JP6380102B2 - 熱可塑性フィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、貫通孔を有する熱可塑性フィルムの製造方法に関する。本方法により得られた貫通孔を有するフィルムは、濾過、細胞培養、細胞分離、ガス透過、透湿等の機能を有するミクロンサイズからナノサイズの微細な貫通孔を必要とする部材として使用することができる。また、そのような用途においては高性能化を図る目的で、孔形状や配置が高精度に制御された貫通孔を有する熱可塑性フィルムが特に好適に使用される。
孔の形状や配置が高精度に制御された貫通孔を有する熱可塑性フィルムの製造方法として、射出成形やフィルムへの電子線加工、エッチング、熱インプリント等が挙げられる。射出成形では溶融した樹脂を、突起が形成された型の中に充填することにより貫通孔を有するフィルムを成形することができる。また、電子線加工では、フィルム表面に電子ビームを当てて表面から内部に向かって溶融させることにより貫通孔を形成することができる。また、エッチングでは、フィルム表面においてマスクで遮蔽された領域以外の開口部に対して、ガスまたは液体からなるエッチング材料を接触させて、樹脂を化学的または物理的に除去していくことにより貫通孔を形成できる。
また、特許文献1、特許文献2には熱可塑性フィルムに加熱した突起構造を表面に有した金型を押し当てて、フィルムに貫通孔を形成する熱インプリント技術が開示されている。さらに、貫通孔成形精度を向上させる手段として、特許文献3に、表面に突起が形成された金型表面に溶融した樹脂を塗布し、その後、加圧板で加圧しつつ金型を冷却することにより貫通孔を有するフィルムを製造する方法が開示されている。
特開2010−154852号公報 特開2013−30605号公報 特開2011−230396号公報
射出成形ではフィルムの薄型化または貫通孔の微細化が困難である。また、型への樹脂充填および取り出しの工程が必要であり、ロールツーロール状のフィルムへの処理が不可能であることから生産性が低いという問題がある。また、電子線加工では多大な加工時間を要するために生産性が低く、量産適用が困難という問題がある。また、エッチングでは深さ方向に均一な孔径を形成することが困難であるという問題がある。さらに、特許文献1や特許文献2に開示されているインプリント技術では、開口部端面にバリの少ない貫通孔を形成することは困難である。理由として、樹脂変形が粘弾性特性により支配されており、孔を開ける塑性変形には適さないことが挙げられる。特許文献3に開示されている溶融転写技術による製造方法では、型への樹脂の塗布、および、型の加熱冷却、製品の取り出しの工程が必要であり、ロールツーロール状フィルムへの処理が不可能であることから生産性が低いという問題がある。
上記課題を解決するために、本発明では以下の熱可塑性フィルムの製造方法を提供する。
(1)融点Tm1を有する熱可塑性樹脂P1を含むA層、および、ガラス転移温度Tg2を有する熱可塑性樹脂P2を含むB層が少なくとも積層された積層構造体に対して、突起構造を表面に有する金型を、Tm1以上かつTg2以上の温度まで加熱し、該積層構造体のA層側に押し当てることにより、A層に貫通孔を形成し、B層に前記貫通孔に連通する凹部を形成することを特徴とする熱可塑性フィルムの製造方法。
(2)融点Tm1を有する熱可塑性樹脂P1を含むA層、および、ガラス転移温度Tg2を有する熱可塑性樹脂P2を含むB層が少なくとも積層された積層構造体に対して、突起構造を表面に有する金型を、Tm1以上かつTg2以上の温度まで加熱し、該積層構造体のA層側に押し当てることにより、A層に貫通孔を形成し、B層に前記貫通孔に連通する凹部を形成し、さらにその後、前記A層と前記B層を剥離し、前記A層を含む貫通孔を有する熱可塑性フィルムを得ることを特徴とする熱可塑性フィルムの製造方法。
(3)前記融点Tm1と前記ガラス転移温度Tg2との差(Tm1−Tg2)が−30〜60℃であることを特徴とする(1)または(2)に記載の熱可塑性フィルムの製造方法。
(4)前記融点Tm1と前記ガラス転移温度Tg2との差(Tm1−Tg2)が−10〜0℃であることを特徴とする(3)に記載の熱可塑性フィルムの製造方法。
(5)前記熱可塑性樹脂P1がポリエチレンまたはポリプロピレンであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の熱可塑性フィルムの製造方法。
(6)前記熱可塑性樹脂P2がポリメタクリル酸メチルまたはポリカーネートであることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の熱可塑性フィルムの製造方法。
