JP2001011524A - 溶銑脱りん用上吹きランスおよび溶銑脱りん方法 - Google Patents

溶銑脱りん用上吹きランスおよび溶銑脱りん方法

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JP2001011524A JP18825099A JP18825099A JP2001011524A JP 2001011524 A JP2001011524 A JP 2001011524A JP 18825099 A JP18825099 A JP 18825099A JP 18825099 A JP18825099 A JP 18825099A JP 2001011524 A JP2001011524 A JP 2001011524A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】溶銑脱りん時のスピッティングを抑制し、脱り
ん率を向上させ得る上吹きランスおよびそれを用いて行
う溶銑脱りん方法を提供する。 【解決手段】溶銑浴の表面に酸素ガスを吹き付けるため
に用いる上吹きランスであって、ランス4の先端部にラ
ンスの中心軸との間の傾斜角度の異なる二種類のストレ
ートノズルが円周方向に交互にそれぞれ複数個配置さ
れ、傾斜角度の小さい方の小径ノズル1の径d1 に対す
る大径ノズル2の径d2 の比(d2 /d1 )が1.1を
超え2.0未満であり、かつ大径ノズルの傾斜角度θ2
に対する小径ノズルの傾斜角度θ1 の比(θ1 /θ2
が0.2を超え0.8未満であり、しかも大径ノズルの
傾斜角度が10°を超え30°未満であるランス。この
ランスを用い、送酸しつつ吹錬して溶銑脱りんを行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶銑脱りん処理に
おいて、溶銑浴の表面に酸素ガスを吹き付けるために使
用する溶銑脱りん用上吹きランス、およびそのランスを
用いて行う溶銑脱りん方法に関する。
【0002】
【従来の技術】溶銑脱りん処理において、溶銑浴の表面
に酸素ガスを吹き付けるための上吹きランスは以下の役
割を果たすことが要求される。すなわち、送酸速度を低
減して吹錬時間を延長することなく、(イ)スピッティ
ングの発生を抑制すること、(ロ)溶銑中の鉄分を溶銑
中の炭素より極力優先して酸化し、スラグ中の酸化鉄濃
度を高値に維持して脱りん効率を向上させること、であ
る。
【0003】これらの要求に応える一つの手段として、
酸素ガスジェットの浴面への衝突エネルギーを分散させ
ることがあげられる。そのために開発されたのが多孔ラ
ンスであり、現在はこの多孔ランスの使用が主流となっ
ている。
【0004】通常の多孔ランスは、ランスの先端面のラ
ンス軸線(ランスの中心軸)を中心とする同一円周上
に、ランス軸線に対して一定の傾斜角度を有する複数の
ノズル(ランスの先端面に開口する気流の噴出孔)が配
設されたものである。孔数が多いほど酸素ガスジェット
の衝突エネルギーを分散させる効果が大きく、4孔から
8孔のランスを用いるのが一般的である。
【0005】しかしながら、この通常の多孔ランスを使
用すると、各ノズルから噴出する酸素ガスジェットが互
いに干渉し合うことがあり、その干渉挙動によっては、
多孔化によって生じる上記の衝突エネルギーの分散効果
が有効に発揮されない場合がある。
【0006】例えば、前記通常の多孔ランスを用いた場
合、各ノズルから噴出する酸素ガスジェットの浴面への
衝突により形成されるキャビティ(浴面の凹み)が重な
り、その重なり面積率がある一定値を超えると、酸素ガ
スジェットの吹き付けにより地金が浴から飛び出すスピ
ッティング現象が激しくなって、スピッティング量が著
しく増加する。
【0007】このような問題を解決する手段として、特
開昭60−165313号公報には、ラバールノズルに
より形成されたキャビティの直径Dとそのキャビティに
隣接するキャビティとの重なりd(二つのキャビティの
中心を結んだ直線上における重なり部分の距離d)の比
で表されるオーバーラップ率γ(=d/D)を指標とし
て、ノズル傾斜角度を大きくし、キャビティの重複を小
さくする方法が提案されている。
【0008】しかしながら、上述のごとく改良した多孔
ランスであっても、ノズル傾斜角度を大きくし過ぎると
