<偏光性積層フィルムの製造方法>
図1を参照して、偏光板の製造中間体である偏光性積層フィルムは、下記工程:
基材フィルムの少なくとも一方の面にポリビニルアルコール系樹脂層を形成して積層フィルムを得る樹脂層形成工程S10、
積層フィルムを延伸して延伸フィルムを得る延伸工程S20、
延伸フィルムのポリビニルアルコール系樹脂層を二色性色素で染色して偏光子層を形成することにより偏光性積層フィルムを得る染色工程S30、
を含む方法によって製造される。
なお、本発明における偏光性積層フィルムとは、基材フィルムと、その少なくとも一方の面上に積層される偏光子層とを備えるものであり、かつ、保護フィルムが貼合されていないものをいう。第1保護フィルム貼合工程S40にて偏光子層に第1保護フィルムを貼合してなる偏光性積層フィルムを、以下では、偏光性積層フィルムと区別するために、「保護フィルム付偏光性積層フィルム」ともいう。
(1)樹脂層形成工程S10
図2を参照して本工程は、基材フィルム30の少なくとも一方の面にポリビニルアルコール系樹脂層6を形成して積層フィルム100を得る工程である。このポリビニルアルコール系樹脂層6は、延伸工程S20及び染色工程S30を経て偏光子層5となる層である。ポリビニルアルコール系樹脂層6は、ポリビニルアルコール系樹脂を含有する塗工液を基材フィルム30の片面又は両面に塗工し、塗工層を乾燥させることにより形成することができる。
基材フィルム30は熱可塑性樹脂から構成することができ、中でも透明性、機械的強度、熱安定性、延伸性等に優れる熱可塑性樹脂から構成することが好ましい。このような熱可塑性樹脂の具体例は、例えば、鎖状ポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂等)のようなポリオレフィン系樹脂;ポリエステル系樹脂;(メタ)アクリル系樹脂;セルローストリアセテート、セルロースジアセテートのようなセルロースエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;ポリ酢酸ビニル系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;及びこれらの混合物、共重合物を含む。
基材フィルム30は、1種又は2種以上の熱可塑性樹脂からなる1つの樹脂層からなる単層構造であってもよいし、1種又は2種以上の熱可塑性樹脂からなる樹脂層を複数積層した多層構造であってもよい。基材フィルム30は、後述する延伸工程S20にて積層フィルム100を延伸する際、ポリビニルアルコール系樹脂層6を延伸するのに好適な延伸温度で延伸できるような樹脂で構成されることが好ましい。
基材フィルム30は、添加剤を含有することができる。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、及び着色剤等が挙げられる。基材フィルム30中の熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは50〜99重量%、さらに好ましくは60〜98重量%、特に好ましくは70〜97重量%である。
基材フィルム30の厚みは通常、強度や取扱性等の作業性の点から1〜500μmであり、好ましくは1〜300μm、より好ましくは5〜200μm、さらに好ましくは5〜150μmである。
本発明において、基材フィルム30におけるポリビニルアルコール系樹脂層6が形成される面(基材フィルム30の片面又は両面であり得る。)の算術平均粗さRa0は、130nm以下とされる。算術平均粗さRa0をこの範囲に調整することにより、偏光性積層フィルムを用いた後述する製造方法によって得られる偏光板における偏光子層側の面を平滑にすることができるため、上述のような凹凸を起点とする偏光子層5のワレを効果的に抑制することができる。ワレをより効果的に抑制する観点から、算術平均粗さRa0は、好ましくは120nm以下、より好ましくは100nm以下、さらに好ましくは80nm以下である。
算術平均粗さRa0(後述するRa1、Ra2についても同様)は、JIS B 0601−2001で規定される表面の粗さを定義する指標である。これによると、算術平均粗さが大きいものは表面の凹凸が多く及び/又は大きいものであるということができる。算術平均粗さは通常、各素点の平均高さからの高低差を求めて計算されるため、長さ(主にnm)を単位とする統計値である。算術平均粗さは、例えば、有限会社センソファージャパンから販売されているPLμ2300等の共焦点顕微鏡にて表面画像を得た後、これを付属のソフトウェアを用いて統計処理を実施することで簡便に得ることができる。
基材フィルム30の算術平均粗さRa0を130nm以下に調整する方法の具体例を以下に述べるが、これらに限定されるものではない。
〔ア〕押出成形により基材フィルム30を成形する場合において、押出時の樹脂溶融温度と、溶融フィルムの冷却に用いるチルロールの温度との差を大きくする。当該温度差を大きくすることでフィルム冷却時の温度変化量を大きくし、急冷することは、算術平均粗さの低減に有利である。樹脂の劣化や過度の粘度低下等の支障が生じない程度に樹脂溶融温度を高く設定し、チルロールをなるべく冷却することで温度差を大きくすることができる。
特に、結晶性の熱可塑性樹脂を用いる場合には、冷却過程で結晶化が起こるため、急冷により結晶成長を抑制することが算術平均粗さの低減には有利である。用いる熱可塑性樹脂の種類にもよるが、一般的に上記温度差は、100℃以上であることが好ましく、240℃以上であることがより好ましく、240℃超であることがさらに好ましい。非結晶性の熱可塑性樹脂を用いる場合においても、樹脂の冷却過程は基材フィルム30の表面凹凸に大きな影響を与えるため、上記温度差はなるべく大きい方が好ましい。
〔イ〕造核剤やその他の添加剤の添加量を少なくする。結晶性の熱可塑性樹脂を用いる場合には、多くの場合、造核剤と呼ばれる結晶成長をコントロールするための結晶核となる物質を添加することが広く知られている。この造核剤は、基材フィルム30に剛性を与えるので取扱性や耐熱性を向上させるうえでは好適であるが、添加し過ぎると押出時に生成する結晶量が非常に多くなり、その結果、基材フィルム30に表面凹凸が生じやすい。従って、造核剤の添加量は2重量%以下(熱可塑性樹脂を100%として)とすることが好ましい。酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑材、マット剤のような他の添加剤も表面凹凸に影響を与え得るため、その添加量は20重量%以下とすることが好ましい。
〔ウ〕チルロールの表面粗度等を調整する。マット処理等によりチルロールの表面粗度が高い場合には、そこに接触する基材フィルム面に凹凸が生じやすい。従って、表面粗度の低いチルロールを用いるか、又は表面粗度の高いチルロールを用いる場合には、チルロールに接触する側とは反対側の基材フィルム面をポリビニルアルコール系樹脂層6の形成面とすることが好ましい。基材フィルム30の両面にポリビニルアルコール系樹脂層6を形成する場合には、表面粗度の低いチルロールを用いることが好ましい。チルロールに接触する側とは反対側の基材フィルム面の算術平均粗さは、例えば、押出ダイから出てきた溶融樹脂がチルロールに接触するまでの間の風量や風速等の調整により低減させることができる。
