JP6476611B2 - 非水電解液電池用電解液、及びこれを用いた非水電解液電池 - Google Patents

非水電解液電池用電解液、及びこれを用いた非水電解液電池 Download PDF

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Description

本発明は、溶質として少なくともヘキサフルオロリン酸リチウムを含有する非水電解液電池用電解液及びそれを用いた非水電解液電池に関するものである。
近年、情報関連機器、通信機器、即ちパソコン、ビデオカメラ、デジタルスチールカメラ、携帯電話等の小型、高エネルギー密度用途向けの蓄電システムや電気自動車、ハイブリッド車、燃料電池車補助電源、電力貯蔵等の大型、パワー用途向けの蓄電システムが注目を集めている。その一つの候補としてリチウムイオン電池、リチウム電池、リチウムイオンキャパシタ等の非水電解液電池が盛んに開発されている。
このような非水電解液電池の一つの問題点として、電池の使用中の電解液に含まれる成分の電気化学的な分解反応に伴うガス発生による電池の膨れやそれに伴う電池特性の低下がある。
本出願人は、先に、電解液に含まれる成分の電気化学的な分解反応に伴うガス発生を抑制することにより、電池特性を損なうことなく、非水電解液電池の高温サイクル特性や45℃以上の高温保存性等の耐久性を向上させるための非水電解液電池用電解液に関する発明を特許出願した(特許文献1)。
この電解液は、
非水有機溶媒と溶質を含む非水電解液電池用電解液において、
添加剤として、ビス(オキサラト)ホウ酸塩、ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸塩、トリス(オキサラト)リン酸塩、ジフルオロビス(オキサラト)リン酸塩、テトラフルオロ(オキサラト)リン酸塩からなる第一化合物群から選ばれた少なくとも一つの化合物と、
所定の構造を有する、スルホン酸エステル基を有するイミド塩、及び、所定の構造を有する、ホスホリル基を有するイミド塩からなる第二化合物群から選ばれた少なくとも一つの化合物を含むことを特徴とする。
特開2013−051122号公報
前記の非水電解液電池用電解液を用いると、電解液に含まれる成分の電気化学的な分解反応に伴うガス発生を抑制することで、電池性能を損なうことなく、非水電解液電池の高温サイクル特性や45℃以上の高温保存性等の耐久性を向上させることができるが、電池として用いた際のガス発生量は少ないほど望ましく、電池特性を損なうことなくガス発生量をより抑制できる非水電解液電池用電解液が求められる場合がある。
本発明は、非水電解液電池に用いた場合に電池特性を損なうことなく、充放電サイクル時のガス発生量をより抑制することができる、非水電解液電池用電解液、及びこれを用いた非水電解液電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、かかる問題に鑑み鋭意検討の結果、
非水溶媒と溶質とを含む非水電解液電池用非水電解液において、
溶質として少なくともヘキサフルオロリン酸リチウムを含有し、
リン原子に少なくとも1つのフッ素原子が結合したホスホリル基を有するイミド塩を少なくとも一つ含有し、
ビス(オキサラト)ホウ酸塩、ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸塩、トリス(オキサラト)リン酸塩、ジフルオロビス(オキサラト)リン酸塩、及びテトラフルオロ(オキサラト)リン酸塩を実質的に含有しない、非水電解液電池用電解液とすると、
該電解液を非水電解液電池に用いた場合に、電池特性(サイクル特性や内部抵抗特性)を損なうことなく、ガス発生量をより抑制することができることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、非水溶媒と溶質とを含む非水電解液電池用非水電解液において、
溶質として少なくともヘキサフルオロリン酸リチウムを含有し、
一般式(I)で示されるホスホリル基を有するイミド塩(以降、単に「イミド塩」と記載する場合がある)を少なくとも一つ含有し、
ビス(オキサラト)ホウ酸塩、ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸塩、トリス(オキサラト)リン酸塩、ジフルオロビス(オキサラト)リン酸塩、及びテトラフルオロ(オキサラト)リン酸塩を実質的に含有しないことを特徴とする、非水電解液電池用電解液である。
Figure 0006476611
[式中、R〜R はそれぞれ互いに独立して、フッ素原子、又は−ORで示される有機基;Rは炭素数1〜10の直鎖あるいは分岐状のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基、炭素数が3〜10のシクロアルキル基又はシクロアルケニル基、及び、炭素数が6〜10のアリール基から選ばれる少なくとも1つの有機基であり、その有機基中にフッ素原子、酸素原子、不飽和結合が存在することもできる。Mはアルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、又はオニウムカチオンで、mは該当するカチオンの価数と同数の整数を表す。但し、R〜Rの少なくとも一つはフッ素原子を示す。]
