JP6358790B2 - 容器詰乳成分含有飲料用添加剤 - Google Patents

容器詰乳成分含有飲料用添加剤 Download PDF

Info

Publication number
JP6358790B2
JP6358790B2 JP2013190652A JP2013190652A JP6358790B2 JP 6358790 B2 JP6358790 B2 JP 6358790B2 JP 2013190652 A JP2013190652 A JP 2013190652A JP 2013190652 A JP2013190652 A JP 2013190652A JP 6358790 B2 JP6358790 B2 JP 6358790B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
milk
mass
container
beverage
packed
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013190652A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015053925A (ja
Inventor
敦史 山下
敦史 山下
根津 亨
亨 根津
憲司 池田
憲司 池田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Adeka Corp
Original Assignee
Adeka Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Adeka Corp filed Critical Adeka Corp
Priority to JP2013190652A priority Critical patent/JP6358790B2/ja
Publication of JP2015053925A publication Critical patent/JP2015053925A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6358790B2 publication Critical patent/JP6358790B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Non-Alcoholic Beverages (AREA)

Description

本発明は、容器詰飲料の保存中に生じる劣化臭や、乳成分等に由来するフェザリング、オイルオフを抑制することのできる容器詰飲料用添加剤に関する。
現在、様々な飲料が缶やペットボトル等の容器に密封された容器詰飲料として販売され、保存性の良さや場所を問わず手軽に飲むことができることから、広く流通している。これらの容器詰飲料は、一般に高温/高圧での殺菌処理がなされることにより、食品衛生上の品質が保たれている。
しかし、容器詰飲料は高温/高圧殺菌後の保存中に、レトルト食品等に共通する好ましくない風味(レトルト臭)や、容器内の蒸れたような風味(ムレ臭)等の劣化臭が生じ、それが経日的に強まることが知られている。特に、乳脂や乳タンパク質といった乳成分を多く含有している乳成分含有飲料では、乳成分の凝集(フェザリング)や乳化破壊による油分の分離(オイルオフ)が生じやすく、さらに経時的にムレ臭が顕著に感じられるようになってしまう。なお、乳成分を多く含有している乳成分含有飲料ではフェザリングやオイルオフを防止するために、一般的にはカゼインナトリウムを添加することが行われているが、カゼインナトリウムによってかえってレトルト臭やムレ臭が強くなり、さらに後味が悪くなる場合もあった。
そのため、容器詰飲料の風味劣化、特に乳成分を多く含有する乳成分含有飲料の風味劣化を解決すべく、これまでに各種検討が行われてきた。
例えば、亜硫酸塩および/または二酸化硫黄を添加するレトルト殺菌乳製品の製造法(特許文献1)、L−ヒスチジン塩酸塩をコーヒー飲料に対し0.01〜1.5重量%添加した加熱殺菌処理コーヒー飲料(特許文献2)、ラムザンガムを含有する乳入り飲料用乳化安定剤(特許文献3)が開示されている。
しかし、特許文献1の方法は褐変化の抑制には一定の効果があるものの、レトルト臭やムレ臭の抑制には課題があった。また、特許文献2の加熱殺菌処理コーヒー飲料では、フェザリングやオイルオフの抑制をするために別途カゼインナトリウムが必要になる場合があり、これらに起因する劣化臭の抑制効果に課題があった。特許文献3の乳入り飲料用乳化安定剤を用いた乳入り飲料では乳入り飲料の粘度が高くなることで後味に雑味が残り、すっきりとした風味とならない場合があった。
このように、容器詰飲料の劣化臭、特に乳成分を多く含有する乳成分含有飲料におけるムレ臭を抑制しながら、すっきりとした風味を実現するには課題が残されていたのが現状である。
特開平8−308491号公報 特開2005−137266号公報 特開2007−159573号公報
よって本発明の目的は、保存中に発生しやすい劣化臭が抑えられた容器詰飲料を提供することにある。とくに、容器詰飲料が乳成分を多く含有する場合であっても、フェザリングやオイルオフを生じることなく、ムレ臭の発生が抑制され、すっきりとした風味が保持された容器詰飲料を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決すべく種々検討した結果、乳由来のリン脂質及び乳タンパク質を含有し、乳由来のリン脂質1質量部に対し乳タンパク質を1〜15質量部含有する水性液を容器詰飲料用添加剤として使用することで、上記の課題を解決できることを見出した。本発明は上記知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は乳由来のリン脂質及び乳タンパク質を含有し、乳由来のリン脂質1質量部に対し乳タンパク質を1〜15質量部含有する水性液であることを特徴とする、容器詰飲料用添加剤である。
本発明の容器詰飲料用添加剤によれば、保存中の劣化臭が抑えられた容器詰飲料を得ることができる。とくに、乳成分を多く含有する場合であっても、フェザリングやオイルオフを生じることなく、ムレ臭の発生が抑制された、すっきりとした風味を有する容器詰飲料を提供することができる。
以下、本発明の容器詰飲料用添加剤について詳述する。
本発明の容器詰飲料用添加剤は、乳由来のリン脂質及び乳タンパク質を含有し、乳由来のリン脂質1質量部に対し乳タンパク質を1〜15質量部、好ましくは1.2〜13質量部、より好ましくは1.5〜10質量部、最も好ましくは2〜5質量部含有する水性液である。
上記水性液中に、乳由来のリン脂質1質量部に対して乳タンパク質が1質量部よりも少なく含まれている場合、水性液を容器詰飲料用添加剤として使用した際に、容器詰飲料の劣化臭を十分に抑えることができない。また、15質量部よりも多く含まれている場合は、容器詰飲料の劣化臭を十分に抑えることができないことに加え、容器詰飲料が乳脂や乳タンパク質といった乳成分を多く含有している乳成分含有飲料であると、フェザリングやオイルオフが生じてしまう。
