[実施形態]
本発明の一実施形態に係る段ボールシート給送装置2を備える段ボールシート製函機1について、添付図面を参照して以下に説明する。段ボールシート製函機1は、段ボールシート給送装置2から給送される段ボールシートに印刷、溝切り、および打ち抜きなどの加工を行う。なお、図面において矢印で示す方向に従って、上下方向、左右方向および前後方向が定められる。
《全体的構成》
図1は、段ボールシート製函機1の全体的構成を示す正面図である。図1において、段ボールシート製函機1は、積層された段ボールシートSHを1枚ずつ給送する段ボールシート給送装置2と、段ボールシートSHに印刷を施す印刷装置3と、段ボールシートSHに罫線を入れ、溝を切り、継ぎ代を形成するクリーザスロッタ4と、段ボールシートSHに所定形状の打ち抜き部分を形成するダイカッタ5と、を備える。
段ボールシート給送装置2は、テーブル20を備える。コルゲートマシンにより製造された多数の段ボールシートSHが、フロントゲート21とバックガイド22との間においてテーブル20上に積載される。段ボールシートSHはフロントゲート21とテーブル20との間隙から1枚ずつ送出されるように、フロントゲート21は配置される。バックガイド22は、フロントゲート21に対して、給送方向FDと平行な方向に移動可能に構成され、給送方向FDの長さが異なる段ボールシートを収容することができるように構成される。段ボールシート給送装置2は、多数の給紙ローラと、昇降可能なグレイトと、一対のフィードロール23、24とを備える。グレイトが多数の給紙ローラより下降したときに、多数の給紙ローラが、多数の段ボールシートSHのうち最も下側にある段ボールシートSHに接触することで、段ボールシートSHを1枚ずつ両フィードロール23、24に送出する。両フィードロール23、24は、段ボールシートSHを1枚ずつ印刷装置3に給送する。両フィードロール23、24は、主駆動モータMTに連結されて駆動される。多数の給紙ローラおよびグレイトを含む段ボールシート給送装置2の詳細な構成については、後述する。
印刷装置3は、2つの印刷ユニット30、31を備える。各印刷ユニットは、版胴と呼ばれる印刷シリンダと、印版部材と、インキ塗布装置と、プレスロールとを備える。印版部材は、印刷シリンダの外周面に取り付けられる。インキ塗布装置は、印刷ユニットごとに異なる色のインキングロールを備える。印刷装置3は、両印刷ユニット30、31により、段ボールシートSHに2色の印刷を施して、この印刷された段ボールシートSHをクリーザスロッタ4に供給する。印刷ユニット30、31は、主駆動モータMTにそれぞれ連結されて駆動される。両印刷ユニット30、31の印刷シリンダ30A、31Aは、同じ直径Dpを有する。
クリーザスロッタ4は、クリーザユニット40と、2つのスロッタユニット41、42とを備える。クリーザユニット40は、罫線加工を施すために、上下に配置される一対の罫線ロールを備える。各スロッタユニットは、溝切り加工を施すために、スロッタ刃が取り付けられる上部スロッタと、スロッタ刃と嵌合可能な溝が形成される下部スロッタとを備える。クリーザスロッタ4は、クリーザユニット40および両スロッタユニット41、42により、段ボールシートSHに罫線および溝切り加工を施し、継ぎ代を形成し、これらの加工が施された段ボールシートSHをダイカッタ5に供給する。クリーザユニット40および両スロッタユニット41、42は、主駆動モータMTにそれぞれ連結されて駆動される。
ダイカッタ5は、搬送経路を挟んでダイシリンダ50と、アンビルシリンダ51とを備える。段ボールシートSHを打ち抜くための打ち抜きダイ52が合板ベニヤなどの板状体に取り付けられ、この板状体が、ダイシリンダ50の外周面に巻装される。打ち抜きダイ52は、連続して搬送される段ボールシートSHの所望の位置に打ち抜き加工を施す。打ち抜きダイ52は、オーダ変更の際に、オーダに応じた打ち抜きパターンの打ち抜きダイと交換可能である。ダイシリンダ50およびアンビルシリンダ51は、主駆動モータMTにそれぞれ連結されて駆動される。
〈段ボールシート給送装置2の詳細な構成〉
段ボールシート給送装置2の詳細な構成について、図2乃至図5を参照して説明する。図2は、テーブル20より下方における段ボールシート給送装置2の内部構成を示す平面図であり、図3は、図2に示すA−A線に従って切断した段ボールシート給送装置2の断面図である。図2において、段ボールシート給送装置2は、前方フレーム60と、後方フレーム61と、両フレーム60、61の間に配置される一対の中間フレーム62、63と、を備える。モータ取付板64が、前方フレーム60の前方に固定され、軸受取付板65が、前方フレーム60の後方に固定される。モータ取付板66が、後方フレーム61の後方に固定され、軸受取付板67が、後方フレーム61の前方に固定される。左方フレーム68および右方フレーム69が、前後方向に延び、両中間フレーム62、63にそれぞれ固定される。図3において、下方フレーム70が、左方フレーム68および右方フレーム69にそれぞれ固定される。
昇降モータ80が、ACサーボモータから構成され、モータ取付板64に固定される。一対の軸受81、82が、軸受取付板65にそれぞれ固定され、中間駆動軸83を回転可能に支持する。昇降モータ80の回転軸は、連結体84により中間駆動軸83に連結される。エンコーダ85が、昇降モータ80の回転軸に連結される。
第1ローラモータ90、および第2ローラモータ91は、ACサーボモータから構成され、モータ取付板64にそれぞれ固定される。一対の軸受92、93が、軸受取付板65にそれぞれ固定され、第1ローラ駆動軸94を回転可能に支持する。第1ローラモータ90の回転軸は、連結体95により第1ローラ駆動軸94に連結される。一対の軸受96、97が、軸受取付板65にそれぞれ固定され、第2ローラ駆動軸98を回転可能に支持する。第2ローラモータ91の回転軸は、連結体99により第2ローラ駆動軸98に連結される。エンコーダ100、101が、第1ローラモータ90の回転軸、および第2ローラモータ91の回転軸にそれぞれ連結される。
第3ローラモータ102、および第4ローラモータ103は、ACサーボモータから構成され、モータ取付板66にそれぞれ固定される。一対の軸受104、105が、軸受取付板67にそれぞれ固定され、第3ローラ駆動軸106を回転可能に支持する。第3ローラモータ102の回転軸は、連結体107により第3ローラ駆動軸106に連結される。一対の軸受108、109が、軸受取付板67にそれぞれ固定され、第4ローラ駆動軸110を回転可能に支持する。第4ローラモータ103の回転軸は、連結体111により第4ローラ駆動軸110に連結される。エンコーダ112、113が、第3ローラモータ102の回転軸、および第4ローラモータ103の回転軸にそれぞれ連結される。
図2において、第1乃至第4ローラ支持軸120〜123が、互いに平行な状態で前後方向に延び、両中間フレーム62、63に回転可能にそれぞれ支持される。多数の第1給紙ローラ124が、第1ローラ支持軸120に固定され、多数の第2給紙ローラ125が、第2ローラ支持軸121に固定される。多数の第3給紙ローラ126が、第3ローラ支持軸122に固定され、多数の第4給紙ローラ127が、第4ローラ支持軸123に固定される。第1乃至第4給紙ローラ124〜127は、互いに干渉しないように千鳥状に配列される。給紙ローラ124〜127は、同じ直径Drを有する。
第1ローラ駆動軸94は、連結体128により第1ローラ支持軸120に連結され、第2ローラ駆動軸98は、連結体129により第2ローラ支持軸121に連結される。第3ローラ駆動軸106は、連結体130により第3ローラ支持軸122に連結され、第4ローラ駆動軸110は、連結体131により第4ローラ支持軸123に連結される。
段ボールシート給送装置2は、運動変換機構140を備える。運動変換機構140は、昇降モータ80の一方向の回転を、グレイト141の昇降運動に変換する機構である。図2において、多数のグレイトが、多数の給紙ローラ124〜127が配列される領域を覆うように、前後方向に配置される。図2においては、1つのグレイト141のみが図示され、他のグレイトは図示されていない。
(運動変換機構140の詳細な構成)
運動変換機構140は、グレイト141を昇降可能に支持する複数の支持機構142と、揺動機構143と、を備える。揺動機構143は、昇降モータ80の一方向の回転を、揺動運動に変換して支持機構142に伝達する。
各支持機構142の構成について、図3を参照して説明する。支持機構142は、一対の連結ブロック150、151と、一対の二腕レバー152、153と、連結棹154と、を備える。図3において、左方取付部材155が、左方フレーム68の右側面に固定され、右方取付部材156が、右方フレーム69の左側面に固定される。左方の二腕レバー152が、回動軸157により左方取付部材155に回動可能に取り付けられる。右方の二腕レバー153が、回動軸158により右方取付部材156に回動可能に取り付けられる。
図3において、グレイト141は、4本のローラ支持軸120〜123の上方であって、これらのローラ支持軸に近接した状態で水平に配置される。左方連結ブロック150が、グレイト141の左端部に固定され、下方に延びる。右方連結ブロック151が、グレイト141の右端部に固定され、下方に延びる。左方の二腕レバー152の一方の腕部152Aが、連結ピン159により左方連結ブロック150の下端部に連結される。右方の二腕レバー153の一方の腕部153Aが、連結ピン160により右方連結ブロック151の下端部に連結される。