(7)前記貫通孔の孔径が1〜100μmであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の熱可塑性フィルムの製造方法。
(8)前記A層の厚みが5〜50μmであることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の熱可塑性フィルムの製造方法。
(9)前記突起構造が錘形状と円柱形状とを連結させた構造であることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載の熱可塑性フィルムの製造方法。
本発明によれば、融点Tm1を有する熱可塑性樹脂P1を含むA層、および、ガラス転移温度Tg2を有する熱可塑性樹脂P2を含むB層が少なくとも積層された積層構造体に対して、突起構造を表面に有する金型をTm1以上かつTg2以上の温度に加熱し、該積層構造体のA層側に押し当てることにより、A層に所望の位置及び密度分布で配置され、所望の形状を有する貫通孔を形成することができる。
本発明の貫通孔を有する熱可塑性フィルムの製造方法にかかる実施態様の一例を示したフロー図である。 本発明の貫通孔を有する熱可塑性フィルムの製造方法にかかる実施態様の一例を示したフロー図である。 本発明の製造方法に適用する金型の一例を示す斜視図である。 本発明に適用する金型の一例を示す断面図である。 本発明の貫通孔を有するフィルムの製造方法を実現する装置の一例を示す断面概略図である。 本発明の貫通孔を有するフィルムの製造方法を実現する装置の一例を示す断面概略図である。 実施例1に記載の本発明の製造方法により製造したフィルムの走査型電子顕微鏡による表面写真である。 実施例1に記載の本発明の製造方法により製造したフィルムの走査型電子顕微鏡による断面写真である。 実施例2に記載の本発明の製造方法により製造したフィルムの走査型電子顕微鏡による表面写真である。 実施例2に記載の本発明の製造方法により製造したフィルムの走査型電子顕微鏡による断面写真である。 比較例1に記載の本発明の製造方法により製造したフィルムの走査型電子顕微鏡による表面写真である。 比較例1に記載の本発明の製造方法により製造したフィルムの走査型電子顕微鏡による断面写真である。
本発明は、貫通孔を有する熱可塑性フィルムの製造方法に関する。
本発明に係る製造方法の一つは、融点Tm1を有する熱可塑性樹脂P1を含むA層、および、ガラス転移温度Tg2を有する熱可塑性樹脂P2を含むB層が少なくとも積層された積層構造体に対して、突起構造を表面に有する金型を、Tm1以上かつTg2以上の温度まで加熱し、該積層構造体のA層側に押し当てることにより、A層に貫通孔を形成し、B層に前記貫通孔に連通する凹部を形成することを特徴とする熱可塑性フィルムの製造方法である。
また、本発明に係るもう一つの製造方法は、融点Tm1を有する熱可塑性樹脂P1を含むA層、および、ガラス転移温度Tg2を有する熱可塑性樹脂P2を含むB層が少なくとも積層された積層構造体に対して、突起構造を表面に有する金型を、Tm1以上かつTg2以上の温度まで加熱し、該積層構造体のA層側に押し当てることにより、A層に貫通孔を形成し、B層に前記貫通孔に連通する凹部を形成し、さらにその後、前記A層と前記B層を剥離し、前記A層を含む貫通孔を有する熱可塑性フィルムを得ることを特徴とする熱可塑性フィルムの製造方法である。
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1、図2は本発明の貫通孔を有する熱可塑性フィルムの製造方法にかかる実施態様の一例を示したフロー図である。図3は本発明の製造方法に適用する金型の一例を示す斜視図である。
最初に、図1(a)に示すようにA層11とB層12が積層された積層構造体10と、表面に独立した突起構造が所定位置に配置された金型20を準備する。A層11は融点Tm1の熱可塑性樹脂P1を含み、B層はガラス転移温度Tg2の熱可塑性樹脂P2を含む。
ここで、各層に含まれる各熱可塑性樹脂の割合としては、層全体を100質量%としたときにその熱可塑性樹脂を60質量%以上含むことが好ましい。さらには、80質量%以上含むことがより好ましい。また各層には、熱可塑性樹脂P1または熱可塑性樹脂P2以外に、成形性や離型性を付与するための添加物やコーティング成分が含まれていてもよい。なお、上限値は特に限定されるものではないが、100質量%が実質的な上限となる。
また、A層とB層との界面は剥離が可能であることが好ましく、A層とB層との界面は、コーティング等により形成された粘着剤の作用を利用してラミネートされていることが好ましい。また、本実施態様ではA層とB層の2層積層構成を説明しているが、B層を挟んでA層と反対側に別の層を設けてもよい。A層表面のコーティングにA層と同じ構成の材料を適用すれば、成形後の平面性が高くなるため好ましい。
