JP6481394B2 - MnドープのPZT系圧電体膜 - Google Patents
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Description
D =EC + − [(EC ++ EC −)/2] (1)
但し、EC +は分極が0μC/cm2のときの0kV/cmからの正側の電界値の絶対値をいい、EC −は分極が0μC/cm2のときの0kV/cmからの負側の電界値の絶対値をいう。
Pb1+y/2ZrxTi(1−x)O3+yMn3+ →
Pb1+y/2(ZrxTi(1−x)Mny)(O3−y/2V・・ y/2) (2)
本発明のMnドープのPZT系圧電体膜は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等のPb含有のペロブスカイト構造を有する複合酸化物にMn元素が添加(ドープ)された圧電体膜である。この圧電体膜は、MnドープのPZT圧電体膜、MnドープのPNbZT圧電体膜、MnドープのPLaZT圧電体膜等である。本明細書では、これらの圧電体膜をPZT系圧電体膜という。このMnドープのPZT系圧電体膜は、CSD法により形成され、Mnドープの複合酸化物からなる。そしてこの複合酸化物中のZrとTiの合計モル数を1モルとするとき、Mnのモル比が0.01〜0.045の範囲にあり、このPZT系圧電体膜が(100)面又は(001)面に優先的に結晶配向され、膜厚が0.8〜3μmである。優先配向とは、バルクのX線回折パターンと比較して任意のピーク強度が他のピーク強度より相対的に高い状態を指す。
D = EC + − [(EC ++ EC −)/2] (1)
MnドープのPZT系圧電体膜を形成するための組成物は、PZT系前駆体、主たる溶媒としてのジオール、液粘度調整剤としてのポリビニルピロリドン等を含む。組成物中に含まれるPZT系前駆体は、形成後のPZT系圧電体膜において上記複合酸化物等を構成するための原料であり、上記複合酸化物中のZrとTiの合計モル数を1モルとするとき、Mnのモル比が0.01〜0.045の範囲にある。Mnのモル比が0.01未満では、形成後のPZT系圧電体膜においてインプリント現象は起きず、自発分極現象が発現しない。また0.045を超えると、圧電体膜の圧電特性が低下する。
続いて、本発明のMnドープのPZT系圧電体膜形成用組成物の製造方法について説明する。先ず、上述したPb化合物等のPZT系前駆体をそれぞれ用意し、これらを上記所望の金属原子比を与える割合になるように秤量する。秤量した上記PZT系前駆体とジオールとを反応容器内に投入して混合し、好ましくは窒素雰囲気中、130〜175℃の温度で0.5〜3時間還流し反応させることで合成液を調製する。還流後は、常圧蒸留や減圧蒸留の方法により、脱溶媒させておくのが好ましい。また、アセチルアセトン等の安定化剤を添加する場合は、上述のPZT系前駆体、ジオールを反応容器内に投入する際、これらとともに投入して混合する。或いは、脱溶媒後の合成液にこれらを添加し、窒素雰囲気中、130〜175℃の温度で0.5〜5時間還流を行うのが好ましい。その後、室温下で放冷することにより、合成液を室温(25℃程度)まで冷却させる。冷却後、ジオール以外の溶媒を添加することにより、合成液中に含まれるPZT系前駆体の濃度を所望の濃度に調整する。PZT系前駆体、ジオールの使用量は、最終的に得られる組成物100質量%のPZT系前駆体の濃度が酸化物濃度で17〜35質量%、ジオールの濃度が16〜56質量%となるように調整する。
次に、本発明のMnドープのPZT系圧電体膜の形成方法について説明する。この形成方法は、ゾルゲル法による圧電体膜の形成方法であり、原料溶液に、上述のMnドープのPZT系圧電体膜形成用組成物を使用する。
