JP6760752B2 - 容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤 - Google Patents

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Description

本発明は、酸性下のレトルト殺菌後の保存中に発生しやすい劣化臭や沈殿生成、特に乳成分等に由来する凝集やゲル状沈殿物の生成を抑制することのできる容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤に関する。
現在、様々な飲料が、缶やペットボトル等の容器に密封された容器詰飲料として販売され、保存性の良さや場所を問わず手軽に飲むことができることから、広く流通している。これらの容器詰飲料は、一般に高温/高圧での殺菌処理がなされることにより、食品衛生上の品質が保たれている。
しかし、容器詰飲料は、高温/高圧殺菌後の保存中に、レトルト食品等に共通する好ましくない風味(レトルト臭)や、容器内の蒸れたような風味(ムレ臭)等の劣化臭が生じ、それが経日的に強まることが知られている。特に、乳脂や乳タンパク質といった乳成分を多く含有している乳成分含有飲料、特に乳成分含有酸性飲料では、経時的にムレ臭が顕著に感じられるようになってしまうことに加え、乳成分が凝集(フェザリング)するのみならずゲル状沈殿物を生じてしまう。乳成分を多く含有している乳成分含有飲料では、乳成分の凝集やゲル状沈殿物の生成を防止するために、一般的にはカゼインナトリウムを添加することが行われているが、これによってホットベンダーでの販売を可能とする一方、かえってレトルト臭やムレ臭が強くなり、さらに後味が悪くなる場合もあった。
そのため、乳成分を多く含有する乳成分含有飲料の風味劣化を解決すべく、これまでに各種検討が行われてきた。例えば、亜硫酸塩及び/又は二酸化硫黄を添加するレトルト殺菌乳製品の製造法(特許文献1)、L−ヒスチジン塩酸塩をコーヒー飲料に対し0.01〜1.5重量%添加した加熱殺菌処理コーヒー飲料(特許文献2)、ラムザンガムを含有する乳入り飲料用乳化安定剤(特許文献3)、乳由来のリン脂質及び乳タンパク質を特定比で含有する水性液(特許文献4)が開示されている。
しかし、特許文献1の方法は褐変化の抑制には一定の効果があるものの、レトルト臭やムレ臭の抑制には課題があった。また、特許文献2の加熱殺菌処理コーヒー飲料では、乳成分の凝集やゲル状沈殿物の生成を防止するために別途カゼインナトリウムが必要になる場合があり、これらに起因する劣化臭の抑制効果に課題があった。特許文献3の乳入り飲料用乳化安定剤を用いた乳入り飲料では、乳入り飲料の粘度が高くなることで後味に雑味が残り、すっきりとした風味とならない場合があった。さらにこれらの方法では、乳成分含有酸性飲料においてはゲル状沈殿物の生成抑制効果が十分ではないという問題があった。特許文献4の水性液を使用する方法はこれらよりも優れた効果を示すが、高い乳成分含有量の場合の酸性下のレトルト殺菌後の効果については十分ではなかった。
このように、乳成分を多く含有する容器詰乳成分含有酸性飲料の保存中に発生しやすい劣化臭や、乳成分等に由来する凝集やゲル状沈殿物の生成を抑制し、すっきりとした風味を実現するには課題が残されているのが現状である。
特開平08−308491号公報 特開2005−137266号公報 特開2007−159573号公報 特開2015−053925号公報
したがって本発明の目的は、容器詰乳成分含有酸性飲料の保存中に発生しやすい劣化臭や、乳成分等に由来する凝集やゲル状沈殿物の生成が抑制され、すっきりとした風味が保持された容器詰乳成分含有酸性飲料を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決すべく種々検討した結果、乳由来のリン脂質及び乳タンパク質を特定比で含有し、pHが特定範囲であり、且つ、有機酸塩及び/又はリン酸塩を含有する水性液を容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤として使用することで、上記の課題を解決できることを見出した。
本発明は上記知見に基づいて完成されたものであり、下記の(1)(2)(3)を満たす水性液であることを特徴とする容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤を提供するものである。
(1)乳由来のリン脂質及び乳タンパク質を含有し、乳由来のリン脂質1質量部に対し乳タンパク質を1〜15質量部含有する
(2)有機酸塩及び/又はリン酸塩を含有する
(3)pHが2.5〜6.4である
本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤によれば、保存中に発生しやすい劣化臭や、乳成分等に由来する凝集やゲル状沈殿物の生成が抑制され、すっきりとした風味が保持された容器詰乳成分含有酸性飲料を得ることができる。
以下、本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤について詳述する。
本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤は、水性液中に、乳由来のリン脂質及び乳タンパク質を含有し、乳由来のリン脂質1質量部に対し乳タンパク質を1〜15質量部、好ましくは1.2〜13質量部、より好ましくは1.5〜10質量部、最も好ましくは2〜5質量部含有する。
上記水性液中に、乳由来のリン脂質1質量部に対して乳タンパク質が1質量部よりも少なく含まれている場合、水性液を容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤として使用した際に、保存中に発生しやすい劣化臭を十分に抑えることができない。また、15質量部よりも多く含まれている場合は、劣化臭を十分に抑えることができないことに加え、乳成分等に由来する凝集やゲル状沈殿物が生じてしまう。
例えば、牛乳は、リン脂質と乳タンパク質を含有する安定な水中油型乳化物であるが、乳タンパク質含量が3.3〜3.8質量%、リン脂質含量が0.03〜0.04質量%であり、リン脂質1質量部に対する乳タンパク質の含有量は100質量部前後と、上述の水性液とは、該含量比が大きく異なる。そのため、牛乳を多く含有する容器詰乳成分含有酸性飲料は、その劣化臭を十分に抑えることができないほか、乳成分等に由来する凝集やゲル状沈殿物が生じてしまう。
