JP6471504B2 - クラウンギヤの製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、スカイビング加工に用いるカッタを用いたクラウンギヤの製造装置に関する。
従来、クラウンギヤの製造装置に関する公知文献としては、特開2014−004650号公報に示す装置があった。
この装置は、スカイビング加工技術を用いることで、それまでの環状のカッタを用いた歯切り装置を用いることなく、汎用マシニングセンタ等でクラウンギヤを効率よく生産できると記載されている。
特開2014−004650号公報
上記従来のクラウンギヤ製造装置は、歯数の少ないピニオンと噛み合うクラウンギヤを製造する場合、カッタが細く剛性が低くなる。そのため、高速で加工しようとするとカッタが加工振動する場合がある。この結果、ワークに形成する歯面の面粗度が悪化したり、カッタの寿命が低下するなどの不都合が生じていた。
また、加工の際には、カッタをワークの加工面に対して所定の傾斜角を維持したまま加工するが、このワークとカッタとの相対位置は、仕上がったワークの使用時における歯車どうしの相対位置と異なる。そのため、使用時のクラウンギヤと噛み合う相手歯車と同じ歯形をカッタに適用すると加工されたクラウンギヤの歯形形状が所期の歯形形状とは異なるものとなってしまう。
さらに、カッタがワークにおける歯切り部の外側縁部を加工するときと内側縁部を加工するときとでは、切削量やカッタに作用する加工分力が異なるため、加工精度が悪化したり、カッタ寿命が短くなる。
その他、一回の切削加工が終了し、カッタがワークから抜け出る際に大きなバリが発生するなど上記従来の製造装置には改善すべき点がある。
そこで本発明の目的は、クラウンギヤの加工において加工精度およびカッタ寿命を損なうことなく生産性を高めるスカイビング加工用のカッタを用いたクラウンギヤの製造装置を提供することにある。
本発明に係るクラウンギヤの製造装置の特徴構成は、
端縁部に切刃を形成し、回転軸芯の方向に沿って何れの位置においても前記切刃と同じ断面形状を有する少なくとも一条のネジ状部を備える切刃形成部と、
工作機械の回転軸に固定され、かつ、円柱状に形成され、前記切刃形成部の外径よりも大きな外径を有する把持部と、
前記切刃形成部と前記把持部との間に設けられ、断面形状が前記切刃形成部から前記把持部に向けて拡大する中間部とを有するカッタを備えると共に、
第1軸芯の周りに回転自在にワークを支持するワーク支持部と、
前記第1軸芯に直交する仮想平面に対する傾斜角を有し、第2軸芯の周りに回転自在に前記カッタを支持するカッタ支持部と、
前記傾斜角および前記ワークに対する前記カッタの切込み深さを設定し、
前記第1軸芯の方向に沿ってみたとき、前記カッタの移動軌跡を、前記第1軸芯に交差しないように前記ワークの回転方向上手側にオフセットした状態に設定し、
前記ワークと前記カッタとを同期回転させつつ、前記カッタを前記第1軸芯に直交する仮想平面上で切削移動させる切削制御部と、を備えた点にある。
本構成の如く、クラウンギアの製造装置において、カッタが、切刃形成部よりも大径の把持部を備えると共に、先端側の切刃形成部から基端側の把持部に向けて拡大する中間部を設けることで、切刃形成部と把持部との間の領域においてカッタの曲げ剛性が連続的に変化することとなり、カッタの特に曲げ強度を高めることができる。
当該カッタは、カッタとワークを同期回転させながらカッタをワークに対して歯溝方向に送り操作するスカイビング加工用に用いるが、加工に際しては工具の先端に形成した切刃がワークから逃げないように切刃をワークに押し付けた状態で送り操作する。よって、本構成の如く中間部を備えてカッタの曲げ強度を増大させることで、切削加工中におけるカッタの曲りが軽減され、より精密な加工が可能となる。
また、本構成であれば、上記中間部を備えて曲げ強度を向上させたカッタを用いてスカイビング加工を行うから、加工中のカッタの振動等を防止して精度の良いクラウンギヤを効率的に製造することができる。
本発明に係るクラウンギヤの製造装置の特徴構成は、前記切削移動を複数回繰り返すと共に、前記切削制御部が、所定回数未満の切削移動における前記カッタの傾斜角よりも、所定回数経過後の切削移動における前記傾斜角を小さく設定す点にある。
