JP6396847B2 - アントシアニンを含有する容器詰果汁含有飲料の劣化抑制剤及びこれを含む容器詰果汁含有飲料 - Google Patents
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Description
既に、アントシアニンを含有するブルーベリー等を配合した果汁飲料・食品が年代・性別を問わず広く受け入れられてきている。アントシアニンを含有する飲料は 果汁飲料中における果汁の配合量を増加させることで、摂飲時に果汁本来の果汁感等を強く感じることのできる果汁飲料とすることが可能であるが、一方で、果汁の配合量を多くすると、果汁飲料自体の香味等を調整するのが困難となり、また、アントシアニンを豊富に含む容器詰果汁含有飲料は経時的な熱劣化及び光劣化によって、その紫色の液色が退色し、更には、独特のビニールのような異臭が発生してしまうという問題を有していた。従ってこれらを解決し、かかる消費者ニーズを満たす好適な容器詰果汁含有飲料が求められていた。
特に、飲料が酸性飲料である場合には、これら苦味や渋味が、より強調され易い傾向にあることから、風味及び呈味性の調製には非常に困難が伴うという問題があった。
より具体的には、本発明は以下のとおりである。
(2)アントシアニンに対するデルフィニジンの比率(デルフィニジン/アントシアニン)が0.10〜0.50であることを特徴とする(1)に記載の容器詰果汁含有飲料。
(3)更に、ポリフェノールを含有する飲料であって、且つ、ポリフェノール量に対するアントシアニン量の比率(アントシアニン量/ポリフェノール量)が、0.10〜0.50であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の容器詰果汁含有飲料。
(4)着色料を添加しないことを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の容器詰果汁含有飲料。
(5)ホルトノキ科果実の抽出液及び\又は該抽出液の濃縮物を含有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の容器詰果汁含有飲料
(6)デルフィニジンを有効成分とするアントシアニン含有容器詰果汁含有飲料の劣化抑制剤。
(7)前記デルフィニジンの一部又はすべてがホルトノキ科果実由来であることを特徴とする(6)に記載の剤。
(8)劣化臭抑制用及び\又は退色抑制用である(6)又は(7)に記載の剤。
(9)容器詰果汁含有飲料において0.1〜14.0質量%含有されることを特徴とする(6)〜(8)のいずれかに記載の剤。
(10)デルフィニジンを30〜230ppm配合する工程と、糖酸比を20.0〜50.00に調整する工程と、pHを2.0〜4.0に調整する工程とを含むことを特徴とする容器詰果汁含有飲料の製造方法。
(11)デルフィニジンを30〜230ppm配合する工程と、糖酸比を20.0〜50.00に調整する工程と、pHを2.0〜4.0に調整する工程とを含むことを特徴とする容器詰果汁含有飲料における劣化抑制方法。
本発明において、容器詰果汁含有飲料とは、好ましくは容器詰清涼飲料であり、風味や香味が付与された飲料が容器に充填された製品のことをいう。本発明の清涼飲料は、アントシアニン、好ましくはアントシアニン含有果汁を含む飲料製品のことであり、アントシアニン含有果汁とは、アントシアニンを含む果実の果汁、果実抽出物あるいはそれらを濃縮したエキス等の加工物のことをいうが、好ましくは果汁及び/又は濃縮果汁である。果汁及び/又は濃縮果汁を配合することによって、より自然な香味及び色調が得られるからである。製品の種類は特に限定されないが、非炭酸の清涼飲料では、果汁入り清涼飲料、果粒入り果実ジュースなど、果汁の使用割合が10%以上の「果実飲料」が代表的なものであり、日本農林規格(JAS)及び果実飲料等の表示に関する公正競争規約によって、濃縮果汁、果実ジュース、果実ミックスジュース、果粒入り果実ジュース、果実・野菜ミックスジュース、果汁入り飲料に区分されている。