JP6325869B2 - 熱処理用鋼板の製造方法 - Google Patents

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本発明は、熱処理用鋼板の製造方法に関する。詳細には、本発明は、大気中で加熱したときに生成する酸化スケールが焼入れ焼戻し等の熱処理中に下地鋼から剥離しない熱処理用鋼板の製造方法に関する。
丸鋸用基板、ギア、ワッシャー等に使用される鋼板は、熱処理特性に優れていることはもちろんのこと、高い寸法精度及び良好な表面肌も要求される。そのため、熱処理時に生成する酸化スケールに起因した疵を防止する必要があり、通常、熱間圧延時に生成した酸化スケール(「黒皮」ともいう。)を酸洗によって除去した酸洗鋼板を非酸化性雰囲気下で熱処理している。他方、熱処理コストを低減する観点から、酸洗鋼板を大気雰囲気下で熱処理することが多くなってきた。ところが、酸洗鋼板を大気雰囲気中で熱処理すると、酸洗鋼板の表面に酸化スケールが発生する。このような酸化スケールは、焼入れ焼戻し等の熱処理の際に様々な問題を生じさせる。例えば、酸化スケールは、焼入れ時の急冷によって下地の鋼板から剥離し、その後に続くプレステンパー等の工程の際に押込み疵が発生する原因となる。押込み疵がある鋼板では、鋼板表面の研削代が嵩み、作業コストを上昇させる。また、疵の程度が著しい鋼板は、寸法精度の面から製品として使用できないこともある。しかも、熱処理中に酸化スケールの剥離があると、酸化スケールの飛散によって作業環境も低下してしまう。
上記のような理由から、特許文献1〜5には、酸洗鋼板に対する酸化スケールの密着性を向上させることで酸化スケールの剥離を防止する各種方法が提案されている。これらの方法は、熱間圧延時に急冷することで熱間圧延時に生成する酸化スケールを薄くし、巻取温度の制御及び非酸化性雰囲気中での冷却によって酸化スケールの組成を密着性が良好なFeとするものである。これらの方法はいずれも、熱間圧延時に生成する酸化スケールの密着性を改善しているものの、熱処理時に生成する酸化スケールの密着性については特に問題にしていない。
また、他の方法として、特許文献6には、表面に凹凸をつけたワークロールを用いることによって、熱間圧延された鋼板(以下、「熱延鋼板」と略す。)のスケール密着性を向上させる方法が提案されている。
さらに、他の方法として、鋼板のSi含有量を高めることにより、熱処理時の加熱によるFeからFeOへの変態を抑制する方法が提案されている。
特開昭63−179056号公報 特開平2−34793号公報 特開平2−38522号公報 特開平2−185915号公報 特開平5−195055号公報 特公平2−182302号公報 特開平2−104625号公報
特許文献1〜5の方法は、酸化スケールが表面に形成された熱延鋼板のままで使用される製品に対しては有効である。このような製品としては、熱処理を行うことなく切削又は打抜き加工によって製造される建築用材料及び自動車用材料等が挙げられる。
しかしながら、これらの方法で得られる熱延鋼板は、熱処理を行うと様々な問題が生じるため、熱処理用鋼板として使用することができない。例えば、これらの方法で得られる熱延鋼板は、熱処理時の加熱によって表面脱炭が生じたり、酸化スケールが厚くなることによって部分的な剥離が生じたりすることから、押込み疵が発生する。また、酸洗して使用する場合であっても、熱延鋼板自体の酸化スケールの密着性が高いことから、酸洗効率が低下すると共に、酸化スケールの密着性が良いFeが除去されるために熱処理時の酸化スケールの密着性が確保されない。