上記一般式(I)で示されるイミド塩において、P−F結合が多いほど、該イミド塩を含有する電解液を非水電解液電池に用いた場合に、優れたサイクル特性及び内部抵抗特性を発揮しやすいため、上記一般式(I)で示されるイミド塩が、R〜Rが全てフッ素原子である化合物であることが好ましい。
また、上記一般式(I)で示されるイミド塩が、Rで表される有機基がフッ素原子を含んでいてもよい炭素数6以下の炭化水素基から選ばれる少なくとも1つの基である化合物であることが好ましい。
また、上記一般式(I)で示されるイミド塩が、Rで表される基が、メチル基、エチル基、プロピル基、ビニル基、アリル基、エチニル基、2−プロピニル基、フェニル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、及び1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル基から選ばれる少なくとも1つの基である化合物であることが好ましい。
上記一般式(I)で示されるイミド塩の対カチオンが、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、及びテトラアルキルアンモニウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも一つの対カチオンであることが好ましい。
上記一般式(I)で示されるイミド塩の添加量が、非水電解液電池用電解液の総量に対して0.01〜5.0質量%の範囲であることが好ましい。
上記一般式(I)で示されるイミド塩は、高純度であることが好ましく、特にCl(塩素)の含有量が5000質量ppm以下であることが好ましく、特には1000質量ppm以下であることがさらに好ましい。
また、上記溶質として、さらに、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)、ビス(フルオロスルホニル)イミドリチウム(LiN(FSO)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CFSO)、及びジフルオロリン酸リチウム(LiPO)からなる群から選ばれる少なくとも一つを含有させてもよい。
また、上記非水溶媒が、環状カーボネート、鎖状カーボネート、環状エステル、鎖状エステル、環状エーテル、鎖状エーテル、スルホン化合物、スルホキシド化合物、及びイオン液体からなる群から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。
また、本発明は、少なくとも正極と、負極と、非水電解液電池用電解液とを備えた非水電解液電池において、該非水電解液電池用電解液が上記の非水電解液電池用電解液であることを特徴とする、非水電解液電池である。
本発明の電解液は、非水電解液電池に用いた場合に、高温充放電サイクル時のガス発生量を大幅に抑制することが可能となり、ガス発生に伴う電池特性(サイクル特性、内部抵抗特性)の劣化を抑制できる。
以下、本発明について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は本発明の実施形態の一例であり、これらの具体的内容に限定はされない。その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本発明の非水電解液電池用電解液は、非水溶媒と溶質とを含む非水電解液電池用非水電解液において、
溶質として少なくともヘキサフルオロリン酸リチウムを含有し、
上記一般式(I)で示されるホスホリル基を有するイミド塩を少なくとも一つ含有し、
ビス(オキサラト)ホウ酸塩、ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸塩、トリス(オキサラト)リン酸塩、ジフルオロビス(オキサラト)リン酸塩、及びテトラフルオロ(オキサラト)リン酸塩を実質的に含有しないことを特徴とする、非水電解液電池用電解液である。
上記電解液が、ビス(オキサラト)ホウ酸塩、ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸塩、トリス(オキサラト)リン酸塩、ジフルオロビス(オキサラト)リン酸塩、及びテトラフルオロ(オキサラト)リン酸塩を実質的に含有しないことにより、該電解液を非水電解液電池に用いた場合に、ガス発生量をより抑制することができる。なお、「実質的に含有しない」とは、電解液中の上記の化合物の総量の濃度が100質量ppm以下であることを意味する。
上記一般式(I)において、Rで表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、第二ブチル基、第三ブチル基、ペンチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、及び1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル基等の炭素原子数1〜10のアルキル基又は含フッ素アルキル基が挙げられ、アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、及び1,3−ブジエニル基等の炭素原子数2〜8のアルケニル基又は含フッ素アルケニル基が挙げられ、アルキニル基としては、エチニル基、2−プロピニル基、及び1,1ジメチル−2−プロピニル基等の炭素原子数2〜8のアルキニル基又は含フッ素アルキニル基が挙げられ、シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基等の炭素数が3〜10のシクロアルキル基又は含フッ素シクロアルキル基が挙げられ、シクロアルケニル基としては、シクロペンテニル基、及びシクロヘキセニル基等の炭素数が3〜10のシクロアルケニル基又は含フッ素シクロアルケニル基が挙げられ、アリール基としては、フェニル基、トリル基、及びキシリル基等の炭素原子数6〜10のアリール基又は含フッ素アリール基が挙げられる。