カッタの回転軸芯の傾斜角を変化させることで、一回の切削における切削幅を変更することができる。傾斜角を大きくすることで、切刃形成部の端面がワークの切削面に対して近接する。よって、一回の切削における切削深さが同じとすれば、切刃の回転軸芯を寝かした方が切刃形成部の端面とワークの切削面との交わり領域が広くなって切削領域の面積が広がる。つまり、クラウンギヤは加工面を次第に掘り下げて行くことで歯形を形成するが、歯溝の幅は当然に歯先の側が広い。よって、本構成の如く所定回数未満の切削移動では切刃の傾斜角を大きくして切刃を寝かすことで幅広い切削加工を行い、所定回数経過後の加工ほど傾斜角を小さくして切刃を寝かすことで幅の狭い切削加工が可能になる。本構成により、スカイビング加工によるクラウンギヤの製造効率が大幅に向上した。
本発明に係るクラウンギヤの製造装置においては、前記切削移動を複数回繰り返すと共に、前記切削制御部が、先の切削移動における前記オフセットの量に対して、後の切削移動における前記オフセットの量を小さく設定することもできる。
スカイビング加工においては、ワークの切削位置が移動する方向と、カッタが回転する方向との角度差によって生じるワークとカッタとの「すべり」を利用する。例えば、カッタの送り方向が、第1軸芯に沿って見たとき、第1軸芯と交わらない状態でワークの回転方向上手側にオフセットしている場合を想定する。尚、カッタの送り方向の延長線と第1軸芯との最短距離を以降においてオフセット量と称する。
ワーク上の切削点の瞬間的な移動方向は、第1軸芯を中心として当該切削点を通過する円の当該切削点における接線方向となる。これに対し、切刃上の切削点の瞬間的な移動方向は、カッタが第2軸芯を中心に回転しており、またカッタには送り速度が存在するから第2軸芯に直交する方向からカッタの送り方向に少し傾いた方向となる。つまり、オフセット量が小さくなるほどワーク上の切削点の移動方向と切刃上の切削点の移動方向とが近付き、カッタのすべりが小さくなる。逆に、オフセット量が大きくなるほど両切削点の移動方向どうしの角度が広がり、カッタのすべりが大きくなる。
カッタのオフセット量は任意に設定可能であり、これによりワークの切削効率および切削仕上げ精度を決定することができる。例えば、オフセット量を大きくしてすべりの程度を高めると粗加工ではあるが切削効率が向上する。一方、すべりの程度が小さいと切削効率は下がるものの仕上げ精度が向上する。
そこで、本構成の如く、先の切削移動におけるカッタのオフセット量に対して、後の切削移動におけるカッタのオフセット量を小さく設定することで、例えば、切削工程の前半ではワークの切削効率を高めておき、切削工程の後半では仕上げ精度を高めることができる。よって、本構成であれば、仕上げ精度の良いクラウンギヤを効率よく得ることができる。
本実施形態のクラウンギヤ製造装置の外観を示す斜視図である。 本実施形態のカッタの外観を示す斜視図である。 カッタの傾斜角度の変化を示す説明図である。 カッタの傾斜角度の違いによる歯溝形成の様子を示す説明図である。 別実施形態のカッタの移動経路を示す説明図である。 別実施形態のカッタのオフセット量の変更を示す説明図である。 別実施形態のカッタの姿勢変更機構を示す説明図である。
〔全体構成〕
本発明のクラウンギヤの製造装置の一例を図1に示す。本製造装置は、加工対象となるワーク1を縦向きの第1軸芯X1を中心に回転自在に支持するワーク支持部2と、第1軸芯X1と異なる第2軸芯X2を中心にカッタ3を回転自在に支持するカッタ支持部4と、カッタ支持部4をワーク支持部2に対して相対移動させる移動部5と、ワーク支持部2及びカッタ支持部4を駆動力により同期回転させる切削制御部6とを備えている。
クラウンギヤは、回転軸芯と直交する姿勢の面に歯が形成される冠歯車の総称である。この冠歯車にはフェイスギヤが含まれ、歯筋方向が直線に形成されるものや、歯筋方向が傾斜するはす歯型のギヤが含まれる。特に、本実施形態のクラウンギヤは減速比が3以上となる高減速フェイスギヤに好適に用いられる。高減速フェイスギヤでは、咬み合う相手側のギヤが小歯車、あるいは、ウォームギヤとして構成される。尚、冠歯車のうち軸芯と食い違う位置関係でピニオンギヤやウォームギヤ等が咬み合うものをクラウンギヤと称し、軸芯に直交する位置関係でピニオンギヤやウォームギヤ等が咬み合うものをフェイスギヤと称することもあるが、前述したようにクラウンギヤはフェイスギヤを含む概念であり、本実施形態のクラウンギヤの製造装置ではクラウンギヤだけではなく、フェイスギヤの製造も可能である。