例えば、牛乳は、リン脂質と乳タンパク質を含有する安定な水中油型乳化物であるが、乳タンパク質含量が3.3〜3.8質量%、リン脂質含量が0.03〜0.04質量%と、リン脂質1質量部に対する乳タンパク質の含有量は100質量部前後と、上述の水性液とは、該含量比が大きく異なる。そのため、牛乳を多く含有する容器詰飲料は、容器詰飲料の劣化臭を十分に抑えることができないほか、フェザリングやオイルオフが生じてしまう。
なお、上記水性液中の乳由来のリン脂質の含有量は、該水性液の固形分を基準として好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、最も好ましくは5質量%以上である。
乳由来のリン脂質としてはホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、リゾリン脂質等が挙げられる。
また、上記水性液中の乳タンパク質の含有量は、該水性液の固形分を基準として好ましくは20〜40質量%、より好ましくは23〜37質量%、最も好ましくは25〜35質量%である。
上記乳タンパク質としては、例えばα−ラクトアルブミンやβ−ラクトグロブリン、ラクトアルブミン等のホエイタンパク質、カゼイン、またこれらの乳タンパク質を含有する脱脂粉乳、全粉乳、トータルミルクプロテイン等が挙げられる。
また、本発明の容器詰飲料用添加剤である上記水性液中の固形分含量は2〜60質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましく、10〜40質量%が最も好ましい。
本発明の容器詰飲料用添加剤は、水性液であることが必要である。粉末状や顆粒状、あるいは可塑性などのその他の性状であると、容器詰飲料の製造時にリン脂質と乳タンパク質を有効な状態で溶解させることができず、本発明の効果が得られない。また、沈殿や濁り、あるいはダマが生じる問題が生じるおそれもある。
なお、本発明において、水性液とは、水溶液のほか、水相を主体として少量の油溶性成分が分散した水中油型乳化物を含むものとする。
本発明の容器詰飲料用添加剤には、水性液における乳由来のリン脂質及び乳タンパク質の比率に影響しない範囲において、その他の原料を含有させることができる。
上記その他の原料としては、アルギン酸類、ペクチン、海藻多糖類、カルボキシメチルセルロース等の増粘多糖類や、でんぷん類、ブドウ糖、果糖、乳糖、ショ糖、麦芽糖、ソルビトール、ステビア等の甘味料、ビタミン類、香料、酸化防止剤、光沢剤、乳清ミネラルなどが挙げられ、これらの一種または二種以上のものが適宜選択して用いられる。
次に、本発明の容器詰飲料用添加剤である、上記水性液を得る方法について述べる。
本発明の容器詰飲料用添加剤である上記水性液は、乳由来のリン脂質及び乳タンパク質、あるいはこれらを含有する乳原料を使用し、乳由来のリン脂質含有量1質量部に対し乳タンパク質が1〜15質量部となるように混合するか、あるいは水又は水性液に溶解することにより得ることができる。
具体的には、リン脂質含有量1質量部に対し乳タンパク質が1〜15質量部を含有する乳原料そのもの(以下、単に「乳原料」ということもある)を使用する方法のほか、乳由来のリン脂質を多く含有する原料と乳タンパク質を多く含有する原料とを、乳由来のリン脂質1質量部に対し乳タンパク質が1〜15質量部となるように混合する方法、また乳由来のリン脂質及び乳タンパク質を多く含有する原料へ乳由来のリン脂質及び/又は乳タンパク質を添加し、乳由来のリン脂質1質量部に対し乳タンパク質を1〜15質量部となるように調整する方法等が挙げられる。
本発明においては上記方法の中でも、上記乳原料を使用することが、より経日的な劣化臭を抑える効果が高く、とくに乳成分を含有する場合にフェザリングやオイルオフを効果的に抑えることができる点で好ましい。
上記乳原料の具体的な例としては、クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分があげられ、牛乳、ヤギ乳、ヒツジ乳、人乳などの乳から製造されたものであるのが好ましく、特に牛乳から製造されたものであるのが好ましい。
上記のクリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法は、例えば以下の通りである。まず、牛乳を遠心分離して得られる脂肪濃度30〜40質量%のクリームをプレートで加温し、遠心分離機によってクリームの脂肪濃度を70〜95質量%まで高める。次いで、乳化破壊機で乳化を破壊し、再び遠心分離機で処理することによってバターオイルが得られる。本発明で用いられる上記水相成分は、最後の遠心分離の工程でバターオイルの副産物として発生するものである。
上記のバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法は、例えば以下の通りである。まず、バターを溶解機で溶解し熱交換機で加温する。これを遠心分離機で分離することによってバターオイルが得られる。本発明で用いられる上記水相成分は、最後の遠心分離の工程でバターオイルの副産物として発生するものである。該バターオイルの製造に用いられるバターとしては、通常のものが用いられる。
本発明では上記の乳原料をさらに濃縮したものや乾燥したもの、冷凍処理をしたものなどを用いることも可能であるが、最終的に得られる容器詰飲料用添加剤として本発明の効果がより大きい点で、乾燥工程を経ていないものを使用することが好ましい。また、溶剤を用いて濃縮したものは風味上の問題から用いないのが好ましい。
上記乳原料は、均質化処理を行っても良い。均質化処理は1回でも良く、2回以上行っても良い。該均質化処理に用いられる均質化機としては、例えば、ケトル型チーズ乳化釜、ステファンミキサーの様な高速せん断乳化釜、スタティックミキサー、インラインミキサー、バブル式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル、ディスパーミルなどがあげられる。均質化圧力は特に制限はないが、好ましくは0〜100MPaである。2段式ホモゲナイザーを用いて均質化処理をする場合は、例えば、1段目3〜100MPa、2段目0〜5MPaの均質化圧力にて行っても良い。
上記乳原料は、UHT加熱処理を行っても良い。UHT加熱処理の条件としては特に制限はないが、温度条件は好ましくは120〜150℃であり、処理時間は好ましくは1〜6秒である。
本発明では、上記の乳原料中のリン脂質の一部または全部がリゾ化されたリゾ化物を使用することもできるが、風味の面からリゾ化物は使用しない方が好ましい。リゾ化物を使用した場合、用途によっては最終的に得られる容器詰飲料に苦味が生じる場合がある。
なお、該リゾ化物は、乳原料をそのままリゾ化したものや乳原料を濃縮した後にリゾ化したものが挙げられる。これらのリゾ化物は本発明におけるリン脂質の含有量に含めるものとする。
