<第1の実施形態>
以下、本発明の実施形態に係る画像読取装置及び画像形成装置について、図面を参照しながら説明する。本実施形態に係る画像形成装置は、複写機、ファクシミリ、プリンタ、及びこれらの複合機等から構成可能であり、スキャナ部と、スキャナ部の画像読取部(画像読取手段)に原稿(シート状原稿)を給送可能なADFと、を有する画像読取装置を備えている。この画像読取装置は、ADFを備えたフラットベッドスキャナのように装置単体として構成する場合の他、複写機やファクシミリなどの画像形成装置における画像読取部として用いられて好適なものである。なお、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
[画像形成装置]
まず、本実施形態に係る画像形成装置の概略構成について図1を参照しながら説明する。図1は、本第1の実施形態に係る画像形成装置のシート搬送方向に沿った断面図である。なお、以下では、ユーザーが画像形成装置に対して各種入力/設定を行う不図示の操作部に臨む位置を画像形成装置の「手前側」といい、背面側を「奥側」という。つまり、図1は、手前側から見た画像形成装置の内部構成を示したものである。図1に示す画像形成装置は、後述する第2、第3及び第4の実施形態においても同様に用いられる。なお、各図面において、同一部品及び同一部分には同じ符号を付し、重複した説明は省略する。
図1に示すように、画像形成装置101は、画像形成装置本体101Aと、画像形成装置本体101Aの上部に設けられた画像読取装置103とを備えている。画像読取装置103は、スキャナ部(画像読取装置本体)30と、スキャナ部30の上に設けられたADF(シート搬送手段)1とから構成されている。さらに、画像形成装置101は、画像読取装置103及び画像形成装置本体101A等を制御する、CPU,RAM,ROMを有する制御部132を備えている。
ADF1は、ユーザーによって原稿給送トレイ2に積載された原稿(シート)Dをスキャナ部30に自動的に給送するように構成されている。スキャナ部30は、画像読取位置にて、搬送されている原稿Dに照射した光の反射光を受光して、原稿Dを光学的に読み取って電気信号に変換し、その電気信号に基づいて画像データ(画像読取情報)を作成するように構成される。なお、ADF1及びスキャナ部30の詳細については、後述する。
画像形成装置本体101Aは、記録媒体であるシートPに画像を形成する画像形成部133と、画像形成部133にシートPを給送するシート給送部34とを有している。シート給送部34は、シートが積載されるシート積載部137a,137b,137c,137dと、各積載部137a〜137d内のシートを給送する給送ローラ32と、シートを1枚ずつ分離しつつ搬送する搬送ローラ33aと分離ローラ33bとを有する。さらに、画像形成装置本体101Aは、画像が形成されたシートPを画像形成装置本体101Aの外方(機外)に排出する排出ローラ対40と、排出されたシートPが積載されるシート排出トレイ130とを有している。画像形成装置本体101Aは、画像データに基づき、画像形成部133によりシートPに複写画像を形成するように構成される。
画像形成部133は、感光ドラム121と、その周囲に配置された帯電器118、現像器124、転写帯電器125及び分離帯電器126と、を有している。画像形成装置本体101Aでは、原稿Dの画像の電気信号や画像データに基づいて露光器123を作動させて、回転する感光ドラム121の表面に静電潜像を形成する。静電潜像は、現像器124で現像(トナーを供給)されてトナー画像となる。なお、画像形成部133及び定着部129により、画像読取装置103によって原稿Dから読み取られた画像情報に基づいて原稿Dとは別のシートであるシートPに画像を形成する画像形成手段が構成される。
画像形成装置本体101Aの下部には、各種サイズのシートPを装填したシート積載部137a,137b,137c,137dが配置されている。シート積載部137a〜137dに収納されたシートPはそれぞれ、対応する給送ローラ32によって1枚ずつ繰り出され、対応する搬送ローラ33a及び分離ローラ33bに受け渡される。シートPは、手差しトレイ137eからも分離給送ローラ対138によって給送される。
シート積載部137a〜137dの何れかもしくは手差しトレイ137eから給送されたシートPは、各対応する搬送ローラ対131を介してレジストレーションローラ対136に搬送される。そして、シートPは、レジストレーションローラ対136で斜行を矯正(斜行補正)され、かつ感光ドラム121上のトナー画像と位置を合わされて、感光ドラム121と転写帯電器125との間に供給される。このシートPは、転写帯電器125により感光ドラム上のトナー画像を転写され、分離帯電器126により感光ドラム121から分離される。クリーナ127は、トナー画像を転写した感光ドラム121の表面をクリーニングする。そして、帯電器118は、次の露光に備えて感光ドラム121の表面を帯電する。
トナー画像を転写されたシートPは、ベルト搬送部128によって定着部129に搬送され、定着部129で加熱と加圧を受けて表面にトナー画像を定着される。そして、トナー画像が定着されたシートPは、排出ローラ対40を介して排出トレイ130に排出される。
[画像読取装置]
次に、図3及び図4を参照して、本実施形態に係るADF1及びスキャナ部30の詳細について説明する。なお、図3は、本実施形態に係る画像読取装置103の全体を示す構成図、図4は、本実施形態に係る画像読取部を拡大して示す拡大図である。
上述したように、画像読取装置103は、本体部の一例であるスキャナ部30と、スキャナ部30に対して開閉自在に構成された開閉部の一例であるADF1とから構成されている。即ち、この画像読取装置103は、原稿台ガラス213が手前側から開閉可能となるように、奥側に配設された後述のヒンジ機構11により、ADF1がスキャナ部30に回動可能に支持されている。画像読取装置103は、原稿搬送路Hに臨む2カ所に第1画像読取部151と第2画像読取部201を設けることで、原稿Dの表面(第1面D1:図7)の画像を読み取ると共に裏面(第2面D2:図7)の画像も読み取るデュアルスキャン方式が適用されている。以下、スキャナ部30及びADF1について、具体的に説明する。
図3及び図4に示すように、ADF1は、原稿Dを自動的に、第1画像読取部151による第1画像読取位置R1と、第2画像読取部201による第2画像読取位置R2とに送り込むように構成されている。ADF1は、原稿Dの幅方向に沿って細長状に延在する自動原稿搬送部(原稿給送部23)を備えている。この自動原稿搬送部には、原稿給送ローラ4、分離ローラ5、リタードローラ6、レジストレーションローラ対7、搬送ローラ対8,9、及び排出ローラ対10が配置されている。
原稿給送ローラ4は、原稿給送トレイ2に積載された原稿Dを給送するように図3の破線位置から実線位置に移動可能に支持されている。分離ローラ5及びリタードローラ6は、原稿給送ローラ4により原稿給送トレイ2から繰り出される原稿Dを1枚ずつに分離する。レジストレーションローラ対7は、分離ローラ5及びリタードローラ6の下流に配置されて原稿Dの斜行を矯正(補正)する。排出ローラ対10は、搬送ローラ対9の下流に配置され、画像読取を終えた原稿Dを原稿排出部3に排出する。自動原稿搬送部の一端面側(図3の右端面側)の上方位置には、画像読み取り前の原稿Dが積載される原稿給送トレイ2が片持ち状態で略水平に突出するように取り付けられている。