また、特許文献6の方法では、ワークロールの表面に凹凸を形成する加工が必要とされるため、ロールの製造コストが高くなる。しかも、実際の操業では、様々な鋼板を熱間圧延するため、ロールの摩耗を考慮すると、安定した製品を得ることが難しくなる。また、鋼板の種類を限定したとしても、ロール交換に要する時間が必要であり、ロール原単位が上昇する。
さらに、特許文献7の方法のように、鋼板のSi含有量を高めると、熱延鋼板の表面に酸化スケールが付着しているため、中〜高炭素鋼板の場合には、熱処理時にスケール中の酸素による表面脱炭が生じる。その結果、焼入れ不足が発生し、必要な熱処理特性が得られないことがある。また、熱処理温度が950℃以上になると、Siによる変態抑制効果が希薄になり、生成スケールがFeOになって剥離することもある。
本発明は、上記のような問題を解決すべくなされたものであり、熱処理時に生成する酸化スケールの密着性を向上させ、熱処理時に酸化スケールが剥離しないと共に作業環境の低下をもたらさない熱処理用鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
そこで、本発明者らは、熱処理時に生成する酸化スケールの密着性に及ぼす要因を種々調査した結果、粒界酸化によって地鉄界面に形成されたクラック(凹凸)の開口幅が酸化スケールの密着性に多大な影響を与えているという知見に基づき、特定の単位張力にて冷間圧延を行なうことにより、クラックの開口幅を特定の範囲に制御することができ、熱処理時に生成する酸化スケールの密着性を向上させ得ることを見出した。
すなわち、本発明は、C:0.3〜1.2質量%、Si:0.1〜1.8質量%、Mn:0.3〜2.0質量%、Cr:2質量%以下、Ni:2質量%以下、Mo:0.2質量%以下、V:0.2質量%以下、Cu:0.3質量%以下を含み、残部がFe及び不可避不純物からなる組成を有する鋼帯を熱間圧延して酸洗した後、150N/mm以上の単位張力で冷間圧延し、平均クラック開口幅を1μm以上にすることを特徴とする熱処理用鋼板の製造方法である。
本発明によれば、熱処理時に生成する酸化スケールの密着性を向上させ、熱処理時に酸化スケールが剥離しないと共に作業環境の低下をもたらさない熱処理用鋼板の製造方法を提供することができる。
熱処理用鋼板の表面の電子顕微鏡写真である。 冷間圧延時の単位張力と、テープ剥離試験の評価結果及び平均クラック開口幅との関係を表すグラフである。 熱処理後の熱処理用鋼板の電子顕微鏡写真(断面図)である。
本発明の熱処理用鋼板の製造方法は、所定の組成を有する鋼帯を熱間圧延して酸洗した後、所定の単位張力で冷間圧延することにより行われる。
まず、本発明の熱処理用鋼板の製造方法に用いられる鋼帯の組成について説明する。
熱間圧延される鋼帯は、C、Si及びMnを必須成分、Cr、Ni、Mo、V及びCuを任意成分として含み、残部がFe及び不可避不純物からなる組成を有する。
C:0.3〜1.2質量%
Cは、熱処理製品に強度を付与する合金元素である。Cの含有量は、熱処理製品の強度を確保する観点から、0.3質量%以上、好ましくは0.4質量%以上である。一方、Cの含有量が1.2質量%を超えると、セメンタイトの析出を抑えるために熱処理温度を下げることが必要となる。この場合、熱処理時に酸化スケールの生成が抑えられるので本発明を用いる必要がない。通常、焼入れ焼戻し等の熱処理に使用される材料としては中〜高炭素鋼が一般的であり、そのCの含有量は0.4〜1.0質量%の範囲にある。このような中〜高炭素鋼に対して本発明が顕著な効果を発揮する。
Si:0.1〜1.8質量%
Siは、Mnと共に粒界酸化層を得るのに適した合金元素である。Siの含有量が1.8質量%を超えると、鋼板の表面肌が劣化する。一方、Siの含有量が0.1質量%未満であると、粒界酸化層が十分に形成されない。
Mn:0.3〜2.0質量%