積層構造体とは、異なる成分を含む層が2層以上積層された構造体をいう。なお、積層構造体はロールツーロールで搬送される連続体フィルムであってもよいし、枚葉体シートであってもよい。
ガラス転移温度とは、JIS K 7244−4(1999)に記載の方法に準じた方法により、試料動的振幅速さ(駆動周波数)は1Hz、引張りモード、チャック間距離5mm、昇温速度2℃/分での温度依存性(温度分散)を測定したときに、tanδが極大となる温度のことである。
また、ここでいう融点とはDSC(示差熱量分析)により得られる、昇温過程(昇温速度:20℃/分)における融点Tmであり、上述と同様にJIS K 7121(1999)に基づいた方法により、25℃から300℃まで20℃/分の昇温速度で加熱(1stRUN)、その状態で5分間保持し、次いで25℃以下となるよう急冷し、再度室温から20℃/分の昇温速度で300℃まで昇温を行って得られた2ndRunの結晶融解ピークにおけるピークトップの温度でもってその樹脂の融点とする。
本発明では、表面に突起構造21を有する金型20を加熱しておく。加熱は金型がTm1以上かつTg2以上の温度範囲となるように行う。加熱は金型と積層構造体が接触している状態で行ってもよい。接触させておくことにより、積層構造体の平面性を良好な状態で保持させておくことができる。
なお、金型の加熱温度の上限値は限定されるものではないが、熱可塑性樹脂P1の熱分解点以下であり、かつ、熱可塑性樹脂P2の熱分解点以下であることが好ましい。
次に、図1(b)に示すように、加熱した状態の積層構造体10のA層11の表面に、突起構造面が接触するように金型20を加圧して押し当てる。加圧されることにより、突起構造21が適正な高さを有すれば、突起構造がA層11を突き抜けて、B層12まで突き刺さる。そして、図1(c)に示されるように、金型20と積層構造体10とが隙間なく当接した状態となる。
この時の必要な圧力と加圧時間はフィルムの材質、転写形状、特に凹凸のアスペクト比に依存するものであり、概ねプレス圧力の好ましい範囲は1〜100MPa、成形時間の好ましい範囲は0.01〜60秒である。
プレス圧力のより好ましい範囲は10〜80MPaであり、さらに好ましい範囲は30〜60MPである。また、成形時間のより好ましい範囲は1〜50秒であり、さらに好ましい範囲は3〜30秒である。
また、位置制御によって金型20を積層構造体10に押し当ててもよい。すなわち、あらかじめ設定された位置に金型20を移動させて積層構造体10に押し当ててもよい。あらかじめ設定された位置とは、A層の表面に金型の突起構造を含む平面が隙間無く当接できる位置のことである。
なお、昇圧後に金型の位置を保持したまま除圧して金型20と積層構造体10の接触状態を保持してもよい。
次に、図1(c)に示すように、加圧した状態または接触した状態を保持したままで、金型を冷却する。冷却はB層を構成する熱可塑性樹脂P2のガラス転移温度Tg2以下まで行うことが好ましい。Tg2以下まで冷却することにより、金型20を積層構造体10から剥離した後での樹脂変形を抑制することができ、精度の高い貫通孔形成が可能となるため好ましい。
次に、図1(d)に示すように、積層構造体10を金型20から剥離する。剥離は、積層構造体の表面に対して垂直方向に金型や積層構造体を離間するように移動させる。積層構造体が連続体のフィルムの場合には連続的に積層構造体の表面に対して垂直方向に張力を与えて、線状の剥離位置が連続的に移動するようにして剥離することが好ましい。この状態で保持して、貫通孔を有するフィルムを使用する直前でB層を剥離することにしてもよい。B層はカバーフィルムとして役割を持ち、使用する直前で剥離すれば表面に傷がつきにくく、また、使用直前まで厚く剛性の高いフィルムとして扱えるので作業性が良いため好ましい。
また、図2は、上述した剥離工程を追加したものである。図2(a)〜(d)は図1(a)〜(d)と同じであるので説明を省略する。図2(e)ではA層11をB層12から剥離する。剥離は、A層またはB層の表面に対して垂直方向にA層またはB層に張力を与えて、線状の剥離位置が連続的に移動するようにして剥離することが、剥離跡を抑制する観点から好ましい。
図1または図2を用いて説明した上記の工程を実施することにより、A層11が高精度に形状が制御された貫通孔を有するフィルムとなる。上記の製造方法により、A層は成形時には溶融状態であるので、突起構造を押し付けたときのA層は粘性材料に近い挙動で塑性変形を引き起こし、開口部端面でのバリの少ない貫通孔が形成される。また、さらに、突起パターン(突起構造)が押し込まれた時に、B層では粘弾性変形を引き起こし、B層の内部に突起構造がスムーズに進入できるので、A層とB層との界面でもバリの少ない綺麗な端面を形成できる。