〔エ〕キャスト法により基材フィルム30を成形する場合において、キャストするための支持体の表面粗度等を調整する。支持体としてはステンレスベルトや鏡面ロールを用いることができるが、その表面の平滑性が高いほど算術平均粗さの低減に有利である。支持体に接触する側とは反対側の基材フィルム面の算術平均粗さは、キャスト後の乾燥の条件に大きく依存し、例えば溶剤の選択や乾燥設備の最適化等によって溶剤の蒸発速度を調整することで低減させることができる。
次に、基材フィルム30に塗工する塗工液について説明する。塗工液は、好ましくはポリビニルアルコール系樹脂の粉末を良溶媒(例えば水)に溶解させて得られるポリビニルアルコール系樹脂溶液である。ポリビニルアルコール系樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール樹脂及びその誘導体が挙げられる。ポリビニルアルコール樹脂の誘導体としては、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール等の他、ポリビニルアルコール樹脂をエチレン、プロピレンのようなオレフィン類で変性したもの;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸のような不飽和カルボン酸類で変性したもの;不飽和カルボン酸のアルキルエステルで変性したもの;アクリルアミドで変性したもの等が挙げられる。変性の割合は30モル%未満であることが好ましく、10モル%未満であることがより好ましい。30モル%を超える変性を行った場合には、二色性色素を吸着しにくくなり、偏光性能が低くなってしまう不具合を生じ得る。上述のポリビニルアルコール系樹脂の中でも、ポリビニルアルコール樹脂を用いることが好ましい。
ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、100〜10000の範囲にあることが好ましく、1000〜10000の範囲にあることがより好ましく、1500〜8000の範囲にあることがさらに好ましく、2000〜5000の範囲にあることが最も好ましい。平均重合度は、JIS K 6726−1994「ポリビニルアルコール試験方法」に規定される方法によって求めることができる。平均重合度が100未満では好ましい偏光性能を得ることが困難であり、10000超では溶媒への溶解性が悪化し、ポリビニルアルコール系樹脂層6の形成が困難になってしまう。
ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂のケン化品であることが好ましい。ケン化度の範囲は、80モル%以上、さらには90モル%以上、とりわけ94モル%以上であることが好ましい。ケン化度が低すぎると、偏光性積層フィルムやさらに偏光板にしたときの耐水性や耐湿熱性が十分でなくなる可能性がある。また、完全ケン化品(ケン化度が100モル%のもの)であってもよいが、ケン化度が高すぎると、染色速度が遅くなって、十分な偏光性能を与えるためには製造時間が長くなったり、場合によっては十分な偏光性能を有する偏光子層が得られなかったりすることがある。そこで、そのケン化度は99.5モル%以下、さらに99.0モル%以下であるのが好ましい。
ケン化度とは、ポリビニルアルコール系樹脂の原料であるポリ酢酸ビニル系樹脂に含まれる酢酸基(アセトキシ基:−OCOCH3)がケン化処理により水酸基に変化した割合をユニット比(モル%)で表したものであり、下記式:
ケン化度(モル%)=〔(水酸基の数)÷(水酸基の数+酢酸基の数)〕×100
で定義される。ケン化度は、JIS K 6726(1994)に準拠して求めることができる。ケン化度が高いほど、水酸基の割合が高いことを示しており、従って結晶化を阻害する酢酸基の割合が低いことを示している。
ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体との共重合体等が例示される。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類等が挙げられる。
塗工液は必要に応じて、可塑剤、界面活性剤等の添加剤を含有していてもよい。可塑剤としては、ポリオール又はその縮合物等を用いることができ、例えばグリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等が例示される。添加剤の配合量は、ポリビニルアルコール系樹脂の20重量%以下とするのが好適である。
上記塗工液を基材フィルム30に塗工する方法は、ワイヤーバーコーティング法;リバースコーティング、グラビアコーティングのようなロールコーティング法;ダイコート法;カンマコート法;リップコート法;スピンコーティング法;スクリーンコーティング法;ファウンテンコーティング法;ディッピング法;スプレー法等の方法から適宜選択することができる。
塗工層(乾燥前のポリビニルアルコール系樹脂層)の乾燥温度及び乾燥時間は塗工液に含まれる溶媒の種類に応じて設定される。乾燥温度は、例えば50〜200℃であり、好ましくは60〜150℃である。溶媒が水を含む場合、乾燥温度は80℃以上であることが好ましい。
ポリビニルアルコール系樹脂層6は、基材フィルム30の一方の面のみに形成してもよいし、両面に形成してもよい。両面に形成すると、1枚の偏光性積層フィルム300から2枚の偏光板を得ることができるので、偏光板の生産効率の面でも有利である。
積層フィルム100におけるポリビニルアルコール系樹脂層6の厚みは、3〜30μmであることが好ましく、5〜20μmであることがより好ましい。この範囲内の厚みを有するポリビニルアルコール系樹脂層6であれば、後述する延伸工程S20及び染色工程S30を経て、二色性色素の染色性が良好で偏光性能に優れ、かつ十分に薄い(例えば厚み10μm以下の)偏光子層5を得ることができる。ポリビニルアルコール系樹脂層6の厚みが3μm未満であると、延伸後に薄くなりすぎて染色性が悪化する傾向にある。
塗工液の塗工に先立ち、基材フィルム30とポリビニルアルコール系樹脂層6との密着性を向上させるために、少なくともポリビニルアルコール系樹脂層6が形成される側の基材フィルム30の表面に、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム(火炎)処理等を施してもよい。
また、塗工液の塗工に先立ち、基材フィルム30とポリビニルアルコール系樹脂層6との密着性を向上させるために、基材フィルム30上にプライマー層等を介してポリビニルアルコール系樹脂層6を形成してもよい。