Mnは、Siと同様に粒界酸化層を得るのに適した合金元素である。Mnの含有量が2.0質量%を超えると、焼き割れが発生し易くなる。一方、Mnの含有量が0.3質量%未満であると、焼入れ不足が生じ易くなる。
Cr:2質量%以下
Crは、粒界酸化を促進させて地鉄界面に凹凸を生成し易くする合金元素である。Crを含有させることにより、酸化スケールの密着性が向上し、熱処理時の酸化スケールの剥離を防止する効果が高くなる。Crの含有量が1重量%を超えると、Crによる効果がほぼ飽和する。また、Crの含有量が2質量%を超えると、経済的でない上、靭性が低下してしまう。そのため、Crの含有量は、2質量%以下、好ましくは0質量%超過1質量%である。
Ni:2質量%以下
Niもまた、地鉄界面に凹凸を生成し易くする合金元素である。Niは、熱間圧延中の二次酸化によって地鉄界面に濃化する傾向を示し、濃化部分が凸状に残り、地鉄界面がミクロ的に凹凸形状になる。そのため、Ni添加量に応じて巻取り温度を低くしても、地鉄界面に凹凸を形成することが可能になる。Niの含有量が2質量%を超えると、経済的でない上、靭性及び延性が低下してしまう。そのため、Niの含有量は、2質量%以下、好ましくは0質量%超過1質量%以下である。
Cu:0.3質量%以下
Cuは、熱処理時の酸化スケールの成長を抑制する合金元素である。また、Cuは、粒界に偏析し易く、クラック生成にも有効である。ただし、Cuは、高価であるため、多量に含有させるとコストアップにつながる。そのため、Cuの含有量は、0.3質量%以下、好ましくは0質量%超過0.3質量%以下である。
Mo:0.2質量%以下、V:0.2質量%以下
Mo及びVは、炭化物による結晶粒径の微粒化、及び特殊鋼には必要不可欠の焼戻し軟化抵抗を得るのに有効な合金元素である。ただし、Mo及びVは、高価であるため、多量に含有させるとコストアップにつながる。そのため、Mo及びVの含有量は、0.2質量%以下、好ましくは0質量%超過0.2質量%以下である。
上記以外の成分である残部は、鉄及び不可避不純物からなる。ここで、不可避不純物とは、製造工程中に、材料中への混入が避けられない不純物元素のことを意味する。不可避不純物としては、特に限定されないが、P、S、Sn、W、W等が挙げられる。
次に、本発明の熱処理用鋼板の製造方法について説明する。
本発明では、上記の組成を有する鋼帯を熱間圧延して酸洗した後、所定の単位張力で冷間圧延する。
熱間圧延の方法としては、特に限定されず、当該技術分野において公知の方法を用いることができる。
熱間圧延によって得られた熱延鋼板は、一般に、ロール状に巻取り、ホットコイルとする。このとき、巻取り温度は、高温であるほど粒界酸化を促進させることができるが、本発明では、下記で説明する冷間圧延において、粒界酸化に起因する地鉄界面のクラック(凹凸)の開口幅を制御することができるため、粒界酸化を促進させる必要がない。したがって、巻取り温度は、特に限定されず、当該技術分野において一般的な巻取り温度である550〜600℃とすることができる。
ホットコイルは、酸洗して脱スケールが行われる。酸洗方法としては、特に限定されず、当該技術分野において公知の方法を用いることができる。
このようにして酸洗された熱延鋼板を次に冷間圧延する。冷間圧延は、150N/mm以上、好ましくは160N/mm以上の単位張力で行う。ここで、「単位張力」とは、冷間圧延機を通板させる際に熱延鋼板にかかる荷重(張力)を熱延鋼板の断面積で割ることによって算出される、熱延鋼板1mmあたりの荷重(張力)のことを意味する。単位張力の制御方法は、特に限定されず、公知の方法に準じて行うことができる。例えば、マンドレルと、マンドレルに鋼帯を導く上下一対をなすピンチロール及びデフレクタ―ロールとの間にかかる張力を調整することで単位張力を制御することができる。
