JP6323963B2 - 容器詰しょうゆ含有液体調味料 - Google Patents

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Description

本発明は、容器詰しょうゆ含有液体調味料に関する。
食塩(塩化ナトリウム)の過剰摂取は、高血圧症、脳血管疾患、心臓疾患などの循環器系疾患を招き易いことが明らかとなってきている。食塩摂取量を低減するため、食塩含量の高い食品、特にしょうゆやしょうゆ加工品などのしょうゆ含有液体調味料の摂取に対する関心が増加している。しかし、食塩含量の低い減塩しょうゆや低塩しょうゆを使用すると塩味不足により、しょうゆを継ぎ足して使用して、食塩の摂取低減につながらないという問題がある。
そこで、調味料の成分のうち、食塩の一部を塩化カリウムで代替して塩味を増強する技術が知られている。また、塩化カリウムには特有の異味がある為、その異味をマスキングして塩味を付与する技術も提案されている(特許文献1〜3)。このほか、オルニチン、グリシンエチルエステル等の塩味増強物質を添加する技術が知られている(非特許文献1、2)。
カリウムを実質的に含まない減塩調味料として、大豆及び小麦を主原料とし製造された醤油麹と水との混合物を、食塩を添加することなく温度40〜60℃、圧力80〜100MPaの条件下で保持し液体調味料を製造することで、アミノ酸濃度を高くした液体調味料が知られている(特許文献4)。
一方、ペプチドには、こく味や厚味付与作用を有するもの(特許文献5、6)が知られている。更に、塩味増強作用を有するものとして、酸性ペプチド、グルタミン酸を含むペプチド等が公知である(特許文献7、8)。このほか、食品蛋白質を酵素処理して得られたペプチドの風味に関する研究がある(非特許文献3)が、ロイシルセリンの風味については全く知られていない。
特開昭59-55165号公報 特開2006-166750号公報 WO2006/114918号パンフレット 特開2009-044984号公報 WO2004/107880号パンフレット 特開2001-61445号公報 WO2001/39613号パンフレット WO2009/113563号パンフレット
Agric. Biol. Chem., 53(6), 1625 (1989年) Biosci. Biotech. Biochem., 59(1), 35 (1995年) Biosci. Biotech. Biochem., 63(3), 555 (1999年)
しょうゆの用途は多岐にわたっている。特に、低食塩含量のしょうゆ含有液体調味料の場合、煮物などのように、しょうゆをだし汁等で割って調理すると、低食塩含量による塩味不足が顕著となってしまうという課題がある。これに対して、塩化カリウムを添加すると、カリウム由来の異味により、風味バランスが崩れてしまうという課題が生じる。
本発明者は、以上のような風味を主とする課題がある中で、しょうゆ含有液体調味料の食塩含量を低減させた場合に生ずる風味上の課題について検討してきた。
従って、本発明の課題は、低食塩含量であるにもかかわらず、適度な塩辛味とあつみを呈し、風味良好な容器詰しょうゆ含有液体調味料を提供することにある。
本本発明者らは、風味良好で有用な容器詰しょうゆ含有液体調味料について検討してきた結果、ナトリウム及びロイシルセリンを特定量含有することにより、低食塩含量であるにもかかわらず適度な塩辛味とあつみを呈すること、魚節だし汁で希釈した際にだし汁由来の生臭さが低減し、良好な風味となることを見出した。本発明はこれらの知見に基づき完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、次の(a)及び(b)
(a)ナトリウム 1.4〜4.4質量%
(b)ロイシルセリン 0.001〜0.25質量%
を含有する容器詰しょうゆ含有液体調味料を提供するものである。