スキャナ部30は、第1透明部材としての第1流し読みガラス(プラテンガラス)152と、第1流し読みガラス152と副走査方向(図3の左右方向)に並んで配置された原稿台ガラス213とを有している。第1画像読取手段としての第1画像読取部151は、シート搬送路としての原稿搬送路Hを搬送される原稿Dの第1面D1の画像を第1流し読みガラス(第1透明部材)152を介して読み取るように構成されている。また、第2画像読取手段としての第2画像読取部201は、第1画像読取部151の原稿搬送方向(矢印F方向)の下流に配置され、原稿搬送路Hを挟んで第1画像読取部151の反対側に配置されている。この第2画像読取部201は、原稿搬送路Hを搬送されてくる原稿Dの第2面D2の画像を第2流し読みガラス(第2透明部材)202を介して読み取るように構成されている。
第1画像読取部151には、等倍光学系の密着型イメージセンサ(以下、CIS(Contact Image Sensor)と表記する)が用いられている。このCISは、光源としてLEDアレイ(不図示)から原稿Dの画像情報面に光を照射し、画像情報面で反射した反射光をセンサ素子(光電変換素子15:図2)に結像して画像情報を読み取るものである。第2画像読取部201にも、第1画像読取部151と同様にCISが用いられている。本実施形態における第1画像読取部151及び第2画像読取部201は夫々、第1流し読みガラス152及び第2流し読みガラス202を介して、搬送されてくる原稿Dの読取画像面に読取光学系の焦点を合わせるように構成されている。
第1画像読取部151は、不図示の駆動ベルトに接続されている。第1画像読取部151は、スキャナ部30に備えた駆動モータM4が制御部132の制御で駆動することで、第1流し読みガラス152の下方の流し読み位置P2と、位置P1と、原稿台ガラス213の下方の終端位置P3との間を移動可能に構成される。上記流し読み位置P2は、即ち、第1画像読取位置R1である。第1画像読取部151は、原稿搬送路Hを搬送される原稿Dの第1面D1の画像を、流し読み位置P2(第1画像読取位置R1)で第1流し読みガラス152を介して読み取るように構成される。第1画像読取部151の位置は、ポジションセンサ(不図示)と駆動モータM4の回転パルス数とにより、制御部132が把握することが可能になっている。
本実施形態において、第1画像読取部151を流し読み位置P2に停止させた状態で、ADF1によって原稿Dを第1流し読みガラス152上で移動させながら画像を読み取る形態を「流し読み」という。また、原稿台ガラス213上に原稿Dを載置し、第1画像読取部151を位置P1と終端位置P3との間で図3左右方向に移動させながら画像を読み取る形態を「固定読み」という。
ADF1は、原稿給送トレイ2と、原稿給送部23と、原稿排出部3とを有している。原稿給送トレイ2には、流し読みのための原稿Dが積載される。原稿給送部23は、流し読みをする際に、原稿搬送路Hを介して原稿Dを所定の画像読取位置(流し読み位置P2、第1画像読取位置R1)に給送する。原稿排出部3には、流し読みされた原稿Dが排出されて積載される。また、ADF1は、固定読みをする際に原稿台ガラス213に載置された原稿Dが移動しないように、不図示の樹脂製プレートによって原稿Dを押圧可能に構成されている。
原稿給送トレイ2の下方に配置された原稿排出部3は、第1画像読取位置R1と第2画像読取位置R2とで画像を読み取られて上記自動原稿搬送部から送り出される原稿Dを受ける。各画像読取位置R1,R2では、透明で原稿Dをガイドする第1流し読みガラス152と、第2流し読みガラス202とが原稿搬送路Hを互いに挟み込むように配置される。原稿排出部3は、自動原稿搬送部における一端面側の下方位置から略水平に突出するように取り付けられており、その原稿排出部3の上面側に排出された原稿Dが積層状に積載されるように構成される。これらの原稿給送トレイ2及び原稿排出部3は、上下方向において適宜の間隔をなして上下で対面するように配置され、平面視においてほぼ重なり合う重合配置関係になされている。
[画像の読取位置]
次に、図3を参照して、ADF1が原稿Dを第1画像読取部151と第2画像読取部201に搬送して、原稿Dの第1面D1と第2面D2を連続して読み取る場合について説明する。
図3に示すように、原稿給送トレイ2上には複数枚の原稿Dが積層状に積載され、読み取りモードをユーザーが選択した後、原稿給送ローラ4より上流側に位置する原稿検知センサS1による原稿Dの有無の検知に基づき、制御部132(図1参照)が判断する。制御部132によって原稿Dが検知されたと判断されると、スキャナ部30の位置P1にある第1画像読取部151が、揺動可能に支持されているキャリッジCに積載された状態でシャフト部(不図示)に案内されて流し読み位置P2に向けて移動させられる。
その後、制御部132の制御により原稿給送ローラ4が、図3の破線位置から実線位置に下降させられて、原稿Dを原稿給送部23への入口側搬送パス空間に送り込む。そして、原稿給送部23における分離ローラ5まで原稿給送ローラ4の回転駆動力で搬送された原稿Dは、分離ローラ5とその下方からバネ付勢されているリタードローラ6との間の摩擦力によって1枚ずつに分離される。分離された原稿Dは、回転を停止しているレジストレーションローラ対7にその先端を突き当てられる。制御部132の制御による駆動モータMoの駆動で、レジストレーションローラ対7が回転させられると、このローラ対7により搬送される原稿Dの先端は、以下のように検知される。即ち、レジストレーションローラ対7の原稿搬送方向(矢印F方向)の上流側に設置された原稿検知センサS2のフラグ(不図示)で検知される。
そして、レジストレーションローラ対7は、図3における駆動モータMoと上記ローラ対7との間に接続された電磁クラッチCLが制御部132の制御で作動することで駆動伝達を遮断され、一定時間、回転を停止させられる。原稿Dは、レジストレーションローラ対7が停止している間に分離ローラ5により搬送され続けるため、原稿Dは、ループが形成されて斜行を取り除かれる(斜行補正)。なお、図3のように、制御部132の制御で作動する駆動モータMoは、分離ローラ5、搬送ローラ対8,9、排出ローラ対10を回転させる。そして、この駆動モータMoは、分離ローラ5を介して原稿給送ローラ4を回転させ、電磁クラッチCLを介してレジストレーションローラ対7を回転させる。
原稿給送部23におけるレジストレーションローラ対7と搬送ローラ対8との間には、原稿検知センサS3が配置されている。搬送ローラ対8と搬送ローラ対9との間の搬送経路内には、第1画像読取位置R1と第2画像読取位置R2とが設けられている(図4参照)。第1画像読取位置R1は、前述したようにスキャナ部30の第1画像読取部151が原稿Dの第1面D1(図7参照)を読み取る位置であり、第2画像読取位置R2は、ADF1の第2画像読取部201が原稿Dの第2面D2を読み取る位置である。
斜行補正を施された原稿Dは、レジストレーションローラ対7によって搬送ローラ対8に搬送される。制御部132は、原稿検知センサS3の検知に基づいて原稿Dの先端と第1画像読取位置R1との読取タイミングを合わせ、搬送ローラ対8の駆動を制御して第1画像読取位置R1に送り込む。この原稿Dは、第1画像読取位置R1と第2画像読取位置R2とにより両面の画像を読み取られつつ搬送ローラ対9により搬送された後、排出ローラ対10により原稿排出部3の積載面上に順次排出されて積層される。
ところで、スキャナ部30の圧板部(原稿台ガラス213部分)で原稿Dを読み取る場合には、ADF1をヒンジ機構11(図5参照)を介して回動させてスキャナ部30から開放させ、原稿台ガラス213の上方に位置させる。この後、ADF1をスキャナ部30に向けて閉じた状態とし、ユーザーが複写操作を行うと、待機位置P1で待機している第1画像読取部151が、揺動支持されているキャリッジCに積載された状態でシャフト部(不図示)に案内される。そして、この第1画像読取部151は、画像を読み取りながら終端位置P3に移動する。その結果、原稿台ガラス213上の原稿Dの画像が第1画像読取部151によって読み取られる。
