<第1の実施形態>
以下、本発明の実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照しながら説明する。本実施形態に係る画像形成装置は、複写機や複合機等から構成可能であり、画像読取部に原稿(シート状原稿)を給送可能な原稿給送装置を有する画像読取装置を備えている。
[画像形成装置]
まず、本実施形態に係る画像形成装置100の概略構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置100を模式的に示す断面図である。なお、以下では、ユーザが画像形成装置100に対して各種の入力及び設定を行う不図示の操作部に臨む位置を画像形成装置100の「手前側」といい、背面側を「奥側」という。つまり、図1は、手前側から見た画像形成装置100の内部構成を示したものである。
図1に示すように、画像形成装置100は、原稿積載トレイ221に積載されたシートとしての原稿Gの画像を読み取り可能な画像読取装置200と、画像読取装置200で読み取られた画像をシートSに形成可能な装置本体10とを備えている。さらに画像形成装置100は、これら画像読取装置200及び装置本体10等を制御する制御手段としての制御部50を備えている。
そして、画像読取装置200は、原稿(シート状原稿)Gの画像を読み取るスキャナ部210と、スキャナ部210に原稿Gを自動給送可能な自動原稿給送装置(以下、ADFと表記する)220とを備えている。なお、スキャナ部210及びADF220については、後に詳しく説明する。
装置本体10は、記録媒体であるシートSに画像を形成する画像形成部20と、画像形成部20にシートSを給送するシート給送部30とを有している。さらに装置本体10は、画像が形成されたシートSを装置本体10外方(機外)に排出する排出ローラ対(排出部)40と、排出されたシートSが積載されるシート排出トレイ45とを有している。
画像形成部20は、トナー像が形成される感光ドラム22と、感光ドラム22にレーザ光を照射するレーザスキャナユニット21と、トナー像をシートSに転写する転写部24と、トナー像を定着させる定着部25とを有している。シート搬送路36における転写部24の上流には、レジストレーションローラ対11が配置されている。符号12は反転搬送路を示す。なお、画像形成部20は、画像読取装置200によって原稿Gから読み取られた画像情報に基づいてシートSに画像を形成する画像形成手段を構成している。
シート搬送装置34におけるシート給送部30は、シートSが積載される給紙カセット31と、給紙カセット31内のシートSを給送する給送ローラ32と、シートSを1枚ずつに分離しながら搬送する搬送ローラ33a及び分離ローラ33bとを有している。なお、符号35は、シートSを手差しするための手差しトレイを示す。
次に、本実施形態における制御系について、図2を参照して説明する。なお、図2は、画像形成装置100の制御系について示すブロック図である。
図2に示すように、制御手段としての制御部50には、モータM1,M2,M3,M4を有するADF220、モータM5を有するスキャナ部210、画像形成部20の各作動部、シート給送部30の各作動部、排出ローラ対40等が接続されている。制御部50は、これら各部を制御するCPU51と、画像読取プログラムや画像形成プログラム等の各種プログラムや各種情報等を記憶するROM及びRAM等のメモリ52とを有している。
制御部50は、第1プラテンローラ237が所定の回転速度となるようにモータM1を制御する。制御部50は、第3搬送ローラ対236と第4搬送ローラ対238(図4参照)とを駆動するようにモータM2,M3をそれぞれ制御する。制御部50は、第2搬送ローラ対234と回収部(回収手段)201の異物除去ローラ211とを同じ方向に同じ外周速度で回転させるようにモータM4を制御する。制御部50は、レジストレーションローラ対235を含む他のローラも、不図示のモータを制御することで作動させる。また、制御部50は、スキャナ部210の第1スキャナユニット253(図4参照)を駆動するようにモータM5を制御する。さらに、制御部50は、画像形成部20、シート給送部30、排出ローラ対(排出部)40をそれぞれに制御する。
