JP6572003B2 - 希釈用コーヒー組成物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、希釈用コーヒー組成物の製造方法に関する。
コーヒー飲料はリフレッシュ作用や、それに含まれるクロロゲン酸類の生理機能が注目されるに伴い、その消費量が増加する傾向にある。淹れたてのコーヒー飲料は、コーヒーの風味が豊かで格段に優れているが、抽出プロセスが不便で廃棄物の処理等の点で利便性に劣る。そこで、その利便性を改善するために、コーヒー抽出液を濃縮又は乾燥した希釈用コーヒー組成物が開発され、広く利用されている。
インスタントコーヒー等の希釈用コーヒー組成物は、向流式連続抽出法(多段階抽出)により製造することが可能であり、抽出温度は、風味等の観点から、160〜190℃の温度で行われることが報告されている(非特許文献1)。また、ボディ感及びコクが豊かで、かつ雑味が抑制されたコーヒー飲料の原料として、L値が10〜20である焙煎コーヒー豆を用いることが知られている(特許文献1)。
さらに、利便性や風味等とは異なる観点で付加価値を高めた希釈用コーヒー組成物が提案されている。例えば、血圧降下作用を目的として、ヒドロキシヒドロキノンを低減させるために、コーヒー抽出液を活性炭処理することも提案されている(特許文献2)。
特開2011−223996号公報 特開2006−304607号公報
谷口良平,「インスタントコーヒーの現況」,日本食品工業学会誌,1989年9月,第36巻,第9号,p.777−784
本発明者らは、L値が10〜20である焙煎コーヒー豆を160〜190℃の温度にて高圧多段抽出することにより得られた抽出液を、活性炭処理したところ、後味として、酸味や渋みが強く感じられ、コーヒー特有のコク感が損なわれることが判明した。本発明の課題は、ヒドロキシヒドロキノンが低減されたにも拘わらず、後味としてのコク感の付与された希釈用コーヒー組成物の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み検討した結果、L値が特定範囲内に制御された深焙煎コーヒー豆と浅焙煎コーヒー豆とから独立に多段階抽出し活性炭処理して得られた希釈用コーヒー組成物を混合することで、意外なことに、後味としてのコク感の付与された希釈用コーヒー組成物が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、第1の希釈用コーヒー組成物と、第2の希釈用コーヒー組成物とを混合する工程を含み、
第1の希釈用コーヒー組成物は、L値が14〜20である第1の焙煎コーヒー豆を、加圧条件下、150〜200℃の温度にて多段階抽出して第1のコーヒー抽出液を得る第1の工程と、第1のコーヒー抽出液を10〜70℃の温度にて活性炭と接触させる第2の工程とを有する工程を経て得られるものであり、
第2の希釈用コーヒー組成物は、L値が26〜35である第2の焙煎コーヒー豆を、加圧条件下、110〜170℃の温度にて多段階抽出して第2のコーヒー抽出液を得る第3の工程と、前記第2のコーヒー抽出液を10〜70℃の温度にて活性炭と接触させる第4の工程を有する工程を経て得られるものである、
希釈用コーヒー組成物の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、ヒドロキシヒドロキノンが低減されたにも拘わらず、後味としてのコク感の付与された希釈用コーヒー組成物を簡便な操作で製造することができる。
本明細書において「希釈用コーヒー組成物」とは、一般的に飲用されるコーヒー飲料よりもBrixが高いものであって、水やミルク等で希釈後に飲用に供されるものである。
本発明に係る「希釈用コーヒー組成物」は、(a)Brixが通常5%以上であるが、ハンドリング性の観点から、7%以上が好ましく、7.5%以上がより好ましく、8%以上が更に好ましい。なお、(a)Brixの上限値は特に限定されないが、生産効率の観点から、99%が好ましく、98%がより好ましく、97%が更に好ましい。かかる(a)Brixの範囲としては、好ましくは5〜99%、より好ましくは7〜99%、更に好ましくは7.5〜98%、殊更に好ましくは8〜97%である。ここで、本明細書において「Brix」とは、糖用屈折計を利用して測定した値であり、20℃のショ糖水溶液の質量百分率に相当する値である。具体的には、後掲の実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明の希釈用コーヒー組成物の製造方法は、第1の希釈用コーヒー組成物と、第2の希釈用コーヒー組成物とを混合する工程を含むものである。
<第1の希釈用コーヒー組成物>
第1の希釈用コーヒー組成物は、第1の工程と、第2の工程とを有する工程を経て得られるものである。以下、各工程について説明する。
〔第1の工程〕
第1の工程は、L値が14〜20である第1の焙煎コーヒー豆を、加圧条件下、150〜200℃の温度にて多段階抽出して第1のコーヒー抽出液を得る工程である。
(焙煎コーヒー豆)
