JP6433775B2 - グースアスファルト組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、流動性に優れ、かつ重交通舗装に求められる強度を発揮させる上で好適なグースアスファルト組成物に関するものである。
鋼製床版を用いた鉄橋や高架道路では近年の交通量の増加に伴い、一般のアスファルト舗装よりも耐久性に優れ、しかも交通荷重による衝撃や繰り返し曲げに対する撓み追従性に優れているグースアスファルトが用いられている。またグースアスファルトは、空隙が殆ど存在しないため水密性が高く、防水層としての機能も発揮することができる。更にこのグースアスファルトは、一般のアスファルトと比較して舗設時における流動性が高い。このため、グースアスファルトを舗設施工に使用する際には、この高い流動性を利用して鋼床よりなる施工基面上に流し込み、アスファルトフィニッシャにより平らに敷きならす。この過程で、鋼床版における継手部のボルトや段差部等、隅々までこのグースアスファルトを充填することが可能となる。
グースアスファルトは、アスファルトに、天然のアスファルトであるトリニダートレークアスファルト又は熱可塑性エラストマー等の改質材を混合したアスファルト組成物に骨材及びフィラーを配合して構成される。
また、このようなグースアスファルトをアスファルトフィニッシャにより敷きならす技術も従来において各種提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2013−147858号公報
ところで、昨今の交通量の著しい増加に伴い、仮にグースアスファルトにより舗装された鉄橋や高架道路であっても、わだち掘れの発生等の問題が無視できない状況になっている。このため、耐わだち掘れ性(DS値)を向上させつつ、従来のグースアスファルトと同様に高い流動性を活かした流し込みによる舗設が可能な新たなグースアスファルトの開発が期待されている。特に高度成長期に舗装された橋梁や高速道路の老朽化が深刻となっており、これらを補修する際において、耐わだち掘れ性に優れた新たなグースアスファルトに入れ替えたいというニーズも顕在化していた。
そこで、本発明は上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、耐わだち掘れ性(DS値)、従来と同様に高い流動性を活かした流し込みによる舗設が可能なグースアスファルト組成物を提供することにある。
本願第1発明に係るグースアスファルト組成物は、組成物の全質量を100質量%として、(a)ベースアスファルト76質量%〜90質量%と、(b)重合体の全質量に対するスチレンに由来する繰り返し単位の含有量が50質量%〜70質量%であるスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体飽和水素添加物10質量%〜24質量%とを含有することを特徴とする。
本願第2発明に係るグースアスファルト組成物は、第1発明において、スチレンに由来する繰り返し単位の含有量が60質量%〜70質量%であるスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体飽和水素添加物16質量%〜22質量%を含有することを特徴とする。
本願第3発明に係るグースアスファルト組成物は、第1発明又は第2発明において、更に組成物の全質量を100質量%として、(d)カルボキシ基を有する炭素数20の多環式ジテルペン化合物0.2質量%〜1.5質量%を含有することを特徴とする。
上述した構成からなる本発明によれば、流動性の高いグースアスファルトが提供可能となることから流し込み工法に基づいて、鋼床の上にグースアスファルトからなる層を形成させることができ、特に締め固め等の処理を行う必要が無く、施工労力の軽減、施工コストの抑制を実現することが可能となる。
また、本発明を適用したグースアスファルトは、その高い流動性に基づいて、鋼床の表面に突出された緊締部材等の隅々にまで充填することが可能となり、舗装内部に微小な空隙が残存するのを防止できる。
鋼床よりなる施工基面上にグースアスファルト組成物を舗設する例を示す図である。 DS値の測定方法の詳細について説明するための図である。 DS値の測定試験開始時刻を起点としたときの試験時間(分)に対する沈下量(mm)の例を示す図である。