連結棹154が、4本のローラ支持軸120〜123の下方において、水平に配置される。連結棹154の右端部は、右方フレーム69に形成された貫通孔161を介して右方に延びる。連結棹154の左端部が、連結ピン162により左方の二腕レバー152の他方の腕部152Bに連結される。右方フレーム69に近接する連結棹154の中間部は、連結ピン163により右方の二腕レバー153の他方の腕部153Bに連結される。
揺動機構143の構成について、図2乃至図5を参照して説明する。揺動機構143は、昇降駆動軸170と、偏心部材171と、揺動部材172と、昇降連結軸173と、を備える。
図2において、補助フレーム174が、複数のスペーサ175により所定間隔をあけて左方の中間フレーム62の左側面に固定される。昇降駆動軸170は、軸受176により回動可能に補助フレーム174に支持される。昇降駆動軸170は、連結体177により中間駆動軸83に連結される。
図4は、支持機構142と揺動機構143との連結関係を模式的に示す図面であり、補助フレーム174の左方から見た図面である。図4において、偏心部材171が、昇降駆動軸170に固定される。偏心部材171は、円形形状に形成され、昇降駆動軸170の回転軸線から偏心した回転軸線を有する。揺動部材172は、昇降連結軸173に固定され、昇降連結軸173を中心にして揺動可能である。揺動部材172は、略矩形の嵌合溝178を有する。嵌合溝178は、互いに対向する一対の接触面178A、178Bを有する。両接触面178A、178Bは、偏心部材171の外形円の中心と昇降連結軸173の回動中心とを結ぶ線に平行な方向に延びて形成される。偏心部材171の外周面は、嵌合溝178の両接触面178A、178Bに常時接触する。
図2において、昇降連結軸173は、複数の軸受179により、右方フレーム69の右側面に回動可能に支持される。昇降連結軸173は、ローラ支持軸120〜123と平行に配置される。複数の連結部材180が、複数の支持機構142にそれぞれ対応する位置において、昇降連結軸173に固定される。各連結部材180は、図3に示すように、対応する支持機構142の連結棹154の右端部に連結ピン181により連結される。
図5の(A)乃至(C)は、偏心部材171の回転に伴い揺動部材172の揺動角度が変化する状態を示す。図5において、基準角度位置RPは、偏心部材171の回転中心と昇降連結軸173の回動中心とを結ぶ線と一致する角度位置である。なお、偏心部材171の回転中心は、昇降駆動軸170の回転中心でもある。図5の(A)に示す揺動部材172の角度位置は、基準角度位置RPから所定角度θsだけ時計回りに回転した位置である。図5の(A)に示す揺動部材172の角度位置において、グレイト141が最も下方の最下方位置に位置する。図5の(C)に示す揺動部材172の角度位置は、基準角度位置RPから所定角度θsだけ反時計回りに回転した位置である。図5の(C)に示す揺動部材172の角度位置において、グレイト141が最も上方の最上方位置に位置する。図5の(B)に示す揺動部材172の角度位置は、基準角度位置RPに一致する位置である。図5の(B)に示す揺動部材172の角度位置において、グレイト141は、最下方位置と最上方位置との間の中間位置に位置する。本実施形態では、所定角度θsは、6°の角度に設定される。本実施形態において、揺動部材172が、図5の(A)に示す角度位置に揺動したとき、連結棹154の右端部は、連結ピン181の僅かな下方移動に伴い弾性的に変形するように構成される。
(回転位置センサ190の構成)
回転位置センサ190が、昇降駆動軸170の所定の回転位置を検出するために設けられる。回転位置センサ190は、光学センサ191と、遮光体192と、を備える。光学センサ191は、発光部と受光部とを備える公知の構成であり、図2に示すように、軸受取付板65に固定される。遮光体192は、図2に示すように、昇降駆動軸170と連結される中間駆動軸83に固定される。昇降駆動軸170が所定の回転位置に達する度に、遮光体192は光学センサ191の発光部からの光を遮る。
図4において、光学センサ191と遮光体192とが、二点鎖線で示される。図4に示す遮光体192の回転位置は、遮光体192が光学センサ191を通過する直前の回転位置である。図4に示す状態において、グレイト141は、最上方位置に達する手前の高さに位置する。本実施形態において、昇降駆動軸170が所定の回転位置に回転してグレイト141が最上方位置に達するときに、回転位置センサ190は検出信号SDを発生する。
《電気的構成》
段ボールシート製函機1の電気的構成について、図6を参照して以下に説明する。図6は、段ボールシート製函機1の基本的な電気的構成を示すブロック図である。
段ボールシート製函機1において段ボールシートの加工を全般的に管理するために、上位管理装置200および下位管理装置210が設けられる。本実施形態では、上位管理装置200は、予め決められた順序で多数のオーダを実行するための生産管理計画を記憶する。上位管理装置200は、オーダ毎に、シート搬送速度、段ボールシートSHの寸法、および加工数量などに関する制御指令情報を、下位管理装置210に送る。
下位管理装置210は、上位管理装置200から送られる制御指令情報に従って、主駆動モータMTなどの駆動部の動作を制御するとともに、段ボールシートSHの加工数量を計数して上位管理装置200に送るなどの管理制御を行う装置である。下位管理装置210は、プログラムメモリ220と、作業メモリ230とに接続され、これらのメモリとともに、段ボールシート製函機1を制御するコンピュータを構成する。プログラムメモリ220は、段ボールシート製函機1の全体を制御する制御プログラム、各オーダのシート長さに応じてオーダ昇降パターンを作成するためのパターン作成プログラム、および所定の設定値などを固定記憶するメモリである。作業メモリ230は、制御プログラムを実行する際に、上位管理装置200から送られる種々の情報および演算処理結果を一時記憶するメモリである。
下位管理装置210は、操作パネル240に接続される。操作パネル240は、給送ボタン241と、オーダ終了ボタン242とを含む。給送ボタン241は、段ボールシート給送装置2による段ボールシートSHの給送を開始させるために操作される。給送ボタン241が操作されると、操作パネル240は給送開始信号SFを発生する。オーダ終了ボタン242は、現在実行されているオーダを終了するために操作される。
下位管理装置210は、駆動制御装置250、印刷制御装置251、クリーザスロッタ制御装置252、ダイカッタ制御装置253、およびローラモータ制御装置254にそれぞれ接続される。駆動制御装置250は、下位管理装置210からの制御指令情報に従って、主駆動モータMTの駆動および停止と、その回転速度とを制御する。主駆動モータMTの回転速度は、制御指令情報中のシート搬送速度に従って制御される。印刷制御装置251は、下位管理装置210からの制御指令情報に従って、印刷ユニット30、31の動作を制御する。クリーザスロッタ制御装置252は、下位管理装置210からの制御指令情報に従って、クリーザユニット40の動作を制御するとともに、スロッタユニット41、42の動作を制御する。ダイカッタ制御装置253は、下位管理装置210からの制御指令情報に従って、ダイカッタ5の動作を制御する。
回転位置センサ190が、下位管理装置210に接続される。下位管理装置210は、給送ボタン241が操作されたときに、給送開始指令を含む制御指令情報をローラモータ制御装置254に送る。また、下位管理装置210は、給送開始指令を送った後に、回転位置センサ190から検出信号SDを受け取る度に、同期指令を含む制御指令情報をローラモータ制御装置254に送る。
ローラモータ制御装置254は、下位管理装置210からの制御指令情報に従って、モーションコントローラ260の一連の動作を制御する。基本ローラパターンメモリ261が、ローラモータ制御装置254に接続される。基本ローラパターンメモリ261は、ローラモータ90、91、102、103の回転速度を制御するために予め定められた基本ローラパターンBRPを記憶する。下位管理装置210が加工オーダの実行を準備するための制御指令情報を上位管理装置200から受け取ったときに、下位管理装置210は、ローラモータ制御装置254にオーダ準備指令を含む制御指令情報を送る。ローラモータ制御装置254は、オーダ準備指令を含む制御指令情報を下位管理装置210から受け取ったときに、基本ローラパターンメモリ261から基本ローラパターンBRPを読み出してパターン作成指令を生成する。ローラモータ制御装置254は、モーションコントローラ260にパターン作成指令を送る。パターン作成指令は、下位管理装置210からの制御指令情報中のシート搬送速度と、基本ローラパターンBRPとを含む。また、ローラモータ制御装置254は、下位管理装置210からの制御指令情報中の給送開始指令または同期指令に従って、モーションコントローラ260にモーション起動指令を送る。