第1の焙煎コーヒー豆はL値が14〜20であるが、コク感付与の観点から、14.5以上が好ましく、15以上がより好ましく、15.5以上が更に好ましく、そして19.5以下が好ましく、19以下がより好ましく、18.5以下が更に好ましい。かかるL値の範囲としては、好ましくは14.5〜19.5、より好ましくは15〜19、更に好ましくは15.5〜18.5である。ここで、本明細書において「L値」とは、黒をL値0とし、また白をL値100として、焙煎コーヒー豆の明度を色差計で測定したものである。なお、第1の焙煎コーヒー豆の焙煎方法及び焙煎条件は特に限定されない。また、第1の焙煎コーヒー豆として、焙煎度の異なるコーヒー豆を使用することも可能であり、焙煎度の異なるコーヒー豆を使用する場合、L値が上記範囲外のものを用いても差し支えないが、L値の平均値が上記範囲内となるように適宜組み合わせて使用することが好ましい。L値の平均値は、使用する焙煎コーヒー豆のL値に、当該焙煎コーヒー豆の含有質量比を乗じた値の総和として求められる。
第1の焙煎コーヒー豆の豆種及び産地は特に限定されず、嗜好性に応じて適宜選択することができる。例えば、焙煎コーヒー豆の豆種としては、アラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種及びアラブスタ種等が挙げられ、またコーヒー豆の産地としては、ブラジル、コロンビア、タンザニア、モカ、キリマンジャロ、マンデリン、ブルーマウンテン、グァテマラ、ベトナム、インドネシア等を挙げることができる。
第1の焙煎コーヒー豆は、未粉砕のものでも、粉砕したものでもよいが、抽出効率の観点から粉砕したものが好ましい。粉砕した焙煎コーヒー豆の大きさは適宜選択することが可能であるが、例えば、Tyler標準篩12メッシュを通過し、かつTyler標準篩115メッシュを通過しないものを使用することができる。
(多段階抽出)
本工程においては第1の焙煎コーヒー豆を多段階抽出するが、本明細書において「多段階抽出」とは、複数の独立した抽出塔を配管で直列につないだ装置を用いる抽出方法であり、例えば、次の方法が挙げられる。焙煎コーヒー豆を、複数の独立した抽出塔それぞれに投入し、1段階目の抽出塔に抽出溶媒を供給して該抽出塔からコーヒー抽出液を排出させる。次いで、1段階目の抽出塔から排出されたコーヒー抽出液を2段階目の抽出塔に供給し該抽出塔からコーヒー抽出液を排出させる。なお、3段階目以降の抽出塔を有する場合、前段階の抽出塔から排出されたコーヒー抽出液を次段階の抽出塔に供給しコーヒー抽出液を排出させるという操作を繰り返し行う。そして、最終段階の抽出塔から排出されたコーヒー抽出液を回収する。更に、1段階目から最終段階の抽出塔とは異なる予備抽出塔に、新たな焙煎コーヒー豆を充填して待機させておき、最終段階の抽出塔と予備抽出塔とを連結し、抽出溶媒の供給を2段階目の抽出塔に切替え、2段階目の抽出塔から排出されたコーヒー抽出液を、3階目の抽出塔から最終段階の抽出塔、そして予備抽出塔まで供給し、予備抽出塔から排出されたコーヒー抽出液を回収することもできる。また、1段階目の抽出塔から抽出後の焙煎コーヒー豆を抜き出し、新たな焙煎コーヒー豆を充填した後、1段階目の抽出塔と予備抽出塔とを連結し、抽出溶媒の供給を3段階目の抽出塔に切替え、3段階目の抽出塔から排出されたコーヒー抽出液を、4階目の抽出塔から最終段階の抽出塔、予備抽出塔、そして1段階目の抽出塔まで供給し、1段階目の抽出塔から排出されたコーヒー抽出液を回収してもよい。このように、順次抽出溶媒の供給ラインと、コーヒー抽出液の排出ラインとの切り替え操作、抽出塔の焙煎コーヒー豆の交換操作を繰り返し行うことで連続生産することもできる。なお、ラインの切り替え操作、焙煎コーヒー豆の交換操作は、各抽出塔において行うことが可能であり、所望の希釈用コーヒー組成物が得られるように適宜設定することができる。ここで、「独立した抽出塔」とは、抽出塔が完全に遮断されていることを意味するのではなく、焙煎コーヒー豆の移動は制限されるが、抽出溶媒又は製造途中のコーヒー抽出液を次段階の抽出塔に送液可能な連結手段を有する1つの抽出塔をいう。抽出溶媒は、下方から上方への上昇流、あるいは上方から下方への下降流で供給することが可能であり、抽出溶媒は、密閉系で供給される。
また、本工程においては、抽出塔から排出されたコーヒー抽出液を、全ての抽出塔に連続して通過させるだけでなく、抽出塔から排出されたコーヒー抽出液を一旦タンク等に貯留してもよい。貯留したコーヒー抽出液は、次段階以降の抽出塔に順次供給してもよい。
多段階抽出に使用する抽出塔の数は適宜選択可能であるが、後味としてのコク感付与の観点から、2塔以上が好ましく、4塔以上がより好ましく、6塔以上が更に好ましい。なお、上限は、生産効率の観点から、15塔が好ましく、10塔が更に好ましい。
また、抽出塔に充填する焙煎コーヒー豆の量は抽出スケールに応じて適宜選択することが可能であるが、希釈用コーヒー組成物から調製されたコーヒー飲料100g当たりの焙煎コーヒー豆の使用量が生豆換算で1g以上となる量が好ましく、2.5g以上となる量がより好ましく、5g以上となる量が更に好ましい。ここで、生豆換算値は、焙煎コーヒー豆1gが生コーヒー豆1.3gに相当するものとする(改訂新版・ソフトドリンクス、監修:全国清涼飲料工業会、発行:光琳、平成元年12月25日発行 421頁記載)。
