JP6481394B2 - MnドープのPZT系圧電体膜 - Google Patents

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Description

本発明は、ジャイロセンサ、赤外線センサ、圧電センサ、インクジェットヘッド、オートフォーカス等に用いられるMnがドープされたPZT系圧電体膜に関する。更に詳しくは上記センサの用途に好適な分極処理後の安定性に優れたMnドープのPZT系圧電体膜に関するものである。
従来より、圧電MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイス用途のPZT系膜を作製する方法として、ゾルゲル法に代表されるCSD(Chemical Solution Deposition)法とスパッタリング法が良く知られている。一般的に、CSD法で作製したPZT系膜は絶縁破壊耐圧が高く、インクジェットヘッドなどの高電圧駆動デバイスに適している。一方、スパッタリング法で作製したPZT系膜は成膜時の打ち込み効果により圧縮応力を有することが多く、(001)面に配向させることにより低電圧駆動に優れた膜を形成することができる。また、成膜法を工夫することにより成膜直後から分極方向を揃える自発分極現象を発現させることも可能である。
スパッタリング法により、ジャイロセンサ等のセンサ素子として、PZTなどの強誘電体薄膜を作製した場合、これをパッケージングした後でリフロー工程でのはんだ付けのための熱処理によって分極状態が失われることが懸念されるけれども、自発分極現象を有する膜では膜中に内部バイアスが存在するため、この熱処理によって分極状態が失われることがなく、有利である。
一方、CSD法によりPZTなどの強誘電体薄膜を作製した場合には、作製された強誘電体薄膜はその成膜上の性質から、特性再現性やウエハ面内の特性均一性に優れる。またCSD法は真空を使用しないため装置コストがスパッタリング法と比較して大幅に低くなる。このようなメリットを生かすため、CSD法でも温度特性に優れ分極状態が失われることがないPZT膜が求められている。
従来、CSD法でもPZT膜において自発分極現象が発現することが開示されている(非特許文献1参照。)。この現象は、薄膜レベルでは基板界面での格子の不整合による歪みの影響により膜が歪み、自発分極現象が誘発されるためであるとこの文献では説明している。
なお、後述する下部電極上に結晶配向を(100)面にした配向制御層を形成する強誘電体薄膜の製造方法については、特許文献1に記載されている。また後述する下部電極上に結晶配向を(110)面にした配向制御層を形成する強誘電体薄膜の製造方法については、特許文献2に記載されている。
特開2012−256850(請求項1〜3) 特開2012−256851(請求項1〜3)
A. L. Kholkin, K. G. Brooks, D. V. Taylor, S. Hiboux and N. Setter : "Self-Polarization Effect in Pb(Zr,Ti)O3 Thin Films", Integrated Ferroelectrics, 1998, vol. 22, pp. 525-533.
しかしながら、非特許文献1には、CSD法で成膜したときに、PZT膜の膜厚が増大するに従って、自発分極現象が消滅することが示されている。具体的には、膜厚が0.7μm以下のPZT膜では分極(polarization)は顕著に変化しないが、0.7μmを超えると、歪みの影響が除去されるため自発分極現象は消失し、分極は非常に小さくなることが説明されている。このため、CSD法で実用可能な0.8μm厚さ以上の自発分極現象を有する膜を作製するには、まだ解決すべき課題があった。
本発明の目的は、CSD法により形成された、膜厚が0.8μm以上であり、かつ分極処理後の安定性に優れ、圧電特性が低下しないMnドープのPZT系圧電体膜を提供することにある。
本発明者らは、PZT系材料にMnを添加し、膜の(100)面又は(001)面の結晶配向度を高めることにより、膜厚が0.8μm以上であっても、実用上十分な自発分極現象を有するPZT系膜が得られることを知見し、本発明に到達した。
本発明の第1の観点は、Mnドープの複合酸化物からなるCSD法により形成されたPZT系圧電体膜であって、前記複合酸化物中のZrとTiの合計モル数を1モルとするとき、Mnのモル比が0.01〜0.042の範囲にあり、前記PZT系圧電体膜が(100)面又は(001)面に優先的に結晶配向され、膜厚が0.8〜3μmであることを特徴とするMnドープのPZT系圧電体膜である。
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、X線回折による(100)面又は(001)面の配向度が95%以上であるMnドープのPZT系圧電体膜である。
本発明の第3の観点は、第1又は第2の観点に基づく発明であって、下記の式(1)で求められる分極−電界特性のヒステリシスループのずれDが少なくとも8.8kV/cmであるMnドープのPZT系圧電体膜である。
D =E − [(E + E )/2] (1)
但し、E は分極が0μC/cmのときの0kV/cmからの正側の電界値の絶対値をいい、E は分極が0μC/cmのときの0kV/cmからの負側の電界値の絶対値をいう。
本発明の第1の観点のMnドープのPZT系圧電体膜では、Pb、Zr及びTiを含有するABOで表されるペロブスカイト構造のPZT材料において、Mnを添加することにより、BサイトイオンであるTi、Zrの一部がMnで置換されて自発分極現象が発現し、これにより膜が0.8〜3μmであっても、分極状態の温度安定性に優れ、この膜をパッケージングした後のリフロー工程でのはんだ付けの熱処理によって分極状態が消失するのを抑制することができる。この具体的な技術的理由は、第一に下記の式(2)に示されるように酸素欠損が生成され、これによりドメインウォールがピニングされることにより自発分極現象が発現する。
Pb1+y/2ZrTi(1−x)O+yMn3+
Pb1+y/2(ZrTi(1−x)Mn)(O3−y/2V・・ y/2) (2)
第二にCSD法でMnをドープすると、Mnイオンの濃度が膜の下面側から膜の上面側に向かう膜厚方向に減少するMnの組成傾斜が形成され、酸素欠損の傾斜も同時に生成される。酸素欠陥の濃度傾斜が膜中にバイアスを生み出し自発分極現象がより確実に発現すると推測される。
第三に(100)面又は(001)面に優先的に結晶配向されているため、成膜直後から上向きに分極方向が揃っているため、自発分極現象が保たれ、分極の安定性を高めることができる。またMnをドープしても圧電体膜の圧電特性が低下しない。