上記一般式(I)で表されるイミド塩の陰イオンとしては、より具体的には、例えば以下の化合物No.1〜No.10等が挙げられる。但し、本発明で用いられるイミド塩は、以下の例示により何ら制限を受けるものではない。
化合物No.1
Figure 0006476611
化合物No.2
Figure 0006476611
化合物No.3
Figure 0006476611
化合物No.4
Figure 0006476611
化合物No.5
Figure 0006476611
化合物No.6
Figure 0006476611
化合物No.7
Figure 0006476611
化合物No.8
Figure 0006476611
化合物No.9
Figure 0006476611
化合物No.10
Figure 0006476611
また、上記一般式(I)において、R〜Rの少なくとも一つはフッ素原子であることが重要である。理由は定かではないが、少なくとも一つはフッ素原子でないと該電解液を用いた電池の内部抵抗を抑制する効果が十分でない。
上記一般式(I)において、Rで表される有機基は、フッ素原子を含んでいてもよい炭素数6以下の炭化水素基から選ばれる少なくとも1つの基であることが好ましい。炭素数が多いと電極上に皮膜を形成した際の内部抵抗が比較的大きい傾向がある。炭素数が6以下であると、上記の内部抵抗がより小さい傾向があるため好ましく、特にメチル基、エチル基、プロピル基、ビニル基、アリル基、エチニル基、2−プロピニル基、フェニル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、及び1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル基から選ばれる少なくとも1つの基であると、サイクル特性及び内部抵抗特性により優れた非水電解液電池を得られるため好ましい。
上記一般式(I)で示されるイミド塩は、高純度であることが好ましく、特にCl(塩素)の含有量が5000質量ppm以下であることが好ましく、より好ましくは1000質量ppm以下、さらに好ましくは100質量ppm以下である。Cl(塩素)が高濃度に残留するイミド塩を用いると電池部材を腐食させてしまう傾向があるため好ましくない。
上記一般式(I)で示されるイミド塩の製造法としては、R〜Rがすべてフッ素原子であるイミド塩(化合物No.1)は、例えば、Z. Anorg. Allg. Chem. 412(1), 65−70, (1975年)に記載されている。R〜Rの少なくとも一つが、−ORで示される有機基を有するイミド塩は、例えば、化合物No.1に、対応するアルコール(HOR)と塩基を加えて反応させることで得ることができる。
また、本発明の電解液は、高温保存に対して、溶質であるヘキサフルオロリン酸リチウムの分解を抑制することができる傾向がある。ヘキサフルオロリン酸リチウムの熱安定性を向上させる効果が発現しやすいため、上記一般式(I)で示されるイミド塩において、R〜Rの少なくとも一つはフッ素原子であることが好ましい。
本発明の電解液におけるヘキサフルオロリン酸リチウムの分解を抑制する作用機構については明確ではないが、上記イミド塩と、ヘキサフルオロリン酸リチウムの分解生成物である五フッ化リンとの相互作用によるものと考えられる。ヘキサフルオロリン酸リチウムの熱分解はまず下記反応式のような平衡反応による五フッ化リンとフッ化リチウムへの分解が起こることが知られている。
LiPF6 ⇔ PF5 + LiF
上記イミド塩を含有していない電解液では、この五フッ化リンがさらに溶媒や溶媒中に少量含まれているアルコールや水分と反応することで、電解液の着色やフッ酸の生成が起こる。五フッ化リンが反応消費されることで、さらに上記反応式の平衡が右に傾きヘキサフルオロリン酸リチウムの分解が進行すると推定される。従って、上記イミド塩を含有していない電解液では、上記のような熱分解によって生じた分解物による電解液の着色や、フッ化水素の発生等の電解液の変性が起こり、電池への悪影響を生じる恐れがある。上記イミド塩は五フッ化リンと相互作用することで、五フッ化リンが上記反応式以外の反応を生じることを抑制するため、上記反応式の平衡が右に傾くことを防ぎ、ヘキサフルオロリン酸リチウムの熱安定性が向上すると推定される。
また、本発明による電池特性向上の作用機構については、明確ではないが、上記イミド塩は溶液中でイオン解離度の大きい塩であるため、電解液のイオン伝導度の低下を招くことはないため抵抗を上昇させることはない。また、イミド塩のリンにフッ素原子が結合するとその電子吸引効果により陰イオン中の電子の非局在化が生じイオン解離度をさらに大きくすることが可能となる。また、本発明によるイミド塩は正極と電解液との界面、及び負極と電解液との界面において一部分解し、皮膜を形成すると考えられる。この皮膜は、非水溶媒や溶質と活物質との間の直接の接触を抑制して非水溶媒や溶質の分解を防ぎ、電池性能の劣化を抑制する。メカニズムは定かではないが、イミド塩のリンにフッ素原子が結合するとその電子吸引効果により形成した皮膜の電荷に偏りが生じ、リチウム導電性の高い、すなわち抵抗の小さい皮膜となっていると考えられる。上記の効果は、一般式(I)で示されるイミド塩において、P−F結合が多いほど、大きくなる傾向がある。