プライマー層は、プライマー層形成用塗工液を基材フィルム30の表面に塗工した後、乾燥させることにより形成することができる。プライマー層形成用塗工液は、基材フィルム30とポリビニルアルコール系樹脂層6との両方にある程度強い密着力を発揮する成分を含む。プライマー層形成用塗工液は通常、このような密着力を付与する樹脂成分と溶媒とを含有する。樹脂成分としては、好ましくは透明性、熱安定性、延伸性等に優れる熱可塑樹脂が用いられ、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂等が挙げられる。中でも、良好な密着力を与えるポリビニルアルコール系樹脂が好ましく用いられる。より好ましくは、ポリビニルアルコール樹脂である。溶媒としては通常、上記樹脂成分を溶解できる一般的な有機溶媒や水系溶媒が用いられるが、水を溶媒とする塗工液からプライマー層を形成することが好ましい。
プライマー層の強度を上げるために、プライマー層形成用塗工液に架橋剤を添加してもよい。架橋剤は、使用する熱可塑性樹脂の種類に応じて、有機系、無機系等公知のものの中から適切なものを適宜選択する。架橋剤の例を挙げれば、例えば、エポキシ系、イソシアネート系、ジアルデヒド系、金属系(例えば、金属塩、金属酸化物、金属水酸化物、有機金属化合物)、高分子系の架橋剤である。プライマー層を形成する樹脂成分としてポリビニルアルコール系樹脂を使用する場合は、ポリアミドエポキシ樹脂、メチロール化メラミン樹脂、ジアルデヒド系架橋剤、金属キレート化合物系架橋剤等が好適に用いられる。
プライマー層の厚みは、0.05〜1μm程度であることが好ましく、0.1〜0.4μmであることがより好ましい。0.05μmより薄くなると、基材フィルム30とポリビニルアルコール系樹脂層6との密着力向上の効果が小さく、1μmより厚くなると、偏光板の薄膜化に不利である。
プライマー層形成用塗工液を基材フィルム30に塗工する方法は、ポリビニルアルコール系樹脂層形成用の塗工液と同様であることができる。プライマー層は、ポリビニルアルコール系樹脂層形成用の塗工液が塗工される面に塗工される。プライマー層形成用塗工液からなる塗工層の乾燥温度は、例えば50〜200℃であり、好ましくは60〜150℃である。溶媒が水を含む場合、乾燥温度は80℃以上であることが好ましい。
(2)延伸工程S20
図3を参照して本工程は、基材フィルム30及びポリビニルアルコール系樹脂層6からなる積層フィルム100を延伸して、延伸された基材フィルム30’及びポリビニルアルコール系樹脂層6’からなる延伸フィルム200を得る工程である。延伸処理は通常、一軸延伸である。
積層フィルム100の延伸倍率は、所望する偏光特性に応じて適宜選択することができるが、好ましくは、積層フィルム100の元長に対して5倍超17倍以下であり、より好ましくは5倍超8倍以下である。延伸倍率が5倍以下であると、ポリビニルアルコール系樹脂層6’が十分に配向しないため、偏光子層5の偏光度が十分に高くならないことがある。一方、延伸倍率が17倍を超えると、延伸時にフィルムの破断が生じ易くなるとともに、延伸フィルム200の厚みが必要以上に薄くなり、後工程での加工性及び取扱性が低下するおそれがある。
延伸処理は、一段での延伸に限定されることはなく多段で行うこともできる。この場合、多段階の延伸処理のすべてを染色工程S30の前に連続的に行ってもよいし、二段階目以降の延伸処理を染色工程S30における染色処理及び/又は架橋処理と同時に行ってもよい。このように多段で延伸処理を行う場合は、延伸処理の全段を合わせて5倍超の延伸倍率となるように延伸処理を行うことが好ましい。
延伸処理は、フィルム長手方向(フィルム搬送方向)に延伸する縦延伸であることができるほか、フィルム幅方向に延伸する横延伸又は斜め延伸等であってもよい。縦延伸方式としては、ロールを用いて延伸するロール間延伸、圧縮延伸、チャック(クリップ)を用いた延伸等が挙げられ、横延伸方式としては、テンター法等が挙げられる。延伸処理は、湿潤式延伸方法、乾式延伸方法のいずれも採用できるが、乾式延伸方法を用いる方が、延伸温度を広い範囲から選択することができる点で好ましい。
延伸温度は、ポリビニルアルコール系樹脂層6及び基材フィルム30全体が延伸可能な程度に流動性を示す温度以上に設定され、好ましくは基材フィルム30の相転移温度(融点又はガラス転移温度)の−30℃から+30℃の範囲であり、より好ましくは−30℃から+5℃の範囲であり、さらに好ましくは−25℃から+0℃の範囲である。基材フィルム30が複数の樹脂層からなる場合、上記相転移温度は該複数の樹脂層が示す相転移温度のうち、最も高い相転移温度を意味する。
延伸温度を相転移温度の−30℃より低くすると、5倍超の高倍率延伸が達成されにくいか、又は、基材フィルム30の流動性が低すぎて延伸処理が困難になる傾向にある。延伸温度が相転移温度の+30℃を超えると、基材フィルム30の流動性が大きすぎて延伸が困難になる傾向にある。5倍超の高延伸倍率をより達成しやすいことから、延伸温度は上記範囲内であって、さらに好ましくは120℃以上である。
延伸処理における積層フィルム100の加熱方法としては、ゾーン加熱法(例えば、熱風を吹き込み所定の温度に調整した加熱炉のような延伸ゾーン内で加熱する方法。);ロールを用いて延伸する場合において、ロール自体を加熱する方法;ヒーター加熱法(赤外線ヒーター、ハロゲンヒーター、パネルヒーター等を積層フィルム100の上下に設置し輻射熱で加熱する方法)等がある。ロール間延伸方式においては、延伸温度の均一性の観点からゾーン加熱法が好ましい。
延伸工程S20に先立ち、積層フィルム100を予熱する予熱処理工程を設けてもよい。予熱方法としては、延伸処理における加熱方法と同様の方法を用いることができる。予熱温度は、延伸温度の−50℃から±0℃の範囲であることが好ましく、延伸温度の−40℃から−10℃の範囲であることがより好ましい。
また、延伸工程S20における延伸処理の後に、熱固定処理工程を設けてもよい。熱固定処理は、延伸フィルム200の端部をクリップにより把持した状態で緊張状態に維持しながら、結晶化温度以上で熱処理を行う処理である。この熱固定処理によってポリビニルアルコール系樹脂層6’の結晶化が促進される。熱固定処理の温度は、延伸温度の−0℃〜−80℃の範囲であることが好ましく、延伸温度の−0℃〜−50℃の範囲であることがより好ましい。
(3)染色工程S30
図4を参照して本工程は、延伸フィルム200のポリビニルアルコール系樹脂層6’を二色性色素で染色してこれを吸着配向させ、偏光子層5とする工程である。本工程を経て基材フィルム30’の片面又は両面に偏光子層5が積層された偏光性積層フィルム300が得られる。二色性色素としては、具体的にはヨウ素又は二色性有機染料を用いることができる。
染色工程は、二色性色素を含有する溶液(染色溶液)に延伸フィルム200全体を浸漬することにより行うことができる。染色溶液としては、上記二色性色素を溶媒に溶解した溶液を使用できる。染色溶液の溶媒としては、一般的には水が使用されるが、水と相溶性のある有機溶媒がさらに添加されてもよい。染色溶液における二色性色素の濃度は、0.01〜10重量%であることが好ましく、0.02〜7重量%であることがより好ましく、0.025〜5重量%であることがさらに好ましい。
