JP6350135B2 - 内燃機関の点火装置および点火方法 - Google Patents

内燃機関の点火装置および点火方法 Download PDF

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Description

この発明は、点火コイルの一次コイルに一次電流を通電しかつ遮断することで、二次コイルに接続された点火プラグの電極間に放電電圧を発生させるとともに、上記二次コイルによる放電開始後に上記点火プラグの電極間に上記放電電圧と同方向の重ね電圧を加えて放電電流を継続させる内燃機関の点火装置および点火方法に関する。
点火コイルを用いた点火装置にあっては、一次コイルに一次電流を通電した後、所定の点火時期に一次電流を遮断することで、二次コイルに高い放電電圧を生成し、二次コイルに接続された点火プラグの電極間に放電を生じさせる。二次コイルに生じる放電電圧ならびに放電エネルギは、基本的には一次コイルへの通電時間に応じたものとなる。
特許文献1,2には、放電期間を長くして確実な着火を得るために、点火時期後の放電期間に重ねて、別の昇圧回路による重ね電圧を点火プラグに与える技術が開示されている。このものでは、点火コイルによる二次電圧によって電極間の放電が開始した後、重ね電圧によって放電電流が継続され、より大きなエネルギが混合気に与えられる。
特許第2554568号公報 特開2013−151866号公報
上記のような重ね電圧の印加は、例えば、多量の排気還流を行っているような条件下での点火性の向上に有効であるが、重ね電圧の印加を前提として多量の排気還流を行っているときに重ね電圧の印加が正常に行われていないと、失火や燃焼の不安定化を招来してしまう。
従って、重ね電圧の印加が正しく機能しているか否かを診断する技術が必要である。
ここで、重ね電圧の印加時には上述したように重ね電圧の重畳によって放電時間が長くなるのであるが、放電時間そのものは、重ね電圧の印加時および重ね電圧の非印加時のいずれにおいてもサイクル毎のばらつきが大きい。従って、放電時間を単純に閾値と比較したのでは、誤判定の確率が高く、正しい診断を行うことができない。
この発明は、点火コイルの一次コイルに一次電流を通電しかつ遮断することで、二次コイルに接続された点火プラグの電極間に放電電圧を発生させるとともに、
上記二次コイルによる放電開始後に上記点火プラグの電極間に上記放電電圧と同方向の重ね電圧を加えて放電電流を継続させる内燃機関の点火装置ないし点火方法において、
上記電極間に流れる二次電流をモニタして所定の二次電流閾値における放電時間を求め、この放電時間を所定の放電時間閾値と比較して上記重ね電圧の印加の有無を判定するものである。
すなわち、この発明は、適当な電流レベルに二次電流閾値を設定し、この二次電流閾値における放電時間を所定の放電時間閾値と比較することで、重ね電圧の印加の有無を判定する。
重ね電圧の非印加時には、二次電流の波形は概ね三角形であり、サイクルばらつきは、この略三角形の波形が長短変化するように現れる。これに対し、重ね電圧の印加時には、二次電流の波形は階段状の形となり、サイクルばらつきは、これがほぼ相似形に変化するように現れる。従って、適当な中間の電流レベルに二次電流閾値を設定することで、サイクルばらつきに影響されずに、重ね電圧が印加されているか否かを判定することが可能である。
この発明によれば、重ね電圧が実際に印加されているか否かを機関運転中に判定できるので、重ね電圧機能の故障を自己診断でき、例えば、失火を未然に回避することが可能となる。
この発明の一実施例の点火装置を備えた内燃機関の構成説明図。 点火装置の構成を示す構成説明図。 各気筒の点火ユニットの詳細を示す構成説明図。 重ね電圧の非印加時および印加時における二次電圧等の波形図。 重ね電圧印加時の二次電流の特性ならびにそのサイクルばらつきを示す波形図。 重ね電圧非印加時の二次電流の特性ならびにそのサイクルばらつきを示す波形図。 二次電流閾値A〜Gの説明図。 各二次電流閾値A〜Gにおける放電時間の分布を示す説明図。 重ね電圧印加時の二次電流の特性と重ね電圧非印加時の二次電流の特性とを重ねて示した説明図。 二次電流のピーク値と二次電流閾値との関係を説明する説明図。 この発明の第1実施例を示すフローチャート。 