JP6377852B2 - 木製ボードの仕上げ方法 - Google Patents

Description

本発明は、上面と底面を有する木製ボードにおいて、少なくとも上面又は底面を液状合成樹脂からなる層で覆い、合成樹脂が染み込んだ少なくとも1つの紙層を載せた後、この構造をプレス機により高圧かつ高温度で加圧することで合成樹脂を溶解させ木製ボードと接合する、木製ボードの仕上げ方法に関する。

前述の方法は、例えばＥＰ２７４３０９４Ａ１から公知である。担体ボードの上面を合成樹脂で覆うことによって、単に一面が含浸された装飾紙を使用しても良い結果が得られるとされている。その理由は、担体ボード上を覆う液状樹脂が、装飾紙の裏面で事前に乾燥させられた含浸剤を部分的に溶解させ、装飾紙を担体ボードにより速く接着させるからである。装飾紙を載せる前に、液体として塗布された合成樹脂層の上面を乾燥させなければならない。

ＤＥ１０２００７０１２２３６Ｂ４では、木製ボードの上面を、先ず紙からなる担体層で覆う。その担体層上に装飾層を載せた後に、装飾層を密封ラッカー層で覆う。続いて、そのラッカー層を電子ビームにより完全に硬化させ、ラッカー層内にパターンがエンボスされる。

続いて、上述のように仕上げられた大型積層ボードから床装材、壁装材、又は天井装材として機能する個別のパネルを切り取る。このパネルの側端には、さね継ぎを構成しても良い。紙構造を有する積層ボードでは、結合剤を添加し、材料を何層にも熱圧して結合させる際に生じる層間剥離が問題となる。層間剥離は、しばしば見かけ上は泡として見られる。また、パネル端部からの紙層はがれとして見られる。

層間剥離を回避するために、板を直接覆うことが行われてきたこともある。

ＤＥ１９７５１１１５Ａ１には、少なくとも1つのカラー層で加圧法、特にスクリーン印刷により表面を覆う、パネルを覆う方法が記載されている。ここで、表面は未処理で、又はやすりがけするか前処理し、特にラッカーで覆っても良い。最後に、適用されたカラー層をクリアラッカーで覆っても良い。

ＤＥ１０２００４０２６７３９Ａ１には、木製ボードの上面をローラーにより下塗りして乾燥させる方法が記載されている。乾燥した下塗りは第一と第二のラッカー層で覆い紫外線により硬化させるが、この硬化は完了されない。最後に、はじめのラッカー層の各々を、紫外線により硬化する上塗りで覆った後、最上ラッカー層を塑性的に変形する。ここで、直圧は非常にコストがかかる上、圧力上昇における介在物を回避するために慎重に実行しなければならない。更に、次の層を液体として覆う前に各層を十分に乾燥させることによって、染料の混合を避けなければならない。

直圧技術を使用する場合、つまり各層を担体ボード上に直接適用する場合、仕上がる積層パネルは、紙層が除かれるので、従来製造法で製造されるパネルに比べて薄くなる。それは流れ作業の際、つまりパネル製造のために大型の被覆積層ボードを分割する際に問題につながる。パネルがＤＩＮ１３３２９規格の厚さより小さく構成されないように、高い品質保証管理が必要となり、それゆえに製造時間が長くなり製造コストが高くなってしまう。また、直接被覆によるボードの積層高さは紙層適用によるボードの積層高さと明らかに異なるため、結局、業者及び／又は最終消費者を混乱させてしまう。

既知のボード製造では、通常、その上面が凡そ０．３ｍｍやすりがけされるＨＤＦボード又はＭＤＦボードを担体ボードとして採用する。担体ボードの上面と底面には、成形膜（プレス・パティナ又は腐食層とも呼ばれる）が形成されている。この成形膜は、繊維マットの加圧成形時に、刷版（又はプレス機の帯）の熱い表面により形成される。成形膜の厚さは凡そ０．３ｍｍである。ボード上面の粗さの深さを減少させるために、被覆工程前に、成形膜を完全にやすりがけし、心材から凡そ０．１ｍｍにまで磨き取る。従って、ボードをそれに応じて厚く構成しなければならないため、製造コストに影響を与える。直圧技術によって６．０ｍｍの厚さを有する標準的床用積層ボードを製造するためには、担体ボードは少なくとも０．６１ｍｍでなければならない。

例えばＥＰ２２３６３１３には、成形膜を磨き取る必要があると記載されている。その理由は、成形膜の領域では熱プレスによる入熱が高いため、接着剤が異常に速く硬化し、それゆえに接着ボンドが少なくとも部分的に割れて、適用される層が損傷を受けやすくされてしまうからである。接着ボンドが割れることで、仕上げたパネルにおける担体ボード上の装飾層及び耐摩耗層が剥がれやすくなってしまう。木材に典型的な大きさで、気候変動に由来する通常の応力を受けてすら発生し得るこのような層間剥離は、顧客にとって許容し難いだろう。