上記水性液中の乳由来のリン脂質の含有量は、該水性液の固形分を基準として好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、最も好ましくは5質量%以上である。また、乳由来のリン脂質の含有量は、該水性液の固形分を基準として好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、最も好ましくは33質量%以下である。
乳由来のリン脂質としては、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、リゾリン脂質等が挙げられる。
また、上記水性液中の乳タンパク質の含有量は、該水性液の固形分を基準として好ましくは20〜40質量%、より好ましくは23〜37質量%、最も好ましくは25〜35質量%である。
上記乳タンパク質としては、例えばα−ラクトアルブミンやβ−ラクトグロブリン、ラクトアルブミン等のホエイタンパク質、カゼイン、またこれらの乳タンパク質を含有する脱脂粉乳、全粉乳、トータルミルクプロテイン等が挙げられる。
また、本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤は、水性液中に、有機酸塩及び/又はリン酸塩を含有する。有機酸塩及び/又はリン酸塩を含有することにより、レトルト殺菌後の乳成分等に由来する凝集、特に乳成分に由来するゲル状沈殿物の生成を抑制することができる。有機酸塩としては、クエン酸ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、EDTA−Na、グルコン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム等が挙げられ、リン酸塩としては、メタリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム等が挙げられ、本発明ではこれらのうちの1種又は2種以上を使用することができる。なかでも、本発明では乳成分含有酸性飲料の本来の風味を維持する効果が優れる点で、有機酸塩のうちの1種又は2種以上を使用することが好ましく、特にクエン酸ナトリウムを使用することがすっきりとした乳風味を付与する点で好ましい。
上記水性液中の有機酸塩及び/又はリン酸塩の含有量は、該水性液の固形分を基準として好ましくは1〜25質量%、より好ましくは4〜19質量%、最も好ましくは9〜14質量%である。
本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤には、上記以外のその他の原料を含有させることができる。その他の原料としては、アルギン酸類、ペクチン、海藻多糖類、カルボキシメチルセルロース等の増粘多糖類や、でんぷん類、ブドウ糖、果糖、乳糖、ショ糖、麦芽糖、ソルビトール、ステビア等の甘味料、ビタミン類、香料、酸化防止剤、光沢剤、乳清ミネラル等が挙げられ、これらの一種又は二種以上のものが適宜選択して用いられる。
また、本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤である上記水性液中の固形分含量は2〜60質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましく、10〜40質量%が最も好ましい。
本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤は、水性液であることが必要である。粉末状や顆粒状、あるいは可塑性等のその他の性状であると、容器詰乳成分含有酸性飲料の製造時にリン脂質と乳タンパク質を有効な状態で溶解させることができず、本発明の効果が得られない。また、沈殿や濁り、あるいはダマが生じる問題が生じるおそれもある。尚、本発明において、水性液とは、水溶液のほか、水相を主体として少量(好ましくは水性液中で20質量%以下)の油脂や油溶性成分が分散した水中油型乳化物を含むものとする。
本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤は、水性液のpHが2.5〜6.4あることが必要である。容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤のpHがこの範囲であると、容器詰乳成分含有酸性飲料の経日的な劣化臭を効果的に抑えることができるほか、乳成分等に由来する凝集、特に乳成分に由来するゲル状沈殿物の生成を長期にわたり抑制でき、さらには容器詰飲料をよりすっきりとした風味とすることができるためである。上記pHは好ましくはpH4〜6、より好ましくは4.7〜5.8である。
次に、本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤である、上記水性液の製造方法について述べる。
本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤である上記水性液は、乳由来のリン脂質及び乳タンパク質、又はこれらを含有する乳原料、並びに、有機酸塩及び/又はリン酸塩、さらにはその他の原料を使用し、乳由来のリン脂質含有量1質量部に対し乳タンパク質が1〜15質量部となるように混合するか、あるいは、水又は水性液に溶解し、さらにpHが2.5〜6.4となるように調整することにより得ることができる。
乳由来のリン脂質及び乳タンパク質、あるいはこれらを含有する乳原料を使用して乳由来のリン脂質含有量1質量部に対し乳タンパク質が1〜15質量部とする具体的方法としては、リン脂質含有量1質量部に対し乳タンパク質1〜15質量部を含有する乳原料そのもの(以下、単に「乳原料」ということもある)を使用する方法のほか、乳由来のリン脂質を多く含有する原料と乳タンパク質を多く含有する原料とを、乳由来のリン脂質1質量部に対し乳タンパク質が1〜15質量部となるように混合する方法、また乳由来のリン脂質及び乳タンパク質を多く含有する原料へ乳由来のリン脂質及び/又は乳タンパク質を添加し、乳由来のリン脂質1質量部に対し乳タンパク質を1〜15質量部となるように調整する方法等が挙げられる。