上記の乳原料中のリン脂質をリゾ化する場合には、ホスホリパーゼAで処理する方法が挙げられる。ホスホリパーゼAは、リン脂質分子のグリセロール部分と脂肪酸残基とを結びつけている結合を切断し、この脂肪酸残基を水酸基で置換する作用を有する酵素である。ホスホリパーゼAは、作用する部位の違いによってホスホリパーゼA1とホスホリパーゼA2とに分かれるが、ホスホリパーゼA2が好ましい。ホスホリパーゼA2の場合、リン脂質分子のグリセロール部分の2位の脂肪酸残基が選択的に切り離される。
本発明におけるリン脂質の定量は、例えば以下のような方法にて測定することができる。
ここでは、上記乳原料の場合を例に説明する。但し、抽出方法などについては乳原料の形態などによって適正な方法が異なるため、以下の定量方法に限定されるものではない。
まず、乳原料の脂質をFolch法を用いて抽出する。次いで、抽出した脂質溶液を湿式分解法(日本薬学会編、衛生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に記載の湿式分解法に準じる)にて分解した後、モリブデンブルー吸光度法(日本薬学会編、衛生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に記載のリンのモリブデン酸による定量に準じる)によりリン量を求める。求められたリン量から以下の計算式を用いて乳原料の乳固形分100g中のリン脂質の含有量(g)を求める。
リン脂質(g/100g)=〔リン量(μg)/(乳原料−乳原料の水分(g))×25.4×(0.1/1000)
本発明の容器詰飲料用添加剤は、pHが3〜6であることが好ましい。容器詰飲料用添加剤のpHがこの範囲であると、容器詰飲料の経日的な劣化臭を効果的に抑えることができるほか、該容器詰飲料が乳成分含有飲料である場合においては、フェザリングやオイルオフを長期にわたり抑制でき、さらには容器詰飲料をよりすっきりとした風味とすることができるためである。なお、上記pHは好ましくはpH4〜6、より好ましくは4.7〜5.8である。
本発明の容器詰飲料用添加剤がpH3〜6となるようにする方法としては、たとえば上記「乳由来のリン脂質1質量部に対し乳タンパク質を1〜15質量部含有する水性液」に対し酸を添加したり乳酸醗酵等によりpHが3〜6となるように調整する方法が挙げられる。
本発明においては、簡便かつ効率的であるほか、酸の種類を適宜変えることにより風味を調節することも可能となるため、容器詰飲料用添加剤に酸を添加しpH3〜6となるように調整する方法が好ましい。
容器詰飲料用添加剤のpHを調整するために酸を添加する場合において使用する酸は、無機酸であっても有機酸であってもよいが、有機酸であることが好ましい。該有機酸としては、酢酸、乳酸、クエン酸、グルコン酸、フィチン酸、ソルビン酸、アジピン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、アスコルビン酸等が挙げられ、果汁、濃縮果汁、発酵乳、ヨーグルトなどの有機酸を含有する飲食品も用いることができるが、本発明においてはより酸味が少なく、風味に影響しない点でフィチン酸、及び/またはグルコン酸を使用することが好ましい。
水中油型乳化脂用乳化材のpHを3〜6とするために酸を使用する場合、酸の使用量には特に制限はなく、風味を考慮しながら、水中油型乳化脂用乳化材のpHが3〜6となるように使用すればよい。上記pHとなるように酸で調整する場合の温度条件、処理時間は特に制限なく任意の条件を設定することができるが、好ましくは0〜70℃条件下で30秒以上攪拌することが好ましい。
本発明の容器詰飲料用添加剤には、さらにカルシウムを添加することが好ましい。カルシウム塩の添加量は容器詰飲料用添加剤に含まれるリン脂質1質量部に対して0.01〜1質量部であることが好ましく、0.02〜0.5質量部であることがより好ましい。
上記範囲でカルシウム塩を含有することで、本発明の効果をより高めることができる。
上記カルシウム塩としては塩化カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、炭酸カルシウム、グルタミン酸カルシウム、アスコルビン酸カルシウム等が例示され、このうち1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明では、容器詰飲料用添加剤である水性液を調製する途中及び/又は調製した後、均質化機にて均質化することが好ましい。均質化処理は1回でも良く、2回以上行っても良い。該均質化処理に用いられる均質化機としては、例えば、ケトル型チーズ乳化釜、ステファンミキサーの様な高速せん断乳化釜、スタティックミキサー、インラインミキサー、バブル式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル、ディスパーミルなどがあげられる。均質化圧力は好ましくは0〜100MPaである。2段式ホモゲナイザーを用いて均質化処理をする場合は、例えば、1段目3〜100MPa、2段目0〜5MPaの均質化圧力にて行なっても良い。
さらに必要に応じてUHT加熱処理を行っても良い。UHT加熱処理の条件としては特に制限はないが、温度条件は好ましくは120〜160℃、さらに好ましくは130〜150℃、最も好ましくは139〜146℃であり、処理時間は好ましくは1〜6秒、さらに好ましくは2〜6秒、最も好ましくは4〜6秒である。
上記の均質化処理とUHT加熱処理は、均質化処理のみを行っても良く、UHT加熱処理のみを行って良く、UHT加熱処理の前及び/または後に均質化処理を行っても良い。
そして急速冷却、徐冷却などの冷却操作を行っても良い。
次に、本発明の容器詰飲料について説明する。
本発明の容器詰飲料は、上記容器詰飲料用添加剤を含有するものである。
本発明の容器詰飲料としては、高温/高圧殺菌処理されるものであればとくに制限されるものではなく、例えばブラックコーヒー・ミルクコーヒー・ラクトコーヒー・コーヒー牛乳・カフェオレなどのコーヒー飲料、ココア飲料、チョコレート飲料、紅茶・ティーオレ・フレーバーティー・スパイスティー・果汁入り紅茶などの紅茶飲料、緑茶・煎茶・番茶・玄米茶・ほうじ茶・抹茶・ハト麦茶・麦茶・ウーロン茶・ルイボスティー・ジャスミン茶・鉄観音茶・プアール茶・ウーロンミックスティー・はぶ茶・くこ茶・うこん茶・はこ茶・薬草茶・昆布茶・しそ茶・椎茸茶・桜茶・あまちゃづる茶・ギムネマ茶・桑の葉茶・杜仲茶・ドクダミ茶・高麗人参茶・柿の葉茶・パーラ茶・羅布麻茶・バナバ茶・クマ笹茶・たんぽぽ茶・減肥茶・柚子茶・日向夏茶・マテ茶・グアバ茶などの茶飲料、麦芽飲料、あめ湯、しょうが湯、くず湯、ニッキ水、レモン湯、100%果汁飲料・果汁入り飲料・果肉飲料などの果汁飲料、トマトジュース・野菜ジュース・トマト及び/または果汁入り野菜ジュース・青汁などの野菜飲料、コーラ・サイダー・クリームソーダ・ラムネ・ルートビア・ジンジャーエール・果汁炭酸・乳酸炭酸・トニックウォーター・ノンアルコールビールなどの炭酸飲料、ミネラルウォーター・炭酸入りミネラルウォーター・炭酸水などの飲料水、スポーツドリンク、栄養ドリンク、健康飲料、ビネガードリンク、食酢飲料、ノンアルコール清酒、ノンアルコール酎ハイ、ノンアルコールカクテル、牛乳、豆乳・果汁豆乳・麦芽豆乳・乳酸発酵豆乳などの豆乳類、乳酸飲料、乳酸菌飲料、ミルクセーキ、チーズドリンク、乳性飲料、香料入り乳飲料、清酒(日本酒)・合成清酒・焼酎(甲類・乙類)・酎ハイ・ハイボール・みりん・ビール・醸造酒・蒸留酒・発泡酒・第3のビール・果実酒・甘味果実酒・ウイスキー・ワイン・ブランデー・スピリッツ・リキュールなどのアルコール飲料などが挙げられる。