抽出溶媒としては、水、又はエタノール等のアルコール含有水溶液等が挙げられ、中でも、風味の観点から、水が好ましい。抽出溶媒のpH(25℃)は、風味の観点から、好ましくは4〜10、更に好ましくは5〜7である。
抽出溶媒の通液条件は、第1の焙煎コーヒー豆の全容量に対する空間速度(SV)として、0.01[h-1]以上が好ましく、0.1[h-1]以上がより好ましく、0.5[h-1]以上が更に好ましく、そして10[h-1]以下が好ましく、5[h-1]以下がより好ましく、3[h-1]以下が更に好ましい。かかる空間速度(SV)の範囲としては、好ましくは0.01〜10[h-1]、より好ましくは0.1〜5[h-1]、更に好ましくは0.5〜3[h-1]である。
また、1塔当たりの焙煎コーヒー豆の容量に対する通液倍数(BV)は、0.5[v/v]以上が好ましく、1[v/v]以上がより好ましく、2[v/v]以上が更に好ましく、そして35[v/v]以下が好ましく、25[v/v]以下がより好ましく、15[v/v]以下が更に好ましい。かかる通液倍数(BV)としては、好ましくは0.5〜35[v/v]、より好ましくは1〜25[v/v]、更に好ましくは2〜15[v/v]である。
抽出温度は150〜200℃であるが、後味としてのコク感付与の観点から、160℃以上が好ましく、165℃以上がより好ましく、170℃以上が更に好ましく、そして195℃以下が好ましく、190℃以下がより好ましく、185℃以下が更に好ましい。かかる抽出温度の範囲としては、好ましくは160〜195℃、より好ましくは165〜190℃、更に好ましくは170〜185℃である。
抽出圧力(ゲージ圧)は、後味としてのコク感付与及び抽出効率の観点から、0.1〜1.5MPaが好ましく、0.15〜1.4MPaがより好ましく、0.2〜1.3MPaが更に好ましい。
全抽出塔中の抽出液の滞留時間は抽出スケール等により一様ではないが、通常0.5〜5時間、好ましくは1〜3時間であり、1塔当たりの抽出液の滞留時間は通常5〜50分、好ましくは10〜30分である。
また、多段階抽出は、下記式により求められるBrix回収率(%)を制御することもできる。かかるBrix回収率は、好ましくは30〜50%、より好ましくは32〜48%、更に好ましくは34〜46%である。
Brix回収率(%)=Brix×採液量(L)/焙煎豆量(kg)
加圧条件で多段階抽出を行うことより、常圧条件で多段階抽出を行う場合やドリップ抽出する場合に比して、可溶性固形分及びクロロゲン酸類の濃度の高いコーヒー抽出液が得られ、風味も異なるものになる。
〔第2の工程〕
第2の工程は、第1の工程により得られた第1のコーヒー抽出液を10〜70℃の温度にて活性炭と接触させる工程である。
(活性炭処理)
活性炭としては、後味としてのコク感付与の観点から、平均細孔半径が30Å以下のものが好ましく、25Å以下のものがより好ましく、20Å以下のものが更に好ましく、そして3Å以上のものが好ましく、5Å以上のものがより好ましく、7Å以上のものが更に好ましい。かかる活性炭の平均細孔半径の範囲としては、3〜30Åが好ましく、5〜25Åがより好ましく、7〜20Åが更に好ましい。
本明細書における平均細孔半径とは、MP法により得られた細孔分布曲線のピークトップを示す細孔半径の値である。MP法とは、文献(Colloid and Interface Science, 26, 46(1968))に記載の細孔測定法である。本明細書における平均細孔半径は、具体的には、BELSORP−mini(マイクロトラック・ベル株式会社製)などを用いて、窒素吸着法を用いて測定できる。
活性炭の原料としては、オガコ、石炭、ヤシ殻等が挙げられ、中でも、ヤシ殻活性炭が好ましい。また、水蒸気等のガスにより賦活した活性炭が好ましく使用される。
このような活性炭の市販品としては、白鷺WH2c LSS(日本エンバイロケミカルズ株式会社)、太閣CW(二村化学工業株式会社)、クラレコールGW、クラレコールGW−H(以上、クラレケミカル株式会社)等を挙げることができる。
なお、本工程では、活性炭は、そのまま利用しても、加熱殺菌したものを用いてもよい。加熱殺菌方法としては、例えば、日本にあっては食品衛生法に定められた殺菌方法を適用することが可能であり、より具体的には、レトルト殺菌法、高温短時間殺菌法(HTST法)、超高温殺菌法(UHT法)等を挙げることができる。
活性炭の使用量は、後味としてのコク感付与の観点から、コーヒー抽出液の質量に、該コーヒー抽出液のBrix(%)を乗じて得られた数値に対して、好ましくは5〜70質量%、より好ましくは8〜60質量%、更に好ましくは10〜50質量%となる量が好ましい。
活性炭との接触温度は10〜70℃であるが、ヒドロキシヒドロキノンの低減、クロロゲン酸類の回収率、後味としてのコク感付与の観点から、60℃以下が好ましく、50℃以下が好ましく、またヒドロキシヒドロキノン及びカフェインの低減の観点から、10℃以上が好ましく、15℃以上がより好ましく、20℃以上が更に好ましい。かかる活性炭の処理温度としては、好ましくは10〜60℃、より好ましくは15〜60℃、更に好ましくは20〜50℃、殊更に好ましくは20〜40℃である。なお、活性炭処理は、処理槽を所望の温度に冷却又は加温しながら行ってもよい。