本発明の第2の観点のMnドープのPZT系圧電体膜では、X線回折による(100)面又は(001)面の配向度が95%以上であるため、更に分極の安定性が高めることができる。
本発明の第3の観点のMnドープのPZT系圧電体膜では、成膜直後からヒステリシスループのずれDを有し、Dが少なくとも8.8kV/cmであるため、分極状態の安定した膜が得られる。
本発明のMnをドープしたとき(実線で示す)と、Mnをドープしないとき(破線で示す)の各圧電体膜のヒステリシス曲線を示す図である。 本発明実施形態のMnドープのPZT系圧電体膜に電圧を印加したときの圧電体膜の挙動を示す模式図である。
次に本発明を実施するための形態を説明する。
〔MnドープのPZT系圧電体膜〕
本発明のMnドープのPZT系圧電体膜は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等のPb含有のペロブスカイト構造を有する複合酸化物にMn元素が添加(ドープ)された圧電体膜である。この圧電体膜は、MnドープのPZT圧電体膜、MnドープのPNbZT圧電体膜、MnドープのPLaZT圧電体膜等である。本明細書では、これらの圧電体膜をPZT系圧電体膜という。このMnドープのPZT系圧電体膜は、CSD法により形成され、Mnドープの複合酸化物からなる。そしてこの複合酸化物中のZrとTiの合計モル数を1モルとするとき、Mnのモル比が0.01〜0.045の範囲にあり、このPZT系圧電体膜が(100)面又は(001)面に優先的に結晶配向され、膜厚が0.8〜3μmである。優先配向とは、バルクのX線回折パターンと比較して任意のピーク強度が他のピーク強度より相対的に高い状態を指す。
Mnをドープしない、ゾルゲル法等の湿式塗工法で成膜したPZT系膜の場合、成膜直後は圧電特性を示さず、分極処理が必要である。一方、Mnをドープし、(100)面又は(001)面に優先的に結晶配向された膜では、たて軸が分極量であって、よこ軸が電界である分極−電界特性のヒステリシスループが正電界側にシフトするインプリント現象を有し、膜全体として成膜直後から分極方向が上向きに揃った膜になる。また、このような膜では、Mnドープによるインプリント現象により分極の安定性に優れるとともに、圧電特性が低下せず、圧電体としてより好適な膜になる。膜が(100)面又は(001)面に優先的に結晶配向されない場合には、インプリント現象が起きず、自発分極現象が発現しない。また膜厚が0.8μm未満では十分な変位量が得られない不具合があり、3μmを超えると成膜に時間を有し生産性が低下する不具合がある。好ましい膜厚は1〜2μmである。
MnドープのPZT系圧電体膜では、下記の式(1)に示す分極−電界特性のヒステリシスループのずれDが少なくとも8.8kV/cmであることが好ましい。ずれDが8.8kV/cm未満である場合には、十分に分極状態が揃っておらず十分な圧電特性が発現しない。またずれDは大きい方が好ましいが、現実的に達成し得るヒステリシスループのずれは22kV/cmである。図1の実線で示すヒステリシスループは、本発明のMnをドープしたPZT系圧電体膜のものであり、図1の破線で示すヒステリシスループは、MnをドープしないPZT系圧電体膜のものである。図1において、E は分極が0μC/cmのときの0kV/cmからの正側の電界値の絶対値であり、E は分極が0μC/cmのときの0kV/cmからの負側の電界値の絶対値である。
D = E − [(E + E )/2] (1)
〔MnドープのPZT系圧電体膜形成用組成物〕
MnドープのPZT系圧電体膜を形成するための組成物は、PZT系前駆体、主たる溶媒としてのジオール、液粘度調整剤としてのポリビニルピロリドン等を含む。組成物中に含まれるPZT系前駆体は、形成後のPZT系圧電体膜において上記複合酸化物等を構成するための原料であり、上記複合酸化物中のZrとTiの合計モル数を1モルとするとき、Mnのモル比が0.01〜0.045の範囲にある。Mnのモル比が0.01未満では、形成後のPZT系圧電体膜においてインプリント現象は起きず、自発分極現象が発現しない。また0.045を超えると、圧電体膜の圧電特性が低下する。
より具体的には、PZT系圧電体膜形成用組成物がPMnZT圧電体膜形成用組成物である場合、組成物中の金属原子比(Pb:Mn:Zr:Ti)が(1.00〜1.20):(0.01〜0.045):(0.40〜0.55):(0.45〜0.60)を満たし、かつZrとTiの金属原子比の合計割合が1となる割合で含まれる。これにより、形成後の圧電体膜において、上記PZT圧電体膜の一般式をPbMnZrTi1−yで示すとき、一般式中のx、y及びzが0.01≦x≦0.045、0.40≦y≦0.55及び0.95≦z≦1.10を満たす所望の組成に制御することができる。
PZT系圧電体膜形成用組成物がPMnNbZT圧電体膜形成用組成物である場合、組成物中の金属原子比(Pb:Mn:Nb:Zr:Ti)が(1.00〜1.20):(0.01〜0.045):(0.01〜0.045):(0.40〜0.55):(0.45〜0.60)を満たし、かつZrとTiとMnとNbの金属原子比の合計割合が1となる割合で含まれる。これにより、形成後の圧電体膜において、上記PNbZT圧電体膜の一般式をPbMnNb1−xZrTi1−yで示すとき、一般式中のx、y及びzが0.01≦x≦0.045、0.40≦y≦0.55及び0.95≦z≦1.10を満たす所望の組成に制御することができる。
PZT系圧電体膜形成用組成物がPMnLaZT圧電体膜形成用組成物である場合、組成物中の金属原子比(Pb:La:Mn:Zr:Ti)が(1.00〜1.20):(0.01〜0.05):(0.01〜0.045):(0.40〜0.55):(0.45〜0.60)を満たし、かつPbとLaの金属原子比の合計割合が1となる割合で含まれる。これにより、形成後の圧電体膜において、上記PLaZT圧電体膜の一般式をPbLaMnZrTi1−yで示すとき、一般式中のx、y、z及びtが0.01≦x≦0.045、0.40≦y≦0.55、0.01≦t≦0.05及び1.00≦z≦1.20を満たす所望の組成に制御することができる。
PZT系前駆体は、Pb、Mn、Zr及びTiの各金属原子、Pb、Mn、Nb、Zr及びTiの各金属原子、又はPb、Mn、La、Zr及びTiの各金属原子に、有機基がその酸素又は窒素原子を介して結合している化合物が好適である。例えば、金属アルコキシド、金属ジオール錯体、金属トリオール錯体、金属カルボン酸塩、金属β−ジケトネート錯体、金属β−ジケトエステル錯体、金属β−イミノケト錯体、及び金属アミノ錯体からなる群より選ばれた1種又は2種以上が例示される。特に好適な化合物は、金属アルコキシド、その部分加水分解物、有機酸塩である。