サイクル毎に変動する放電時間の時系列データ(a)と、これを平準化処理した後のデータ(b)と、を示す説明図。 点火時期における筒内ガス流速と放電時間との関係を示す特性図。 点火時期における筒内ガス密度と放電時間との関係を示す特性図。 放電ギャップ長と放電時間との関係を示す特性図。 点火時期における筒内ガス圧力と放電時間との関係を示す特性図。 点火時期における筒内ガス流速に対する放電時間閾値の特性を示す特性図。 点火時期における筒内ガス密度に対する放電時間閾値の特性を示す特性図。 放電ギャップ長に対する放電時間閾値の特性を示す特性図。 点火時期における筒内ガス圧力に対する放電時間閾値の特性を示す特性図。 この発明の第2実施例を示すフローチャート。 点火時期および回転速度に対する筒内ガス流速の特性を示す特性図。 ギャップ長推定のための検出対象となる二次電流の放電時間の説明図。
以下、この発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、この発明に係る点火装置を備えた内燃機関1のシステム構成を示す構成説明図であって、内燃機関1の複数のシリンダ2の各々には、ピストン3が配置されているとともに、吸気弁4によって開閉される吸気ポート5および排気弁6によって開閉される排気ポート7がそれぞれ接続されている。また、筒内に燃料を噴射供給する燃料噴射弁8が配置されている。この燃料噴射弁8の燃料噴射時期および燃料噴射量は、エンジンコントロールユニット(ECU)10によって制御される。そして、上記燃料噴射弁8によって筒内に生成された混合気の点火を行うために、例えば天井面中央に点火プラグ9が配置されている。なお、図示例は、筒内直接噴射式内燃機関として構成されているが、吸気ポート5に燃料噴射弁を配置したポート噴射型の構成であってもよい。上記エンジンコントロールユニット10には、吸入空気量を検出するエアフロメータ21、機関回転速度を検出するクランク角センサ22、冷却水温を検出する温度センサ23、などの多数のセンサ類からの検出信号が入力されている。
上記点火プラグ9には、エンジンコントロールユニット10からの点火信号に応答して点火プラグ9に放電電圧を出力する点火ユニット11が接続されている。また、エンジンコントロールユニット10からの重ね電圧要求信号に応答して点火ユニット11による重ね電圧を制御する重ね電圧制御ユニット12が設けられている。これらのエンジンコントロールユニット10、点火ユニット11、および重ね電圧制御ユニット12は、車載の14ボルトのバッテリ13に接続されている。
上記点火ユニット11は、図2,図3に詳細を示すように、一次コイル15aおよび二次コイル15b(図3参照)を含む点火コイル15と、この点火コイル15の一次コイル15aに対する一次電流の通電・遮断を制御するイグナイタ16と、昇圧回路を含む重ね電圧生成回路17(図2参照)と、を含んでおり、上記点火コイル15の二次コイル15bに点火プラグ9が接続されている。重ね電圧生成回路17は、バッテリ13の電圧を所定の重ね電圧の電圧まで昇圧した上で、重ね電圧制御ユニット12の制御信号に基づいて、点火プラグ9の放電開始後に該点火プラグ9に対し重ね電圧を出力する。重ね電圧生成回路17は、一次コイルへの一次電流遮断時に点火プラグ9の電極間に生じる本来の放電電圧と同じ電位の方向に重ね電圧を生成する。なお、図2の例では、点火ユニット11の内部に点火コイル15とともに重ね電圧生成回路17が内蔵されているが、点火ユニット11とは別に重ね電圧生成回路17を備えた構成であってもよい。
そして、図3に示すように、放電時に点火プラグ9の電極間に流れる二次電流をモニタするために、二次コイル15bと直列に二次電流検知用抵抗20が設けられている。この二次電流検知用抵抗20を介して検出される各気筒の二次電流を示す信号は、それぞれエンジンコントローラ10に入力され、該エンジンコントローラ10によってモニタされる。
図4は、重ね電圧の印加の有無による二次電流(放電電流)の変化を説明するものであり、重ね電圧の非印加時と印加時について、一次電流(一次コイル通電信号)、重ね電圧、二次電圧、二次電流、のそれぞれの波形をまとめて図示している。