モーションコントローラ260は、モーションCPUを内蔵し、プログラムメモリ262と、速度制御パターンメモリ263とに接続される。プログラムメモリ262は、ローラ速度制御パターンRCPを作成するパターン作成プログラムと、位相差設定値DPPとを予め記憶する。位相差設定値DPPは、図7に示す基本ローラパターンBRPの加速領域BR1の開始位相が図8および図10に示す基本昇降パターンBGP1、BGP2の加速領域BG11A、BG21Aの開始位相から回転角度θpの横軸方向に変位する位相差を設定するための値である。本実施形態では、位相差設定値DPPは、各印刷シリンダの回転角度θpに換算して70°の角度に設定される。速度制御パターンメモリ263は、モーションコントローラ260により作成されたローラ速度制御パターンRCPを一時的に記憶する。ローラ速度制御パターンRCPは、ローラモータの回転速度を指令するために一連の多数の速度制御指令を含む。モーションコントローラ260は、ローラモータ制御装置254からパターン作成指令を受け取ったときにパターン作成プログラムを実行する。パターン作成プログラムの実行により、モーションコントローラ260は、パターン作成指令中のシート搬送速度および基本ローラパターンBRPに基いて、ローラ速度制御パターンRCPを作成し、速度制御パターンメモリ263に一時記憶する。
モーションコントローラ260は、ローラモータ制御装置254からモーション起動指令を受け取ったときに、所定の制御周期毎に速度制御パターンメモリ263から各速度制御指令を読み出し、駆動制御回路264に送る。所定の制御周期は、たとえば、1msecであり、シート搬送速度が段ボールシート製函機1における最高のシート搬送速度に設定された場合でも、モーションコントローラ260が速度制御指令の読み出しなどの処理を確実に実行することができる期間である。モーションコントローラ260の基本構成は、特開2006−72399号公報、特開平11−272312号公報、特開平5−50329号公報などに開示され、一般に知られているので、その詳細な説明を省略する。
駆動制御回路264は、モーションコントローラ260からの速度制御指令と、エンコーダ群100、101、112、113からの回転パルスとを受け取り、ローラモータ90、91、102、103の回転速度と、その回転および停止とを制御する。すなわち、駆動制御回路264は、所定の制御周期の間に各ローラモータの回転速度が速度制御指令に従う回転速度になるように、各ローラモータへの供給電力を制御する。ローラモータ90、91、102、103の回転により、図3において給紙ローラ124〜127は矢印で示す反時計回りに回転する。本実施形態では、各エンコーダは、所定の制御周期の間に多数の回転パルス、たとえば1000パルス/msec以上の数のパルスを発生することができる構成を有する。
基本昇降パターンメモリ270と、オーダ昇降パターンメモリ271とが、下位管理装置210にそれぞれ接続される。基本昇降パターンメモリ270は、昇降モータ80の回転速度を制御するために、最小シート長さに応じて予め定められた基本昇降パターンBGP1と、最大シート長さに応じて予め定められた基本昇降パターンBGP2とをそれぞれ記憶する。オーダ昇降パターンメモリ271は、オーダ昇降パターンDGPを一時的に記憶する。
下位管理装置210は、上位管理装置200から加工オーダの実行を準備するための制御指令情報を受け取ったときに、プログラムメモリ220に記憶されるパターン作成プログラムを実行する。パターン作成プログラムの実行により、下位管理装置210は、基本昇降パターンメモリ270に記憶される基本昇降パターンBGP1、BGP2のいずれかの基本昇降パターンに基いて、加工オーダのシート長さに応じたオーダ昇降パターンDGPを作成し、オーダ昇降パターンメモリ271に一時記憶する。その後に、下位管理装置210は、オーダ昇降パターンメモリ271からオーダ昇降パターンDGPを読み出してパターン作成指令を生成する。パターン作成指令は、上位管理装置200からの制御指令情報中のシート搬送速度と、オーダ昇降パターンDGPとを含む。
下位管理装置210は、給送ボタン241が操作されたときに、操作パネル240から給送開始信号SFを受け取り、給送開始指令を含む制御指令情報をモーション起動指令としてモーションコントローラ280に送る。また、下位管理装置210は、給送開始指令を送った後に、回転位置センサ190から検出信号SDを受け取る度に、同期指令を含む制御指令情報をモーション起動指令としてモーションコントローラ280に送る。
モーションコントローラ280が、下位管理装置210に接続される。モーションコントローラ280は、モーションCPUを内蔵し、プログラムを記憶するプログラムメモリ281と、速度制御パターンメモリ282とに接続される。プログラムメモリ281は、昇降速度制御パターンGCPを作成するパターン作成プログラムを予め記憶する。速度制御パターンメモリ282は、モーションコントローラ280により作成された昇降速度制御パターンGCPを一時的に記憶する。昇降速度制御パターンGCPは、昇降モータ80の回転速度を指令するために一連の多数の速度制御指令を含む。モーションコントローラ280は、下位管理装置210からパターン作成指令を受け取ったときにパターン作成プログラムを実行する。パターン作成プログラムの実行により、モーションコントローラ280は、パターン作成指令中のシート搬送速度およびオーダ昇降パターンDGPに基いて、昇降速度制御パターンGCPを作成し、速度制御パターンメモリ282に一時記憶する。
モーションコントローラ280は、下位管理装置210からモーション起動指令を受け取ったときに、所定の制御周期毎に制御パターンメモリ282から各速度制御指令を読み出し、駆動制御回路283に送る。所定の制御周期は、たとえば、1msecであり、シート搬送速度が段ボールシート製函機1における最高のシート搬送速度に設定された場合でも、モーションコントローラ280が速度制御指令の読み出しなどの処理を確実に実行することができる期間である。モーションコントローラ280の基本構成は、モーションコントローラ260と同じである。
駆動制御回路283は、モーションコントローラ280からの速度制御指令と、エンコーダ85からの回転パルスとを受け取り、昇降モータ80の回転速度と、その回転および停止とを制御する。すなわち、駆動制御回路283は、所定の制御周期の間に昇降モータ80の回転速度が速度制御指令に従う回転速度になるように、昇降モータ80への供給電力を制御する。昇降モータ80の回転軸が1回回転する間に、図4および図5において偏心部材171が矢印で示す時計回りに1回回転し、グレイト141が1回の昇降運動を行う。本実施形態では、エンコーダ85は、所定の制御周期の間に多数の回転パルス、たとえば1000パルス/msec以上の数のパルスを発生することができる構成を有する。
〈基本ローラパターンBRP〉
基本ローラパターンBRPについて、図7を参照して説明する。基本ローラパターンBRPは、ローラ速度制御パターンRCPを作成するために基本となるパターンである。図7は、本実施形態における基本ローラパターンBRPの一例を示す。図7において、横軸は印刷装置3の各印刷シリンダの回転角度θpを表し、縦軸は各印刷シリンダの周速度Vpに対する各給紙ローラの周速度Vrの速度比Rfを表す。
図7において、基本ローラパターンBRPは、回転角度θpが0°の角度から65°の角度まで変化する加速領域BR1と、回転角度θpが65°の角度から200°の角度まで変化する定速領域BR2と、回転角度θpが200°の角度から330°の角度まで変化する減速領域BR3と、回転角度θpが330°の角度から360°の角度まで変化する停止領域BR4と、を有する。
加速領域BR1における回転角度θpの変化量が可能な限り小さくなるように、加速領域BR1においてローラモータ90、91、102、103の各ローラモータが加速される加速度は、各ローラモータの最大加速度に基いて予め定められる。特に、段ボールシートSHの先端部がフロントゲート21を通過してから図1に示す距離LFだけ給送される間に、各給紙ローラの周速度Vrが停止状態から各印刷シリンダの周速度Vpまで加速されるように、加速領域BR1の加速度を定める必要がある。距離LFは、給送方向FDにおいて、フロントゲート2から、両フィードロール23、24のニップ位置までの距離である。
印刷シリンダが1回回転する加工サイクル、すなわち回転角度θpが0°の角度から360°の角度まで変化する期間において段ボールシートSHが給紙ローラ124〜127により給送される最長期間は、加速領域BR1および定速領域BR2の合計の期間であることから、加速領域BR1および定速領域BR2における回転角度θpの変化量は、段ボールシート製函機1において加工可能な最大シート長さに基いて予め定められる。定速領域BR2において、各印刷シリンダの周速度Vpと各給紙ローラの周速度Vrとは同じ速度になり、シート搬送速度に相当する周速度となる必要があり、速度比Rf=1である。各ローラモータが停止領域BR4において確実に停止するように、減速領域BR3において各ローラモータが減速される加速度は、加速領域BR1の加速度より小さく設定される。