具体的には、Pb化合物としては、酢酸鉛:Pb(OAc)等の酢酸塩や、鉛ジイソプロポキシド:Pb(OiPr)等のアルコキシドが挙げられる。またMn化合物としては、2−エチルヘキサン酸マンガン、ナフテン酸マンガン、酢酸マンガン等の有機酸塩や、アセチルアセトンマンガン等の金属β−ジケトネート錯体が挙げられる。またTi化合物としては、チタンテトラエトキシド:Ti(OEt)、チタンテトライソプロポキシド:Ti(OiPr)、チタンテトラn−ブトキシド:Ti(OnBu)、チタンテトライソブトキシド:Ti(OiBu)、チタンテトラt−ブトキシド:Ti(OtBu)、チタンジメトキシジイソプロポキシド:Ti(OMe)(OiPr)等のアルコキシドが挙げられる。またZr化合物としては、上記Ti化合物と同様のアルコキシド類が好ましい。更にNb化合物としては、ニオブペンタエトキシド、2−エチルヘキサン酸ニオブ等のアルコキシドや有機金属酸塩が挙げられ、La化合物としては、酢酸ランタン1.5水和物等の有機金属酸塩が挙げられる。金属アルコキシドはそのまま使用してもよいが、分解を促進させるためにその部分加水分解物を使用してもよい。
上記Pb化合物、Mn化合物、Ti化合物及びZr化合物、又はNb化合物若しくはLa化合物は、上述の所望の金属原子比を与えるような割合で組成物中に含まれる。ここで、組成物中のMnの割合を上記範囲になるよう制御する理由は、組成物中のMnの割合が下限値未満では、成膜後の膜組成を示す上記一般式中のxが下限値未満となり、前述したように、形成後のPZT系圧電体膜においてインプリント現象は起きず、自発分極現象が発現しない。一方、組成物中のMnの割合が上限値を超えると、成膜後の膜組成を示す上記一般式中のxが上限値を越え、前述したように圧電体膜の圧電特性が低下するからである。また、組成物中のZr、Tiの割合を上記範囲になるよう制御する理由は、組成物中のZr、Tiの割合が上記範囲から外れると、成膜後の膜組成を示す上記一般式中のyが上述の所望の範囲から外れ、圧電体膜の圧電定数を十分に向上させることができないからである。また、組成物中のPbの割合を上記範囲になるよう制御する理由は、組成物中のPbの割合が下限値未満では、成膜後の膜組成を示す上記一般式中のzが下限値未満となり、膜中にパイロクロア相が多量に含まれてしまい、圧電特性等の電気特性を著しく低下させるからである。一方、組成物中のPbの割合が上限値を越えると、成膜後の膜組成を示す上記一般式中のzが上限値を越え、焼成後の膜中に多量にPbOが残留し、リーク電流が増大して膜の電気的信頼性が低下するからである。即ち、膜中に過剰な鉛が残りやすくなり、リーク特性や絶縁特性を劣化させるからである。
なお、PZT系圧電体膜形成用組成物がPZT圧電体膜形成用組成物である場合、組成物中の金属原子比(Pb:Mn:Zr:Ti)は、上述の範囲のうち、(1.05〜1.15):(0.02〜0.042):(0.45〜0.55):(0.45〜0.55)を満たし、かつZrとTiの金属原子比の合計割合が1となる割合とするのが好ましい。
PZT系圧電体膜形成用組成物がPNbZT圧電体膜形成用組成物である場合、組成物中の金属原子比(Pb:Mn:Nb:Zr:Ti)が(1.00〜1.20):(0.01〜0.045):(0.01〜0.045):(0.40〜0.55):(0.45〜0.60)を満たし、かつZrとTiとMnとNbの金属原子比の合計割合が1とするのが好ましい。
PZT系圧電体膜形成用組成物がPLaZT圧電体膜形成用組成物である場合、組成物中の金属原子比(Pb:La:Mn:Zr:Ti)が(1.00〜1.20):(0.01〜0.045):(0.01〜0.045):(0.40〜0.55):(0.45〜0.60)を満たし、かつPbとLaの金属原子比の合計割合が1となる割合とすることが好ましい。なお、本明細書において、圧電定数の大小(高低)とは、圧電定数の絶対値の大小(高低)をいう。
組成物100質量%中に占める上記PZT系前駆体の濃度は、酸化物濃度で17〜35質量%である。PZT系前駆体の濃度をこの範囲に限定したのは、下限値未満では十分な膜厚を得ることができず、一方、上限値を超えるとクラックが発生しやすくなるからである。このうち、組成物100質量%中に占めるPZT系前駆体の濃度は、酸化物濃度で20〜25質量%とするのが好ましい。なお、組成物中に占めるPZT系前駆体の濃度における酸化物濃度とは、組成物に含まれる全ての金属原子が目的の酸化物になったと仮定して算出した、組成物100質量%に占める金属酸化物の濃度をいう。
組成物中に含まれる主たる溶媒のジオールは、プロピレングリコール、エチレングリコール又は1,3―プロパンジオール等が挙げられる。このうち、プロピレングリコール又はエチレングリコールが好ましい。ジオールを溶媒成分とすることにより、組成物の保存安定性を高めることができる。
組成物100質量%中の上記ジオールの割合は、16〜56質量%である。ジオールの割合をこの範囲に限定したのは、下限値未満では沈殿が生成する不具合が生じ、一方、上限値を超えると厚膜化したときにボイド(マイクロポア)が生じやすくなるからである。このうち、ジオールの割合は、28〜42質量%とするのが好ましい。
また、他の溶媒として、カルボン酸、アルコール(例えば、エタノールや1−ブタノール、ジオール以外の多価アルコール)、エステル、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル類(例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル)、シクロアルカン類(例えば、シクロヘキサン、シクロヘキサノール)、芳香族系(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン)、その他テトラヒドロフラン等が挙げられ、ジオールにこれらの1種又は2種以上を更に添加させた混合溶媒とすることもできる。
カルボン酸としては、具体的には、n−酪酸、α−メチル酪酸、i−吉草酸、2−エチル酪酸、2,2−ジメチル酪酸、3,3−ジメチル酪酸、2,3−ジメチル酪酸、3−メチルペンタン酸、4−メチルペンタン酸、2−エチルペンタン酸、3−エチルペンタン酸、2,2−ジメチルペンタン酸、3,3−ジメチルペンタン酸、2,3−ジメチルペンタン酸、2−エチルヘキサン酸、3−エチルヘキサン酸を用いるのが好ましい。
また、エステルとしては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸tert−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−アミル、酢酸sec−アミル、酢酸tert−アミル、酢酸イソアミルを用いるのが好ましく、アルコールとしては、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソ−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メトキシエタノールを用いるのが好適である。