酸素ガスジェットが炉壁に衝突し、炉壁耐火物の溶損増
加を招く。また、ラバールノズルを溶銑脱りん処理に使
用する場合、他の条件(酸素流量、ランスの先端と浴面
間の距離等)が同じであれば、ストレートノズルに比べ
て酸素ガスジェットの浴面への衝突エネルギーが大き
く、スピッティング量や脱炭量が多くなるという問題が
ある。
【0009】さらに、転炉吹錬時のスピッティングやダ
ストの発生を抑制すべく、酸素ガスジェットを円周方向
および半径方向に平滑化することを目的としたランスが
特開平9−256022号公報で提案されている。ここ
では、ランス軸線を中心にして複数の同心円周上にそれ
ぞれ環状のガス噴出ノズルを配設し、半径方向に互いに
隣り合う環状ノズルの軸心面がなす角度θを10°以上
30°以下とすることにより、噴出する酸素ガスジェッ
トの幾何学的な重なりが抑制されて、酸素ガスジェット
の速度分布を平滑化できるとしている。
【0010】しかし、このランスは構造が複雑なため、
ランスの先端に冷却水を十分供給できず、ランス寿命が
短いという問題がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、溶銑脱りん
工程において、酸素ガスジェットの溶銑浴表面への衝突
エネルギーを極力小さくすること等により、以下の
(イ)および(ロ)を実現できる上吹きランス、および
そのランスを用いて行う溶銑脱りん方法を提供すること
を課題としてなされたものである。
【0012】(イ)スピッティングの発生を抑制する。
【0013】(ロ)溶銑中の鉄分を溶銑中の炭素より極
力優先して酸化し、スラグ中の酸化鉄濃度を高値に維持
することにより脱りん効率を向上させる。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記
の上吹きランス、およびのそのランスを用いて行う溶
銑脱りん方法にある。
【0015】 溶銑浴の表面に酸素ガスを吹き付ける
ために用いる上吹きランスであって、ランスの先端部に
ランスの中心軸との間の傾斜角度(θ)およびノズル径
(d)の異なる二種類のストレートノズルが円周方向に
交互にそれぞれ複数個配置され、傾斜角度の小さい方が
小径ノズル、傾斜角度の大きい方が大径ノズルで、小径
ノズルの径d1 に対する大径ノズルの径d2 の比(d2
/d1 )が1.1を超え2.0未満であり、かつ大径ノ
ズルの傾斜角度θ2 に対する小径ノズルの傾斜角度θ1
の比(θ1 /θ2 )が0.2を超え0.8未満で、大径
ノズルの傾斜角度θ2 が10°を超え30°未満である
溶銑脱りん用上吹きランス。
【0016】 上底吹き転炉に脱硫溶銑を装入し、上
記に記載の上吹きランスを用いて送酸しつつ吹錬する
溶銑脱りん方法。
【0017】本発明者らは、上述した課題を解決するた
め、様々な形状のランスを使用して検討した結果、以下
の知見を得た。
【0018】(1)酸素ガスジェットの溶銑浴表面近傍
での速度がランスの直下付近で最大値をとり、その点か
ら半径方向への距離の増加に伴う酸素ガスジェット速度
の低下率がある値より大きい場合(すなわち、浴面の凹
みの形状が、半径方向に狭く、鉛直方向に深い場合)に
は、上述の(イ)および(ロ)のいずれも満足できな
い。
【0019】(2)逆に、ランスの直下から半径方向へ
の距離の増加に伴う酸素ガスジェットの速度の低下率が
ある値より小さい場合(酸素ガスジェットの速度分布が
ある程度以上に平滑化された場合)には、上述の(イ)
および(ロ)を満たすことができる。
【0020】(3)円周方向に交互にそれぞれ複数個配
置された傾斜角度の異なる二種類のノズルを先端部に有
する多孔ランス(千鳥ランス)において、傾斜角度の大
きい方のノズル径を傾斜角度の小さい方のノズル径に対
し1.1倍を超え2倍未満にすることにより、傾斜角度
の大きい大径ノズルから噴出する酸素ガスジェットを傾
斜角度の小さい方の小径ノズルから噴出する酸素ガスジ
ェットより強くすることができる。この多孔ランス(異
径千鳥ランス)を用いることにより同一径のノズルを有
する通常の多孔ランスや上記の千鳥ランスを用いる場合
に比べて酸素ガスジェットの速度分布を平滑化できる。
【0021】(4)前記の(3)において、小径ノズル
の傾斜角度を大径ノズルの傾斜角度の0.2を超え0.