本発明によれば、低食塩含量であるにもかかわらず、適度な塩辛味とあつみを呈し、風味良好な容器詰しょうゆ含有液体調味料を簡便に得ることができる。また、本発明の容器詰しょうゆ含有液体調味料を用いることで、よりナトリウム量の少ない食品の製造が可能となる。
本発明の容器詰しょうゆ含有液体調味料(以下、単に「本発明の液体調味料」とも記載する)は、しょうゆを含有し、更に(a)ナトリウム及び(b)ロイシルセリンをそれぞれ特定量含有する。
本発明の液体調味料は、(a)ナトリウム(以下、Naとも記載する)を1.4〜4.4質量%(以下、特に断りのない限り組成を表す「%」は質量%を意味する。)含有するが、好ましくは1.5〜3.7%、より好ましくは1.7〜3.55%、より好ましくは1.8〜3.7%、更に好ましくは1.9〜3.55%、更に好ましくは1.9〜3.12%、更に好ましくは2〜3.1%、更に好ましくは2.05〜2.95%、更に好ましくは2.2〜2.95%、更に好ましくは2.35〜2.95%、更に好ましくは2.6〜2.95%、殊更好ましくは2.75〜2.9%含有するのが、塩辛味発現、ナトリウムの過剰摂取抑制、風味バランス、あつみ、工業的生産性の点で好ましい。
本発明において、ナトリウムは、食品成分表示上の「ナトリウム」又は「Na」を指し、液体調味料中にイオンの形態で含有されているものをいう(以下に記載するナトリウム以外のアルカリ金属又はアルカリ土類金属についても同様である)。
本発明の液体調味料にナトリウムを含有させる場合には、無機ナトリウム塩、有機酸ナトリウム塩、アミノ酸ナトリウム塩、核酸ナトリウム塩等を用いることができる。具体的には、塩化ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、アスパラギン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウム、これらの2種以上の混合物を用いることができる。ナトリウムの供給源として、しょうゆ及び食塩を主に使用し、補助的に他のナトリウム塩等を併用するのが、風味バランス、コストの点で好ましい。
前記食塩として、様々なものが市販されているが、乾燥物基準で塩化ナトリウム100質量部(以下、単に「部」で示す)に対して、塩化マグネシウムを0.01〜2部、塩化カルシウムを0.01〜2部、塩化カリウムを0.01〜2部含有するものが、風味、工業的生産性の点で好ましい。
本発明の液体調味料中の(b)ロイシルセリン(以下、Leu−Serとも記載する)の含有量は0.001〜0.25%であるが、好ましくは0.002〜0.15%であることが好ましく、より好ましくは0.004〜0.12%、更に好ましくは0.007〜0.07%、更に好ましくは0.009〜0.06%、殊更好ましくは0.012〜0.025%であるのが、塩辛味発現、あつみ向上、魚節の生臭さ低減、カリウム由来の異味抑制、苦味、風味バランスの点で好ましい。
本発明の液体調味料中のロイシルセリンは、しょうゆには殆ど含まれていないため、しょうゆとは別に添加する必要がある。添加するロイシルセリンは、L−ロイシル−L−セリン、L−ロイシル−D−セリン、D−ロイシル−L−セリン、D−ロイシル−D−セリン、又はこれらの2種以上の混合物を使用することができるが、L−ロイシル−L−セリンが好ましい。工業的には、蛋白質やペプチドの加水分解物、醗酵生産物、アミノ酸からの合成物等をロイシルセリンの供給源として用いることができる。なお、ロイシルセリンの含有量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて常法により測定することができる。
本発明の液体調味料は、(c)カリウム(以下、Kとも記載する)を含有してもよい。(c)カリウムの含有量は、好ましくは0.01〜3%、より好ましくは0.02〜2.5%、更に好ましくは0.03〜2.3%、更に好ましくは0.05〜2%、殊更好ましくは0.1〜1.6%であることが苦味や刺激味といったカリウム由来の異味を抑える観点から好ましい。(c)カリウムの含有量は、好ましくは0.01〜0.8%、より好ましくは0.02〜0.7%、更に0.03〜0.6%、特に0.05〜0.5%、殊更0.1〜0.45%であることが、苦味や刺激味といったカリウム由来の異味を生じない点から好ましい。一方、カリウムの塩辛味をより引き出しつつ、カリウム由来の異味を抑制し、風味バランスを良好に保つ点からは、カリウムの含有量は0.81〜3%であることが好ましく、より好ましくは0.9〜2.5%、更に好ましくは1〜2.3%、更に好ましくは1.1〜2%、殊更好ましくは1.2〜1.6%である。
