JP6450973B2 - 多孔性成形体の製造方法、多孔性炭素化物の製造方法、多孔性活性炭の製造方法 - Google Patents

多孔性成形体の製造方法、多孔性炭素化物の製造方法、多孔性活性炭の製造方法 Download PDF

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本発明は、樹脂の粒子の集合体からなる多孔性成形体の製造方法、この多孔性成形体を用いた多孔性炭素化物の製造方法、この多孔性炭素化物を用いた多孔性活性炭の製造方法に関するものである。
多孔性成形体は通気性や通液性を有するので、各種の用途が考えられるが、その一つとして、液体や気体の流体中に含まれる微粒子を分離濾過するフィルターを挙げることができる。
そしてこのような多孔性成形体からなるフィルターとして、特開平9−141022号公報(特許文献1)で提案されている多孔質複層プラスチックフィルターがある。この多孔質複層プラスチックフィルターは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂の粒子を焼結して得られる多孔質プラスチック基材をベースとして形成されるものである。
特開平9−141022号公報
しかし、上記のように熱可塑性プラスチック粒子を焼結して形成される多孔性成形体では、材質が熱可塑性樹脂であるため、高温雰囲気下では軟化・溶融し、耐熱性や強度の上で問題を有するものであった。また多孔性成形体を高温で焼成して多孔質の炭素材料を調製する場合、材質が熱可塑性樹脂であると溶融して多孔質の形態を保持することができず、また熱可塑性樹脂は一般に炭素化収率が低いという問題もあった。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、耐熱性や強度などの物性に優れた多孔性成形体の製造方法を提供することを目的とするものであり、また多孔性の炭素化物や活性炭の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明は、熱硬化性樹脂の硬化物からなる硬化粒子4の表面に未硬化の熱硬化性樹脂からなる被覆層6を設けて形成した球状複合樹脂8を成形型7に充填し、成形型7内で球状複合樹脂8を0.2〜50MPaの圧力で加圧しながら加熱して成形することによって、未硬化の熱硬化性樹脂からなる被覆層6を溶融硬化させると共に、硬化粒子4とその表面の被覆層6が硬化した被覆硬化層5からなる球状粒子1を相互の接触部で融着させることによって、球状粒子1間に形成される空隙2の空隙率が5〜60%の多孔性成形体Aを製造することを特徴とするものである。
このように、成形型7に充填した状態で球状複合樹脂8を加熱して、表面の被覆層6を溶融・硬化させることによって、被覆層6が硬化する際に接触部同士が融着し、球状複合樹脂8の被覆層6が硬化して形成される球状粒子1を接合一体化することができるものであり、バインダーなどを用いる必要なく、球状粒子1が接合一体化した多孔性成形体Aを得ることができるものである。しかも、球状複合樹脂8は熱硬化性樹脂の硬化物からなる硬化粒子4の表面に被覆層6を設けて形成されるものであるため、成形型7内で球状複合樹脂8を加熱して成形する際にコアとなる硬化粒子4は溶融したり変形したりすることがなく、球状複合樹脂8間の空隙2を保ったまま多孔性成形体Aを製造することができ、球状粒子1間の空隙2を高い空隙率で形成することができるものである。さらに、このように球状複合粒子8の硬化粒子4は変形しないので、成形型7内で球状複合樹脂8に圧力を加えて成形することができるものであり、球状粒子1を緻密に接合一体化させて強度の高い多孔性成形体Aを製造することができるものである。また多孔性成形体Aの空隙率が5〜60%であることにより、多孔性成形体Aの強度を保持しつつ、空隙2による通気・通液性を良好に得ることができるものである。
そして上記の多孔性成形体Aを構成する球状粒子1は熱硬化性樹脂の硬化物からなるものであり、熱硬化性樹脂の硬化物は高温が作用しても軟化したり溶融したりすることはないものであって、耐熱性や強度などの物性に優れると共に、空隙2を保持して多孔質の形態を維持することができるものである。また成形の際の加熱で硬化粒子4は溶融変形することがないので、球状粒子1間の空隙2を高い空隙率で形成することができるものである。
また本発明において、上記の熱硬化性樹脂は、フェノール樹脂、フラン樹脂、フェノール樹脂とフラン樹脂の混合物から選ばれるものであることを特徴とするものである。
フェノール樹脂やフラン樹脂は炭化化収率が高く、多孔性成形体Aを焼成すると炭素密度の高い炭素化物を得ることができるものである。
また発明は、硬化粒子4に対して被覆層6を0.1〜20質量%の比率で被覆して形成した球状複合樹脂8を用いることを特徴とするものである。
このように硬化粒子4に対する被覆層6の比率が0.1〜20質量%であることによって、被覆層6による融着強度を確保して強度の高い多孔性成形体Aを得ることができると共に、被覆層6の樹脂で空隙2が埋められるようなことがないものである。
また発明は、上記のように多孔性成形体Aを製造するにあたって、成形型7に充填した球状複合樹脂8の加熱を、成形型7からの伝熱によって行なうことを特徴とするものである。
この発明によれば、加熱した成形型7に球状複合樹脂8を充填することで多孔性成形体Aを成形することができ、簡易な製造設備で製造を行なうことができるものである。
また発明は、上記のように多孔性成形体Aを製造するにあたって、成形型7に充填した球状複合樹脂8の加熱を、成形型7内に水蒸気を供給することによって行なうことを特徴とするものである。
このように成形型7内に水蒸気を供給すると、水蒸気は球状複合樹脂8の粒子間を通過して、成形型7内に充填した球状複合樹脂8を均一に加熱することができるものであり、均質な多孔性成形体Aを製造することができるものである。
また発明は、上記の水蒸気として過熱水蒸気を用いることを特徴とするものである。
過熱水蒸気は高温の乾き蒸気であって、水蒸気としてこのように過熱水蒸気を用いることによって、成形型7内で凝縮水が生成されることを低減し、成形型7内の温度の上昇速度を速めることができ、多孔性成形体Aの製造時間を短縮することができるものである。
また本発明は、球状粒子1として粒径が大きいものと小さいものを用い、粒径の大きい球状粒子1が中央部に、粒径の小さい球状粒子1が表層部に配置されるように、多孔性成形体Aを成形することを特徴とするものである。
この場合、表層部は各空隙2の容積が小さく、中央部は各空隙2の容積が大きくなった多孔性成形体Aを得ることができ、また多孔性成形体Aの表面は粒径が小さい粒状粒子1からなるので平滑な表面に形成することができる。
また本発明は、球状粒子として粒径が大きいものと小さいものを用い、粒径の小さい球状粒子が中央部に、粒径の大きい球状粒子が表層部に配置されるように、多孔性成形体を成形することを特徴とするものである。
この場合、表層部は各空隙2の容積が大きくなり、中央部は各空隙2の容積が小さくなった多孔性成形体Aを得ることができる。
また本発明に係る多孔性炭素化物の製造方法は、上記の多孔性成形体A、非酸化性雰囲気で熱処理することを特徴とするものである。
多孔性成形体Aは熱硬化性樹脂から形成されているものであり、これを熱処理することによって多孔性で通気性や通液性を有する特性を有する炭素化物を得ることができるものである。
また本発明に係る多孔性活性炭の製造方法は、上記の多孔性炭素化物を賦活処理することを特徴とするものである。
多孔性活性炭は、多孔性であるために表面積がより大きくなり、高い吸着性能を有するものである。