その他の非炭酸の清涼飲料としては、スポーツ飲料、栄養ドリンクなどが挙げられる。一方、炭酸入りの清涼飲料では、果汁入りのフレーバー系炭酸飲料などが挙げられる。更に、アントシアニンを含有する果汁入り酎ハイなどの果実酒類、リキュール類などのアルコール飲料も、本発明のアントシアニン含有飲料として挙げられる。また、希釈飲料(家庭飲用用の希釈飲料、自動販売機内の希釈飲料など)も本発明のアントシアニン含有飲料の一つとして挙げられる。
本発明の容器詰アントシアニン含有飲料は、好ましくは非アルコール性飲料であり、更に好ましくは非炭酸飲料であり、特に好ましくは原材料に由来する以外の水素が添加されていないものである。
本発明におけるデルフィニジンは、ブルーベリー等に含まれる紫赤色の成分であり、30〜230ppmに調整される。この範囲に調整することにより、容器詰果汁含有飲料の自然な果実感、色調を演出でき、退色及び劣化臭の抑制が可能となる。かかる観点から、好ましくは40〜200ppmであり、更に好ましくは45〜185ppmであり、特に好ましくは46〜100であり、最も好ましくは50〜80である。デルフィニジンとはアントシアニジンの一種であって、植物の主要な色素であり、その抗酸化作用から、抗腫瘍効果又は免疫機能の維持効果があることが知られている。本発明におけるデルフィニジンはマキベリー由来であることが好ましい。アントシアニンを含有する容器詰果汁含有飲料における経時的な内容液の退色及び劣化臭に対し、マキベリーのデルフィニジン含有量は理想的な抑制効果を持つからである。デルフィニジンは当業者に公知の手法により算出及び/又は測定することができる。例えば、比色法やHPLC法(高速液体クロマトグラフィー)が挙げられる。
糖度(Brix、Bx)は、溶液中の可溶性固形分濃度を意味するものである。本発明の容器詰果汁含有飲料は、Bx9.0〜14.0に調整される。糖度が14.0を超えると甘味が強くなり、果汁飲料で求められている自然な味わいが損なわれる。糖度が9.0を下回るとアントシアニンを含有する果汁が本来有する、果実感が不十分であり物足りない印象となるためである。かかる観点から、好ましくは9.5〜13.1、より好ましくは9.80〜13.0、更に好ましくは10.0〜12.5、最も好ましくは10.5〜12.0に調整される。糖度は、当業者に公知の手法により算出及び/又は測定することができる。固形分濃度の調整は、原料の選択、原料の配合や水分の添加量など、種々の方法で可能であるが、好ましくは糖及び/又は糖度の高い果実を添加することにより調整する。本発明の清涼飲料に配合し得る糖類としては、例えばショ糖、ブドウ糖、果糖、はちみつ、水飴、黒糖、黒糖蜜等の糖質系甘味料、D−プシコースなどの希少糖を含む希少糖シロップ、例えばステビア、グリチルリチン、アスパルテーム、グリチルリチン酸ナトリウム、アセスルファムカリウム、スクラロース等の非糖質系甘味料(天然甘味料及び合成甘味料を含む)が挙げられる。これらの糖類は、目的に応じて単独で又は複数を組み合わせて使用することが出来る。なお、本明細書において、Brix値とは、溶液100g中に含まれる可溶性固形分(糖類など)のグラム量を計測する単位である。糖度の測定方法としては、市販の屈折率計又は糖度計を用いて測定することができる。
本発明の容器詰果汁含有飲料の酸度は0.10〜3.00に調整される。酸度が0.10以上であれば、爽快感を感じることができ、3.00以下であれば、酸味が強すぎて刺激が強いと感じることなく飲用することができる。かかる観点から、本発明の容器詰果汁含有飲料における酸度は0.10〜3.00であるのが好ましく、更に好ましくは0.10〜2.00、特に好ましくは0.20〜1.00、最も好ましくは0.25〜0.70である。酸度は、0.1mol/L水酸化ナトリウム標準液を用いた電位差滴定法により算出される、クエン酸換算での濃度(%)を意味するものであり、主に果汁の種類と含有量、酸味料の種類と添加量等によって調整することができる。なお、酸度の測定方法としては、市販の自動滴定装置を用い、0.1mol/L水酸化ナトリウム標準液を使用した電位差滴定法に基づいて、クエン酸換算で算出した。