本発明において、液体調味料中のナトリウム(Na)並びにカリウム(K)の含有量は原子吸光光度計を用いて常法により測定することができる。
本発明の液体調味料中の(a)ナトリウム/(c)カリウム(Na/K、含有量の質量比)は、0.9〜300であるのが好ましく、より好ましくは1〜250、更に好ましくは1.2〜200、更に好ましくは1.8〜200、更に好ましくは1.8〜100、更に好ましくは2〜100、更に好ましくは4〜50、更に好ましくは6〜20、殊更好ましくは7〜10であるのが、カリウム由来の異味抑制、塩辛味発現、あつみ向上、風味バランスの点から好ましい。
本発明の液体調味料中の(b)ロイシルセリン/(a)ナトリウム(Leu−Ser/Na、含有量の質量比)は、0.0005〜0.08であるのが好ましく、より好ましくは0.0008〜0.06、更に好ましくは0.001〜0.03、更に好ましくは0.002〜0.03、更に好ましくは0.003〜0.02、更に好ましくは0.0035〜0.009、殊更好ましくは0.005〜0.008であるのが、異味抑制、塩辛味発現、あつみ向上、風味バランスの点で好ましい。
本発明の液体調味料中の(b)ロイシルセリン/(c)カリウム(Leu−Ser/K、含有量の質量比)は、0.002〜2であるのが好ましく、より好ましくは0.003〜1、更に好ましくは0.005〜1、更に好ましくは0.007〜0.5であるのが、異味抑制、塩辛味発現、あつみ向上、風味バランスの点で好ましい。なかでもカリウム由来の異味をより抑え、ロイシルセリンによる塩辛味及びあつみの向上効果を得ながらも良好な風味バランスとする点からは、上記の(b)ロイシルセリン/(c)カリウムは0.005〜1.5であることが好ましく、更に好ましくは0.01〜1、更に好ましくは0.02〜0.7、殊更好ましくは0.03〜0.5である。一方、カリウムにより塩味を増強しながらもカリウム由来の異味を抑制し、さらにロイシルセリンによる塩辛味及びあつみの向上効果を得ながらも良好な風味バランスとする点からは、上記の(b)ロイシルセリン/(c)カリウムは0.004〜0.2であることが好ましく、より好ましくは0.005〜0.1、更に好ましくは0.006〜0.08、更に好ましくは0.007〜0.04、殊更好ましくは0.008〜0.015である。
本発明の液体調味料はエタノールを含有することが好ましい。本発明の液体調味料において、エタノールの含有量は1〜10%であるの好ましく、より好ましくは1.1〜8%、更に1.3〜6%であるのが、塩辛味の鋭さ、魚節類や柑橘類の香り立ち、保存安定性の点で好ましい。
本発明において、エタノールの含有量は、ナトリウム100部に対して5〜250部、好ましくは10〜200部、より好ましくは20〜180部、更に40〜170部、特に70〜135部、殊更90〜130部であるのが、塩辛味の鋭さ、魚節類や柑橘類の香り立ち、保存安定性の点で好ましい。
本発明において、エタノール(EtOH)の含有量は、原料由来のエタノール量と原料とは別に添加したエタノール量との合計量をいう。すなわち、調味料の原料として日本酒、ワイン等の酒、醤油、味醂(本みりん、みりん風調味料、塩みりん等)等の醸造調味料の他、発酵物等を用いると、原料由来のエタノールが含まれることがある。その場合には、原料由来のエタノールと原料とは別に添加したエタノールとの合計量が、上記範囲内であるものとする。なお、エタノールの含有量は、ガスクロマトグラフィー(GLC)を使用して、測定することができる(「しょうゆ試験法」、(財)日本醤油研究所編集、(株)醤協通信社販売、昭和60年)。