[ヒンジ機構]
ここで、上記ヒンジ機構11について図5を参照して説明を行う。図5は第1の実施形態に係るヒンジ機構についての説明図である。ヒンジ機構11は、図5に示すように、画像読取装置103の奥側でADF1とスキャナ部30とを連結し、回転軸12を中心としてADF1をスキャナ部30に対して矢印E方向に回動させるように支持している。これにより、ADF1は、スキャナ部30側の原稿台ガラス213(図3参照)に対して開閉可能に構成される。また、ヒンジ機構11は、スキャナ部30に対して矢印I方向(上下方向)に移動可能に取り付けられており、厚みのある原稿Dを読み取る場合に対処できるように構成されている。
[ADF及び画像読取装置の読取構成]
続いて、図3及び図4を参照して、本実施形態に係るADF1及びスキャナ部30の読取部近傍の構成について詳細に説明する。
図3及び図4に示すように、第2画像読取部201は、原稿搬送路Hを含む原稿給送部23において原稿の搬送時に発生する異物が、第2画像読取部201の読取部位及び第2流し読みガラス202の裏面等に侵入しないように構成される。その実現のため、第2画像読取部201は、密閉ガイドGと第2流し読みガラス202とで密閉されたカバーモジュールMに収納されている。密閉ガイドGと第2流し読みガラス202とは、相互間の隙間を埋めるために例えば接着材などで固定されている。
第2画像読取部201からの信号線ケーブルは、密閉ガイドGの一部に設けられた開口部(不図示)を経由して、画像形成装置101内に設けられた画像処理部(不図示)と接続されている。この開口部の周囲は、スポンジ状の弾性部材で信号ケーブルを囲うように覆われて、紙粉等の異物の侵入を防止されている。
密閉ガイドGの内部には、第2画像読取部201を第2流し読みガラス202に押し付けるための圧縮スプリング203が縮めて設けられている。第2画像読取部201は、不図示のスペーサーを介して第2流し読みガラス202の裏側に当接している。また、カバーモジュールMは、ADF1の搬送フレーム(不図示)の内部に一端が接続された押圧バネSpによって第1流し読みガラス152の方向へ押圧されている。
ここで、密閉ガイドGの一部や、上流側搬送ガイド400の一部に突起を設け、この突起を第1流し読みガラス152に突き当てることで、第1流し読みガラス152と第2流し読みガラス202とで形成される原稿搬送路Hの隙間を保障している。また、図4に示すように、第2画像読取部201で原稿Dの裏面を読み取るときに薄紙の裏写りを防止するため、第2流し読みガラス202の下方には白シート部材212が設けられている。
上記上流側搬送ガイド400は、密閉ガイドGの一部から原稿搬送方向の上流側に突出するように設けられている。後に詳述するが、この上流側搬送ガイド400は、読取部Reに搬送されてきた原稿Dの先端を第1画像読取部151の第1画像読取位置R1に案内する上流側傾斜案内面401を有している。なお、上流側搬送ガイド400は、薄い板金状の部材、或いは薄い合成樹脂材等から構成することができる。
前述のように原稿Dを読み取る際、スキャナ部30に備えられた第1画像読取部151は、制御部132の制御で第1画像読取位置R1(図4参照)まで移動させられる。また、ADF1に備えられた第2画像読取部201は、第2画像読取位置R2(図4参照)において画像を読み取る。第1画像読取位置R1と第2画像読取位置R2との間の距離L(図4参照)は、各画像読取部151,201に設けられた照明(不図示)からの影響を互いに受けない適切な距離をもって決定されている。本実施形態では例えば、L=15.5mmに設定されている。
第1画像読取部151と第2画像読取部201とは、原稿搬送路Hを挟んで互いに対向するように配置されている。また、第1画像読取部151と原稿搬送路Hとの間には第1流し読みガラス152が配置され、第2画像読取部201と原稿搬送路Hとの間には第2流し読みガラス202が配置されている。第1流し読みガラス152及び第2流し読みガラス202は、それぞれ板状ガラスによって構成することができる。
原稿搬送路Hには、第1流し読みガラス152に隣接して原稿搬送方向に一部が傾斜する下流側搬送ガイド500が配置されている。下流側搬送ガイド500と第2流し読みガラス202とは、隙間をあけて互いに対向して配置されている。また、第1流し読みガラス152と上流側搬送ガイド400とは、隙間をあけて互いに対向して配置されている。原稿Dは、第1流し読みガラス152と上流側搬送ガイド400とで形成される隙間と、第2流し読みガラス202と下流側搬送ガイド500とで形成される隙間とを搬送されながら、画像を読み取られる。つまり原稿Dは、上記隙間を通る際に、第1画像読取部151と第2画像読取部201とによって、第1面D1と第2面D2から夫々画像を読み取られる。なお、下流側搬送ガイド500は第1搬送ガイド手段を構成し、上流側搬送ガイド400は第2搬送ガイド手段を構成し、これら上流側搬送ガイド400及び下流側搬送ガイド500により搬送ガイド(搬送ガイド手段)300が構成されている。
上流側搬送ガイド400は、原稿搬送路Hを構成し且つ下流側搬送ガイド500と対向する側に配置され、搬送されてくる原稿Dの先端を第1流し読みガラス152に当接する方向に案内可能に傾斜する上流側傾斜案内面(第2傾斜案内面)401を有している。これにより、搬送されてくる原稿Dの先端を第1流し読みガラス152に当接するように高い精度で案内可能となる。下流側搬送ガイド500は、第1流し読みガラス152に摺接しながら第1流し読みガラス152を通過する原稿Dの先端を第2流し読みガラス202に当接する方向に案内可能に傾斜する上流側傾斜案内面(傾斜案内面、第1傾斜案内面)501を有する。これにより、搬送されてくる原稿Dの先端を第2流し読みガラス202に当接するように高い精度で案内可能となる。
本実施形態では、第1流し読みガラス152と、この第1流し読みガラス152と平行となる上流側搬送ガイド400の平行案内面402との間の隙間は、例えば0.6mmに設定されている。また、第2流し読みガラス202と、この第2流し読みガラス202と平行となる下流側搬送ガイド500の平行案内面502との隙間は、例えば0.8mmに設定されている。
第1画像読取部151は、キャリッジC内に備えられた圧縮スプリング153(図3参照)によって第1流し読みガラス152の方向に押圧付勢されている。第1画像読取部151の両端に取り付けられたスペーサー(不図示)が第1流し読みガラス152と当接することで、原稿搬送路Hを通過する原稿Dの第1面D1との適切な焦点距離を保証している。
一方、第2画像読取部201は、密閉ガイドG内に配置された圧縮スプリング203(図3参照)によって第2流し読みガラス202の方向へ押圧付勢されている。そして、第2画像読取部201の両端に取り付けられたスペーサー(不図示)が第2流し読みガラス202と当接することで、原稿搬送路Hを通過する原稿Dの第2面D2(図7参照)との適切な焦点距離を保証している。
[第1、第2画像読取部に用いられるCIS]
ここで、先述した第1画像読取部151及び第2画像読取部201に用いられるCIS35の構造について、図2(a),(b)を参照して詳細に説明する。なお、図2(a)は、本実施形態に係るCIS35の説明図、図2(b)は、図2(a)のCIS35の部分斜視図である。