以下、本発明を適用したグースアスファルト組成物の実施の形態について詳細に説明する。
本発明を適用したグースアスファルト組成物は、ベースアスファルトと、スチレン含有量50〜70%であるSEBS:10質量%〜24質量%と、カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペン:0.2〜1.5質量%含有してなる。以下、各成分組成の詳細並びにその含有量を限定した理由について説明をする。以下の各成分組成における質量%は、単に%と記載する。
ベースアスファルト
本発明を適用したグースアスファルト組成物に使用されるベースアスファルトとしては、大きく分類して溶剤脱れきアスファルトと、石油系溶剤抽出油とを含有する。溶剤脱れきアスファルトは、原油の常圧蒸留残油を減圧蒸留する工程において得られる減圧蒸留残油から溶剤により潤滑油成分を抽出して得られる。石油系溶剤抽出油は、原油から潤滑油を製造する際の溶剤抽出過程で生成される抽出油である。
溶剤脱れきアスファルト:30〜80%
本発明では、この溶剤脱れきアスファルトのうち、溶剤としてプロパン、又はプロパンとブタンを使用するプロパン脱れきアスファルトを使用することが望ましい。
プロパン脱れきアスファルトは、例えばJISK2207の下で25℃における針入度が12(1/10mm)、軟化点が63.5℃、180℃における粘度は132mPaS、15℃における密度が1062kg/m3であるのものを使用するようにしてもよい。但し、プロパン脱れきアスファルトにおけるこれらの物性はあくまで一例であり、これに限定されるものではないことは勿論である。
溶剤脱れきアスファルトの含有量が30%未満の場合、石油系溶剤抽出油の割合が多くなるため、耐わだち掘れ性を向上させることができない。一方、アスファルト含有量が80%を超えると、石油系溶剤抽出油の割合が少なくなり、作業温度において流動しにくくなり施工性が低下する。また水添熱可塑性エラストマーとの相溶性が低下する虞もある。よって、溶剤脱れきアスファルトの含有量は、30〜80%とする。
石油系溶剤抽出油(エキストラクト):10〜40%
エキストラクトの役割は、SEBSのベースアスファルトへの溶解性を高め、貯蔵安定性において分離の発生を防ぐもので、SEBSの添加量が多いとエキストラクトの必要な添加量も増加する。また、SEBSの添加量に対して必要以上のエキストラクトを添加すると強度が低下する。
グースアスファルト組成物全体に対するエキストラクトの含有量は、針入度、軟化点、強度を示すホイールトラッキング試験における動的安定度(DS値)考慮して決められるが、本発明で検討した範囲では、アスファルト組成物全体に対するエキストラクトの含有量は10〜40重量%が好ましい。
スチレン含有量50〜70%であるSEBS:10%〜24%
SEBSは、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)中のブタジエンブロックを完全に水素添加処理することによって二重結合をなくし、SBSよりも耐熱性・耐候性を大幅に向上したものである。しかしながら、この水素添加処理によって分子鎖の屈曲性が変化するため、改質アスファルトに与える添加効果もSBSとは異なる。なお、このSEBSは、ブタジエンブロックを完全に水素添加処理することによって二重結合をなくすものであれば、SEBS以外のSEPS等、いかなるものに代替されるものであってもよいが、以下の説明では、このSEBSを採用する場合を例にとり説明をする。
SEBSを採用する理由としては、実際にグースアスファルトは、240℃程度で施工を行うため、通常のSBSでは分解しゲル化してしまうが、SEBSは使用温度が高くても十分に性状を維持できるためである。SEBSは、スチレン含有量が50〜70%の範囲にあり、かつ、23℃密度が940kg/m3以上の範囲にある必要がある。スチレン含有量が50%よりも低い場合、ブチレンエチレンの比率が高くなり、これらにより粘度上昇がより顕著となってしまう。この顕著な粘度上昇が、得られる組成物全体の流動性の大幅な低下を引き起こすこととなる。一方、スチレン含有量が70%を超えてしまうと、ブチレンエチレンの比率が低くなる分粘度の低下が著しくなり、流動性はより高くなる。しかしながら、かかる粘度の著しい低下に応じて組成物全体の強度を発現させることができず、DS値が大幅に低下してしまう。好ましくは、スチレン含有量は50〜70%、且つ、23℃密度が940〜980kg/m3である。