グレイト141の上面は、段ボールシートSHとの摩擦接触により摩耗する。グレイト141の上面が摩耗した場合、グレイト141の上面の位置は、その摩耗した量だけ低い位置に変化し、この摩耗した量に応じて段ボールシートSHの下面が各給紙ローラと接触するタイミングも変化する。加工サイクルの開始時点において、段ボールシートSHが停止状態にある各給紙ローラと確実に接触するように、グレイト141の上面について予め定められた許容摩耗量を考慮して、停止領域BR4の期間が予め定められる。本実施形態において、許容摩耗量は、0.4mmに定められる。
〈最小シート長さに応じて予め定められた基本昇降パターンBGP1〉
基本昇降パターンBGP1について、図8および図9を参照して説明する。基本昇降パターンBGP1は、昇降速度制御パターンGCPを作成するために基本となる2つのパターンの一方のパターンである。図8および図9は、本実施形態における最小シート長さに応じて予め定められた基本昇降パターンBGP1の一例を示す。たとえば、最小シート長さは、145mmである。図8において、横軸は印刷装置3の各印刷シリンダの回転角度θpを表し、左方縦軸は各印刷シリンダの角速度ωpに対する昇降駆動軸170の角速度ωgの速度比Rgを表し、右方縦軸は昇降駆動軸170の回転角度θgを表す。図8に破線で示す曲線CA1は、昇降駆動軸170の回転角度θgの変化を示す曲線である。図9において、横軸は印刷装置3の各印刷シリンダの回転角度θpを表し、左方縦軸は各印刷シリンダの角速度ωpに対する昇降駆動軸170の角速度ωgの速度比Rgを表し、右方縦軸はテーブル20の上面を基準としてグレイト141の上面の高さHgをミリメートルの単位で表す。図9に破線で示す曲線CH1は、グレイト141の上面の高さHgの変化を示す曲線である。本実施形態において、グレイト141は、テーブル20の上面から2mm高い最上方位置と、テーブル20の上面から2mm低い最下方位置との間で、昇降する。給紙ローラ124〜127の各給紙ローラの外周面の最上箇所は、テーブル20の上面から0.9mm高い位置に位置するように、各給紙ローラが配置される。図9に破線で示す位置PRは、各給紙ローラの外周面の最上箇所の位置である。
図8において、基本昇降パターンBGP1は、回転角度θpが0°の角度から83°の角度まで変化する下降可変速領域BG11と、回転角度θpが83°の角度から100°の角度まで変化する下方制御領域BG12と、回転角度θpが100°の角度から183°の角度まで変化する上昇可変速領域BG13と、回転角度θpが183°の角度から360°の角度まで変化する上方制御領域BG14と、を有する。下降可変速領域BG11は、加速領域BG11Aと、減速領域BG11Bと、を有する。上昇可変速領域BG13は、加速領域BG13Aと、減速領域BG13Bと、を有する。本実施形態において、加速領域BG11A、BG13Aにおいて昇降モータ80が加速される加速度と、減速領域BG11B、BG13Bにおいて昇降モータ80が減速される加速度とは、同じ加速度に定められる。下降可変速領域BG11と、上昇可変速領域BG13とは、回転角度θpが大きくなる方向、すなわち図8の横軸の方向において、最小シート長さに応じた間隔に配置される。
加速領域BG11A、BG13A、および減速領域BG11B、BG13Bにおける回転角度θpの変化量が可能な限り小さいほど、最小シート長さを小さくすることができることから、加速領域BG11A、BG13Aの加速度、および減速領域BG11B、BG13Bの加速度は、昇降モータ80の最大加速度に基いて予め定められる。
図8において、斜線部分の面積AR1は、減速領域BG11Bを表す傾斜線の延長線と、加速領域BG13Aを表す傾斜線の延長線と、速度比Rg=0である水平な横軸とにより囲まれる範囲の面積である。斜線部分の面積AR2は、両延長線と、下方制御領域BG12を表す水平な線とにより囲まれる範囲の面積である。下方制御領域BG12は、両面積AR1、AR2が同じ面積になるように定められる。
図8において、昇降駆動軸170の回転角度θgは、回転角度θpが183°の角度に達したときに、360°の角度に達し、その後、上方制御領域BG14において、360°の角度に保持される。図9において、グレイト141の上面の高さHgは、加速領域BG11Aの途中で、位置PRより低い位置になり、減速領域BG13Bの途中で、位置PRより高い位置になる。
〈最大シート長さに応じて予め定められた基本昇降パターンBGP2〉
基本昇降パターンBGP2について、図10および図11を参照して説明する。基本昇降パターンBGP2は、昇降速度制御パターンGCPを作成するために基本となる2つのパターンの他方のパターンである。図10および図11は、本実施形態における最大シート長さに応じて予め定められた基本昇降パターンBGP2の一例を示す。たとえば、最大シート長さは、580mmである。図10において、横軸は印刷装置3の各印刷シリンダの回転角度θpを表し、左方縦軸は各印刷シリンダの角速度ωpに対する昇降駆動軸170の角速度ωgの速度比Rgを表し、右方縦軸は昇降駆動軸170の回転角度θgを表す。図10に破線で示す曲線CA2は、昇降駆動軸170の回転角度θgの変化を示す曲線である。図11において、横軸は印刷装置3の各印刷シリンダの回転角度θpを表し、左方縦軸は各印刷シリンダの角速度ωpに対する昇降駆動軸170の角速度ωgの速度比Rgを表し、右方縦軸はテーブル20の上面を基準としてグレイト141の上面の高さHgをミリメートルの単位で表す。図11に破線で示す曲線CH2は、グレイト141の上面の高さHgの変化を示す曲線である。図11に破線で示す位置PRは、各給紙ローラの外周面の最上箇所の位置である。
図10において、基本昇降パターンBGP2は、回転角度θpが0°の角度から100°の角度まで変化する下降可変速領域BG21と、回転角度θpが100°の角度から205°の角度まで変化する下方制御領域BG22と、回転角度θpが205°の角度から305°の角度まで変化する上昇可変速領域BG23と、回転角度θpが305°の角度から360°の角度まで変化する上方制御領域BG24と、を有する。下降可変速領域BG21は、加速領域BG21Aと、減速領域BG21Bと、を有する。上昇可変速領域BG23は、加速領域BG23Aと、減速領域BG23Bと、を有する。本実施形態において、加速領域BG21A、BG23Aにおいて昇降モータ80が加速される加速度と、減速領域BG21B、BG23Bにおいて昇降モータ80が減速される加速度とは、同じ加速度に定められる。また、加速領域BG21A、BG23Aの加速度、および減速領域BG21B、BG23Bの加速度は、加速領域BG11A、BG13Aの加速度、および減速領域BG11B、BG13Bの加速度と、同じ加速度である。下降可変速領域BG21と、上昇可変速領域BG23とは、回転角度θpが大きくなる方向、すなわち図10の横軸の方向において、最大シート長さに応じた間隔に配置される。
加速領域BG21A、BG23A、および減速領域BG21B、BG23Bにおける回転角度θpの変化量が可能な限り小さいほど、最大シート長さを大きくすることができることから、加速領域BG21A、BG23Aの加速度、および減速領域BG21B、BG23Bの加速度は、昇降モータ80の最大加速度に基いて予め定められる。
図10において、昇降駆動軸170の回転角度θgは、回転角度θpが305°の角度に達したときに、360°の角度に達し、その後、上方制御領域BG24において、360°の角度に保持される。図11において、グレイト141の上面の高さHgは、加速領域BG21Aの途中で、位置PRより低い位置になり、減速領域BG23Bの途中で、位置PRより高い位置になる。
《実施形態の動作および作用》
本実施形態の段ボールシート製函機1の動作および作用について、図面を参照して以下に説明する。段ボールシート製函機1の動作および作用として、段ボールシート給送装置2の給送動作に関連する動作について詳細に説明し、印刷制御装置251、クリーザスロッタ制御装置252、およびダイカッタ制御装置253の各制御動作はよく知られているため、その詳細な説明を省略する。
作業者がオーダ終了ボタン242を操作したとき、または、先のオーダにおいて所定のシート枚数の加工が終了したとき、下位管理装置210は、制御装置250〜254にそれぞれ停止指令を送る。その後、下位管理装置210は、上位管理装置200から、加工オーダの実行を準備するためのオーダ準備指令を受け取る。下位管理装置210は、オーダ準備指令に従って、印刷シリンダ30A、31Aの回転位相の調整、スロッタ刃の位置決め、および打ち抜きダイ52の回転位相の調整などを、印刷制御装置251、クリーザスロッタ制御装置252、およびダイカッタ制御装置253にそれぞれ指令する。制御装置251〜253が回転位相の調整などの準備制御を終了した後に、作業者は、印版部材の交換、スロッタ刃の交換、および、打ち抜きダイ52の交換などの準備作業を行う。
〈ローラ速度制御パターンRCPの作成〉
下位管理装置210が、上位管理装置200から、加工オーダの実行を準備するためのオーダ準備指令を受け取ったときに、そのオーダ準備指令をローラモータ制御装置254に送る。オーダ準備指令に従って、ローラモータ制御装置254は、基本ローラパターンメモリ261から基本ローラパターンBRPを読み出してパターン作成指令を生成する。ローラモータ制御装置254は、モーションコントローラ260にパターン作成指令を送る。