本発明の液体調味料が後述するしょうゆ又はしょうゆ加工品であって、糖類が原料由来のみであり原料とは別に糖類が添加されない場合は、(a)ナトリウムの含有量は、2.4〜4.4%であることが好ましく、更に2.5〜3.7%、更に2.6〜3.55%、特に2.7〜3.1%、殊更2.75〜2.95%であるのが、塩辛味発現、風味バランス、保存性の点、ナトリウム過剰摂取抑制の点で好ましい。この場合の糖類の含有量は、5%未満、好ましくは1〜4.9%であることが塩辛味発現、風味バランスの点から好ましい。
本発明の液体調味料が、後述するしょうゆ加工品、つゆ、たれの場合、必要に応じて糖類を添加することができる。この場合、(a)ナトリウムの含有量は、1.4〜2.95%であることが好ましく、更に1.8〜2.9%、より好ましくは1.9%〜2.85%、更に2%〜2.8%であることが、保存性、塩辛味発現、風味バランスの点、ナトリウム過剰摂取抑制の点で好ましい。
糖類が添加される場合の糖類の含有量は5〜25%であるのが好ましく、より好ましくは5.5〜23%、特に6〜21%、殊更7〜20%であるのが、塩辛味、風味バランス、魚節類や柑橘類の香り立ち、保存安定性の点で好ましい。糖類としては、グルコース、ガラクトース、アラビノース、フルクトース、シュークロース、マルトース、液糖、転化糖、水飴、澱粉、デキストリン等のほか、エリスリトール、グリセロール、ソルビトール、トレハロース、還元水あめ等の糖アルコールも例示されるが、グルコース、フルクトース、シュークロース、これらの2種以上の混合物が好ましい。また必要によりグリチルリチン、ステビオサイド、アスパルテームなどの甘味料を用いてもよい。
本発明において、糖類の含有量は、原料とは別に添加した糖類と原料由来の糖類との合計量をいう。すなわち、調味料の原料として日本酒、ワイン等の酒、醤油、味醂(本みりん、みりん風調味料、塩みりん等)等の醸造調味料の他、発酵物等を用いると、原料由来の糖類が含まれることがある。その場合には、原料由来の糖類と原料とは別に添加した糖類との合計量が、上記範囲内であるものとする。なお、糖類の含有量は、液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して、測定することができる(「しょうゆ試験法」、(財)日本醤油研究所編集、(株)醤協通信社販売、昭和60年)。
糖類の含有量が高い場合は、水などで希釈して、糖類の含有量を所望の範囲に調整して使用することができる。糖類の含有量が低い場合は、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、有機塩類、無機塩類などを添加して、所望の風味や保存性を有するように調整して使用することができる。
本発明の液体調味料が、後述するしょうゆ加工品、つゆ、たれの場合、必要に応じて魚節類及び/または柑橘類を含有することができる。魚節類は0.01〜70%含有するのが好ましく、より好ましくは0.1〜50%、更に1〜40%、特に0.5〜30%、殊更1〜20%含有するのが、魚節類の香り立ち、塩化カリウム由来の異味抑制、塩辛味発現、あつみ付与、風味バランスの点で好ましい。
魚節類とは、魚節、魚節だし汁、魚節エキス、魚節調味料、魚節フレーバーから選ばれる1種又は2種以上の混合物をいう。魚節としては、かつお節、そうだ節、まぐろ節、さば節、むろ節、うるめ節、いわし節、さんま節、煮干などが挙げられ、かつお節が好ましい。かつお節には、香気成分、例えばギ酸や酢酸、カプチン酸などの酸、ホルムアルデヒドやアセトン、メチルアミルケトンなどのカルボニル、アンモニアやイソブチルアミン、ルチジンなどの塩基、ブタノールやフェニルエチルアルコールなどのアルコール、硫化水素などの含硫化合物、フェノールやジメチルフェノールなどのフェノール類、メチルイソオイゲノールなどのフェノールエーテル、テトラデカンやヘキサデカン、エイコサンなどの炭化水素、ジベンゾフランなどのフラン、ジメチルピラジンなどのピラジン類が含有されている。これらのうち、ピラジン類は香ばしい焙焼香を、フェノール類はくん臭を、含硫化合物は肉質的な香りを主に示す。なお、かつお節は、かつおを燻して製造した荒節、荒節のタール分を削り、カビつけした枯節などがあり、本発明においては、いずれも使用することができる。荒節は燻臭が強いという特徴があるのに対し、枯節はカビの作用を経ており、より複雑な風味を醸し出す特徴がある。つゆにおいては、荒節風味よりも枯節風味が好まれる傾向にある。