本発明においては上記方法の中でも、上記乳原料を使用することが、より経日的な劣化臭を抑える効果が高く、特に乳成分を含有する場合に乳成分等に由来する凝集、とりわけ乳成分に由来するゲル状沈殿物の生成を効果的に抑えることができる点で好ましい。
上記乳原料の具体的な例としては、クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分が挙げられ、牛乳、ヤギ乳、ヒツジ乳、人乳等の乳から製造されたものが好ましく、特に牛乳から製造されたものが好ましい。
上記のクリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法は、例えば以下の通りである。まず、牛乳を遠心分離して得られる脂肪濃度30〜40質量%のクリームをプレートで加温し、遠心分離機によってクリームの脂肪濃度を70〜95質量%まで高める。次いで、乳化破壊機で乳化を破壊し、再び遠心分離機で処理することによってバターオイルが得られる。本発明で用いられる上記水相成分は、最後の遠心分離の工程でバターオイルの副産物として発生するものである。
上記のバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法は、例えば以下の通りである。まず、バターを溶解機で溶解し熱交換機で加温する。これを遠心分離機で分離することによってバターオイルが得られる。本発明で用いられる上記水相成分は、最後の遠心分離の工程でバターオイルの副産物として発生するものである。該バターオイルの製造に用いられるバターとしては、通常のものが用いられる。
本発明では上記の乳原料をさらに濃縮したものや乾燥したもの、冷凍処理をしたもの等を用いることも可能であるが、最終的に得られる容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤として本発明の効果がより大きい点で、乾燥工程を経ていないものを使用することが好ましい。また、溶剤を用いて濃縮したものは風味上の問題から用いないのが好ましい。
上記乳原料には、均質化処理を行うことができる。均質化処理は1回又は2回以上行うことができる。該均質化処理に用いられる均質化機としては、例えば、ケトル型チーズ乳化釜、ステファンミキサーの様な高速せん断乳化釜、スタティックミキサー、インラインミキサー、バブル式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル、ディスパーミル等が挙げられる。均質化圧力は特に制限はないが、好ましくは0〜100MPaである。2段式ホモゲナイザーを用いて均質化処理をする場合は、例えば、1段目3〜100MPa、2段目0〜5MPaの均質化圧力にて行うことができる。
上記乳原料には、UHT加熱処理を行うこともできる。UHT加熱処理の条件としては特に制限はないが、温度条件は好ましくは120〜150℃であり、処理時間は好ましくは1〜6秒である。
本発明では、上記の乳原料中のリン脂質の一部又は全部がリゾ化されたリゾ化物を使用することもできるが、風味の面からリゾ化物は使用しない方が好ましい。リゾ化物を使用した場合、用途によっては最終的に得られる容器詰乳成分含有酸性飲料に苦味が生じる場合がある。
尚、該リゾ化物としては、乳原料をそのままリゾ化したものや乳原料を濃縮した後にリゾ化したものが挙げられる。これらのリゾ化物は本発明におけるリン脂質の含有量に含めるものとする。
上記の乳原料中のリン脂質をリゾ化する場合には、ホスホリパーゼAで処理する方法が挙げられる。ホスホリパーゼAは、リン脂質分子のグリセロール部分と脂肪酸残基とを結びつけている結合を切断し、この脂肪酸残基を水酸基で置換する作用を有する酵素である。ホスホリパーゼAは、作用する部位の違いによってホスホリパーゼA1とホスホリパーゼA2とに分かれるが、ホスホリパーゼA2が好ましい。ホスホリパーゼA2の場合、リン脂質分子のグリセロール部分の2位の脂肪酸残基が選択的に切り離される。
本発明におけるリン脂質の定量は、例えば以下のような方法にて測定することができる。ここでは、上記乳原料の場合を例に説明する。但し、抽出方法等については乳原料の形態等によって適正な方法が異なるため、以下の定量方法に限定されるものではない。
まず、乳原料の脂質をFolch法を用いて抽出する。次いで、抽出した脂質溶液を湿式分解法(日本薬学会編、衛生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に記載の湿式分解法に準じる)にて分解した後、モリブデンブルー吸光度法(日本薬学会編、衛生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に記載のリンのモリブデン酸による定量に準じる)によりリン量を求める。求められたリン量から以下の計算式を用いて乳原料の乳固形分100g中のリン脂質の含有量(g)を求める。
リン脂質(g/100g)=〔リン量(μg)/(乳由来のリン脂質を含有する食品素材−乳由来のリン脂質を含有する食品素材の水分(g))〕×25.4×(0.1/1000)
上記水性液をpHが2.5〜6.4となるように調整する方法としては、例えば上記「乳由来のリン脂質1質量部に対し乳タンパク質を1〜15質量部含有する水性液」に対し酸を添加したり、乳酸醗酵を行うこと等により、pHが2.5〜6.4となるように調整する方法が挙げられる。
本発明においては、簡便かつ効率的であるほか、酸の種類を適宜変えることにより風味を調節することも可能となるため、容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤に酸を添加しpH2.5〜6.4となるように調整する方法が好ましい。
容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤のpHを調整するために酸を添加する場合において使用する酸は、無機酸であっても有機酸であってもよいが、有機酸であることが好ましい。該有機酸としては、酢酸、乳酸、クエン酸、グルコン酸、フィチン酸、ソルビン酸、アジピン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、アスコルビン酸等が挙げられ、果汁、濃縮果汁、発酵乳、ヨーグルト等の有機酸を含有する飲食品も用いることができるが、本発明においてはより酸味が少なく風味に影響しない点で、フィチン酸及び/又はグルコン酸を使用することが好ましい。
