0.0001以上が更に好ましい。かかる質量比[(A)/(B)]の範囲としては、好ましくは0.00001〜0.001、より好ましくは0.00001〜0.0008、更に好ましくは0.0001〜0.0005である。
本発明のソリュブルコーヒーは、Brix1.5%となるように水で希釈した溶液中の(A)ヒドロキシヒドロキノンの含有量が、生理効果、雑味抑制の観点から、0.5質量ppm以下が好ましく、0.1質量ppm以下がより好ましく、0.05質量ppm以下が更に好ましい。かかる(A)ヒドロキシヒドロキノンの含有量の下限値は特に限定されず、0質量ppmであってもよいが、生産効率の観点から、Brix1.5%となるように水で希釈した溶液中に、0.0001質量ppm以上が好ましく、0.001質量ppm以上が更に好ましい。かかる(A)ヒドロキシヒドロキノンの含有量の範囲としては、Brix1.5%となるように水で希釈した溶液中に、好ましくは0.0001〜0.5質量ppm、より好ましくは0.0001〜0.1質量ppm、更に好ましくは0.001〜0.05質量ppmである。
本発明のソリュブルコーヒーは、Brix1.5%となるように水で希釈した溶液中の(B)クロロゲン酸類の含有量が、生理効果の観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.03質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上が更に好ましく、また風味バランスの観点から、1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.3質量%以下が更に好ましい。かかる(B)クロロゲン酸類の含有量の範囲としては、Brix1.5%となるように水で希釈した溶液中に、好ましくは0.01〜1質量%、より好ましくは0.03〜0.5質量%、更に好ましくは0.05〜0.3質量%である。
また、本発明のソリュブルコーヒーには、必要により、甘味料、乳成分、ココアパウダー、酸化防止剤、香料、色素、乳化剤、保存料、調味料、酸味料、アミノ酸、たんぱく質、植物油脂、pH調整剤、品質安定剤等の添加剤の1種又は2種以上を配合してもよい。
本発明のソリュブルコーヒーは種々の形態を採り得るが、例えば、瓶等に容器詰し、飲用する際にカップ1杯分をスプーン等で計量するもの、1杯分を収容したカップタイプ、カップ1杯分毎に小分けしたスティックタイプ等とすることができる。
1.焙煎コーヒー豆、焙煎コーヒー豆ブレンドの分析
焙煎コーヒー豆又は焙煎コーヒー豆ブレンド0.8gに、抽出用水(リン酸1gと、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(HEDPO)0.03gをイオン交換水1Lに溶解した液)を80g加え、95℃以上に保持しながら10分間浸漬抽出を行い、上清を採取し、コーヒー抽出液を得た。得られたコーヒー抽出液について、以下の分析を行った。
(1)クロロゲン酸類(CGA)及びジカフェオイルキナ酸類(di−CQA)の分析 分析機器はHPLCを使用した。装置の構成ユニットの型番は次の通りである。
・UV−VIS検出器:L−2420((株)日立ハイテクノロジーズ)
・カラムオーブン:L−2300((株)日立ハイテクノロジーズ
・ポンプ:L−2130((株)日立ハイテクノロジーズ)
・オートサンプラー:L−2200((株)日立ハイテクノロジーズ)
・カラム:Cadenza CD−C18 内径4.6mm×長さ150mm、粒子径3μm(インタクト(株))
分析条件は次の通りである。
・サンプル注入量:10μL
・流量:1.0mL/min
・UV−VIS検出器設定波長:325nm
・カラムオーブン設定温度:35℃
・溶離液A:0.05M 酢酸、0.1mM HEDPO、10mM 酢酸ナトリウム、5(V/V)%アセトニトリル溶液
・溶離液B:アセトニトリル
濃度勾配条件
時間 溶離液A 溶離液B
0.0分 100% 0%
10.0分 100% 0%
15.0分 95% 5%
20.0分 95% 5%