接触方法としては、例えば、バッチ法又はカラム通液法が挙げられる。中でも、生産効率の観点から、カラム通液法が好ましい。
バッチ法は、コーヒー抽出液に活性炭を加え、所定の温度にて1〜72時間撹拌した後、活性炭を除去すればよい。
また、カラム通液法は、カラム内に活性炭を充填し、コーヒー抽出液を所定の温度にてカラム下部又は上部から通液させ、他方から排出させればよい。カラム通液法において、コーヒー抽出液の通液条件は、活性炭の全容量に対する空間速度(SV)は、0.1[h-1]以上が好ましく、0.5[h-1]以上がより好ましく、1[h-1]以上が更に好ましく、そして30[h-1]以下が好ましく、25[h-1]以下がより好ましく、20[h-1]以下が更に好ましい。かかる空間速度(SV)の範囲としては、好ましくは0.1〜30[h-1]、より好ましくは0.5〜25[h-1]、更に好ましくは1〜20[h-1]である。また、活性炭の全容量に対する通液倍数(BV)は、6[v/v]以上が好ましく、7[v/v]以上がより好ましく、8[v/v]以上が更に好ましく、そして80[v/v]以下が好ましく、50[v/v]以下がより好ましく、40[v/v]以下が更に好ましい。かかる通液倍数(BV)としては、好ましくは6〜80[v/v]、より好ましくは7〜50[v/v]、更に好ましくは8〜40[v/v]である。
また、本工程においては、活性炭と接触させる際の第1のコーヒー抽出液の濃度は、ハンドリング性、生産効率の観点から、Brixとして5%以上が好ましく、7%以上がより好ましく、8%以上が更に好ましく、そして20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、12%以下が更に好ましい。かかる濃縮液の濃度の範囲としては、Brixとして、好ましくは5〜20%、より好ましくは7〜15%、更に好ましくは8〜12%である。第1のコーヒー抽出液がかかる濃度範囲に満たない場合は、活性炭との接触前に濃縮しても良い。濃縮方法としては公知の方法及び装置で行えばよく、特に制限されるものではないが、例えば、減圧濃縮、逆浸透膜濃縮が挙げられる。
第2の工程により得られた活性炭処理液は、希釈用コーヒー組成物の形態に合わせて、必要により濃縮又は乾燥をすることができる。濃縮方法としては、例えば、前述した方法が挙げられ、また乾燥方法としては、例えば、噴霧乾燥、凍結乾燥等を挙げることができる。
<第2の希釈用コーヒー組成物>
第2の希釈用コーヒー組成物は、第3の工程と、第4の工程を有する工程を経て得られるものである。以下、各工程について説明する。
〔第3の工程〕
第3の工程は、L値が26〜35である第2の焙煎コーヒー豆を、加圧条件下、110〜170℃の温度にて多段階抽出して第2のコーヒー抽出液を得る工程である。
(焙煎コーヒー豆)
第2の焙煎コーヒー豆の焙煎度はL値が26〜35であるが、風味バランスの観点から、26.5以上が好ましく、27以上がより好ましく、27.5以上が更に好ましく、そして34以下が好ましく、33以下がより好ましく、32以下が更に好ましい。かかるL値の範囲としては、好ましくは26.5〜34、より好ましくは27〜33、更に好ましくは27.5〜32である。なお、第2の焙煎コーヒー豆の焙煎方法及び焙煎条件は特に限定されない。また、第2の焙煎コーヒー豆として、第1の焙煎コーヒー豆と同様に焙煎度の異なるコーヒー豆を使用することも可能である。
第2の焙煎コーヒー豆の豆種及び産地は特に限定されず、嗜好性に応じて適宜選択することができる。具体例としては、第1の焙煎コーヒー豆と同様のものを挙げることができる。
第2の焙煎コーヒー豆は、未粉砕のものでも、粉砕したものでもよいが、抽出効率の観点から粉砕したものが好ましい。粉砕した焙煎コーヒー豆の具体的構成は、第1の焙煎コーヒー豆において説明したとおりである。
(多段階抽出)
本工程における抽出温度は110〜170℃であるが、風味及びクロロゲン酸類回収性の観点から、120℃以上が好ましく、130℃以上がより好ましく、140℃以上が更に好ましく、そして165℃以下が好ましく、160℃以下が更に好ましい。かかる抽出温度の範囲としては、好ましくは120〜170℃、より好ましくは130〜165℃、更に好ましくは140〜160℃である。
なお、本工程においては、多段階抽出の操作方法や、抽出温度以外の抽出条件について第1の工程と同様の方法及び条件を採用することが可能であり、それらの具体的構成は第1の工程において説明したとおりである。
〔第4の工程〕
第4の工程は、第3の工程により得られた第2のコーヒー抽出液を10〜70℃の温度にて活性炭と接触させる工程である。
本工程で使用する活性炭の種類、並びに活性炭との接触方法及び接触条件は、第2の工程と同様であり、それらの具体的構成は第2の工程において説明したとおりである。
第4の工程により得られた活性炭処理液は、希釈用コーヒー組成物の形態に合わせて、必要により濃縮又は乾燥をすることができる。なお、濃縮方法及び乾燥方法としては、例えば、前述した方法が挙げられる。