またSEBSは、より好ましくは、スチレン含有量60〜70%されていることにより、粘度上昇をより防止することが可能となり、粘度の低下をより抑えて組成物全体の強度を向上させることが可能となる。
なお、本発明を適用したグースアスファルトにおいては、上述した構成からなる弾力性のあるSEBSを添加することにより、DS値の向上と硬化による脆性破壊の防止とを両立させる狙いがある。
SEBSの含有量の下限は、10%としている。このSEBSの含有量が10%未満の場合には、強度が低下してしまい、DS値が著しく低下してしまうためである。SEBSの含有量の上限は24%としている。このSEBSの含有量が25%を超えてしまう場合には、得られる組成物の粘度が上昇し過ぎてしまい、流動性が悪化して流し込み工法を行う上での施工効率が落ちてしまう。このため、このSEBSの含有量は、10%以上、24%以下としている。 なお、SEBSの含有量は望ましくは、16〜22%、更に望ましくは、17〜22%である。かかる範囲とされていることで、強度の上昇と流動性の向上とのバランスを高めることが可能となる。
カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペン:0.2〜1.5%
本発明では、アスファルト組成物と骨材の剥離を防止するために、剥離防止剤を添加することが好ましい。
剥離防止剤として樹脂酸が好適に使用できるが、樹脂酸とはカルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペンであって、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ネオアビエチン酸、ピマール酸、イソピマール酸、パラストリン酸のうち何れか1種以上を含有するロジンのことである。
また、この樹脂酸としては、上述したロジンに加え、不均化ロジン、アビエチン酸を起源とするダイマー酸若しくはトリマー酸、又はこれらのうちの2種以上の混合物を使用することができる。
ここでロジンとしては、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンなどが使用される。これらロジンは、原産地、原材料、採取方法の違いにより上述したガムロジン、ウッドロジン等の如き分類が可能となるが、少なくとも松脂の水蒸気蒸留時の残渣成分として得られるものである。このロジンでは、成分としてアビエチン酸、パラストリン酸、ネオアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ピマール酸、サンダラコピマール酸、イソピマール酸等を含む混合物である。このロジンは、通常約80℃で軟化し、90〜100℃で溶融する。なお、ロジン中にはアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸、パラストリン酸、ネオアビエチン酸、レボピマル酸などの各種樹脂酸が含まれているが、これら樹脂酸をそれぞれ精製して単独で使用するようにしてもよい。
本発明では好ましいロジンとしてガムロジンを使用したが、これによって制限をうけるものではない。
仮にこの樹脂酸の含有量が0.2%未満では、樹脂酸の効果が充分ではなく、最終生成物としての剥離防止及び相溶性の向上を図ることができない。これに対して、この樹脂酸の含有量が1.5重量%を超えてしまうと、この剥離防止及び相溶性の向上という効果が飽和してしまうばかりでなく、高価な樹脂酸の添加量が増加することによる原料コストの上昇が著しくなるという問題が生じる。また、樹脂酸の含有量を1.5%を超えて添加しても、剥離防止及び相溶性の向上はこれ以上大幅に向上するものではなく、却って原料コストの面において不利となる。このため、樹脂酸の含有量は、0.2〜1.5%(より好ましくは0.2〜1%)とされていることが望ましい。
また、剥離防止剤の中には滑材としての性能を併せ持つものもあり、これらは前述の剥離防止効果に加えて、施工・転圧時の締め固め性を向上させる滑剤としても働く。