重ね電圧の非印加時には、一般的な点火装置と同様の作用となる。すなわち、点火コイル15の一次コイル15aに、イグナイタ16を介して所定の通電時間の間、一次電流が通電される。この一次電流の遮断に伴って、二次コイル15bには高い放電電圧が発生し、混合気の絶縁破壊を伴って点火プラグ9の電極間で放電が生じる。詳しくは、極めて高い電圧の容量放電が瞬間的に生じ、これに続いて誘導放電が生じる。そして、誘導放電の間、電極間に流れる二次電流は、放電開始から時間経過に伴って三角波状に比較的急激に減少していく。
これに対し、重ね電圧の印加時には、一次電流の遮断とほぼ同時に重ね電圧の供給が開始され、かつ所定の期間、一定の重ね電圧が重畳される。これにより、図示するように、放電開始から比較的長い期間、二次電流が高いレベルで継続する。
本実施例では、このような重ね電圧を利用して、高EGR運転領域での着火性改善を行う。
図5および図6は、二次電流のサイクル毎のばらつきを示している。なお、これらの図ならびに後述の図7,図9,図10は、正負を反転して示してある。図5は、重ね電圧印加時の特性を示しており、(a)に示す重ね電圧指令信号は、点火時期から所定の期間、ONとなる。この重ね電圧指令に基づく重ね電圧の重畳によって、二次電流は、(b)に示すように、階段状の波形を示すものとなるが、種々の条件に基づくサイクル毎のばらつきによって、実際の特性は、例えばa1〜a6に示すように種々異なるものとなる。つまり、重ね電圧指令信号のONから実際の重ね電圧の重畳によるステップ的な変化までの遅れ時間(図10に示す実重ね電圧印加ディレー時間)が短いと、a1に示すように、二次電流は、高い電流値で一定に保持され、かつ二次電流が0となるまでの放電時間が長くなる。逆に、ステップ的な変化までの遅れ時間が長いと、a6に示すように、一定に保持される領域での二次電流の値が低くなり、二次電流が0となるまでの放電時間が短くなる。
図6は、重ね電圧非印加時(重ね電圧印加機能の故障時)の特性を示しており、重ね電圧が印加されないことから、二次電流は三角波状のものとなるが、種々の条件に基づくサイクル毎のばらつきによって、実際の特性は、例えばb1〜b5に示すように種々異なるものとなる。つまり、概ね三角波状の形状を保ったまま二次電流の低下速度が変化し、二次電流が0となるまでの放電時間が長短変化する。
図7は、上記のように変化する二次電流の特性に対し、A〜Gの電流値レベルに電流閾値を設定した場合の説明図であり、各電流閾値A〜Gにおける放電時間は、各々の二次電流波形を各電流閾値A〜Gの破線が横切る長さでもって示されることになる。重ね電圧印加時には、二次電流の波形が特性a1〜a6の範囲で変化するので、各電流閾値A〜Gにおける放電時間は、やはり特性a1〜a6の範囲で変化する。重ね電圧非印加時には、二次電流の波形が特性b1〜b5の範囲で変化するので、各電流閾値A〜Gにおける放電時間は、やはり特性b1〜b5の範囲で変化する。
図8は、図7のようにして求められる各電流閾値A〜Gにおける放電時間のサイクル変動による分布を、横軸を電流閾値、縦軸を放電時間、として図示した説明図である。図中の四角形を付して示す実線LA〜LGは、重ね電圧印加時の各電流閾値A〜Gにおける放電時間の分布を示している。図中の丸印を付して示す実線MA〜MGは、重ね電圧非印加時(故障時)の各電流閾値A〜Gにおける放電時間の分布を示している。
図8において、例えば、電流閾値Aにおける放電時間分布を示す実線LAと実線MAとは、互いに一部重複している。これは、サイクルばらつきによって、両者の大小関係が逆転し得ることを意味しており、従って、二次電流が0(つまり閾値A)となるまでの放電時間の長短によっては重ね電圧印加時と重ね電圧非印加時(故障時)とを識別できないことを意味している。
同様に、電流閾値Bおよび電流閾値E,F,Gについても、両者の明確な識別が困難である。
これに対し、例えば電流閾値Cにおける放電時間分布を示す実線LCと実線MCとは十分に離れている。これは、サイクルばらつきがあったとしても、放電時間の長短に基づき重ね電圧印加時と重ね電圧非印加時(故障時)とを明確に識別できることを意味している。電流閾値Dについても同様である。
このようにして、図示するように、重ね電圧印加時の放電時間分布と重ね電圧非印加時の放電時間分布との間に故障判定可能領域を画定することができる。従って、この故障判定可能領域の両端に相当する下限二次電流値Xと上限二次電流値Yとの間に判定用の二次電流閾値を設定し、この二次電流閾値における放電時間を所定の放電時間閾値と比較することで、重ね電圧が実際に印加されているか否かの判定が可能である。