<混合工程>
混合工程は、第1の希釈用コーヒー組成物と、第2の希釈用コーヒー組成物とを混合する工程である。
第1の希釈用コーヒー組成物と、第2の希釈用コーヒー組成物との混合順序は特に限定されず、両者を任意の順序で投入して混合しても、両者を同時に投入して混合してもよい。
第1の希釈用コーヒー組成物と、第2の希釈用コーヒー組成物との混合割合は、嗜好性に応じて適宜選択することが可能であるが、後味としてのコク感付与の観点から、(A)第1の希釈用コーヒー組成物と、(B)第2の希釈用コーヒー組成物とを、固形分換算の質量比[(A)/(B)]として90/10〜10/90の割合で混合することが好ましく、85/15〜15/85がより好ましく、80/20〜20/80が更に好ましく、80/20〜30/70が殊更に好ましい。
混合後、希釈用コーヒー組成物の形態に合わせて必要により濃縮又は乾燥をすることができる。なお、濃縮方法及び乾燥方法としては、例えば、前述した方法が挙げられる。
このようにして製造された希釈用コーヒー組成物は、(b)クロロゲン酸類及び(c)カフェインを含有するものであり、以下の特性を具備することができる。
ここで、本明細書において「クロロゲン酸類」とは、3−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸及び5−カフェオイルキナ酸のモノカフェオイルキナ酸と、3−フェルラキナ酸、4−フェルラキナ酸及び5−フェルラキナ酸のモノフェルラキナ酸と、3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸及び4,5−ジカフェオイルキナ酸の(d)ジカフェオイルキナ酸を併せての総称であり、本発明においては、上記9種のうち少なくとも1種を含有すればよい。なお、(b)クロロゲン酸類の含有量は、上記9種の合計量に基づいて定義される。(b)クロロゲン酸類及び(c)カフェインの分析は、後掲の実施例に記載の方法にしたがうものとする。
希釈用コーヒー組成物中の(b)クロロゲン酸類と(c)カフェインとの質量比[(c)/(b)]は通常0.5以下であり、甘味増強、雑味低減の観点から、0.4以下が好ましく、0.3以下がより好ましく、0.2以下が更に好ましく、0.17以下がより更に好ましく、0.15以下がより更に好ましい。なお、かかる質量比[(c)/(b)]は0であってもよいが、生産効率の観点から、0.00001以上が好ましく、0.00003以上がより好ましく、0.0001以上が更に好ましく、0.0003以上がより更に好ましく、0.001以上がより更に好ましく、0.01以上がより更に好ましい。かかる質量比[(c)/(b)]の範囲としては、好ましくは0.00001〜0.4、より好ましくは0.00003〜0.3、更に好ましくは0.0001〜0.2、より更に好ましくは0.0003〜0.17、より更に好ましくは0.001〜0.15、より更に好ましくは0.01〜0.15である。
(b)クロロゲン酸類中の(d)ジカフェオイルキナ酸の割合[(d)/(b)]は、質量基準で、生理効果の観点から、0.05以上が好ましく、0.08以上がより好ましく、0.1以上が更に好ましく、また沈殿防止の観点から、0.3以下が好ましく、0.25以下がより好ましく、0.2以下が更に好ましく、0.17以下がより更に好ましく、0.15以下がより更に好ましい。かかる割合[(d)/(b)]の範囲としては、質量基準で、好ましくは0.05〜0.3、より好ましくは0.08〜0.25、更に好ましくは0.1〜0.2、より更に好ましくは0.1〜0.17、より更に好ましくは0.1〜0.15である。なお、(d)ジカフェオイルキナ酸の含有量は、上記3種の合計量に基づいて定義される。
希釈用コーヒー組成物中の(b)クロロゲン酸類の含有量は、(a)Brixとの比率[(a)(%)/(b)(質量%)]として、後味としてのコク感付与の観点から、5以上が好ましく、10以上がより好ましく、15以上が更に好ましく、20以上がより更に好ましく、また雑味抑制の観点から、100以下が好ましく、70以下がより好ましく、50以下が更に好ましく、45以下がより更に好ましい。かかる比率[(a)/(b)]の範囲としては、好ましくは5〜100、より好ましくは10〜70、更に好ましくは15〜50、より更に好ましくは20〜45である。
希釈用コーヒー組成物中の(b)クロロゲン酸類と(e)ヒドロキシヒドロキノンとの質量比[(e)/(b)]は、生理効果、雑味低減の観点から、5×10-4以下が好ましく、4×10-4以下がより好ましく、1×10-4以下が更に好ましく、5×10-5以下がより更に好ましく、3×10-5以下がより更に好ましく、2×10-5以下がより更に好ましい。また、かかる質量比 [(e)/(b)]の下限は特に定めるものではなく例えば0であってもよいが、生産効率の観点から、1×10-7以上が好ましく、1×10-6以上がより好ましく、2×10-6以上が更に好ましい。かかる質量比 [(e)/(b)]の範囲としては、好ましくは1×10-7〜5×10-4、より好ましくは1×10-7〜4×10-4、更に好ましくは1×10-7〜1×10-4、より更に好ましくは1×10-6〜5×10-5、より更に好ましくは2×10-6〜3×10-5、殊更に好ましくは2×10-6〜2×10-5である。なお、成分(e)の分析は、後掲の実施例に記載の方法にしたがうものとする。また、質量比 [(e)/(b)]が0であるとは、後掲の実施例に記載の方法に従い(e)ヒドロキシヒドロキノンを測定したとき、測定閾値以下である場合も包含される。