8倍未満にすることにより、酸素ガスジェットの速度分
布を一層平滑化できる。
【0022】(5)同一条件下(酸素流量や、ランスと
浴面間の距離等が同一)では、酸素ガス流速を高めるた
めの絞り部を有するラバールノズルよりストレートノズ
ルの方が、酸素ガスジェットの浴面への衝突エネルギー
を小さくできる。
【0023】上記本発明はこれらの知見に基づきなされ
たものである。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の溶銑脱りん用上吹
きランス、およびそのランスを用いて行う溶銑脱りん方
法について詳細に説明する。
【0025】図1は、本発明の上吹きランスの先端部の
構造の一例を示す概略説明図で、(a)は縦断面図、
(b)は下方から視た平面図である。
【0026】図示するように、本発明の上吹きランス4
においては、その先端部に、ランスの中心軸との間の傾
斜角度(θ)の異なる二種類のストレートノズル、すな
わち小径ノズル1と大径ノズル2が円周方向に交互に配
置されている。小径ノズル1の径d1 に対する大径ノズ
ル2の径d2 の比(d2 /d1 )は1.1を超え2.0
未満であり、大径ノズル2の傾斜角度θ2 に対する小径
ノズル1の傾斜角度θ1 の比(θ1 /θ2 )が0.2を
超え0.8未満であり、しかも大径ノズル2の傾斜角度
θ2 が10°を超え30°未満である。
【0027】ノズルの数は、図示した例では小径ノズル
3孔、大径ノズル3孔の合計6孔であるが、これに限ら
ず、それぞれ複数孔、例えば、8孔またはそれ以上であ
ってもよい。
【0028】本発明の上吹きランスにおいて、ラバール
ノズルではなくストレートノズルを用いるのは、ラバー
ルノズルの場合、超音速コア部が存在することに起因し
て、スピッティング量が増大するからである。
【0029】ノズル径の比(d2 /d1 )を1.1を超
え2.0未満とするのは、後述する実施例に示すよう
に、d2 /d1 がこの範囲内であれば、スピッティング
量が減少し、スラグ中の酸化鉄濃度が高く、脱りん効率
が向上するからである。
【0030】ノズルの傾斜角度の比(θ1 /θ2 )を
0.2を超え0.8未満とするのは、θ1 /θ2 が0.
2以下になると、小径ノズル1から噴出された酸素ガス
ジェットの速度ピーク(速度分布が最大値を示す部分)
の衝突により浴面に形成されるキャビティと大径ノズル
2から噴出された酸素ガスジェットの速度ピークの衝突
により同様に形成されるキャビティとが互いに離れて別
々に生じるため、酸素ガスジェットの速度分布を平滑化
することができず、一方、θ1 /θ2 が0.8以上にな
ると、小径ノズル1から噴出された酸素ガスジェットと
大径ノズル2から噴出された酸素ガスジェットとが合体
して、大きな速度ピークを持ってしまい、やはり酸素ガ
スジェットの速度分布を平滑化できず、いずれの場合
も、スピッティング量が増大し、脱りん効率が低下する
からである。
【0031】また、大径ノズル2の傾斜角度θ2 を10
°を超え30°未満とするのは、傾斜角度θ2 が10°
以下では、酸素ガスジェットの鉛直方向へのエネルギー
が大き過ぎてジェットが溶銑中へ深く侵入し、一方、θ
2 が30°以上の場合は、大径ノズル2から噴出された
酸素ガスジェットの二次燃焼率が増加しすぎ、脱りんに
寄与する酸素量が減少し、いずれの場合も、スピッティ
ング量が増大するとともに、脱りん効率が低下するから
である。
【0032】なお、本発明の上吹きランス4において、
上記の小径ノズル1および大径ノズル2から噴出される
酸素ガスジェットとほとんど干渉することのない弱い噴
流を生じさせる小径のノズル3(図1参照)をランス4
の先端部の中央に設けてもよい。この中央部ノズル3の
取り付けにより、ランス4の下端中央部への粒鉄の付着
を防止することができる。
【0033】上記の上吹きランスを用いて溶銑脱りんを
行うには、上底吹き転炉に脱硫溶銑を装入し、この上吹
きランスを用いて送酸しつつ吹錬すればよい。従来のラ
ンス、すなわち、ランス軸線に対して一定の傾斜角度を
有する複数のノズルが配設された通常の多孔ランス、ま
たは傾斜角度の異なる二種類のノズルを先端部に有する
千鳥ランスを用いる場合と同じである。
【0034】上記本発明の溶銑脱りん用上吹きランスを