本発明で用いるイミド塩の好適な添加量は、非水電解液の総量に対して0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、また、上限は5.0質量%以下、好ましくは4.0質量%以下、さらに好ましくは3.0質量%以下である。上記添加量が0.01質量%を下回ると、電池特性を向上させる効果が十分に得られ難いため好ましくない。一方、上記添加量が5.0質量%を超えると、それ以上の効果は得られずに無駄であるだけでなく、過剰な皮膜形成により抵抗が増加し電池性能の劣化を引き起こし易いため好ましくない。これらのイミド塩は、5.0質量%を超えない範囲であれば一種類を単独で用いても良く、二種類以上を用途に合わせて任意の組み合わせ、比率で混合して用いても良い。
本発明の非水電解液電池用電解液に用いる非水溶媒の種類は、特に限定されず、任意の非水溶媒を用いることができる。具体例としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート、γ―ブチロラクトン、γ―バレロラクトン等の環状エステル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等の鎖状エステル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル、ジメトキシエタン、ジエチルエーテル等の鎖状エーテル、ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホン化合物やスルホキシド化合物等が挙げられる。また、非水溶媒とはカテゴリーが異なるがイオン液体等も挙げることができる。また、本発明に用いる非水溶媒は、一種類を単独で用いても良く、二種類以上を用途に合わせて任意の組み合わせ、比率で混合して用いても良い。これらの中ではその酸化還元に対する電気化学的な安定性と熱や上記溶質との反応に関わる化学的安定性の観点から、特にプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートが好ましい。
本発明の非水電解液電池用電解液に用いるヘキサフルオロリン酸リチウムと共存させることのあるその他の溶質の種類は、特に限定されず、従来公知のリチウム塩を用いることができる。具体例としては、LiBF、LiClO、LiAsF、LiSbF、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(FSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiC(CFSO、LiPF(C、LiB(CF、LiBF(C)、及びLiPOなどに代表される電解質リチウム塩が挙げられる。これらの溶質は、一種類を単独で用いても良く、二種類以上を用途に合わせて任意の組み合わせ、任意の比率で混合して用いても良い。中でも、電池としてのエネルギー密度、出力特性、寿命等から考えると、LiBF、LiN(CFSO、LiN(FSO、LiN(CSO、及びLiPOが好ましい。
これら溶質の好適な濃度(ヘキサフルオロリン酸リチウムと合わせた濃度)については、特に制限はないが、下限は0.5mol/L以上、好ましくは0.7mol/L以上、さらに好ましくは0.9mol/L以上であり、また、上限は2.5mol/L以下、好ましくは2.0mol/L以下、さらに好ましくは1.5mol/L以下の範囲である。0.5mol/Lを下回るとイオン伝導度が低下することにより非水電解液電池のサイクル特性、出力特性が低下する傾向があり、一方、2.5mol/Lを超えると非水電解液電池用電解液の粘度が上昇することにより、やはりイオン伝導度を低下させる傾向があり、非水電解液電池のサイクル特性、出力特性を低下させる恐れがある。
一度に多量の該溶質を非水溶媒に溶解すると、溶質の溶解熱のため非水電解液の温度が上昇することがある。該液温が著しく上昇すると、フッ素原子を含有するリチウム塩の分解が促進されてフッ化水素が生成する恐れがある。フッ化水素は電池性能の劣化の原因となるため好ましくない。このため、該溶質を非水溶媒に溶解する際の液温は特に限定されないが、−20〜80℃が好ましく、0〜60℃がより好ましい。
以上が本発明の非水電解液電池用電解液の基本的な構成についての説明であるが、本発明の要旨を損なわない限りにおいて、本発明の非水電解液電池用電解液に一般的に用いられる添加剤を任意の比率で添加しても良い。具体例としては、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、t−ブチルベンゼン、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、ジフルオロアニソール、フルオロエチレンカーボネート、プロパンサルトン、ジメチルビニレンカーボネート等の過充電防止効果、負極皮膜形成効果や正極保護効果を有する化合物が挙げられる。また、リチウムポリマー電池と呼ばれる非水電解液電池に使用される場合のように非水電解液電池用電解液をゲル化剤や架橋ポリマーにより擬固体化して使用することも可能である。