本実施形態では、画像読取手段の一例としてCIS(Contact Image Sensor)35を使用している。図2(a)に示すように、このCIS35はフレーム18を有しており、このフレーム18には、原稿Dに光照射するLEDを用いた光源(不図示)と、導光体13とから構成される照明装置が装着されている。この導光体13は、光源から出射光を取り入れ、原稿読取領域の主走査方向の長さにわたって照射光量が略均一になるように出射する。
さらに、フレーム18には、センサアレイが搭載されたセンサ基板16と、原稿Dの光学像をセンサアレイ上に結像するレンズアレイ17とが配置されている。センサアレイは、原稿Dの光学像14(図2(b)参照)を電気信号に光電変換する受光部を複数備えた光電変換素子15を主走査方向にライン配置して形成されている。センサ基板16及びレンズアレイ17等は、図2(b)に示すように、画像形成部133(図1参照)による画像形成に係る主走査方向に沿って設けられている。
ここで、CIS35による原稿Dの画像読取領域は、光電変換素子15を配置した領域を示し、光電変換素子15は、副走査方向に搬送される原稿Dが斜行しても画像が読み取れるように主走査方向にて原稿Dの幅よりも端面が例えば3mm程度長く設定される。
本実施形態における画像読取領域とは、図2(b)に示すように、光電変換素子15が主走査方向に配置された長さXのことである。ここで、例えばA4サイズの原稿Dを読み取ることが可能なCISの場合、短辺方向を、原稿Dを走査する主走査方向とすると、解像度600dpi(dot per inch)で約5100画素分の光電変換素子15が配列されていることになる。
次に、図4を用いて、第1流し読みガラス152及び第2流し読みガラス202の導通構造について詳細に説明する。
即ち、図4に示すように、第1流し読みガラス152は、その表面に導電性コート処理(ITO(Indium Tin Oxide)処理)が施されており、表面抵抗率が、例えば200〜500[Ω/cm]に設定されている。第1流し読みガラス152の原稿搬送方向(矢印F)の上流側縁部には、第1流し読みガラス152の表面(上面)152aから裏面(下面)152bにかけて、導電部材であるアルミニウムシート154が導電性両面テープ155で一体的に貼り付けられる。
アルミニウムシート154は、第1流し読みガラス152の表面と電気的に導通される。また、アルミニウムシート154は、画像読取装置103の例えば板金等の導電性を有する筐体156(図3参照)と結合されている。筐体156は、画像形成装置本体101A(図1参照)と電気的に結合されて装置全体の導通がとられている。このように、第1流し読みガラス152は、表面に導電性コート処理が施された形でアース(フレームグランド)されている。
第2流し読みガラス202は、その表面に導電性コート処理(ITO処理)が施されており、表面抵抗率が、例えば200〜500[Ω/cm]に設定されている。第2流し読みガラス202の上流側の縁部には、第1流し読みガラス152と同様に、アルミニウムシート204が導電性両面テープ205を介して一体的に貼り付けられている。また、不図示の導通部材によって、第1流し読みガラス152と同様に画像形成装置本体101A(図1参照)と電気的に結合されて装置全体の導通がとられている。このように、第2流し読みガラス202は、表面に導電性コート処理が施された形でアース(フレームグランド)されている。
また、図4に示すように、上流側搬送ガイド400は、原稿搬送方向(矢印F方向)の上流側から順に、上流側傾斜案内面401、平行案内面402、下流側傾斜案内面403、下流側傾斜案内面404を有している。先述した原稿給送動作で、搬送ローラ対8(図3)により原稿Dが搬送されると、この原稿Dは、第2流し読みガラス202に結合された上流側搬送ガイド400の上流側傾斜案内面401と、第1流し読みガラス152の表面152aとの間の隙間を通過する。さらに、この原稿Dは、第1流し読みガラス152と略平行に形成された上流側搬送ガイド400の平行案内面402と表面152aとの間の隙間を通過する。なお、平行案内面402は、第1流し読みガラス152に対向し第1画像読取位置R1の上流側及び下流側にそれぞれ位置する第1角部A及び第2角部Bを有している(図8(a)〜(c)、図9参照)。
また、下流側搬送ガイド500は、原稿搬送方向の上流側から順に、上流側傾斜案内面501、平行案内面502、下流側傾斜案内面503を有している。第1流し読みガラス152側から原稿Dが搬送されると、この原稿Dは、下流側搬送ガイド500の上流側傾斜案内面501と下流側傾斜案内面403との間の隙間を通過する。さらに、この原稿Dは、第2流し読みガラス202と略平行に形成された平行案内面502と第2流し読みガラス202の表面202aとの間の隙間を通過し、下流側傾斜案内面404と下流側傾斜案内面503との間の隙間を通過する。
<比較例1>
ここで、流し読みガラスの表面に付着した異物を掻き取る構成を有する比較例1について、図17(a)〜図17(d)に沿って説明する。図17(a)は比較例1における画像読取部を示す構成図、図17(b)は画像読取部に原稿が侵入した状態を示す説明図である。また、図17(c)は第1画像読取部の原稿読取位置に原稿の先端がある状態を示す説明図、図17(d)は原稿の先端が異物を掻き取った状態を示す説明図である。
即ち、図17(a)〜(d)に示すように、比較例1では、原稿Dの両面を同時に読み取るスキャナ部側の第1画像読取部602とADF側の第2画像読取部702とが対向して配置されている。そして、第1流し読みガラス601と第2流し読みガラス701とで形成される搬送パスを原稿Dを通過させながら画像を読み取る構成を備えている。
この構成によると、図17(a)のように搬送される原稿Dの両面の画像を読み取る場合、原稿Dは、第1画像読取部側の第1流し読みガラス601と摺擦されつつ搬送される。その結果、第1面D1が接触した状態で搬送される過程で発生した異物Goが第1流し読みガラス上に溜まる。この際、特に異物Goが原稿読取位置に溜まると、画像記録のときに画像スジが発生してしまう。
図17(a)のように、原稿Dと共に運ばれてきた異物Goが原稿Dと第1流し読みガラス601とで摺擦された後、原稿Dは第1流し読みガラス601を通過しながら搬送ガイド(不図示)に沿って搬送されていく。この異物Goは、第1流し読みガラス601に静電吸着されて滞留する。このとき、異物Goが偶発的に原稿読取位置にあると、原稿Dの読取中、第1画像読取部602又は第2画像読取部702により連続して読み取られることで画像スジが発生する。第1流し読みガラス601は、原稿搬送による帯電を防止するため、ガラス表面に導電性コートが塗布されて、第1流し読みガラス601と原稿Dとの間の電位差が小さくされている。これにより、異物Goが第1流し読みガラス601に付着することが防止可能にされている。その結果、第1流し読みガラス601に異物Goが付着しても、図17(b),(c),(d)のように、次に続く原稿Dの先端が第1流し読みガラス601に接触する過程で、第1流し読みガラス601上の異物Goを掻き取っていくことが可能になる。