また、本実施形態のクラウンギヤの製造装置では、クラウンギヤ(または冠歯車)の他に2軸が直交するフェイスギヤ、2軸が食い違ういわゆるオフセットのついたフェイスギヤの製造も可能である。特にフェイスギヤの中でも減速比が3以上の高減速フェイスギヤではカッタ3の歯数を小さくすることが必要であるため本発明が特に有効である。
ワーク1に対するカッタ3の配置に関し、カッタ3の第2軸芯X2は、第1軸芯X1に沿う方向視において第1軸芯X1を通過して半径方向に延びる基準ラインLに平行に沿い、基準ラインLから設定距離Dだけ離れたオフセット領域に配置されている。第2軸芯X2は、第1軸芯X1と基準ラインLとに対して平行な仮想平面Tの平面上にあり、第1軸芯X1に直交する仮想平面Sに対して傾斜角θで傾斜している。移動部5はカッタ3を基準ラインLと平行に直線移動させる。
切削制御部6は、ワーク1の回転速度に合わせてカッタ3の回転速度を設定する。カッタ3の回転方向は、本実施形態の場合は図1に示す如くカッタ3の先端側に向かって時計方向である。ワーク1の回転方向は、ワーク1の平面視において第1軸芯X1の周りに時計方向である。これにより、平面視において、ワーク1の表面がカッタ3の第2軸芯X2に対して斜めに相対移動することとなり、カッタ3とワーク1との間に「すべり」が発生してワーク1を切削することができる。当該「すべり」の詳細については後述する。
ワーク支持部2は、第1モータM1によって駆動され、ワーク1を固定する複数のチャック21を有する。移動部5に沿って移動するカッタ支持部4は、カッタ3の基端部を保持するホルダ41と、ホルダ41を回転駆動する第2モータM2とを備えている。移動部5は、基準ラインLと平行姿勢となるガイドレール51と、カッタ支持部4をガイドレール51に沿って往復作動させるネジ部52と、このネジ部52を駆動する第3モータM3とを備えている。
第1モータM1と第2モータM2と第3モータM3とは、駆動信号により回転速度を同期させることができる。切削制御部6は、マイクロプロセッサやDSP(Digital SignalProcessing)等を有した同期制御ユニット61と、この同期制御ユニット61に加工データを与えるように、加工データを取得する手段と、加工データを記憶するストレージ等を有した加工データ入力ユニット62とを備えている。
図1に示したクラウンギヤの製造装置は、この他の構成として、例えばカッタ支持部4をマニピュレータの先端に備えたものなどで構成することもできる。
〔カッタ〕
本実施形態で用いるカッタ3の一例を図2に示す。カッタ3の先端側には、先端縁部に形成された切刃31と、この切刃31と同じ断面形状を有する少なくとも一条のネジ状部を備えた切刃形成部32が設けられている。本実施形態では、2条ネジ状に形成されている。一方の基端側には、工作機械の回転軸に設けられたホルダ41に固定するよう円柱状に形成された把持部33が設けてある。把持部33の外径は切刃形成部32の外径よりも大きく構成する。切刃形成部32および把持部33の間には、断面形状が切刃形成部32の断面形状から把持部33の断面形状に次第に拡大しつつ変化する中間部34が設けられている。
この中間部34は、カッタ3の曲げ剛性を高めるため、上記2条の切刃31どうしの間の歯溝を把持部33の側ほど浅く形成してある。このような中間部34を設けることで、切刃形成部32の端部から基端側にかけて例えば曲げ強度などが連続的に変化することとなり、カッタ3の機械的強度が高まる。
このようなカッタ3は、例えばカッタ3とワーク1を同期回転させながらカッタ3をワーク1に対して歯溝方向に送り操作するスカイビング加工に用いられる。加工に際しては工具先端の切刃31がワーク1から逃げないように切刃31をワーク1に押し付けつつ送り操作する必要がある。よって、本構成の如く中間部34を設けてカッタ3の曲げ強度を増すことで、切削加工中におけるカッタ3の振動などが抑制され加工精度が向上する。