図9は、理解を容易にするために、図5に示した重ね電圧印加時の二次電流特性と図6に示した重ね電圧非印加時の二次電流特性とを重ね合わせて示した説明図である。図示するように、サイクル変動を考慮した各々の特性が重ならずに残存する領域が、上記の故障判定可能領域に相当する。
上記の上限二次電流値Yは、例えば、二次電流のピーク値(Imax)の少なくとも40パーセントである。これは、図10に示すように、前述した実重ね電圧印加ディレー時間が所定の限界に達するときの重ね電圧による二次電流値に相当する。重ね電圧の重畳による放電電流(二次電流)が二次電流ピーク値Imaxの40パーセントを下回るようなレベルでは、そもそもの重ね電圧による燃焼耐力向上の効果を享受できないので、サイクル変動を考慮しても、重ね電圧の重畳による放電電流レベルがピーク値Imaxの40パーセント未満とならないように設計する必要があり、これに対応して、上限二次電流値Yは、ピーク値Imaxの40パーセント以上となる。なお、ピーク値Imaxは、図10に符号Zで示すスパイク状の部分は含まない。
次に、図11は、重ね電圧機能の診断を行って排気還流の可否を決定するようにした第1実施例の具体的な処理の流れを示すフローチャートである。なお、この処理は、重ね電圧が印加される機関運転条件である排気還流領域において実行される。
ステップ1では、二次電流検知用抵抗20を介して検出される二次電流の値を読み込み、ステップ2において、読み込んだ二次電流の変化から、所定の二次電流閾値における放電時間NowTdを算出する。ここで、二次電流閾値は、前述したように、故障判定可能領域の範囲内、つまり下限二次電流値Xと上限二次電流値Yとの間で適当に設定される。
ステップ3では、放電時間閾値Td_failを設定する。この放電時間閾値Td_failは、ステップ1で用いられる二次電流閾値に対応して、図8に示したようにサイクル変動があっても重ね電圧印加時と重ね電圧非印加時とを識別し得るように、例えば両者の分布の中間値に設定される。
ステップ4では、放電時間NowTdを放電時間閾値Td_failと比較する。ここで放電時間NowTdが放電時間閾値Td_fail以上であれば、重ね電圧が正常に印加されているものと判断できるので、ステップ5へ進み、排気還流を許可する。そして、ステップ6で、目標の排気還流率の演算を行う。
一方、放電時間NowTdが放電時間閾値Td_fail未満であれば、重ね電圧機能が故障しているものと判断される。従って、ステップ7へ進み、排気還流を禁止する。これにより、排気還流による失火や燃焼不安定化が回避される。なお、同時に、警告灯の点灯などにより故障を報知するようにしてもよい。また、排気還流を完全に停止するのではなく、排気還流率を正常時よりも低く制限するようにしてもよい。
ここで、上記の放電時間NowTdと放電時間閾値Td_failとの比較は、サイクル毎に行ってもよいが、好ましくは、サイクル毎に求めた所定の二次電流閾値における放電時間の時系列データを平準化処理した上で、所定の放電時間閾値と比較するとよい。図12は、サイクル毎に変動する所定の二次電流閾値における放電時間の時系列データ(a)と、これを平準化処理した後のデータ(b)と、を対比して示した説明図である。なお、ここでは、重ね電圧印加時の特性D1,D2と、重ね電圧非印加時(故障時)の特性d1,d2と、を併記してある。
図示するように、そのままの時系列データ(a)ではサイクル毎の変動が比較的大きいが、例えば加重平均などを用いて平準化処理することにより、(b)に示すように、2つの特性D2,d2のS/N比が高くなり、判定精度が向上する。
次に、上記の放電時間閾値Td_failを、点火時期における筒内ガス流速、点火時期における筒内ガス密度、点火時期における筒内ガス圧力、点火プラグの電極間のギャップ長、の少なくとも1つを用いて補正するようにした第2実施例について説明する。
二次電流の放電時間とりわけ誘導放電における放電時間は、筒内のガス流速等の影響を受ける。放電時間に影響を与える感度の高いパラメータは、点火時期における筒内ガス流速、点火時期における筒内ガス密度(あるいは筒内ガス圧力)、放電ギャップ長、の3つである。