用い、本発明の溶銑脱りん方法を実施すれば、溶銑脱り
ん時のスピッティングを抑制しつつ、スラグ中の酸化鉄
濃度を高値に維持して脱りん効率を向上させることがで
きる。
【0035】
【実施例】250t上底吹き転炉を用い、これに温度約
1280℃、炭素濃度:約4.5重量%(以下、%は重
量%を意味する)、りん濃度:約0.10%、珪素濃
度:0.30%の脱硫溶銑を装入し、転炉滓約3t、鉄
鉱石約3.5t、造塊滓約1tを加え、さらに生石灰を
1.7t添加し、その後、ノズルの傾斜角度およびノズ
ル径を種々変えた上吹きランスを用いて約1.3Nm3
/min・溶銑tで送酸しつつ約7分間吹錬して溶銑脱
りん処理を行い、吹錬終了後、スピッティング量、スラ
グ中の酸化鉄濃度および脱りん率を調べた。なお、底吹
きCO2 ガス流量は0.13Nm3 /min・溶銑tと
した。
【0036】スピッティング量の測定は、吹錬時に炉口
から吹き出たスピッティング(粒鉄)の数を計測するこ
とにより行った。また、スラグ中の酸化鉄濃度は、スラ
グ中のFe23 、FeO等の酸化物の濃度であるが、
スラグ中の全鉄濃度と対応するとみなし得るので、酸化
鉄濃度の測定に代えて全鉄濃度(ただし、スラグ中の粒
鉄分は除く)を測定した。
【0037】用いた上吹きランスのノズルの傾斜角度お
よびノズル径を表1にまとめて示す。また、表2に、用
いた転炉滓、鉄鉱石および造塊滓等の組成を示す。
【0038】調査結果を表1および図2〜図10に示
す。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】表1において、スピッティング量比、スラ
グ中の全鉄濃度(T.Fe)比および脱りん率比のいず
れも、ノズル径の比(d2 /d1 )が1.0の千鳥ラン
スを用いた場合(比較例No.1)を基準に採り、これ
に対する比で表示したものである。なお、評価欄の○印
は、スピッティング量比が1.0より小さく、かつ脱り
ん率比が1.0を超える場合であり、それ以外は全て×
印とした。No.1〜No.21はストレートノズルを
有する上吹きランスを、No.22はラバールノズルを
有する上吹きランスをそれぞれ使用した場合である。
【0042】表1のNo.1〜No.7は、ノズルの傾
斜角度θ2 を20°、θ1 を10°(θ1 /θ2 =0.
5)で一定とし、ノズル径の比(d2 /d1 )を1.0
から2.2の範囲で変化させた場合である。No.3〜
No.5が実施例に相当する。また、図2、図3および
図4は表1のNo.1〜No.7に示した調査結果を図
示したもので、溶銑脱りん処理後における、ノズル径の
比(d2 /d1 )と、スピッティング量比、スラグ中酸
化鉄濃度比〔(T.Fe)比で図示、図5〜図10にお
いても同様〕および脱りん率比の関係をそれぞれ示す。
【0043】表1および図2〜図4から明らかなよう
に、d2 /d1 が1.1では、d2 /d1 の影響はほと
んど認められなかった。これは、ノズルの傾斜角度の違
いから、傾斜角度の小さい小径ノズル1から噴出される
酸素ガスジェットの方が傾斜角度の大きい大径ノズル2
からの酸素ガスジェットに比べて溶銑に衝突する際のエ
ネルギーがかなり高かったためである。
【0044】一方、d2 /d1 が2以上の場合、スピッ
ティング量比は基準であるNo.1と同等かそれ以上
に、脱りん率比は同等かそれ以下になった。この場合、
小径ノズル1から噴射される酸素ガスジェットに比べて
大径ノズル2から噴射される酸素ガスジェットが強すぎ
るため、小径ノズル1からの酸素ガスジェットと大径ノ
ズル2からの酸素ガスジェットとがほとんど干渉せず、
酸素ガスジェットの速度分布がランスの直下から半径方
向に離れた場所に大きなピークを持ち、ランスの直下付
近では酸素ガスジェットの速度が非常に小さくなり、酸
素ガスジェットの速度分布を平滑化することができなか
ったためである。
【0045】表1のNo.8〜No.14は、ノズル径
1 を29.0mm、d2 を43.5mm(d2 /d1
=1.5)で一定とし、かつノズル傾斜角度比(θ1
θ2)を0.5で一定として、大径ノズル2の傾斜角度
θ2 を8°から32°の範囲で変化させた場合である。
また、図5、図6および図7は表1のNo.8〜No.