上述の如き成分組成からなるグースアスファルト組成物は、例えば図1に示すように鋼床3よりなる施工基面上に舗設される。かかる場合において、グースアスファルト組成物は、アスファルトプラントにおいて上述した成分組成となるように製造され、更に粗骨材及びフィラーを配合し、専用運搬車で更に200〜240℃程度にクッキングしつつ施工現場へ搬送される。そして、鋼床3上に加熱状態のグースアスファルト2を専用のアスファルトフィニッシャを用いて流し込む。この過程では、上述した成分からなる本発明を適用したグースアスファルト2は、流動性が非常に高い。このため、鋼床3にグースアスファルト2を流し込むだけで、鋼床3の表面に突出されたボルト等の緊締部材4や図示しない段差部等の隅々にまで充填することが可能となる。このため、転圧工法と比較して、少ない施工労力で充填を実現することができる。ちなみに、この鋼床3とグースアスファルト2との間にエポキシ等からなる防水性の接着層を設けるようにしてもよい。最後に、このグースアスファルト2の上層に一般的なアスファルトコンクリート1を充填することでこれを舗装する。
このように、本発明を適用したグースアスファルト2では、流し込み工法を採用するため、鋼床3の上にグースアスファルト2からなる層が形成された後、特に締め固め等の処理を行う必要が無く、施工労力の軽減、施工コストの抑制を実現することが可能となる。
また、本発明を適用したグースアスファルト2は、その高い流動性に基づいて、鋼床3の表面に突出された緊締部材4等の隅々にまで充填することが可能となり、舗装内部に微小な空隙が残存することを防止できる。さらに、本発明を適用したグースアスファルト2を適用することにより、耐わだち掘れ性(DS値)を向上させることが可能となる。特に橋梁の舗装にグースアスファルト2が用いられる場合には、橋梁上を走行する車両による橋桁自体の揺れが多くなるが、係る場合においても本発明を適用したグースアスファルト2を適用することで、耐わだち掘れ性(DS値)を向上させることが可能となる。特にこのような舗装に用いられるグースアスファルト2の取替えは、アスファルトコンクリート1次体を一度引き剥がす必要があるため、一度舗設されるとその後20〜30年間は、そのまま使用し続ける場合が多い。しかしながら、上述した構成からなる本発明によれば、20〜30年間以上に亘り耐わだち掘れ性を好適に発揮することが可能となる。特にこのアスファルトコンクリート1の下層にあるグースアスファルト2において優れた耐わだち掘れ性を発揮させることにより、その上層のアスファルトコンクリート1も含めて舗装全体の耐久性を向上させることにつながる。
以下に、本発明で使用した試験方法、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の例において単に%のみ記載されている場合は、質量%を示すものとする。
本発明では、実験的検討を行うために得たサンプルについて、表1に示すように、流動性(リュエル)、DS値、針入度、180℃における粘度、軟化点からなる性能試験を行う。以下、詳細な試験方法について説明をする。なお、流動性とDS値は骨材を混ぜた混合物試験であり、針入度、粘度、軟化点はいずれもアスファルト組成物単体での試験結果である。表1中の各成分組成における数値はいずれも含有量(質量%)を示す。
Figure 0006433775
先ず流動性については、作成したグースアスファルト混合物12kgに表3に示す条件で骨材を混合し、流動性を測定した。
グースアスファルト混合物の流動性は、リュエル流動性試験の結果に基づいて判定を行った。このリュエル流動性試験は、社団法人日本道路協会編の「舗装調査・試験法便覧」のC002「グースアスファルト混合物のリュエル流動性試験方法」(以下、C002という。)に基づいて行う。
このリュエル流動性試験において、先ずグースアスファルト混合物の混合は、同じく「舗装調査・試験法便覧」における「C001 グースアスファルト混合物の貫入試験方法」に従う。試料の準備についてはC002に従い、品質にばらつきの無い代表的なものを採取し、試料の温度は、200〜260程度とする。
試験の手順も同様にC002に記載のリュエル流動性試験器の容器の縁まで試料を入れる。このとき、試料の温度が予定の試験温度よりも高ければ、適当な用具でゆっくりかき混ぜながら、試験温度になるまで放冷する。試料が目標の試験温度となった場合には、直ちに表面に付着している試料をぬぐいとった鐘のシャフトを支持具の案内孔に通し、シャフト上部を持って試料表面の中央に置く。次に質量995gの鐘のシャフトを放して自重で試料中に貫入させる。案内孔の上端がシャフトに刻まれている指標の下線から上線(間隔5cm)を通過する際に要する時間をストップウォッチにより測定する。この時間がリュエル流動性である。また、鐘が貫入したところの試料の温度も計測する。