図13は、点火時期における筒内ガス密度およびギャップ長が一定の条件の下で、点火時期における筒内ガス流速と放電時間との関係を求めた結果を示している。図示するように、筒内ガス流速が高いほど放電時間が短くなる。
図14は、点火時期における筒内ガス流速およびギャップ長が一定の条件の下で、点火時期における筒内ガス密度と放電時間との関係を求めた結果を示している。図示するように、筒内ガス密度が高いほど放電時間が短くなる。
図15は、点火時期における筒内ガス密度および点火時期における筒内ガス流速が一定の条件の下で、ギャップ長と放電時間との関係を求めた結果を示している。図示するように、ギャップ長が大きいほど放電時間が短くなる。
図16は、点火時期における筒内ガス流速およびギャップ長が一定の条件の下で、点火時期における筒内ガス圧力と放電時間との関係を求めた結果を示している。図示するように、筒内ガス圧力が高いほど放電時間が短くなる。
従って、これらのパラメータの影響を排除するように、放電時間閾値Td_failを補正することが望ましい。
図17は、点火時期における筒内ガス密度およびギャップ長が一定の条件の下で、点火時期における筒内ガス流速に対する補正後の放電時間閾値Td_failの特性を示している。図示するように、放電時間閾値Td_failは、筒内ガス流速が高いほど低くなるように設定される。
図18は、点火時期における筒内ガス流速およびギャップ長が一定の条件の下で、点火時期における筒内ガス密度に対する補正後の放電時間閾値Td_failの特性を示している。図示するように、放電時間閾値Td_failは、筒内ガス密度が高いほど低くなるように設定される。
図19は、点火時期における筒内ガス密度および点火時期における筒内ガス流速が一定の条件の下で、電極間のギャップ長に対する補正後の放電時間閾値Td_failの特性を示している。図示するように、放電時間閾値Td_failは、ギャップ長が大きいほど低くなるように設定される。
図20は、点火時期における筒内ガス流速およびギャップ長が一定の条件の下で、点火時期における筒内ガス圧力に対する補正後の放電時間閾値Td_failの特性を示している。図示するように、放電時間閾値Td_failは、筒内ガス圧力が高いほど低くなるように設定される。
図21は、重ね電圧機能の診断を行って排気還流の可否を決定するようにした第2実施例の具体的な処理の流れを示すフローチャートであり、点火時期における筒内ガス密度Ng、点火時期における筒内ガス流速Fg、ギャップ長Gp、の3つのパラメータに基づいて放電時間閾値Td_failを設定する実施例を示している。なお、ギャップ長Gpは、後述するように、他のパラメータから推定処理される。
ステップ11では、内燃機関1の回転速度ならびに負荷、およびその他の必要な水温等の機関運転条件を読み込む。ステップ12では、これらの条件に基づき、吸気圧P1、点火時期ADV、図示せぬ可変動弁装置のバルブタイミング、等を決定する。
ステップ13では、点火時期における筒内ガス密度Ngを算出する。
点火時期における筒内ガス密度Ngは、点火時期における筒内ガス圧力Pgと点火時期における筒内ガス温度Tgを用いて、下記の(1)式により求めることができる。なお、C1は定数である。
Ng=Pg/Tg×C1 ・・・(1)
点火時期における筒内ガス圧力Pgは、吸気圧P1、点火時期における実圧縮比εign、比熱比κに対し、次の(2)式の関係がある。
Pg=P1×εignκ ・・・(2)
点火時期における筒内ガス温度Tgは、圧縮開始筒内ガス温度T1、点火時期における実圧縮比εign、比熱比κに対し、次の(3)式の関係がある。
Tg=T1×εignκ-1 ・・・(3)
ここで、吸気圧P1および比熱比κは、例えば、機関回転速度と負荷、あるいは点火時期をパラメータとして予め作成したマップないしテーブルを参照して求めることができる。吸気圧P1については、吸気コレクタに吸気圧センサを設けて直接検出することも可能である。
圧縮開始筒内ガス温度T1は、例えば、吸気温と油水温をパラメータとして予め作成したマップないしテーブルを参照して求めることができる。
点火時期における実圧縮比εignは、吸気弁閉時期の容積Vivcと点火時期における容積Vignに対し、次の(4)式の関係がある。