また、組成物中に含まれる液粘度調整剤は、形成後の圧電体膜のクラックの抑制効果が大きい。この液粘度調整剤としては、高分子化合物であるポリビニルピロリドン(PVP)が相対粘度を調整するのに好適である。本発明の組成物に含まれるポリビニルピロリドンのk値は、30〜90であることが好ましい。上記ポリビニルピロリドンの割合が上記PZT系前駆体1モルに対してモノマー換算で0.005〜0.25モルである。
また、本発明の組成物中には、炭素数6以上12以下の直鎖状モノアルコールを添加することが好ましく、その添加割合は組成物100質量%中に0.6〜10質量%であることが好ましい。組成物中に適量の直鎖状モノアルコールを含ませると、仮焼時に効果的に有機物を膜外に放出可能なゲル膜を形成でき、膜厚が100nmを超えても緻密で高特性のMnドープのPZT系圧電体膜が得られる。
また、上記成分以外に、必要に応じて安定化剤として、β−ジケトン類(例えば、アセチルアセトン、ヘプタフルオロブタノイルピバロイルメタン、ジピバロイルメタン、トリフルオロアセチルアセトン、ベンゾイルアセトン等)、β−ケトン酸類(例えば、アセト酢酸、プロピオニル酢酸、ベンゾイル酢酸等)、β−ケトエステル類(例えば、上記ケトン酸のメチル、プロピル、ブチル等の低級アルキルエステル類)、オキシ酸類(例えば、乳酸、グリコール酸、α−オキシ酪酸、サリチル酸等)、上記オキシ酸の低級アルキルエステル類、オキシケトン類(例えば、ジアセトンアルコール、アセトイン等)、ジオール、トリオール、高級カルボン酸、アルカノールアミン類(例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン)、多価アミン等を、(安定化剤分子数)/(金属原子数)で0.2〜3程度添加してもよい。このうち、安定化剤としてはβ−ジケトン類のアセチルアセトンが好ましい。
〔MnドープのPZT系圧電体膜形成用組成物の製造方法〕
続いて、本発明のMnドープのPZT系圧電体膜形成用組成物の製造方法について説明する。先ず、上述したPb化合物等のPZT系前駆体をそれぞれ用意し、これらを上記所望の金属原子比を与える割合になるように秤量する。秤量した上記PZT系前駆体とジオールとを反応容器内に投入して混合し、好ましくは窒素雰囲気中、130〜175℃の温度で0.5〜3時間還流し反応させることで合成液を調製する。還流後は、常圧蒸留や減圧蒸留の方法により、脱溶媒させておくのが好ましい。また、アセチルアセトン等の安定化剤を添加する場合は、上述のPZT系前駆体、ジオールを反応容器内に投入する際、これらとともに投入して混合する。或いは、脱溶媒後の合成液にこれらを添加し、窒素雰囲気中、130〜175℃の温度で0.5〜5時間還流を行うのが好ましい。その後、室温下で放冷することにより、合成液を室温(25℃程度)まで冷却させる。冷却後、ジオール以外の溶媒を添加することにより、合成液中に含まれるPZT系前駆体の濃度を所望の濃度に調整する。PZT系前駆体、ジオールの使用量は、最終的に得られる組成物100質量%のPZT系前駆体の濃度が酸化物濃度で17〜35質量%、ジオールの濃度が16〜56質量%となるように調整する。
冷却後の合成液に、好ましくは直鎖状モノアルコールを添加してゾルゲル液を調製する。直鎖状モノアルコールを添加する場合は、冷却後の合成液に、上述のジオール以外の溶媒を添加する際、これらを併せて添加してゾルゲル液を調製する。
そして、上記ゾルゲル液に、PZT系前駆体1モルに対する割合がモノマー換算で0.005〜0.25モルとなる量のポリビニルピロリドンを添加し、撹拌することで均一に分散させる。これにより、本発明のMnドープのPZT系圧電体膜形成用組成物が得られる。
なお、組成物の調製後、濾過処理等によってパーティクルを除去して、粒径0.5μm以上(特に0.3μm以上とりわけ0.2μm以上)のパーティクルの個数が組成物1ミリリットル当たり50個以下とするのが好ましい。組成物中の粒径0.5μm以上のパーティクルの個数が組成物1ミリリットル当たり50個を超えると、長期保存安定性が劣るものとなる。この組成物中の粒径0.5μm以上のパーティクルの個数は少ない程好ましく、特に組成物1ミリリットル当たり30個以下であることが好ましい。
〔MnドープのPZT系圧電体膜の形成方法〕
次に、本発明のMnドープのPZT系圧電体膜の形成方法について説明する。この形成方法は、ゾルゲル法による圧電体膜の形成方法であり、原料溶液に、上述のMnドープのPZT系圧電体膜形成用組成物を使用する。
先ず、上記MnドープのPZT系圧電体膜形成用組成物を基板上に塗布し、所望の厚さを有する塗膜(ゲル膜)を形成する。塗布法については、特に限定されないが、スピンコート、ディップコート、LSMCD(Liquid Source Misted Chemical Deposition)法又は静電スプレー法等が挙げられる。圧電体膜を形成する基板には、下部電極が形成されたシリコン基板やサファイア基板等の耐熱性基板が用いられる。基板上に形成する下部電極は、Pt、TiO、Ir、Ru等の導電性を有し、かつ圧電体膜と反応しない材料により形成される。例えば、下部電極を基板側から順にTiO膜及びPt膜の2層構造にすることができる。更に基板としてシリコン基板を用いる場合には、この基板表面にSiO膜を形成することができる。
また、圧電体膜を形成する下部電極上には、圧電体膜を形成する前に、(100)面又は(001)面に優先的に結晶配向が制御された配向制御膜を形成しておくことが望ましい。これは、MnドープのPZT系圧電体膜を(100)面又は(001)面に強く配向させることにより、成膜直後から分極方向が揃った膜に形成できるからである。配向制御膜としては、(100)面又は(001)面に優先的に結晶配向が制御されたLNO膜(LaNiO膜)、PZT膜、SrTiO膜等が挙げられる。
なお、配向制御層の優先的な結晶配向を(100)面にする方法としては、例えば、特許文献1に記載された結晶面が(111)軸方向に配向した下部電極を有する基板のこの下部電極上に、強誘電体薄膜形成用組成物を塗布、仮焼、焼成して配向制御層を形成するときに、上記下部電極上に結晶粒径制御層を形成しておき、この結晶粒径制御層の上に上記強誘電体薄膜形成用組成物の塗布量を上記配向制御層の結晶化後の層厚が35nm〜150nmの範囲内になるように設定し、かつ上記仮焼時の温度を150℃〜200℃又は285℃〜315℃の範囲内にする方法(以下、第1の方法という。)が挙げられる。