モーションコントローラ260は、ローラモータ制御装置254からパターン作成指令を受け取ったときに、プログラムメモリ262からパターン作成プログラムを読み出して実行する。パターン作成プログラムの実行により、モーションコントローラ260は、パターン作成指令中のシート搬送速度および基本ローラパターンBRPに基いて、ローラ速度制御パターンRCPを作成し、速度制御パターンメモリ263に一時記憶する。
ローラ速度制御パターンRCPの作成について、図12を参照して説明する。図12は、各給紙ローラの周速度Vrの変化を示す。図12において、横軸は経過時間Tを秒単位で表し、縦軸は各給紙ローラの周速度Vrをメートル/秒の単位で表す。図12において、実線で示すローラ速度制御パターンRCP120が、段ボールシートSHの給送速度が120枚/分である場合における各給紙ローラの周速度Vrを指令するパターンである。図12において、破線で示すローラ速度制御パターンRCP240が、段ボールシートSHの給送速度が240枚/分である場合における各給紙ローラの周速度Vrを指令するパターンである。
パターン作成指令中のシート搬送速度が、段ボールシートSHの給送速度120枚/分に相当する速度である場合、モーションコントローラ260は、その給送速度120枚/分と、図7に示す基本ローラパターンBRPとに基いて、ローラ速度制御パターンRCP120を作成する。具体的には、給送速度120枚/分である場合、印刷シリンダ30A、31Aの各印刷シリンダは、360°の角度、すなわち1回転だけ、回転するために、0.5秒の時間を要する。モーションコントローラ260は、給送速度120枚/分に基いて、図7に示す回転角度θpを経過時間Tに換算する。また、モーションコントローラ260は、各印刷シリンダの直径Dpと、給送速度120枚/分とに基いて、図7に示す速度比Rfを各給紙ローラの周速度Vr(=Rf×Dp×π×120/60)に換算する。これらの換算処理により、モーションコントローラ260は、図12に示すローラ速度制御パターンRCP120を作成する。段ボールシートSHの給送速度が240枚/分である場合、モーションコントローラ260は、その給送速度240枚/分と、図7に示す基本ローラパターンBRPとに基いて、ローラ速度制御パターンRCP240を作成する。
ローラ速度制御パターンRCPが含む4つの速度領域について、ローラ速度制御パターンRCP120を例にして説明する。図12において、ローラ速度制御パターンRCP120は、経過時間Tが0秒から0.5秒までの間に、加速領域RC1と、定速領域RC2と、減速領域RC3と、停止領域RC4とを含む。加速領域RC1と、定速領域RC2と、減速領域RC3と、停止領域RC4とは、図7に示す基本ローラパターンBRPの加速領域BR1と、定速領域BR2と、減速領域BR3と、停止領域BR4とにそれぞれ対応する。ローラ速度制御パターンRCP120は、経過時間Tが0.5秒から1秒までの間でも、加速領域RC1と、定速領域RC2と、減速領域RC3と、停止領域RC4とを同様に含む。
〈オーダ昇降パターンDGPの作成〉
下位管理装置210が、上位管理装置200から、加工オーダの実行を準備するためのオーダ準備指令を受け取ったときに、プログラムメモリ220に記憶されるパターン作成プログラムを読み出して実行する。パターン作成プログラムの実行により、下位管理装置210は、基本昇降パターンメモリ270に記憶される基本昇降パターンBGP1、BGP2のいずれかの基本昇降パターンに基いて、加工オーダのシート長さに応じたオーダ昇降パターンDGPを作成し、オーダ昇降パターンメモリ271に一時記憶する。加工オーダのシート長さは、最小シート長さから最大シート長さまでの範囲内で指令される。本実施形態では、下位管理装置210は、オーダ準備指令中の加工オーダのシート長さに応じて2つの基本昇降パターンBGP1、BGP2のいずれかの基本昇降パターンを読み出してオーダ昇降パターンDGPを作成する。
加工オーダのシート長さに応じたオーダ昇降パターンDGPの作成について、図13を参照して説明する。図13は、加工オーダのシート長さに応じたオーダ昇降パターンDGPの一例を示す。たとえば、加工オーダのシート長さは、360mmである。図13において、横軸は印刷装置3の各印刷シリンダの回転角度θpを表し、縦軸は各印刷シリンダの角速度ωpに対する昇降駆動軸170の角速度ωgの速度比Rgを表す。
図13において、オーダ昇降パターンDGPは、回転角度θpが0°の角度から100°の角度まで変化する下降可変速領域DG1と、回転角度θpが100°の角度から144°の角度まで変化する下方制御領域DG2と、回転角度θpが144°の角度から244°の角度まで変化する上昇可変速領域DG3と、回転角度θpが244°の角度から360°の角度まで変化する上方制御領域DG4と、を有する。下降可変速領域DG1は、加速領域DG1Aと、減速領域DG1Bと、を有する。上昇可変速領域DG3は、加速領域DG3Aと、減速領域DG3Bと、を有する。加速領域DG1A、DG3Aの加速度、および減速領域DG1B、DG3Bの加速度は、基本昇降パターンBGP2の加速領域BG21A、BG23Aの加速度、および減速領域BG21B、BG23Bの加速度と、それぞれ同じ加速度である。
図13において、下降可変速領域DG1と、上昇可変速領域DG3とは、回転角度θpが大きくなる方向、すなわち図13の横軸の方向において、加工オーダのシート長さに応じた間隔に配置される。具体的には、下位管理装置210は、加工オーダのシート長さに応じた間隔になるまで、基本昇降パターンBGP2の上昇可変速領域BG23を下降可変速領域BG21に向かって移動させる処理を実行することにより、オーダ昇降パターンDGPを作成する。
〈昇降速度制御パターンGCPの作成〉
下位管理装置210は、オーダ昇降パターンDGPを作成した後に、パターン作成指令を生成してモーションコントローラ280に送る。モーションコントローラ280は、下位管理装置210からパターン作成指令を受け取ったときにプログラムメモリ281からパターン作成プログラムを読み出して実行する。パターン作成プログラムの実行により、モーションコントローラ280は、パターン作成指令中のシート搬送速度およびオーダ昇降パターンDGPに基いて、昇降速度制御パターンGCPを作成し、速度制御パターンメモリ282に一時記憶する。
昇降速度制御パターンGCPの作成について、図14乃至図16を参照して説明する。図14は、加工オーダのシート長さの段ボールシートを給送する場合における昇降モータ80の回転速度Vgの変化を示す。図14において、横軸は経過時間Tを秒単位で表し、縦軸は昇降モータ80の回転速度Vgをメートル/秒の単位で表す。図14において、実線で示す昇降速度制御パターンGCP120が、段ボールシートSHの給送速度が120枚/分である場合における昇降モータ80の回転速度Vgを指令するパターンである。図14において、破線で示す昇降速度制御パターンGCP240が、段ボールシートSHの給送速度が240枚/分である場合における昇降モータ80の回転速度Vgを指令するパターンである。
パターン作成指令中のシート搬送速度が、段ボールシートSHの給送速度120枚/分に相当する速度である場合、モーションコントローラ260は、その給送速度120枚/分と、図13に示すオーダ昇降パターンDGPとに基いて、昇降速度制御パターンGCP120を作成する。具体的には、給送速度120枚/分である場合、印刷シリンダ30A、31Aの各印刷シリンダは、360°の角度、すなわち1回転だけ、回転するために、0.5秒の時間を要する。モーションコントローラ280は、給送速度120枚/分に基いて、図13に示す回転角度θpを経過時間Tに換算する。また、モーションコントローラ280は、給送速度120枚/分に基いて、図13に示す速度比Rgを昇降モータ80の回転速度Vg(=Rg×120)に換算する。これらの換算処理により、モーションコントローラ260は、図14に示す昇降速度制御パターンGCP120を作成する。段ボールシートSHの給送速度が240枚/分である場合、モーションコントローラ280は、その給送速度240枚/分と、図13に示すオーダ昇降パターンDGPとに基いて、昇降速度制御パターンGCP240を作成する。
昇降速度制御パターンGCPが含む4つの速度領域について、昇降速度制御パターンGCP120を例にして説明する。図14において、昇降速度制御パターンGCP120は、経過時間Tが0秒から0.5秒までの間に、下降可変速領域GC1と、下方制御領域GC2と、上昇可変速領域GC3と、上方制御領域GC4とを含む。下降可変速領域GC1と、下方制御領域GC2と、上昇可変速領域GC3と、上方制御領域GC4とは、図13に示すオーダ昇降パターンDGPの下降可変速領域DG1と、下方制御領域DG2と、上昇可変速領域DG3と、上方制御領域DG4とにそれぞれ対応する。昇降速度制御パターンGCP120は、経過時間Tが0.5秒から1秒までの間でも、下降可変速領域GC1と、下方制御領域GC2と、上昇可変速領域GC3と、上方制御領域GC4とを同様に含む。下降可変速領域GC1は、加速領域GC1Aと、減速領域GC1Bとを含む。上昇可変速領域GC3は、加速領域GC3Aと、減速領域GC3Bとを含む。