次に、制御部50の制御による画像形成装置100の画像形成動作(制御部50による画像形成制御)について、図1を参照しながら説明する。なお、ここでは、ADF220により自動給送され、スキャナ部210で読み取られた原稿Gの画像情報に基づき、シートSに画像を形成する画像形成動作について説明する。また、画像読取装置200による画像読取動作(制御部50による画像読取制御)については、後に詳しく説明する。
すなわち、図1に示すADF220により給送され、スキャナ部210で読み取られた原稿Gの画像情報が入力されると、入力された画像情報に基づいて、レーザスキャナユニット21から感光ドラム22にレーザ光が照射される。このとき、感光ドラム22は、帯電器27を介して予め帯電されており、レーザ光が照射されることで静電潜像が形成される。そして、この静電潜像が現像器23によって現像され、感光ドラム22上にトナー像として形成される。
感光ドラム22へのトナー像の形成動作に並行して、シート給送部30の給紙カセット31に収納されたシートSが給送ローラ32により給送される。給送ローラ32により給送されたシートSは、搬送ローラ33aと分離ローラ33b間の分離ニップ部で挟持されて1枚ずつに分離されて搬送される。
そして、1枚ずつに分離されたシートSは、レジストレーションローラ対11で感光ドラム22上のトナー像と同期がとられ、転写部24に送られる。転写部24に送られたシートSは、転写部24で感光ドラム22上のトナー像が転写される。
トナー像が転写されたシートSは定着部25で加熱及び加圧され、トナー像が溶融されてシートSに定着される。トナー像が定着されたシートSは、排出ローラ対40によりシート排出トレイ45に排出され、順次、積載されていく。なお、シートSの両面に画像を形成する場合には、シートSの第1面に画像が定着された後、反転搬送路12を介してシートSをレジストレーションローラ対11に向けて再搬送し、上述した動作を繰り返し行う。
[画像読取装置]
次に、画像読取装置200について図3〜図5を参照しながら説明する。なお、図3は、本実施形態に係る画像読取装置200の斜視図であり、図4は、図3に示す画像読取装置200を図3D−D線で断面して矢視方向に見た状態で示す流し読み時の断面図である。図5は、図4を固定読み時の状態で示す断面図である。
図3〜図5に示すように、画像読取装置200は、スキャナ部210と、スキャナ部210の上部に配置されて原稿搬送装置(シート搬送装置)208を有するADF220とを備えている。また、画像読取装置200は、後述する原稿台ガラス213が手前側から開閉可能となるように、奥側に配設された不図示のヒンジにより、ADF220がスキャナ部210に回動可能に支持されている。以下、スキャナ部210及びADF220について、具体的に説明する。
スキャナ部210は、原稿(シート)Gの第1面の画像を読み取る第1スキャナユニット253を有している。さらにスキャナ部210は、透明部材としての第1流し読みガラス(プラテンガラス)209と、第1流し読みガラス209と副走査方向(図4の左右方向)に並んで配置された原稿台ガラス213とを有している。
第1スキャナユニット253には、例えば等倍光学系の密着型イメージセンサ(以下、CIS(Contact Image Sensor)と表記する)が用いられている。この第1スキャナユニット253は、原稿の画像面に光を照射する照明310と、照明310で照射された原稿からの反射散乱光を結像レンズ304に導くミラー301,302,303及び電荷結合素子305等から構成される。なお、上記CISは、光源としてLEDアレイから原稿Gの画像情報面に光を照射し、画像情報面で反射した反射光をセンサ素子に結像して画像情報を読み取るものである。
第1スキャナユニット253は、スキャナ部210のモータM5(図2)に不図示のタイミングベルトを介して連結されている。第1スキャナユニット253は、モータM5の駆動で、図4に示す第1流し読みガラス209下方の位置Cと、図5に示す第1流し読みガラス209下方の位置Aと、図5に示す原稿台ガラス213下方の位置Bとの間を移動可能に構成されている。
また、第1スキャナユニット253の位置は、ポジションセンサ(不図示)とモータM5の回転パルス数とにより、制御部50が把握することが可能になっている。なお、第1スキャナユニット253は、原稿搬送装置208によって搬送される原稿(シート)Gのから画像情報を読み取る画像読取手段を構成する。