次に本発明の非水電解液電池の構成について説明する。本発明の非水電解液電池は、上記の本発明の非水電解液電池用電解液を用いることが特徴であり、その他の構成部材には一般の非水電解液電池に使用されているものが用いられる。即ち、リチウムの吸蔵及び放出が可能な正極及び負極、集電体、セパレータ、容器等から成る。
負極材料としては、特に限定されないが、リチウム金属、リチウムと他の金属との合金又は金属間化合物や種々のカーボン材料、人造黒鉛、天然黒鉛、金属酸化物、金属窒化物、スズ(単体)、スズ化合物、ケイ素(単体)、ケイ素化合物、活性炭、導電性ポリマー等が用いられる。
正極材料としては、特に限定されないが、リチウム電池及びリチウムイオン電池の場合、例えば、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiMn等のリチウム含有遷移金属複合酸化物、それらのリチウム含有遷移金属複合酸化物のCo、Mn、Ni等の遷移金属が複数混合したもの、それらのリチウム含有遷移金属複合酸化物の遷移金属の一部が他の遷移金属以外の金属に置換されたもの、オリビンと呼ばれるLiFePO、LiCoPO、LiMnPO等の遷移金属のリン酸化合物、TiO、V、MoO等の酸化物、TiS、FeS等の硫化物、あるいはポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、及びポリピロール等の導電性高分子、活性炭、ラジカルを発生するポリマー、カーボン材料等が使用される。
正極や負極材料には、導電材としてアセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、黒鉛、結着材としてポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、SBR樹脂等が加えられ、シート状に成型されることにより電極シートにすることができる。
正極と負極の接触を防ぐためのセパレータとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン、紙、及びガラス繊維等で作られた不織布や多孔質シートが使用される。
以上の各要素からコイン形、円筒形、角形、アルミラミネートシート型等の形状の非水電解液電池が組み立てられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はかかる実施例により限定されるものではない。
[実施例1−1]
非水電解液の調製条件を表1に、電解液の保存安定性評価結果を表2に、該電解液を用いた電池の評価結果を表3に示す。なお、表3中の電池のサイクル特性、内部抵抗特性及びガス発生量のそれぞれの値は、調製後1ヶ月静置前の電解液No.33を用いて作製したラミネートセルのサイクル試験後の放電容量維持率と内部抵抗、及びサイクル特性評価に伴うガス発生量をそれぞれ100としたときの相対値である。
非水溶媒としてエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートの体積比1:2の混合溶媒を用い、該溶媒中に溶質としてLiPFを1.0mol/L、添加剤として上記イミド化合物No.1のリチウム塩(該イミド塩中のCl含有量は90質量ppm)を0.03質量%の濃度となるように溶解し、非水電解液電池用電解液を調製した。上記の調製は、液温を20〜30℃の範囲に維持しながら行った。なお、電解液中の、ビス(オキサラト)ホウ酸塩、ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸塩、トリス(オキサラト)リン酸塩、ジフルオロビス(オキサラト)リン酸塩、及びテトラフルオロ(オキサラト)リン酸塩の総量の濃度は100質量ppm未満であった。
[電解液の保存安定性評価]
調製した電解液をアルゴン雰囲気下において75℃にて1か月間静置する前後で、電解液の着色と電解液中の遊離酸量を測定することで、溶質であるヘキサフルオロリン酸リチウムの分解抑制効果を評価した。電解液の色相評価は石油製品色試験機(OME−2000日本電色工業株式会社製)を用いて評価した。測定試料は調製後貯蔵1日以内の電解液(75℃静置前の電解液)と調製後75℃静置1か月後の電解液である。
電解液の遊離酸測定は、中和滴定にて行った。測定試料は調製後1日以内の電解液(75℃静置前の電解液)と調製後75℃静置1か月後の電解液である。遊離酸の測定は室温にて行った。滴定指示薬は0.1w/v%ブロモフェノールブルーエタノール(50%)溶液を用いた。
[電池特性評価]
調製後1日以内の電解液を用いてLiNi1/3Co1/3Mn1/3を正極材料、黒鉛を負極材料としてセルを作成し、実際に電池のサイクル特性、内部抵抗特性を評価した。試験用セルは以下のように作成した。
LiNi1/3Co1/3Mn1/3粉末90質量%にバインダーとして5質量%のポリフッ化ビニリデン(PVDF)、導電材としてアセチレンブラックを5質量%混合し、さらにN−メチルピロリドンを添加し、ペースト状にした。このペーストをアルミニウム箔上に塗布して、乾燥させることにより、試験用正極体とした。また、黒鉛粉末90質量%に、バインダーとして10質量%のポリフッ化ビニリデン(PVDF)を混合し、さらにN−メチルピロリドンを添加し、スラリー状にした。このスラリーを銅箔上に塗布して、120℃で12時間乾燥させることにより、試験用負極体とした。そして、ポリエチレン製セパレータに電解液を浸み込ませてアルミラミネート外装の50mAhセルを組み立てた。