二色性色素としてヨウ素を使用する場合、染色効率をより一層向上できることから、ヨウ素を含有する染色溶液にヨウ化物をさらに添加することが好ましい。ヨウ化物としては、例えばヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタン等が挙げられる。染色溶液におけるヨウ化物の濃度は、0.01〜20重量%であることが好ましい。ヨウ化物の中でも、ヨウ化カリウムを添加することが好ましい。ヨウ化カリウムを添加する場合、ヨウ素とヨウ化カリウムとの割合は重量比で、1:5〜1:100の範囲にあることが好ましく、1:6〜1:80の範囲にあることがより好ましく、1:7〜1:70の範囲にあることがさらに好ましい。染色溶液の温度は、10〜60℃の範囲にあることが好ましく、20〜40℃の範囲にあることがより好ましい。
なお、染色工程S30を延伸工程S20の前に行ったり、これらの工程を同時に行ったりすることも可能であるが、ポリビニルアルコール系樹脂層に吸着させる二色性色素を良好に配向させることができるよう、積層フィルム100に対して少なくともある程度の延伸処理を施した後に染色工程S30を実施することが好ましい。すなわち、延伸工程S20にて目標の倍率となるまで延伸処理を施して得られる延伸フィルム200を染色工程S30に供することができるほか、延伸工程S20にて目標より低い倍率で延伸処理を行った後、染色工程S30中に総延伸倍率が目標の倍率となるまで延伸処理を施すこともできる。後者の実施態様としては、1)延伸工程S20において目標より低い倍率で延伸処理を行った後、染色工程S30における染色処理中に総延伸倍率が目標の倍率となるように延伸処理を行う態様や、後述するように、染色処理の後に架橋処理を行う場合には、2)延伸工程S20において目標より低い倍率で延伸処理を行った後、染色工程S30における染色処理中に、総延伸倍率が目標の倍率に達しない程度まで延伸処理を行い、次いで、最終的な総延伸倍率が目標の倍率となるように架橋処理中に延伸処理を行う態様等を挙げることができる。
染色工程S30は、染色処理に引き続いて実施される架橋処理工程を含むことができる。架橋処理は、架橋剤を含む溶液(架橋溶液)中に染色されたフィルムを浸漬することにより行うことができる。架橋剤としては、従来公知の物質を使用することができ、例えば、ホウ酸、ホウ砂のようなホウ素化合物、グリオキザール、グルタルアルデヒド等が挙げられる。架橋剤は1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
架橋溶液は、具体的には架橋剤を溶媒に溶解した溶液であることができる。溶媒としては、例えば水が使用できるが、水と相溶性のある有機溶媒をさらに含んでもよい。架橋溶液における架橋剤の濃度は、1〜20重量%の範囲であることが好ましく、6〜15重量%の範囲であることがより好ましい。
架橋溶液はヨウ化物を含むことができる。ヨウ化物の添加により、偏光子層5の面内における偏光性能をより均一化させることができる。ヨウ化物としては、例えばヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタン等が挙げられる。架橋溶液におけるヨウ化物の濃度は、0.05〜15重量%であることが好ましく、0.5〜8重量%であることがより好ましい。架橋溶液の温度は、10〜90℃の範囲にあることが好ましい。
架橋処理は、架橋剤を染色溶液中に配合することにより、染色処理と同時に行うこともできる。また、架橋処理中に延伸処理を行ってもよい。架橋処理中に延伸処理を実施する具体的態様は前述のとおりである。また、組成の異なる2種以上の架橋溶液を用いて、架橋溶液に浸漬する処理を2回以上行ってもよい。
染色工程S30の後、後述する第1保護フィルム貼合工程S40の前に洗浄工程及び乾燥工程を行うことが好ましい。洗浄工程は通常、水洗浄工程を含む。水洗浄処理は、イオン交換水、蒸留水のような純水に染色処理後の又は架橋処理後のフィルムを浸漬することにより行うことができる。水洗浄温度は、通常3〜50℃、好ましくは4〜20℃の範囲である。洗浄工程は、水洗浄工程とヨウ化物溶液による洗浄工程との組み合わせであってもよい。
洗浄工程の後に行われる乾燥工程としては、自然乾燥、送風乾燥、加熱乾燥等の任意の適切な方法を採用し得る。例えば加熱乾燥の場合、乾燥温度は通常20〜95℃である。
偏光性積層フィルム300が有する偏光子層5の厚みは例えば30μm以下、さらには20μm以下であることができるが、偏光板の薄型化の観点から10μm以下であることが好ましく、8μm以下であることがより好ましい。偏光子層5の厚みは通常、2μm以上である。
偏光性積層フィルム300が有する偏光子層5における基材フィルム30’とは反対側の面の算術平均粗さRa2は、ポリビニルアルコール系樹脂を含有する塗工液を基材フィルム30に塗工し、延伸、染色工程を経て偏光子層5が形成される場合、通常は55nm以下であり、より典型的には40nm程度以下である。
<偏光板の製造方法>
図1を参照して、本発明に係る偏光板の製造方法は、下記工程:
上述の方法により製造された偏光性積層フィルムの偏光子層における基材フィルムとは反対側の面に第1保護フィルムを貼合する第1保護フィルム貼合工程S40、
基材フィルムを剥離除去する剥離工程S50、
をこの順で含む。
第1保護フィルム貼合工程S40及び剥離工程S50を経て、偏光子層の一方の面に第1保護フィルムが貼合された片面保護フィルム付偏光板が得られる。また、図1に示すように、剥離工程S50の後に、片面保護フィルム付偏光板における基材フィルムの剥離除去によって現れる面(以下、この面を「剥離面」ともいう。)に第2保護フィルムを貼合する第2保護フィルム貼合工程S60を設けて、両面保護フィルム付偏光板を得てもよい。
以上の製造方法によれば、基材フィルム30における算術平均粗さRa0が130nm以下の面上に偏光子層が形成された偏光性積層フィルムを用いて偏光板(片面又は両面保護フィルム付偏光板)を製造するため、ヒートショック試験においてワレを生じにくく、急激な温度差に対する耐久性の高い偏光板を得ることができる。
ここで、偏光子層のワレ及び本発明によるワレの抑制効果についてさらに詳しく説明する。ヒートショック試験において冷熱を繰り返すと、プラスチックポリマーからなる偏光板の各層は、熱膨張により伸縮を繰り返すことになる。さらに、保護フィルム等が成形時の歪みを有している場合や、これを構成するポリマーが配向している場合には緩和挙動も加わるため、サイクルごとにフィルムの寸法そのものが徐々に変化していく(通常は縮んでいく)。また偏光子層においても、熱膨張による伸縮に加えて、配向緩和による収縮やホウ酸による架橋収縮等の力が働き、それ自身がかなり強く収縮しようとする。
ヒートショック試験において偏光板は、偏光子層の収縮しようとする収縮力とその周囲に配置される各層の複雑な動きの不一致による歪みに起因して、サイクルを重ねていく毎に、非常に高い内部応力を生じるようになる。偏光子層のワレは、この内部応力によって高度に配向したポリビニルアルコール系樹脂の配向方向に沿って偏光子層が割れてしまう不具合である。