22.0分 92% 8%
50.0分 92% 8%
52.0分 10% 90%
60.0分 10% 90%
60.1分 100% 0%
70.0分 100% 0%
HPLCでは、コーヒー抽出液を、メンブレンフィルター(GLクロマトディスク25A、孔径0.45μm、ジーエルサイエンス(株))にて濾過後、分析に供した。
・クロロゲン酸類(CGA)の保持時間(単位:分)
モノカフェオイルキナ酸:5.3、8.8、11.6の計3点
モノフェルラキナ酸:13.0、19.9、21.0の計3点
・ジカフェオイルキナ酸類(di−CQA)の保持時間(単位:分)
36.6、37.4、44.2の計3点。
ここで求めた上記6種のクロロゲン酸類及び上記3種のジカフェオイルキナ酸類の面積値から5−カフェオイルキナ酸を標準物質とし、クロロゲン酸類及びジカフェオイルキナ酸類含有量(mg/kg)を求めた。
(2)ヒドロキシヒドロキノン(HHQ)の分析
分析機器はHPLC−電気化学検出器(クーロメトリック型)であるクーロアレイシステム(モデル5600A、米国ESA社製)を使用した。装置の構成ユニットの名称・型番は次の通りである。
・アナリティカルセル:モデル5010、クーロアレイオーガナイザー
・クーロアレイエレクトロニクスモジュール・ソフトウエア:モデル5600A
・溶媒送液モジュール:モデル582、グラジエントミキサー
・オートサンプラー:モデル542、パルスダンパー
・デガッサー:Degasys Ultimate DU3003
・カラムオーブン:505
・カラム:CAPCELL PAK C18 AQ 内径4.6mm×長さ250mm 粒子径5μm((株)資生堂)
分析条件は次の通りである。
・サンプル注入量:10μL
・流量:1.0mL/min
・電気化学検出器の印加電圧:200mV
・カラムオーブン設定温度:40℃
・溶離液C:0.1(W/V)%リン酸、0.1mM 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、5(V/V)%メタノール溶液
・溶離液D:0.1(W/V)%リン酸、0.1mM 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、50(V/V)%メタノール溶液
溶離液C及びDの調製には、高速液体クロマトグラフィー用蒸留水(関東化学(株))、高速液体クロマトグラフィー用メタノール(関東化学(株))、リン酸(特級、和光純薬工業(株))、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(60%水溶液、東京化成工業(株))を用いた。
濃度勾配条件
時間 溶離液C 溶離液D
0.0分 100% 0%
10.0分 100% 0%
10.1分 0% 100%
20.0分 0% 100%
20.1分 100% 0%
50.0分 100% 0%
コーヒー抽出液をボンドエルートSCX(固相充填量:500mg、リザーバ容量:3mL、ジーエルサイエンス(株))に通液し、初通過液約0.5mLを除いて通過液を得た。この通過液について、メンブレンフィルター(GLクロマトディスク25A、孔径0.45μm、ジーエルサイエンス(株))にて濾過し、速やかに分析に供した。
HPLC−電気化学検出器の上記の条件における分析において、ヒドロキシヒドロキノン(HHQ)の保持時間は6.38分であった。
得られたピークの面積値から、ヒドロキシヒドロキノン(和光純薬工業(株))を標準物質とし、ヒドロキシヒドロキノン含有量(mg/kg)を求めた。
2.L値の測定
試料を、JIS Z 8722及びJIS Z 8730−2009に準じて、紫外可視分光光度計(UV−2600積分球付属装置、(株)島津製作所)を用いて3回測定し、その平均値を得た。L値の計算は、L100を規定する基準試料として硫酸バリウム(和光純薬(株)製 一級試薬)を用いた。
3.Brixの測定
20℃における試料のBrixを、糖度計(Atago RX-5000、Atago社製)を用いて測定した。
調製例
原料焙煎コーヒー豆の調製