[高温サイクル特性]
上記のセルを用いて、75℃の環境温度での充放電試験を実施し、サイクル特性を評価した。充電、放電ともに電流密度3.5mA/cmで行い、充電は、4.3Vに達した後、1時間4.3Vを維持、放電は、3.0Vまで行い、充放電サイクルを繰り返した。そして、500サイクル後の放電容量維持率でセルの劣化の具合を評価した(サイクル特性評価)。放電容量維持率は下記式で求めた。
<500サイクル後の放電容量維持率>
放電容量維持率(%)=(500サイクル後の放電容量/初放電容量)×100
[内部抵抗特性(25℃)]
サイクル試験後のセルを25℃の環境温度で、電流密度0.35mA/cmで4.3Vまで充電した後に、電池の内部抵抗を測定した。
[ガス発生量]
上記高温サイクル特性試験の前後において、シリコンオイルを用いた浮力法によりセルの容積の増大量を見積もることで、ガス発生量を評価した。
Figure 0006476611
[実施例1−2〜1−29]
表1に示す非水電解液の調製条件に従う以外は実施例1−1と同様の手順で非水電解液を調製した。なお、実施例で用いたイミド塩中のCl含有量は、すべて約90質量ppmであった。また、実施例1−24〜1−29は、上記実施例1−1において、イミド塩及びヘキサフルオロリン酸リチウム以外のその他の電解質(以降、単に「その他の電解質」と記載する場合がある)を含有させた電解液に関する実験例である。なお、実施例1−2〜1−29において、電解液中の、ビス(オキサラト)ホウ酸塩、ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸塩、トリス(オキサラト)リン酸塩、ジフルオロビス(オキサラト)リン酸塩、及びテトラフルオロ(オキサラト)リン酸塩の総量の濃度は100質量ppm未満であった。表2に電解液の保存安定性評価結果を示し、表3に該電解液を用いた電池の評価結果を示す。
[比較例1−1〜1−10]
表1に示す非水電解液の調製条件に従う以外は実施例1−1と同様の手順で非水電解液を調製した。なお、比較例1−1〜1−3は、それぞれ、イミド塩として下記の化合物No.11、No.12のリチウム塩を用いるか、代わりに化合物No.13(アミド化合物)を用いた電解液に関する実験例であり、比較例1−4は、イミド塩及びその他の電解質ともに添加せずに、それ以外は、上記実施例1−1と同様に調製した電解液に関する実験例である。なお、比較例1−1〜1−4において、電解液中の、ビス(オキサラト)ホウ酸塩、ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸塩、トリス(オキサラト)リン酸塩、ジフルオロビス(オキサラト)リン酸塩、及びテトラフルオロ(オキサラト)リン酸塩の総量の濃度は100質量ppm未満であった。また、比較例1−5〜1−10は、その他の電解質として、それぞれ、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム、ジフルオロビス(オキサラト)リン酸リチウム、テトラフルオロ(オキサラト)リン酸リチウム、ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウム、及びトリス(オキサラト)リン酸リチウムを含有させた電解液に関する実験例である。なお、比較例で用いたイミド塩中のCl含有量は、すべて約90質量ppmであった。表2に電解液の保存安定性評価結果を示し、表3に該電解液を用いた電池の評価結果を示す。
化合物No.11
Figure 0006476611
化合物No.12
Figure 0006476611
化合物No.13
Figure 0006476611
Figure 0006476611
Figure 0006476611
以上の結果を比較すると、上記一般式(I)で示されるイミド塩を含有する場合において、調製後75℃の高温で静置しても遊離酸の増加量、色相の変化量が抑制される傾向が見られた。イミド塩を含まない場合(比較例1−4)やP−F結合を含まないイミド塩やアミド化合物を用いた場合(比較例1−1〜1−3)では、サイクル特性(サイクル試験後の容量維持率)が比較的低く内部抵抗が比較的高い。それに対して、P−F結合を含有するイミド塩を用いた場合では、良好なサイクル特性と内部抵抗特性を示した。また、これらイミド塩とその他の電解質を併用した場合においても、良好なサイクル特性と内部抵抗特性を示した。さらに、実施例1−1〜1−29では、サイクル試験後のガス発生量が、比較例1−5〜1−10に比べてより抑制されていることが確認できた。
従って、本発明の電解液は、非水電解液電池に用いた場合に、電池特性を損なうことなく、ガス発生量をより抑制できるものである。
[実施例2−1〜2−8、比較例2−1〜2−4]