切刃形成部32の端面は、例えば、カッタ3の第2軸芯X2に対して垂直面となるように切り落とした構成であってもよいし、端面の中心領域に対して縁部の切刃31の部位を先端側に傾斜させた形状としてもよい。この場合、カッタ3の傾斜角θを小さくした場合でも、ワーク1の加工面に対する切刃31の切り込み程度が高まる。また、カッタ3の中心領域に対して切刃31の部位を基端側に後退させたものであってもよい。この場合には、切刃31の切込程度は少なくなるが切刃31の寿命を延ばす効果が得られる。
尚、カッタ3は、工具鋼やWC−Co系の超硬合金などで形成するとよい。また、図1及び図2に示す如く、潤滑オイルを供給する供給孔35を第1軸芯X1に沿ってカッタ3の中心に設けておくと、切削に伴う抵抗が低減され、切削時に発生する熱を奪うため、ワーク1の特性が変化し難く、カッタ3の破損が防止される。切削により生じた切削屑の排出も可能となる。ただし、供給孔35を必ずしも設けなくともカッタ3を構成することができる。
クラウンギヤはピニオンギヤとの組み合わせで用いることが多い。よって、カッタ3の形状も極力ピニオンギヤと同じ形状にするのが好ましい。仮に、ピニオンギヤのようにカッタ3の第2軸芯X2をワーク1の第1軸芯X1に対して垂直に配置する場合には、切刃形成部32の断面形状はピニオンギヤの断面形状と等しくなる。これに対し、カッタ3の第2軸芯X2を切削加工の最後までワーク1の基準面に対して傾斜させておく場合には、切刃形成部32の断面形状は、カッタ3を最も寝かせた状態で切削した場合に、所期のクラウンギヤの歯形が得られるように構成しておく。
〔切削加工態様〕
本実施形態では、切削効率を高めるために、カッタ3の傾斜角θを変化させつつ加工を行う。具体的には、図3に示す如く、例えば仕上げ切削とそれ以前の切削とに分け、仕上げ切削における傾斜角θ2を1回目など先の切削における傾斜角θ1よりも小さく設定する。切刃31の形状は、仕上げ姿勢によって得られるクラウンギヤの歯形が所期のものとなるように設定する。
このようにカッタ3の傾斜角θを変化させる場合、仕上げ切削以前の切削でワーク1に形成される歯溝形状は仕上がりの歯溝形状とは異なる。ただし、カッタ3を立てた姿勢にすることで、図4に示す如く、カッタ3を寝かせた場合と比べて、同じ切削深さを削る場合に切削幅が広くなる。つまり、カッタ3の傾斜角θを変更することで、一回の切削における切削幅および切削量を変更することができる。
図4において左側縦列は、カッタ3の第2軸芯X2を立てた切削の様子を示している。カッタ3をワーク1の表面と平行に見た状態を示しているため、カッタ3の外形は楕円形状としてある。上段の第1状態から下段の第3状態に向かうに連れてカッタ3が矢印の方向に回転し、ワーク1が左側に移動する。カッタ3の回転と共に切刃31がワークを深く切削していく。ワークに示した3カ所のマークのうち太く表示した位置が歯底の中心となる位置である。右側縦列は、仕上げ切削においてカッタ3を最も寝かせた状態を示す。カッタ3の外形は略真円に見える。これら右列も左列と同じ深さの切削を行うものとする。
左右の列の第1状態から第3状態における切刃31のワーク1に対する食い込み量を重ねたのが中央の図である。カッタ3を立てた左列のものは、形成される歯形のうち歯先に近い領域を切削した場合の図である。カッタ3を寝かせた右列のものは、形成される歯形のうち歯底に近い領域を切削した場合の図である。
図4から明らかなごとく、カッタ3を立てた場合には、カッタ3の切込開始位置が、形成される歯溝の中央位置から遠い位置となる。よって、中央上図では、切込幅がやや広めのW1となる。これに対して、下図の仕上げ切削では、これよりも狭いW2となる。このように、切削当初はカッタ3の第2軸芯X2を立てることで幅広い切削加工を行う。後の仕上げ加工等では第2軸芯X2を寝かせ、切削幅は狭くなるものの歯溝の形を最終の仕上げ形状に整える。本構成のごとく、切削過程に応じてカッタ3の傾斜角θを変えることにより、スカイビング加工によるクラウンギヤの製造効率が大幅に向上した。