本発明によって製造される多孔性成形体Aは、熱硬化性樹脂の硬化物からなる球状粒子1の集合体であって、各球状粒子1は相互の接触部で融着して接合一体化されていると共に球状粒子1間に空隙2が形成されていることを特徴とするものであり、多孔性成形体Aを構成する球状粒子1は熱硬化性樹脂の硬化物からなるため、熱硬化性樹脂の硬化物は高温が作用しても軟化したり溶融したりすることはなく、耐熱性や強度などの物性に優れると共に、空隙2を保持して通気性や通液性の性能を維持することができるものである。
そして、本発明に係る多孔性成形体Aの製造方法は、熱硬化性樹脂の硬化物からなる硬化粒子4の表面に未硬化の熱硬化性樹脂からなる被覆層6を設けて形成した球状複合樹脂8を成形型7に充填し、成形型7内で球状複合樹脂8を0.2〜50MPaの圧力で加圧しながら加熱して成形することによって、未硬化の熱硬化性樹脂からなる被覆層6を溶融硬化させると共に、硬化粒子4とその表面の被覆層6が硬化した被覆硬化層5からなる球状粒子1を相互の接触部で融着させ、球状粒子1間に形成される空隙2の空隙率が5〜60%の多孔性成形体Aを製造することを特徴とするものであり、成形型7に充填した状態で球状複合樹脂8を加熱して、表面の被覆層6を溶融・硬化させることによって、被覆層6が硬化する際に接触部同士が融着し、バインダーなどを用いる必要なく、球状複合樹脂8の被覆層6が硬化して形成される球状粒子1が接合一体化した多孔性成形体Aを得ることができるものである。しかも、球状複合樹脂8は熱硬化性樹脂の硬化物からなる硬化粒子4の表面に被覆層6を設けて形成されるものであり、成形型7内で球状複合樹脂8を加熱して成形する際にコアとなる硬化粒子4は溶融したり変形したりすることがなく、球状複合樹脂8間の空隙2を保ったまま多孔性成形体Aを製造することができ、球状粒子1間の空隙2を高い空隙率で形成することができると共に、このように球状複合粒子8の硬化粒子4は変形しないので、成形型7内で球状複合樹脂8に高い圧力を加えて成形することができ、球状粒子1を緻密に接合一体化させて強度の高い多孔性成形体Aを製造することができるものである。
参考例を示すものであり、(a)は成形前の概略図、(b)は成形後の多孔質成形体の概略図である。 本発明の実施の形態の一例を示すものであり、(a)は成形前の概略図、(b)は成形後の多孔質成形体の概略図である。 本発明の製造方法における実施の形態の一例を示す断面図である。 本発明の製造方法における実施の形態の他の一例を示すものであり、(a)(b)はそれぞれ概略断面図である。 本発明の実施の形態を示すものであり、(a)(b)はそれぞれ概略図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1(b)は多孔性成形体Aの参考例の一部を拡大して示すものであり、多数の球状粒子1を集合させると共に隣り合う球状粒子1が相互の接触部で融着して接合一体化されることによって、所定形状の成形体として形成されている。そして球状粒子1は球形であるために隣り合う球状粒子1は点接触し、球状粒子1間に空隙2が形成されるものであり、しかもこの空隙2は閉ざされることなく連通するので、通気・通液性のある多孔性成形体Aとして形成されるものである。多孔性成形体Aの空隙率は5〜60%の範囲であることが好ましい。空隙率は、多孔性成形体Aの見掛けの容積中における空隙2の全容積の比率をいうものであり、空隙率が5%未満であると、通気・通液性を十分に得ることが難しい。また空隙率が60%を超えると、多孔性成形体Aの密度が小さくなって、多孔性成形体Aの強度を十分に得ることが難しくなる。
上記球状粒子1は、熱硬化性樹脂が硬化した硬化物からなるものである。熱硬化性樹脂の硬化物は、熱硬化性樹脂の架橋反応を進行させてこれ以上架橋反応をしない状態にまで進めたものであり、溶剤に実質的に溶解しないと共に高温に加熱しても溶融しない不溶不融状態になったものである。
先行技術文献1のように熱可塑性樹脂の粒子を焼結して得られる多孔性成形体では、高温が作用する条件下で使用すると、熱可塑性樹脂粒子が軟化して変形し、あるいは熱可塑性樹脂粒子が溶融して流れ、粒子間の空隙が塞がれて通気・通液性が損なわれるおそれがある。このために耐熱性が低いという問題がある。これに対して、多孔性成形体Aの球状粒子1は熱硬化性樹脂の硬化物からなるので、高温が作用しても球状粒子1が軟化したり溶融したりするようなことはなく、球状粒子1間の空隙2が塞がれて通気・通液性が損なわれるようなことはないものであり、高い耐熱性を有するものである。
球状粒子1を形成する熱硬化性樹脂としては、特に限定されるものではないが、フェノール樹脂、フラン樹脂、あるいはフェノール樹脂とフラン樹脂の混合物を用いるのが好ましい。またフェノール樹脂やフラン樹脂としては、フェノール類とフラン化合物の反応物とアルデヒド類とを反応させて得られる変性樹脂を用いることもできる。
次に、上記の多孔性成形体Aの製造方法の一例について説明する。まず、球状粒子1の元となる未硬化の熱硬化性樹脂からなる球状樹脂3を調製する。フェノール樹脂の球状樹脂3は、フェノール類とアルデヒド類を分散剤と反応触媒の存在下で付加縮合反応させることによって調製することができる。またフラン樹脂の球状樹脂は、フラン化合物とアルデヒド類を分散剤と反応触媒の存在下で付加縮合反応させることによって調製することができる。
上記のフェノール類としては、フェノールの他にフェノールの誘導体を用いることができるものであり、フェノール誘導体としては、例えばm−クレゾール、レゾルシノール、3,5−キシレノールなど3官能性のもの、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ジヒドロキシジフェニルメタンなどの4官能性のもの、o−クレゾール、p−クレゾール、p−ter−ブチルフェノール、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノール、p−ノニルフェノール、2,4−又は2,6−キシレノールなどの2官能性のo−又はp−置換のフェノール類などを挙げることができ、さらに塩素又は臭素で置換されたハロゲン化フェノールなどを用いることもできる。フェノール類としてはこれらから1種を選択して用いる他、複数種のものを混合して用いることもできる。
また上記のフラン化合物としては、フルフラール、フルフリルアルコールなどを用いることができ、一部にフェノール類を用いることもできる。これらは一種を単独で用いる他、二種以上を併用することもできる。
さらに上記のアルデヒド類としては、ホルムアルデヒドの水溶液の形態であるホルマリンが最適であるが、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、トリオキサン、テトラオキサンのような形態のものを用いることもできる。
フェノール樹脂を調製する際に用いる反応触媒としては、フェノール類とアルデヒド類を反応させ、ベンゼン核とベンゼン核の間に−NCH結合を生成するような塩基性物質、例えばヘキサメチレンテトラミン、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、エチレンジアミン、モノエタノールアミン等の第1級や第2級のアミン類などを用いることができる。また、ナトリウム、カリウム、リチウムなどアルカリ金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、あるいはカルシウム、マグネシウム、バリウムなどアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、あるいは第3級アミン化合物などを挙げることもできる。これらの具体例を挙げると、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7などがあり、さらにドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などを用いることもできる。