上記のように大きな単位張力で冷間圧延を行なうことにより、網目状の粒界から圧延方向に開口したクラックが形成される。そして、このように開口したクラックの存在により、熱処理時の酸化スケールの耐剥離性が向上する。なお、鋼板の硬さ伸び、断面積になどに依存するが、特に200N/mm以上の単位張力で冷間圧延を行なうことにより、熱処理時の酸化スケールの耐剥離性を安定して高めることができる。一方、一般的な冷間圧延の場合のように、単位張力が150N/mm未満であると、所望のクラックが形成されず、熱処理時の酸化スケールの耐剥離性が向上しない。
上記のようにして形成されるクラックは、平均クラック開口幅が1μm以上、好ましくは1.1μm以上5.0μm以下、より好ましくは1.2μm以上4.5μm以下である。ここで、「平均クラック開口幅」とは、熱処理用鋼板の表面(250μm×250μm)を電子顕微鏡写真で観察し、圧延方向に開口したクラック(クラックの数は、好ましくは100個以上)の幅を測定し、その平均をとることで算出される値のことを意味する。上記のような範囲の平均クラック開口幅を形成することにより、酸化スケールの剥離を防止するアンカー効果が高くなる。
一般に、熱処理時に生成する酸化スケールの層は、加熱条件に依存するが、厚みが1〜2μm程度と推定されるため、所望のアンカー効果を得るためには、酸化スケールの層の厚みに対するクラック開口幅の比が1以上であることが必要である。したがって、上記のような単位張力で冷間圧延を行なうことで平均クラック開口幅を1μm以上に制御しなければならない。一方、クラック開口幅は、大きいほどアンカー効果が増大するが、あまりに大きすぎると鋼板の表面粗さが低下することがある。そのため、平均クラック開口幅を5.0μm以下に制御することが好ましい。
また、冷間圧延の際の冷間圧延率は、特に限定されないが、熱延肌の影響を少なくすると共に板厚精度を高める観点から、20%以上とすることが好ましい。なお、冷間圧延率は、粒界酸化に起因するクラックの開口に与える影響は少なく、冷間圧延率を制御しても熱処理時の酸化スケールの耐剥離性はあまり向上しない。
冷間圧延された鋼板は、必要に応じて、加工性等の特性を向上させる観点から、焼鈍及びスキンパス圧延が行われる。また、焼鈍後に冷間圧延を再度行った後、焼鈍及びスキンパス圧延を行なってもよい。
焼鈍及びスキンパス圧延の方法としては、特に限定されず、当該技術分野において公知の方法を用いることができる。
また、冷間圧延を再度行う場合、所望のアンカー効果を得る観点から、上記条件と同様にして行うことが好ましい。
上記のようにして製造される熱処理用鋼板は、アンカー効果に優れた平均クラック開口幅を有するクラックが形成されているため、熱処理時に生成する酸化スケールの密着性を向上させ、熱処理時に酸化スケールが剥離しないと共に作業環境の低下をもたらさない。
以下、実施例及び比較例により本発明の詳細を説明するが、これらによって本発明が限定されるものではない。
表1に示す組成を有する鋼種A〜Cの鋼帯を幅850mm×板厚3.5mmに熱間圧延した後、550〜600℃の巻取り温度で巻取ってホットコイルとした。次に、ホットコイルから巻出した熱延板を90℃の塩酸に2分間浸漬させて酸洗した後、(1)冷間圧延−焼鈍−スキンパス圧延又は(2)冷間圧延−焼鈍−冷間圧延−焼鈍−スキンパス圧延のいずれかを施して板厚2.4mmの冷延板(熱処理用鋼板)を作製した。
冷間圧延は、トータル圧延率を31.4%とし、表2に示す単位張力で行った。なお、(2)において2つの冷間圧延の条件は同じにした。
焼鈍は、窒素雰囲気中、680℃で20時間加熱することで行った。なお、(2)において2つの焼鈍の条件は同じにした。
スキンパス圧延は、圧延率を1.5として行った。
Figure 0006325869