魚節だし汁としては、かつお節だし汁、そうだ節だし汁、まぐろ節だし汁、さば節だし汁、むろ節だし汁、うるめ節だし汁、いわし節だし汁、さんま節だし汁、煮干だし汁などが挙げられ、かつお節だし汁が好ましい。魚節だし汁は、魚節を、水に入れて加熱する方法、魚節をはじめに水に浸漬した後加熱する方法、魚節を沸騰水中に入れる方法等の種々の方法で、製造することができる。前記魚節から魚節だし汁を得る場合、魚節は予め削ったり、粉末状として使用する。魚節は一種または二種以上を適宜選択して使用することができる。魚節の添加量は、特に制限されるものではないが、一般的には抽出する水に対して、1〜10%、好ましくは2〜6%添加することが好ましい。本発明においては、魚節に昆布や椎茸などを併用しただし汁を使用してもよく、特にかつお節と昆布を併用しただし汁を使用するのが好ましい。
魚節エキスとしては、かつお節エキス、そうだ節エキス、まぐろ節エキス、さば節エキス、むろ節エキス、うるめ節エキス、いわし節エキス、さんま節エキス、煮干エキスなどが挙げられ、かつお節エキスが好ましい。魚節エキスとは、魚節を熱水もしくはアルコールまたは両者の混合液を用いて抽出した液状の抽出液のことである。
魚節調味料としては、かつお節調味料、そうだ節調味料、まぐろ節調味料、さば節調味料、むろ節調味料、うるめ節調味料、いわし節調味料、さんま節調味料、煮干調味料などが挙げられ、かつお節調味料が好ましい。魚節調味料とは、魚節又は魚節エキスに、グルタミン酸ナトリウム、食塩、砂糖、昆布エキスなどの調味料を添加、混合して製造されたものをいう。
魚節フレーバーとしては、かつお節フレーバー、そうだ節フレーバー、まぐろ節フレーバー、さば節フレーバー、むろ節フレーバー、うるめ節フレーバー、いわし節フレーバー、さんま節フレーバー、煮干フレーバーなどが挙げられ、かつお節フレーバーが好ましい。
本発明においては、かつお節、かつお節だし汁、かつお節調味料、かつお節エキス、かつお節フレーバーから選ばれる1種又は2種以上の混合物を含有するのが、かつお節の香り立ち、風味バランスの点で好ましい。
本発明において、柑橘類は0.01〜40%含有するのが好ましく、より好ましくは0.1〜30%、更に0.2〜20%、特に0.5〜15%、殊更1〜12%含有するのが、柑橘類の香り立ち、塩化カリウム由来の異味抑制、塩辛味発現、酸味、風味バランスの点で好ましい。柑橘類とは、柑橘果汁、柑橘エキス、柑橘フレーバーから選ばれる1種又は2種以上の混合物をいう。柑橘類は、しょうゆ加工品に使用するのが好ましく、特にぽん酢しょうゆ(味付けぽん酢)に使用するのが好ましい。
本発明に使用する柑橘果汁としては、柑橘系の果実由来のものであればいずれも使用し得る。例えば、ゆず、すだち、かぼす、レモン、ライム、だいだい、ゆこう、みかん、オレンジ、グレープフルーツ、カラマンシー、シークワーサー等の果汁が例示され、特にライム、レモン、ゆず、すだち、かぼす等の甘味の少ない果実から搾汁される果汁が好ましい。この柑橘果汁は、果汁が100%の天然果汁、果汁含有率45〜99%の果汁飲料、果汁含有率10〜45%の清涼飲料、天然果汁を濃縮した濃縮果汁のいずれも使用し得るが、なかでも天然果汁、濃縮果汁が好ましい。これらの柑橘果汁は1種または2種以上を適宜選択して使用することができる。
本発明に使用する柑橘エキスとしては、ゆずエキス、すだちエキス、かぼすエキス、レモンエキス、ライムエキス、だいだいエキス、ゆこうエキス、みかんエキス、オレンジエキス、グレープフルーツエキス、カラマンシーエキス、シークワーサーエキスが例示され、特に、ゆずエキス、すだちエキス、かぼすエキスが好ましい。柑橘エキスとは、柑橘果実・果皮を熱水もしくはアルコールまたは両者の混合液を用いて抽出した液状の抽出液のことである。