本発明においては上記容器詰飲料の中でも、本発明の容器詰飲料用添加剤の効果を最も効果的に発揮できる点で、乳脂や乳タンパク質といった乳成分を多く含有している乳成分含有飲料であることが好ましい。
なお、本発明において、「乳成分を多く含有している」とは、乳の風味が感じられる程度に乳成分を含有していることをいい、好ましくは容器詰飲料中、乳脂及び/又は乳タンパク質を0.5質量%以上含有することを指すものとする。なお、上記乳成分の含有量は、本発明の容器詰飲料用添加剤に含まれる乳脂や乳タンパク質も含めた含有量とする。
上記乳成分含有飲料としては、ミルクコーヒー、コーヒー牛乳、カフェオレ、ティーオレ、乳酸菌飲料、ミルクセーキ、チーズドリンク、乳性飲料、香料入り乳飲料等が挙げられる。
本発明の容器詰飲料における上記容器詰飲料用添加剤の含有量は、容器詰飲料の種類によって適宜選択されるものであるが、好ましくは容器詰飲料中、容器詰飲料用添加剤に含まれるリン脂質含量として好ましくは0.0005〜0.1質量%、より好ましくは0.001〜0.05質量%、最も好ましくは0.003〜0.01質量%となるように添加する。
なお、上記高温/高圧殺菌としては、レトルト殺菌、高温短時間殺菌(HTST)、超高温加熱殺菌(UHT)等が挙げられ、いずれの方法でもかまわない。
本発明の容器詰飲料は、さらに乳清ミネラルを含有することが好ましい。
乳清ミネラルとは、乳又はホエー(乳清)から、可能な限りタンパク質や乳糖を除去したものであり、そのため、高濃度に乳の灰分(ミネラル)を含有し、且つ、固形分に占める灰分の割合が極めて高いという特徴を有する。そして、そのミネラル組成は、原料となる乳やホエー中のミネラル組成に近い比率となる。
本発明で使用すると好ましい乳清ミネラルとしては、容器詰飲料の保存中に生じる劣化臭を抑え、また得られる容器詰飲料がすっきりした風味となる点で、純度が高いこと、即ちタンパク質や乳糖等の不純物含量が低いことが好ましい。即ち、固形分に占める灰分含量が30%以上である乳清ミネラルを使用することが好ましく、固形分に占める灰分含量が50%以上である乳清ミネラルを使用することがより好ましい。尚、該灰分含量は高いほど好ましい。
また、上記乳清ミネラルを乳成分含有飲料に使用した場合の効果として、乳清ミネラルを含有させることで、乳成分の量を減じた場合であっても良好な乳風味を有する乳清分含有飲料を得ることができる点が挙げられる。すなわち、ムレ臭の原因となりやすい乳成分を減じることで、間接的にムレ臭の発生を抑えることができる。
本発明の容器詰飲料における上記乳清ミネラルの含有量は、固形分として好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.03〜2.5質量%、更に好ましくは0.05〜1質量%である。上記乳清ミネラルの含有量が0.01質量%未満であると、劣化臭を抑えたり、すっきりとした風味にする効果が見られず、また、5質量%を超えると、苦味が強く、不快な風味を呈するようになってしまう。
なお、本発明の容器詰飲料が乳成分含有飲料である場合においては、実質的にカゼインナトリウムを含有しないことが好ましい。乳脂や乳タンパク質といった乳成分を多く含有している乳成分含有飲料、例えばミルクコーヒーやミルクティー等の乳成分含有飲料では、一般的にフェザリングやオイルオフを抑制する目的でカゼインナトリウムが添加される。しかし、カゼインナトリウムを添加することで、ホットベンダー等で加熱保存した場合であってもフェザリングやオイルオフを抑えることができる一方で、ムレ臭を強める原因となってしまう。
本発明の容器詰飲料用添加剤によれば、カゼインナトリウムを添加することなくフェザリングやオイルオフを抑えることができる。
なお、上記の「実質的に」含有しないとは、具体的には容器詰飲料中、その含有量が0.01質量%未満、好ましくは0.005質量%未満とする。
本発明の容器詰飲料は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、一般的な容器詰飲料に使用することができるその他の成分を使用することができる。該その他の成分としては、例えば、甘味料、ゲル化剤や安定剤、乳化剤、金属イオン封鎖剤、食塩、岩塩等の塩味剤、無機塩、有機酸塩、ジグリセライド、植物ステロール、植物ステロールエステル、直鎖デキストリン・分枝デキストン・環状デキストン・難消化性デキストリン等のデキストリン類、着香料、苦味料、調味料等の呈味成分、着色料、保存料、酸化防止剤、pH調整剤、強化剤等を配合してもよい。
尚、上記その他の成分の含有量は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下とする。
上記甘味料としては、ブドウ糖、果糖、ショ糖、乳糖、麦芽糖、酵素糖化水飴、還元澱粉糖化物、還元水飴、異性化液糖、ショ糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、還元パラチノース、ソルビトール、還元乳糖、L-アラビノース、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、キシロオリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノース、パラチノースオリゴ糖等の糖類や糖アルコール、スクラロース、アセスルファムカリウム、ステビア、アスパルテーム、ネオテーム、ソーマチン、甘草、サッカリン、羅漢果等の、高甘味度甘味料が挙げられる。これらの甘味料は、単独で用いることもでき、又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。
上記ゲル化剤や安定剤としては、アルギン酸、アルギン酸塩、ペクチン、LMペクチン、HMペクチン、海藻抽出物、海藻エキス、寒天、グルコマンナン、ローカストビーンガム、グアーガム、ジェランガム、タラガントガム、キサンタンガム、カラギーナン、カードラン、タマリンドシードガム、カラヤガム、タラガム、トラガントガム、アラビアガム、カシアガム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリデキストロース等が挙げられる。これらのゲル化剤や安定剤は、単独で用いることもでき、又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。
上記乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、レシチン等が挙げられる。
本発明の容器詰飲料の製造方法は特に制限されず、容器詰飲料製造の際に、本発明の容器詰飲料用添加剤、必要に応じ、上記その他の成分を添加し均質になるように溶解させることによって得ることができる。