画像が読み取られる過程において、原稿Dは、上流側の送りローラ対Ro1によって先端が第1流し読みガラス601に接触する。その後、この原稿Dは、下流側の送りローラ対Ro2に挟持されて搬送される。送りローラ対Ro1及び送りローラ対Ro2に挟持された原稿Dは、第1流し読みガラス601の端部もしくは第1流し読みガラス601と一体的に形成されたガイド部材(不図示)の一部に支持されながら搬送される。そのため、原稿Dの第1面D1は第1流し読みガラス601に接触しない。第1面D1は第1流し読みガラス601に接触しないため、特に異物Goが第1流し読みガラス601に付着することはない。しかし、原稿Dの搬送過程では、第2面D2に付着している異物Goは、例えば第1流し読みガラス601の帯電や原稿搬送中の跳ねなどにより偶発的に第2流し読みガラス701の裏面(下面)に付着することがある。ここで、原稿Dの先端は第2流し読みガラス701には接触しない。これは、送りローラ対Ro1の原稿Dの搬送方向は下方向を向いているのに対し、送りローラ対Ro2の原稿Dの搬送方向は上方向を向いているため、原稿Dの搬送軌跡が第2流し読みガラス701と接触しないからである。そのため、第2流し読みガラス701の裏面(下面)に付着した異物Goは原稿Dの先端で掻き取られることはない。従って、偶発的に第2流し読みガラス701の読取位置に異物Goが付着した場合、画像スジが発生してしまうことになり、ユーザーが頻繁に第2流し読みガラス701を清掃するなど、煩わしい作業を負担することになる。
[本実施形態の掻き取り動作]
次に、比較例1における上述の問題点を解消可能な本実施形態における原稿読取動作時の異物掻き取り動作について説明する。
即ち、図4のように、搬送ローラ対8等により搬送されてくる原稿は、その先端が上流側搬送ガイド400の上流側傾斜案内面401で案内され、第1画像読取部151の第1画像読取位置R1より原稿搬送方向の上流側で第1流し読みガラス152に当接する。その後、この原稿Dの先端は、第1流し読みガラス152に隣接して配置された下流側搬送ガイド500の上流側傾斜案内面501に案内される。さらに、この先端は、上流側傾斜案内面501に案内されながら第2流し読みガラス202の表面202aに摺接する。このときの接触位置は、第2画像読取部201の第2画像読取位置R2より原稿搬送方向(矢印F方向)の上流側になるように上流側傾斜案内面501がレイアウトされている。上流側傾斜案内面501は、第1流し読みガラス152の原稿搬送方向に対してそのなす角度θ1が5°〜55°の範囲内が好ましく、本実施形態の構成においての角度θ1は例えば8.5°に設定されている。
ここで、図6(a)及び(b)を参照して、第1流し読みガラス152と第2流し読みガラス202とにおける原稿先端の接触位置について説明する。
図6(a)は、第1流し読みガラス152の第1画像読取位置R1における原稿先端の当接位置m1を示したものである。原稿Dは、搬送ローラ対8の近傍に配置された搬送ガイド157の湾曲案内面157a(図3参照)に沿って第1流し読みガラス152まで案内され、その先端が、第1画像読取位置R1よりも距離Δaだけ原稿搬送方向(矢印F方向)の上流側で接触する。
このように、第2傾斜案内面としての上流側傾斜案内面401の面方向(傾斜方向)へ直線的に延びる第2延長線Q(図4参照)が、第1画像読取部151の第1画像読取位置R1より原稿搬送方向の上流側で第1流し読みガラス152に交わる。これにより、第1画像読取部151によって原稿Dの第1面D1の画像を読み取るのに先立ち、第1流し読みガラス152の第1画像読取位置R1に対応する面を適正に清掃することが可能になる。
図6(b)は、第2流し読みガラス202の第2画像読取位置R2における原稿先端の当接位置m2を示したものである。原稿Dは、下流側搬送ガイド500の上流側傾斜案内面501(図4参照)に案内され、その先端が、第2画像読取位置R2よりも距離Δbだけ原稿搬送方向(矢印F方向)の上流側で接触する。本実施形態では、例えば、Δa=5(mm)、Δb=3.5(mm)に設定されている。
このように、上流側傾斜案内面(傾斜案内面,第1傾斜案内面)501の面方向(傾斜方向)へ直線的に延びる第1延長線J(図4参照)が、第2画像読取部201の第2画像読取位置R2より原稿搬送方向の上流側で第2流し読みガラス202に交わる。これにより、第2画像読取部201によって原稿Dの第2面D2の画像を読み取るのに先立ち、第2流し読みガラス202の第2画像読取位置R2に対応する面を適正に清掃することが可能になる。
次に、原稿先端が上流側傾斜案内面501に案内された時に第2流し読みガラス202に接触することで、第2流し読みガラス202の表面202aでの第2画像読取位置R2に付着した異物Goを掻き取る作用について図7(a)〜(c)により説明する。なお、図7(a)は第2流し読みガラスに原稿が接触した状態を示す説明図、図7(b)は第2流し読みガラスの異物を原稿により掻き取る状態を示す説明図、図7(c)は第2流し読みガラスの異物を取り除く状態を示す説明図である。
上流側傾斜案内面501に案内された原稿Dの先端は、第2流し読みガラス202の第2画像読取位置R2に付着した異物Goよりも原稿搬送方向の上流側で表面202aに接触する。原稿Dの先端は、そのまま第2流し読みガラス202に沿って搬送されて異物Goを掻き取る。(図7(a),(b)参照)。そして、先端で異物Goを掻き取った原稿Dは、そのまま第2流し読みガラス202の表面202aに沿って摺接しつつ搬送されるので、第2流し読みガラス202の表面202a上の異物Goは、第2画像読取位置R2から取り除かれる(図7(c)参照)。
次に、図8(a)〜(c)を参照して、原稿の挙動について説明する。なお、図8(a)は原稿搬送時の拘束位置を示す図、図8(b)は、図8(a)において原稿搬送中の第2画像読取部201及びその近傍を拡大した図、図8(c)は、原稿後端が搬送ローラ対8のニップ部を抜けたときの原稿姿勢を示す図である。なお、拘束位置とは、搬送ローラ対8及び搬送ローラ対9に挟持搬送されている原稿Dの搬送軌跡を指す。
原稿Dは、第1搬送回転体対としての搬送ローラ対8によって挟持搬送され、第2搬送回転体対としての搬送ローラ対9によって挟持搬送される(図3参照)。搬送ローラ対8は、原稿搬送路Hにおける原稿搬送方向(矢印F方向)の上流側に配置され、原稿Dを第1画像読取部151に搬送する。搬送ローラ対9は、原稿搬送路Hにおける原稿搬送方向の下流側に配置され、第1画像読取部151及び第2画像読取部201を通過した原稿Dを搬送する。搬送ローラ対8は、原稿Dを斜め下方向に搬送し、搬送ローラ対9は原稿Dを斜め上方向に搬送する。即ち、搬送ローラ対8による原稿Dの搬送方向は、鉛直方向の下向きの成分を有し、搬送ローラ対9による原稿Dの搬送方向は、鉛直方向上向きの成分を有している。これにより、原稿Dの搬送が滑らかになり安定する。
本実施形態では、搬送ローラ対8によるシート搬送速度をV1とし、搬送ローラ対9によるシート搬送速度をV2とするとき、V1≦V2の関係を満たすように設定されている。この設定は、制御部132による駆動モータMo(図3参照)の制御、搬送ローラ対8,9を夫々回転させるように駆動モータMoの駆動を伝達する伝達機構(不図示)のギヤ比の設定等に基づく。この設定は、後述する第2及び第3の実施形態においても同様である。
このように搬送ローラ対9のシート搬送速度V2と搬送ローラ対8のシート搬送速度V1がV1≦V2の関係を満たすように設定されることで、原稿は図8(a)の矢印F方向に向けて上流側搬送ガイド400、第2流し読みガラス202の方へ引き寄せられる。原稿は、平行案内面402と上流側傾斜案内面401で形成される第1角部Aと、平行案内面402と下流側傾斜案内面403で形成される第2角部Bと、第2流し読みガラス202と下流側傾斜案内面404で形成される第3角部Kに接触した状態で搬送される。なお、上流側搬送ガイド400は、図8(a)における手前・奥方向にて第2流し読みガラス202を避けながら第2流し読みガラス202の下流側に突出する形で下流側傾斜案内面404が形成されている。