また、本発明において、A層11に含まれる熱可塑性樹脂P1の融点Tm1とB層に含まれる熱可塑性樹脂P2のガラス転移温度Tg2との差であるTm1−Tg2が、−30〜60℃であることが好ましい。−30℃未満ではB層の変形に大きな力を要するために、貫通孔形成時において、突起構造のスムーズなB層への進入が妨げられる場合がある。60℃より高くなるとB層の弾性が低下する場合があり、A層とB層の界面の平面性が低下する場合がある。
本発明において、Tm1−Tg2が5〜60℃であることも好ましい態様の一つである。つまり、A層11に含まれる熱可塑性樹脂P1の材質としては融点Tmが、B層に含まれる熱可塑性樹脂P2のガラス転移温度Tg2よりも5〜60℃高いことが好ましい。より好ましくは20〜50℃であり、さらに好ましくは30〜40℃である。5℃未満ではB層の変形に大きな力を要するために、貫通孔形成時において、突起構造のスムーズなB層への進入が妨げられる場合がある。60℃より高くなるとB層の弾性が低下する場合があり、A層およびB層の平面性が低下する場合がある。
また、A層とB層の境界面におけるA層の開口部でバリを極限まで抑制し、かつ、高精度で成形するという観点からは、融点Tm1とガラス転移温度Tg2との差(Tm1−Tg2)が−10〜0℃であることが好ましい。−10℃未満では開口の寸法精度が低下する場合がある。0℃より高くなると端面でのバリが発生する場合がある。
すなわち、成形時においてB層は一定の範囲の固さであることが、A層とB層の界面の良好な平面性と、開口部でバリの抑制された高精度な貫通孔成形を両立する上で好ましい。また、成形時の金型の温度におけるB層に含まれる樹脂の貯蔵弾性率が0.005〜0.5GPa、さらに好ましくは、0.01〜0.1GPaの範囲であることにより、A層とB層の界面の平面性と、貫通孔成形における開口部でバリ抑制をより高めることができる。0.005GPa未満では、A層とB層の界面の平面性が低下し、A層に貫通孔が形成されなかったり、貫通孔の開口部にバリが発生しやすくなったりする場合がある。一方、0.5GPaを超えると、B層で変形しにくくなり、金型の突起構造が奥まで挿入されず、所定の形状精度の貫通孔成形が難しくなる場合がある。
A層11を構成する熱可塑性樹脂の主たる成分としては、具体的に好ましくは、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂が金型の離型性が良いので好ましく用いられる。なお、主たる成分とはA層を構成する樹脂全体を100質量%としたときに50質量%以上を占める成分をいう。なお、主たる成分は50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。なお、上限値は特に限定されるものではないが、100質量%が実質的な上限となる。
本発明において、熱可塑性樹脂P1がポリエチレンまたはポリプロピレンであることが好ましい。ポリエチレンまたはポリプロピレンを用いることによって、比較的低い温度で貫通孔を成形することが可能となるため、生産性を高めやすい。
B層12を構成する熱可塑性樹脂の主たる成分としては具体的に好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂ポリエーテル系樹脂、ポリエステルアミド系樹脂、ポリエーテルエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、またはポリ塩化ビニル系樹脂などが好ましく用いられる。特に好ましくは、ポリメタクリル酸メチルである。なお、主たる成分とはB層を構成する樹脂全体を100質量%としたときに50質量%以上を占める成分をいう。なお、主たる成分は50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。
本発明において、熱可塑性樹脂P2はポリメタクリル酸メチルまたはポリカーボネートであることが好ましい。特に好ましくは、ポリメタクリル酸メチルである。ポリメタクリル酸メチルまたはポリカーボネートを用いることによって、貫通孔に連通する凹部を精度良く成形することが可能となる。
A層やB層は上述の樹脂の単体からなる層であっても構わないし、複数の樹脂層からなる積層体であってもよい。この場合、単体の層と比べて離型性や耐摩擦性などの表面特性等を付与することができる。このように複数の樹脂層からなる積層体とした場合でも、A層およびB層の各層において、主たる熱可塑性樹脂成分が前述の要件を満たせばよい。