次に、本発明の容器詰飲料の劣化臭抑制方法について説明する。
本発明の容器詰飲料の劣化臭抑制方法は、容器詰飲料の製造時に、乳由来のリン脂質及び乳タンパク質を含有し、乳由来のリン脂質1質量部に対し乳タンパク質を1〜15質量部含有する水性液を含有させるものである。
本発明の容器詰飲料の劣化臭抑制方法では、容器詰飲料に上記水性液を、該水性液に含まれる乳リン脂質として0.0005〜0.1質量%、好ましくは0.001〜0.05質量%、好ましくは0.003〜0.01質量%となるように含有させるものである。
なお、上述のとおり上記水溶液は乳風味飲料においてカゼインナトリウムを好適に代替できることから、本発明の劣化臭抑制方法では、上記水性液をカゼインナトリウムの代替として使用するものであることが好ましい。
なお、本発明の主の目的ではないものの、乳由来のリン脂質及び乳タンパク質を含有し、乳由来のリン脂質1質量部に対し乳タンパク質を1〜15質量部含有する水性液を一般的なレトルト食品に用いることももちろん可能である。この場合には、経日的なレトルト臭等の劣化臭を抑制することができる。
本発明のレトルト食品の劣化臭抑制方法では、レトルト食品に上記水性液を、該水性液に含まれる乳リン脂質として0.0005〜0.5質量%、好ましくは0.0005〜0.1質量%、より好ましくは0.001〜0.05質量%、最も好ましくは0.003〜0.01質量%となるように含有させるものである。
レトルト食品の具体例としては、カレー、シチュー、パスタソース等のソース類、ソーセージ、野菜加工品等の加工調理食品等が挙げられる。
次に実施例、及び比較例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、これらは本発明を何ら制限するものではない。
容器詰飲料用添加剤の製造
[表1]に記載した配合のうち、酸(フィチン酸、グルコン酸)以外の成分を55℃条件下で攪拌しながら混合し、続いて酸(フィチン酸、グルコン酸)を添加してそれぞれpHを調整した後、3MPaの圧力で均質化し、製造例1〜6からそれぞれ本発明の容器詰飲料用添加剤A〜Fを得た。また、下記乳原料A’をそのまま容器詰飲料用添加剤Gとした。なお、表1に記載した原料のうち、乳原料A’、及び、バターミルク濃縮物については以下の製造方法によって得られたものであり、そのリン脂質含量及び乳タンパク質含量についても記載した。
なお、各原料中の乳リン脂質、乳タンパク質含有量は以下の通りである。
乳原料A’:クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(リン脂質含有量3.7質量%、タンパク質含有量10.5質量%、乳固形分38質量%、及び乳固形分中のリン脂質の含有量9.7質量%)
バターミルク濃縮物:生クリーム(油分:47質量%)100質量部を10℃条件下でチャーニングし、続いて濾過を行って濾液(43質量部)を回収し、バターミルクを得た。続いて、得られたバターミルクを液量がおおよそ三分の一程度になるように濃縮し、バターミルク濃縮物を得た。(バターミルク濃縮物のリン脂質含有量0.53質量%、タンパク質含有量10.9質量%、乳固形分33質量%)
Figure 0006358790
容器詰飲料の製造
[実施例1]
コーヒー抽出液70質量部(固形分1.5質量%)に、重曹を適量添加しpHを6.6に調整した。続いて牛乳(油分3.8質量%、乳タンパク質含量2.9%)20質量部、グラニュー糖4質量部、シュガーエステル(HLB値16)0.03質量部、上記容器詰飲料用添加剤A0.15質量部を混合・溶解し、さらに水を加え全量が100質量部になるように調製し、65℃で溶解させた。次に均質化した後、スチール缶(容量200ml)に190g入れ、125℃で20分間のレトルト殺菌処理を行い、本発明の容器詰飲料であるコーヒー飲料aを得た。
[実施例2〜6]
容器詰飲料用添加剤Aに代えて、それぞれ容器詰飲料用添加剤B〜F0.15質量部を使用した以外は実施例1と同様にして、本発明の容器詰飲料であるコーヒー飲料b〜fを得た。
[実施例7]
容器詰飲料用添加剤Aに代えて、容器詰飲料用添加剤G(=乳原料A’)0.15質量部を使用した以外は実施例1と同様にして、本発明の容器詰飲料であるコーヒー飲料gを得た。
[実施例8]
容器詰飲料用添加剤A0.15質量部を0.04質量部に変更した以外は実施例1と同様にして、本発明の容器詰飲料であるコーヒー飲料hを得た。
[実施例9]
容器詰飲料用添加剤A0.15質量部を0.25質量部に変更した以外は実施例1と同様にして、本発明の容器詰飲料であるコーヒー飲料iを得た。
[実施例10]
牛乳20質量部を生クリーム(油分45質量%、乳タンパク質含量=2質量%)1.7質量部に変更した以外は実施例1と同様にして、本発明の容器詰飲料であるコーヒー飲料jを得た。
[実施例11]
コーヒー抽出液70質量部(固形分1.5質量%)に、重曹を適量添加しpHを6.6に調整した。続いて牛乳(油分3.8質量%)20質量部、グラニュー糖4質量部、シュガーエステル(HLB値16)0.03質量部、カゼインナトリウム0.1質量部、上記容器詰飲料用添加剤A0.15質量部を混合・溶解し、さらに水を加え全量が100質量部になるように調製し、65℃で溶解させた。次に均質化した後、スチール缶(容量200ml)に190g入れ、125℃で20分間のレトルト殺菌処理を行い、本発明の容器詰飲料であるコーヒー飲料kを得た。
[実施例12]
容器詰飲料用添加剤A0.15質量部に代えて、容器詰飲料用添加剤G(=乳原料A’)0.15質量部を使用した以外は実施例11と同様にして、本発明の容器詰飲料であるコーヒー飲料lを得た。
[実施例13]
コーヒー抽出液70質量部(固形分1.5質量%)に、重曹を適量添加しpHを6.6に調整した。続いて牛乳(油分3.8質量%、乳タンパク質含量2.9%)10質量部、グラニュー糖4質量部、乳清ミネラル(固形分98質量%、固形分中の灰分量は55質量%)0.06質量部、糖アルコール0.65質量部、シュガーエステル(HLB値16)0.03質量部、上記容器詰飲料用添加剤A0.15質量部を混合・溶解し、さらに水を加え全量が100質量部になるように調製し、65℃で溶解させた。次に均質化した後、スチール缶(容量200ml)に190g入れ、125℃で20分間のレトルト殺菌処理を行い、本発明の容器詰飲料であるコーヒー飲料mを得た。
[実施例14]
カゼインナトリウム0.1質量部を0.02質量部とした以外は実施例11と同様にして、本発明の容器詰飲料であるコーヒー飲料nを得た。
[実施例15]
シュガーエステル(HLB値16)0.03質量部を0.08質量部とした以外は、実施例1と同様にして、本発明の容器詰飲料であるコーヒー飲料oを得た。
[実施例16]
コーヒー抽出液70質量部(固形分1.5質量%)に、重曹を適量添加しpHを6.6に調整した。続いて牛乳(油分3.8質量%、乳タンパク質含量2.9%)20質量部、グラニュー糖4質量部、シュガーエステル(HLB値16)0.03質量部、ポリグリセリン脂肪酸エステル0.1質量部、上記容器詰飲料用添加剤A0.15質量部を混合・溶解し、さらに水を加え全量が100質量部になるように調製し、65℃で溶解させた。次に均質化した後、スチール缶(容量200ml)に190g入れ、125℃で20分間のレトルト殺菌処理を行い、本発明の容器詰飲料であるコーヒー飲料pを得た。