更に、本発明の容器詰果汁含有飲料は、糖酸比が20.00〜50.00に調整されていることが好ましい。糖酸比が20.00を下回る場合、物足りない印象となり、アントシアニンを含有する果汁が本来有する自然な果実感が損なわれてしまう。50.00を上回る場合、アントシアニンを含有する果汁原料由来の酸味が強くなり、果汁含有飲料で求められているほのかな甘味と爽やかな酸味の最適なバランスに欠けてしまう。かかる観点から、好ましくは20.50〜45.00、より好ましくは21.0〜42.00、特に好ましくは22.0〜40.00、最も好ましくは25.00〜33.00である。ここで、本明細書において、糖酸比とは、酸度に対する糖度の比率、即ち(糖度/酸度)を意味する。
本発明の容器詰果汁含有飲料において、最終製品のpHは、2.00〜4.00とする。この範囲に調整することにより、酸味や、それに伴う刺激が強すぎると感じることなく、爽快感を感じることができ、本来の風味を維持することが可能となる。好ましくは2.20〜3.90、より好ましくは2.30〜3.80、特に好ましくは2.40〜3.70に調整することにより、品質を安定し、本発明の容器詰果汁含有飲料を安定的に保持することができる。pHの調整は、重曹を添加する等の一般的な方法に基づいて行うことができる。
本発明の容器詰果汁含有飲料は、アントシアニンを200〜600ppm含有することを特徴とする。アントシアニン量が200ppmを下回る場合、アントシアニンを含有する果汁が本来有する自然な果実感、色調が損なわれた印象になり、600ppmを上回る場合、アントシアニンを含有する果汁原料由来の酸味が強くなり、更には、経時劣化による退色及び劣化臭が顕著になる。かかる観点から、好ましくは220〜500ppm、さらに好ましくは300〜480ppm、最も好ましくは350〜450ppmである。
アントシアニンは、ポリフェノールの一種である一群の化合物群であって、アントシアニジンをアグリコンとする配糖体の総称である。アントシアニンとしては、デルフィニジン−3−グルコシド、シアニジン−3−グルコシド、ペチュニジン−3−グルコシド、ペオニジン−3−グルコシド及びマルビジン−3−グルコシド等が挙げられる。アントシアニンは、ブドウ、カシス、ベリー類などの果実や野菜に豊富に含まれており、抗酸化作用等の生理活性を有する。アントシアニンは当業者に公知の手法により算出及び/又は測定することができる。例えば、比色法やHPLC法(高速液体クロマトグラフィー)が挙げられる。
本発明のアントシアニン含有果汁のための果実は、ブドウ、ザクロ、カシス、エルダーベリー、アロニア、ブルーベリー及びマキベリー等であって、これらの果汁を2種以上配合することが好ましい。2種以上の果汁を配合することで、甘味と酸味のバランス、アントシアニン量、ポリフェノール量及び最終製品の色調等を調整しやすくなるからである。これら果実は本発明の容器詰果汁含有飲料が演出しようとする「退色の抑制」及び「劣化臭の抑制」が最も効果的であるからである。また、本発明におけるアントシアニン含有果汁量は好ましくは98%未満であり、更に好ましくは1.0〜69.0%であり、特に好ましくは5.0〜60.0%であり、最も好ましくは10.0〜40.0%である。
なお、本発明において、濃縮エキス又は抽出物を使用した場合は、ストレート換算した値を含有量とする。また、上記果汁としては、果実の搾汁液(ストレート果汁)、搾汁液を濃縮した濃縮果汁、濃縮果汁を更に希釈した還元果汁、搾汁液に酵素処理等を施すことで清澄化した透明果汁、エキス、ピューレ等が挙げられる。