L18の焙煎コーヒー豆を、粉砕機(ワンダーブレンダーWB−1、大阪ケミカル(株)、以下同じ)にて30秒間粉砕した。次に、下記の篩に粉砕焙煎コーヒー豆を仕込み、5分間分級した後、目開き425μmの篩にオンし、500μmの篩をパスする原料焙煎コーヒー豆を採取した。また、下記の篩に粉砕焙煎コーヒー豆を仕込み、5分間分級した後、目開き45μmの篩にオンし、63μmの篩をパスする原料焙煎コーヒー豆を採取した。
・篩 :JIS Z−8801
・目開き:2000μm、1700μm、1180μm、710μm、500μm、425μm、355μm、250μm、180μm、75μm、63μm、及び45μm
実施例1
L値が18であり、粒径が425〜500μmである原料焙煎コーヒー豆を内容積190cm3のSOT缶(stay-on-tab缶)に5g入れ、SOT缶ごと酸素濃度が35%に調整されたグローブボックスに移し、SOT缶内の気相を酸素濃度35%に調整された気体に置換した。なお、グローブボックス内の酸素濃度の調整は、窒素ボンベと酸素ボンベからそれぞれ供給された気体を混合して行った。酸素濃度の測定は、グローブボックスにガスが供給される導入管に酸素濃度計(ジコー製、JKO−02 verIII)を設置して測定した。置換が完了した後、SOT缶にフタを取り付け、密閉した。密閉されたSOT缶をオートクレーブ(ハイクレーブHVA−85、(株)平山製作所)に投入し、加圧下、125℃で10分間加熱処理を行った。得られた焙煎コーヒー豆について前述の方法により分析を行った。その結果を表1に示す。
実施例2、3及び比較例1
表1に示す酸素濃度に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作にて焙煎コーヒー豆を得た。そして、得られた焙煎コーヒー豆について、実施例1と同様の方法にて分析を行った。その結果を表1に示す。
参考例1
L値が18であり、粒径が425〜500μmである原料焙煎コーヒー豆について、実施例1と同様の方法にて分析を行った。その結果を表1に示す。
Figure 0006484439
実施例4
L値が18であり、粒径が45〜63μmである原料焙煎コーヒー豆を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作にて焙煎コーヒー豆を得た。そして、得られた焙煎コーヒー豆について、実施例1と同様の方法にて分析を行った。その結果を参考例1の結果とともに表2に示す。
実施例5、6及び比較例2
表1に示す酸素濃度に変更したこと以外は、実施例4と同様の操作にて焙煎コーヒー豆を得た。そして、得られた焙煎コーヒー豆について、実施例1と同様の方法にて分析を行った。その結果を表2に示す。
Figure 0006484439
実施例7
L値が18であり、粒径が425〜500μmである原料焙煎コーヒー豆に対し、加熱温度を140℃に変更して加熱処理したこと以外は、実施例1と同様の操作にて焙煎コーヒー豆を得た。そして、得られた焙煎コーヒー豆について、実施例1と同様の方法にて分析を行った。その結果を参考例1の結果とともに表3に示す。
比較例3
表1に示す酸素濃度に変更したこと以外は、実施例7と同様の操作にて焙煎コーヒー豆を得た。そして、得られた焙煎コーヒー豆について、実施例1と同様の方法にて分析を行った。その結果を表3に示す。
Figure 0006484439
表1〜3から、原料焙煎コーヒー豆を大気よりも酸素濃度の高い雰囲気下で加熱処理することにより、焙煎度を大きく変動させることなく、ヒドロキシヒドロキノンが短時間で効率よく低減された焙煎コーヒー豆が得られることがわかる。
実施例8
実施例3で得られた、L値が18である焙煎コーヒー豆3.5gと、粒径が425〜500μmであり、かつL値が34である焙煎コーヒー豆1.5gとを混合し、焙煎コーヒー豆ブレンドを製造した。なお、L34の焙煎コーヒー豆は、生コーヒー豆を焙煎して調製したものである。そして、得られた焙煎コーヒー豆ブレンドについて、実施例1と同様の方法にてクロロゲン酸類量及びヒドロキシヒドロキノン量の分析を行った。その結果を表4に示す。