[実施例17]
コーヒー抽出液70質量部(固形分1.5質量%)に、重曹を適量添加しpHを6.6に調整した。続いて牛乳(油分3.8質量%、乳タンパク質含量2.9%)20質量部、グラニュー糖4質量部、シュガーエステル(HLB値16)0.03質量部、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル(DATEM)0.1質量部、上記容器詰飲料用添加剤A0.15質量部を混合・溶解し、さらに水を加え全量が100質量部になるように調製し、65℃で溶解させた。次に均質化した後、スチール缶(容量200ml)に190g入れ、125℃で20分間のレトルト殺菌処理を行い、本発明の容器詰飲料であるコーヒー飲料qを得た。
[比較例1]
コーヒー抽出液70質量部(固形分1.5質量%)に、重曹を適量添加しpHを6.6に調整した。続いて牛乳(油分3.8質量%、乳タンパク質含量2.9%)20質量部、グラニュー糖4質量部、シュガーエステル(HLB値16)0.03質量部、カゼインナトリウム0.1質量部を混合・溶解し、さらに水を加え全量が100質量部になるように調製し、65℃で溶解させた。次に均質化した後、スチール缶(容量200ml)に190g入れ、125℃で20分間のレトルト殺菌処理を行い、比較例の容器詰飲料であるコーヒー飲料rを得た。
[比較例2]
コーヒー抽出液70質量部(固形分1.5質量%)に、重曹を適量添加しpHを6.6に調整した。続いて牛乳(油分3.8質量%、乳タンパク質含量2.9%)20質量部、グラニュー糖4質量部、シュガーエステル(HLB値16)0.03質量部、カゼインナトリウム0.1質量部、バターミルクパウダー(リン脂質含有量1.67質量%、タンパク質含有量32.7質量%、油分7質量%)0.5質量部を混合・溶解し、さらに水を加え全量が100質量部になるように調製し、65℃で溶解させた。次に均質化した後、スチール缶(容量200ml)に190g入れ、125℃で20分間のレトルト殺菌処理を行い、比較例の容器詰飲料であるコーヒー飲料sを得た。
本発明の容器詰飲料であるコーヒー飲料a〜q及び比較例の容器詰飲料であるコーヒー飲料r〜sを室温(25℃)に戻した後、調製直後の劣化臭(レトルト臭、ムレ臭)及び風味について下記評価基準で評価を行った。
さらに、5℃、60℃条件下でそれぞれ保存し、5℃で保存したものについては4週間後に劣化臭、風味を評価した。60℃で保存したものについては1週間毎3週間まで劣化臭、風味について同様に評価し、3週間経過時には乳化安定性についても評価を行った。
結果を[表2]に示す。
<評価基準>
・乳化安定性の評価
各コーヒー飲料を容器にあけた際のフェザリング、オイルオフについて下記基準で評価した。
◎:フェザリングはほとんどなく、オイルオフはまったく見られず、非常に良好である。
○:わずかにフェザリングが見られるものの容易に分散する程度であり、オイルオフはまったく見られず、良好である。
△:フェザリング、オイルオフが見られ、やや不良である。
×:フェザリング、オイルオフが激しく、不良である。
・劣化臭の評価基準
各コーヒー飲料を口にふくんだときの劣化臭を、15人のパネラーにて官能試験した。
基準は、各実施例ごとに同配合でレトルト殺菌処理を行っていないコーヒー飲料(すなわち調製直後のもの)とし、比較したときに違いを感じないものに2点、わずかに好ましくない臭いを感じたものに1点、強く好ましくない臭いを感じたものに0点を与え、合計点が27点以上のものを◎+、24〜26点のものを◎、20〜23点のものを○、15〜19点のものを△、14点以下のものを×とした。
・風味の評価基準
各コーヒー飲料を口にふくんだときの風味を、15人のパネラーにて官能試験した。
すっきりとした爽やかな風味を感じたものに2点、すっきりとせず後に残る風味を感じたものに0点、どちらともいえないものに1点を与え、合計点が27点以上のものを◎+、24〜26点のものを◎、20〜23点のものを○、15〜19点のものを△、14点以下のものを×とした。
Figure 0006358790
<コーンポタージュスープ>
スイートコーン(塩化ナトリウム含量0.5質量%)30質量部、牛乳5質量部、脱脂粉乳(塩化ナトリウム含量1.5 質量%)5質量部、無塩バター1質量部、薄力粉1質量部、糊化澱粉1質量部、ホワイトペッパー0.1質量部、これに水を加え100質量部とし、75℃で15分間撹拌、混合しコーンポタージュスープを得た。続いて、得られたコーンポタージュスープ98.85質量部に対し、容器詰飲料用添加剤A0.15質量部を添加し、続いてスチール缶(容量200ml)に180g入れ、115℃で30分間のレトルト殺菌を行い、本発明の容器詰飲料であるコーンポタージュスープaを得た。
一方、上記容器詰飲料用添加剤A0.15質量部をカゼインナトリウム0.1質量部に代えた以外は、同様の配合・製法で製造された比較例であるコーンポタージュスープbを用意した。
得られた2種のコーンポタージュスープを比較試食したところ、本発明の容器詰飲料であるコーンポタージュスープaは、比較例であるコーンポタージュスープbに比べてすっきりとした風味が感じられ、さらに60℃で2週間保存した場合の劣化臭は明らかに抑制されていた。
<ミルクティー>
1280mlの熱湯に市販の紅茶ティーバッグ8個を2分浸漬し、紅茶抽出液を得た。この紅茶抽出液83.9質量部に、容器詰飲料用添加剤A0.15質量部、牛乳10質量部、グラニュー糖6質量部、シュガーエステル0.03質量部を加え、65℃で混合した。次に均質化した後、スチール缶(容量200ml)に190g入れ、125℃で20分間のレトルト殺菌を行い、本発明の容器詰飲料であるミルクティーaを得た。
一方、容器詰飲料用添加剤A0.15質量部をカゼインナトリウム0.15質量部に代えた以外は、同様の配合・製法で製造された比較例であるミルクティーbを用意した。
得られた2種のミルクティーを比較試飲したところ、本発明の容器詰飲料であるミルクティーaはすっきりとした風味が得られ、さらに60℃で2週間保存した場合の劣化臭は明らかに抑制されていた。
<抹茶ミルク>
牛乳10質量部、グラニュー糖8.8質量部、脱脂粉乳3.3質量部、カゼインナトリウム0.1質量部、粉末抹茶1.3質量部、容器詰飲料用添加剤A0.15質量部、これに水を加え100質量部とし、65℃で10分間混合、溶解した。次に均質化した後、スチール缶(容量200ml)に190g入れ、125℃で20分間のレトルト殺菌を行い、本発明の容器詰飲料である抹茶ミルクaを得た。一方、容器詰飲料用添加剤A0.15質量部をカゼインナトリウム0.15質量部に代えた以外は、同様の配合・製法で製造された比較例である抹茶ミルクbを用意した。
得られた2種の抹茶ミルクを比較試飲したところ、本発明の容器詰飲料である抹茶ミルクaはすっきりとした風味が得られ、さらに60℃で2週間保存した場合の劣化臭は明らかに抑制されていた。