またフラン樹脂を調製する際に用いる反応触媒としては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、あるいはカルシウム、マグネシウム、バリウムなどのアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩を用いることができる。さらに塩酸、リン酸、硫酸、キシレンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シュウ酸、マレイン酸、無水マレイン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、7−アミノ−4−ヒドロキシ−2−ナフタレンスルホン酸などを用いることもできる。
そして上記のフェノール類とフラン化合物の少なくとも一方と、アルデヒド類と、反応触媒とを反応容器にとり、フェノール類とアルデヒド類、あるいはフラン化合物とアルデヒド類を付加縮合反応させるにあたって、さらに分散剤を反応容器に投入し、また必要に応じてカップリング剤などの添加剤を反応容器に投入し、これらの存在下でフェノール類とアルデヒド類、あるいはフラン化合物とアルデヒド類の反応を行なわせるものである。
ここで、フェノール樹脂を調製する場合には、フェノール類に対するアルデヒド類の配合量を、フェノール類1モルに対してアルデヒド類1.1〜3.0モルの範囲が好ましく、反応触媒の配合量は、反応触媒の種類によって大きく異なるが、フェノール類に対して0.05〜10質量%の範囲が好ましい。またフラン樹脂を調製する場合には、フラン化合物に対するアルデヒド類の配合量を、フラン化合物1モルに対してアルデヒド類0.4〜2.5モルの範囲が好ましく、反応触媒の配合量は、反応触媒の種類によって大きく異なるが、フラン化合物に対して0.05〜10質量%の範囲が好ましい。
また反応系に添加する分散剤は、一種の乳化剤としても作用するものであり、例えばアラビアゴム、ポリビニルアルコール、ニカワ、グアーゴム、ガッテガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、可溶化でんぷん、寒天、アルギン酸ソーダなどを挙げることができる。これらのうちから一種単独で、あるいは複数種を併用して使用することができるが、これらの中でも、アラビアゴムやポリビニルアルコーが好ましく用いることができる。分散剤の添加量は、分散剤が有する乳化効果によって大きく異なり、特に限定されるものではないが、フェノール類やフラン化合物に対して0.1〜10.0質量%の範囲が好ましく、特に0.5〜7.0質量%の範囲が好ましい。
そして上記の反応は、反応系を攪拌するに足る量の水中で行なわれるものであり、この反応系を二枚羽根、三枚羽根、スクリューなどを用いて機械的に攪拌しながら、フェノール類とフラン化合物の少なくとも一方とアルデヒド類とを付加縮合反応させる。反応の初期では、反応系の溶液は透明に近いが、反応の進行とともに乳濁状態になってきて、付加縮合反応で生成されるフェノール類とアルデヒド類の付加縮合物やフラン化合物とアルデヒド類の付加縮合物の粒子が析出してくる。この際に、付加縮合反応で生成される粒子が結合することを分散剤による乳化分散作用によって抑制することができるものであり、球形粒子として球状樹脂3を得ることができるものである。
そして、上記のように付加縮合反応を所望の程度に進めた後に反応系を冷却し、攪拌を停止すると、球状樹脂3の粒子は反応系の溶液中から分離してくる。この粒子は微小な含水粒状物となっているので、傾斜法で反応系の溶液を分離した後に濾過するなどして反応系から取り出した後、乾燥することによって、球形の球状樹脂3として得ることができるものである。
ここで、フェノール類とアルデヒド類を反応させる反応系からはフェノール樹脂の球状樹脂3を得ることができ、フラン化合物とアルデヒド類を反応させる反応系からはフラン樹脂の球状樹脂3を得ることができる。さらにフェノール類及びフラン化合物とアルデヒド類を反応させる反応系からは、フェノール樹脂の変性樹脂あるいはフラン樹脂の変性樹脂からなる球状樹脂3を得ることができる。
また球状樹脂3の粒径は、分散剤の量や攪拌速度の設定によって調整することができるものであり、特に限定されるものではないが、1〜1000μm程度の範囲が好ましい。ここで球状樹脂3の球形の程度は、真球に近いほど好ましいのはいうまでもないが、もちろん真球である必要はなく、多少いびつな球形であってもよく、肉眼で見た形状が球形であればよい。
上記のようにフェノール類やフラン化合物とアルデヒド類とを付加縮合反応させて球状樹脂3を調製するにあたって、フェノール類やフラン化合物とアルデヒド類との付加縮合反応が進行している途中で、生成される樹脂が熱硬化性を有する状態で停止させることによって、未硬化のフェノール樹脂やフラン樹脂からなる球状樹脂3を得ることができるものであり、この球状樹脂3を形成するフェノール樹脂やフラン樹脂は、加熱によって架橋反応が進行して硬化する自硬化性を有するものである。
そして図3に示すように、未硬化の熱硬化性樹脂からなる球状樹脂3を成形型7のキャビティ13内に供給し、蓋12をして成形型7内に球状樹脂3を充填した状態で、成形型7内で球状樹脂3を加熱して球状樹脂3を溶融・硬化させることによって、球状樹脂3が硬化した球状粒子1の集合体として上記の多孔性成形体Aを成形することができるものである。
図1(a)は成形型7内に球状樹脂3が充填されて密に集合している状態を示すものである。そして球状樹脂3が成形型7内で加熱されて溶融硬化する際に、相互に接触する接触部で球状樹脂3は融着するものであり、球状樹脂3が硬化した硬化物からなる球状粒子1が相互の接触部で融着して接合一体化すると共に、球状粒子1の接触部以外の部分が空隙2となった図1(b)のような多孔性成形体Aを得ることができるものである。
ここで、成形型7内で球状樹脂3を加熱する温度は、球状樹脂3を形成する未硬化熱硬化性樹脂が溶融して架橋反応が進行する温度に設定されるものであり、未硬化熱硬化性樹脂がフェノール樹脂やフラン樹脂の場合、90〜180℃の範囲であることが好ましい。加熱温度が90℃未満であると、球状樹脂3を形成する未硬化熱硬化性樹脂の溶融が不十分であって、球状粒子1の融着による接合一体化が不十分になり、多孔性成形体Aの強度が不十分になるおそれがある。逆に加熱温度が180℃を超えて高いと、球状樹脂3は溶融し過ぎて球状の形状を保持することができず、また空隙2が溶融樹脂で埋められて、通気・通液性が低下するおそれがある。
また、成形型7内に充填した球状樹脂3を加熱して多孔性成形体Aを成形するにあっては、球状粒子1の充填密度を高め、さらに球状粒子1の融着強度を高めて、強度の高い多孔性成形体Aを得るために、蓋12などで加圧しながら加熱をして成形するのが好ましい。しかし加圧によって、未硬化の熱硬化性樹脂からなる球状樹脂3が溶融・硬化する際に変形して、球状の形状を保持することができなくなると共に空隙2が溶融樹脂で埋められて通気・通液性が低下するおそれがあるので、加圧は低圧で行なうのが好ましい。球状樹脂3を形成する未硬化熱硬化性樹脂がフェノール樹脂やフラン樹脂の場合、加圧は0.1〜10MPaの範囲であることが好ましい。0.1MPa未満であると、球状粒子1の充填密度が不十分になると共に球状粒子1の融着強度が不十分になる。また10MPaを超えると、球状粒子1の球形状を保持することができず、また空隙2が埋められて、通気・通液性が低下するおそれがある。圧力を上記の範囲で調整することによって、多孔性成形体Aの空隙率や、通気・通液性を調節することが可能である。