このような流動性試験は、200〜260℃の範囲内で試験温度を変えて3〜4回実行し、温度と流動性の関係を求め、240℃のリュエル流動性を求める。本実施例では、得られた240℃のリュエル流動性の値が、3秒以上、20秒以下であれば流動性が優れている(○)と判定し、上記範囲を外れるのであれば流動性が劣っている(×)と判定する。
DS値(動的安定度)は、道路舗装体の強度を測定する指標として専ら使用されるものである。本件に関しては、DS値を評価指標としつつも、道路舗装のみならず、防水材、粘着材を始めとしたいかなる用途に適用するようにしてもよい。
以下、このDS値を測定する方法について説明をする。DS値(動的安定度)は、高温時のアスファルト組成物の耐流動性(わだち掘れしにくさ)を評価する指標であり、ホイールトラッキング試験機を用いて測定を行う。ホイールトラッキング試験は、夏場の路面を想定して60℃で実施する。アスファルト組成物を後述する表2に記載する所定の粒度に調整した骨材(岩石を砕いた石)と混合した供試体を60℃で5時間以上養生し、車輪を1時間走行させる。例えば図2に示すように、30×30×5cmからなる供試体5を養生した。実際に供試体を作製してから、DS値の測定を開始するまでの時間は特に限定されないが、長期間、高温で保管されたりした場合、性状が変化する可能性がある。このため、一般的には本発明アスファルト組成物を1.8kg調製した後、直径16cm、高さ17cm、板厚1mmの鉄缶に入れ、室温まで放冷し、アスファルト組成物の調整が完了してから48時間以内に、鉄缶に入れたまま、240℃に保った空気循環式オーブンにアスファルト組成物を入れ、3時間保持し加熱したものを使用する。
次に、この供試体5に対して、車輪11により686N(70kgf、もしくは70kg重)の下向きの荷重を負荷しつつ、図中矢印方向に向けて42回/分のペースで往復走行させる。ちなみに、この車輪11による走行位置は、ずらすことなく同一の走行路とする。
図3は、DS値の測定試験開始時刻を起点としたときの試験時間(分)に対する沈下量(mm)の例を示している。試験開始時刻を起点として試験時間が増加するにつれて、車輪11の往復走行による沈下量が増加する。この沈下量は、供試体5の表面から深さ方向への沈下深さ(mm)である。
DS値を測定する際には、最初の試験開始時点から45分経過前までの沈下量は考慮に入れない。その理由として、最初の試験開始時点から45分経過前までは、添加した骨材との噛み合わせ等の要因に基づいて沈下量が決まるため、本来的な意味での耐流動性を評価することができなくなるためである。
DS値を測定する際には、あくまで試験開始時刻を起点とし、45分経過後から60分経過後までの、15分間におけるアスファルト組成物の変形量d(mm)に着目する。このdは、試験開始時刻を起点として60分経過時における沈下量と、試験開始時刻を起点として45分経過時における沈下量との差を求めることにより算出することができる。DS値は、下記の式(2)から求めることができる。
DS値(回/mm)=45分経過時〜60分経過時までのタイヤ走行回数(回)/d(mm)・・・・・・・・・・(2)
から求めることができる。車輪11による往復頻度が、42(回/分)である場合、(2)式を変形すると以下の(2)´式に書き換えることができる。
DS値(回/mm)=630(回)/d(mm)・・・・・・・・・・(2)´
この(2)´式の分子は、42(回/分)×15(分)=630(回)を意味する。即ち、このDS値は、d(mm)に対する、15分間のタイヤ走行回数で求めることが可能となる。このDS値が高いほど、アスファルト組成物自体の変形量が少なく、轍掘れに強い材料となり、強度が高いことを意味している。
なおDS値は、アスファルト組成物のみを用いて試験するのではなく、実際の道路舗装と同様に、表2に示す骨材(砕石、石灰岩粉など)と、アスファルト組成物を後述する所定の条件で混合し、成型した供試体を用いて測定する。
本発明を適用したグースアスファルト組成物を用いてDS値を測定するための、具体的な方法を以下に示す。