上記で得られた熱処理用鋼板の平均クラック開口幅を、電子顕微鏡写真を用いて測定した。ここで、図1に、試験No.7の熱処理用鋼板の表面の電子顕微鏡写真を示す。図1に示すように、熱処理用鋼板の表面には、圧延方向に開口したクラックが観察される。
ここで、平均クラック開口幅は、熱処理用鋼板の表面(250μm×250μm)を電子顕微鏡写真で観察し、圧延方向に開口したクラック(100個以上)の幅を測定し、その平均をとることで算出した。その結果を表2に示す。
上記で得られた熱処理用鋼板から幅25mm×長さ100mmの試験片を切り出し、大気雰囲気中で加熱温度880℃、保持温度10分で加熱した後、30℃の水冷銅定盤において19.6N/mの面圧でプレス焼き入れする熱処理を施した。
熱処理後の鋼板における酸化スケールの剥離性をテープ剥離試験で評価した。テープ剥離試験では、テープとしてニチバン製セロテープ(登録商標)(幅15mm、型番CT405AP−15)を用い、このテープを熱処理後の鋼板に貼り付けた。ここで、テープの貼り付け方向は、熱処理後の鋼板の長さ方向と平行にした。次に、テープを剥がした後、テープ中央部(幅15mm×長さ50mm)において、倍率200倍で画像解析装置を用いて剥離面積を算出した。剥離面積の結果は、3つの試験片における剥離面積の結果を平均して定量化した。
テープ剥離試験の評価において、剥離面積の割合が90%以上のものを0点、60%以上90%未満のものを1点、30%以上60%未満のものを2点、5点以上30%未満のものを3点、1%以上5%未満のものを4点、0.1%以上1%未満のものを5点、0.1%未満のもの(剥離なし)を6点として表す。
なお、実際の熱処理では、酸化スケールの剥離面積の割合が5%未満であれば、酸化スケールの耐剥離性が良好であると認められるため、4点以上を合格基準とした。
テープ剥離試験の評価結果を表2に示す。
Figure 0006325869
表2の結果に示されるように、試験No.3〜9の実施例では、冷間圧延時の単位張力を150N/mm以上に設定したため、平均クラック開口幅を1μm以上に制御することができ、酸化スケールの耐剥離性が向上した。これに対して試験No.1及び2の比較例では、単位張力が低すぎたため、平均クラック開口幅が1μm未満となり、酸化スケールの剥離が多かった。
上記の結果を考察するため、冷間圧延時の単位張力と、テープ剥離試験の評価結果及び平均クラック開口幅との関係を表すグラフを図1に示す。
図2に示されるように、テープ剥離試験の評価点を4以上とするためには、平均クラック開口幅を1μm以上にする必要がある。そして、平均クラック開口幅を1μm以上にするためには、冷間圧延時の単位張力が150N/mm以上に設定する必要がある。
また、図3に、熱処理後の熱処理用鋼板の電子顕微鏡写真(断面図)を示す。図3に示されるように、熱処理後の熱処理用鋼板の表面には、熱処理時に生成する酸化スケールが密着しており、酸化スケールが剥離し難いことがわかる。
以上の結果からわかるように、本発明によれば、熱処理時に生成する酸化スケールの密着性を向上させ、熱処理時に酸化スケールが剥離しないと共に作業環境の低下をもたらさない熱処理用鋼板の製造方法を提供することができる。

Claims (1)

  1. C:0.3〜1.2質量%、Si:0.1〜1.8質量%、Mn:0.3〜2.0質量%、Cr:2質量%以下、Ni:2質量%以下、Mo:0.2質量%以下、V:0.2質量%以下、Cu:0.3質量%以下を含み、残部がFe及び不可避不純物からなる組成を有する鋼帯を熱間圧延して酸洗した後、150N/mm以上の単位張力で冷間圧延し、平均クラック開口幅を1μm以上にすることを特徴とする熱処理用鋼板の製造方法。
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