ここで、第2角部Bは、下流側搬送ガイド500の上流側傾斜案内面501と平行案内面502とで形成される第4角部Nに対して鉛直方向の下方に位置する。そのため、読取中に第1角部A、第2角部B、第3角部Kに支持されながら搬送される原稿Dの裏面は、第2流し読みガラス202の表面202aから離れた状態で搬送される(図8(b)参照)。
上述したように原稿Dは、搬送ローラ対8のみで搬送されている際に第2流し読みガラス202の表面202aに先端が接触するので、偶発的に第2画像読取位置R2に付着した異物Goを掻き取ることが可能である。また、搬送ローラ対8と搬送ローラ対9により原稿Dが搬送される過程で原稿Dの第2面D2が表面202aに接触することはないため、第2面D2に付着した異物Goが第2流し読みガラス202に付着するようなことはない。
ところで、本実施形態における第1画像読取部151及び第2画像読取部201はいずれもCISから構成されている。一般的にCISは、焦点深度が浅く0.3mm〜0.4mm程度である。従って、原稿Dの搬送中に、第1画像読取位置R1、第2画像読取位置R2で原稿Dが焦点位置から離れてしまうと、読み取られる画像が所謂ピンボケ状態(ピントが合っていない状態)のものとなる。
第1画像読取位置R1においては、第1画像読取部151の焦点位置は、第1流し読みガラス152の通紙面(表面152a)である。このとき、先述したように、原稿先端が第1流し読みガラス152に沿って搬送されるときは表面152aに沿っているため、原稿Dの情報は焦点位置と一致している。しかし、下流側搬送ガイド500の上流側傾斜案内面501に差しかかると、原稿のD先端が上方向に持ち上げられるため、第1画像読取位置R1で原稿Dが浮き上がる。
また、原稿Dが搬送ローラ対8と搬送ローラ対9で搬送される際、先述したように第1角部A、第2角部B、第3角部Kに接触しながら移動するので、図9に示すように、焦点位置から上方向に浮き上がる。この際、上流側搬送ガイド400と第1流し読みガラス152の表面152aとで形成される搬送経路内での原稿Dの移動を規制することができる。その結果、原稿Dは、第1画像読取部151の焦点深度が許容される距離δ1の範囲内で安定して搬送される。本実施形態では、第1流し読みガラス152と上流側搬送ガイド400の平行案内面402との距離は、例えば0.6mmに設定されている。
同様に、第2画像読取位置R2においても、図8(b)のように原稿Dが搬送ローラ対8と搬送ローラ対9とに搬送されながら画像を読まれているときは、第2角部Bと第3角部Kとに接触しながら搬送される。その結果、第2画像読取位置R2において原稿Dの焦点位置が第2流し読みガラス202の通紙面(表面202a)から距離δ2の範囲内で保障される。本実施形態では、第2画像読取部201の焦点深度の許容される距離内で原稿Dが搬送されるように、下流側搬送ガイド500の平行案内面502と第2流し読みガラス202の表面202aとの間の距離は、例えば0.4mmに設定されている。ここで図8(c)に示すように、原稿Dが搬送されると、原稿Dの後端は搬送ローラ対8から離れ、下流側搬送ガイド500の平行案内面502から下流側傾斜案内面503に沿って搬送される。この際、原稿Dの後端によって平行案内面502及び下流側傾斜案内面503が清掃されることになる。
また、上流側搬送ガイド400の平行案内面402により、原稿Dが搬送ローラ対8と搬送ローラ対9との引っ張り合いにより、第1画像読取位置R1及び第2画像読取位置R2においての焦点が許容される位置から原稿Dが離れてしまうことを防止できる。
平行案内面502の原稿搬送方向の上流端部において第2角部Bより高い位置に設けられた第4角部Nに、図15(a),(b)に示す従動ローラroと同様の、原稿Dに接しつつ従動回転する従動ローラroを設けることが可能である。このような構成により、原稿Dの搬送状況をより一層滑らかにすることが可能になる。
以上の本実施形態により、原稿の両面画像を第1画像読取部151と第2画像読取部201とで一度の通紙で読み取り可能な画像読取装置103で、第1、第2流し読みガラス152,202に付着した異物を簡易な構成で掻き取って除去することが可能になる。このため、画像スジの発生を防止することができ、安定した原稿Dの搬送を実現することが可能になる。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について、図10乃至図12を参照して説明する。図10は第2の実施形態に係る画像読取部を示す拡大図、図11は第2の実施形態に係る密閉ガイド及び第2流し読みガラスを示す斜視図、図12は第2の実施形態に係る移動ガイドユニット及び第2流し読みガラスの部分を拡大して示す斜視断面図である。
本実施形態は、下流側搬送ガイド500に、第2流し読みガラス202に向かって移動自在な移動ガイドユニット550を配置した点で第1の実施形態と異なるが、他の構成は同様である。なお、本実施形態では、第1の実施形態と同一の部材には同一符号を付すと共に、構成、機能が同じものについてはその説明を省略する。
上述したように第1画像読取部151と第2画像読取部201とにおいては、原稿を読み取るイメージセンサとして例えばCISを用いており、その焦点距離に基づきピンボケを生じない距離の範囲が狭い。そのため、第1、第2流し読みガラス152,202と、それに対向する部材との距離を精度良く管理し、原稿を第1、第2流し読みガラス152,202から上記範囲内の距離で通過させたい。しかしながら、第1流し読みガラス152及び下流側搬送ガイド500は画像形成装置本体101Aに固定されたスキャナ部30に設けられ、第2流し読みガラス202及び上流側搬送ガイド400はADF1に設けられている。即ち、スキャナ部30に対してADF1が閉じられた際に、それぞれの部材が高精度に位置決めされることが要求される。しかしながら、各種部品の公差などによって、第1流し読みガラス152と上流側搬送ガイド400との間隙(距離)、第2流し読みガラス202と下流側搬送ガイド500との間隙(距離)、の両方の間隙を高精度に位置決めすることは難しい。そのため、本第2の実施形態では、まず第1流し読みガラス152と上流側搬送ガイド400との間隙を保証し、その上で、第2流し読みガラス202に対向する間隙を移動ガイドユニット550を用いて保証するものである。以下に、本第2の実施形態に係る画像読取装置について詳細に説明する。
図10に示すように、上流側搬送ガイド400には、第1流し読みガラス152に対向する位置であって、シート搬送方向に交差する方向で原稿搬送路Hの外側に第1間隙形成部材(第1間隙形成手段)470が固定されて備えられている。即ち、第1間隙形成部材470は、原稿搬送路Hを搬送される原稿と干渉しない位置に配置されている。そして、第1間隙形成部材470は、ADF1がスキャナ部30に対して閉じられた際に第1流し読みガラス152に当接して、第1流し読みガラス152と上流側搬送ガイド400との間に原稿が通過可能な間隙を形成する。なお、第1間隙形成部材470は、複数であって、原稿搬送路Hを挟んで両側に配置されていてもよいが、1つだけが片側に配置されていてもよい。また、第1間隙形成部材470は、図10では上流側傾斜案内面401に固定されたものを示しているが、平行案内面402に固定されていてもよく、つまり第1流し読みガラス152に当接可能な位置であればよい。