また、配向制御層の優先的な結晶配向を(110)面にする方法としては、例えば、特許文献2に記載された結晶面が(111)軸方向に配向した下部電極を有する基板のこの下部電極上に、強誘電体薄膜形成用組成物を塗布、仮焼、焼成して配向制御層を形成するときに、上記下部電極上に結晶粒径制御層を形成しておき、この結晶粒径制御層の上に上記強誘電体薄膜形成用組成物の塗布量を上記配向制御層の結晶化後の層厚が5nm〜30nmの範囲内になるように設定し、かつ上記仮焼時の温度を180℃〜300℃の範囲内にする方法(以下、第2の方法という。)が挙げられる。
基板上に前述した組成物を塗膜を形成した後、この塗膜を仮焼し、更に焼成して結晶化させる。仮焼は、ホットプレート又は急速加熱処理(RTA)等を用いて、所定の条件で行う。仮焼は、溶媒を除去するとともに金属化合物を熱分解又は加水分解して複合酸化物に転化させるために行うことから、空気中、酸化雰囲気中、又は含水蒸気雰囲気中で行うのが望ましい。空気中での加熱でも、加水分解に必要な水分は空気中の湿気により十分に確保される。なお、仮焼前に、特に低沸点溶媒や吸着した水分子を除去するため、ホットプレート等を用いて70〜90℃の温度で、0.5〜5分間低温加熱(乾燥)を行ってもよい。
仮焼は、好ましくは250〜300℃に2〜5分間保持することにより行うが、溶媒等を十分に除去し、ボイドやクラックの抑制効果をより高めるため、或いは膜構造の緻密化を促進させる理由から、加熱保持温度を変更させた二段仮焼により行うことが好ましい。二段仮焼を行う場合、一段目は250〜300℃に3〜10分間保持する仮焼とし、二段目は400〜500℃に3〜10分間保持する仮焼とする。
組成物の塗布から仮焼までの工程は、所望の膜厚になるように、仮焼までの工程を複数回繰り返して、最後に一括で焼成を行うこともできる。一方、原料溶液に、上述した本発明の組成物等を使用すれば、成膜時に発生する膜収縮由来の応力を抑制できること等から、ボイドやクラックを発生させることなく、1回の塗布で200nmまでの範囲の厚い膜を形成できる。そのため、上記繰り返し行う工程数を少なくできる。
焼成は、仮焼後の塗膜を結晶化温度以上の温度で熱処理して結晶化させるための工程であり、これにより圧電体膜が得られる。この結晶化工程の焼成雰囲気はO2、N2、Ar又はH2等或いはこれらの混合ガス等が好適である。焼成は、600〜700℃で1〜5分間程度行われる。焼成は、急速加熱処理(RTA)で行ってもよい。急速加熱処理(RTA)で焼成する場合、その昇温速度を2.5〜100℃/秒とすることが好ましい。
以上の工程により、MnドープのPZT系圧電体膜が得られる。この圧電体膜は、Mnをドープすることにより、圧電定数を向上することができるので、より大きな変位を得ることができるとともに、誘電率を低くすることができるので、センサとして使用する場合、利得が大きくなる。これは、添加されたMnがZr若しくはTiを置換し、酸素欠損を生じさせたことが主要因であると考えられる。また、図1に示すように、ヒステリシス曲線が大きく正側にシフトしており、成膜直後から上向きに分極方向が揃っている。このような膜は、分極処理後、リフロー工程での熱処理よって脱分極してしまうといった不具合が起こりにくく、分極の安定性に優れるため、負側で電界を印加することで安定してデバイスを作動させることができる。
そのため、この膜は、圧電体として利用できる。具体的には、図2に示すように、圧電体膜11の両面にそれぞれ配置された電極12,13間に直流電圧14を印加する前から、圧電体膜11中の各分子11aが分極した状態に保たれる(図2(a))。そして、図2(b)に示すように、圧電体膜11の両面にそれぞれ配置された電極12,13間に電圧を印加すると、圧電体膜11が電圧を印加した方向に伸び、この電圧をゼロにすると、電圧を印加した方向に伸びた圧電体膜11が縮んで元に戻るので(図2(a))、圧電素子等に適用できる。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
先ず、反応容器に酢酸鉛三水和物(Pb源)とプロピレングリコール(ジオール)とを入れ、窒素雰囲気中、150℃の温度で1時間還流した後、この反応容器にチタンテトライソプロポキシド(Ti源)、ジルコニウムテトラブトキシド(Zr源)、2−エチルヘキサン酸マンガン(Mn源)及びアセチルアセトン(安定化剤)を更に加え、窒素雰囲気中、150℃の温度で1時間還流して反応させることにより、合成液を調製した。ここで、上記酢酸鉛三水和物(Pb源)、2−エチルヘキサン酸マンガン(Mn源)、ジルコニウムテトラブトキシド(Zr源)及びチタンテトライソプロポキシド(Ti源)の各PZT系前駆体は、液中の金属原子比(Pb:Mn:Zr:Ti)が1.11:0.01:0.52:0.48になるように秤量した。またプロピレングリコール(ジオール)は、調製後の組成物100質量%に対して37質量%となるように添加し、アセチルアセトン(安定化剤)は調製後の組成物に含まれるPZT系前駆体1モルに対して2モルとなる割合で添加した。次いで上記合成液100質量%中に占めるPZT系前駆体の濃度が、酸化物濃度で35質量%になるように減圧蒸留を行って不要な溶媒を除去した。ここで、合成液中に占めるPZT系前駆体の濃度における酸化物濃度とは、合成液に含まれる全ての金属原子が目的の酸化物になったと仮定して算出した、合成液100質量%に占める金属酸化物の濃度(酸化物換算値)をいう。
次いで、合成液を室温で放冷することにより25℃まで冷却した。この合成液に1−オクタノール(炭素数8の直鎖状モノアルコール)とエタノール(溶媒)とを添加することにより、ゾルゲル液100質量%中に占める上記PZT系前駆体の濃度が、酸化物濃度で25質量%であるゾルゲル液を得た。なお、ゾルゲル液中に占めるPZT系前駆体の濃度における酸化物濃度とは、ゾルゲル液に含まれる全ての金属原子が目的の酸化物になったと仮定して算出した、ゾルゲル液100質量%に占める金属酸化物の濃度(酸化物換算値)をいう。
次に、上記ゾルゲル液に、ポリビニルピロリドン(PVP:k値=30)を上記PZT系前駆体1モルに対してモノマー換算で0.025モルとなるように添加し、室温(25℃)で24時間撹拌することにより、組成物を得た。この組成物は、市販の0.05μm孔径のメンブランフィルタを使用し、シリンジで圧送して濾過することにより粒径0.5μm以上のパーティクル個数がそれぞれ溶液1ミリリットル当たり1個であった。また、上記組成物100質量%中に占めるPZT系前駆体の濃度は、酸化物濃度(酸化物換算値)で17質量%であった。なお、組成物中に占めるPZT系前駆体の濃度における酸化物濃度とは、組成物に含まれる全ての金属原子が目的の酸化物になったと仮定して算出した、組成物100質量%に占める金属酸化物の濃度(酸化物換算値)をいう。また、1−オクタノール(炭素数8の直鎖状モノアルコール)は、上記組成物100質量%に対して4質量%含まれていた。更に、プロピレングリコール(ジオール)は、上記組成物100質量%に対して37質量%含まれていた。