容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤のpHを2.5〜6.4とするために酸を使用する場合、酸の使用量には特に制限はなく、風味を考慮しながら、容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤のpHが2.5〜6.4となるように使用すればよい。上記pHとなるように酸で調整する場合の温度条件、処理時間は、特に制限なく任意の条件を設定することができるが、好ましくは0〜70℃の温度条件下で30秒以上攪拌することが好ましい。
本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤には、さらにカルシウム塩を添加することが好ましい。カルシウム塩の添加量は容器詰乳成分含有酸性飲料添加剤に含まれるリン脂質1質量部に対して0.01〜1質量部であることが好ましく、0.02〜0.5質量部であることがより好ましい。上記範囲でカルシウム塩を含有することで、本発明の効果をより高めることができる。
上記カルシウム塩としては、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、炭酸カルシウム、グルタミン酸カルシウム、アスコルビン酸カルシウム等が例示され、このうち1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明では、容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤である水性液を調製する途中及び/又は調製した後、均質化機にて均質化することが好ましい。均質化処理は1回又は2回以上行うことができる。該均質化処理に用いられる均質化機としては、例えば、ケトル型チーズ乳化釜、ステファンミキサーの様な高速せん断乳化釜、スタティックミキサー、インラインミキサー、バブル式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル、ディスパーミル等が挙げられる。均質化圧力は好ましくは0〜100MPaである。2段式ホモゲナイザーを用いて均質化処理をする場合は、例えば、1段目3〜100MPa、2段目0〜5MPaの均質化圧力にて行うことができる。
さらに必要に応じてUHT加熱処理を行うことができる。UHT加熱処理の条件としては特に制限はないが、温度条件は好ましくは120〜160℃、さらに好ましくは130〜150℃、最も好ましくは139〜146℃であり、処理時間は好ましくは1〜6秒、さらに好ましくは2〜6秒、最も好ましくは4〜6秒である。
上記の均質化処理とUHT加熱処理は、均質化処理のみ若しくはUHT加熱処理のみを行うことができ、又はUHT加熱処理の前及び/若しくは後に均質化処理を行うこともできる。
さらに、急速冷却、徐冷却等の冷却操作を行うことができる。
次に、本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料について説明する。
本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料は、上述の本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤を含有するものである。
本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料としては、乳成分を多く含有する酸性飲料であって、高温/高圧殺菌処理されるものであれば特に制限されるものではなく、例えばミルクコーヒー、コーヒー牛乳、カフェオレ、カフェラテ、ティーオレ、乳酸菌飲料、ミルクセーキ、チーズドリンク、乳性飲料、ミルクココア、ジンジャーラテ、乳性炭酸飲料、ミルク入り緑茶、ミルク入りウーロン茶、ミルク入りプアール茶、ミルク入り果実茶、ミルク入り麦芽飲料、ミルク入り食酢飲料、香料入り乳飲料、チョコレート飲料、ミルク入りレモン水、ミルク入り果汁飲料・ミルク入り野菜ジュース、ミルク入りトマトジュース、ミルク入り青汁、ミルク入りノンアルコール飲料、ミルク入りビネガードリンク、カルーアミルク等のアルコール飲料やカクテル、ミルク酎ハイ等が挙げられるが、なかでも、ミルクコーヒー、コーヒー牛乳、カフェオレ、カフェラテ、乳性炭酸飲料、ミルク入り食酢飲料、ミルク入り果汁飲料、ミルク入りビネガードリンクのいずれかであることが好ましい。
尚、本発明において、「乳成分を多く含有している」とは、乳の風味が感じられる程度に乳成分を含有していることをいい、好ましくは容器詰乳成分含有酸性飲料中、乳脂及び/又は乳タンパク質を0.5質量%以上含有することを指すものとする。尚、乳脂及び/又は乳タンパク質の含有量は、本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤に含まれる乳脂や乳タンパク質も含めた含有量とする。
本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料における本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤の含有量は、容器詰乳成分含有酸性飲料の種類によって適宜選択されるが、容器詰乳成分含有酸性飲料中、容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤に含まれるリン脂質含量として、好ましくは0.0005〜0.1質量%、より好ましくは0.001〜0.05質量%、最も好ましくは0.003〜0.01質量%となる量である。
また、本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料における本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤の含有量は、容器詰乳成分含有酸性飲料中、容器詰乳成分含有酸性飲料添加剤に含まれる有機酸塩及び/又はリン酸塩含量として、好ましくは0.0005〜0.05質量%、より好ましく0.001〜0.04質量%、最も好ましくは0.002〜0.03質量%となる量である。
尚、上記高温/高圧殺菌としては、レトルト殺菌、高温短時間殺菌(HTST)、超高温加熱殺菌(UHT)等が挙げられ、いずれの方法でもかまわない。