図15および図16は、各印刷シリンダが1回転する期間、すなわち1つの加工サイクルにおける昇降速度制御パターンGCP120を拡大して示す。図15において、横軸は経過時間Tを秒単位で表し、左方縦軸は昇降モータ80の回転速度Vgを回/分の単位で表し、右方縦軸は昇降駆動軸170の回転角度θgを表す。図15に破線で示す曲線CA3は、昇降駆動軸170の回転角度θgの変化を示す曲線である。図16において、横軸は経過時間Tを秒単位で表し、左方縦軸は昇降モータ80の回転速度Vgを回/分の単位で表し、右方縦軸はテーブル20の上面を基準としてグレイト141の上面の高さHgをミリメートルの単位で表す。図16に破線で示す曲線CH3は、グレイト141の上面の高さHgの変化を示す曲線である。図16に破線で示す位置PRは、各給紙ローラの外周面の最上箇所の位置である。
図15において、昇降駆動軸170の回転角度θgは、上昇可変速領域GC3の減速領域GC3Bの終了時点において、360°の角度に達し、その後、上方制御領域GC4において、360°の角度に保持される。図16において、グレイト141の上面の高さHgは、加速領域GC1Aの途中の時点TAで、位置PRより低い位置になり、減速領域GC3Bの途中の時点TBで、位置PRより高い位置になる。
〈段ボールシートSHの給送動作〉
給送速度が120枚/分である場合における段ボールシートSHの給送動作について、図17および図18を参照して説明する。図17は、ローラ速度制御パターンRCP120と、昇降速度制御パターンGCP120と、操作パネル240からの給送開始信号SFと、回転位置センサ190からの検出信号SDとの時間的関係を示すタイミングチャートである。図17において、横軸は経過時間Tを秒単位で表し、左縦軸は各給紙ローラの周速度Vrをメートル/秒の単位で表し、右縦軸は昇降モータ80の回転速度Vgを回/分の単位で表す。図18は、ローラ速度制御パターンRCP120と、グレイト141の上面の高さHgの変化を示す曲線CH3との時間的関係を示すタイミングチャートである。図18において、横軸は経過時間Tを秒単位で表し、左縦軸は各給紙ローラの周速度Vrをメートル/秒の単位で表し、右縦軸はグレイト141の上面の高さHgをミリメートルの単位で表す。
加工オーダの実行準備が完了した後に、作業者が給送ボタン241を操作すると、下位管理装置210は、操作パネル240から給送開始信号SFを受け取る。下位管理装置210は、給送開始信号SFに従って、給送開始指令およびシート搬送速度を含む制御指令情報を駆動制御装置250およびローラモータ制御装置254にそれぞれ送るとともに、その制御指令情報をモーション起動指令としてモーションコントローラ280に送る。
駆動制御装置250は、制御指令情報中のシート搬送速度に従って、主駆動モータMTを駆動し、シート搬送速度に相当する回転速度で回転させる。主駆動モータMTの回転により、印刷ユニット30、31の印刷シリンダ30A、31A、およびスロッタユニット41、42の上部スロッタなどが、シート搬送速度に相当する給送速度、たとえば、120枚/分の速度で回転する。
モーションコントローラ280は、モーション起動指令に従って、速度制御パターンメモリ282から昇降速度制御パターンGCP120の各速度制御指令を所定の制御周期で読み出し、各速度制御指令を駆動制御回路283に送る。駆動制御回路283は、昇降モータ80の回転速度が図17に示す昇降速度制御パターンGCP120に従う回転速度Vgになるように、各速度制御指令と、エンコーダ85からの回転パルスの周波数とに基いて、昇降モータ80の回転速度を制御する。
図17に示すように、昇降モータ80の回転速度は、給送開始信号SFの発生直後の時点T0から、加速領域GC1Aの加速度で加速される。経過時間Tが時点T1に達すると、昇降モータ80の回転速度は、減速領域GC1Bの加速度で減速される。経過時間Tが時点T3に達すると、昇降モータ80の回転が停止される。時点T0から時点T3までの間に、グレイト141は、最上方位置から下降して最下方位置まで移動する。グレイト141の上面は、時点TAにおいて各給紙ローラの外周面の最上箇所の位置PRに到達し、その後、最下方位置に向かって下降する。
ローラモータ制御装置254は、ローラ速度制御パターンRCP120の加速領域RC1の開始時点T2を定めるために、制御指令情報中のシート搬送速度に相当する給送速度と、プログラムメモリ262に記憶される位相差設定値DPPとに基いて、時点T0から時点T2までの時間TDPを算出する。ローラモータ制御装置254は、経過時間Tが時間TDPだけ経過するまで、モーション起動指令を発生しない。これにより、給送開始信号SFの発生直後の時点T0から時間TDPの間、駆動制御回路264は、ローラモータ90、91、102、103を停止状態に維持する。
経過時間Tが時間TDPだけ経過すると、ローラモータ制御装置254は、モーション起動指令を発生してモーションコントローラ260に送る。モーションコントローラ260は、モーション起動指令に従って、速度制御パターンメモリ263からローラ速度制御パターンRCP120の各速度制御指令を所定の制御周期で読み出し、各速度制御指令を各ローラモータの回転速度制御指令に変換して駆動制御回路264に送る。各速度制御指令は、各給紙ローラの直径Drに基いて、各ローラモータの回転速度制御指令に変換される。駆動制御回路264は、ローラモータ90、91、102、103の回転速度が図17に示すローラ速度制御パターンRCP120に従う回転速度になるように、各回転速度制御指令と、エンコーダ群100、106、112、113の各エンコーダからの回転パルスの周波数とに基いて、各ローラモータの回転速度を制御する。
図17に示すように、経過時間Tが時点T2に達すると、各ローラモータの回転速度は、加速領域RC1の加速度で加速される。これにより、停止状態にあった各給紙ローラが回転し始める。時点T2は時点TAよりも遅い時点であるので、各給紙ローラが回転し始めるときには、積載された段ボールシートSHの最下層の段ボールシートSHの下面が各給紙ローラに接触しており、最下層の段ボールシートSHが給送方向FDに送出される。
昇降モータ80は、時点T3から時点T5までの間、下方制御領域GC2における各速度制御指令に従って停止状態に維持される。その後、昇降モータ80は、時点T5から時点T6までの間、上昇可変速領域GC3の加速領域GC3Aにおける各速度制御指令に従って加速され、時点T6から時点T7までの間、上昇可変速領域GC3の減速領域GC3Bにおける各速度制御指令に従って減速される。時点T5から時点T7までの間に、グレイト141は、最下方位置から上昇して最上方位置まで移動する。グレイト141の上面は、時点TBにおいて各給紙ローラの外周面の最上箇所の位置PRに到達し、その後、最上方位置に向かって上昇する。昇降モータ80は、時点T7から時点T9までの間、上方制御領域GC4における各速度制御指令に従って停止状態に維持される。時点T0から時点T9までの間の各速度制御指令を発生するために、モーションコントローラ280は、1回目の読み出し動作として、昇降速度制御パターンGCP120の4つの領域GC1〜GC4の全ての速度制御指令を速度制御パターンメモリ263から読み出す。4つの領域GC1〜GC4の全ての速度制御指令は、1枚目の段ボールシートSHを給送するために使用される。本実施形態では、給送速度が120枚/分であるので、時点T0から時点T9までの時間は、0.5秒である。
経過時間Tが時点T9に達すると、下位管理装置210は、回転位置センサ190から最初の検出信号SDを受け取る。下位管理装置210は、検出信号SDに従って、同期指令およびシート搬送速度を含む制御指令情報を駆動制御装置250およびローラモータ制御装置254にそれぞれ送るとともに、その制御指令情報をモーション起動指令としてモーションコントローラ280に送る。駆動制御装置250は、制御指令情報中のシート搬送速度に従って、主駆動モータMTを継続して駆動し、シート搬送速度に相当する回転速度で回転させる。
モーションコントローラ280は、モーション起動指令に従って、速度制御パターンメモリ282から昇降速度制御パターンGCP120の各速度制御指令を所定の制御周期で読み出し、各速度制御指令を駆動制御回路283に送る。モーションコントローラ280は、2回目の読み出し動作として、同じ昇降速度制御パターンGCP120の4つの領域GC1〜GC4の全ての速度制御指令を速度制御パターンメモリ282から読み出す。4つの領域GC1〜GC4の全ての速度制御指令は、2枚目の段ボールシートSHを給送するために使用される。モーションコントローラ280は、時点T9以降において、検出信号SDに基くモーション起動指令に従って、時点T0から時点T9までの間の制御処理と同様な制御処理を繰り返し実行する。
各ローラモータは、時点T2から時点T4までの間、加速領域RC1の加速度で、給送速度120枚/分に相当する回転速度まで加速される。その後、各ローラモータは、時点T4から時点T8までの間、定速領域RC2において給送速度に相当する回転速度に維持される。各ローラモータは、時点T8から時点T10までの間、減速領域RC3の加速度で、給送速度に相当する回転速度から減速される。各ローラモータは、時点T10から時点T11までの間、停止領域RC4において停止状態に維持される。時点T2から時点T11までの間の各速度制御指令を発生するために、モーションコントローラ260は、1回目の読み出し動作として、ローラ速度制御パターンRCP120の4つの領域RC1〜RC4の全ての速度制御指令を速度制御パターンメモリ263から読み出す。4つの領域RC1〜RC4の全ての速度制御指令は、1枚目の段ボールシートSHを給送するために使用される。本実施形態では、給送速度が120枚/分であるので、時点T2から時点T11までの時間は、0.5秒である。