一方、図10乃至図12に示すように、第2流し読みガラス202には、移動ガイドユニット550に対向する位置であって、シート搬送方向に交差する方向で原稿搬送路Hの外側で、原稿搬送路Hを挟んだ位置の複数個所に第2間隙形成部材(第2間隙形成手段)570が固定されている。即ち、第2間隙形成部材570は、原稿搬送路Hの主走査方向の外側の位置に配置され、つまり原稿搬送路Hを搬送される原稿と干渉しない位置で、移動ガイドユニット550に当接可能な位置に配置されている。そして、第2間隙形成部材570は、ADF1がスキャナ部30に対して閉じられた際に移動ガイドユニット550に当接して、第2流し読みガラス202と移動ガイドユニット550との間に原稿が通過可能な間隙を形成する。なお、第2間隙形成部材570は、図10に示すようにシート搬送方向において上流側と下流側との複数個所に配置されてもよいし、図11及び図12に示すように、シート搬送方向にある程度の長さを有する形で、シート搬送方向において1個所に配置されていてもよい。なお、第2間隙形成部材570は、原稿搬送路Hを挟んで両側の少なくとも2個所に配置されていることが望ましい。
一方、移動ガイドユニット550は、移動ガイド本体553を有しており、移動ガイド本体553の上方にはADF1が閉じられた状態で第2流し読みガラス202と平行になる平行案内面552が形成されている。移動ガイド本体553には、平行案内面552と上面が一致するように白シート部材212が配置されている。また、移動ガイド本体553には、平行案内面552のシート搬送方向の上流側にあって、シート搬送方向の下流側に向けて上方に傾斜する傾斜案内面551が形成されている。
移動ガイドユニット550は、上流側傾斜案内面501に隣接して下流側搬送ガイド500に設けられた穴に挿入される形で、上下方向に移動自在、即ち第2流し読みガラス202に向かって移動自在となるように下流側搬送ガイド500に支持されている。移動ガイドユニット550と下流側搬送ガイド500の穴の底面(不図示)との間には、複数のスプリング(付勢手段)560が縮設されている。それらスプリング560は、移動ガイドユニット550を第2流し読みガラス202に向けて付勢する。なお、移動ガイドユニット550は、スプリング560によって上方に向けて付勢される。このとき、不図示のストッパにより、上方への移動範囲が制限される。即ち、移動ガイドユニット550は、このストッパによって、上流側傾斜案内面501の下流側の角部である第4角部Nよりも傾斜案内面551の上流側の角部である第5角部Uが確実に低い位置になるように(高くならないように)規制されている。このように、傾斜案内面551の第5角部Uは、上流側傾斜案内面501の第4角部Nよりも第2流し読みガラス202から遠ざかる位置に配置されている。なお、移動ガイドユニット550は、ストッパにより上方に対して移動が規制されているが、後述する各部品の公差により生じる誤差量よりも大きな可動範囲を有するように構成されている。
以上のように構成された第2の実施形態に係る画像読取装置では、ADF1を閉じた状態で、第1間隙形成部材470が第1流し読みガラス152に当接する。これにより、第1流し読みガラス152と平行案内面402との原稿搬送路Hにおける距離が規制され、この部分の間隙を第1間隙形成部材470の高さによって一定にし、かつ略々平行にする。この際、上流側搬送ガイド400から第2流し読みガラス202までの各部品の公差と、第1流し読みガラス152から下流側搬送ガイド500までの各部品の公差とが積上がり、例えば移動ガイドユニット550が無い構造では、第2画像読取位置R2で間隙に誤差が生じる虞がある。
しかしながら、複数の第2間隙形成部材570が移動ガイドユニット550に当接し、移動ガイドユニット550が複数の第2間隙形成部材570の高さによって第2流し読みガラス202に対する距離が規制される。このとき、上記各部品の公差の積上がりによって、シート搬送方向に交差する面の方向、つまり第2画像読取部201の主走査方向を含む面の方向に対して、第2流し読みガラス202と下流側搬送ガイド500とが傾斜した位置関係になる可能性がある。しかしながら、複数のスプリング560によって、移動ガイドユニット550が、シート搬送方向に交差する方向(主走査方向)の端部が上下に移動可能となるように搖動自在に付勢され、移動ガイドユニット550が搖動可能に移動して追従する。このため、この部分の間隙を一定にし、かつ平行案内面552及び白シート部材212と第2流し読みガラス202とを平行にする。つまり移動ガイドユニット550が第2流し読みガラス202に追従して移動することで、上記各部品の公差の積上がりによって生じる誤差を吸収し、第2流し読みガラス202の部分における原稿搬送路Hを形成する間隙を一定にかつ平行に保証できる。これにより、搬送される原稿が第2流し読みガラス202に対して一定の距離に維持され、第2画像読取部201による安定した画像読取ができる。
また、傾斜案内面551の第5角部Uが上流側傾斜案内面501の第4角部Nよりも低い位置に規制されているので、第4角部Nまで搬送された原稿の先端が移動ガイドユニット550に接触して衝撃が発生したり搬送抵抗の急変が生じることを防止できる。これにより、安定した原稿の搬送が可能となり、読み取った画像にずれが生じるなどの問題を防止でき、第2画像読取部201による安定した画像読取ができる。
また、本第2の実施形態でもシート搬送方向の下流にあるローラ対9の搬送速度が上流にあるローラ対8よりも速くしているため、原稿の先端がローラ対9に到達すると、原稿の弛みがなくなり、原稿が第3角部Kに張り付くようになる。この際、本実施形態における画像読取装置では、図10に示すように、第2角部Bと第3角部Kとの間に第4角部Nがあり、つまり原稿は第2角部B、第4角部N、第3角部Kに張り付くように引っ張られる。即ち、第4角部Nが、第2角部Bと第3角部Kとを結んだ仮想線VRよりも低い位置であると、原稿は第2角部Bと第3角部Kとに張り付いて仮想線VRの上を搬送されることになる。しかし、本実施形態では、第4角部Nが仮想線VRよりも高い位置にあることで、原稿は第4角部Nと第3角部Kとに張り付き、仮想線VRよりも第2読み取りガラス202に平行に近づけて原稿を搬送することができ、原稿の読取精度を良くすることができる。
また、例えば移動ガイドユニット550の傾斜案内面551と第3角部Kとで原稿を支えようとすると、移動ガイドユニット550が原稿の張力によって下方に押圧され、原稿は第2角部Bと第3角部Kとによって仮想線VRの上を搬送されることになる。或いは、スプリング560の付勢力によって、搬送中の原稿が上下に揺れ動いて、読取精度を悪くしてしまう虞もある。しかしながら、第4角部Nが下流側搬送ガイド500に形成されており、移動ガイドユニット550のように移動せずに固定されているので、原稿の張力によって下方に移動することがない。そのため、仮想線VRよりも第2読み取りガラス202に平行に近づけて、安定的に原稿を搬送することができ、原稿の読取精度を良くすることができる。
なお、上流側傾斜案内面501が無ければ、第4角部Nが無く、原稿は第2角部Bと第3角部Kとに張り付いて仮想線VRの上を搬送されることになる。しかしながら、上流側傾斜案内面501が無ければ、原稿の先端を第2読み取りガラス202に向けることができず、上述したような異物の掻き取りができないことになる。従って、本実施形態のように、上流側傾斜案内面501及び第4角部Nがあることで、第2読み取りガラス202の異物の掻き取りができ、かつ原稿がローラ対9に到達した後に原稿を第2読み取りガラス202に平行に近づけて搬送することができる。
なお、本第2の実施形態では、複数の間隙形成部材570を第2流し読みガラス202に固定して設けたものを説明したが、反対に、移動ガイドユニット550に固定し、ADF1を閉じた際に第2流し読みガラス202に当接するように設けてもよい。つまり、間隙形成部材570は、第2流し読みガラス202と移動ガイドユニット550との一方に配設され、他方に当接するように構成されていればよい。