また、本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料が充填される容器には、通常用いられているものを特に制限なく使用することができ、例えば、アルミ缶やスチール缶等の金属製容器、PETボトル、紙パック、ビン等のガラス容器、アルミパウチ、テーブルカップ、透明パウチ、チアカップ等が挙げられる。
本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料は、さらに乳清ミネラルを含有することが好ましい。乳清ミネラルとは、乳又はホエー(乳清)から、可能な限りタンパク質や乳糖を除去したものであり、そのため、高濃度に乳の灰分(ミネラル)を含有し、且つ、固形分に占める灰分の割合が極めて高いという特徴を有する。そして、そのミネラル組成は、原料となる乳やホエー中のミネラル組成に近い比率となる。
本発明で使用すると好ましい乳清ミネラルとしては、容器詰乳成分含有酸性飲料の保存中に生じる劣化臭を抑え、また得られる容器詰飲料がすっきりした風味となる点で、純度が高いこと、即ちタンパク質や乳糖等の不純物含量が低いことが好ましい。より詳細には、固形分に占める灰分含量が30質量%以上である乳清ミネラルを使用することが好ましく、固形分に占める灰分含量が50質量%以上である乳清ミネラルを使用することがより好ましい。尚、該灰分含量は高いほど好ましい。
また、上記乳清ミネラルを乳成分含有飲料に使用した場合の効果として、乳清ミネラルを含有させることで、乳成分の量を減じた場合であっても良好な乳風味を有する乳成分含有飲料を得ることができる点が挙げられる。即ち、ムレ臭の原因となりやすい乳成分を減じることで、間接的にムレ臭の発生を抑えることができる。
本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料における上記乳清ミネラルの含有量は、固形分として好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.03〜2.5質量%、更に好ましくは0.05〜1質量%である。上記乳清ミネラルの含有量が0.01質量%未満であると、劣化臭を抑えたり、すっきりとした風味にする効果が見られず、また、5質量%を超えると、苦味が強く、不快な風味を呈するようになってしまう。
また、本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料は、実質的にカゼインナトリウムを含有しないことが好ましい。前述のように、容器詰乳成分含有酸性飲料では、乳成分の凝集やゲル状沈殿物の生成を防止するために、一般的にはカゼインナトリウムを添加することが行われているが、カゼインナトリウムによってかえってレトルト臭やムレ臭が強くなり、さらに後味が悪くなる場合もあった。
しかし、本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤によれば、カゼインナトリウムを添加せずとも容器詰乳成分含有酸性飲料における乳成分の凝集やゲル状沈殿物の生成を防止することができる。
尚、上記の「実質的に」含有しないとは、具体的には容器詰乳成分含有酸性飲料中、その含有量が0.01質量%未満、好ましくは0.005質量%未満とする。
本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、一般的な容器詰飲料に使用することができるその他の成分を使用することができる。該その他の成分としては、例えば、甘味料、ゲル化剤や安定剤、乳化剤、食塩、岩塩等の塩味剤、無機塩、有機塩、ジグリセライド、植物ステロール、植物ステロールエステル、直鎖デキストリン・分枝デキストリン・環状デキストリン・難消化性デキストリン等のデキストリン類、着香料、苦味料、調味料等の呈味成分、着色料、保存料、酸化防止剤、pH調整剤、強化剤等を配合することができる。
尚、上記その他の成分の含有量は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下とする。
上記甘味料としては、ブドウ糖、果糖、ショ糖、乳糖、麦芽糖、酵素糖化水飴、還元澱粉糖化物、還元水飴、異性化液糖、ショ糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、還元パラチノース、ソルビトール、還元乳糖、L-アラビノース、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、キシロオリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノース、パラチノースオリゴ糖等の糖類や糖アルコール、スクラロース、アセスルファムカリウム、ステビア、アスパルテーム、ネオテーム、ソーマチン、甘草、サッカリン、羅漢果等の、高甘味度甘味料が挙げられる。これらの甘味料は、単独で用いることもでき、又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。
上記ゲル化剤や安定剤としては、アルギン酸、アルギン酸塩、ペクチン、LMペクチン、HMペクチン、海藻抽出物、海藻エキス、寒天、グルコマンナン、ローカストビーンガム、グアーガム、ジェランガム、タラガントガム、キサンタンガム、カラギーナン、カードラン、タマリンドシードガム、カラヤガム、タラガム、トラガントガム、アラビアガム、カシアガム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリデキストロース等が挙げられる。これらのゲル化剤や安定剤は、単独で用いることもでき、又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。
上記乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、レシチン等が挙げられる。
本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料の製造方法は特に制限されず、通常の容器詰乳成分含有酸性飲料製造の際に、本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤、必要に応じ、上記その他の成分を添加し、均質になるように溶解させることによって得ることができる。