さらに成形型7内で球状樹脂3を加熱・加圧する成形時間は、加熱温度の条件などによって異なるが、球状樹脂3を形成する未硬化熱硬化性樹脂がフェノール樹脂やフラン樹脂の場合、5〜120分程度が好ましい。
次に、本発明に係る多孔性成形体Aの製造方法の一例について説明する。まず、球状粒子1の元となる球状複合樹脂8を調製する。球状複合樹脂8は、熱硬化性樹脂の硬化物からなる硬化粒子4をコアとし、硬化粒子4の表面に未硬化の熱硬化性樹脂からなる被覆層6を設けて形成されるものであり、この熱硬化性樹脂の硬化物からなる硬化粒子4は、上記した球状樹脂3と同様な方法で得ることができる。
すなわち、記述のように、フェノール類とフラン化合物の少なくとも一方とアルデヒド類とを、分散剤と反応触媒の存在下で付加縮合反応させることによって、球状のフェノール樹脂粒子、球状のフラン樹脂粒子、フェノール樹脂あるいはフラン樹脂の変性樹脂からなる球状の樹脂粒子を調製することができる。そしてこれらの樹脂が熱硬化性を有する状態で付加縮合反応を停止させることによって、上記した未硬化の熱硬化性樹脂からなる球状樹脂3を得ることができるものであるが、フェノール類あるいはフラン化合物とアルデヒド類との付加縮合反応を最終まで進行させて、生成される樹脂粒子の樹脂が不溶不融性になるまで持続した後に、停止させることによって、完全に硬化した状態の球状の硬化粒子4を得ることができるものである。あるいは、未硬化の熱硬化性樹脂からなる球状樹脂3を乾燥器などで加熱して、樹脂が不溶不融性になるまで架橋反応を進行させることによっても、完全に硬化した状態の球状の硬化粒子4を得ることができる。
そしてこの熱硬化性樹脂の硬化物からなる硬化粒子4の表面に未硬化の熱硬化性樹脂からなる被覆層6を被覆することによって、球状複合樹脂8を得ることができるものである。例えば、未硬化の熱硬化性樹脂をアルコール等の溶剤に溶解して樹脂ワニスを調製し、硬化粒子4にこの樹脂ワニスを加えて混合した後に、乾燥して溶剤を蒸発させることによって、硬化粒子4の表面に未硬化の熱硬化性樹脂からなる被覆層6を被覆することができる。被覆層6を形成する熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、フラン樹脂、フェノール樹脂とフラン樹脂の混合樹脂、さらにフェノール樹脂あるいはフラン樹脂の変性樹脂を用いることができるものであり、フェノール樹脂では、レゾール樹脂、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンを配合したノボラック樹脂、レゾール樹脂とノボラック樹脂の混合物を使用することができる。また被覆層6は乾燥した固体として形成するのが一般的であるが、液体の状態であってもよい。
球状複合樹脂8において、硬化粒子4に対する表面の被覆層6の比率は、樹脂分に換算して、硬化粒子4に対して被覆層6が0.1〜20質量%の範囲になるように設定するのが好ましく、1〜18質量%の範囲がより好ましく、さらに好ましくは1.5〜15質量%である。硬化粒子4に対する表面の被覆層6の比率が少ないと、被覆層6による融着による球状粒子1の結合強度が不十分になり、多孔性成形体Aの強度が低下するおそれがある。逆に硬化粒子4に対する表面の被覆層6の比率が多すぎると、被覆層6の樹脂で空隙2が埋められ、多孔性成形体Aの通気・通液性が低下するおそれがある。
そして上記した図3に示すように、球状複合樹脂8を成形型7のキャビティ13内に供給し、蓋12をして成形型7内に球状複合樹脂8を充填した状態で、成形型7内で球状複合樹脂8を加熱して、球状複合樹脂8の表面の未硬化の熱硬化性樹脂からなる被覆層6を溶融・硬化させることによって、硬化粒子4の表面に被覆層6の硬化物である硬化被覆層5が被覆されたものとして形成される球状粒子1の集合体として、本発明に係る多孔性成形体Aを成形することができるものである。
図2(a)は成形型7内に球状複合樹脂8が充填されて密に集合した状態を示すものである。そして、成形型7内で球状複合樹脂8が加熱されることによって、被覆層6が溶融・硬化して硬化被覆層5になる際に、相互に接触する接触部で硬化被覆層5は融着するものであり、硬化粒子4とその外周の硬化被覆層5により形成される球状粒子1が相互の接触部で融着して接合一体化すると共に、球状粒子1の接触部以外の部分が空隙2となった図2(b)のような多孔性成形体Aを得ることができるものである。
ここで、成形型7内で球状複合樹脂8を加熱する温度は、球状複合樹脂8の被覆層6を形成する未硬化熱硬化性樹脂が溶融して架橋反応が進行する温度に設定されるものであり、未硬化熱硬化性樹脂がフェノール樹脂やフラン樹脂の場合、加熱温度が90℃未満であると、被覆層6を形成する未硬化熱硬化性樹脂の溶融が不十分であって、球状粒子1の融着による接合一体化が不十分になり、多孔性成形体Aの強度が不十分になるおそれがある。球状複合樹脂8においては、コアとなる硬化粒子4は加熱しても溶融せず、加熱により溶融するのは表面の被覆層6の樹脂だけであるので、加熱温度が高くても球状複合樹脂8の球形を保持することができ、空隙2が溶融樹脂で埋められることもない。従って加熱温度の上限は特に制限されるものではないが、250℃程度が実用上の上限温度である。
また、成形型7内で球状複合樹脂8を加熱して多孔性成形体Aを成形するにあっては、球状粒子1の充填密度を高め、さらに球状粒子1の融着強度を高めて、強度の高い多孔性成形体Aを得るために、蓋12などで加圧しながら加熱をして成形するのが好ましい。ここで、球状複合樹脂8においては、コアとなる硬化粒子4は加熱した状態で加圧しても容易には変形しないので、高い圧力で加圧しても球状複合樹脂8の球状の形状を保持することができ、空隙2が溶融樹脂で埋められて通気・通液性が低下することも少ない。加圧の圧力は0.2〜50MPaの範囲に設定するのがよく、圧力をこの範囲で調整することによって、多孔性成形体Aの空隙率や、通気・通液性を調節することが可能である。
さらに成形型7内で球状複合樹脂8を加熱・加圧する成形時間は、加熱温度の条件などによって異なるが、球状複合樹脂8の被覆層6を形成する未硬化熱硬化性樹脂がフェノール樹脂やフラン樹脂の場合、5〜120分程度が好ましい。
上記の各製造方法のように、成形型7内に充填した球状樹脂3あるいは球状複合樹脂8を加熱して多孔性成形体Aを成形するにあたっては、高温に加熱した成形型7内に球状樹脂3あるいは球状複合樹脂8を充填することで、高温の成形型7からの伝熱で球状樹脂3あるいは球状複合樹脂8を加熱することができる。
また成形型7のキャビティ13内に球状樹脂3あるいは球状複合樹脂8を充填した後、成形型7のキャビティ13内に水蒸気を吹き込んで通過させることによって、水蒸気によって球状樹脂3あるいは球状複合樹脂8を加熱して多孔性成形体Aを成形することもできる。
このような、水蒸気を用いた成形方法の一例を、図4を参照して説明する。図4(a)に示すように、内部にキャビティ13を設けて形成した成形型7の上面に注入口14が設けてあり、成形型7の下面には金網等の網15で塞いだ排出口16が設けてある。この成形型7は縦割りあるいは横割に割ることができるようになっている。また球状樹脂3あるいは球状複合樹脂8はホッパー17内に貯蔵してあり、ホッパー17にはコック18付きの空気供給管19が接続してある。そしてホッパー17の下端のノズル口17aを成形型7の注入口14に合致させた後、コック18を閉から開に切り代えることによって、ホッパー17内に空気を吹き込んで加圧し、ホッパー17内の球状樹脂3あるいは球状複合樹脂8を成形型7内に注入して、成形型7のキャビティ13内に球状樹脂3あるいは球状複合樹脂8を充填する。排出口16は網15で塞いであるので、球状樹脂3あるいは球状複合樹脂8が排出口16から洩れ出すことはない。注入口14や排出口16を成形型7に複数設ける場合、複数の注入口14のうち一箇所あるいは複数箇所から球状樹脂3あるいは球状複合樹脂8を入れるようにすればよい。