本実施形態において、第1スキャナユニット253を図4の位置Cに停止させた状態で、ADF220によって原稿Gを第1流し読みガラス209上で移動させながら画像を読み取る形態を「流し読み(シートスルー方式)」という。また、原稿台ガラス213上に原稿Gを載置し、第1スキャナユニット253を図5の位置Aから位置Bに向けて図5の矢印Xの方向に移動させながら画像を読み取る形態を「固定読み」という。
固定読み方式での原稿画像の読取りは、原稿台ガラス213上に載置された原稿を図5の位置Aで待機している第1スキャナユニット253を、例えばA4サイズ原稿であれば図5の位置Bまで矢印X方向に一定速度で動作させ、画像を読取ることで行われる。流し読み方式での原稿画像の読み取りは、第1スキャナユニット253を図4の位置Cに待機させ、原稿をADF220によって一定速度で搬送した際の画像を画像読取位置91で読み取ることにより行われる。
図3〜図5に示すように、ADF220は、流し読みのための原稿(シート)Gが積載される原稿積載トレイ221と、原稿Gが搬送される原稿搬送路(シート搬送路)41と、原稿排出部223とを有している。原稿搬送路41では、流し読みされる際に原稿Gが画像読取位置91に向けて搬送される。原稿排出部223には、流し読みされた原稿Gが排出されて積載される。また、ADF220は、固定読みをする際に原稿台ガラス213に載置された原稿Gが移動しないように、不図示の樹脂製プレートによって原稿Gを押圧可能に構成されている。
図4及び図5に示すように、原稿搬送装置208の原稿搬送路41には、原稿積載トレイ221に積載された原稿Gを給送する原稿給送ローラ231と、原稿Gを1枚ずつに分離する分離ローラ対232とが配置されている。さらに、原稿搬送路41には、原稿Gを搬送する第2搬送ローラ対234と、第3搬送ローラ対236と、第4搬送ローラ対238と、第5搬送ローラ対240とが配置されている。
また、原稿搬送路41には、レジストレーションローラ対235と、第1プラテンローラ237と、排出ローラ対241とが配置されている。第2搬送ローラ対234とレジストレーションローラ対235との間の湾曲状搬送部Hwには、回収部(回収手段)201が配置されている。レジストレーションローラ対235は、第2搬送ローラ対234と第3搬送ローラ対236との間に配置されて原稿Gの斜行を矯正(補正)する。
第1プラテンローラ237は、第1流し読みガラス209の対向側に設けられ、搬送原稿の第1面(表面)の画像を読取る際に、搬送原稿を第1流し読みガラス209に付勢する。第1プラテンローラ237は、第3搬送ローラ対236と第4搬送ローラ対238間の第1流し読みガラス209に対向してガラス直上に配置されている。第1プラテンローラ237は、原稿Gの第1面の画像を読み取る際に、第1流し読みガラス209に対して所定の間隔を空けて原稿Gを搬送する。
第1プラテンローラ237は、画像読取位置91にて第1スキャナユニット253と第1流し読みガラス209を介して対向するように配置されている。そして第1プラテンローラ237は、原稿Gを第2面側から押さえて第1流し読みガラス209からの浮き上がりを抑制する。また、排出ローラ対241は、第5搬送ローラ対240の下流に配置され、画像読取を終えた原稿Gを原稿排出部223に排出する。
本実施形態では、デュアルスキャン方式ADFを採用するため、原稿搬送路41は、第1スキャナユニット253及び第1流し読みガラス209よりも原稿搬送方向の下流側に、以下の部材を有している。即ち、原稿Gの第2面の画像を読み取る第2スキャナユニット251と、第2流し読みガラス(プラテンガラス)252と、第2流し読みガラス252に対して所定の間隔を空けて原稿Gを搬送する第2プラテンローラ239とを有している。第2プラテンローラ239は、第2流し読みガラス252の対向側に設けられ、搬送原稿の第2面(裏面)の画像を読取る際に、搬送原稿を第2流し読みガラス252に付勢する。
ここで、第2スキャナユニット251には、第1スキャナユニット253と同様にCISが用いられている。第2スキャナユニット251は、第1スキャナユニット253の原稿搬送方向(シート搬送方向)の下流に設けられた、第2流し読みガラス252に対向する第2読取位置92にて、原稿搬送路41を搬送される原稿Gの第2面の画像を読み取る。
[画像読取動作]
次に、上述の構成を備える画像読取装置200による流し読み方式による画像読取動作(制御部50による画像読取制御)について、図4を参照して説明する。