本発明に使用する柑橘フレーバーとしては、ゆずフレーバー、すだちフレーバー、かぼすフレーバー、レモンフレーバー、ライムフレーバー、だいだいフレーバー、ゆこうフレーバー、みかんフレーバー、オレンジフレーバー、グレープフルーツフレーバー、カラマンシーフレーバー、シークワーサーフレーバーが例示され、特に、ゆずフレーバー、すだちフレーバー、かぼすフレーバーが好ましい。
本発明においては、しょうゆ含有液体調味料とは、しょうゆ、だししょうゆ等の通常、しょうゆを含有する液体状の調味料をいい、しょうゆを1%以上、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、更に好ましくは15〜100%、特に好ましくは20〜99.998%含有するものをいう。また、「しょうゆ」に調味料、酸味料、香料、だし、エキス類等を添加した、「しょうゆ」と同様の用途で用いられる液体調味料を含む。すなわち、しょうゆ含有液体調味料とは、しょうゆ、しょうゆ加工品、つゆ又はたれのことで、本発明においては、好ましくはしょうゆ、しょうゆ加工品であり、更にしょうゆ加工品であるのが好ましい。
本発明において、しょうゆとは、しょうゆ品質表示基準(平成16年9月13日農林水産省告示第1704号)の定義による液体調味料のことである。
本発明において、しょうゆ加工品とは、しょうゆを原料とした液体調味料のうち、主原料であるしょうゆに、補助的に調味料、酸味料、香料、果汁、風味原料、だし等が配合されたものである。例えば、だししょうゆ、昆布しょうゆ、土佐しょうゆ、かつおしょうゆ、ぽん酢しょうゆ、ステーキしょうゆ、かきしょうゆ、しそしょうゆ、にんにくしょうゆ、わさびしょうゆ等が挙げられる。
本発明において、つゆとは、しょうゆに糖類及び風味原料(かつおぶし、こんぶ、乾しいたけ等をいう。)から抽出した「だし」を加えたもの又はこれにみりん、食塩その他の調味料を加えたものであって、直接又は希釈して、めん類、惣菜等のつけ汁、かけ汁として用いる液体をいい、めんつゆ、煮物つゆ、鍋物つゆ、天つゆ、汎用つゆ等が挙げられる。めんつゆとしては、そばつゆ、うどんつゆ、そうめんつゆ、冷麦つゆ、中華めんつゆ、冷やし中華つゆ等が例示される。
本発明において、たれとは、「しょうゆ」を原料としたもので、上記「しょうゆ加工品」、「つゆ」以外のものをいい、例えば、蒲焼のたれ、焼き鳥のたれ、焼肉のたれ、しゃぶしゃぶのたれ、すきやきのたれ、照り焼きのたれ、唐揚げのたれ、みたらし団子のたれの他、ノンオイルドレッシング等が挙げられる。
本発明の液体調味料は、原料として使用するしょうゆとしては、濃口しょうゆ、淡口しょうゆ、たまりしょうゆ、低塩しょうゆ、減塩しょうゆ等を挙げることができるが、製品100g中のナトリウム量が3.55g以上5.5g以下の低塩しょうゆ、2.7g以上3.55g以下である減塩しょうゆを用いるのが、食塩摂取量、風味バランスの点で好ましい。
本発明の液体調味料のpHは2以上7未満の酸性であるのが好ましく、より好ましくは2.5〜6.5、更に3〜6、特に3.5〜5.5、殊更4〜5であることが、しょうゆ感発現、カリウム由来の異味抑制、保存性、風味バランスの点から好ましい。酸味料等を添加することより、pHを所望の範囲に調製することができる。
前記酸味料として、乳酸、酢酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、リン酸、フィチン酸等を使用することができる。中でも乳酸、リンゴ酸、クエン酸、リン酸、フィチン酸が好ましく、特に乳酸が好ましい。乳酸の含有量は0〜2%が好ましく、更に0.01〜1%、特に0.02〜0.5%、殊更0.04〜0.1%であるのが好ましい。また、リンゴ酸、クエン酸、リン酸、フィチン酸の含有量はそれぞれ0〜0.2%が好ましく、0.02〜0.1%が特に好ましい。工業的には、食酢や柑橘果汁を使用し、pHを所定の範囲とするのが、風味、生産効率、コストの点で好ましい。食酢としては、米酢等の穀物酢、リンゴ酢、ブドウ酢等の果実酢、醸造酢の他、合成酢などを使用することができる。