上記のように成形型7内に球状樹脂3あるいは球状複合樹脂8を充填した後、成形型7の注入口14からホッパー17を外すと共に、図4(b)のように各注入口14に給気パイプ20を接続する。給気パイプ20には水蒸気と、加熱気体とを選択的に供給することができるようにしてあり、給気パイプ20のコック21を開いて、まず水蒸気を成形型7のキャビティ13内に吹き込む。
ここで、水蒸気としては飽和水蒸気をそのまま用いることができるが、過熱水蒸気を用いるのが好ましい。過熱水蒸気は、飽和水蒸気をさらに加熱して、沸点以上の温度とした完全気体状態の水蒸気であり、100℃以上の乾き蒸気である。飽和水蒸気を加熱して得られる過熱水蒸気は、圧力を上げないで定圧膨張させたものであってもよく、あるいは膨張させないで圧力を上げた加圧水蒸気であってもよい。成形型7内に吹き込む過熱水蒸気の温度は特に限定されるものではなく、過熱水蒸気は900℃程度にまで温度を高めることができるので、100〜900℃の間で必要に応じた温度に設定すればよい。
そしてこのように成形型7内に水蒸気を吹き込むと、球状樹脂3あるいは球状複合樹脂8の表面に水蒸気が接触することによって、水蒸気は潜熱が球状樹脂3あるいは球状複合樹脂8に奪われて凝縮するが、水蒸気は高い潜熱を有するので、水蒸気が凝縮する際に伝熱されるこの潜熱で球状樹脂3あるいは球状複合樹脂8の温度は100℃付近にまで急速に上昇する。このように水蒸気の潜熱の伝熱によって球状樹脂3あるいは球状複合樹脂8が100℃付近にまで加熱される時間は、水蒸気の温度や成形型7内への吹き込み流量、成形型7内の球状樹脂3あるいは球状複合樹脂8の充填量などで変動するが、通常、3〜30秒程度の短時間である。成形型7内に注入口14から吹き込まれた水蒸気は、成形型7内の球状樹脂3あるいは球状複合樹脂8を加熱した後、排出口16から排気される。
次に、球状樹脂3あるいは球状複合樹脂8の温度が100℃付近にまで上昇した後、給気パイプ10への供給を加熱気体に切り換え、加熱気体を成形型7内に吹き込むようにしてもよい。加熱気体は水分含有率が上記の水蒸気より低いものであればよく、加熱した空気を用いることができる。例えば、大気中の空気を加熱して給気パイプ20に加熱気体として供給すればよい。また上記の水蒸気に加熱空気を混合して含有水分量を低くすることによって、この混合気体を加熱気体として用いることもできる。この加熱気体の温度は特に限定されるものではなく、100℃以上であり、且つ球状樹脂3を形成する未硬化熱硬化性樹脂が硬化する温度以上、あるいは球状複合樹脂8の被覆層6を形成する未硬化熱硬化性樹脂が硬化する温度以上のものであればよい。
上記のように成形型7内に水蒸気を吹き込むと、水蒸気が凝縮する際に伝熱される潜熱で球状樹脂3あるいは球状複合樹脂8の温度を100℃付近にまで急速に上昇させることができるが、さらに100℃以上の温度に上昇させるには、凝縮水を蒸発させる必要がある。そしてこの凝縮水はその後に吹き込まれる水蒸気による加熱で蒸発されるが、既述のように、水蒸気は水分を多く含むので、凝縮水を蒸発させる効率が低い。そこで上記のように加熱気体を成形型7内に吹き込むようにしたものであり、加熱気体は水蒸気よりも含有される水分量が少なく、湿度の低い乾燥気体であるので、成形型7内で生成された凝縮水を短時間で蒸発させて乾燥することができるものである。ここで、過熱水蒸気及び加熱空気の気流で水の蒸発実験を行なった場合、温度が170℃付近以下では、過熱水蒸気中への水の蒸発速度より、加熱空気中への水の蒸発が大きくなることが報告されている(T.Yosida,Hyodo,T.,Ind.Eng.Chem.Process Des.Dev.,9(2),207-214(1970))。この報告にもみられるように、加熱気体を成形型7内に吹き込むことによって、水蒸気を吹き込み続ける場合よりも、短時間で凝縮水を蒸発させて乾燥することができるものである。
従って、加熱気体を成形型7内に吹き込み始めてから短時間で、100℃以上に球状樹脂3あるいは球状複合樹脂8の温度を上昇させることができるものであり、球状樹脂3を形成する未硬化熱硬化性樹脂、あるいは球状複合樹脂8の被覆層6を形成する未硬化熱硬化性樹脂球状樹脂が硬化する温度以上にまで成形型7内の温度を上昇させる速度を速めることができるものである。
加熱気体を成形型7内に吹き込む時間は、加熱気体の温度や成形型7内への吹き込み流量、成形型7内の球状樹脂3あるいは球状複合樹脂8の充填量、成形型7内の凝縮水の量などで変動するが、通常、5秒〜15分程度の短時間である。従って、水蒸気を成形型7内に吹き込み始めてから、10秒〜10分程度の短時間で、成形を行なうことが可能である。
上記のように、成形型7に水蒸気を供給して球状樹脂3あるいは球状複合樹脂8の加熱を行なうことによって、水蒸気の高い凝縮潜熱で球状樹脂3あるいは球状複合樹脂8を瞬時に加熱して、球状樹脂3を形成する未硬化熱硬化性樹脂、あるいは球状複合樹脂8の被覆層6を形成する未硬化熱硬化性樹脂球状樹脂を硬化させることができ、短時間で多孔性成形体Aを成形することができるものである。また上記のように、高温に加熱した成形型7からの伝熱で球状樹脂3あるいは球状複合樹脂8を加熱して成形を行なう場合は、成形型7に充填した球状樹脂3あるいは球状複合樹脂8に作用する熱は、成形型7の面に近い部分から遠い部分へと伝わるので、成形して得られた多孔性成形体Aは外周部と内部とで硬化の度合いが均一でないことがあるが、球状樹脂3あるいは球状複合樹脂8を充填した成形型7に水蒸気を供給して加熱を行なう場合には、水蒸気は球状樹脂3の粒子間、あるいは球状複合樹脂8の粒子間を通過して排出されるものであり、成形型7内に充填した球状樹脂3あるいは球状複合樹脂8を成形型7の面に近い部分も遠い部分も均一に加熱することができるものであり、均質に硬化した多孔性成形体Aを製造することができるものである。
また、図4(a)から(b)へのように、成形型7のキャビティ13に球状樹脂3あるいは球状複合樹脂8を充填するにあたって、球状樹脂3あるいは球状複合樹脂8を予め加熱しておき、この予備加熱した球状樹脂3あるいは球状複合樹脂8を成形型7に供給してキャビティ13に充填するようにしてもよい。このように球状樹脂3あるいは球状複合樹脂8を予備加熱しておくことによって、成形型7内に吹き込む水蒸気の温度低下を抑制することができ、成形型7内の温度を上昇させる速度を速めることができるものであって、多孔性成形体Aの成形時間を短縮する効果を高く得ることができるものである。
球状樹脂3あるいは球状複合樹脂8の予備加熱は、例えば、球状樹脂3あるいは球状複合樹脂8を貯蔵するホッパー17内で行なうことができる。球状樹脂3あるいは球状複合樹脂8を予備加熱する温度は、特に限定されるものではないが、30〜80℃程度の範囲が好ましい。
上記のようにして、熱硬化性樹脂の硬化物からなる球状粒子1が相互の接触部で融着して接合一体化されると共に球状粒子1間に空隙が形成された多孔性成形体Aを得ることができるものであり、このとき、球状粒子1の粒径が揃っている場合には、図1(b)や図2(b)のように球状粒子1が最密充填の状態で均一に集合した多孔性成形体Aとなる。そしてこの場合には、球状粒子1間に形成される空隙2も多孔性成形体A内で均一に形成されるので、通気・通液性が均一な多孔性成形体Aを得ることができる。
一方、球状粒子1として粒径が大きいものと小さいものを用いて多孔性成形体Aを形成する場合、図5(a)のように粒径の大きい球状粒子1を中央部に、粒径の小さい球状粒子1を表層部に配置して多孔性成形体Aを形成することによって、表層部は各空隙2の容積が小さく、中央部は各空隙2の容積が大きくなった多孔性成形体Aを得ることができる。この場合、多孔性成形体Aの表面は粒径が小さい粒状粒子1からなるので、平滑な表面に形成することができるものである。