εign=Vivc/Vign ・・・(4)
次にステップ14では、点火時期における筒内ガス流速Fgを算出する。筒内ガス流速は、クランク角と機関回転速度とに対し、図22に示すような関係がある。従って、点火時期ADVが決まれば、そのときの機関回転速度に基づき、図22の関係から、点火時期における筒内ガス流速Fgを求めることができる。
ステップ15では、重ね電圧を印加すべき運転領域であるか否かを判定する。ここでNOであれば、ステップ16,17へ進んでギャップ長Gpの推定を行う。このギャップ長Gpの推定については、後述する。
ステップ15で重ね電圧を印加すべき運転領域であれば、ステップ18へ進み、別途推定していたギャップ長Gpを読み込む。
ステップ19では、前述した図17〜図19の関係に基づき、点火時期における筒内ガス密度Ng、点火時期における筒内ガス流速Fg、ギャップ長Gp、を考慮した放電時間閾値Td_failを設定する。
ステップ20において、前述した第1実施例と同様に、所定の二次電流閾値における放電時間NowTdを算出し、ステップ21において、この放電時間NowTdを放電時間閾値Td_failと比較する。ここで放電時間NowTdが放電時間閾値Td_fail以上であれば、重ね電圧が正常に印加されているものと判断して、ステップ23,24へ進み、排気還流を許可するとともに目標排気還流率の演算を行う。
一方、放電時間NowTdが放電時間閾値Td_fail未満であれば、重ね電圧機能が故障しているものと判断し、ステップ2において排気還流を禁止する。
次に、ステップ16,17において行われるギャップ長Gpの推定について説明する。
先ず、ステップ16では、図23に示したように、重ね電圧が重畳されていない二次電流値に基づき、所定の閾値以上の二次電流が流れる時間を放電時間Tdisとして読み込む。上記閾値としては、誤検出を回避するように適当な値に設定されるが、0に近い非常に小さな値であってもよい。なお、絶縁破壊時の容量放電の期間は非常に短いので、上記の放電時間Tdisは、概ね誘導放電期間である。
ステップ17では、この放電時間Tdisと、点火時期における筒内ガス密度Ngと、点火時期における筒内ガス流速Fgと、を用いて、ギャップ長Gpを推定する。
すなわち、放電時間Tdisは、図13〜図15に示したように、点火時期における筒内ガス密度Ngと、点火時期における筒内ガス流速Fgと、ギャップ長Gpと、に相関する。放電時間Tdisについての多数のデータを重回帰分析した結果、比較的感度の高いこれらの3つのパラメータに基づき放電時間Tdisを高精度に予測できることが判明した。従って、逆に、点火時期における筒内ガス密度Ng、点火時期における筒内ガス流速Fg、放電時間Tdis、の3つのパラメータに基づいて、放電時のギャップ長Gpを推定することが可能である。
放電時間Tdisは、次式(5)により示すことができる。
Tdis=−A・Gp−B・Ng−C・Fg+X ・・・(5)
ここで、「−A」、「−B」、「−C」は、重回帰分析により求めた各々の係数であり、Xは同じく重回帰分析により求めた定数である。
従って、ギャップ長Gpは、次式(6)により求めることができる。
Gp=(−Tdis−B・Ng−C・Fg+X)/A ・・・(6)
なお、点火時期における筒内ガス密度Ngに代えて点火時期における筒内ガス圧力Pgを用いても、同様にギャップ長Gpの推定が可能である。
このように、上記第2実施例によれば、点火時期における筒内ガス密度Ng、点火時期における筒内ガス流速Fg、ギャップ長Gp、の3つのパラメータに基づいて放電時間閾値Td_failが補正されるので、これらの影響による誤判定が防止され、判定精度がより高くなる。
なお、上記第2実施例では、放電時間に影響する、点火時期における筒内ガス密度Ng、点火時期における筒内ガス流速Fg、ギャップ長Gp、の3つのパラメータの全てを考慮して放電時間閾値Td_failを設定しているが、いずれか一つのパラメータに基づき放電時間閾値Td_failを設定するようにしてもよい。また、点火時期における筒内ガス密度Ngに代えて点火時期における筒内ガス圧力Pgを用いてもよい。
9…点火プラグ
10…エンジンコントロールユニット
11…点火ユニット
12…重ね電圧制御ユニット
15…点火コイル