一方、SiO膜、TiO膜及びPt膜が下から上に向ってこの順に積層されかつこのPt膜の上に、前述した第1の方法により(100)面の配向度が96%である配向制御層となるPZT膜が形成されたシリコン基板を用意した。各膜厚は、SiO膜が500nm、TiO膜が20nm及びPt膜が100nmであった。また配向制御層の膜厚は60nmであり、シリコン基板は直径が4インチであった。このシリコン基板をスピンコータ上にセットした後、得られた組成物1000μLを上記シリコン基板の配向制御層上に滴下し、1800rpmの回転速度で60秒間スピンコートを行うことにより、上記配向制御層上に塗膜(ゲル膜)を形成した。
この塗膜(ゲル膜)が形成されたシリコン基板を、ホットプレートを用いて、75℃の温度で1分間加熱保持(乾燥)することにより、低沸点溶媒や水を除去した。その後、300℃のホットプレートで5分間加熱保持(一段目の仮焼)することにより、ゲル膜を加熱分解した。更に別のホットプレートを用いて、450℃の温度で5分間加熱保持(二段目の仮焼)することにより、ゲル膜中に残存する有機物や吸着水を除去した。このようにして厚さ200nmの仮焼膜(MnドープのPZTアモルファス膜)を得た。この厚さ200nmは後述する焼成後の厚さである。
上記と同様の操作を2回繰り返すことにより、厚さ400nmの仮焼膜を得た。この厚さ400nmは後述する焼成後の厚さである。更に、上記厚さ400nmの仮焼膜が形成されたシリコン基板を、急速加熱処理(RTA)により酸素雰囲気中で700℃に1分間保持することにより、焼成した。このときの昇温速度は10℃/秒であった。このような組成物の塗布、塗膜の仮焼、焼成からなる一連の操作を3回繰り返し行って、Pt膜(下部電極)上の配向制御層上にMnドープのPZT系圧電体膜を形成した。また、蛍光X線分析により形成後の圧電体膜の組成を測定したところ、圧電体膜は、Pb1.01Mn0.01Zr0.52Ti0.48で示される組成の膜であった。なお、実施例1及び以下の実施例2〜11、比較例1〜4において、成膜後の膜中においてPbの減少がみられたが、これは焼成等の成膜中にPb源が蒸発したことによるものである。
<実施例2>
Mn源として2−エチルヘキサン酸マンガンの代わりにナフテン酸マンガンを使用した。酢酸鉛三水和物(Pb源)、ナフテン酸マンガン(Mn源)、ジルコニウムテトラブトキシド(Zr源)及びチタンテトライソプロポキシド(Ti源)の各PZT系前駆体を、液中の金属原子比(Pb:Mn:Zr:Ti)が1.12:0.02:0.52:0.48になるように秤量した。組成物100質量%中に占めるPZT系前駆体の濃度が、酸化物濃度で、25質量%になるように調整した。前記以外は、実施例1と同様にして組成物を調製し、実施例1と同じ(100)面の配向度が96%のPZT配向制御層上に、実施例1と同様の手法で塗布、仮焼、焼成を繰り返すことにより圧電体膜を形成した。なお、形成後の圧電体膜は、Pb1.02Mn0.02Zr0.52Ti0.48で示される組成の膜であった。
<実施例3>
Mn源として2−エチルヘキサン酸マンガンの代わりに酢酸マンガンを使用した。酢酸鉛三水和物(Pb源)、酢酸マンガン(Mn源)、ジルコニウムテトラブトキシド(Zr源)及びチタンテトライソプロポキシド(Ti源)の各PZT系前駆体を、液中の金属原子比(Pb:Mn:Zr:Ti)が1.14:0.042:0.55:0.45になるように秤量した。組成物100質量%中に占めるPZT系前駆体の濃度が、酸化物濃度で、25質量%になるように調整した。また(100)面の配向度が96%の配向制御層上にPZT圧電体膜を形成した。前記以外は、実施例1と同様にして組成物を調製し、実施例1と同様の手法で塗布、仮焼、焼成を繰り返すことにより圧電体膜を形成した。なお、本実施例においては積層数が5層となるため、最後の1層は200nm厚さで焼成を行った。なお、形成後の圧電体膜は、Pb1.03Mn0.042Zr0.52Ti0.48で示される組成の膜であった。
<実施例4>
Mn源として2−エチルヘキサン酸マンガンの代わりにアセチルアセトンマンガンを使用した。酢酸鉛三水和物(Pb源)、アセチルアセトンマンガン(Mn源)、ジルコニウムテトラブトキシド(Zr源)及びチタンテトライソプロポキシド(Ti源)の各PZT系前駆体を、液中の金属原子比(Pb:Mn:Zr:Ti)が1.12:0.02:0.45:0.55になるように秤量した。組成物100質量%中に占めるPZT系前駆体の濃度が、酸化物濃度で、25質量%になるように調整した。また(100)面の配向度が96%の配向制御層上にPZT配向制御層を形成した。前記以外は、実施例1と同様にして組成物を調製し、実施例1と同様の手法で塗布、仮焼、焼成を繰り返すことにより圧電体膜を形成した。なお、形成後の圧電体膜は、Pb1.02Mn0.02Zr0.45Ti0.55で示される組成の膜であった。
<実施例5>
Mn源として2−エチルヘキサン酸マンガンの代わりにアセチルアセトンマンガンを使用した。酢酸鉛三水和物(Pb源)、アセチルアセトンマンガン(Mn源)、ジルコニウムテトラブトキシド(Zr源)及びチタンテトライソプロポキシド(Ti源)の各PZT系前駆体を、液中の金属原子比(Pb:Mn:Zr:Ti)が1.12:0.02:0.60:0.40になるように秤量した。組成物100質量%中に占めるPZT系前駆体の濃度が、酸化物濃度で、25質量%になるように調整した。また(100)面の配向度が96%のPZT配向制御層上に圧電体膜を形成した。前記以外は、実施例1と同様にして組成物を調製し、実施例1と同様の手法で塗布、仮焼、焼成を繰り返すことにより圧電体膜を形成した。なお、形成後の圧電体膜は、Pb1.02Mn0.02Zr0.60Ti0.40で示される組成の膜であった。
<実施例6>
Mn源として2−エチルヘキサン酸マンガンの代わりにアセチルアセトンマンガンを使用した。酢酸鉛三水和物(Pb源)、アセチルアセトンマンガン(Mn源)、ジルコニウムテトラブトキシド(Zr源)及びチタンテトライソプロポキシド(Ti源)の各PZT系前駆体を、液中の金属原子比(Pb:Mn:Zr:Ti)が1.12:0.02:0.52:0.48になるように秤量した。組成物100質量%中に占めるPZT系前駆体の濃度が、酸化物濃度で、25質量%になるように調整した。また前述した第1の方法により(100)面の配向度が76%の配向制御層上に圧電体膜を形成した。前記以外は、実施例1と同様にして組成物を調製し、実施例1と同様の手法で塗布、仮焼、焼成を繰り返すことにより圧電体膜を形成した。なお、形成後の圧電体膜は、Pb1.02Mn0.02Zr0.52Ti0.48で示される組成の膜であった。
<比較例1>