また球状粒子1として粒径が大きいものと小さいものを用いて多孔性成形体Aを形成する場合、図5(b)のように粒径の小さい球状粒子1を中央部に、粒径の大きい球状粒子1を表層部に配置して多孔性成形体Aを形成することによって、表層部は各空隙2の容積が大きくなり、中央部は各空隙2の容積が小さくなった多孔性成形体Aを得ることができる。
さらに球状粒子1として粒径の異なるものを用い、これらの球状粒子1をランダムに配置させることで、容積の異なる空隙2がランダムに分布する多孔性成形体Aを得ることができる。
上記のようにして得られる本発明の多孔性成形体Aは、通気・通液性という特性を利用した各種の用途に使用することができるものであり、例えば、断熱材、防音材、吸音材、フィルター、フィルターの支持台、吸着盤、通気板などとして使用することができるものである。
また、上記のようにして得た多孔性成形体Aを、非酸化性雰囲気で熱処理して焼成し、炭化することによって、多孔性の炭素化物を得ることができる。非酸化性の雰囲気は、多孔性成形体Aの球状粒子1を形成する熱硬化性樹脂が酸化されないものであればよく、例えばアルゴン、ヘリウム、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気に設定することができる。また多孔性成形体Aをコークスで覆った状態で加熱することによって、空気中の酸素がコークスで消費される状態にすることによっても、非酸化性雰囲気で焼成することができる。熱処理の条件は、熱硬化性樹脂がフェノール樹脂やフラン樹脂の場合、400〜3000℃、1〜1000時間に設定するのが好ましい。ここで、一段階で目的とする焼成温度にまで昇温させて焼成するようにしてもよく、一段目は例えば1300℃まで、二段目は例えば3000℃までと段階的に昇温させるようにして、複数段階に分けた温度で焼成するようにしてもよい。
このようにして得られる多孔性炭素化物は、多孔性成形体Aと同様に通気・通液性を有する他、炭素原子からなるので高い電気伝導性、熱伝導性、耐熱性、耐薬品性を有するものであり、これらの特性を活かした用途に使用することができる。例えば、高温下で使用される、断熱材、防音材、吸音材、フィルター、フィルターの支持台、吸着盤、通気板、ドライエッチング用多孔板や、その他鋳型、鋳型造型型、溶湯濾過用フィルター、含油軸受けなどがあり、また放熱盤(ヒートシンク)、熱交換器、電磁遮蔽材、吸着材、藻の発生床などに使用することもできる。
また多孔性成形体Aを焼成する際に低分子量物質が分解して揮散し、抜け跡が微細な穴となるので、焼成して得られた多孔性炭素化物には多数の微細孔が形成される。このため、多孔性炭素化物は活性炭と同様な吸着性能を有する吸着材として使用することもできる。
さらに、上記の多孔性炭素化物を賦活処理することによって、単位質量当りの比表面積及び細孔容積を大きくし、物理的化学的吸着性能を向上させた多孔性活性炭を得ることができる。賦活処理は、水蒸気や二酸化炭素等による気相賦活法、溶融水酸化カリウム等による薬液賦活法など、公知の任意の方法で行なうことができる。
この多孔性活性炭は、活性炭として使用する他に、乾電池、鉛畜電池、リチウムイオン二次電池などの各種の二次電池の電極や、電気二重層キャパシタなどの電極の材料として用いることができるものである。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(球状樹脂の製造例1)
5リットルの四つ口フラスコにフェノール940g、37質量%ホルマリン1216g、ヘキサメチレンテトラミン85g、水500g、分散剤としてアラビアゴム28g、フィラーとして球形のフェノール樹脂未硬化粒子(リグナイト株式会社製「LPS−20A」(平均粒子径20μm))50gを仕込んだ。そしてフラスコに取り付けた2枚羽根プロペラ式攪拌装置を作動させて、反応系を8m/分の攪拌速度で攪拌しながら、90分を要して90℃まで昇温させ、そのまま2時間反応を行なった。次に、40℃まで冷却した後、フラスコの内容物を濾別してポリエチレンシートの上に薄く広げ、7日間、室温で風乾することによって、球形のフェノール樹脂粒子を得た。
この球形のフェノール樹脂粒子は融着点が98℃であって熱硬化性を有するものであり、未硬化のフェノール樹脂からなる球状樹脂Aとして得ることができた。尚、融着点の測定は、JACT試験法C−1「融着点試験法」に準拠して行なった。
このようにして得た球状樹脂Aの粒度を日機装(株)製のレーザ回折・散乱式粒度分布測定装置「マイクロトラックMT3300EXII」を用いて測定したところ、平均粒子径が395μmであった。また球状樹脂Aの疎充填かさ密度は0.67g/cm、密充填かさ密度は0.69g/cmであった。
疎充填かさ密度の測定は、筒井理化学機械(株)製の「ABD粉体物性測定器」を用い、測定円台に100cmの試料容器を載せ、これに試料(球状樹脂)を上部のホッパーから供給し、試料容器が一杯になった時点で山になった部分をヘラですり取り、試料容器の試料の全量を測定することによって行ない、次の式から疎充填かさ密度を求めた。
疎充填かさ密度(g/cm)=試料の全量(g)/試料容器の容量(100cm
また密充填かさ密度の測定は、上記の疎充填かさ密度の測定後に、試料容器にゴム栓で蓋をして50回タッピングした。タッピングすることによって試料容器内の試料のかさが小さくなる分だけ、試料容器内に試料を補充して充填し、再度ゴム栓で蓋をして50回タッピングを行なった。試料のかさが小さくなる分だけさらに試料容器内に試料を充填してヘラですり切り、この状態で試料容器の試料の全量を測定した。そして次の式から密充填かさ密度を求めた。
密充填かさ密度(g/cm)=試料の全量(g)/試料容器の容量(100cm
(硬化粒子の製造例1)
上記の(球状樹脂の製造例1)において、90℃での反応時間を20時間に変更し、さらに風乾後に105℃で3時間加熱処理をするようにした他は、同様にして球形のフェノール樹脂粒子を得た。
この球形のフェノール樹脂粒子は不溶不融状態に完全硬化しており、硬化したフェノール樹脂からなる硬化粒子Bとして得ることができた。この硬化粒子Bは平均粒子径が380μm、疎充填かさ密度は0.70g/cm、密充填かさ密度は0.72g/cmであった。
(球状複合樹脂の製造例1)
上記の硬化粒子B100質量部に、固体レゾール型フェノール樹脂(リグナイト(株)製「LT−09G」)50質量部をメタノール50質量部に溶解して調製したワニスを4質量部(固形分換算で2質量部)加え、ミキサーで混合した。メタノールを蒸発させた後に払い出し、ポリエチレンシートの上に薄く広げて3日間風乾することによって、球形のフェノール樹脂粒子を得た。
この球形のフェノール樹脂粒子は、フェノール樹脂の硬化粒子Bの表面に、融着点が110℃であって熱硬化性を有する未硬化のフェノール樹脂の被覆層が被覆されたものであり、フェノール樹脂からなる球状複合樹脂Cとして得た。
この球状複合樹脂Cにおいて、フェノール樹脂の硬化粒子Bに対する未硬化のフェノール樹脂の被覆層の比率は2質量%であり、球状複合樹脂Cの平均粒子径は405μm、疎充填かさ密度は0.63g/cm、密充填かさ密度は0.66g/cmであった。
(球状複合樹脂の製造例2)
上記の(球状複合樹脂の製造例1)において、硬化粒子B100質量部に、固体レゾール型フェノール樹脂のワニスを8質量部(固形分換算で4質量部)加えるようにした他は、同様にしてフェノール樹脂からなる球状複合樹脂Dを得た。
この球状複合樹脂Dにおいて、フェノール樹脂の硬化粒子Bに対する未硬化のフェノール樹脂の被覆層の比率は5質量%であり、球状複合樹脂Dの平均粒子径は415μm、疎充填かさ密度は0.62g/cm、密充填かさ密度は0.65g/cmであった。