16…イグナイタ
17…重ね電圧生成回路
20…二次電流検知用抵抗

Claims (6)

  1. 点火コイルの一次コイルに一次電流を通電しかつ遮断することで、二次コイルに接続された点火プラグの電極間に放電電圧を発生させる内燃機関の点火装置であって、
    上記二次コイルによる放電開始後に上記点火プラグの電極間に上記放電電圧と同方向の重ね電圧を加えて放電電流を継続させる重ね電圧生成回路を備えた内燃機関の点火装置において、
    上記電極間に流れる二次電流をモニタして所定の二次電流閾値における放電時間を求め、この放電時間を所定の放電時間閾値と比較して上記重ね電圧の印加の有無を判定するように構成されているとともに、
    上記二次電流閾値は、所定の下限二次電流値と上限二次電流値との間の中間の二次電流の範囲内に設定されている、内燃機関の点火装置。
  2. 点火コイルの一次コイルに一次電流を通電しかつ遮断することで、二次コイルに接続された点火プラグの電極間に放電電圧を発生させる内燃機関の点火装置であって、
    上記二次コイルによる放電開始後に上記点火プラグの電極間に上記放電電圧と同方向の重ね電圧を加えて放電電流を継続させる重ね電圧生成回路を備えた内燃機関の点火装置において、
    上記電極間に流れる二次電流をモニタして所定の二次電流閾値における放電時間を求め、この放電時間を所定の放電時間閾値と比較して上記重ね電圧の印加の有無を判定するように構成されているとともに、
    上記二次電流閾値は、重ね電圧印加時のサイクル変動による放電時間分布と重ね電圧非印加時のサイクル変動による放電時間分布とが重ならない二次電流の範囲内に設定されている、内燃機関の点火装置。
  3. 上記上限二次電流値は、二次電流ピーク値の少なくとも40パーセントである、請求項に記載の内燃機関の点火装置。
  4. 点火コイルの一次コイルに一次電流を通電しかつ遮断することで、二次コイルに接続された点火プラグの電極間に放電電圧を発生させる内燃機関の点火装置であって、
    上記二次コイルによる放電開始後に上記点火プラグの電極間に上記放電電圧と同方向の重ね電圧を加えて放電電流を継続させる重ね電圧生成回路を備えた内燃機関の点火装置において、
    上記電極間に流れる二次電流をモニタして所定の二次電流閾値における放電時間を求め、この放電時間を所定の放電時間閾値と比較して上記重ね電圧の印加の有無を判定するように構成されているとともに、
    サイクル毎に求めた所定の二次電流閾値における放電時間の時系列データを平準化処理した上で、所定の放電時間閾値と比較する、内燃機関の点火装置。
  5. 点火コイルの一次コイルに一次電流を通電しかつ遮断することで、二次コイルに接続された点火プラグの電極間に放電電圧を発生させる内燃機関の点火装置であって、
    上記二次コイルによる放電開始後に上記点火プラグの電極間に上記放電電圧と同方向の重ね電圧を加えて放電電流を継続させる重ね電圧生成回路を備えた内燃機関の点火装置において、
    上記電極間に流れる二次電流をモニタして所定の二次電流閾値における放電時間を求め、この放電時間を所定の放電時間閾値と比較して上記重ね電圧の印加の有無を判定するように構成されているとともに、
    上記の放電時間閾値を、点火時期における筒内ガス流速、点火時期における筒内ガス密度、点火時期における筒内ガス圧力、点火プラグの電極間のギャップ長、の少なくとも1つを用いて補正する、内燃機関の点火装置。
  6. 点火コイルの一次コイルに一次電流を通電しかつ遮断することで、二次コイルに接続された点火プラグの電極間に放電電圧を発生させるとともに、
    上記二次コイルによる放電開始後に上記点火プラグの電極間に上記放電電圧と同方向の重ね電圧を加えて放電電流を継続させる内燃機関の点火方法において、
    上記電極間に流れる二次電流をモニタして所定の二次電流閾値における放電時間を求め、この放電時間を所定の放電時間閾値と比較して上記重ね電圧の印加の有無を判定し、
    ここで、上記二次電流閾値は、所定の下限二次電流値と上限二次電流値との間の中間の二次電流の範囲内に設定されている、
    内燃機関の点火方法。
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