Mn源として2−エチルヘキサン酸マンガンの代わりにアセチルアセトンマンガンを使用した。酢酸鉛三水和物(Pb源)、アセチルアセトンマンガン(Mn源)、ジルコニウムテトラブトキシド(Zr源)及びチタンテトライソプロポキシド(Ti源)の各PZT系前駆体を、液中の金属原子比(Pb:Mn:Zr:Ti)が1.15:0.005:0.52:0.48になるように秤量した。組成物100質量%中に占めるPZT系前駆体の濃度が、酸化物濃度で、25質量%になるように調整した。前記以外は、実施例1と同様にして組成物を調製し、実施例1と同じ(100)面の配向度が96%のPZT配向制御層上に実施例1と同様の手法で塗布、仮焼、焼成を繰り返すことにより圧電体膜を形成した。なお、形成後の圧電体膜は、Pb1.02Mn0.005Zr0.52Ti0.48で示される組成の膜であった。
<比較例2>
Mn源として2−エチルヘキサン酸マンガンの代わりにアセチルアセトンマンガンを使用した。酢酸鉛三水和物(Pb源)、アセチルアセトンマンガン(Mn源)、ジルコニウムテトラブトキシド(Zr源)及びチタンテトライソプロポキシド(Ti源)の各PZT系前駆体を、液中の金属原子比(Pb:Mn:Zr:Ti)が1.12:0.02:0.52:0.48になるように秤量した。組成物100質量%中に占めるPZT系前駆体の濃度が、酸化物濃度で、25質量%になるように調整した。また(100)面の配向度が90%の配向制御層上に圧電体膜を形成した。前記以外は、実施例1と同様にして組成物を調製し、実施例1と同様の手法で塗布、仮焼、焼成を行い圧電体膜を形成した。なお、形成後の圧電体膜は、Pb1.01Mn0.02Zr0.52Ti0.48で示される組成の膜であった。
<比較例3>
Mn源として2−エチルヘキサン酸マンガンの代わりにアセチルアセトンマンガンを使用した。酢酸鉛三水和物(Pb源)、アセチルアセトンマンガン(Mn源)、ジルコニウムテトラブトキシド(Zr源)及びチタンテトライソプロポキシド(Ti源)の各PZT系前駆体を、液中の金属原子比(Pb:Mn:Zr:Ti)が1.11:0.02:0.52:0.48になるように秤量した。組成物100質量%中に占めるPZT系前駆体の濃度が、酸化物濃度で、25質量%になるように調整した。また前述した第2の方法により(110)/(101)面の配向度が90%であり(100)/(001)面の配向度が0%の配向制御層上に圧電体膜を形成した。前記以外は、実施例1と同様にして組成物を調製し、実施例1と同様の手法で塗布、仮焼、焼成を繰り返すことにより圧電体膜を形成した。なお、形成後の圧電体膜は、Pb1.02Mn0.02Zr0.52Ti0.48で示される組成の膜であった。
<比較例4>
実施例4と同じPb源、Mn源、Zr源、Ti源の各PZT系前駆体を、液中の金属原子比(Pb:Mn:Zr:Ti)が1.15:0.05:0.45:0.55になるように秤量した。これ以外は実施例4と同様にして組成物を調製し、実施例1と同様の手法で塗布、仮焼、焼成を繰り返すことにより圧電体膜を形成した。なお、形成後の圧電体膜は、Pb1.06Mn0.05Zr0.45Ti0.55で示される組成の膜であった。
<実施例7>
実施例1と同様の手法で組成物を合成した。酢酸鉛三水和物(Pb源)、アセチルアセトンマンガン(Mn源)、ニオブペンタエトキシド(Nb源)、ジルコニウムテトラブトキシド(Zr源)及びチタンテトライソプロポキシド(Ti源)の各PZT系前駆体を、液中の金属原子比(Pb:Mn:Nb:Zr:Ti)が1.14:0.02:0.01:0.52:0.48になるように秤量した。組成物100質量%中に占めるPZT系前駆体の濃度が、酸化物濃度で、25質量%になるように調整した。また(100)/(001)面の配向度が96%のPZT配向制御層上に圧電体膜を形成した。前記以外は、実施例1と同様にして組成物を調製し、実施例1と同様の手法で塗布、仮焼、焼成を繰り返すことにより圧電体膜を形成した。なお、形成後の圧電体膜は、Pb1.02Mn0.02Nb0.01Zr0.52Ti0.48で示される組成の膜であった。
<実施例8>
実施例1と同様の手法で組成物を合成した。酢酸鉛三水和物(Pb源)、アセチルアセトンマンガン(Mn源)、ニオブペンタエトキシド(Nb源)、ジルコニウムテトラブトキシド(Zr源)及びチタンテトライソプロポキシド(Ti源)の各PZT系前駆体を、液中の金属原子比(Pb:Mn:Nb:Zr:Ti)が1.14:0.02:0.01:0.40:0.60になるように秤量した。組成物100質量%中に占めるPZT系前駆体の濃度が、酸化物濃度で、25質量%になるように調整した。また(100)/(001)面の配向度が96%の配向制御層上に圧電体膜を形成した。前記以外は、実施例1と同様にして組成物を調製し、実施例1と同様の手法で塗布、仮焼、焼成を繰り返すことにより圧電体膜を形成した。なお、形成後の圧電体膜は、Pb1.02Mn0.02Nb0.01Zr0.40Ti0.60で示される組成の膜であった。
<実施例9>
実施例1と同様の手法で組成物を合成した。酢酸鉛三水和物(Pb源)、アセチルアセトンマンガン(Mn源)、酢酸ランタン1.5水和物(La源)、ジルコニウムテトラブトキシド(Zr源)及びチタンテトライソプロポキシド(Ti源)の各PZT系前駆体を、液中の金属原子比(Pb:La:Mn:Zr:Ti)が1.14:0.01:0.02:0.55:0.45になるように秤量した。組成物100質量%中に占めるPZT系前駆体の濃度が、酸化物濃度で、25質量%になるように調整した。また(100)/(001)面の配向度が96%のPZT配向制御層上に圧電体膜を形成した。前記以外は、実施例1と同様にして組成物を調製し、実施例1と同様の手法で塗布、仮焼、焼成を繰り返すことにより圧電体膜を形成した。なお、形成後の圧電体膜は、Pb1.01La0.01Mn0.02Zr0.55Ti0.45で示される組成の膜であった。
<実施例10>
実施例1と同様の手法で組成物を合成した。酢酸鉛三水和物(Pb源)、アセチルアセトンマンガン(Mn源)、酢酸ランタン1.5水和物(La源)、ジルコニウムテトラブトキシド(Zr源)及びチタンテトライソプロポキシド(Ti源)の各PZT系前駆体を、液中の金属原子比(Pb:La:Mn:Zr:Ti)が1.15:0.02:0.02:0.50:0.50になるように秤量した。組成物100質量%中に占めるPZT系前駆体の濃度が、酸化物濃度で、25質量%になるように調整した。また(100)/(001)面の配向度が96%のPZT配向制御層上に圧電体膜を形成した。前記以外は、実施例1と同様にして組成物を調製し、実施例1と同様の手法で塗布、仮焼、焼成を繰り返すことにより圧電体膜を形成した。なお、形成後の圧電体膜は、Pb1.011La0.02Mn0.02Zr0.50Ti0.50で示される組成の膜であった。
<実施例11>