先ず、反応容器に酢酸鉛三水和物(Pb源)とプロピレングリコール(ジオール)とを入れ、窒素雰囲気中、150℃の温度で1時間還流した後、この反応容器にチタンテトライソプロポキシド(Ti源)、ジルコニウムテトラブトキシド(Zr源)、2−エチルヘキサン酸マンガン(Mn源)及びアセチルアセトン(安定化剤)を更に加え、窒素雰囲気中、150℃の温度で1時間還流して反応させることにより、合成液を調製した。ここで、上記酢酸鉛三水和物(Pb源)、2−エチルヘキサン酸マンガン(Mn源)、ジルコニウムテトラブトキシド(Zr源)及びチタンテトライソプロポキシド(Ti源)の各PZT系前駆体は、液中の金属原子比(Pb:Mn:Zr:Ti)が1.11:0.01:0.52:0.48になるように秤量した。またプロピレングリコール(ジオール)は、調製後の組成物100質量%に対して37質量%となるように添加し、アセチルアセトン(安定化剤)は調製後の組成物に含まれるPZT系前駆体1モルに対して2モルとなる割合で添加した。次いで上記合成液100質量%中に占めるPZT系前駆体の濃度が、酸化物濃度で35質量%になるように減圧蒸留を行って不要な溶媒を除去した。ここで、合成液中に占めるPZT系前駆体の濃度における酸化物濃度とは、合成液に含まれる全ての金属原子が目的の酸化物になったと仮定して算出した、合成液100質量%に占める金属酸化物の濃度(酸化物換算値)をいう。
Mn源として2−エチルヘキサン酸マンガンの代わりにナフテン酸マンガンを使用した。酢酸鉛三水和物(Pb源)、ナフテン酸マンガン(Mn源)、ジルコニウムテトラブトキシド(Zr源)及びチタンテトライソプロポキシド(Ti源)の各PZT系前駆体を、液中の金属原子比(Pb:Mn:Zr:Ti)が1.12:0.02:0.52:0.48になるように秤量した。組成物100質量%中に占めるPZT系前駆体の濃度が、酸化物濃度で、25質量%になるように調整した。前記以外は、実施例1と同様にして組成物を調製し、実施例1と同じ(100)面の配向度が96%のPZT配向制御層上に、実施例1と同様の手法で塗布、仮焼、焼成を繰り返すことにより圧電体膜を形成した。なお、形成後の圧電体膜は、Pb1.02Mn0.02Zr0.52Ti0.48O3で示される組成の膜であった。
Mn源として2−エチルヘキサン酸マンガンの代わりに酢酸マンガンを使用した。酢酸鉛三水和物(Pb源)、酢酸マンガン(Mn源)、ジルコニウムテトラブトキシド(Zr源)及びチタンテトライソプロポキシド(Ti源)の各PZT系前駆体を、液中の金属原子比(Pb:Mn:Zr:Ti)が1.14:0.042:0.55:0.45になるように秤量した。組成物100質量%中に占めるPZT系前駆体の濃度が、酸化物濃度で、25質量%になるように調整した。また(100)面の配向度が96%の配向制御層上にPZT圧電体膜を形成した。前記以外は、実施例1と同様にして組成物を調製し、実施例1と同様の手法で塗布、仮焼、焼成を繰り返すことにより圧電体膜を形成した。なお、本実施例においては積層数が5層となるため、最後の1層は200nm厚さで焼成を行った。なお、形成後の圧電体膜は、Pb1.03Mn0.042Zr0.52Ti0.48O3で示される組成の膜であった。
Mn源として2−エチルヘキサン酸マンガンの代わりにアセチルアセトンマンガンを使用した。酢酸鉛三水和物(Pb源)、アセチルアセトンマンガン(Mn源)、ジルコニウムテトラブトキシド(Zr源)及びチタンテトライソプロポキシド(Ti源)の各PZT系前駆体を、液中の金属原子比(Pb:Mn:Zr:Ti)が1.12:0.02:0.45:0.55になるように秤量した。組成物100質量%中に占めるPZT系前駆体の濃度が、酸化物濃度で、25質量%になるように調整した。また(100)面の配向度が96%の配向制御層上にPZT配向制御層を形成した。前記以外は、実施例1と同様にして組成物を調製し、実施例1と同様の手法で塗布、仮焼、焼成を繰り返すことにより圧電体膜を形成した。なお、形成後の圧電体膜は、Pb1.02Mn0.02Zr0.45Ti0.55O3で示される組成の膜であった。
Mn源として2−エチルヘキサン酸マンガンの代わりにアセチルアセトンマンガンを使用した。酢酸鉛三水和物(Pb源)、アセチルアセトンマンガン(Mn源)、ジルコニウムテトラブトキシド(Zr源)及びチタンテトライソプロポキシド(Ti源)の各PZT系前駆体を、液中の金属原子比(Pb:Mn:Zr:Ti)が1.12:0.02:0.60:0.40になるように秤量した。組成物100質量%中に占めるPZT系前駆体の濃度が、酸化物濃度で、25質量%になるように調整した。また(100)面の配向度が96%のPZT配向制御層上に圧電体膜を形成した。前記以外は、実施例1と同様にして組成物を調製し、実施例1と同様の手法で塗布、仮焼、焼成を繰り返すことにより圧電体膜を形成した。なお、形成後の圧電体膜は、Pb1.02Mn0.02Zr0.60Ti0.40O3で示される組成の膜であった。