表4に、実施例1−1で用いた負極体を変更した電池の評価結果を示す。非水電解液電池用電解液として、非水電解液No.5、9、12、19、33又は34を用いて、実施例1−1と同様に、サイクル特性、内部抵抗特性、ガス発生量を評価した。なお、負極活物質がLiTi12である実施例2−1〜2−4、及び比較例2−1、2−2において、負極体は、LiTi12粉末90質量%に、バインダーとして5質量%のポリフッ化ビニリデン(PVDF)、導電剤としてアセチレンブラックを5質量%混合し、さらにN−メチルピロリドンを添加し、得られたペーストを銅箔上に塗布して、乾燥させることにより作製し、電池評価の際の充電終止電圧を2.7V、放電終止電圧を1.5Vとした。なお、実施例2−1〜2−4、及び比較例2−2において、電池のサイクル特性、内部抵抗特性及びガス発生量のそれぞれの値は、調製後1ヶ月静置前の電解液No.33を用いて作製したラミネートセルのサイクル試験後の放電容量維持率、内部抵抗、及びサイクル特性評価に伴うガス発生量をそれぞれ100としたとき(比較例2−1)の相対値である。また、負極活物質が黒鉛(ケイ素含有)である実施例2−5〜2−8、及び比較例2−3、2−4において、負極体は、黒鉛粉末80質量%に、ケイ素粉末10質量%、バインダーとして10質量%のポリフッ化ビニリデン(PVDF)を混合し、さらにN−メチルピロリドンを添加し、得られたペーストを銅箔上に塗布して、乾燥させることにより作製し、電池評価の際の充電終止電圧と放電終止電圧は実施例1−1と同様とした。なお、実施例2−5〜2−8、及び比較例2−4において、電池のサイクル特性、内部抵抗特性及びガス発生量のそれぞれの値は、調製後1ヶ月静置前の電解液No.33を用いて作製したラミネートセルのサイクル試験後の放電容量維持率、内部抵抗、及びサイクル特性評価に伴うガス発生量をそれぞれ100としたとき(比較例2−3)の相対値である。
Figure 0006476611
[実施例3−1〜3−4、比較例3−1〜3−2]
表4に、実施例1−1で用いた正極体を変更した電池の評価結果を示す。非水電解液電池用電解液として、非水電解液No.5、9、12、19、33又は34を用いて、実施例1−1と同様に、サイクル特性、内部抵抗特性、ガス発生量を評価した。なお、正極活物質がLiCoOである正極体は、LiCoO粉末90質量%にバインダーとして5質量%のポリフッ化ビニリデン(PVDF)、導電材としてアセチレンブラックを5質量%混合し、さらにN−メチルピロリドンを添加し、得られたペーストをアルミニウム箔上に塗布して、乾燥させることにより作製した。電池評価の際の充電終止電圧を4.2V、放電終止電圧を3.0Vとした。なお、実施例3−1〜3−4、及び比較例3−2において、電池のサイクル特性、内部抵抗特性及びガス発生量のそれぞれの値は、調製後1ヶ月静置前の電解液No.33を用いて作製したラミネートセルのサイクル試験後の放電容量維持率、内部抵抗、及びサイクル特性評価に伴うガス発生量をそれぞれ100としたとき(比較例3−1)の相対値である。
[実施例4−1〜4−4、比較例4−1〜4−2]
表4に、実施例1−1で用いた正極体を変更した電池の評価結果を示す。非水電解液電池用電解液として、非水電解液No.5、9、12、19、33又は34を用いて、実施例1−1と同様に、サイクル特性、内部抵抗特性、ガス発生量を評価した。なお、正極活物質がLiNi0.8Co0.15Al0.05である正極体は、LiNi0.8Co0.15Al0.05粉末90質量%にバインダーとして5質量%のポリフッ化ビニリデン(PVDF)、導電材としてアセチレンブラックを5質量%混合し、さらにN−メチルピロリドンを添加し、得られたペーストをアルミニウム箔上に塗布して、乾燥させることにより作製した。電池評価の際の充電終止電圧を4.2V、放電終止電圧を3.0Vとした。なお、実施例4−1〜4−4、及び比較例4−2において、電池のサイクル特性、内部抵抗特性及びガス発生量のそれぞれの値は、調製後1ヶ月静置前の電解液No.33を用いて作製したラミネートセルのサイクル試験後の放電容量維持率、内部抵抗、及びサイクル特性評価に伴うガス発生量をそれぞれ100としたとき(比較例4−1)の相対値である。
[実施例5−1〜5−4、比較例5−1〜5−2]
表4に、実施例1−1で用いた正極体を変更した電池の評価結果を示す。非水電解液電池用電解液として、非水電解液No.5、9、12、19、33又は34を用いて、実施例1−1と同様に、サイクル特性、内部抵抗特性、ガス発生量を評価した。なお、正極活物質がLiFePOである正極体は、非晶質炭素で被覆されたLiFePO粉末90質量%にバインダーとして5質量%のポリフッ化ビニリデン(PVDF)、導電材としてアセチレンブラックを5質量%混合し、さらにN−メチルピロリドンを添加し、得られたペーストをアルミニウム箔上に塗布して、乾燥させることにより作製した。電池評価の際の充電終止電圧を4.1V、放電終止電圧を2.5Vとした。なお、実施例5−1〜5−4、及び比較例5−2において、電池のサイクル特性、内部抵抗特性及びガス発生量のそれぞれの値は、調製後1ヶ月静置前の電解液No.33を用いて作製したラミネートセルのサイクル試験後の放電容量維持率、内部抵抗、及びサイクル特性評価に伴うガス発生量をそれぞれ100としたとき(比較例5−1)の相対値である。
上記のように、正極活物質として、LiCoO、LiNi0.8Co0.15Al0.05、LiFePOを用いたいずれの実施例においても、本発明の非水電解液電池用電解液を用いたラミネートセルのサイクル特性、内部抵抗特性、ガス発生量は、それぞれの対応する比較例に比べて優れていることが確認された。したがって、本発明の非水電解液電池用電解液を用いることで、正極活物質の種類によらず、優れたサイクル特性、内部抵抗特性、ガス発生量抑制を示す非水電解液電池を得られることが示された。
また、上記のように、負極活物質として、LiTi12、黒鉛(ケイ素含有)を用いたいずれの実施例においても、本発明の非水電解液電池用電解液を用いたラミネートセルのサイクル特性、内部抵抗特性、ガス発生量は、それぞれの対応する比較例に比べて優れていることが確認された。したがって、本発明の非水電解液電池用電解液を用いることで、負極活物質の種類によらず、優れたサイクル特性、内部抵抗特性、ガス発生量抑制を示す非水電解液電池を得られることが示された。