本発明の容器詰果汁含有飲料は、アントシアニン量に対するデルフィニジン量の比率(デルフィニジン/アントシアニン)が0.01〜0.50に調整されていることを特徴とする。デルフィニジン/アントシアニンが0.01を下回る場合、アントシアニンを含有する果汁飲料の経時的な退色及び劣化臭の発生を抑制する効果が低下してしまう。また、0.50を上回る場合、デルフィニジンを含有する果汁原料由来の酸味が強くなり、清涼飲料で求められている自然な果実感、色調が損なわれる傾向にある。かかる観点から、(デルフィニジン量/アントシアニン量)は好ましくは0.05〜0.45、更に好ましくは0.10〜0.42、特に好ましくは0.12〜0.25であり、最も好ましくは0.14〜0.20である。
本発明の容器詰果汁含有飲料は、ポリフェノールを700〜2200ppm含有することを特徴とする。この範囲とすることで酸味と甘味のバランスや後味のキレを向上させることが可能となる。かかる観点から、好ましくは720〜2100ppm、更に好ましくは750〜1800ppm、特に好ましくは1000〜1600pp、最も好ましくは1100〜1500ppmである。
本発明においてポリフェノールとは、植物に由来する物質(フィトケミカル:phytochemical)の1種であり、1分子中にフェノール性水酸基を2つ以上有する化合物の総称である。ポリフェノールには、大別して分子量が1,000以下の単量体ポリフェノールと、単量体ポリフェノールが2つ以上結合した重合ポリフェノールが存在する。重合ポリフェノールは一般にタンニンとも称される。代表的な単量体ポリフェノールとしては、フラボノイド類(フラボノイド類には、フラボン、フラバノール、アントシアニジン、イソフラボノイド、ネオフラボノイド等を基本骨格とする化合物が含まれる)、クロロゲン酸、没食子酸、エラグ酸などがある。一方、重合ポリフェノールは単量体ポリフェノールが2個以上結合した化合物であり、ポリフェノール同士が炭素−炭素結合により重合した縮合型タンニンと、糖等由来の水酸基とのエステル結合により重合した加水分解型タンニンとに大別され、それぞれ代表的なポリフェノールとして縮合型タンニンとしてはプロアントシアニジン類、加水分解型タンニンとしてはガロタンニン、エラグタンニンが挙げられる。各ポリフェノールは単体以外にも、当該ポリフェノールの生理活性機能を失わない範囲であれば、例えば、重合体、配糖体等の所定の化合物状態であっても良い。ポリフェノールは重合度や結合位置で様々な種類のものが存在するが、極めて強い抗酸化作用を示す。ポリフェノールは当業者に公知の手法により算出及び/又は測定することができる。例えば、タンニン酸を標準物質としたフォーリンデニス法が挙げられる。
本発明の容器詰果汁含有飲料は、ポリフェノール量に対するアントシアニン量の比率(アントシアニン/ポリフェノール)が0.10〜0.50に調整されていることを特徴とする。アントシアニン量/ポリフェノール量が0.10を下回る場合、アントシアニン含有果汁が本来有する自然な果実感、色調が損なわれた印象になり、更には、経時劣化による退色及び劣化臭が顕著になる。0.50を上回る場合、アントシアニンを含有する果汁原料由来の酸味が強くなり、容器詰果汁含有飲料で求められている自然な果実感、色調を損なう傾向にある。かかる観点から、(アントシアニン量/ポリフェノール量)は好ましくは0.15〜0.45、更に好ましくは0.20〜0.38であり、特に好ましくは0.25〜0.35である。
本発明における容器詰果汁含有飲料においては、果汁由来成分をコントロールすることで果汁由来の自然な液色及び風味を有し、経時劣化を抑制することを目的とするため、着色料を添加しないことを特徴とする。本発明において着色料とは、色を付加する食品添加物及び天然添加物を意味する。つまり、天然由来であっても、アントシアニン化合物単体(例えば、アントシアニン色素)等の着色を目的とした添加物は配合されない。