尚、複数パスの切削加工を行う場合には、少なくとも仕上げの切削パスは、ワーク1の加工平面に最も近づくようにカッタ3を寝かすことになるが、それ以前の切削パスではカッタの傾斜角θは適宜設定するとよい。例えば、仕上げの切削パスより前のパスでは全て仕上げ切削パスの傾斜角よりも起きた傾斜角としてもよいし、仕上げ切削パスを含めて終盤の数パスを仕上げ切削パスと同じ傾斜角θとし、それより前のパスではカッタの傾斜をやや起こしたものとしてもよい。これらの条件は、形成する歯型の精度や切削効率等を勘案しながら設定するとよい。
〔別実施形態〕
(1) 一般的なクラウンギヤは、例えば歯部の外周縁部および内周縁部に円筒状の側面が形成される。加工に際しては、カッタ3の切刃31は、例えば外周側の側面からワーク1に切り込んで加工を開始し、内周側の側面から抜け出ることで一回分の切削が終了する。この抜け出しの際にワーク1の縁部にバリが発生する。
外周縁部から切り込む切削が複数パス繰り返されると、カッタ3が抜け出る内周縁部においてバリが成長する場合がある。ある程度成長したバリは何れかの切削パスで除去されるが、その際に、既に形成した歯溝を傷つけたり、分離したバリがカッタ3と歯溝との間に挟まって次の切削パスで歯溝に傷をつけたりする場合がある。
そこで図5に示す如く、最初の切削では、カッタ3を外周縁部から内周縁部に向けて移動させ、それに続けてカッタ3を内周縁部に切り込ませて外周縁部から抜くように切削する。こうすることで、最初の切削で内周縁部に形成されたバリを、次の内周縁部からの切込によって除去することができ、バリの成長を阻止することができる。その結果、歯溝を傷付けることがなく精度の良い歯溝を安定して形成することができる。
図5に示すように、ワーク1が時計方向に回転している場合、カッタ3が外周縁部から切り込む切削では、カッタ3の回転方向は送り方向に向かって時計方向である。一方、カッタ3が内周縁部から切り込む次の切削では、まず、カッタ3の歯溝とワーク1に形成されつつある歯溝との噛み合いを維持するために、カッタ3のオフセット位置を進行方向に向かって右側から左側に変更する。そのうえで、カッタ3の回転方向を時計方向に維持したままワーク1の回転方向を反転させる。
尚、この2回目の切削でカッタ3とワーク1とが適切に噛み合うためには、ワーク1の回転方向を変更せず、カッタ3の回転方向を変更してもよい。ただし、ワーク1に対するカッタ3の「すべり(後述)」を維持するためには、ワーク1の回転方向を反転させるのがよい。これら2回の切削パスが終了し、カッタ3が外周縁部から外側に抜け出ると、カッタ3を元の位置まで復帰させ、改めて外周縁部から切り込む切削を行う。
図6には、ワーク1とカッタ3とのすべりを利用する加工装置の一例を示す。すべりは、ワーク1の移動方向と切刃31の移動方向との角度差によって生じる。本装置では、カッタ3のオフセット量を変化させることですべりの量を変化させる。カッタ3の送り方向は、第1軸芯X1に沿う方向視において、第1軸芯X1と交わらない直線に沿って設定される。つまり、カッタ3は、ワーク1の直径に対してオフセットされる。また、オフセットの方向は、ワーク1の回転方向上手側である。
複数回の切削移動のうち前半の切削移動においては、カッタ3のオフセット量をD1に設定する。オフセット量がD1の場合に、ワーク1とカッタ3の切刃31との接触位置をP1とすると、P1におけるワーク1の移動ベクトルがVw1であり、切刃31の移動ベクトルがVc1である。ワーク1の切削点は第1軸芯X1を中心とした円周上を移動するから、ワーク1の移動ベクトルVw1は、接触位置P1においてワーク1の接線方向に向く。
一方、切刃31の移動ベクトルVc1には、切刃31の回転成分と、第2軸芯X2に沿った送り成分とが含まれる。これらワーク1の移動ベクトルVw1と切刃31の移動ベクトルVc1とにより、ワーク1と切刃31との間にはベクトルVt1が生じる。これがワーク1と切刃31とのすべりとなる。このすべり量を変化させることで、ワーク1の切削効率を調節することができる。
図6に示すように、複数の切削移動のうち切削開始を含めた数回の切削移動においてはオフセット量を多めのD1に設定する。この位置は、ワーク1とカッタ3との正規の噛み合い位置よりもオフセット量を多く取ることとなる。よって、この場合には加工誤差が生じるが、すべり量が多くなるので切削効率が高まる。