そして、容器詰乳成分含有酸性飲料製造の際に、殺菌する工程を含むことが好ましく、より好ましくは、容器詰した後に殺菌、即ちレトルト殺菌を行う。
尚、レトルト殺菌とは、加圧条件下、100〜150℃で1〜90分間程度加熱殺菌する方法であり、アルミパウチ、テーブルカップ、透明パウチ、缶、チアパック等の密封容器に封入して行われる。
次に、本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料の沈殿生成抑制方法について説明する。
本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料の沈殿生成抑制方法は、容器詰乳成分含有酸性飲料の製造時に、容器詰乳成分含有酸性飲料に下記の(1)(2)(3)を満たす水性液を含有させるものである。
(1)乳由来のリン脂質及び乳タンパク質を含有し、乳由来のリン脂質1質量部に対し乳タンパク質を1〜15質量部含有する
(2)有機酸塩及び/又はリン酸塩を含有する
(3)pHが2.5〜6.4である
本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料の沈殿生成抑制方法では、容器詰乳成分含有酸性飲料に上記水性液を、該水性液に含まれる乳由来のリン脂質として、好ましくは0.0005〜0.1質量%、より好ましくは0.001〜0.05質量%、最も好ましくは0.003〜0.01質量%となるように含有させる。
また、容器詰乳成分含有酸性飲料に上記水性液を、該水性液に含まれる有機酸塩及び/又はリン酸塩として、好ましくは0.0005〜0.05質量%、より好ましくは0.001〜0.04質量%、最も好ましくは0.002〜0.03質量%となるように含有させる。
次に、本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料の劣化臭抑制方法について説明する。
本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料の劣化臭抑制方法は、容器詰乳成分含有酸性飲料の製造時に、容器詰乳成分含有酸性飲料に下記の(1)(2)(3)を満たす水性液を含有させるものである。
(1)乳由来のリン脂質及び乳タンパク質を含有し、乳由来のリン脂質1質量部に対し乳タンパク質を1〜15質量部含有する
(2)有機酸塩及び/又はリン酸塩を含有する
(3)pHが2.5〜6.4である
本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料の劣化臭抑制方法では、容器詰乳成分含有酸性飲料に上記水性液を、該水性液に含まれる乳由来のリン脂質として、好ましくは0.0005〜0.1質量%、より好ましくは0.001〜0.05質量%、最も好ましくは0.003〜0.01質量%となるように含有させる。
また、容器詰乳成分含有酸性飲料に上記水性液を、該水性液に含まれる有機酸塩及び/又はリン酸塩として、好ましくは0.0005〜0.05質量%、より好ましくは0.001〜0.04質量%、最も好ましくは0.002〜0.03質量%となるように含有させる。
尚、本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料の沈殿生成抑制方法及び本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料の劣化臭抑制方法においては、本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤及び本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料に関する前述の説明を適宜適用することができる。
次に、実施例及び比較例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、これらは本発明を何ら制限するものではない。
<容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤の製造>
[表1]に記載した配合のうち、酸(フィチン酸、グルコン酸)以外の成分を55℃の温度条件下で攪拌しながら混合し、続いて酸(フィチン酸、グルコン酸)を添加してそれぞれpHを調整した後、3MPaの圧力で均質化し、製造例1〜10からそれぞれ、本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤A〜I及び比較用の容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤Jを得た。また、下記乳原料A’をそのまま容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤Kとした。尚、[表1]に記載した原料のうち、乳原料A’及びバターミルク濃縮物については、以下の製造方法によって得られたものであり、それら乳由来のリン脂質含有量及び乳タンパク質含有量等についても以下に合わせて記載する。
乳原料A’:クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(乳由来のリン脂質含有量3.7質量%、乳タンパク質含有量10.5質量%、乳固形分38質量%、及び乳固形分中のリン脂質の含有量9.7質量%)
バターミルク濃縮物:生クリーム(油分:47質量%)100質量部を10℃の温度条件下でチャーニングし、続いて濾過を行って濾液(43質量部)を回収し、バターミルクを得た。続いて、得られたバターミルクを液量がおおよそ三分の一程度になるように濃縮し、バターミルク濃縮物を得た(乳由来のリン脂質含有量0.53質量%、乳タンパク質含有量10.9質量%、乳固形分33質量%)。
Figure 0006760752
<容器詰乳成分含有酸性飲料の製造>
[実施例1]
コーヒー抽出液70質量部(固形分1.8質量%)に、重曹を適量添加しpHを6.6に調整した。続いて牛乳(油分3.8質量%、乳タンパク質含量2.9質量%)22質量部、グラニュー糖5質量部、シュガーエステル(HLB値16)0.05質量部、上記容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤A0.2質量部を混合・溶解し、さらに水を加え全量が100質量部になるようにし、65℃で溶解させた。次に均質化した後、スチール缶(容量200ml)に190g入れ、125℃で20分間のレトルト殺菌処理を行い、本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料であるコーヒー飲料aを得た。