ローラモータ制御装置254は、検出信号SDに基く同期指令を受け取った時点T9から時間TDPだけ経過した時点T11において、モーション起動指令を生成してモーションコントローラ260に送る。
モーションコントローラ260は、モーション起動指令に従って、速度制御パターンメモリ263からローラ速度制御パターンRCP120の各速度制御指令を所定の制御周期で読み出し、各速度制御指令を駆動制御回路264に送る。モーションコントローラ260は、2回目の読み出し動作として、同じローラ速度制御パターンRCP120の4つの領域RC1〜RC4の全ての速度制御指令を速度制御パターンメモリ263から読み出す。4つの領域RC1〜RC4の全ての速度制御指令は、2枚目の段ボールシートSHを給送するために使用される。モーションコントローラ260は、時点T11以降において、同期指令に基いて生成されたモーション起動指令に従って、時点T2から時点T11までの間の制御処理と同様な制御処理を繰り返し実行する。
1枚目の段ボールシートSHは、時点T2から給送され始め、時点TBにおいて各給紙ローラから離される。1枚目の段ボールシートSHが各給紙ローラにより給送される距離は、図18に斜線で示す面積ARSに相当する距離であり、シート長さに応じた距離である。
〈最小シート長さに応じた昇降速度制御パターンGCP−1の説明〉
最小シート長さに応じた昇降速度制御パターンGCP−1について、図19を参照して説明する。図19は、段ボールシートSHが最小シート長さである場合に、ローラ速度制御パターンRCP120と、昇降速度制御パターンGCP120−1との時間的関係を示すタイミングチャートである。図17に示す昇降速度制御パターンGCP120は、最小シート長さと最大シート長さとの間の中間のシート長さに応じた昇降速度制御パターンである。図19に示す昇降速度制御パターンGCP120−1が、図17に示す昇降速度制御パターンGCP120と同じ部分、または対応する部分には、同じ記号を付して説明する。図19に示すローラ速度制御パターンRCP120は、図17に示すローラ速度制御パターンRCP120と同じパターンである。
図19に示す昇降速度制御パターンGCP120−1において、グレイト141の上面は、図17に示す昇降速度制御パターンGCP120と同様に、時点TAにおいて各給紙ローラの外周面の最上箇所の位置PRに到達し、その後、最下方位置に向かって下降する。しかし、図19に示す昇降速度制御パターンGCP120−1において、グレイト141の上面は、図17に示す昇降速度制御パターンGCP120と異なり、図17に示す時点T7および図18に示す時点TBよりも早い時点TB−1において各給紙ローラの外周面の最上箇所の位置PRに到達し、その後、最上方位置に向かって上昇する。昇降速度制御パターンGCP120−1の減速領域GC3Bの終了時点は、図17に示す時点T7より早くなる。
〈最大シート長さに応じた昇降速度制御パターンGCP−2の説明〉
最小シート長さに応じた昇降速度制御パターンGCP−2について、図20を参照して説明する。図20は、段ボールシートSHが最大シート長さである場合に、ローラ速度制御パターンRCP120と、昇降速度制御パターンGCP120−2との時間的関係を示すタイミングチャートである。図20に示す昇降速度制御パターンGCP120−2が、図17に示す昇降速度制御パターンGCP120と同じ部分、または対応する部分には、同じ記号を付して説明する。図20に示すローラ速度制御パターンRCP120は、図17に示すローラ速度制御パターンRCP120と同じパターンである。
図20に示す昇降速度制御パターンGCP120−2において、グレイト141の上面は、図17に示す昇降速度制御パターンGCP120と同様に、時点TAにおいて各給紙ローラの外周面の最上箇所の位置PRに到達し、その後、最下方位置に向かって下降する。しかし、図20に示す昇降速度制御パターンGCP120−2において、グレイト141の上面は、図17に示す昇降速度制御パターンGCP120と異なり、図17に示す時点T7および図18に示す時点TBよりも遅い時点TB−2において各給紙ローラの外周面の最上箇所の位置PRに到達し、その後、最上方位置に向かって上昇する。昇降速度制御パターンGCP120−2の減速領域GC3Bの終了時点は、ローラ速度制御パターンRCP120の定速領域RC2の終了時点T8より遅くなる。すなわち、ローラ速度制御パターンRCP120の定速領域RC2は、グレイト141の上面が位置PRに到達する時点TB−2以降も継続し、昇降速度制御パターンGCP120−2の減速領域GC3Bの終了時点よりも前の時点T8において終了する。
《実施形態の効果》
本実施形態では、運動変換機構140が、支持機構142と、揺動機構143とを備える。揺動機構143は、昇降モータ80の一方向の回転を揺動部材172の揺動運動に変換する。昇降連結軸173は、揺動部材172の揺動運動に伴って所定角度θsだけ両方向に回動する。この両方向の回動に伴って、支持機構140は、グレイト141を昇降させる。この結果、モーションコントローラ280、および駆動制御回路283は、昇降モータ80の一方向の回転を制御するのみで、互いに異なる回動方向において昇降モータの回動位置を制御する必要がないことから、段ボールシートSHの給送タイミング、および給送量を精度よく制御することができる。
本実施形態では、下位管理装置210、およびモーションコントローラ280が、基本昇降パターンBGP1、BGP2と、シート長さと、給送速度とに基いて、昇降速度制御パターンGCP120を算出する。この結果、シート長さと給送速度とに応じた多種類の昇降速度制御パターンを記憶部に予め記憶する構成に比べ、シート長さと給送速度とが種々異なる多様なオーダに対処することができ、少ないデータ量および制御指令により多様な昇降速度制御パターンを生成することが可能になる。
本実施形態では、下位管理装置210、およびモーションコントローラ280は、昇降速度制御パターンGCP120の下降可変速領域GC1に対して上昇可変速領域GC3を経過時間Tの軸方向に移動させることにより、加工オーダのシート長さに応じた昇降速度制御パターンGCP120を作成する。この結果、昇降制御カムなどの機械的要素の位置調整を行う従来の構成に比べ、昇降速度制御パターンGCP120の作成時に下方制御領域GC2の期間および上方制御領域GC4の期間を変更することにより、加工オーダのシート長さに応じてグレイト141の昇降運動を変更することを容易にかつ精度よく行うことができる。
本実施形態では、回転位置センサ190が昇降駆動軸170の所定回転位置を検出して検出信号SDを発生する度に、その検出信号に従って、下位管理装置210はモーション起動指令をモーションコントローラ280に送る。モーションコントローラ280は、モーション起動指令を受け取ったときに、所定の制御周期毎に昇降速度制御パターンGCP120の各速度制御指令を発生して駆動制御回路283に送る。この結果、昇降駆動軸170が所定回転位置に到達するタイミングと、昇降速度制御パターンGCP120の各速度制御指令を発生するタイミングとを正確に同期させることができる。本実施形態では、昇降駆動軸170の所定回転位置は、グレイト141が最上方位置に達するときの昇降駆動軸170の回転位置であることから、昇降速度制御パターンGCP120に従ってグレイト141の昇降運動を最上方位置から正確に行わせることができる。
本実施形態では、昇降速度制御パターンGCP120の下降可変速領域GC1とローラ速度制御パターンRCP120の停止領域RC4とが制御タイミングにおいて重なるように、昇降速度制御パターンGCP120およびローラ速度制御パターンRCP120がそれぞれ定められる。この結果、多数の給紙ローラ124〜127は、ローラ速度制御パターンRCP120の停止領域RC4において停止された状態にあり、グレイト141は、昇降速度制御パターンGCP120の下降可変速領域GC1において、停止された状態の多数の給紙ローラ124〜127より下方に下降することから、最下層の段ボールシートSHが多数の給紙ローラ124〜127に最初に接触するときに、両者の間で滑りが生ずることはなく、各段ボールシートSHを一層精度よく給送することができる。
本実施形態では、モーションコントローラ260が、位相差設定値DPPと、給送速度とに基いて、ローラ速度制御パターンRCP120の加速領域RC1の開始位相が昇降速度制御パターンGCP120の加速領域GC1Aの開始位相から経過時間Tの横軸方向に変位する時間TDPを算出する。この結果、ローラ速度制御パターンRCP120の各領域と昇降速度制御パターンGCP120の各領域との位相関係が、給送速度の変更に拘わらず一定の関係に維持されることから、段ボールシートSHの給送動作を精度よく行うことができる。
[本発明と実施形態との構成の対応関係]