また、A層およびB層の製造方法としては、熱可塑性樹脂を溶融押出により製膜するのが良い。表層に離型層や粘着層などを設ける場合は、共押し出ししてフィルム状に加工する方法を用いれば良いが、製膜後にコーティングにより設けてもよい。また、単膜で作製したフィルムに表層原料を押出ラミネートする方法を用いてもよい。また、A層とB層との積層は、ロールで挟圧してラミネートする方法の他、加熱されたロールなどにより熱ラミネートする方法等を適用することができる。
さらに、本発明に適用するフィルムには、重合時または重合後に各種の添加剤を加えることができる。添加配合することができる添加剤の例としては、例えば、有機微粒子、無機微粒子、分散剤、染料、蛍光増白剤、酸化防止剤、耐候剤、帯電防止剤、離型剤、増粘剤、可塑剤、pH調整剤および塩などが挙げられる。特に、離型剤として、長鎖カルボン酸、もしくは長鎖カルボン酸塩、などの低表面張力のカルボン酸やその誘導体、および、長鎖アルコールやその誘導体、変性シリコーンオイルなどの低表面張力のアルコール化合物等を重合時に少量添加することが好ましく行われる。
また、本発明に適用されるA層の好ましい厚さ(厚み、膜厚)としては5〜50μmの範囲内にあることが好ましく、より好ましくは10〜40μm、さらに好ましくは10〜30μmである。5μm未満ではハンドリングするのが困難となる場合がある。また、50μmより大きい場合、貫通孔形成時に金型の先端温度が変化しやすく、貫通時に端面にバリが発生しやすくなる場合がある。
また、貫通孔の孔径は1〜100μmが好ましい。より好ましくは20〜80μmであり、特に好ましくは30〜50μmである。ここで、孔径とは、A層のB層側表面に形成された開口部の孔径である。円であれば直径であり、円でない場合は、開口部を等面積の円に置き換えたときの直径である。孔径が1μm未満では精度上困難な場合があり、また、100μmより大きい場合では、貫通孔形成に大きな加圧力を必要とし、装置が大型化する場合がある。なお、100μmより大きい場合は打ち抜き等、機械的な加工が適していることが多い。
次に、金型形状について図3、図4を用いて説明する。図3は本発明に適用する金型の一例を示す斜視図であり、図4(a)(b)は本発明に適用する金型の一例を示す断面図である。
金型20の外表面には、突起構造21が所定位置に配置されている。突起構造とは、金型上に設けられた凸部構造をいい、突起構造は同一の形状のみが金型上に設けられていてもよいし、複数の異なる形状が設けられていてもよい。
突起構造の配置や密度は、製品仕様として求められる貫通孔の配置や密度と同じとするのが好ましい。一般的には100nm〜1mmのピッチである。なお、ピッチとは突起構造の繰り返し間隔のことをいう。
金型の材質は、強度と熱伝導率が高い金属が好ましく、例えばニッケルや鋼、ステンレス鋼、銅などが好ましい。また、外表面に加工性を向上させるために鍍金を施したものを使用してもよい。
突起構造の高さや断面形状は、要求される貫通孔の形状やフィルムの厚みによって決定される。突起構造の高さについては、A層11の厚みを突き抜ける長さであることが好ましい。すなわち、成形時に金型20が積層構造体10に密着した時に、A層11を突き抜ける高さであることが好ましい。
具体的な形状の例を図4(a)(b)で説明する。図4(a)において示される突起構造は円錐と円柱を連結させた突起構造である。図4(b)において示される突起構造は円錐のみの突起構造である。いずれの形状であっても先端は平坦よりも尖っている方が好ましい。特に、突起構造が錘形状と円柱形状の連結構造が好ましい。先端が錘形状であることにより、成形開始時に積層構造体に加わる圧力を高くして変形しやすくするためである。また、途中から円柱形状になることにより、寸法精度の高い、孔径が一定の貫通孔を形成することができる。なお、上記に挙げた形状以外に角錐型と四角柱とを組み合わせた構成などでもよい。
表面に突起構造を有する各金型の作成方法は、金属表面に直接切削やレーザー加工や電子線加工を施工する方法、金属表面に形成した鍍金皮膜に直接切削やレーザー加工や電子線加工を施工する方法、これらを電気鋳造を施す方法などが挙げられる。また、レジストを基板の上に塗布した後、フォトリソグラフィー手法によって所定のパターンニングでレジストを形成した後、基板をエッチング処理して凹部を形成し、レジスト除去後に電気鋳造でその反転パターンを得る方法などが挙げられる。異方性エッチングを適用することにより錐状のパターンを得ることができる。基板としては金属板の他にシリコン基板等も適用できる。