従って、その厚さが前述の規格許容範囲内である耐摩耗積層パネルの需要が大きい。また、更なる工程及び／又は更なる材料によってもたらされる追加コストを大きく回避する資源節約的な製造方法の需要がある。

この課題に鑑みて、少なくとも１つの紙層が適用される木製ボードの仕上げ方法を改善し、紙層と木製ボード上面の間により強い接着を実現することによって層間剥離が確実に回避される。ここで、出来る限り一般の完全に含浸した紙が使用される。

課題を解決するために、本発明による方法では、上面及び／又は底面をいまだに成形膜がある状態でやすりがけせずに提供すると共に、液状合成樹脂が完全に成形膜に吸収され層が積極的に乾燥することが避けられ、かつ紙層が成形膜に載せられるように、層で薄く覆う。

驚くべきことに、直圧技術から周知である前述の合成樹脂塗料は、木製ボードの上面及び／又は底面に対する紙層の粘着性をかなり向上することが解った。通常装飾紙である紙は合成樹脂が染み込んでいるため、そのより良い粘着性は、積層時により多くの樹脂が使用されているからであると仮定することもできる。しかしその仮定は誤りであって、周知のように、装飾紙に樹脂を染み込ませ非常に吸収性を持つ紙を使用しても、つまりそれゆえに合成樹脂が積層構造に吸収される作用が向上しても、層間剥離に伴う現象は発生する。このような構造では、層間剥離を確実に回避することができない。

実験から明らかなように、紙層に含浸された樹脂はＥＰ２７４３０９４Ａ１のように溶解しない。ここで、成形膜に完全に浸み込んだ合成樹脂は不活性である。

粘着性が向上した理由は、上面及び／又は底面がミル仕上げ状態、つまり未処理状態で、かつ全ての成形膜が提供されるからである。成形膜に侵入することによって、液体として塗布された合成樹脂は、成形膜とともに後に適用される装飾紙のための最適な基盤に形成される。

液状合成樹脂は、ロールオン式で、塗布で、こてで、又はスプレー式で適用することができる。

積極的に乾燥させないことによって製造工程が加速され、かつかなりのエネルギー節約が実現される。

液状合成樹脂は、望ましくは５〜１００ｇ／ｍ^２、特に望ましくは５〜５０ｇ／ｍ^２又は５〜２５ｇ／ｍ^２で適用する。

合成樹脂は、望ましくはメラミン樹脂、又は尿素樹脂、又はメラミンー尿素樹脂混合物である。

合成樹脂対水の割合が±１０％の許容誤差で６０:４０であるコーティングで良い結果が得られた。

合成樹脂は、添加剤、特に硬化剤、及び／又は湿潤剤、及び／又は熱可塑性ポリマーを含んでも良い。

前述の紙層は、望ましくは加圧成形前に合成樹脂からなる耐摩耗性皮膜で被覆される。この耐摩耗性皮膜は、合成樹脂が染み込んだオーバーレイ紙によって生成され得る。紙層は、望ましくは装飾紙内にある。耐摩耗性皮膜は、液体として覆うことも可能である。また、耐摩耗性皮膜のために、紙層上に合成樹脂粒子をまき散らすことも考えられる。

本発明の方法によって仕上げられる木製ボードは、上面上に紙構造を有する一般の積層ボードに対応するが、以前に適用された液状合成樹脂層により紙構造と木製ボードの間の粘着性がかなり改善されるという重要な点で相違する。従って耐摩耗性皮膜は、積層ボードの耐摩耗性を向上するために、耐摩耗粒子、例えばコランダムを含み得る。積層構造の加圧成形時、耐摩耗性皮膜にパターンをエンボスすることが可能である。そのパターンは、装飾に対応しても良い（「同調細孔」）。装飾は木目調又は汚れ止めパネル調であっても良い。木目において、パターンは、描写される木材表面における木目の流れ、節穴又は細孔に対応する。汚れ止めパネルの場合、パターンは間隙に対応する。

紙層を含む一般的な積層構造に対する改善は、図面から明らかである。各図面には、上面(０ｍｍ)から木材の中心(３ｍｍ)までの被覆ＭＤＦボードの嵩密度プロファイルが示されている。

図１は、成形膜を完全に除去するために上面がやすりがけされた標準ＭＤＦボードを含む積層構造を示す。 図２は、上面がやすりがけされていない標準ＭＤＦボードを示す。 図３は、本発明の方法により処理された標準ＭＤＦボードを示す。

図１は成形膜を完全に除去するために上面がやすりがけされた標準ＭＤＦボードを含む積層構造を示している。やすりがけされた上面には、合成樹脂で含浸された装飾紙層と、その上にオーバーレイ紙層が載せられ加圧接合されている。最上層の引張強度は、２．０±０．１Ｎ／ｍ^２である。上面における１９００ｋｇ／ｍ^３の高い嵩密度は、紙構造に由来する。木材中心に近付くと、嵩密度は連続的に低くなる。