14に示した調査結果を図示したもので、溶銑脱りん処
理後における、大径ノズル2の傾斜角度θ2 と、スピッ
ティング量比、スラグ中(T.Fe)比および脱りん率
比の関係をそれぞれ示す。
【0046】大径ノズル2の傾斜角度θ2 が10°以下
では、スピッティング量比は1以上に、(T.Fe)比
および脱りん率比は1以下になった。これは、酸素ガス
ジェットのランス直下方向へのエネルギーが大き過ぎた
ため、酸素ガスジェットが溶銑中へ深く侵入したことが
原因と考えられる。
【0047】一方、大径ノズル2の傾斜角度θ2 が30
°以上の場合、脱りん率比が1またはそれ以下になっ
た。これは、大径ノズル2から噴出した酸素ガスジェッ
トの二次燃焼率が高くなりすぎ、溶銑に到達して脱りん
に寄与する酸素量が減少したためである。また、この場
合、耐火物の溶損量が増加したが、大径ノズル2から噴
出された酸素ガスジェットが直接炉壁へ衝突したことに
よるものである。
【0048】表1のNo.15〜No.21は、ノズル
径d1 およびd2 を前記のNo.8〜No.14の場合
と同じく、それぞれ29.0mmおよび43.5mm
(d2/d1 =1.5)で一定とし、かつ大径ノズル2
の傾斜角度θ2 を20°として、傾斜角度の比(θ1
θ2 )を0.1から0.9の範囲で変化させた場合であ
る。また、図8、図9および図10は表1のNo.15
〜No.21に示した調査結果を図示したもので、溶銑
脱りん処理後における、ノズルの傾斜角度の比(θ1
θ2 )と、スピッティング量比、スラグ中(T.Fe)
比および脱りん率比の関係をそれぞれ示す。
【0049】θ1 /θ2 が0.2以下になると、スピッ
ティング量比は1以上に、(T.Fe)比および脱りん
率比は1またはそれ以下になった。これは、小径ノズル
1から噴出された酸素ガスジェットが大径ノズル2から
噴出された酸素ガスジェットとあまり干渉しなくなり、
酸素ガスジェットがランスの直下付近とそこから半径方
向に離れた位置の二カ所に大きな速度ピークを持ち、酸
素ガスジェットの速度分布を平滑化できなかったためで
ある。
【0050】一方、θ1 /θ2 が0.8以上の場合、ス
ピッティング量比は1以上に、(T.Fe)比および脱
りん率比は1またはそれ以下になった。これは、小径ノ
ズル1から噴出された酸素ガスジェットが大径ノズル2
から噴出された酸素ガスジェットと合体したために、酸
素ガスジェットがランスの直下から半径方向に離れた位
置に大きなピークを持ってしまい、酸素ガスジェットの
速度分布を平滑化できなかったことが原因である。
【0051】表1のNo.22は、ラバールノズルを使
用した場合である。ストレートノズルを使用したNo.