[実施例2〜9]
容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤Aに代えて、それぞれ容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤B〜I各0.2質量部を使用した以外は実施例1と同様にして、本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料であるコーヒー飲料b〜iを得た。
[比較例1]
容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤Aに代えて、容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤J0.2質量部を使用した以外は実施例1と同様にして、比較例の容器詰乳成分含有酸性飲料であるコーヒー飲料jを得た。
[比較例2]
容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤Aに代えて、容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤K(=乳原料A’)0.2質量部を使用した以外は実施例1と同様にして、本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料であるコーヒー飲料kを得た。
[実施例10]
容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤D0.2質量部を0.05質量部に変更した以外は実施例4と同様にして、本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料であるコーヒー飲料lを得た。
[実施例11]
容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤E0.2質量部を0.5質量部に変更した以外は実施例5と同様にして、本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料であるコーヒー飲料mを得た。
[実施例12]
牛乳22質量部を生クリーム(油分45質量%、乳タンパク質含量2質量%)1.86質量部に変更した以外は実施例1と同様にして、本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料であるコーヒー飲料nを得た。
[実施例13]
コーヒー抽出液70質量部(固形分1.8質量%)に、重曹を適量添加しpHを6.6に調整した。続いて牛乳(油分3.8質量%、乳タンパク質含量2.9質量%)22質量部、グラニュー糖5質量部、シュガーエステル(HLB値16)0.05質量部、カゼインナトリウム0.1質量部、上記容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤A0.2質量部を混合・溶解し、さらに水を加え全量が100質量部になるようにし、65℃で溶解させた。次に均質化した後、スチール缶(容量200ml)に190g入れ、125℃で20分間のレトルト殺菌処理を行い、本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料であるコーヒー飲料oを得た。
[実施例14]
コーヒー抽出液70質量部(固形分1.8質量%)に、重曹を適量添加しpHを6.6に調整した。続いて牛乳(油分3.8質量%、乳タンパク質含量2.9質量%)22質量部、グラニュー糖5質量部、乳清ミネラル(固形分98質量%、固形分中の灰分量は55質量%)0.06質量部、糖アルコール0.65質量部、シュガーエステル(HLB値16)0.05質量部、上記容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤A0.2質量部を混合・溶解し、さらに水を加え全量が100質量部になるようにし、65℃で溶解させた。次に均質化した後、スチール缶(容量200ml)に190g入れ、125℃で20分間のレトルト殺菌処理を行い、本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料であるコーヒー飲料pを得た。
[実施例15]
カゼインナトリウム0.1質量部を0.02質量部とした以外は実施例13と同様にして、本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料であるコーヒー飲料qを得た。
[実施例16]
シュガーエステル(HLB値16)0.05質量部を0.08質量部とした以外は、実施例1と同様にして、本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料であるコーヒー飲料rを得た。
[実施例17]
コーヒー抽出液70質量部(固形分1.8質量%)に、重曹を適量添加しpHを6.6に調整した。続いて牛乳(油分3.8質量%、乳タンパク質含量2.9質量%)22質量部、グラニュー糖5質量部、シュガーエステル(HLB値16)0.05質量部、ポリグリセリン脂肪酸エステル0.1質量部、上記容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤A0.2質量部を混合・溶解し、さらに水を加え全量が100質量部になるようにし、65℃で溶解させた。次に均質化した後、スチール缶(容量200ml)に190g入れ、125℃で20分間のレトルト殺菌処理を行い、本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料であるコーヒー飲料sを得た。
[実施例18]