さらに、同様に、間隙形成部材470を上流側搬送ガイド400に固定して設けたものを説明したが、反対に、第1流し読みガラス152に固定して設け、ADF1を閉じた際に上流側搬送ガイド400に当接するように設けてもよい。つまり、間隙形成部材470は、上流側搬送ガイド400と第1流し読みガラス152との一方に配設され、他方に当接するように構成されていればよい。
また、本第2の実施形態では、移動ガイドユニット550を付勢するスプリングを複数有しているものを説明したが、例えば移動ガイドユニット550を重心の付近の1個所で支持しつつ付勢することで、搖動可能に付勢することも考えられる。
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について、図13及び図14(a),(b)を参照して説明する。図13は、本実施形態に係る画像読取装置を示す構成図、図14(a)は、本実施形態に係る画像読取部を示す拡大図、図14(b)は、画像読取部における原稿搬送時の拘束位置を示す図である。
本実施形態は、第2画像読取部201及び第2流し読みガラス202を、第1画像読取部151及び第1流し読みガラス152に対して傾斜させて配置した点で第1の実施形態と異なるが、他の構成は同様である。なお、本実施形態では、第1の実施形態と同一の部材には同一符号を付すと共に、構成、機能が同じものについてはその説明を省略する。
図13及び図14(a),(b)に示すように、下流側搬送ガイド500は、第2流し読みガラス202の表面202aに隙間をあけて対向し、且つ上流側傾斜案内面(第1傾斜案内面)501に連続する対向案内面504を有している。そして、第2画像読取部201、第2流し読みガラス202及び対向案内面504は、第1流し読みガラス152に対して原稿搬送方向(矢印F方向)の下流に向かって上昇するように角度θ2傾斜されている。また、下流側搬送ガイド500は、第2流し読みガラス202と平行になるように角度θ2傾斜する対向案内面504を有する。この対向案内面504は、上流側傾斜案内面501との隣接部分に、図14(a)において第2角部Bよりも上下方向(鉛直方向)で高い位置にある第4角部Nを有している。
なお、本実施形態においても、上流側傾斜案内面401に沿って直線的に延びる第2延長線Qが、第1画像読取部151の第1画像読取位置R1より原稿搬送方向の上流側で第1流し読みガラス152に交わるように構成されている。また、上流側傾斜案内面501に沿って直線的に延びる第1延長線Jが、第2画像読取部201の第2画像読取位置R2より原稿搬送方向の上流側で第2流し読みガラス202に交わるように構成されている。これにより、原稿Dの第1面D1、第2面D2の画像を読み取るのに先立ち、第1流し読みガラス152の第1画像読取位置R1に対応する面、第2流し読みガラス202の第2画像読取位置R2に対応する面を適正に清掃することが可能になる。
以上の本実施形態では、第1流し読みガラス152及び第2流し読みガラス202に付着した異物Goの掻き取り動作、及び、第1画像読取部151及び第2画像読取部201の各焦点位置については、第1の実施形態と同様である。しかし第2画像読取部201と第2流し読みガラス202を傾斜させ、第2流し読みガラス202に対向する面を対向案内面504として第2流し読みガラス202に平行な面として形成することで、第2画像読取位置での搬送経路を略U字状の搬送経路にできる。これにより、原稿Dが上流側搬送ガイド400、下流側搬送ガイド500から受ける搬送抵抗を可及的に低減することができる。
なお、本第3の実施形態にあっても、上記第2の実施形態のような第1間隙形成部材470、第2間隙形成部材570、及び移動ガイドユニット550を設けることができる。また、移動ガイドユニット550を設ける場合は、移動ガイドユニット550を第2流し読みガラス202の角度に合わせて、角度θ2傾斜させた状態で設けることが好ましい。
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について、図15(a),(b)を参照して説明する。図15(a)は、本実施形態に係る画像読取部を示す拡大図、図15(b)は、画像読取部における原稿搬送時の拘束位置を示す図である。なお、本実施形態では、第1の実施形態と同一の部材には同一符号を付すと共に、構成、機能が同じものについてはその説明を省略する。
図15(a),(b)に示すように、本実施形態では、第1の実施形態において上流側搬送ガイド400の第1角部A、第2角部B、第3角部Kにそれぞれ、搬送される原稿Dの移動に従動する従動回転体としての従動ローラ(コロ)roを配設している。それら従動ローラroの上流側搬送ガイド400に対する支持構造は、周知の回転支持構造を用いている。
本実施形態では、原稿搬送路Hを搬送される原稿Dが摺接可能な、第1角部A、第2角部B、第2流し読みガラス202の下流に位置する第3角部K(図14(a)参照)に、原稿Dに接しつつ従動回転する従動ローラ(従動回転体)roが夫々設けられている。
以上の本実施形態では、第1の実施形態と同様の効果を得ることができると共に、上流側搬送ガイド400の第1角部A、第2角部B、第3角部Kに夫々従動ローラroを回転可能に配置したことで、原稿搬送時の抵抗の軽減が可能になる。つまり、原稿Dが搬送ローラ対8及び搬送ローラ対9により引っ張られながら搬送される際に、原稿Dが上流側搬送ガイド400から受ける抵抗を可及的に軽減できるという効果を得ることができる。
本実施形態では、第1角部A、第2角部B、第3角部Kにおける従動ローラroは夫々、主走査方向において3か所に配置されているが、従動ローラroは、上流側搬送ガイド400において第2画像読取部201の主走査方向に一様に取り付けられてもよい。また、3か所を超えて部分的に取り付けられていてもよい。
なお、図16は画像読取部の別の態様を示す拡大図である。図16に示すように、前述した第3の実施形態において上流側搬送ガイド400の第1角部A、第2角部B、第3角部Kにそれぞれ、搬送される原稿Dの移動に従動する従動ローラroを配設することも可能である。この場合、それら従動ローラroの上流側搬送ガイド400に対する支持構造は、周知の回転支持構造を用いることができる。
この構成によれば、第2の実施形態と同様の効果を得ることができると共に、上流側搬送ガイド400の第1角部A、第2角部B、第3角部Kに夫々従動ローラroを回転可能に配置したことで、原稿搬送時の抵抗の軽減が可能になる。つまり、原稿Dが搬送ローラ対8と搬送ローラ対9とにより引っ張られながら搬送される際に、原稿Dが上流側搬送ガイド400から受ける抵抗を可及的に軽減できるという効果を得ることができる。
また、第1角部A、第2角部B、第3角部Kにおける従動ローラroは夫々、主走査方向において3か所に配置されているが、従動ローラroは、上流側搬送ガイド400において第2画像読取部201の主走査方向に一様に取り付けられていてもよい。また、3か所を超えて部分的に取り付けられていてもよい。
なお、本第4の実施形態にあっても、上記第2の実施形態のような第1間隙形成部材470、第2間隙形成部材570、及び移動ガイドユニット550を設けることができる。また、移動ガイドユニット550において、傾斜案内面551と平行案内面552とによって形成される角部にも、従動ローラを設けるようにしてもよい。
なお、先述した第1〜第4の実施形態では、電子写真方式の画像形成装置101を用いて説明したが、これに代えて、例えば、ノズルからインク液を吐出させることでシートに画像を形成するインクジェット方式の画像形成装置に用いることも可能である。