貫通孔とは、層の一方の面から他方の面まで突き抜けている空間のことをいう。また、貫通孔に連通する凹部とは、突起構造によりA層に形成された貫通孔に連結するB層の凹部をいう。
本発明の貫通孔を有するフィルムは、例えば図5、図6に示すような装置を介したプロセスによって製造することが可能である。図5、図6は、A層とB層の積層からなるフィルム状積層構造体のA層に貫通孔を形成し、さらにA層とB層とを剥離することにより、A層からなる貫通孔を有するフィルムを製造するための製造装置の断面概略図を示している。
図5に示す例では、あらかじめA層からなるフィルムとB層からなるフィルムを積層した積層構造体50を巻出ロール51から引き出す巻出ユニット52と、表面に突起構造が形成され加熱された金型53を、間欠的に送られてくる積層構造体50に押し付けて加圧し、その後、接触状態を保持したまま冷却することにより、積層構造体50のA層50aに所定の貫通孔を形成する。同時にB層には突起構造により貫通孔に連通する凹部が形成される。
所定の貫通孔を形成する加圧転写工程用のプレスユニット54と、加圧転写工程で金型53に貼り付いた積層構造体50を金型53から剥離する剥離手段55と、A層50aからなるフィルムとB層50bからなるフィルムとを剥離するフィルム剥がし装置56を経て、各フィルムは各巻取ロール57、58に巻き取られる。剥離手段55は、積層構造体50をS字状に抱き付かせるように把持する一対の平行配置ロールからなる。間欠的に送られてきた積層構造体50の一面がプレスユニット54内で金型53によって熱成形され、熱成形後に、上記剥離手段55が上流側に向けて移動されることにより、金型53に貼り付いていた積層構造体50が金型53から順次剥離されるようになっている。
なお、図5において、59は加圧プレート、60、61は積層構造体50の金型53部分における間欠搬送を円滑に行わせるために設けられたバッファ手段を示している。このようなプロセスにより、A層への貫通孔形成とB層への凹部の形成(熱成形)を、間欠的に高い生産性をもって、行うことが可能になる。
図6に示す例では、A層71とB層72を構成するフィルムが各巻出ロール73、74から引き出され、ラミネート装置75により積層構造体70を形成する。その後、積層構造体70は、加熱ロール76により、加熱された表面に突起構造が形成されたエンドレスベルト状の金型77上に供給される。
金型77の外表面には突起構造が形成されて、積層構造体70と接触する直前に加熱ロール76によって加熱される。連続的に供給される積層構造体70はニップロール78により金型77の突起構造が加工された表面に押し付けられ、積層構造体のA層71に貫通孔が形成される。同時にB層72に貫通孔に連通する凹部が形成される。
その後、積層構造体70は、金型77の表面と密着された状態で冷却ロール79の外表面位置まで搬送される。積層構造体70は、冷却ロール79によって金型77を介して熱伝導により冷却された後、剥離ロール80によって金型77から剥離され、A層からなるフィルムとB層からなるフィルムに剥離するフィルム剥がし装置81を経て、各フィルムは巻取ロール82、83に巻き取られる。このようなプロセスにより、貫通孔が形成されたA層からなるフィルムを連続的に高い生産性をもって熱成形していくことが可能になる。
[用途例]
以上の熱可塑性フィルムの製造方法では、ミクロンサイズからナノサイズの微細な孔径の形状を自由に設計することができ、さらに熱可塑性フィルムを安価に生産性良く製造することができる。本発明の製造方法により得られた熱可塑性フィルムは、ミクロンサイズからナノサイズの微細な孔径が均一に形成されているため、通孔が必要な濾過、細胞培養、細胞分離、ガス透過、透湿等において好適に用いられる。
(実施例1)
(1)積層構造体
A層にポリプロピレンを主体としたポリマー(融点が144℃)を含む厚み30μmのフィルムを、B層にポリメタクリル酸メチル(PMMA)を主体としたポリマー(ガラス転移温度が105℃)を含む厚み175μmのフィルムを用いた。なお、A層の一方の表層には低密度ポリエチレンを主体とした厚さ6μmの粘着層を有する。A層の粘着層をB層の表面に貼り合わせるようにラミネートし、積層構造体を構成した。
(2)金型
三角錐の突起構造が全面に配置された金型を用いた。三角錐は底面が一辺が230μmの正三角形で、高さが70μmであり、全面に隙間なく配置されている。突起構造が加工されている領域は200mm(フィルム幅方向)×400mm(フィルム搬送方向)の領域である。金型の材質は厚さ20mmの銅を母材として表面にニッケル鍍金膜を施したものに、鍍金膜に三角錐パターンを機械加工により形成した。
(3)成形装置および条件