実施例1と同様の手法で組成物を合成した。酢酸鉛三水和物(Pb源)、アセチルアセトンマンガン(Mn源)、酢酸ランタン1.5水和物(La源)、ジルコニウムテトラブトキシド(Zr源)及びチタンテトライソプロポキシド(Ti源)の各PZT系前駆体を、液中の金属原子比(Pb:La:Mn:Zr:Ti)が1.14:0.01:0.02:0.52:0.48になるように秤量した。組成物100質量%中に占めるPZT系前駆体の濃度が、酸化物濃度で、25質量%になるように調整した。また(100)/(001)面の配向度が96%のPZT配向制御層上に圧電体膜を形成した。前記以外は、実施例1と同様にして組成物を調製し、実施例1と同様の手法で塗布、仮焼、焼成を繰り返すことにより圧電体膜を形成した。なお、形成後の圧電体膜は、Pb1.01La0.01Mn0.02Zr0.52Ti0.48で示される組成の膜であった。
<比較試験及び評価>
実施例1〜11及び比較例1〜4で形成した圧電体膜について、膜厚、配向制御層の配向度、圧電定数、圧電体膜の配向度及び分極−電界特性のヒステリシスループのずれ(以下、単に「ヒステリシスのずれ」という。)をそれぞれ評価した。実施例1〜11及び比較例1〜4で形成した圧電体膜の組成と膜厚の結果を表1に示す。また配向制御層の配向度、圧電定数、圧電体膜の配向度及びヒステリシスのずれの結果を以下の表2に示す。
(i) 圧電体膜の膜厚:圧電体膜の断面の厚さ(総厚)を、SEM(日立社製:S4300)により測定した。
(ii) 圧電定数:圧電体膜の圧電定数d33をaix ACCT社製DBLIにより測定した。具体的には、後述する「(iv) ヒステリシスのずれ(シフト量)」を測定する方法と同様の方法によりキャパシタ構造を形成し、25V印加時の膜の変位量を測定し、その傾きを圧電定数d33とした。
(iii) 配向度:X線回折(XRD)装置(パナリティカル社製、型式名:Empyrean)を使用し、CuKα線による集中法で測定した。得られた回折結果から、(100)面又は(001)面のピーク強度、(110)面又は(101)面のピーク強度、(111)面のピーク強度をそれぞれ測定し、以下の式(3)を用いて計算することにより、(100)面又は(001)面の配向度(以下の式では「(100)/(001)配向度」と略記する。)を求めた。なお、MPB組成近傍のPZT系薄膜においてはCuKα線では(100)面及び(001)面、(110)面及び(101)面のピークを分離することが困難なためそれぞれ(100)/(001)、(110)/(101)と表記した。
(100)/(001)配向度=(100)/(001)面の強度/{(100)/(001)面の強度+(110)/(101)面の強度+(111)面の強度} (3)
(iv) ヒステリシスのずれ(シフト量):先ず、圧電体膜の上面に、スパッタ法により200μmφの一対の電極をそれぞれ形成した後、RTAを用いて、酸素雰囲気中で700℃に1分間保持して、ダメージを回復するためのアニーリングを行い、キャパシタ構造を作製した。次にこれらを試験用サンプルとし、TFアナライザー2000により1kHzの周波数で25Vの電圧を印加して圧電体膜の分極量のヒステリシスを測定し、抗電界(Ec)を求めた。更に得られた分極量のヒステリシスのずれDを前述した式(1)から
求めた。
Figure 0006481394
Figure 0006481394
(a) 配向度とヒステリシスのずれの関係
表1から明らかなように、実施例1〜11においては成膜後700℃でDRA処理を行ったにもかかわらず少なくとも8.8kV/cmのヒステリシスのずれが発生しており膜中に強い内部バイアスが存在することが確認できた。一方、実施例2、実施例6、比較例3を比較すると(100)/(001)配向度の劣る実施例6、比較例3ではヒステリシスのずれは小さくなった。この結果より、より大きなヒステリシスのずれを得るには高い配向度が必要で有ることが分かった。
(b) Mn添加量とヒステリシスのずれの関係
実施例1〜11と比較例1を比較すると膜中のMn含有量がZr、Tiの合計モル数を1とした時に対して0.01未満(比較例1)であると十分なヒステリシスのずれは得られず、Mnの添加量は0.01以上であることが必要であることが分かった。実施例7〜11ではMnとLa、Nbを共ドープしているが、Mnの添加量を0.01以上にすると、実施例1〜6と同様に大きなヒステリシスのずれを有するPMnZT系膜を得ることができた。この結果より、PMnZT膜に他の元素を添加してもヒステリシスのずれが大きく、分極の温度安定性に優れるPMnZT系膜が得られることが分かった。
(c) Mn添加量と圧電特性の関係
実施例1〜11と比較例4を比較すると膜中のMn含有量がZr、Tiの合計モル数を1とした時に対して0.045を超える(比較例4)と圧電定数が極端に低下し、圧電体として機能に劣るため、Mnの添加量は0.045以下であることが必要であることが分かった。実施例7〜11ではMnとLa、Nbを共ドープしているが、Mnの添加量を0.0045以下にすると、実施例1〜6と同様に圧電定数は低下せず、圧電体として機能するPMnZT系膜が得られることが分かった。
(d) 圧電体膜の膜厚と圧電特性の関係
実施例1〜11と比較例2を比較すると圧電体膜の膜厚が0.8μm未満の場合(比較例2)、圧電定数が極端に小さくなり、圧電体として機能に劣るため、圧電体膜の膜厚は0.8μm以上であることが必要であることが分かった。実施例7〜11ではMnとLa、Nbを共ドープしているが、圧電体膜の膜厚を0.8μm以上にすると、実施例1〜6と同様に圧電定数は低下せず、圧電体として機能するPMnZT系膜が得られることが分かった。
本発明のMnドープのPZT系圧電体膜は、ジャイロセンサ、赤外線センサ、圧電センサ、インクジェットヘッド、オートフォーカス等に等の複合電子部品における構成材料として好適に使用することができる。

Claims (3)

  1. Mnドープの複合酸化物からなるCSD法により形成されたPZT系圧電体膜であって、前記複合酸化物中のZrとTiの合計モル数を1モルとするとき、Mnのモル比が0.01〜0.042の範囲にあり、前記PZT系圧電体膜が(100)面又は(001)面に優先的に結晶配向され、膜厚が0.8〜3μmであることを特徴とするMnドープのPZT系圧電体膜。
  2. X線回折による(100)面又は(001)面の配向度が95%以上である請求項1記載のMnドープのPZT系圧電体膜。
  3. 下記の式(1)で求められる分極−電界特性のヒステリシスループのずれDが少なくとも8.8kV/cmである請求項1又は2記載のMnドープのPZT系圧電体膜。
    D = E − [(E + E )/2] (1)
    但し、E は分極が0μC/cmのときの0kV/cmからの正側の電界値の絶対値及びE は分極が0μC/cmのときの0kV/cmからの負側の電界値の絶対値をいう。
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