このようにワレの要因には、偏光子層自身の持つ収縮応力のほか、保護フィルム、及び試験時に偏光板が貼合されるガラス基板(実用における液晶セル等の表示セルを想定したものである。)のような周囲部材との歪み(すなわち、これら周囲部材の性質)が挙げられるが、実際にワレが生じるには、多くの場合、これらの要因によって生じる内部応力が特異的に集中して、ワレの起点となってしまうような欠陥部位が偏光板に存在する必要があること、偏光板における剥離面の表面凹凸が上記欠陥部位を形成し得ることを本発明者は見出した。このような欠陥部位が存在すると、内部応力が比較的低くてもワレを生じることがある。
本発明の範囲を制限するものではないが、偏光板における剥離面の表面凹凸が起点となってワレを生じるメカニズムは次のようなものであると推定される。剥離面に偏光子層の厚みよりも十分に小さい凹凸が存在する場合、その面に接着剤を用いて保護フィルムを貼合したり、その面に粘着剤層を介してガラス基板を貼合したりする際に人間の目や欠陥検査器等では検出できないほどの小さな空隙部を生じてしまうことがある。この空隙部のサイズは数μm程度と小さいため、空隙部を形成する偏光子層部分は、偏光子層の持つ収縮応力をそのまま維持していると考えられる。一方で、空隙部の存在する箇所は、接着剤層や粘着剤層を介した保護フィルム又はガラス基板による補強効果を享受できないので、当該箇所は偏光板の中でも特に脆弱部として存在し、ワレの起点になりやすいと考えられる。実際、ワレを起こした偏光板の断面を走査型電子顕微鏡等で解析すると、ワレの部分に数μm程度の空隙部を検出することができる。上述のように、この空隙部は、人間の目や欠陥検査器等で検出できるレベルの大きさにはないため、空隙部を有する偏光板を欠陥品として排除するといった対策を講じることは困難である。
本発明によれば、偏光子層が形成される基材フィルム面の算術平均粗さRa0を130nm以下とすることにより、得られる偏光板における剥離面の算術平均粗さRa1を、偏光性積層フィルムを構成する偏光子層における基材フィルムとは反対側の面の算術平均粗さRa2に近づけること、すなわち算術平均粗さRa1を小さくすることができるため、偏光子層の厚みが例えば10μm以下と薄膜であっても、上記のような検出できないほどに小さな、ワレの起点となりやすい空隙部の発生を抑制することができる。
なお、基材フィルム上に偏光子層を形成して偏光性積層フィルムとし、その偏光子層上に保護フィルムを貼合した後に基材フィルムを剥離除去する方法により偏光板を製造する場合、剥離面の表面状態が基材フィルムの表面状態の影響を受けることは避けられず、この点は上記特許文献2でも述べられている。しかし、特許文献2に記載の発明が注目しているのは、基材フィルムの表面や内部に存在する、視認できる程度に大きい異物(埃等)やキズ等であり、これらを反映して生じた凹凸やキズを有する偏光子層面を表示セルとは反対側に向けて表示装置を構築することを趣旨とするものである。また特許文献2に記載の発明は、偏光子層のワレではなく、偏光子層の凹凸やキズが輝点となって表示装置の視認性が低下することを問題としており、また、このような凹凸やキズを抑制する方法を提供するものでもない。
そもそも本発明者の検討により、視認できる程度に大きい数十μm以上の欠陥(例えば異物)は、ワレの起点を提供する欠陥部位にはならないことが明らかとなっている。これは、薄膜(例えば10μm以下)の偏光子層において数十μm以上の欠陥は、偏光子層の厚み方向に関して、偏光子層の大部分又は全体に置き換わって占有しており、欠陥部に偏光子層がほとんど存在しないことから、当該欠陥部において偏光子層自身の持つ収縮応力は全く働かないか、又は非常に小さいことによるものと推測される。これに対して、本発明が注目している数十μmに満たない視認できないレベルの微小な表面凹凸(例えば、50μm以下の微小な表面凹凸であって、ナノオーダーの微小な表面凹凸も含む凹凸)は、その表面がガラス基板側に配置されるか、その反対側に配置されるかにかかわらず、ヒートショック試験においてワレの要因となり得るものである。
(1)第1保護フィルム貼合工程S40
図5を参照して本工程は、偏光性積層フィルム300の偏光子層5における基材フィルム30’とは反対側の面に第1接着剤層15を介して第1保護フィルム10を貼合して、保護フィルム付偏光性積層フィルム400を得る工程である。偏光性積層フィルム300が基材フィルム30’の両面に偏光子層5を有する場合は通常、両面の偏光子層5上にそれぞれ保護フィルムが貼合される。この場合、これらの保護フィルムは同種の保護フィルムであってもよいし、異種の保護フィルムであってもよい。
第1保護フィルム10を構成する材料は、透光性を有する(好ましくは光学的に透明な)熱可塑性樹脂であることが好ましく、このような樹脂として、例えば、鎖状ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂等)、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂等)のようなポリオレフィン系樹脂;セルローストリアセテート、セルロースジアセテートのようなセルロースエステル系樹脂;ポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;(メタ)アクリル系樹脂;ポリスチレン系樹脂;又はこれらの混合物、共重合物等を挙げることができる。
第1保護フィルム10は、位相差フィルム、輝度向上フィルムのような光学機能を併せ持つ保護フィルムであることもできる。例えば、上記熱可塑性樹脂からなるフィルムを延伸(一軸延伸又は二軸延伸等)したり、該フィルム上に液晶層等を形成したりすることにより、任意の位相差値が付与された位相差フィルムとすることができる。
鎖状ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂のような鎖状オレフィンの単独重合体のほか、2種以上の鎖状オレフィンからなる共重合体を挙げることができる。
環状ポリオレフィン系樹脂は、環状オレフィンを重合単位として重合される樹脂の総称である。環状ポリオレフィン系樹脂の具体例を挙げれば、環状オレフィンの開環(共)重合体、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとエチレン、プロピレンのような鎖状オレフィンとの共重合体(代表的にはランダム共重合体)、及びこれらを不飽和カルボン酸やその誘導体で変性したグラフト重合体、並びにそれらの水素化物等である。中でも、環状オレフィンとしてノルボルネンや多環ノルボルネン系モノマー等のノルボルネン系モノマーを用いたノルボルネン系樹脂が好ましく用いられる。
セルロースエステル系樹脂は、セルロースと脂肪酸とのエステルである。セルロースエステル系樹脂の具体例は、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリプロピオネート、セルロースジプロピオネートを含む。また、これらの共重合物や、水酸基の一部が他の置換基で修飾されたものを用いることもできる。これらの中でも、セルローストリアセテート(トリアセチルセルロース:TAC)が特に好ましい。