また、本発明の希釈用コーヒー組成物が液体である場合、乾燥固形分は、5.6質量%以上が好ましく、6.0質量%以上がより好ましく、6.4質量%以上が更に好ましく、そして80.0質量%以下が好ましく、75.0質量%以下がより好ましく、70.0質量%以下が更に好ましい。かかる乾燥固形分の範囲としては、好ましくは5.6〜80.0質量%、より好ましくは6.0〜75.0質量%、更に好ましくは6.4〜70.0質量%である。また、本発明の希釈用コーヒー組成物が固体である場合、乾燥固形分は、90.0質量%以上が好ましく、93.0質量%以上がより好ましく、96.0質量%以上が更に好ましく、また脂質の酸化の観点から、100.0質量%以下が好ましく、99.5質量%以下がより好ましく、99.0質量%以下が更に好ましい。かかる乾燥固形分の範囲としては、好ましくは90.0〜100.0質量%、より好ましくは93.0〜99.5質量%、更に好ましくは96.0〜99.0質量%である。ここで、本明細書において「乾燥固形分」とは、試料を105℃の電気恒温乾燥機で3時間乾燥して揮発物質を除いた残分をいう。
本発明の希釈用コーヒー組成物の形態としては、例えば、液体、粉末、顆粒、錠剤等が挙げられ、適宜選択することができる。例えば、希釈用コーヒー組成物が液体の場合、ポーションタイプの希釈飲料とすることができる。一方、希釈用コーヒー組成物が粉末の場合、インスタントコーヒーとするのに好適であり、その形態としては、スプーンで計量し調製するもの、透過性浸出パッケージ又はカップ1杯分毎に小分けしたスティックタイプとすることができる。
1.クロロゲン酸類及びカフェインの分析
分析機器はHPLCを使用した。装置の構成ユニットの型番は次の通りである。
・UV−VIS検出器:L−2420((株)日立ハイテクノロジーズ)
・カラムオーブン:L−2300((株)日立ハイテクノロジーズ)
・ポンプ:L−2130((株)日立ハイテクノロジーズ)
・オートサンプラー:L−2200((株)日立ハイテクノロジーズ)
・カラム:Cadenza CD−C18 内径4.6mm×長さ150mm、粒子径3μm(インタクト(株))
分析条件は次の通りである。
・サンプル注入量:10μL
・流量:1.0mL/min
・UV−VIS検出器設定波長:325nm
・カラムオーブン設定温度:35℃
・溶離液A:0.05M 酢酸、0.1mM 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、10mM 酢酸ナトリウム、5(V/V)%アセトニトリル溶液
・溶離液B:アセトニトリル
濃度勾配条件(体積%)
時間 溶離液A 溶離液B
0.0分 100% 0%
10.0分 100% 0%
15.0分 95% 5%
20.0分 95% 5%
22.0分 92% 8%
50.0分 92% 8%
52.0分 10% 90%
60.0分 10% 90%
60.1分 100% 0%
70.0分 100% 0%
HPLCでは、試料1gを精秤後、溶離液Aにて10mLにメスアップし、メンブレンフィルター(GLクロマトディスク25A,孔径0.45μm,ジーエルサイエンス(株))にて濾過後、分析に供した。
クロロゲン酸類の保持時間(単位:分)9種のクロロゲン酸類
・モノカフェオイルキナ酸:5.3、8.8、11.6の計3点
・モノフェルラキナ酸:13.0、19.9、21.0の計3点
・ジカフェオイルキナ酸:36.6、37.4、44.2の計3点。
ここで求めた9種のクロロゲン酸類の面積値から5−カフェオイルキナ酸を標準物質とし、質量%を求めた。
なお、カフェインの分析は、UV−VIS 検出器設定波長:270nm、カフェインを標準物質とした以外はクロロゲン酸類と同様に実施した。カフェインの保持時間は18.9分。
2.ヒドロキシヒドロキノンの分析
ヒドロキシヒドロキノンの分析法は次の通りである。
分析機器はHPLC−電気化学検出器(クーロメトリック型)であるクーロアレイシステム(モデル5600A、開発・製造:米国ESA社、輸入・販売:エム・シー・メディカル(株))を使用した。
装置の構成ユニットの名称・型番は次の通りである。
・アナリティカルセル:モデル5010、クーロアレイオーガナイザー
・クーロアレイエレクトロニクスモジュール・ソフトウエア:モデル5600A
・溶媒送液モジュール:モデル582、グラジエントミキサー
・オートサンプラー:モデル542、パルスダンパー
・デガッサー:Degasys Ultimate DU3003
・カラムオーブン:505
・カラム:CAPCELL PAK C18 AQ 内径4.6mm×長さ250mm、粒子径5μm((株)資生堂)