本発明の液体調味料は、しょうゆに(b)ロイシルセリンと、必要に応じて(a)ナトリウムを所定量配合し、攪拌、混合、溶解した調味液を容器に充填することにより、製造することができる。必要に応じて、その他の成分として、糖類、魚節類、柑橘類、酸味料、無機塩、酸、賦形剤、香辛料、調味料、抗酸化剤、着色料、保存料、強化剤、乳化剤、ハーブ、野菜等の食品に使用可能な原料や、水を配合してもよい。
また、塩分(ナトリウム含量)を低下させた減塩しょうゆや低塩しょうゆを原料として使用し、本発明の液体調味料とする場合は、生しょうゆを電気透析、又は塩析/希釈により食塩含量を低下させた生しょうゆ(減塩生しょうゆ、低塩生しょうゆ)を調製し、火入れ工程後、成分(b)、必要に応じて成分(a)などを混合する方法、又は、火入れ工程後のしょうゆを電気透析、又は塩析/希釈することにより食塩含量を低下させたしょうゆ(減塩しょうゆ、低塩しょうゆ)を調製し、成分(b)、必要に応じて成分(a)などを混合する方法等により製造することができる。更に、容器に充填する際には、加熱処理を行うのが好ましい。この場合には、加熱処理した後液体調味料の温度が低下しないうちに容器に充填する、加熱処理しながら容器に充填する、容器に充填した後加熱処理する、のいずれかの方法を採用するのが風味、安定性、色の点で好ましい。
前記の加熱温度は60℃以上であることが好ましく、より好ましくは70〜130℃、更に75〜120℃、特に80〜100℃、殊更85〜98℃で加熱することが、風味、安定性、色等の点から好ましい。加熱時間は、加熱温度により異なるが、通常には1秒〜120分、より好ましくは10秒〜60分、さらに好ましくは30秒〜30分である。具体的には、60℃の場合は10秒〜120分、更に30秒〜60分、特に1分〜30分、殊更2分〜20分であることが、風味、安定性、色等の点から好ましい。80℃の場合は、2秒〜60分、更に5秒〜45分、特に10秒〜30分、殊更30秒〜20分であるのが、風味、安定性、色等の点から好ましい。95℃の場合は、1秒〜30分、更に2秒〜25分、特に5秒〜20分、殊更10秒〜15分であるのが、風味、安定性、色等の点から好ましい。また、加熱温度と加熱時間を組合せて、60〜70℃で10分以上加熱した後、80℃で1分以上加熱する方法でもよい。
本発明の液体調味料は、しょうゆ含有液体調味料を容器に充填したものである。本発明に使用される容器の容量は、安定性、使い勝手の点から、5mL〜20Lであるのが好ましく、10mL〜5Lであるのがより好ましく、50mL〜2Lであるのがより好ましく、100mL〜1Lであるのが更に好ましく、200mL〜800mLであるのが特に好ましく、300〜600mLであるのが殊更好ましい。本発明に使用される容器としては、一般の液体調味料と同様にポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、紙容器、合成樹脂製の袋、ガラス瓶などの通常の形態が挙げられる。紙容器としては、紙基材とバリア性層(アルミニウム等の金属箔、エチレン−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニリデン系重合体など)とヒートシール性樹脂層とを含む積層材を製函したものなどが挙げられる。
更に、本発明において使用する容器は、その酸素透過指数が0.8(cm/day・m)以下であることが好ましい。本発明でいう「酸素透過指数」とは、JIS法(K 7126 B法)により求められる「酸素透過度」(単位:cm/day・bottle)を容器の表面積で除して、その材料1m当たりに換算した値をいう。酸素透過度は、具体的にはMOCON社製装置を用いて、試験片(容器)の一方に酸素を供給し、もう一方に等圧で窒素キャリアーガスを流し、透過した酸素を酸素検知器を用いて測定された値(20℃、相対湿度60%)のことである。本発明に用いる容器の酸素透過指数は、好ましくは0〜0.6、より好ましくは0〜0.4、更に0.01〜0.2、特に0.02〜0.15、殊更0.05〜0.12であるのが、保存性、風味維持の点から好ましい。