Mn源として2−エチルヘキサン酸マンガンの代わりにアセチルアセトンマンガンを使用した。酢酸鉛三水和物(Pb源)、アセチルアセトンマンガン(Mn源)、ジルコニウムテトラブトキシド(Zr源)及びチタンテトライソプロポキシド(Ti源)の各PZT系前駆体を、液中の金属原子比(Pb:Mn:Zr:Ti)が1.12:0.02:0.52:0.48になるように秤量した。組成物100質量%中に占めるPZT系前駆体の濃度が、酸化物濃度で、25質量%になるように調整した。また前述した第1の方法により(100)面の配向度が76%の配向制御層上に圧電体膜を形成した。前記以外は、実施例1と同様にして組成物を調製し、実施例1と同様の手法で塗布、仮焼、焼成を繰り返すことにより圧電体膜を形成した。なお、形成後の圧電体膜は、Pb1.02Mn0.02Zr0.52Ti0.48O3で示される組成の膜であった。
Mn源として2−エチルヘキサン酸マンガンの代わりにアセチルアセトンマンガンを使用した。酢酸鉛三水和物(Pb源)、アセチルアセトンマンガン(Mn源)、ジルコニウムテトラブトキシド(Zr源)及びチタンテトライソプロポキシド(Ti源)の各PZT系前駆体を、液中の金属原子比(Pb:Mn:Zr:Ti)が1.15:0.005:0.52:0.48になるように秤量した。組成物100質量%中に占めるPZT系前駆体の濃度が、酸化物濃度で、25質量%になるように調整した。前記以外は、実施例1と同様にして組成物を調製し、実施例1と同じ(100)面の配向度が96%のPZT配向制御層上に実施例1と同様の手法で塗布、仮焼、焼成を繰り返すことにより圧電体膜を形成した。なお、形成後の圧電体膜は、Pb1.02Mn0.005Zr0.52Ti0.48O3で示される組成の膜であった。
Mn源として2−エチルヘキサン酸マンガンの代わりにアセチルアセトンマンガンを使用した。酢酸鉛三水和物(Pb源)、アセチルアセトンマンガン(Mn源)、ジルコニウムテトラブトキシド(Zr源)及びチタンテトライソプロポキシド(Ti源)の各PZT系前駆体を、液中の金属原子比(Pb:Mn:Zr:Ti)が1.12:0.02:0.52:0.48になるように秤量した。組成物100質量%中に占めるPZT系前駆体の濃度が、酸化物濃度で、25質量%になるように調整した。また(100)面の配向度が90%の配向制御層上に圧電体膜を形成した。前記以外は、実施例1と同様にして組成物を調製し、実施例1と同様の手法で塗布、仮焼、焼成を行い圧電体膜を形成した。なお、形成後の圧電体膜は、Pb1.01Mn0.02Zr0.52Ti0.48O3で示される組成の膜であった。
Mn源として2−エチルヘキサン酸マンガンの代わりにアセチルアセトンマンガンを使用した。酢酸鉛三水和物(Pb源)、アセチルアセトンマンガン(Mn源)、ジルコニウムテトラブトキシド(Zr源)及びチタンテトライソプロポキシド(Ti源)の各PZT系前駆体を、液中の金属原子比(Pb:Mn:Zr:Ti)が1.11:0.02:0.52:0.48になるように秤量した。組成物100質量%中に占めるPZT系前駆体の濃度が、酸化物濃度で、25質量%になるように調整した。また前述した第2の方法により(110)/(101)面の配向度が90%であり(100)/(001)面の配向度が0%の配向制御層上に圧電体膜を形成した。前記以外は、実施例1と同様にして組成物を調製し、実施例1と同様の手法で塗布、仮焼、焼成を繰り返すことにより圧電体膜を形成した。なお、形成後の圧電体膜は、Pb1.02Mn0.02Zr0.52Ti0.48O3で示される組成の膜であった。
実施例4と同じPb源、Mn源、Zr源、Ti源の各PZT系前駆体を、液中の金属原子比(Pb:Mn:Zr:Ti)が1.15:0.05:0.45:0.55になるように秤量した。これ以外は実施例4と同様にして組成物を調製し、実施例1と同様の手法で塗布、仮焼、焼成を繰り返すことにより圧電体膜を形成した。なお、形成後の圧電体膜は、Pb1.06Mn0.05Zr0.45Ti0.55O3で示される組成の膜であった。