本発明のホルトノキ科果実とは、被子植物の一種であり、主に熱帯・亜熱帯に分布する常緑樹であるホルトノキ科植物になる果実であって、本発明においては、容器詰果汁含有飲料の自然な果実感、色調、及び経時による退色及び劣化臭の抑制効果を得る観点から、マキベリーが好ましい。本発明においてマキベリー果汁含有量は0.1〜14.0質量%に調整される。この範囲とすることで経時による退色及び劣化臭の抑制効果が得られるからである。かかる観点から、マキベリー果汁含有量は0.10〜14.00質量%が好ましく、0.20〜12.00質量%が特に好ましい。本発明においてマキベリーの濃縮エキス又は抽出物を使用した場合は、ストレート換算した値を含有量とする。該濃縮エキス又は抽出物としては、果実の搾汁液(ストレート果汁)、搾汁液を濃縮した濃縮果汁、濃縮果汁を更に希釈した還元果汁、搾汁液に酵素処理等を施すことで清澄化した透明果汁、エキス、ピューレ等が挙げられる。
甘味付与剤としては、糖類又は甘味料を使用することができ、糖類としては、例えば、ショ糖、果糖、ブドウ糖、果糖ブドウ糖液糖、還元麦芽糖等が挙げられる。甘味料としては、例えば、砂糖、異性化糖、キシリトール、パラチノース、エリスリトール等のほか、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ネオテーム、ステビア抽出物、サッカリン、スクラロース等の高甘味度甘味料が挙げられる。また、ソルビトール等の糖アルコールを含んでいてもよいし、シュガーレスバルク甘味料、バルク砂糖甘味料等を含んでいてもよい。これらの糖類又は甘味料は、目的に応じて単独で、又は複数を組み合わせて使用することが出来る。
上記飲用に適した水としては、例えば、市水、井水、イオン交換水、脱気水等が挙げられるが、これらのうちイオン交換水又は脱気水を用いるのが好ましく、特に脱気水を用いるのが好ましい。脱気水を用いることで、果汁含有飲料の加温による品質の劣化や液色の褐変等の色調変化をより効果的に抑制することができる。なお、脱気水を用いる場合、飲用に適した水の一部又は全てを脱気水とすることができる。
本発明における劣化抑制剤とは、容器詰果汁含有飲料における熱や光による経時的な劣化を抑制するものである。好ましくは退色抑制剤及び\又は劣化臭抑制剤であり、更に、好ましくはアントシアニン色素の退色抑制剤及び\又はビニール臭抑制剤である。また、本発明の劣化抑制剤はホルトノキ科の果実由来であることが好ましく、マキベリー由来であることが特に好ましい。また、容器詰果汁含有飲料において0.1〜14.0質量%添加される。この範囲の添加量とすることで経時による退色及び劣化臭の抑制効果が得られるからである。かかる観点から、添加量は0.2〜10.0が好ましく、0.3〜5.0質量%が特に好ましい。
後述する市販の各原料を使用し試作品を作製した。果糖ブドウ糖液糖(果糖55%以上、ブドウ糖37%以上)、また、レッドグレープ濃縮果汁(糖度68%)、ブルーベリー濃縮果汁(糖度65)、ザクロ濃縮果汁(糖度65%)、ブラックカーラント果汁(糖度65%)、アローニャ濃縮果汁(糖度65%)からなるアントシアニン含有果汁、ホルトノキ科植物の抽出液としてマキベリー濃縮果汁(糖度65%)、透明果汁としてアサイークリアー汁、カシスエキス、及びクエン酸の原材料を表1の配合に基づいて添加し、イオン交換水でメスアップした。これらのサンプルを95度加熱殺菌後、直ちに200mLのPET容器にホットパック充填し、実施例1〜7及び比較例1〜6を得た。下記方法により評価した結果を合わせて表1に示す。なお、果汁とは果実を洗浄後加熱処理し、種を除去した後遠心分離を行い得られた果汁を適宜濾過や濃縮等の処理を行ったものであり、濃縮果汁又は濃縮エキスについては、ストレート換算した値を記載する。