流し読み方式で読み取りを行う場合、ユーザは原稿積載トレイ221上に原稿を、その表面を上向きとして載置する。原稿積載トレイ221には、不図示の原稿サイズ検知センサが配置されており、原稿の縦横サイズを認識することができる。制御部50は、認識した原稿サイズに応じて、後述するように原稿の画像読取りを行う。
まず、原稿積載トレイ221上に任意の枚数が載置された原稿Gは、原稿給送ローラ231により給送されて、分離ローラ対232の分離ニップ部で1枚ずつに分離される。分離された原稿Gは、第1搬送ローラ対234により引き抜かれた後、第1搬送ローラ対234によりレジストレーションローラ対235のニップ部まで搬送される。
そして、原稿Gがレジストレーションローラ対235のニップ部に到達した時点で、レジストレーションローラ対235を静止した状態にしておくことで、原稿Gの先端をニップ部に当接させて停止させる。この状態で、原稿搬送方向上流側の第1搬送ローラ対234により原稿Gの後端を所定量押し込ませることで、原稿Gを撓ませて湾曲形状を生じさせる。
ここで、原稿Gが斜行している場合、主走査方向(原稿搬送方向に直交する幅方向)に対して原稿Gの先端は傾いているが、上述の湾曲による原稿Gのコシ(剛性)で、原稿先端が、主走査方向に平行なレジストレーションローラ対235のニップ線にならう。これにより、原稿先端の傾きが解消される。このようにして、レジストレーションローラ対235により原稿Gの斜行が補正される。
斜行補正の後、レジストレーションローラ対235による原稿Gの搬送が開始され、第3搬送ローラ対236によって原稿Gが更に下流へと搬送されて、第1流し読みガラス209上の画像読取位置に到達する。そして、第1スキャナユニット253によって原稿Gの第1面の画像読取が所定の速度で行われる。
その後、原稿Gは、第4搬送ローラ対238により搬送される。その場合、ユーザにより原稿Gの第2面も読み取る指示がされていれば、制御部50の制御で、上述の第1面読み取りの後、第2流し読みガラス252上の画像読取位置で、第2スキャナユニット251により原稿Gの第2面の画像読取が所定の速度で行われる。
さらに、画像読取後の原稿Gが、第5搬送ローラ対240と排出ローラ対241とにより原稿排出部223に排出される。そして、原稿積載トレイ221上に載置された原稿Gがなくなるまで、上述した動作を繰り返す。原稿積載トレイ221上に載置された原稿Gの有無は、不図示のセンサによって検知可能になっている。
[回収部の詳細]
次に、本実施形態における異物を回収する回収部(回収手段)201の詳細について、図4及び図6を参照して説明する。
即ち、図4に示す原稿搬送路41における第2搬送ローラ対234とレジストレーションローラ対235との間の湾曲状搬送部Hwには、以下の部材が配置されている。即ち、原稿搬送路41内(シート搬送路内)にその一方の側から一部を進入させて駆動回転する単独の異物除去ローラ(回転体)211と、回収部(回収手段)201とが配置されている。
回収部201は、原稿積載トレイ221から原稿給送ローラ231、分離ローラ対232、第2搬送ローラ対234を介して原稿搬送路41を搬送されてくる原稿に接触することで上記ローラ211の外周面211aに原稿Gから付着した異物kを回収する。これにより、流し読み方式による画像読み取り時の画像スジの発生等、シート搬送における紙粉等の異物による問題を簡易な構成で解決することが可能になる。
異物除去ローラ211及び回収部201は、図4及び図6に示すように、原稿搬送路41において間隔をあけて対向する一対の第1搬送ガイド(一方の搬送ガイド)205及び第2搬送ガイド(他方の搬送ガイド)206に対応する位置に設けられている。この原稿搬送路41は、第1及び第2搬送ガイド間にて原稿Gを搬送可能に構成される。回収部201は、搬送ガイド205,206においての第2搬送ローラ対234とレジストレーションローラ対235間の略中間位置に配置されている。
第2搬送ガイド206は、後述するように、原稿搬送路41を搬送される原稿Gの異物除去ローラ211に対する剛性を高めながら接触させ得る形状を有している。即ち、湾曲状搬送部Hwは、原稿Gを画像読取位置91へと導くために下方向に屈曲するように形成されており、異物除去ローラ211及び回収部201は、湾曲状搬送部Hwの外側に配置されている。この異物除去ローラ211は、湾曲状搬送部Hwにおける曲率半径rの外径側に位置する第1搬送ガイド205に設けられた切欠き部205aからその一部を進入させるように位置決めされている。