Claims (3)

  1. 乳由来のリン脂質及び乳タンパク質を含有し、乳由来のリン脂質1質量部に対し乳タンパク質を1〜15質量部含有する水性液である容器詰乳成分含有飲料用添加剤であって、
    前記容器詰乳成分含有飲料はコーヒー飲料、ティーオレ、抹茶ミルク又はコーンポタージュスープであり、
    上記水性液は、クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分からなる乳原料と有機酸とを含有し、
    上記水性液がpH3〜6であり、
    前記容器詰乳成分含有飲料用添加剤の乳成分含有飲料に対する使用量が、該乳成分含有飲料中、該容器詰乳成分含有飲料用添加剤に含まれるリン脂質含量として0.0005〜0.1質量%となる量であることを特徴とする、容器詰乳成分含有飲料用添加剤。
  2. 請求項記載の容器詰乳成分含有飲料用添加剤を含有する、容器詰乳成分含有飲料。
  3. 乳由来のリン脂質及び乳タンパク質を含有し、乳由来のリン脂質1質量部に対し乳タンパク質を1〜15質量部含有し、且つpHが3〜6である水性液を含有させる容器詰乳成分含有飲料の劣化臭抑制方法であって、
    前記容器詰乳成分含有飲料はコーヒー飲料、ティーオレ、抹茶ミルク又はコーンポタージュスープであり、
    上記水性液は、クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分からなる乳原料と有機酸とを含有し、
    前記容器詰乳成分含有飲料に対し、前記水性液を該水性液に含まれるリン脂質含量が該容器詰乳成分含有飲料中に0.0005〜0.1質量%となる量添加することを特徴とする容器詰乳成分含有飲料の劣化臭抑制方法。
JP2013190652A 2013-09-13 2013-09-13 容器詰乳成分含有飲料用添加剤 Active JP6358790B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013190652A JP6358790B2 (ja) 2013-09-13 2013-09-13 容器詰乳成分含有飲料用添加剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013190652A JP6358790B2 (ja) 2013-09-13 2013-09-13 容器詰乳成分含有飲料用添加剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015053925A JP2015053925A (ja) 2015-03-23
JP6358790B2 true JP6358790B2 (ja) 2018-07-18