実施例1と同様の手法で組成物を合成した。酢酸鉛三水和物(Pb源)、アセチルアセトンマンガン(Mn源)、ニオブペンタエトキシド(Nb源)、ジルコニウムテトラブトキシド(Zr源)及びチタンテトライソプロポキシド(Ti源)の各PZT系前駆体を、液中の金属原子比(Pb:Mn:Nb:Zr:Ti)が1.14:0.02:0.01:0.52:0.48になるように秤量した。組成物100質量%中に占めるPZT系前駆体の濃度が、酸化物濃度で、25質量%になるように調整した。また(100)/(001)面の配向度が96%のPZT配向制御層上に圧電体膜を形成した。前記以外は、実施例1と同様にして組成物を調製し、実施例1と同様の手法で塗布、仮焼、焼成を繰り返すことにより圧電体膜を形成した。なお、形成後の圧電体膜は、Pb1.02Mn0.02Nb0.01Zr0.52Ti0.48O3で示される組成の膜であった。
実施例1と同様の手法で組成物を合成した。酢酸鉛三水和物(Pb源)、アセチルアセトンマンガン(Mn源)、ニオブペンタエトキシド(Nb源)、ジルコニウムテトラブトキシド(Zr源)及びチタンテトライソプロポキシド(Ti源)の各PZT系前駆体を、液中の金属原子比(Pb:Mn:Nb:Zr:Ti)が1.14:0.02:0.01:0.40:0.60になるように秤量した。組成物100質量%中に占めるPZT系前駆体の濃度が、酸化物濃度で、25質量%になるように調整した。また(100)/(001)面の配向度が96%の配向制御層上に圧電体膜を形成した。前記以外は、実施例1と同様にして組成物を調製し、実施例1と同様の手法で塗布、仮焼、焼成を繰り返すことにより圧電体膜を形成した。なお、形成後の圧電体膜は、Pb1.02Mn0.02Nb0.01Zr0.40Ti0.60O3で示される組成の膜であった。
実施例1と同様の手法で組成物を合成した。酢酸鉛三水和物(Pb源)、アセチルアセトンマンガン(Mn源)、酢酸ランタン1.5水和物(La源)、ジルコニウムテトラブトキシド(Zr源)及びチタンテトライソプロポキシド(Ti源)の各PZT系前駆体を、液中の金属原子比(Pb:La:Mn:Zr:Ti)が1.14:0.01:0.02:0.55:0.45になるように秤量した。組成物100質量%中に占めるPZT系前駆体の濃度が、酸化物濃度で、25質量%になるように調整した。また(100)/(001)面の配向度が96%のPZT配向制御層上に圧電体膜を形成した。前記以外は、実施例1と同様にして組成物を調製し、実施例1と同様の手法で塗布、仮焼、焼成を繰り返すことにより圧電体膜を形成した。なお、形成後の圧電体膜は、Pb1.01La0.01Mn0.02Zr0.55Ti0.45O3で示される組成の膜であった。
実施例1と同様の手法で組成物を合成した。酢酸鉛三水和物(Pb源)、アセチルアセトンマンガン(Mn源)、酢酸ランタン1.5水和物(La源)、ジルコニウムテトラブトキシド(Zr源)及びチタンテトライソプロポキシド(Ti源)の各PZT系前駆体を、液中の金属原子比(Pb:La:Mn:Zr:Ti)が1.15:0.02:0.02:0.50:0.50になるように秤量した。組成物100質量%中に占めるPZT系前駆体の濃度が、酸化物濃度で、25質量%になるように調整した。また(100)/(001)面の配向度が96%のPZT配向制御層上に圧電体膜を形成した。前記以外は、実施例1と同様にして組成物を調製し、実施例1と同様の手法で塗布、仮焼、焼成を繰り返すことにより圧電体膜を形成した。なお、形成後の圧電体膜は、Pb1.011La0.02Mn0.02Zr0.50Ti0.50O3で示される組成の膜であった。
実施例1と同様の手法で組成物を合成した。酢酸鉛三水和物(Pb源)、アセチルアセトンマンガン(Mn源)、酢酸ランタン1.5水和物(La源)、ジルコニウムテトラブトキシド(Zr源)及びチタンテトライソプロポキシド(Ti源)の各PZT系前駆体を、液中の金属原子比(Pb:La:Mn:Zr:Ti)が1.14:0.01:0.02:0.52:0.48になるように秤量した。組成物100質量%中に占めるPZT系前駆体の濃度が、酸化物濃度で、25質量%になるように調整した。また(100)/(001)面の配向度が96%のPZT配向制御層上に圧電体膜を形成した。前記以外は、実施例1と同様にして組成物を調製し、実施例1と同様の手法で塗布、仮焼、焼成を繰り返すことにより圧電体膜を形成した。なお、形成後の圧電体膜は、Pb1.01La0.01Mn0.02Zr0.52Ti0.48O3で示される組成の膜であった。