3と比較すると、ノズル径d1 およびd2 が若干異なる
が、スピッティング量比、スラグ中(T.Fe)比およ
び脱りん率比のいずれもストレートノズルを用いた方が
優れている。これは、ノズルをラバールにした場合は超
音速コア部が存在するため、酸素ガスジェットが浴面に
衝突する際のエネルギーが大きく、ストレートノズルの
ランスを見かけ上コア長さの分だけ下げた場合に近い値
となったためである。
【0052】
【発明の効果】本発明の上吹きランスを用い、本発明の
方法により溶銑脱りんを行えば、溶銑脱りん時のスピッ
ティングを抑制しつつ、スラグ中の酸化鉄濃度を高値に
維持して脱りん率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の上吹きランス先端部の概略を6孔ラン
スを例にとって示した図であり、図1(a)は縦断面
図、図1(b)は下方から視た平面図である。
【図2】ノズルの傾斜角度の比(θ1 /θ2 )を一定に
し、かつθ2 を20°とした場合のスピッティング量比
とノズル径の比(d2 /d1 )の関係を示す図である。
【図3】ノズルの傾斜角度の比(θ1 /θ2 )を一定に
し、かつθ2 を20°とした場合の溶銑脱りん処理後の
スラグ中(T.Fe)比とノズル径の比(d2 /d1
の関係を示す図である。
【図4】ノズルの傾斜角度の比(θ1 /θ2 )を一定に
し、かつθ2 を20°とした場合の脱りん率比とノズル
径の比(d2 /d1 )の関係を示す図である。
【図5】ノズルの傾斜角度の比(θ1 /θ2 )とノズル
径の比(d2 /d1 )を一定にした場合のスピッティン
グ量比とノズルの傾斜角度θ2 の関係を示す図である。
【図6】ノズルの傾斜角度の比(θ1 /θ2 )とノズル
径の比(d2 /d1 )を一定にした場合の溶銑脱りん処
理後のスラグ中(T.Fe)比とノズルの傾斜角度θ2
の関係を示す図である。
【図7】ノズルの傾斜角度の比(θ1 /θ2 )とノズル
径の比(d2 /d1 )を一定にした場合の脱りん率比と
ノズルの傾斜角度θ2 の関係を示す図である。
【図8】ノズル径の比(d2 /d1 )を一定にし、かつ
θ2 を20°とした場合のスピッティング量比とノズル
の傾斜角度の比(θ1 /θ2 )の関係を示す図である。
【図9】ノズル径の比(d2 /d1 )を一定にし、かつ
θ2 を20°とした場合の溶銑脱りん処理後のスラグ中
(T.Fe)比とノズルの傾斜角度の比(θ1 /θ2
の関係を示す図である。
【図10】ノズル径の比(d2 /d1 )を一定にし、か
つθ2 を20°とした場合の脱りん率比とノズルの傾斜
角度の比(θ1 /θ2 )の関係を示す図である。
【符号の説明】
1:小径ノズル 2:大径ノズル 3:中央部ノズル 4:上吹きランス

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶銑浴の表面に酸素ガスを吹き付けるため
    に用いる上吹きランスであって、ランスの先端部にラン
    スの中心軸との間の傾斜角度(θ)およびノズル径
    (d)の異なる二種類のストレートノズルが円周方向に
    交互にそれぞれ複数個配置され、傾斜角度の小さい方が
    小径ノズル、傾斜角度の大きい方が大径ノズルで、小径
    ノズルの径d1 に対する大径ノズルの径d2 の比(d2
    /d1 )が1.1を超え2.0未満であり、かつ大径ノ
    ズルの傾斜角度θ2 に対する小径ノズルの傾斜角度θ1
    の比(θ1 /θ2 )が0.2を超え0.8未満で、大径
    ノズルの傾斜角度θ2 が10°を超え30°未満である
    ことを特徴とする溶銑脱りん用上吹きランス。
  2. 【請求項2】上底吹き転炉に脱硫溶銑を装入し、請求項
    1に記載の上吹きランスを用いて送酸しつつ吹錬するこ
    とを特徴とする溶銑脱りん方法。
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KR100554750B1 (ko) * 2001-12-26 2006-02-24 주식회사 포스코 극저탄소강의 정련방법 및 그에 사용되는 랜스
JP2009091617A (ja) * 2007-10-09 2009-04-30 Nippon Steel Corp 溶銑の脱リン処理方法
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CN111850232A (zh) * 2020-09-09 2020-10-30 辽宁科技大学 高效脱磷的氧枪喷头和吹炼工艺

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