ポリエステル系樹脂はエステル結合を有する樹脂であり、多価カルボン酸又はその誘導体と多価アルコールとの重縮合体からなるものが一般的である。多価カルボン酸又はその誘導体としては2価のジカルボン酸又はその誘導体を用いることができ、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ジメチルテレフタレート、ナフタレンジカルボン酸ジメチル等が挙げられる。多価アルコールとしては2価のジオールを用いることができ、例えばエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
ポリエステル系樹脂の具体例は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリシクロへキサンジメチルテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチルナフタレートを含む。
ポリカーボネート系樹脂は、カルボナート基を介してモノマー単位が結合された重合体からなる。ポリカーボネート系樹脂は、ポリマー骨格を修飾したような変性ポリカーボネートと呼ばれる樹脂や、共重合ポリカーボネート等であってもよい。
(メタ)アクリル系樹脂は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を主な構成モノマーとする樹脂である。(メタ)アクリル系樹脂の具体例は、例えば、ポリメタクリル酸メチルのようなポリ(メタ)アクリル酸エステル;メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体;メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体;メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体;(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂等);メタクリル酸メチルと脂環族炭化水素基を有する化合物との共重合体(例えば、メタクリル酸メチル−メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体等)を含む。好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸メチルのようなポリ(メタ)アクリル酸C1-6アルキルエステルを主成分とする重合体が用いられ、より好ましくは、メタクリル酸メチルを主成分(50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%)とするメタクリル酸メチル系樹脂が用いられる。
なお、以上に示した各熱可塑性樹脂についての説明は、基材フィルム30を構成する熱可塑性樹脂についても適用できる。
第1保護フィルム10の偏光子層5とは反対側の表面には、ハードコート層、防眩層、反射防止層、帯電防止層、防汚層のような表面処理層(コーティング層)を形成することもできる。保護フィルム表面に表面処理層を形成する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
第1保護フィルム10の厚みは、偏光板の薄型化の観点から薄いことが好ましいが、薄すぎると強度が低下して加工性に劣る。従って、第1保護フィルム10の厚みは5〜90μm以下が好ましく、より好ましくは5〜60μm、さらに好ましくは5〜50μmである。第1保護フィルム10の厚みが30μm以下であっても、本発明によればヒートショック試験における偏光子層のワレを効果的に抑制することができる。
第1接着剤層15を形成する接着剤としては、例えば水系接着剤又は光硬化性接着剤を用いることができる。水系接着剤としては、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液からなる接着剤、水系二液型ウレタン系エマルジョン接着剤等が挙げられる。とりわけ、第1保護フィルム10としてケン化処理等で表面処理(親水化処理)されたセルロースエステル系樹脂フィルムを用いる場合には、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液からなる水系接着剤を用いることが好ましい。
ポリビニルアルコール系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルをケン化処理して得られるビニルアルコールホモポリマーのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体をケン化処理して得られるポリビニルアルコール系共重合体又はそれらの水酸基を部分的に変性した変性ポリビニルアルコール系重合体等を用いることができる。水系接着剤は、多価アルデヒド、水溶性エポキシ化合物、メラミン系化合物、ジルコニア化合物、亜鉛化合物等の添加剤を含むことができる。
水系接着剤を偏光性積層フィルム300の偏光子層5及び/又は第1保護フィルム10の貼合面に塗工し、これらのフィルムを接着剤層を介して貼合し、好ましくは貼合ロール等を用いて加圧し密着させることにより貼合工程が実施される。水系接着剤(光硬化性接着剤についても同様)の塗工方法は特に制限されず、流延法、マイヤーバーコート法、グラビアコート法、カンマコーター法、ドクタープレート法、ダイコート法、ディップコート法、噴霧法等の従来公知の方法を用いることができる。
水系接着剤を用いる場合、上述の貼合を実施した後、水系接着剤中に含まれる水を除去するためにフィルムを乾燥させる乾燥工程を実施することが好ましい。乾燥は、例えばフィルムを乾燥炉に導入することによって行うことができる。乾燥温度(乾燥炉の温度)は、好ましくは30〜90℃である。30℃未満であると、第1保護フィルム10が偏光子層5から剥離しやすくなる傾向がある。また乾燥温度が90℃を超えると、熱によって偏光子層5の偏光性能が劣化するおそれがある。乾燥時間は10〜1000秒程度とすることができ、生産性の観点からは、好ましくは60〜750秒、より好ましくは150〜600秒である。
乾燥工程後、室温又はそれよりやや高い温度、例えば20〜45℃程度の温度で12〜600時間程度養生する養生工程を設けてもよい。養生温度は、乾燥温度よりも低く設定されるのが一般的である。
光硬化性接着剤とは、紫外線のような光を照射することで硬化する接着剤をいい、例えば、重合性化合物及び光重合開始剤を含むもの、光反応性樹脂を含むもの、バインダー樹脂及び光反応性架橋剤を含むもの等を挙げることができる。重合性化合物としては、光硬化性エポキシ系モノマー、光硬化性アクリル系モノマー、光硬化性ウレタン系モノマーのような光重合性モノマーや、光重合性モノマーに由来するオリゴマーを挙げることができる。光重合開始剤としては、紫外線のような光の照射により中性ラジカル、アニオンラジカル、カチオンラジカルといった活性種を発生する物質を含むものを挙げることができる。重合性化合物及び光重合開始剤を含む光硬化性接着剤として、光硬化性エポキシ系モノマー及び光カチオン重合開始剤を含むものを好ましく用いることができる。