実施例1〜11及び比較例1〜4で形成した圧電体膜について、膜厚、配向制御層の配向度、圧電定数、圧電体膜の配向度及び分極−電界特性のヒステリシスループのずれ(以下、単に「ヒステリシスのずれ」という。)をそれぞれ評価した。実施例1〜11及び比較例1〜4で形成した圧電体膜の組成と膜厚の結果を表1に示す。また配向制御層の配向度、圧電定数、圧電体膜の配向度及びヒステリシスのずれの結果を以下の表2に示す。
(100)/(001)配向度=(100)/(001)面の強度/{(100)/(001)面の強度+(110)/(101)面の強度+(111)面の強度} (3)
求めた。
表1から明らかなように、実施例1〜11においては成膜後700℃でDRA処理を行ったにもかかわらず少なくとも8.8kV/cmのヒステリシスのずれが発生しており膜中に強い内部バイアスが存在することが確認できた。一方、実施例2、実施例6、比較例3を比較すると(100)/(001)配向度の劣る実施例6、比較例3ではヒステリシスのずれは小さくなった。この結果より、より大きなヒステリシスのずれを得るには高い配向度が必要で有ることが分かった。
実施例1〜11と比較例1を比較すると膜中のMn含有量がZr、Tiの合計モル数を1とした時に対して0.01未満(比較例1)であると十分なヒステリシスのずれは得られず、Mnの添加量は0.01以上であることが必要であることが分かった。実施例7〜11ではMnとLa、Nbを共ドープしているが、Mnの添加量を0.01以上にすると、実施例1〜6と同様に大きなヒステリシスのずれを有するPMnZT系膜を得ることができた。この結果より、PMnZT膜に他の元素を添加してもヒステリシスのずれが大きく、分極の温度安定性に優れるPMnZT系膜が得られることが分かった。
実施例1〜11と比較例4を比較すると膜中のMn含有量がZr、Tiの合計モル数を1とした時に対して0.045を超える(比較例4)と圧電定数が極端に低下し、圧電体として機能に劣るため、Mnの添加量は0.045以下であることが必要であることが分かった。実施例7〜11ではMnとLa、Nbを共ドープしているが、Mnの添加量を0.0045以下にすると、実施例1〜6と同様に圧電定数は低下せず、圧電体として機能するPMnZT系膜が得られることが分かった。
実施例1〜11と比較例2を比較すると圧電体膜の膜厚が0.8μm未満の場合(比較例2)、圧電定数が極端に小さくなり、圧電体として機能に劣るため、圧電体膜の膜厚は0.8μm以上であることが必要であることが分かった。実施例7〜11ではMnとLa、Nbを共ドープしているが、圧電体膜の膜厚を0.8μm以上にすると、実施例1〜6と同様に圧電定数は低下せず、圧電体として機能するPMnZT系膜が得られることが分かった。
Claims (3)
- Mnドープの複合酸化物からなるCSD法により形成されたPZT系圧電体膜であって、前記複合酸化物中のZrとTiの合計モル数を1モルとするとき、Mnのモル比が0.01〜0.042の範囲にあり、前記PZT系圧電体膜が(100)面又は(001)面に優先的に結晶配向され、膜厚が0.8〜3μmであることを特徴とするMnドープのPZT系圧電体膜。
- X線回折による(100)面又は(001)面の配向度が95%以上である請求項1記載のMnドープのPZT系圧電体膜。
- 下記の式(1)で求められる分極−電界特性のヒステリシスループのずれDが少なくとも8.8kV/cmである請求項1又は2記載のMnドープのPZT系圧電体膜。
D = EC + − [(EC ++ EC −)/2] (1)
但し、EC +は分極が0μC/cm2のときの0kV/cmからの正側の電界値の絶対値及びEC −は分極が0μC/cm2のときの0kV/cmからの負側の電界値の絶対値をいう。
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