比較例4
L値が18である焙煎コーヒー豆3.5gと、L値が34である焙煎コーヒー豆1.5gとを混合し、焙煎コーヒー豆ブレンドを製造した。なお、L18及びL34の焙煎コーヒー豆は、それぞれ生コーヒー豆を焙煎して調製したものであり、粒径は425〜500μmである。そして、得られた焙煎コーヒー豆ブレンドについて、実施例1と同様の方法にてクロロゲン酸類量及びヒドロキシヒドロキノン量の分析を行った。その結果を表4に示す。
Figure 0006484439
実施例9
実施例8と同様の方法で得られた焙煎コーヒー豆ブレンド合計25gを、98℃、190gの熱水で1.5分間撹拌抽出し、ペーパーフィルタでろ過してコーヒー抽出物を得た。次いで、コーヒー抽出物を20℃に冷却した後、イオン交換水で希釈してBrix1.5%に調整した。そして、Brix1.5%に調整したコーヒー抽出物についてクロロゲン酸類量及びヒドロキシヒドロキノン量の分析を行った。その結果を表5に示す。
比較例5
比較例4と同様の方法で得られた焙煎コーヒー豆ブレンド合計25gを用いたこと以外は、実施例9と同様の操作により、Brix1.5%に調整したコーヒー抽出物を得た。そして、Brix1.5%に調整したコーヒー抽出物についてクロロゲン酸類量及びヒドロキシヒドロキノン量の分析を行った。その結果を表5に示す。
Figure 0006484439
実施例10
実施例9で得られたコーヒー抽出物を−30℃で予備凍結した。その後、真空乾燥機にて凍結乾燥し、ソリュブルコーヒーを得た。次いで、得られたソリュブルコーヒーを1.25g採取して、98℃、100gの熱水で溶解し、20℃に冷却した後、イオン交換水で希釈してBrix1.5%に調整した。そして、Brix1.5%に調整した水溶液についてクロロゲン酸類量及びヒドロキシヒドロキノン量の分析を行った。その結果を表6に示す。
比較例6
比較例4で得られたコーヒー抽出物を用いたこと以外は、実施例10と同様の操作により、ソリュブルコーヒーを得た後、Brix1.5%に調整した水溶液を調製した。そして、Brix1.5%に調整した水溶液についてクロロゲン酸類量及びヒドロキシヒドロキノン量の分析を行った。その結果を表6に示す。
Figure 0006484439
表4〜6から、ヒドロキシヒドロキノンが低減されている一方で、クロロゲン酸類を豊富に含む、焙煎コーヒー豆ブレンド、コーヒー抽出物及びソリュブルコーヒーが得られることがわかる。

Claims (7)

  1. 原料焙煎コーヒー豆を酸素体積分率が30%以上の雰囲気下で100〜160℃で加熱処理する、焙煎コーヒー豆の製造方法。
  2. 加熱時間が3分以上30分未満である、請求項に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
  3. 原料焙煎コーヒー豆のL値が10以上21未満である、請求項1又は2に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
  4. 当該焙煎コーヒー豆のL値が原料焙煎コーヒー豆のL値と略同一である、請求項1〜のいずれか1項に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
  5. 原料焙煎コーヒー豆が粉砕されたものである、請求項1〜のいずれか1項に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
  6. 密閉容器内で加熱処理する、請求項1〜のいずれか1項に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
  7. 当該焙煎コーヒー豆は、焙煎コーヒー豆1kgあたりのヒドロキシヒドロキノンの含有量が50mg未満である、請求項1〜のいずれか1項に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
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