曲率半径rの外径側に位置する第1搬送ガイド205は、第2搬送ガイド206に沿って湾曲して搬送されてくる原稿Gを、湾曲状搬送部内に進入している外周面211aに接触させるように機能する。この場合、異物除去ローラ211が湾曲状搬送部Hwの外側に配置されることで、搬送される原稿Gが常に異物除去ローラ211の外周面211aに押し付けられることになり、異物kを安定して吸着することができる。
切欠き部205aは、回収部201の異物除去ローラ211の外周面211aの一部を湾曲状搬送部Hw内に進入させるように、搬送ガイド205の所定位置に形成されている。切欠き部205aは、図6の手前−奥方向において異物除去ローラ211の軸方向長さよりやや長くなるように延設されている。つまり、異物除去ローラ211は、原稿搬送路41を搬送されてくる原稿Gの搬送方向に直交する幅方向(図6の手前−奥方向)の全域に対向可能なローラとして構成される。
このように異物除去ローラ211は、ローラ軸方向長さにおいて原稿搬送装置208が搬送可能な原稿Gの幅方向より長く、仕様原稿の幅方向の寸法を包含する領域の略全域に亘って配置される。このため、画像形成装置100で使用可能なサイズ内の原稿であれば、異物除去ローラ211により原稿の第1面全域に付着した異物kを効果的に除去することが可能である。
回収部201は、異物除去ローラ211の外周面211aに接触する接触部材としての掻き取り部材212と、掻き取り部材212の接触により外周面211aから剥離される異物kを収容する収容部材214とを有する。この収容部材214は、異物除去ローラ211の軸方向に延びるように設けられている。収容部材214は、ADF220の装置本体に支持されている。この構成により、除去した異物を収容部材に収容することで、一旦除去した異物kが装置内に飛散することを確実に防止することが可能になる。
掻き取り部材212は、異物除去ローラ211の外周面211aに接触(摺接)して異物除去ローラ211を摩擦帯電させる帯電部材としても構成され、外周面211aに静電吸着された異物kを掻き取り除去する。
掻き取り部材212は、図6の手前−奥方向に長く、異物除去ローラ211の軸方向に延設されたゴム材等のプレート状に構成されている。収容部材214も、異物除去ローラ211の軸方向に延設された掻き取り部材212に対応するように同等の長さ寸法に構成されている。これにより、掻き取り部材212を異物除去ローラ211の軸方向(主走査方向)全域に当接させて、異物除去ローラ211の外周面211aに吸着した異物kを効率良く回収することができる。
また、異物除去ローラ211は、樹脂部材により構成されている。つまり、異物除去ローラ211の材質が、例えばABS、PET、PE、PP、PS、PTFE(フッ素樹脂)などの樹脂材料から構成されている。或いは、異物除去ローラ211の外周面211aに樹脂コーティング、フッ素コーティングを施すことも可能である。このように、異物除去ローラ(回転体)211の少なくとも外周面211aが樹脂部材で構成されると、ローラ表面が帯電しやすくなり、異物除去性能が高まる。
図6に示す収容部材214は、壁部214eから異物除去ローラ211側に下降するように傾斜する傾斜部214aと、壁部214eの反対側から上方に突出する壁部214bと、傾斜部214aと壁部214b間に設けられた切欠き部214cとを有する。収容部材214は、切欠き部214cの傾斜下部側に異物除去ローラ211の下部が進入する状態でADF220の装置本体に位置決め固定されている。この状態の傾斜部214aの先端部に掻き取り部材212の後端が固定され、掻き取り部材212の先端が異物除去ローラ211に接触している。つまり、この異物除去ローラ211は、図6における時計回り方向(矢印Iの方向)に回転する異物除去ローラ211の回転に逆らう方向に斜めに位置決めされて傾斜部214aに固定される。
収容部材214は、掻き取り部材212で掻き取られた異物kを、掻き取り部材212下方の底部214dで受けて収容するように構成される。なお、収容部材214は、異物除去ローラ211の外周面211aに吸着された異物kを回収し且つ回収した異物kを落下させないような形状、構成のものであれば他の形状でも構わない。なお、掻き取り部材212に代えて、異物除去ローラ211の外周面211aに静電吸着された異物kを拭い取る、スポンジ等の拭い取り部材を収容部材214に設けることも可能である。この場合も、掻き取り部材212の場合と略同様の効果を得ることが可能である。