コーヒー抽出液70質量部(固形分1.8質量%)に、重曹を適量添加しpHを6.6に調整した。続いて牛乳(油分3.8質量%、乳タンパク質含量2.9質量%)22質量部、グラニュー糖5質量部、シュガーエステル(HLB値16)0.05質量部、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル(DATEM)0.1質量部、上記容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤A0.2質量部を混合・溶解し、さらに水を加え全量が100質量部になるようにし、65℃で溶解させた。次に均質化した後、スチール缶(容量200ml)に190g入れ、125℃で20分間のレトルト殺菌処理を行い、本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料であるコーヒー飲料tを得た。
[比較例3]
コーヒー抽出液70質量部(固形分1.8質量%)に、重曹を適量添加しpHを6.6に調整した。続いて牛乳(油分3.8質量%、乳タンパク質含量2.9質量%)22質量部、グラニュー糖5質量部、シュガーエステル(HLB値16)0.05質量部、カゼインナトリウム0.15質量部を混合・溶解し、さらに水を加え全量が100質量部になるようにし、65℃で溶解させた。次に均質化した後、スチール缶(容量200ml)に190g入れ、125℃で20分間のレトルト殺菌処理を行い、比較例の容器詰乳成分含有酸性飲料であるコーヒー飲料uを得た。
[比較例4]
コーヒー抽出液70質量部(固形分1.8質量%)に、重曹を適量添加しpHを6.6に調整した。続いて牛乳(油分3.8質量%、乳タンパク質含量2.9質量%)22質量部、グラニュー糖5質量部、シュガーエステル(HLB値16)0.05質量部、カゼインナトリウム0.15質量部、バターミルクパウダー(リン脂質含有量1.67質量%、タンパク質含有量32.7質量%、油分7質量%)0.5質量部を混合・溶解し、さらに水を加え全量が100質量部になるようにし、65℃で溶解させた。次に均質化した後、スチール缶(容量200ml)に190g入れ、125℃で20分間のレトルト殺菌処理を行い、比較例の容器詰乳成分含有酸性飲料であるコーヒー飲料vを得た。
本発明の容器詰乳成分含有酸性飲料であるコーヒー飲料a〜i、l〜t及び比較例の容器詰乳成分含有酸性飲料であるコーヒー飲料j、k、u、vを室温(25℃)に戻した後、調製直後のゲル状沈殿物の発生の有無、劣化臭(レトルト臭、ムレ臭)及び風味について評価を行った。
さらに、各コーヒー飲料を室温(25℃)、60℃の温度条件下でそれぞれ保存した。室温(25℃)で保存したものについては4週間後に劣化臭、風味を評価し、60℃で保存したものについては2週間後と4週間後に劣化臭、風味を評価した。また、60℃で保存したものについて4週間後のゲル状沈殿物の発生の有無を評価した。
ゲル状沈殿物の発生の有無、劣化臭及び風味の評価方法は、それぞれ以下の通りである。
結果を[表2]に示す。
<評価方法>
・ゲル状沈殿物の発生の有無の評価
各コーヒー飲料を容器にあけて、スチール缶底部を確認し、ゲル状沈殿物の発生の有無について下記基準で評価した。
◎:ゲル状沈殿物が生じない
○:ゲル状沈殿物がほとんど生じない
×:ゲル状沈殿物が生じる
−:評価せず
・劣化臭の評価
各コーヒー飲料を口にふくんだときの劣化臭を、15人のパネラーにて官能試験した。
各実施例ごとに同配合でレトルト殺菌処理を行っていないコーヒー飲料と比較したときに、違いを感じないものに2点、わずかに好ましくない臭いを感じたものに1点、強く好ましくない臭いを感じたものに0点を与え、合計点が27点以上のものを◎+、24〜26点のものを◎、20〜23点のものを○、15〜19点のものを△、14点以下のものを×とした。
・風味の評価基準
各コーヒー飲料を口にふくんだときの風味を、15人のパネラーにて官能試験した。
すっきりとした爽やかな風味を感じたものに2点、すっきりとせず後に残る風味を感じたものに0点、どちらともいえないものに1点を与え、合計点が27点以上のものを◎+、24〜26点のものを◎、20〜23点のものを○、15〜19点のものを△、14点以下のものを×とした。
Figure 0006760752

Claims (5)

  1. 下記の(1)(2)(3)を満たす水性液であることを特徴とする容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤。
    (1)乳由来のリン脂質及び乳タンパク質を含有し、水性液中の乳由来のリン脂質の含有量が、固形分を基準として、2質量%以上40質量%以下であり、水性液中の乳タンパク質の含有量が、固形分を基準として、20〜40質量%であり、乳由来のリン脂質1質量部に対し乳タンパク質を1〜15質量部含有する
    (2)有機酸塩及び/又はリン酸塩を水性液の固形分を基準として1〜25質量%含有する
    (3)pHが2.5〜6.4である
  2. 有機酸を含有する、請求項1記載の容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤。
  3. 請求項1又は2記載の容器詰乳成分含有酸性飲料用添加剤を含有する、容器詰乳成分含有酸性飲料。
  4. 下記の(1)(2)(3)を満たす水性液を含有させることを特徴とする容器詰乳成分含有酸性飲料の沈殿生成抑制方法。
    (1)乳由来のリン脂質及び乳タンパク質を含有し、水性液中の乳由来のリン脂質の含有量が、固形分を基準として、2質量%以上40質量%以下であり、水性液中の乳タンパク質の含有量が、固形分を基準として、20〜40質量%であり、乳由来のリン脂質1質量部に対し乳タンパク質を1〜15質量部含有する
    (2)有機酸塩及び/又はリン酸塩を水性液の固形分を基準として1〜25質量%含有する
    (3)pHが2.5〜6.4である
  5. 下記の(1)(2)(3)を満たす水性液を含有させることを特徴とする容器詰乳成分含有酸性飲料の劣化臭抑制方法。
    (1)乳由来のリン脂質及び乳タンパク質を含有し、水性液中の乳由来のリン脂質の含有量が、固形分を基準として、2質量%以上40質量%以下であり、水性液中の乳タンパク質の含有量が、固形分を基準として、20〜40質量%であり、乳由来のリン脂質1質量部に対し乳タンパク質を1〜15質量部含有する
    (2)有機酸塩及び/又はリン酸塩を水性液の固形分を基準として1〜25質量%含有する
    (3)pHが2.5〜6.4である
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