骨材としては、硬質砂岩からなる砕石を使用し、細粒分(粒子径の小さい構成成分)の配合調製には石灰岩を粉砕した石粉を使用し、供試体を作製する。なお海砂や回収ダストなど、前記の砕石および石粉以外の材料は、DS値変動の要因となるので使用しない。
骨材の粒度を調整するために使用する石灰岩を粉砕した石粉は、JIS A 5008「舗装用石灰石粉」に適合する、通過質量百分率がふるい目600μmで100%、150μmで90〜100%、75μmで70〜100%であり、水分が1%以下であるものを使用する。
石粉以外の骨材は硬質砂岩からなる砕石を使用し、以下(1)〜(6)に示す性状を満足するものを使用する。
(1)吸水率1.5%未満、望ましくは1.0%未満。(JIS A 1110)
ここでは吸水率0.64%の砕石を使用している。骨材の吸水率が高いと、被覆されたアスファルトを骨材が吸収し、結果的に混合物中のアスファルト量が少ない配合となる。また吸水率の高い骨材は、使用時の湿度や表面の湿潤状態によってアスファルトの吸収量が大きく変化し、結果として混合物中のアスファルト量が変動することになる。
従って、混合物中のアスファルト量を一定に保つために、吸水率は1.5%未満、望ましくは1.0%未満とする必要がある。
(2)見掛密度2.60g/cm 3 以上、2.70g/cm 3 以下(JIS A 1110)
ここでは見掛密度2.66g/cm3の砕石を使用した。
(3)安定性6%以下、望ましくは3%以下(JIS A 1122)
ここでは安定性2.4%の砕石を使用した。ここでいう安定性とは、凍結融解に対する安定性を規定したものである。この安定性の数値が小さいほど、凍結融解時の骨材破壊が少ない。舗装設計施工指針では12%以下と規定しているが、骨材の性状のばらつきを抑制するために、当該指針の規定の半分としている。
(4)すり減り減量20%以下、望ましくは15%以下(JIS A 1121)
ここではすり減り減量12.6%の砕石を使用した。すり減り減量試験は、骨材の硬さおよびすり減りに対する抵抗、すなわち骨材の耐久性を評価する試験である。すり減り減量が20%を越えるとわだち掘れが大きくなるので(非特許文献1参照。)、ここではすり減り減量を20%以下、望ましくは15%以下とした。
(5)軟石量5.0%以下、望ましくは3.0%以下(JIS A 1126)
ここでは軟石量2.5%の砕石を使用した。軟石量は、黄銅の棒(モース硬度3〜4)によりひっかき跡が付くかを判定する試験で、骨材が黄銅よりも硬いか、軟らかいかを判定する試験である。軟石量はすり減り減量試験と同様に、骨材の硬さおよびすり減りに対する抵抗、すなわち骨材の耐久性を評価する試験である。軟石量は一般的に5%以下である必要がある。(舗装調査・試験法便覧A008参照。)
(6)細長,あるいは扁平な石片の含有量10.0%以下、望ましくは5.0%以下(舗装設計施工指針(規制値)および舗装調査・試験法便覧A008(試験法))
ここでは細長、あるいは扁平な石片の含有量2.8%の砕石を使用した。ここでいう石片は、一般には長軸/短軸比が3以上のものを細長、あるいは扁平な石片として使用する。細長,あるいは扁平な石片が混入すると、舗装もしくは試験用の供試体が、ある方向からの荷重に対して、変形しやすくなる可能性がある。すなわち細長,あるいは扁平な石片が多く混入していると、それらが向きを揃えて配向し、その向きと平行な荷重に対しては、垂直な荷重に対するよりも変形しやすくなる。
従って、耐わだち掘れ性能(DS値)を測定する際には、細長あるいは扁平な石片の混入量を制限しないと、得られる値が大きく変動する事となる。
これらの性状を満足する砕石、および石粉を骨材として使用し、また表2に示す骨材配合を調整し、表3に示す条件で供試体を作製した。
実際に供試体の作製は、アスファルト組成物と骨材との混合からなる。混合は、180℃に加熱されているアスファルト組成物1056g、180℃に加熱されてなるとともに上述した粒度に合成した(以下、その調整した粒度を合成粒度という。)骨材を10944g準備する。
まず、アスファルト組成物1056gをミキサーに入れ、骨材10944gをミキサーに投入した後、これらアスファルト組成物と骨材とを1時間にわたって混合した。なお、混合する際の温度は、260℃程度となる。
混合を終了したこれらアスファルト組成物と骨材とをホイールトラッキング試験用型枠(内寸 縦30.0cm、横30.0cm、深さ5.0cm)に入れた。