また、異物除去ローラ211には、第2搬送ローラ対234を駆動しているモータM4から駆動を伝達することができ、第2搬送ローラ対234と外周速度(搬送速度)が等しくなるように構成される。そのため、湾曲状搬送部Hw内で吸着された異物kは、異物除去ローラ211の回転により原稿搬送路41の表側(第1面側)で掻き取り部材212により掻き取られる。そして、掻き取り部材212で異物kが掻き取られ、清掃された異物除去ローラ211のローラ表面が回転により再び原稿搬送路41内に露出し、異物kの再吸着が可能になる。
異物除去ローラ211の異物吸着の効果は、異物除去ローラ211と原稿Gとの距離が近い程もしくは密着する程、異物の除去効果が大きい。本実施形態では、原稿搬送路41の湾曲状搬送部Hwの外側(曲率半径rの外径側)に異物除去ローラ211が配置されるので、原稿Gを異物除去ローラ211に安定して密着させることができ、異物の除去効果を高めることができる。
本実施形態のような単独の異物除去ローラ211を原稿Gの片面に押し付ける構成を持たない、例えば原稿Gを挟持搬送するローラ対を異物除去用に使用した構成によれば、以下のような問題がある。即ち、掻き取り部材で除去しきれなかった異物が、原稿が搬送されない間に、異物除去用のローラの対向側のローラに移り、この対向側のローラの側の原稿面の異物量が増加するおそれがある。しかし本実施形態によれば、異物除去ローラ211が単独のローラから構成されるので、対向側のローラに異物が移ることがなく、また、必要な場所にコンパクトな構成で簡単に配置して異物除去機能を盛り込むことができる。
また、単独の異物除去ローラ211を一方向に単に回転させるだけで良いので、制御上の制約を減少させ、構成を簡略化し、装置大型化やコスト高を回避することが可能になる。
<第2の実施形態>
次に、図7を参照しながら、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態は、回収部の配置が異なる以外は第1の実施形態と同様であり、第1の実施形態と同一の部材には同一符号を付すと共に、構成、機能が同じものについてはその説明を省略する。図7は、本実施形態に係る回収部の詳細を示す断面図である。
本実施形態は、設計上の都合により異物除去ローラ211を湾曲状搬送部Hw(図4)に配置することができない場合、例えば直線状の搬送路にしか配置できない場合に対応した構成である。即ちこの場合、図4において第2搬送ローラ対234の上流側の直線状搬送部Htに一点鎖線で示す異物除去ローラ211及び回収部202のように配置することができる。
即ち、図7に示すように、本実施形態における単独の異物除去ローラ(回転体)211は、原稿搬送路41の直線状搬送部Ht内にその一方の側(図7の下側)から一部を進入させて駆動回転する。本実施形態の回収部202は、原稿搬送路41を搬送される原稿Gに接触することで異物除去ローラ211の外周面211aに原稿Gから付着した異物kを回収する回収手段を構成する。
直線状搬送部Htは、間隔をあけて対向する第1搬送ガイド(一方の搬送ガイド)315及び第2搬送ガイド(他方の搬送ガイド)316を有している。異物除去ローラ211は、第1搬送ガイド315の所定の位置に設けられた切欠き部315aから外周面211aの一部を進入させている。異物除去ローラ211は、第1の実施形態と同様に、仕様原稿の幅方向の寸法を包含する領域の略全域に亘るように設けられている。
第2搬送ガイド316は、原稿搬送路41を搬送される原稿Gの異物除去ローラ211に対する剛性を高めながら接触させ得る形状を有している。即ち、直線状搬送部Htにおける第2搬送ガイド316は、凸状部316a,316bを有している。凸状部316a,316bは、第1搬送ガイド315から進入している外周面211aに対向する部位(凹部316c)の、搬送される原稿長(シート長)の範囲内での原稿搬送方向(矢印Eの方向)の上流側と下流側とから原稿搬送路41内に突出する。この場合、搬送される原稿Gが第2搬送ガイド316の凸状部316a,316bにより常に異物除去ローラ211の外周面211aに押し付けられることになるので、異物kを安定して吸着することが可能になる。