Claims (12)

  1. 非水溶媒と溶質とイミド塩を含む非水電解液電池用非水電解液において、
    溶質として、少なくともヘキサフルオロリン酸リチウムを含有し、
    45℃以上における充放電時の該ヘキサフルオロリン酸リチウムの分解を抑制する添加剤として、Clの含有量が5000質量ppm以下である一般式(I)で示されるホスホリル基を有するイミド塩を少なくとも一つ含有し、
    前記電解液の高温耐久性向上用添加剤であるビス(オキサラト)ホウ酸塩、ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸塩、トリス(オキサラト)リン酸塩、ジフルオロビス(オキサラト)リン酸塩、及びテトラフルオロ(オキサラト)リン酸塩を実質的に含有しないことを特徴とする、非水電解液電池用電解液。
    M[ROPNPOR (I)
    [式中、R〜R はそれぞれ互いに独立して、フッ素原子、又は−ORで示される有機基;Rは炭素数1〜10の直鎖あるいは分岐状のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基、炭素数が3〜10のシクロアルキル基又はシクロアルケニル基、及び、炭素数が6〜10のアリール基から選ばれる少なくとも1つの有機基であり、その有機基中にフッ素原子、酸素原子、不飽和結合が存在することもできる。Mはアルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、又はオニウムカチオンで、mは該当するカチオンの価数と同数の整数を表す。但し、R〜Rの少なくとも一つはフッ素原子を示す。]
  2. 前記一般式(I)で示されるホスホリル基を有するイミド塩が、R〜Rが全てフッ素原子である化合物である、請求項1に記載の非水電解液電池用電解液。
  3. 前記一般式(I)で示されるホスホリル基を有するイミド塩が、Rで表される有機基がフッ素原子を含んでいてもよい炭素数6以下の炭化水素基から選ばれる少なくとも1つの基である化合物である、請求項1に記載の非水電解液電池用電解液。
  4. 前記一般式(I)で示されるホスホリル基を有するイミド塩が、Rで表される基が、メチル基、エチル基、プロピル基、ビニル基、アリル基、エチニル基、2−プロピニル基、フェニル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、及び1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル基から選ばれる少なくとも1つの基である化合物である、請求項1又は3に記載の非水電解液電池用電解液。
  5. 前記一般式(I)で示されるホスホリル基を有するイミド塩の対カチオンが、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、及びテトラアルキルアンモニウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも一つの対カチオンである、請求項1〜4のいずれかに記載の非水電解液電池用電解液。
  6. 前記一般式(I)で示されるホスホリル基を有するイミド塩の添加量が、非水電解液電池用電解液の総量に対して0.01〜5.0質量%の範囲である、請求項1〜5のいずれかに記載の非水電解液電池用電解液。
  7. 前記溶質として、さらに、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)、ビス(フルオロスルホニル)イミドリチウム(LiN(FSO)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CFSO)、及びジフルオロリン酸リチウム(LiPO)からなる群から選ばれる少なくとも一つを含有する、請求項1〜6のいずれかに記載の非水電解液電池用電解液。
  8. 前記非水溶媒が、環状カーボネート、鎖状カーボネート、環状エステル、鎖状エステル、環状エーテル、鎖状エーテル、スルホン化合物、スルホキシド化合物、及びイオン液体からなる群から選ばれる少なくとも一つである、請求項1〜7のいずれかに記載の非水電解液電池用電解液。
  9. 前記一般式(I)で示されるホスホリル基を有するイミド塩中のClの含有量が1000質量ppm以下である、請求項1に記載の非水電解液電池用電解液。
  10. 前記一般式(I)で示されるホスホリル基を有するイミド塩中のClの含有量が100質量ppm以下である、請求項1に記載の非水電解液電池用電解液。
  11. 少なくとも正極と、負極と、非水電解液電池用電解液とを備えた非水電解液電池において、該非水電解液電池用電解液が請求項1〜10のいずれかに記載の非水電解液電池用電解液であることを特徴とする、非水電解液電池。
  12. 正極と負極と非水溶媒と溶質とを含み、溶質としてヘキサフルオロリン酸リチウムを用いた非水電解液電池おける、45℃以上での充放電時の電解液に含まれる成分の電気化学的な分解反応に伴うガス発生を抑制する方法において、
    請求項1〜10のいずれかに記載の電解液を使用する方法。
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