一方、最終の仕上げ切削を含めた後半の切削移動ではカッタ3のオフセット量を小さくしてD2に設定する。この位置は、ワーク1とカッタ3との正規の噛み合い位置である。この場合、接触位置P2(ワークの回転中心からの距離はP1と同じとする)におけるワーク1の移動ベクトルがVw2であり、切刃31の移動ベクトルがVc2である。ワーク1の移動ベクトルVw1およびVw2の速度(ベクトルの長さ)は同じであり、切刃31の移動ベクトルVc1およびVc2の速度(ベクトルの長さ)も同じに記載してある。よって、ワーク1と切刃31との間にはVt2のベクトルを有するすべりが生じる。
このように、先の切削移動におけるカッタ3のオフセット量に対して、後の切削移動におけるカッタのオフセット量を小さく正規の値に設定することでワーク1上の切削点の移動方向と切刃31上の切削点の移動方向とが近付き、カッタ3のすべりベクトルVt2が適正に設定される。これにより、複数回行う切削移動のうち後の切削移動では切削効率はやや低下するものの、切刃31に作用する負担が軽減されて、クラウンギヤの精密仕上げが可能となる。
(3) この他にも、クラウンギヤの製造装置は、図7に示すごとくカッタ3を首振り動作できるように構成してもよい。
具体的には、カッタ3の切刃31が、ワーク1に接触する接触位置Pを通って第1軸芯X1と平行な回転軸芯X3を中心に回転できる姿勢変更機構7を備えておいてもよい。首振り動作は第4モータM4により行われる。カッタ3の首振り角度を調節することで、ワーク1の移動方向に対する切刃31の移動方向、即ちすべりを適宜設定できる。
これにより、例えば、ワーク1を粗加工する前半の切削工程では、カッタ3の首振り程度を大きく設定し、ワーク1に対するすべりを多くして一度に切削できる領域を増大させる。ただし、このようにカッタ3の首振り角度を設定した場合、その切削によって形成される歯溝の形状は、最終の仕上げ形状とは異なるものとなる。よって、後半の仕上げ切削加工においてはカッタ3の首振り角度を所定の値に戻すことが好ましい。
尚、揺動軸芯X3を、切刃31とワーク1との接触位置Pを通る位置に設定したことで、カッタ3の首振り角度が変更されてもカッタ3のオフセット量が変化することはない。
本発明は、フェイスギヤを含むクラウンギヤをスカイビングにより切削加工する製造装置および方法として利用することができる。
1 ワーク
2 ワーク支持部
3 カッタ
31 切刃
32 切刃形成部
33 把持部
34 中間部
4 カッタ支持部
6 切削制御部
X1 第1軸芯
X2 第2軸芯
θ 傾斜角

Claims (3)

  1. 先端縁部に切刃を形成し、回転軸芯の方向に沿って何れの位置においても前記切刃と同じ断面形状を有する少なくとも一条のネジ状部を備える切刃形成部と、
    工作機械の回転軸に固定され、かつ、円柱状に形成され、前記切刃形成部の外径よりも大きな外径を有する把持部と、
    前記切刃形成部と前記把持部との間に設けられ、断面形状が前記切刃形成部から前記把持部に向けて拡大する中間部とを有するカッタを備えると共に、
    第1軸芯の周りに回転自在にワークを支持するワーク支持部と、
    前記第1軸芯に直交する仮想平面に対する傾斜角を有し、第2軸芯の周りに回転自在に前記カッタを支持するカッタ支持部と、
    前記傾斜角および前記ワークに対する前記カッタの切込み深さを設定し、
    前記第1軸芯の方向に沿ってみたとき、前記カッタの移動軌跡を、前記第1軸芯に交差しないように前記ワークの回転方向上手側にオフセットした状態に設定し、
    前記ワークと前記カッタとを同期回転させつつ、前記カッタを前記第1軸芯に直交する仮想平面上で切削移動させる切削制御部と、を備えたクラウンギヤの製造装置。
  2. 前記切削移動を複数回繰り返すと共に、
    前記切削制御部が、所定回数未満の切削移動における前記カッタの傾斜角よりも、所定回数経過後の切削移動における前記傾斜角を小さく設定する請求項に記載のクラウンギヤの製造装置。
  3. 前記切削移動を複数回繰り返すと共に、
    前記切削制御部が、先の切削移動における前記オフセットの量に対して、後の切削移動における前記オフセットの量を小さく設定する請求項1又は2に記載のクラウンギヤの製造装置。
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