切欠き部315aは、図7の手前−奥方向にて異物除去ローラ211の軸方向長さよりやや長くなるように延設されている。異物除去ローラ211は、仕様原稿の幅方向の寸法を包含する領域の略全域に亘って配置されており、搬送された原稿Gの略全域に付着している異物を効果的に回収できるように構成される。本実施形態においても、異物除去ローラ211は、モータM4の駆動により第2搬送ローラ対234と共に同方向に同速度で回転される。異物除去ローラ211は、原稿搬送方向(矢印Eの方向)に搬送される原稿Gの流れに準じる方向(反時計回り方向:矢印Fの方向)に回転させられる。
回収部202は、異物除去ローラ211の外周面211aに接触する接触部材としての掻き取り部材312と、掻き取り部材312の接触により外周面211aから剥離される異物kを収容する収容部材314とを有する。この収容部材314は、異物除去ローラ211の軸方向に延びるように設けられ、ADF220の装置本体もしくは画像形成装置100の装置本体10に支持されている。
掻き取り部材312は、異物除去ローラ211の外周面211aに接触(摺接)して異物除去ローラ211を摩擦帯電させる帯電部材としても構成され、外周面211aに静電吸着された異物kを掻き取り除去する。
掻き取り部材312は、図7の手前−奥方向に長く、異物除去ローラ211の軸方向に延設されたゴム材等のプレート状に構成されている。収容部材314も、異物除去ローラ211の軸方向に延設された掻き取り部材312に対応するように同等の長さ寸法に構成される。これにより、掻き取り部材312を異物除去ローラ211の軸方向(主走査方向)全域に当接させて、異物除去ローラ211の外周面211aに吸着した異物kを効率良く回収することができる。
収容部材314は、壁部314eから異物除去ローラ211側に延設された延設部314aと、壁部314eの反対側から上方に突出する壁部314bと、延設部314aと壁部314b間に設けられた切欠き部314cとを有している。この切欠き部314cに異物除去ローラ211の下部側が進入する状態で収容部材314は、位置決め固定されている。この状態において延設部314aの先端部には、掻き取り部材312の後端が固定され、その先端が異物除去ローラ211に接触している。異物除去ローラ211は、図7における反時計回り方向(矢印Fの方向)に回転する異物除去ローラ211の回転に逆らう方向に位置決めされて延設部314aに固定されている。
収容部材314は、掻き取り部材312により掻き取られた異物kを掻き取り部材312下方の底部314dで受けて収容するように構成されている。収容部材314は、異物除去ローラ211の外周面211aに吸着された異物kを回収し、かつ回収した異物kを落下させないような形状、構成のものであれば良い。
以上の本実施形態によれば、異物除去ローラ211と対向側の第2搬送ガイド316の内面における上流側と下流側の凸状部316a,316bを有し、これらの間の凹部316cに異物除去ローラ211を押しつける形で原稿Gから異物kを吸着する。このため、原稿搬送方向の前後端を凸部316b,316aで支えられて剛性(コシ)が高められた状態の原稿Gの裏側(第2面側)から安定して異物kを吸着することが可能になる。
本実施形態では、異物除去の構成を画像読取装置200に適用した例を挙げて説明したが、搬送するシート類の異物除去という用途であればこれに限定されるものではなく、プリンタ、ファクシミリ等におけるシート搬送装置に適用することも可能である。
即ち、既述した回収部201,202及び異物除去ローラ211は、図4等で説明したADF220の湾曲状搬送部Hwや直線状搬送部Htだけではなく、次のように配置することもできる。例えば、図1に示す、装置本体10におけるシート搬送装置34のシート搬送路36での湾曲状搬送部Hwや直線状搬送部Htに配置することもできる。この場合、直線状搬送部Htは、図1に示すシート給送部30からのシートSと手差しトレイ35からのシートSとをレジストレーションローラ対11に送る直線状の部位に設けられている。また、湾曲状搬送部Hwは、直線状搬送部Htよりシート搬送方向上流側の湾曲した部位に設けられている。
この場合、回収部201,202は、湾曲状搬送部Hw、直線状搬送部Htを搬送されるシートSに接触することで異物除去ローラ211の外周面211aにシートSから付着した異物kを回収することができる。このような構成によっても、既述した効果と略同様の効果を得ることが可能である。
なお、以上の第1及び第2の実施形態は、電子写真方式の画像形成装置100を用いて説明したが、これに代えて、例えば、ノズルからインク液を吐出させることでシートに画像を形成するインクジェット方式の画像形成装置に用いることも可能である。