分析条件は次の通りである。
・サンプル注入量:10μL
・流量:1.0mL/min
・電気化学検出器の印加電圧:200mV
・カラムオーブン設定温度:40℃
・溶離液C:0.1(W/V)%リン酸、0.1mM 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、5(V/V)%メタノール溶液
・溶離液D:0.1(W/V)%リン酸、0.1mM 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、50(V/V)%メタノール溶液
溶離液C及びDの調製には、高速液体クロマトグラフィー用蒸留水(関東化学(株))、高速液体クロマトグラフィー用メタノール(関東化学(株))、リン酸(特級、和光純薬工業(株))、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(60%水溶液、東京化成工業(株))を用いた。
濃度勾配条件(体積%)
時間 溶離液C 溶離液D
0.0分 100% 0%
10.0分 100% 0%
10.1分 0% 100%
20.0分 0% 100%
20.1分 100% 0%
50.0分 100% 0%
分析試料の調製は、試料5gを精秤後、0.5(W/V)%リン酸、0.5mM 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、5(V/V)%メタノール溶液にて10mLにメスアップし、この溶液について遠心分離を行い上清を得た。この上清について、ボンドエルートSCX(固相充填量:500mg、リザーバ容量:3mL、ジーエルサイエンス(株))に通液し、初通過液約0.5mLを除いて通過液を得た。この通過液について、メンブレンフィルター(GLクロマトディスク25A,孔径0.45μm,ジーエルサイエンス(株))にて濾過し、速やかに分析に供した。
HPLC−電気化学検出器の上記の条件における分析において、ヒドロキシヒドロキノンの保持時間は、6.38分であった。得られたピークの面積値から、ヒドロキシヒドロキノン(和光純薬工業(株))を標準物質とし、質量%を求めた。
3.L値の測定
試料のL値を、色差計((株)日本電色社製 スペクトロフォトメーター SE2000)を用いて反射法にて測定した。
4.Brixの測定
20℃における試料のBrixを、糖度計(Atago RX-5000、Atago社製)を用いて測定した。
5.官能評価
後述の各実施例及び比較例で得られた希釈用コーヒー組成物を、Brix1.75%となるように水で希釈したコーヒーエキスの後味としてのコク感について専門パネル4名により下記の基準で評価し、その後協議により最終スコアを決定した。
後味としてのコク感の評価基準
参考例1のコーヒーエキスの後味としてのコク感の評点を「5」とし、比較例1のコーヒーエキスの後味としてのコク感の評点を「2」として5段階で評価した。具体的な評価基準は以下のとおりである。
スコア5:後味としてのコク感が参考例1のコーヒーエキスと同等である
スコア4:後味としてのコク感が参考例1のコーヒーエキスよりわずかに弱い
スコア3:後味としてのコク感が参考例1のコーヒーエキスより弱いが、比較例1より強い
スコア2:後味としてのコク感が比較例1のコーヒーエキスと同等である
スコア1:後味としてのコク感が比較例1のコーヒーエキスより弱い
参考例1
L15.5の粉砕した焙煎コーヒー豆を、円筒状抽出搭(内径160mm×高さ660mm)6本に、1搭当たりの充填量が4.2kgとなるように充填した。次いで、180℃の熱水を1段目の抽出搭の下部から上部へ送液した。次いで1段目の抽出搭上部から排出されたコーヒー抽出液を、2段目の抽出搭下部から上部へ送液した。この操作を3段目以降の抽出塔についても繰り返し行い、6段目の抽出搭の上部から排出されたコーヒー抽出液を、速やかに冷却するとともに回収した。多段階抽出の通液条件は、焙煎コーヒー豆の全容量に対する空間速度(SV)が1[h-1]であり、1塔当たりの焙煎コーヒー豆の容量に対する通液倍数(BV)が11[v/v]であった。得られた抽出液をロータリーエバポレーター(N−1100V型、東京理科器械(株)社製)を用い、0.004MPa、50℃にて減圧加熱濃縮し、Brix10%のコーヒー組成物aを得た。このコーヒー組成物aを、−40℃で凍結した後、凍結乾燥機にて乾燥し、コーヒーパウダーを得た。コーヒーパウダーを、Brix1.75%になるように90℃の熱水で希釈してコーヒーエキスを調製した。得られたコーヒーエキスについて分析、及び官能評価を行った。その結果を表1に示す。
比較例1
円筒状のカラム(内径72mm×高さ100mm)に活性炭(白鷺WH2C LSS、日本エンバイロケミカルズ製、平均細孔半径10.5Å)60g加え、80℃、10分間殺菌した後に、上記Brix10%のコーヒー組成物a 2.0kgを、25℃、SV=4[h-1]、BV=12[v/v]の条件にて通液し、更にイオン交換水を25℃、SV=4[h-1]の条件にて通液し、カラム出口より最終的な採液量として2kgのコーヒー組成物を得た(乾燥固形分6.8質量%)。得られたコーヒー組成物を−40℃で凍結した後、凍結乾燥機にて乾燥し、希釈用コーヒー組成物Aを得た。