光硬化性接着剤を用いる場合、上述の貼合を実施した後、必要に応じて乾燥工程を行い(光硬化性接着剤が溶媒を含む場合など)、次いで光を照射することによって光硬化性接着剤を硬化させる硬化工程を行う。照射する光は特に限定されないが、波長400nm以下に発光分布を有することが好ましく、具体的には、光源として低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ等が好ましく用いられる。
偏光子層5上に第1保護フィルム10を貼合するにあたり、第1保護フィルム10の貼合面には、偏光子層5との接着性を向上させるために、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理、フレーム(火炎)処理、ケン化処理等の表面処理(易接着処理)を行うことができ、中でも、プラズマ処理、コロナ処理又はケン化処理を行うことが好ましい。例えば第1保護フィルム10が環状ポリオレフィン系樹脂からなる場合、通常プラズマ処理やコロナ処理が行われる。また、セルロースエステル系樹脂からなる場合には、通常ケン化処理が行われる。ケン化処理としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのようなアルカリ水溶液に浸漬する方法が挙げられる。
(2)剥離工程S50
図6を参照して本工程は、第1保護フィルム貼合工程S40の後に、基材フィルム30’を剥離除去する工程である。本工程にて片面保護フィルム付偏光板1が得られる。偏光性積層フィルム300が基材フィルム30’の両面に偏光子層5を有し、これら両方の偏光子層5に保護フィルムを貼合した場合には、この剥離工程S50により、1枚の偏光性積層フィルム300から2枚の片面保護フィルム付偏光板1が得られる。
基材フィルム30’を剥離除去する方法は特に限定されるものでなく、通常の粘着剤付偏光板で行われるセパレータ(剥離フィルム)の剥離工程と同様の方法で剥離できる。基材フィルム30’は、第1保護フィルム貼合工程S40の後、そのまますぐ剥離してもよいし、第1保護フィルム貼合工程S40の後、一度ロール状に巻き取り、その後の工程で巻き出しながら剥離してもよい。
本発明によれば、偏光子層5が形成される面の算術平均粗さRa0が130nm以下である基材フィルム30を用いて偏光性積層フィルム300を製造し、これを用いて偏光板を製造するため、剥離面の算術平均粗さRa1が偏光性積層フィルム300を構成する偏光子層5における基材フィルム30’とは反対側の面の算術平均粗さRa2に近く、すなわち算術平均粗さRa1の小さい片面保護フィルム付偏光板1を得ることができる。この片面保護フィルム付偏光板1は、ヒートショック試験においてワレを生じにくく、急激な温度差に対する耐久性が高い。
ワレを効果的に抑制する観点から、算術平均粗さRa1と算術平均粗さRa2との差は、絶対値で15nm以下であることが好ましく、12nm以下であることがより好ましい。また同様の理由で、算術平均粗さRa1は、55nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましい。
<第2保護フィルム貼合工程S60>
図1及び図7を参照して、片面保護フィルム付偏光板1の剥離面に第2接着剤層25を介して第2保護フィルム20を貼合する本工程を実施すれば、両面保護フィルム付偏光板2を得ることができる。この両面保護フィルム付偏光板2もまた、ヒートショック試験においてワレを生じにくく、急激な温度差に対する耐久性が高いものである。
第2保護フィルム20及びこれを貼合する第2接着剤層25については、第1保護フィルム10及び第1接着剤層15について述べた記述が引用される。第1保護フィルム10と第2保護フィルム20は、互いに同種の保護フィルムであってもよいし、異種の保護フィルムであってもよい。第1接着剤層15と第2接着剤層25は、互いに同種の接着剤から形成されてもよいし、異種の接着剤から形成されてもよい。
以上のようにして得られる片面保護フィルム付偏光板1、両面保護フィルム付偏光板2は、周辺部材を貼合して複合偏光板としたり、このような複合偏光板として使用したりすることができる。周辺部材としては、保護フィルム上に貼合される傷付き防止用のプロテクトフィルム;保護フィルム上(例えば、両面保護フィルム付偏光板2の場合)又は偏光子層5上(例えば、片面保護フィルム付偏光板1の場合)に積層される、偏光板を表示セルや他の光学部材に貼合するための粘着剤層;粘着剤層の外面に積層されるセパレートフィルム;保護フィルム上(例えば、両面保護フィルム付偏光板2の場合)又は偏光子層5上(例えば、片面保護フィルム付偏光板1の場合)に積層される、位相差フィルムのような光学補償フィルムや、その他の光学機能性フィルムが挙げられる。
周辺部材の一例である粘着剤層は、両面保護フィルム付偏光板2にあってはいずれかの保護フィルムの外面に積層することができ、片面保護フィルム付偏光板1にあっては、例えば剥離面に積層することができる。粘着剤層を形成する粘着剤は通常、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、シリコーン系樹脂等をベースポリマーとし、そこに、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物のような架橋剤を加えた粘着剤組成物からなる。さらに微粒子を含有して光散乱性を示す粘着剤層とすることもできる。粘着剤層の厚みは通常、1〜40μmであり、好ましくは3〜25μmである。
また、周辺部材の他の一例である光学機能性フィルムとしては、ある種の偏光光を透過し、それと逆の性質を示す偏光光を反射する反射型偏光フィルム;表面に凹凸形状を有する防眩機能付フィルム;表面反射防止機能付フィルム;表面に反射機能を有する反射フィルム;反射機能と透過機能とを併せ持つ半透過反射フィルム;視野角補償フィルム等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例において算術平均粗さRaは、有限会社センソファージャパンから販売されているPLμ2300を用いて表面画像を得た後、これを付属のソフトウェアを用いて統計処理することで求めた。レンズは20倍、観察面積は636.61μm×477.25μmとした。
<実施例1>
(1)基材フィルムの作製
エチレンユニットを約5重量%含むプロピレン/エチレンのランダム共重合体(住友化学(株)製の「住友ノーブレン W151」、融点Tm=138℃)からなる樹脂層の両面にプロピレンの単独重合体であるホモポリプロピレン(住友化学(株)製の「住友ノーブレンFLX80E4」、融点Tm=163℃)からなる樹脂層を配置した3層構造の基材フィルムを、多層押出成形機を用いた共押出成形により作製した。基材フィルムの合計厚みは90μmであり、各層の厚み比(FLX80E4/W151/FLX80E4)は3/4/3であった。造核剤は使用しなかった。
共押出時の樹脂溶融温度は275℃とし、溶融フィルムの冷却に用いるチルロールの温度は25℃としたため、冷却時の温度差は250℃であった。また、ポリビニルアルコール系樹脂層が形成される側の基材フィルム面は、算術平均粗さRa0が55.0nmであった。
(2)プライマー層形成工程