なお、表中の「アントシアニン含有果汁(質量%)」、「マキベリー果汁(質量%)」、「果汁合計量(質量%)」はストレート換算値である。
光学屈折率計(アタゴ社製、Digital Refractometers、RX5000α−Bev)を用いて、糖度を測定した。
自動滴定装置(平沼産業株式会社製、COM−1750)を用い、0.1mol/L水酸化ナトリウム標準液を使用した電位差滴定法に基づいて、クエン酸換算で算出した。
堀場製作所F−52型・卓上pHメーターにて品温20度にて測定した。
サンプルを塩酸−メタノール溶液で抽出し、高速液体クロマトグラフ法にて測定した値をデルフィニジンの含有量(ppm)として用いた。また、デルフィニジン量の測定は5℃で1週間保管後のサンプルを用いた。
サンプルを塩酸−メタノール溶液で抽出し、高速液体クロマトグラフ法にて測定した値をアントシアニンの含有量(ppm)として用いた。また、アントシアニン量の測定は5℃で1週間保管後のサンプルを用いた。
タンニン酸を標準物質としてフォーリンデニス法を用いて求められる量をポリフェノール量とした。また、ポリフェノール量の測定は5℃で1週間保管後のサンプルを用いた。
官能評価は5℃で1週間保管後のサンプルについて、8人のパネラーが以下の評価方法に基づいて実施し、最も多かった評価を採用した。
甘味と酸味のバランス:
◎:甘味と爽やかな酸味の絶妙なバランスを有し、極めて良好
○:甘味と酸味のバランスが適度に取れており、良好
△:甘味と酸味のどちらかが若干弱く感じられ、バランスがあまりよくない
×:甘味と酸味のどちらかが弱すぎ、バランスに問題あり
自然な果実感:
◎:自然な果実感が抜群に感じられ、極めて良好
○:自然な果実感が適度に感じられ、良好
△:自然な果実感が若干弱く感じられ、あまりよくない
×:自然な果実感が弱く感じられ、問題あり
また、実施例1〜5及び比較例1〜4のサンプルを45℃での加温条件下又は10000ルクスでの光照射条件下に供し、2週間(2W)保管後又は1ヶ月間(1M)保管後に目視・官能評価を行った。劣化の指標として、内容液の液色及びビニール様の劣化臭を評価した。8人のパネラーが以下の評価方法に基づいて実施した結果を表2に示す。なお、最も多かった評価を採用した。
液色:
◎:保管前と同等の紫色の液色を有し、自然な果実感があり、極めて良好
○:保管前と比較すると紫色が若干薄くなっているが、果実感はあり、良好
△:保管前と比較すると紫色が薄くなっており、果実感も若干弱く、あまりよくない
×:保管前と比較すると顕著に紫色が薄くなっており、果実感も弱く、問題あり
劣化臭:
◎:劣化によるビニール臭を感じず、極めて良好
○:劣化によるビニール臭をあまり感じず、良好
△:劣化によるビニール臭が若干感じられ、あまりよくない
×:劣化によるビニール臭が感じられ、問題あり
更に、加温劣化及び光劣化の評価を行うため、後述する市販の各原料を使用し試作品を作製した。果糖ブドウ糖液糖7.5質量%(果糖55%以上、ブドウ糖37%以上)、また、レッドグレープ濃縮果汁、ブルーベリー濃縮果汁、ザクロ濃縮果汁、ブラックカーラント果汁及びアローニャ濃縮果汁からなるアントシアニン含有果汁を31.5質量%、ホルトノキ科植物の抽出液としてマキベリー濃縮果汁を0.5質量%、透明果汁としてアサイークリアー汁0.5質量%、カシスエキス0.5質量%及びクエン酸0.26質量%の原材料を配合し、イオン交換水でメスアップした(実施例6)。また、果糖ブドウ糖液糖7.5質量%(果糖55%以上、ブドウ糖37%以上)、また、レッドグレープ濃縮果汁、ブルーベリー濃縮果汁、ザクロ濃縮果汁、ブラックカーラント果汁及びアローニャ濃縮果汁からなるアントシアニン含有果汁を32.0質量%、透明果汁としてアサイークリアー汁0.5質量%、カシスエキス0.5質量%及びクエン酸0.26質量%の原材料を配合し、イオン交換水でメスアップした(比較例5)。これらの2つのサンプルを95度加熱殺菌後、直ちに200mLのPET容器にホットパック充填し、実施例6及び比較例5とした。