図２に示された図形では、上面がやすりがけされていない標準ＭＤＦボード、つまりＭＤＦボードの成形膜が完全であって、成形膜上に合成樹脂で含浸された装飾紙層とオーバーレイ紙層が載せられ加圧接合されているＭＤＦボードが使用されている。最上層の耐摩耗性は１．５±０．３Ｎ／ｍである。また、嵩密度は先端において低いが、各紙層によりもたらされるものである。嵩密度は連続的に低くなり、凡そ０．２５ｍｍの深さで高くなり、その上昇は、成形膜が上面から除去されないことに由来する。この際、紙構造と木製ボードの間の接着が悪いため、層間剥離の恐れがある。

図３にて検討されたボードは本発明の方法により処理された標準ＭＤＦボードであり、ミル仕上げの上面を有し、合成樹脂を染み込ませた装飾紙層とオーバーレイ紙層を載せ加圧接合する前に５０ｇ／ｍ^２メラミン樹脂で被覆された標準ＭＤＦボードである。最上層の耐摩耗性は１．９±０．１Ｎ／ｍｍ^２である。嵩密度が最高でほぼ標準ボード（図１）の値に到達するが、その後連続的に低くなり、そして成形膜が除去されていないにもかかわらず嵩密度がもはや高くならないことが明らかである。図２、３の比較から明らかなように、層間剥離に繋がる欠陥が大きく回避され、実質的に閉曲線が生じている。最上層の引張強度は、図１に示される標準構造のレベルであるものの、成形膜をやすりがけする工程が省略されるだけで製造時間が著しく短くなり、コスト削減効果が得られ、かつＭＤＦボードの製造時に磨き取る上面領域をより多くの材料を導入して補う必要がないという側面を考慮すべきである。明らかなように、本発明では層間剥離が確実に回避され、かつ、特定の状況では合成樹脂の成形膜への注入により結合に必要な合成樹脂が予め供給され得るため、紙層への樹脂含浸も減少できる。木製ボードの底面は上面と同じように仕上げても良い。また、上面と底面を完全に等しく処理しても良い。それらの面は同時に仕上げることが望ましい。

Claims (13)

1. 上面と底面を有する木製ボードにおいて、まず、プレス機により高圧かつ高温度で加圧することで前記上面及び／又は前記底面に凡そ０．３ｍｍの成形膜を有する担体ボードを形成し、前記担体ボードの少なくとも前記上面又は前記底面を液状合成樹脂からなる層で覆い、次いで、合成樹脂が染み込んだ少なくとも１つの紙層を載せた後、この構造をプレス機により高圧かつ高温度で加圧することで前記合成樹脂を溶解させ木製ボードの前記上面又は前記底面と接合する、木製ボードの仕上げ方法であって、
   前記上面及び／又は前記底面をいまだに成形膜がある状態でやすりがけせずに提供すると共に、前記液状合成樹脂が完全に前記成形膜に吸収され、前記液状合成樹脂からなる層が積極的に乾燥することが避けられ、かつ前記合成樹脂が染み込んだ紙層が前記成形膜に載せられるように、前記液状合成樹脂からなる層で薄く覆うことを特徴とする、木製ボードの仕上げ方法。
2. 前記上面と前記底面が同様に仕上げられることを特徴とする、請求項１に記載の方法。
3. 前記液状合成樹脂がロールオン式で、塗布で、こてで、又はスプレー式で適用されることを特徴とする、請求項１又は２に記載の方法。
4. 前記合成樹脂が５〜１００ｇ／ｍ^２の量で適用されることを特徴とする、請求項１に記載の方法。
5. 前記合成樹脂が５〜５０ｇ／ｍ^２の量で適用されることを特徴とする、請求項４に記載の方法。
6. 前記合成樹脂が５〜２５ｇ／ｍ^２の量で適用されることを特徴とする、請求項５に記載の方法。
7. 前記合成樹脂がメラミン樹脂、又は尿素樹脂、又はメラミン−尿素樹脂混合物であることを特徴とする、請求項１〜６の何れか一項に記載の方法。
8. 前記合成樹脂対水の割合が±１０％の許容誤差で６０:４０であることを特徴とする、請求項１〜７の何れか一項に記載の方法。
9. 前記合成樹脂に添加剤が含まれていることを特徴とする、請求項１〜８の何れか一項に記載の方法。
10. 前記合成樹脂に硬化剤、及び／又は湿潤剤、及び／又は熱可塑性ポリマーが含まれていることを特徴とする、請求項１〜９の何れか一項に記載の方法。
11. 前記少なくとも１つの紙層が装飾紙であることを特徴とする、請求項１〜１０の何れか一項に記載の方法。
12. 前記紙層が加圧成形前に合成樹脂からなる耐摩耗性皮膜で被覆されることを特徴とする、請求項１〜１１の何れか一項に記載の方法。
13. 前記紙層上にオーバーレイ紙が載せられることを特徴とする、請求項１２に記載の方法。

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