段ボールシート給送装置1が、本発明の段ボール給送装置の一例である。多数の給紙ローラ124〜127が、本発明の複数の給紙ローラの一例である。グレイト141が、本発明の昇降部材の一例である。昇降モータ80が、本発明の駆動モータの一例である。運動変換機構140が、本発明の運動変換機構の一例である。下位管理装置210およびモーションコントローラ280の組み合わせが、本発明の昇降制御部の一例である。ローラモータ90、91、102、103が、本発明のローラモータの一例である。ローラモータ制御装置254およびモーションコントローラ260の組み合わせが、本発明のローラ制御部の一例である。支持機構142、昇降駆動軸170、偏心部材171、昇降連結軸、および揺動部材172が、本発明の支持機構、駆動軸、偏心部材、連結軸、および揺動部材の一例である。昇降速度制御パターンGCP120、下降可変速領域GC1、下方制御領域GC2、上昇可変速領域GC3、および上方制御領域GC4が、本発明の昇降速度制御パターン、下降可変速領域、下方制御領域、上昇可変速領域、および上方制御領域の一例である。ローラ速度制御パターンRCP120、加速領域RC1、定速領域RC2、減速領域RC3、および停止領域RC4は、本発明のローラ速度制御パターン、加速領域、定速領域、減速領域、および停止領域の一例である。
[変形例]
本発明の実施形態について以上説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において当業者であれば種々の変形を加えることができる。
(1)本実施形態では、昇降速度制御パターンGCP120において、加速領域GC1Aの加速度、減速領域GC1Bの加速度、加速領域GC3Aの加速度、および減速領域GC3Bの加速度は、全て同じ加速度に定められる構成である。しかし、4つの加速度が全て同じである必要はない。たとえば、加速領域GC1A、GC3Aの加速度と、減速領域GC1B、GC3Bの加速度とを異ならせる構成であってもよい。また、加速領域GC1Aおよび減速領域GC1Bの加速度と、加速領域GC3Aおよび減速領域GC3Bの加速度とを異ならせる構成であってもよい。
(2)本実施形態では、下位管理装置210が、基本昇降パターンBGP1、BGP2と、加工オーダのシート長さとに基いて、オーダ昇降パターンDGPを作成する。その後、モーションコントローラ280が、オーダ昇降パターンDGPと、給送速度とに基いて、昇降速度制御パターンGCP120を作成する。この実施形態の構成では、比較的処理能力の高い下位管理装置210が、昇降速度制御パターンGCP120の作成処理の一部を担当することから、種々異なる多様な昇降速度制御パターンGCP120を迅速かつ確実に作成することができる。この実施形態の構成に代えて、モーションコントローラ280単独により、昇降速度制御パターンGCP120が作成される構成であってもよい。
(3)本実施形態では、基本ローラパターンBRPは、段ボールシート製函機1が加工可能な最大シート長さに基いて定められる1つのパターンであることから、基本ローラパターンメモリ261に固定的に記憶される構成である。しかし、種々の構成の段ボールシート製函機に対処するために、各段ボールシート製函機の構成により定められる最大シート長さが操作パネルから入力されるときに、下位管理装置210、またはローラモータ制御装置254が、入力された最大シート長さに基いて基本ローラパターンBRPを作成する構成であってもよい。
(4)本実施形態では、モーションコントローラ280、および駆動制御回路283は、昇降速度制御パターンGCP120の各速度制御指令とエンコーダ85からの回転パルスの周波数とに従って、昇降モータ80の速度制御を実行する構成である。この構成に代えて、モーションコントローラ280、および駆動制御回路283が、昇降モータ80の速度制御と併行して、昇降モータ80の回転位置を制御する位置制御を実行する構成であってもよい。この変形例では、モーションコントローラ280が、所定の制御周期で、各速度制御指令と昇降モータ80の回転位置を指令する各位置制御指令とを駆動制御回路283に送り、駆動制御回路283は、エンコーダ85からの回転パルスの周波数とパルス数とに従って、昇降モータ80の回転を制御する。
(5)本実施形態では、基本昇降パターンメモリ270が、2つの基本昇降パターンBGP1、BGP2を固定的に記憶する。加工オーダのシート長さが、下降可変速領域と上昇可変速領域とが図8に斜線で示すように重なるような小さいシート長さである場合には、下位管理装置210は、図8に示す基本昇降パターンBGP1に基いてオーダ昇降パターンDGPを作成する。一方、加工オーダのシート長さが、下降可変速領域と上昇可変速領域とが図10に示すように間隔をおいて配置されるような大きいシート長さである場合には、下位管理装置210は、図10に示す基本昇降パターンBGP2に基いてオーダ昇降パターンDGPを作成する。しかし、加工オーダのシート長さに応じたオーダ昇降パターンDGPを作成する構成は、本実施形態の構成に限定されない。たとえば、1つの変形例では、基本昇降パターンメモリ270が、1つの基本昇降パターンを固定的に記憶する。下位管理装置210が、加工オーダのシート長さに応じて、1つの基本昇降パターンの下降可変速領域と上昇可変速領域との間隔を変更することにより、オーダ昇降パターンDGPを作成する構成であってもよい。また、別の変形例では、基本昇降パターンメモリを備えることなく、下位管理装置210が、加工オーダのシート長さと、加速領域および減速領域の期間並びに加速度とに基いて、オーダ昇降パターンDGPを作成する構成であってもよい。
(6)本実施形態では、モーションコントローラ260が、位相差設定値DPPと、給送速度とに基いて、ローラ速度制御パターンRCPの加速領域RC1の開始位相が昇降速度制御パターンGCPの加速領域GC1Aの開始位相から経過時間Tの横軸方向に変位する時間TDPを算出する構成である。この構成に代えて、モーションコントローラ260が、ローラ速度制御パターンRCPの停止領域RC4の期間以上であって、昇降速度制御パターンGCPの下降可変速領域GC1の期間以下である時間を、停止領域RC4の期間または下降可変速領域GC1の期間に所定係数を掛けて算出する構成であってもよい。
(7)本実施形態では、加工オーダの実行中においてシート搬送速度が一定の速度である場合を例にしてローラ速度制御パターンRCP120および昇降速度制御パターンGCP120の作成が説明された。しかし、加工オーダの実行中においてシート搬送速度が複数の速度に変更される場合には、複数のシート搬送速度にそれぞれ相当する複数の給送速度に基いて、ローラ速度制御パターンRCPおよび昇降速度制御パターンGCPが複数種類作成され、速度制御パターンメモリ263、282に記憶される。
(8)本実施形態では、1つの昇降モータ80の一方向の回転をグレイト141の昇降運動に変換するために、運動変換機構140は、支持機構142と、揺動機構143とを備える構成であるが、運動変換機構140は本実施形態の構成に限定されない。たとえば、図21に示す変形例では、運動変換機構140Aは、2つの昇降モータ80A1、80A2と、2つの偏心回転体300A1、300A2とを備える。両偏心回転体300A1、300A2は、2つの昇降駆動軸301A1、301A2にそれぞれ固定され、両昇降駆動軸の回転中心から偏心した円形の外周面をそれぞれ備える。両昇降モータ80A1、80A2の回転軸は、伝達ベルトなどの公知の伝達手段により両昇降駆動軸301A1、301A2に連結される。両偏心回転体300A1、300A2の2つの外周面は、グレイト141の左端部および右端部を下方からそれぞれ支持する。モーションコントローラ280、および駆動制御回路283は、両昇降モータ80A1、80A2の一方向の回転を同期させた状態で制御する。両昇降モータ80A1、80A2の同期回転により、両偏心回転体300A1、300A2は、グレイト141を昇降させる。図21に示す変形例では、グレイト141の左右方向の配置姿勢が、両偏心回転体300A1、300A2の回転位相を調整することにより容易に調整することができる。また、図22に示す変形例では、運動変換機構140Bは、2つの昇降モータ80B1、80B2と、2つの回転体302B1、302B2と、2つの連結ロッド303B1、303B2とを備える。2つの連結ピン304B1、304B2が、両回転体302B1、302B2の回転中心から偏心した状態で、両回転体に固定される。連結ロッド303B1の下端部は、連結ピン304B1により回転体302B1に連結され、連結ロッド303B1の上端部は、グレイト141の左端部に連結される。連結ロッド303B2の下端部は、連結ピン304B2により回転体302B2に連結され、連結ロッド303B2の上端部は、グレイト141の右端部に連結される。両昇降モータ80B1、80B2の回転軸は、伝達ベルトなどの公知の伝達手段により両回転体302B1、302B2の回転軸にそれぞれ連結される。モーションコントローラ280、および駆動制御回路283は、両昇降モータ80B1、80B2の一方向の回転を同期させた状態で制御する。両昇降モータ80B1、80B2の同期回転により、両連結ロッド303B1、303B2は、グレイト141を昇降させる。図22に示す変形例では、図21に示す変形例に比べ、摩擦接触する部分が少なくなることから、長期の使用によってもグレイト141の昇降運動を一定の運動パターンに維持することができる。