(球状複合樹脂の製造例3)
上記の(球状複合樹脂の製造例1)において、硬化粒子B100質量部に、固体レゾール型フェノール樹脂のワニスを15質量部(固形分換算で7.5質量部)加えるようにした他は、同様にしてフェノール樹脂からなる球状複合樹脂Eを得た。
この球状複合樹脂Eにおいて、フェノール樹脂の硬化粒子Bに対する未硬化のフェノール樹脂の被覆層の比率は7.5質量%であり、球状複合樹脂Eの平均粒子径は418μm、疎充填かさ密度は0.62g/cm、密充填かさ密度は0.65g/cmであった。
(球状複合樹脂の製造例4)
上記の(球状複合樹脂の製造例1)において、硬化粒子B100質量部に、固体レゾール型フェノール樹脂のワニスを20質量部(固形分換算で10質量部)加えるようにした他は、同様にしてフェノール樹脂からなる球状複合樹脂Fを得た。
この球状複合樹脂Fにおいて、フェノール樹脂の硬化粒子Bに対する未硬化のフェノール樹脂の被覆層の比率は10質量%であり、球状複合樹脂Cの平均粒子径は420μm、疎充填かさ密度は0.61g/cm、密充填かさ密度は0.64g/cmであった。
上記の球状樹脂A、固形粒子B、球状複合粒子C〜Fの粒子特性を表1にまとめて示す。尚、表1において充填比は次の式から算出した。
充填比=密充填かさ密度/疎充填かさ密度
Figure 0006450973
参考例1〜5)
成形材料として球状樹脂A、球状複合粒子C〜Fを用い、予め140℃に加熱した成形型の縦150mm×横130mmのキャビティに成形材料を200g入れ、平らにならした後に、蓋をキャビティにはめ込んで0.098MPa(1kgf/cm)の加圧下、20分間成形することによって、板状の多孔性成形体を得た(図3参照)。
参考例6、実施例7〜10)
上記の成形の圧力を1.96MPa(20kgf/cm)に設定するようにした他は、上記の(参考例1〜5)と同様にして板状の多孔性成形体を成形した。
上記のようにして得た板状の多孔性成形体を成形型から取り出し、冷却後に密度、空隙率、通気度、曲げ強度を測定した。結果を表2に示す。密度及び曲げ強度の測定はJIS K 6911に準拠して行なった。また通気度の測定は、(株)ハツネン製「ハツネン電気式通気度試験機TY−2」によりJACT試験法M−1に準拠して、直径50mm、厚さ10mmのテストピースを用いて行なった。
また空隙率の測定は次のようにして行なった。まず200mLのメスシリンダーに水:メタノール=7:3(質量比)の混合溶液100mLを入れ、多孔性成形体から切り出した30mm×30mm×111mmの試験片を徐々に混合溶液に浸し、メスシリンダーを密閉した。試験片から気泡が出なくなったのを確認した後、メスシリンダーの液面を読み、この数値(MmL)と200mLの目盛との差を次の式のように計算し、空隙率として求めた。
空隙率(%)=200−M
Figure 0006450973
表2にみられるように、未硬化フェノール樹脂からなる球状樹脂Aを用いた参考例1,6と、フェノール樹脂の硬化粒子をコアとする複合球状樹脂C〜Fを用いた参考例2〜5、実施例7〜10を比較すると、参考例2〜5、実施例7〜10のほうが高い空隙率に形成することができ、また高い曲げ強度を有することが確認される。また、成形圧力が低い参考例1〜5と、成形圧力が高い参考例6、実施例〜10の比較にみられるように、成形圧力を高くすることによって、空隙率は若干低くなるが、曲げ強さを向上できることが確認される。
(比較例1)
平均粒径が180μmの高密度ポリエチレンの粒子を、予め180℃に加熱した成形型のの縦150mm×横130mmキャビティに入れ、平らにならした後に、蓋をキャビティにはめ込んで0.098MPa(1kgf/cm)の加圧下、20分間成形し、100℃以下にまで冷却した後に取り出すことによって、熱可塑性樹脂からなる多孔性成形体を得た。
上記の参考例1〜5で得た多孔性成形体と、比較例1で得た多孔性成形体を、予め250℃に加熱した乾燥器に入れ、5時間保持した後に取り出した。そして加熱処理する前と後の寸法変化率、質量変化率、加熱処理後の形状保持外観、加熱処理後の曲げ強さをそれぞれ測定した。結果を表3に示す。
寸法変化率は、加熱する前の寸法と後の寸法をそれぞれ測定し、質量変化率は、加熱する前の質量と後の質量をそれぞれ測定し、次の式から求めた。
寸法変化率=[(加熱後の寸法−加熱前の寸法)/加熱前の寸法]×100
質量変化率=[(加熱後の質量−加熱前の質量)/加熱前の質量]×100
また形状保持外観は、反りがなくボロつきがないものを「◎」、僅かに反りがあるがボロつきがないものを「○」、変形が大きいものを「×」と評価した。
Figure 0006450973
表3にみられるように、熱可塑性樹脂からなる多孔性成形体の比較例1では、耐熱性が低く、高温雰囲気では使用することができないが、熱硬化性樹脂からなる多孔性成形体の参考例1〜5は耐熱性が高く、高温雰囲気においても使用可能であることが確認された。
(球状樹脂の製造例2)
2リットルの四つ口フラスコにフルフリルアルコールを490g、37質量%ホルマリンを162g、水を750g仕込み、さらに分散剤としてアラビアゴムを8g、反応触媒として7−アミノ−4−ヒドロキシ−2−ナフタレンスルホン酸を5g仕込んだ。そしてフラスコに設けた2枚羽根プロペラ式攪拌機による攪拌速度を6m/分に設定し、約60分を要して85℃まで昇温させ、そのまま40分間縮合反応を進めた。フラスコ内の反応溶液のpHは2.7であった。
フラスコ内の溶液は当初は透明に近いものであったが、徐々に濁って乳茶濁状態になった。このように40分を経過した時点で10質量%濃度のNaOH水溶液で中和した後、さらに攪拌しながらフラスコ内の内容物を25℃にまで冷却し、反応を停止させた。次に、フラスコの内容物を濾過し、濾過残留物を紙の上に薄く広げて室温(25℃)で72時間乾燥させることによって、球形のフラン樹脂粒子を得た。
この球形のフラン樹脂粒子は融着点が115℃であって熱硬化性を有するものであり、未硬化のフラン樹脂からなる球状樹脂Gとして得た。この球状樹脂Gの平均粒子径は710μmであり、疎充填かさ密度は0.76g/cm、密充填かさ密度は0.76g/cmであった。
(硬化粒子の製造例2)
上記の(球状樹脂の製造例2)において、反応時間を240分に変更し、中和を行なわないようにした他は、同様にして球形のフラン樹脂粒子を得た。
この球形のフラン樹脂粒子は不溶不融状態に完全硬化しており、硬化したフラン樹脂からなる硬化粒子Hとして得た。この硬化粒子Hの平均粒子径は690μmであり、疎充填かさ密度は0.77g/cm、密充填かさ密度は0.77g/cmであった。
(球状複合樹脂の製造例5)
上記の硬化粒子H100質量部に、上記の(球状樹脂の製造例2)で得た未硬化のフラン樹脂からなる球状樹脂G50質量部をテトラヒドロフラン50質量部に溶解して調製したワニスを10質量部(固形分換算で5質量部)加え、ミキサーで混合した。テトラヒドロフランを蒸発させた後に払い出し、ポリエチレンシートの上に薄く広げて3日間風乾することによって、球形のフラン樹脂粒子を得た。
この球形のフラン樹脂粒子は、フラン樹脂の硬化粒子Hの表面に、融着点が118℃であって熱硬化性を有する未硬化のフラン樹脂の被覆層が被覆されたものであり、フラン樹脂からなる球状複合樹脂Iとして得た。
この球状複合樹脂Iにおいて、フラン樹脂の硬化粒子Hに対する未硬化のフラン樹脂の被覆層の比率は5質量%であり、球状複合樹脂Iの平均粒子径は720μm、疎充填かさ密度は0.78g/cm、密充填かさ密度は0.79g/cmであった。
Figure 0006450973
参考例11,12)