Figure 0006433775
Figure 0006433775
なお、混合の使用した装置は、直径200mm 高さ250mmとされている。また、混合後転圧を行うことなく、そのままの状態で型枠に流し込み、試験を行っている。
針入度(25℃)は、JIS K 2207「石油アスファルト−針入度試験方法」で測定した。この値は10〜20程度(0.1mm)が好ましい。
粘度(180℃)は、JPI−5S−54−99「アスファルト−回転粘度計による粘度試験方法」の条件の下、測定温度180℃、使用スピンドルSC4−21、スピンドル回転数50回転/分で測定した。
軟化点は、JIS K 2207「石油アスファルト−軟化点試験方法」で測定した。
以下、本発明を適用した改質アスファルト組成物において、効果を検証するための実施例と比較例について、詳細に説明をする。
この表1において、使用したプロパン脱れきアスファルトの性状は、代表的な性状として針入度が12(1/10mm)、軟化点が63.5℃、15℃における密度が1062kg/m3であるものである。また、使用したエキストラクトは、代表的な性状が60℃における動粘度が542mm2/s、15℃における密度が976.6kg/m3である。
使用したSEBS1は、スチレン含有量が67%であることから、本発明において規定した範囲にあり、かつ、23℃密度が970kg/m3以上である。SEBS2は、スチレン含有量が42%であり、本発明において規定した範囲外にあり、かつ、23℃密度が930kg/m3である。
実施例1〜7は、SEBS1が10質量%〜24質量%とされており、何れも本発明において規定した範囲に包含される。
これら実施例1〜7は、何れも流動性が、優れたものとなっており、DS値も200回/mmを超えており、優れた耐わだち掘れ性を示すことが示されていた。
これら実施例1〜7のうち、更に実施例3〜7は、スチレン含有量60〜70%であるSEBS1:16質量%〜22質量%を含有するものであり、その結果、DS値が300回/mm以上となっている。また、流動性も優れたものとなっていた。
また、実施例4〜7は、スチレン含有量が、17質量%〜22質量%を含有するものであることから、DS値が500回/mm以上となっており、流動性も優れたものとなっていた。
これに対して、比較例1は、SEBS1の含有量が8%であり、本発明において規定したSEBSの下限を下回るものとなっている。このためDS値を測定する際において、骨材と混合した混合物供試体上にタイヤを走行させたときに沈下し過ぎてしまい、測定そのものが不能となってしまう。
また、比較例2は、SEBSのスチレン含有量が60〜70%であるが、SEBSの含有量が、22%を超えている。このため、DS値が300回/mm以上となっているものの、流動性が悪化してしまっていた。 また、比較例3は、使用するSEBSのスチレン含有量が50%未満であることから、DS値が300回/mm以上となっているものの、流動性が悪化してしまっていた。
1 アスファルトコンクリート
2 グースアスファルト
3 鋼床
4 緊締部材
5 供試体
11 車輪

Claims (3)

  1. 組成物の全質量を100質量%として、
    (a)ベースアスファルト76質量%〜90質量%と、
    (b)重合体の全質量に対するスチレンに由来する繰り返し単位の含有量50質量%〜70質量%であるスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体飽和水素添加物10質量%〜24質量%とを含有すること
    を特徴とするグースアスファルト組成物。
  2. スチレンに由来する繰り返し単位の含有量60質量%〜70質量%であるスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体飽和水素添加物16質量%〜22質量%を含有すること
    を特徴とする請求項1のグースアスファルト組成物。
  3. 更に組成物の全質量を100質量%として、(d)カルボキシ基を有する炭素数20の多環式ジテルペン化合物0.2質量%〜1.5質量%含有すること
    を特徴とする請求項1又は2記載のグースアスファルト組成物。
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