得られた希釈用コーヒー組成物AをBrix1.75%になるように90℃の熱水で希釈してコーヒーエキスを調製した。得られたコーヒーエキスについて分析、及び官能評価を行った。その結果を表1に示す。
参考例2
L29の粉砕した焙煎コーヒー豆を使用し、抽出温度を150℃に変更したこと以外は、参考例1と同様の操作によりBrix10%のコーヒー組成物bを得た。このコーヒー組成物bを、−40℃で凍結した後、参考例1と同様の方法で乾燥し、コーヒーパウダーを得た。コーヒーパウダーをBrix1.75%になるように90℃の熱水で希釈してコーヒーエキスを調製した。得られたコーヒーエキスについて分析、及び官能評価を行った。その結果を表1に示す。
比較例2
比較例1と同じ円筒状のカラムに活性炭(比較例1と同じ)120gを加え、80℃、10分間殺菌した後に、上記Brix10%のコーヒー組成物b 4.0kgを、25℃、SV=4[h-1]、BV=12[v/v]の条件にて通液し、更にイオン交換水を25℃、SV=4[h-1]の条件にて通液し、カラム出口より最終的な採液量として4kgのコーヒー組成物を得た(乾燥固形分7.0質量%)。得られたコーヒー組成物を比較例1と同様の方法で乾燥し、希釈用コーヒー組成物Bを得た。
得られた希釈用コーヒー組成物BをBrix1.75%になるように90℃の熱水で希釈してコーヒーエキスを調製した。得られたコーヒーエキスについて分析、及び官能評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例1
比較例1で得られた希釈用コーヒー組成物A 1.8gと、比較例2で得られた希釈用コーヒー組成物B 0.6gとを混合した後、90℃の熱水157.6gで溶解してコーヒーエキス(Brix1.75%)を調製した。得られたコーヒーエキスについて分析、及び官能評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例2
比較例1で得られた希釈用コーヒー組成物A 1.2gと、比較例2で得られた希釈用コーヒー組成物B 1.2gとを混合した後、90℃の熱水157.6gで溶解してコーヒーエキス(Brix1.75%)を調製した。得られたコーヒーエキスについて分析、及び官能評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例3
比較例1で得られた希釈用コーヒー組成物A 0.6gと、比較例2で得られた希釈用コーヒー組成物B 1.8gとを混合した後、90℃の熱水157.6gで溶解してコーヒーエキス(Brix1.75%)を調製した。得られたコーヒーエキスについて分析、及び官能評価を行った。その結果を表1に示す。
Figure 0006572003
表1から、L値が特定範囲内に制御された深焙煎コーヒー豆と浅焙煎コーヒー豆とから独立に多段階抽出し活性炭処理して得られた希釈用コーヒー組成物を混合することで、後味としてのコク感の付与された希釈用コーヒー組成物が得られることがわかる。

Claims (5)

  1. 第1の希釈用コーヒー組成物と、第2の希釈用コーヒー組成物とを混合する工程を含み、
    第1の希釈用コーヒー組成物は、L値が14〜20である第1の焙煎コーヒー豆を、加圧条件下、165〜200℃の温度にて多段階抽出して第1のコーヒー抽出液を得る第1の工程と、第1のコーヒー抽出液を10〜70℃の温度にて活性炭と接触させる第2の工程とを有する工程を経て得られるものであり、
    第2の希釈用コーヒー組成物は、L値が26〜35である第2の焙煎コーヒー豆を、加圧条件下、110〜160℃の温度にて多段階抽出して第2のコーヒー抽出液を得る第3の工程と、前記第2のコーヒー抽出液を10〜70℃の温度にて活性炭と接触させる第4の工程を有する工程を経て得られるものである、
    希釈用コーヒー組成物の製造方法。
  2. (A)第1の希釈用コーヒー組成物と、(B)第2の希釈用コーヒー組成物とを、固形分換算の質量比[(A)/(B)]として90/10〜10/90の割合で混合する、請求項1記載の希釈用コーヒー組成物の製造方法。
  3. 第1の工程及び/又は第3の工程において、1塔当たりの焙煎コーヒー豆の容量に対する通液倍数(BV)が0.5〜35[v/v]の条件にて多段階抽出する、請求項1又は2記載の希釈用コーヒー組成物の製造方法。
  4. 第1の工程及び/又は第3の工程において、焙煎コーヒー豆の全容量に対する空塔速度(SV)が0.01〜10[h-1]の条件にて多段階抽出する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の希釈用コーヒー組成物の製造方法。
  5. 第2の工程及び/又は第4の工程において、活性炭の平均細孔半径が30Å以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の希釈用コーヒー組成物の製造方法。
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