成形材料としてフラン樹脂からなる球状樹脂G、球状複合粒子Iを用い、予め140℃に加熱した成形型の縦150mm×横130mmのキャビティに成形材料を200g入れ、平らにならした後に、蓋をキャビティにはめ込んで0.098MPa(1kgf/cm)の加圧下、20分間成形することによって、板状の多孔性成形体を得た(図3参照)。
参考例13,実施例14)
上記の成形の圧力を1.96MPa(20kgf/cm)に設定するようにした他は、上記の(参考例11,12)と同様にして板状の多孔性成形体を成形した。
上記のようにして得た参考例11〜13、実施例14の板状の多孔性成形体を成形型から取り出し、冷却後に密度、空隙率、通気度、曲げ強度を測定した。結果を表5に示す。
Figure 0006450973
表5にみられるように、未硬化のフラン樹脂からなる球状樹脂Gを用いた参考例11,13と、フラン樹脂の硬化粒子をコアとする複合球状樹脂Iを用いた参考例12、実施例14を比較すると、参考例12、実施例14のほうが高い空隙率に形成することができ、また高い曲げ強度を有することが確認される。また、成形圧力が低い参考例11,12と、成形圧力が高い参考例13、実施例14の比較にみられるように、成形圧力を高くすることによって、空隙率は若干低くなるが、曲げ強さを向上できることが確認される。
参考例15〜19)
成形材料としてフェノール樹脂からなる球状樹脂A、球状複合粒子C〜Fを用い、水蒸気の吹き込みで加熱する方法で多孔性成形体を成形した。すなわち図4の装置において、キャビティの大きさが縦150mm、横100mm、厚さ40mmに形成された成形型を用い、予め150℃に加熱した成形型内に成形材料をゲージ圧力0.1MPaの空気圧で吹き込んで充填した。
この後、成形型に給気パイプを接続し、ボイラーで発生させたゲージ圧力0.4MPa、温度143℃の飽和水蒸気を過熱蒸気発生装置(野村技工(株)製「GE−100」)で加熱して調製される、350℃、ゲージ圧力0.45MPaの過熱水蒸気を、60kg/hの流量で供給し、成形型内にこの水蒸気を300秒間吹き込んで成形した。
このようにして得た板状の多孔性成形体を成形型から取り出し、冷却後に上記と同様にして密度、空隙率、通気度、曲げ強度を測定した。結果を表6に示す。
Figure 0006450973
表6にみられるように、未硬化フェノール樹脂からなる球状樹脂Aを用いた参考例15と、フェノール樹脂の硬化粒子をコアとする複合球状樹脂C〜Fを用いた参考例16〜19を比較すると、参考例16〜19のほうが高い空隙率に形成することができ、また高い曲げ強度を有することが確認される。
参考例20〜25、実施例26〜29)
上記の参考例1〜6、実施例7〜10で成形した多孔性成形体を耐熱箱に入れ、コークスを多孔性成形体の周りに充填した状態で耐熱箱に蓋をした。次にこの耐熱箱を電気炉に入れて1℃/分の昇温速度で徐々に1000℃まで昇温させ、この温度で3時間加熱して焼成した。この後、室温まで自然放冷することによって、板状の多孔性炭素化物を得た。
この多孔性炭素化物について、密度、空隙率、通気度、曲げ強度を上記と同様にして測定し、さらに寸法変化率、質量減少率、体積抵抗値を測定した。結果を表4に示す。体積抵抗値の測定は、三菱油化(株)製「ロレスタAP(MCP−T400)を用い、四探針によりJIS K 7194(1994)に準拠して行なった。また寸法変化率は、焼成する前の寸法と後の寸法をそれぞれ測定し、質量変化率は、焼成する前の質量と後の質量をそれぞれ測定し、次の式から求めた。
寸法変化率=[(焼成後の寸法−焼成前の寸法)/焼成前の寸法]×100
質量変化率=[(焼成後の質量−焼成前の質量)/焼成前の質量]×100
Figure 0006450973
参考例30、実施例31〜34)
上記の参考例6、実施例7〜10で成形した多孔性成形体を耐熱箱に入れ、コークスを多孔性成形体の周りに充填した状態で耐熱箱に蓋をした。次にこの耐熱箱を電気炉に入れて2℃/分の昇温速度で徐々に1000℃まで昇温させ、この温度で3時間加熱して焼成した。この後、室温まで自然放冷することによって、板状の多孔性炭素化物を得た。
次に、この多孔性炭素化物をレトルト電気炉に入れて900℃に加熱し、ここに水蒸気を添加して8時間その温度に保持することによって賦活化した。その後、窒素を吹き込みながら50℃まで冷却することによって、賦活処理した板状の多孔性活性炭を得た。
上記のようにして得た多孔性活性炭について、収率、密度、比表面積を測定した。結果を表8に示す。収率は、賦活化処理する前の多孔性炭素化物の質量と賦活化処理した後の多孔性活性炭の質量を測定し、次の式のように質量変化の率として計算した値である。
収率(%)=(賦活化処理後の質量/賦活化処理前の質量)×100
また比表面積は、得られた多孔性活性炭を粉砕した粒径0.5mm以下の活性炭粒を用い、(株)島津製作所−マイクロメリティックス社製の「フローソープII2300型」により、窒素:ヘリウム混合比(体積比)=30:70の条件で測定した。
Figure 0006450973
1 球状粒子
2 空隙
3 球状樹脂
4 硬化粒子
5 被覆硬化層
6 被覆層
7 成形型
8 球状複合樹脂

Claims (10)

  1. 熱硬化性樹脂の硬化物からなる硬化粒子の表面に未硬化の熱硬化性樹脂からなる被覆層を設けて形成した球状複合樹脂を成形型に充填し、成形型内で球状複合樹脂を0.2〜50MPaの圧力で加圧しながら加熱して成形することによって、未硬化の熱硬化性樹脂からなる被覆層を溶融硬化させると共に、硬化粒子とその表面の被覆層が硬化した被覆硬化層からなる球状粒子を相互の接触部で融着させ、球状粒子間に形成される空隙の空隙率が5〜60%の多孔性成形体を製造することを特徴とする多孔性成形体の製造方法。
  2. 熱硬化性樹脂が、フェノール樹脂、フラン樹脂、フェノール樹脂とフラン樹脂の混合物から選ばれるものであることを特徴とする請求項1に記載の多孔性成形体の製造方法
  3. 硬化粒子100質量部に対して被覆層を0.1〜20質量部の比率で被覆して形成した球状複合樹脂を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の多孔性成形体の製造方法
  4. 成形型に充填した球状複合樹脂の加熱を、成形型からの伝熱によって行なうことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の多孔性成形体の製造方法。
  5. 成形型に充填した球状複合樹脂の加熱を、成形型内に水蒸気を供給することによって行なうことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の多孔性成形体の製造方法。
  6. 水蒸気として過熱水蒸気を用いることを特徴とする請求項に記載の多孔性成形体の製造方法。
  7. 球状粒子として粒径が大きいものと小さいものを用い、粒径の大きい球状粒子が中央部に、粒径の小さい球状粒子が表層部に配置されるように、多孔性成形体を成形することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の多孔性成形体の製造方法。
  8. 球状粒子として粒径が大きいものと小さいものを用い、粒径の小さい球状粒子が中央部に、粒径の大きい球状粒子が表層部に配置されるように、多孔性成形体を成形することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の多孔性成形体の製造方法。
  9. 請求項1乃至8のいずれかに記載の方法で多孔性成形体を製造し、この多孔質成形体非酸化性雰囲気で熱処理することを特徴とする多孔性炭素化物の製造方法
  10. 請求項9に記載の方法で多孔性炭素化物を製造し、この多孔性炭素化物賦活処理することを特徴とする多孔性活性炭の製造方法
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