装置は図5に示すような装置を適用した。プレスユニットは油圧ポンプで加圧される機構で、内部に加圧プレートが上下に2枚取り付けられ、それぞれ、加熱装置、冷却装置に連結されている。金型は下側の加圧プレートの上面に設置される。また、金型に貼りついたフィルムを剥離するための剥離手段がプレスユニット内に設置されている。
成形時の金型温度は150℃とし、加圧力としては全面で5MPaの圧力がかかるようにした。加圧時間としては30秒であった。また、剥離時の金型温度は80℃であった。金型からフィルムを剥離することによって、A層とB層を有する熱可塑性フィルムであって、A層に貫通孔を有し、B層に前記貫通孔に連通する凹部を有する熱可塑性フィルムを得た。
かかる熱可塑性フィルム(金型から剥離したフィルム)を、引き続き連続的に、下流側の巻き取り装置側に送り出し、A層とB層を剥離し、各々巻き取った。これによって、貫通孔を有するA層を含む熱可塑性フィルムを得た。
(4)成形結果
成形したフィルム(A層)の走査型電子顕微鏡((株)キーエンス VE−7800)で撮影した写真を図7、図8に示す。図7はA層を金型接触面から見た写真で、図8はA層の断面を見た写真である。設計どおり一辺が45μmの三角形の開口部を有する貫通孔が均一に形成された。開口部の三角形の形状を等面積の円に置き換えると孔径は33μm相当となる。また、B層からなるフィルムには、三角錐の突起形状に対応した貫通孔に連通する凹部が均一に形成されていた。
(実施例2)
(1)積層構造体
A層にポリプロピレンを主体としたポリマー(融点が144℃)を含む厚み30μmのフィルムを、B層にポリカーボネート(PC)を主体としたポリマー(ガラス転移温度が146℃)を含む厚み180μmのフィルムを用いた。なお、A層の一方の表層には低密度ポリエチレンを主体とした厚さ6μmの粘着層を有する。A層の粘着層をB層の表面に貼り合わせるようにラミネートし、積層構造体を構成した。
(2)金型
三角錐の突起構造が全面に配置された金型を用いた。三角錐は底面が一辺が230μmの正三角形で、高さが70μmであり、全面に隙間なく配置されている。突起構造が加工されている領域は200mm(フィルム幅方向)×400mm(フィルム搬送方向)の領域である。金型の材質は厚さ20mmの銅を母材として表面にニッケル鍍金膜を施したものに、鍍金膜に三角錐パターンを機械加工により形成した。
(3)成形装置および条件
装置は図5に示すような装置を適用した。プレスユニットは油圧ポンプで加圧される機構で、内部に加圧プレートが上下に2枚取り付けられ、それぞれ、加熱装置、冷却装置に連結されている。金型は下側の加圧プレートの上面に設置される。また、金型に貼りついたフィルムを剥離するための剥離手段がプレスユニット内に設置されている。
成形時の金型温度は160℃とし、加圧力としては全面で5MPaの圧力がかかるようにした。加圧時間としては30秒であった。また、剥離時の金型温度は80℃であった。金型からフィルムを剥離することによって、A層とB層を有する熱可塑性フィルムであって、A層に貫通孔を有し、B層に前記貫通孔に連通する凹部を有する熱可塑性フィルムを得た。
かかる熱可塑性フィルム(金型から剥離した)フィルムを、引き続き連続的に、下流側の巻き取り装置側に送り出し、A層とB層を剥離し、各々巻き取った。これによって、貫通孔を有するA層を含む熱可塑性フィルムを得た。
(4)成形結果
成形したフィルム(A層)の走査型電子顕微鏡((株)キーエンス VE−7800)で撮影した写真を図9、図10に示す。図9はA層を金型接触面から見た写真で、図10はA層の断面をみた写真である。設計どおり一辺が45μmの三角形の開口部を有する貫通孔が均一に形成された。開口部の三角形の形状を等面積の円に置き換えると孔径は33μm相当となる。また、図10からわかるように、図10におけるA層の下側の表面(剥離前にB層と接触していた面)の平面性が高く、バリの少ない貫通孔フィルムが得られた。
また、B層からなるフィルムには、三角錐の突起形状に対応した貫通孔に連通する凹部が均一に形成されていた。
(比較例1)
(1)積層構造体
A層にポリプロピレンを主体としたポリマー(融点が144℃)を含む厚み30μmのフィルムを、B層にポリメタクリル酸メチル(PMMA)を主体としたポリマー(ガラス転移温度が105℃)を含む厚み175μmのフィルムを用いた。なお、A層の一方の表層には低密度ポリエチレンを主体とした厚さ6μmの粘着層を有する。A層の粘着層をB層の表面に貼り合わせるようにラミネートし、積層構造体を構成した。
(2)金型