Family

ID=52818767

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013190652A Active JP6358790B2 (ja) 2013-09-13 2013-09-13 容器詰乳成分含有飲料用添加剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6358790B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6625860B2 (ja) * 2015-10-21 2019-12-25 株式会社Adeka レトルト処理食品用水中油型乳化物
JP6760752B2 (ja) * 2016-04-01 2020-09-23 株式会社Adeka 容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤
JP2019080554A (ja) * 2017-10-31 2019-05-30 株式会社 伊藤園 容器詰乳含有飲料およびその製造方法
JPWO2021002423A1 (ja) * 2019-07-03 2021-01-07

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6485043A (en) * 1987-09-24 1989-03-30 Taiyo Kagaku Kk Preparation of stable coffee beverage containing milk component
JP2601950B2 (ja) * 1991-01-09 1997-04-23 名古屋製酪株式会社 クリーム状組成物
JP4390375B2 (ja) * 2000-08-10 2009-12-24 株式会社Adeka 水中油型乳化脂
JP4437885B2 (ja) * 2002-01-25 2010-03-24 雪印乳業株式会社 二重乳化油脂組成物およびその製造法
JP5077982B2 (ja) * 2006-04-07 2012-11-21 雪印メグミルク株式会社 脂肪蓄積抑制剤
JP2012231756A (ja) * 2011-05-06 2012-11-29 Adeka Corp 水中油型乳化物
JP5851152B2 (ja) * 2011-08-11 2016-02-03 株式会社Adeka レトルト処理食品用水中油型乳化物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015053925A (ja) 2015-03-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7045189B2 (ja) ウェランガム含有組成物
CA2862697C (en) Dairy mineral-fortified liquid dairy products and methods for making the dairy mineral-fortified liquid dairy products
US20090061064A1 (en) Plant sterol-containing milk beverage and process for production thereof
US20110281009A1 (en) Milk-flavored beverage
JP2014050336A (ja) 乳風味増強剤
TWI536916B (zh) 減低乳清蛋白質含量之乳組成物及含乳飲料
JP6358790B2 (ja) 容器詰乳成分含有飲料用添加剤
JP2013039068A (ja) ゼロカロリーのミルク入り飲料及びその製造方法
JP6490944B2 (ja) 乳風味付与材
JP2004261139A (ja) 酸性豆乳飲料およびその製造方法
WO2013118740A1 (ja) 生乳様の香気及び/又は風味が付与された飲食品及びその製造方法、並びに生乳様の香気及び/又は風味を付与するための組成物
JP2014050337A (ja) 乳風味付与剤
JP5301024B2 (ja) コーヒー含有飲料の製造方法
CN110248558A (zh) 基于天然乳制品的奶精及其制造方法
JP2015512267A (ja) タンパク質及びヒドロキシプロピルデンプンを含むクリーマー組成物
JP2008099676A (ja) ココナッツミルク含有飲食品及びその風味向上方法
JP4462623B2 (ja) 弱酸性乳タンパク質含有飲料の製造方法
JP2002335903A (ja) 乳類を含む飲食物の味質改善剤及び味質改善方法
JP2022014338A (ja) 飲料添加用水中油型乳化物
JP6760752B2 (ja) 容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤
US11992021B2 (en) Liquid creamer, method of making, and beverage containing same
JP2020524983A (ja) 改善されたテクスチャー/口当たりを有するクリーマー及びその製造方法
JP3805720B2 (ja) 乳入り飲料用乳化安定剤およびこれを含む乳入り飲料
JP2019041684A (ja) 酸性乳飲料、酸性乳飲料ベース、酸性乳飲料の製造方法、酸性乳飲料ベースの製造方法、及び、酸性乳飲料の香味改善方法
JP2002300850A (ja) 飲料成分の粒径制御を行う乳成分含有飲料の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20160225

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160705

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170525

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170606

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170802

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20170802

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20180130

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180427

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20180509

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180619

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180619

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6358790

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150