ポリビニルアルコール粉末(日本合成化学工業(株)製の「Z−200」、平均重合度1100、ケン化度99.5モル%)を95℃の熱水に溶解し、濃度3重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。得られた水溶液に架橋剤(田岡化学工業(株)製の「スミレーズレジン650」)をポリビニルアルコール粉末6重量部に対して5重量部の割合で混合して、プライマー層形成用塗工液を得た。
次に、上記(1)で作製した基材フィルムの片面(算術平均粗さRa0が55.0nmである面)にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面にマイクログラビアコーターを用いて上記プライマー層形成用塗工液を塗工し、80℃で10分間乾燥させることにより、厚み0.2μmのプライマー層を形成した。
(3)積層フィルムの作製(樹脂層形成工程)
ポリビニルアルコール粉末((株)クラレ製の「PVA124」、平均重合度2400、ケン化度98.0〜99.0モル%)を95℃の熱水に溶解し、濃度8重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製し、これをポリビニルアルコール系樹脂層形成用塗工液とした。
上記(2)で作製したプライマー層を有する基材フィルムのプライマー層表面にリップコーターを用いて上記ポリビニルアルコール系樹脂層形成用塗工液を塗工した後、80℃で20分間乾燥させることにより、プライマー層上にポリビニルアルコール系樹脂層を形成し、基材フィルム/プライマー層/ポリビニルアルコール系樹脂層からなる積層フィルムを得た。
(4)延伸フィルムの作製(延伸工程)
上記(3)で作製した積層フィルムに対して、フローティングの縦一軸延伸装置を用いて160℃で5.8倍の自由端一軸延伸を実施し、延伸フィルムを得た。延伸後のポリビニルアルコール系樹脂層の厚みは6.2μmであった。
(5)偏光性積層フィルムの作製(染色工程)
上記(4)で作製した延伸フィルムを、ヨウ素とヨウ化カリウムとを含む30℃の染色水溶液(水100重量部あたりヨウ素を0.6重量部、ヨウ化カリウムを10重量部含む。)に約180秒間浸漬してポリビニルアルコール系樹脂層の染色処理を行った後、10℃の純水で余分な染色水溶液を洗い流した。
次に、ホウ酸を含む78℃の第1架橋水溶液(水100重量部あたりホウ酸を9.5重量部含む。)に120秒間浸漬し、次いで、ホウ酸及びヨウ化カリウムを含む70℃の第2架橋水溶液(水100重量部あたりホウ酸を9.5重量部、ヨウ化カリウムを4重量部含む。)に60秒間浸漬して架橋処理を行った。その後、10℃の純水で10秒間洗浄し、最後に40℃で300秒間乾燥させることにより、基材フィルム/プライマー層/偏光子層からなる偏光性積層フィルムを得た。
得られた偏光性積層フィルムにおいて、偏光子層における基材フィルムとは反対側の面の算術平均粗さRa2を測定したところ、38.5nmであった。
(6)偏光板の作製(保護フィルム貼合工程及び剥離工程)
ポリビニルアルコール粉末((株)クラレ製の「KL−318」、平均重合度1800)を95℃の熱水に溶解し、濃度3重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。得られた水溶液に架橋剤(田岡化学工業(株)製の「スミレーズレジン650」)をポリビニルアルコール粉末2重量部に対して1重量部の割合で混合し、接着剤水溶液とした。
次に、上記(5)で作製した偏光性積層フィルムの偏光子層における基材フィルムとは反対側の面に上記接着剤水溶液を塗工した後、保護フィルム〔トリアセチルセルロース(TAC)からなる透明保護フィルム(コニカミノルタオプト(株)製の「KC4UY」)、厚み40μm〕を貼合し、80℃のオーブンで2分間乾燥させて、基材フィルム/プライマー層/偏光子層/接着剤層/保護フィルムからなる保護フィルム付偏光性積層フィルムを得た。
次いで、保護フィルム付偏光性積層フィルムから基材フィルムを剥離除去した。基材フィルムは容易に剥離され、片面保護フィルム付偏光板を得た。偏光子層の厚みは6.7μmであった。
得られた片面保護フィルム付偏光板において、基材フィルムの剥離除去によって現れた剥離面の算術平均粗さRa1を測定したところ、38.7nmであった。最後に、この剥離面にアクリル系の粘着剤層を設けて、粘着剤層付偏光板とした。
<実施例2>
表層となる2つのホモポリプロピレン層に、高密度ポリエチレンからなる造核剤をホモポリプロピレンに対して1重量%添加したこと以外は実施例1と同様にして基材フィルムを作製し、この基材フィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にして粘着剤層付偏光板を作製した。
<実施例3>
表層となる2つのホモポリプロピレン層に、高密度ポリエチレンからなる造核剤をホモポリプロピレンに対して2重量%添加したこと以外は実施例1と同様にして基材フィルムを作製し、この基材フィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にして粘着剤層付偏光板を作製した。
<比較例1>
共押出時の樹脂溶融温度は265℃としたこと以外は実施例3と同様にして基材フィルムを作製し、この基材フィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にして粘着剤層付偏光板を作製した。
<比較例2>
表層となる2つのホモポリプロピレン層に、高密度ポリエチレンからなる造核剤をホモポリプロピレンに対して3重量%添加したこと以外は比較例1と同様にして基材フィルムを作製し、この基材フィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にして粘着剤層付偏光板を作製した。
<比較例3>
共押出時の樹脂溶融温度は260℃としたこと以外は比較例2と同様にして基材フィルムを作製し、この基材フィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にして粘着剤層付偏光板を作製した。
基材フィルム作製時の造核剤の添加量、冷却時の温度差、並びに算術平均粗さRa0、Ra1及びRa2を表1にまとめた。
〔ヒートショック試験〕
実施例・比較例で得られた偏光板を4.4“サイズ(50mm×100mm)にチップカットし、これをその粘着剤層を用いてコーニングガラスに貼合した。このガラス貼合サンプルを50枚用意し、それらを冷熱衝撃試験機に入れ、「−40℃の槽で30分間保持した後、瞬時に85℃の槽に移して30分間保持する」操作を1サイクルとし、これを400サイクル繰り返すヒートショック試験を実施した。50枚のサンプルにおける偏光子層のワレの個数を目視でカウントし、ワレの個数を1m2あたりの個数に換算した。試験途中、100サイクル、250サイクル経過時にサンプルを取り出し、同様にして1m2あたりのワレの個数を求めた。結果を表1に示す。
得られた片面保護フィルム付偏光板の保護フィルム側にアクリル系の粘着剤層を設けて粘着剤層付偏光板とし、上と同様にしてヒートショック試験を実施しても、ワレの個数は、それぞれ実施例1〜3、比較例1〜3と実質的に同じであった。