三角錐の突起構造が全面に配置された金型を用いた。三角錐は底面が一辺が230μmの正三角形で、高さが70μmであり、全面に隙間なく配置されている。突起構造が加工されている領域は200mm(フィルム幅方向)×400mm(フィルム搬送方向)の領域である。金型の材質は厚さ20mmの銅を母材として表面にニッケル鍍金膜を施したものに、鍍金膜に三角錐パターンを機械加工により形成した。
(3)成形装置および条件
装置は図5に示すような装置を適用した。プレスユニットは油圧ポンプで加圧される機構で、内部に加圧プレートが上下に2枚取り付けられ、それぞれ、加熱装置、冷却装置に連結されている。金型は下側の加圧プレートの上面に設置される。また、金型に貼りついたフィルムを剥離するための剥離手段がプレスユニット内に設置されている。
成形時の金型温度は130℃とし、加圧力としては全面で5MPaの圧力がかかるようにした。加圧時間としては30秒であった。また、剥離時の金型温度は80℃であった。剥離したフィルムを下流側の巻き取り装置側に送り出し、A層とB層を剥離し、各々巻き取った。
(4)成形結果
成形したフィルム(A層)の走査型電子顕微鏡((株)キーエンス VE−7800)で撮影した写真を図11、図12に示す。図11はA層を金型接触面から見た写真で、図12はA層の断面を見た写真である。A層に貫通孔が得られなかった。また、図12からわかるように、図12におけるA層の下側の表面(剥離前にB層と接触していた面)の平面性が不良であった。
10:積層構造体
11:A層
12:B層
20:金型
21:突起構造
50:積層構造体
50a:A層
50b:B層
51:巻出ロール
52:巻出ユニット
53:金型
54:プレスユニット
55:剥離手段
56:フィルム剥がし装置
57、58:巻取ロール
59:加圧プレート
60、61:バッファ手段
62:巻取ユニット
70:積層構造体
71:A層
72:B層
73、74:巻出ロール
75:ラミネート装置
76:加熱ロール
77:金型
78:ニップロール
79:冷却ロール
80:剥離ロール
81:フィルム剥がし装置
82、83:巻取ロール

Claims (9)

  1. 融点Tm1を有する熱可塑性樹脂P1を含むA層、および、ガラス転移温度Tg2を有する熱可塑性樹脂P2を含むB層が少なくとも積層された積層構造体に対して、突起構造を表面に有する金型を、Tm1以上かつTg2以上の温度まで加熱し、該積層構造体のA層側に押し当てることにより、A層に貫通孔を形成し、B層に前記貫通孔に連通する凹部を形成することを特徴とする熱可塑性フィルムの製造方法。
  2. 融点Tm1を有する熱可塑性樹脂P1を含むA層、および、ガラス転移温度Tg2を有する熱可塑性樹脂P2を含むB層が少なくとも積層され、前記A層と前記B層とが互いに接する積層構造体に対して、突起構造を表面に有する金型を、Tm1以上かつTg2以上の温度まで加熱し、該積層構造体のA層側に押し当てることにより、A層に貫通孔を形成し、B層に前記貫通孔に連通する凹部を形成し、さらにその後、前記A層と前記B層を剥離し、前記A層を含む貫通孔を有する熱可塑性フィルムを得ることを特徴とする熱可塑性フィルムの製造方法。
  3. 前記融点Tm1と前記ガラス転移温度Tg2との差(Tm1−Tg2)が−30〜60℃であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性フィルムの製造方法。
  4. 前記融点Tm1と前記ガラス転移温度Tg2との差(Tm1−Tg2)が−10〜0℃であることを特徴とする請求項3に記載の熱可塑性フィルムの製造方法。
  5. 前記熱可塑性樹脂P1がポリエチレンまたはポリプロピレンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性フィルムの製造方法。
  6. 前記熱可塑性樹脂P2がポリメタクリル酸メチルまたはポリカーボネートであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性フィルムの製造方法。
  7. 前記貫通孔の孔径が1〜100μmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性フィルムの製造方法。
  8. 前記A層の厚みが5〜50μmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の熱可塑性フィルムの製造方法。
  9. 前記突起構造が錘形状と円柱形状とを連結させた構造であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の熱可塑性フィルムの製造方法。
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