なお、果汁とは果実を洗浄後加熱処理し、種を除去した後遠心分離を行い得られた果汁を適宜濾過や濃縮等の処理を行ったものであり、濃縮果汁又は濃縮エキスについては、ストレート換算した値を記載する。
また、実施例6のBxは11.01であり、pHは2.90であり、酸度は0.39でであった。比較例5のBxは11.09であり、pHは2.89であり、酸度は0.40であった。
実施例6及び比較例5を45℃の加温条件下で2週間(2W)保管又は1ヶ月間(1M)保管した。また、実施例6及び比較例5を5℃、10000ルクスの光照射条件下で2週間保管又は1ヶ月間保管した。その後、以下のとおり内溶液の経時劣化の測定を行った結果を表3に示す。
分光式色差計(SE−2000,日本電色工業社製)にて表面色を分析し、明度を表す指標であるL値、赤色から緑色を表すa値及び青色から黄色を表すb値を測定した。測定結果から△E(デルタE)を算出し、各サンプルの液色の劣化度合の指標とした。
なお、△Eは基準となる保管直前の実施例6及び比較例5のそれぞれのL値(L1)、a値(a1)及びb値(b1)から、経時劣化後(2週間又は1ヶ月保管後)のL値(L2)、a値(a2)、b値(b2)を用い、△E=[(L1−L2)2+(a1−a2)2+(b1−b2)2]1/2で算出した。なお、△Eの値が高い程、液色の変化が生じ、劣化が進んでいると判断できる。
従って、試験例2及び3から、ホルトノキ科植物由来の劣化抑制剤により、加温劣化、光照射による液色の劣化及びビニール様の劣化臭発生の抑制が確認された。
Claims (4)
- マキベリー果汁及び/又は該果汁の濃縮物を含有する容器詰果汁含有飲料であって、ポリフェノール量を1240〜1360ppm含有し、アントシアニン量を356〜438ppm含有し、デルフィニジン量を46〜180ppm含有し、
糖酸比が20.53〜43.87であり、アントシアニン量に対するデルフィニジン量の比率(デルフィニジン/アントシアニン)が0.13〜0.41であり、ポリフェノール量に対するアントシアニン量の比率(アントシアニン/ポリフェノール)が0.29〜0.33であり、且つpHが2.81〜3.10であることを特徴とする容器詰果汁含有飲料。 - 着色料を添加しないことを特徴とする請求項1に記載の容器詰果汁含有飲料。
- マキベリー果汁及び/又は該果汁の濃縮物を含有する容器詰果汁含有飲料の製造方法であって、ポリフェノール量を1240〜1360ppmに調整する工程と、アントシアニン量を356〜438ppmに調整する工程と、デルフィニジン量を46〜180ppmに調整する工程と、
糖酸比を20.53〜43.87に調整する工程と、アントシアニン量に対するデルフィニジン量の比率(デルフィニジン/アントシアニン)を0.13〜0.41に調整する工程と、ポリフェノール量に対するアントシアニン量の比率(アントシアニン/ポリフェノール)を0.29〜0.33に調整する工程と、且つpHを2.81〜3.10に調整する工程とを含むことを特徴とする容器詰果汁含有飲料の製造方法。 - マキベリー果汁及び/又は該果汁の濃縮物を含有する容器詰果汁含有飲料の劣化抑制方法であって、ポリフェノール量を1240〜1360ppmに調整し、アントシアニン量を356〜438ppmに調整し、デルフィニジン量を46〜180ppmに調整し、
糖酸比を20.53〜43.87に調整し、アントシアニン量に対するデルフィニジン量の比率(デルフィニジン/アントシアニン)を0.13〜0.41に調整し、ポリフェノール量に対するアントシアニン量の比率(アントシアニン/ポリフェノール)を0.29〜0.33に調整し、且つpHを2.81〜3.10に調整することを特徴とする容器詰果汁含有飲料の劣化抑制方法。
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