本発明の液体調味料を、容器から出して食品の製造・加工・調理に使用することで、食品に適度な塩辛味、風味のまとまり、しょうゆ感、良好な風味バランスなどを付与することができ、食味の改善効果が得られる。従って、本発明は、風味改善方法、食品の加工・調理方法、食品の製造方法の手段として有用である。
本発明の液体調味料は、各種食品に使用することができる。本発明の液体調味料は、食塩含量が低いにもかかわらず強い塩辛味を呈することから、本発明の液体調味料を用いることで、塩分量が少ない食品、すなわち減塩食品の設計が可能となる。
本発明の液体調味料を使用した食品としては、喫食時に食塩が含まれるものであれば特に制限はないが、例えば、サラダ、刺身、お浸し、冷奴、湯豆腐、鍋物、煮物、揚げ物、焼き物、蒸し物、酢の物等の調理食品が挙げられる。すなわち、本発明の液体調味料の食品への用途(使用方法)としては、これらの食品に直接液体調味料をかける用途、これらの食品を液体調味料につける用途、液体調味料と食材を用いて調理する用途、液体調味料を用いて加工食品を製造する用途などが例示される。
本発明の液体調味料の、食品中の含有量は0.01〜50%であるのが好ましく、更に0.05〜20%、特に0.1〜10%、殊更0.5〜5%であるのが風味バランス、ナトリウムや食塩摂取量の点で好ましい。
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(ロイセルセリンの分析)
試料をフィルターろ過(ADVANTEC ウルトラフィルターユニット、分画分子量10,000以下)し、ろ液を水(HPLC用)で1/2希釈して(w/w)、下記の条件で分析した。
HPLC分析条件:
カラム:Puresil C18 (4.6×250mm,Waters)
溶離液:(I);0.075体積%トリフルオロ酢酸(TFA)/水
(II);0.075体積%トリフルオロ酢酸(TFA)/アセトニトリル
グラジエント条件:
時間 0分 5分 40分 45分 46分 100分
溶離液(I)(体積%) 100 100 70 70 100 100
溶離液(II)(体積%) 0 0 30 30 0 0
検出器:UV220nm
注入量:10μL
(Na及びKの分析方法)
Na及びKの含有量は、原子吸光光度計(偏光ゼーマン原子吸光光度計 日立 Z−6100)を用いて測定した。
(1)試験品1〜10(減塩しょうゆ)
しょうゆ(有機丸大豆の減塩しょうゆ、ヤマサ醤油社製)99.5質量部に、ロイシルセリン(Leu−Ser、和光純薬社製)0.5質量部を混合、溶解した。これをPETボトル(500mL)に500g充填して容器詰しょうゆ含有液体調味料を調製した(試験品10)。試験品10を、ロイシルセリンの濃度が表1の濃度となるように前記しょうゆで希釈し、PETボトル(500mL)に充填して容器詰しょうゆ含有液体調味料を調製した(試験品2〜9)。なお、前記しょうゆを試験品1とした。
これらの風味について、専門パネル3名により、下記評価基準にて、官能評価を実施し協議により判定を行った。その結果を表1に示す。なお、塩辛味については、試験品1をD評価とした。苦味については、試験品1をA評価、試験品10をD評価とした。あつみについては、試験品1をD評価とした。以上を基に、他の試験品を相対評価した。なお、「あつみ」とは先味に感じる塩辛味とは別の、中味から後味に感じる存在感や持続性のある味のことで、「あつみ」がないと水っぽく感じてしまうものである。
<塩辛味>
A:非常に強い。
B:強い。
C:やや強い。
D:弱い。
E:非常に弱い。
<苦味>
A:全く感じられない。
B:若干感じられるが、殆ど気にならない。
C:やや感じられるが、不快ではない。
D:感じられ、不快。
E:強く感じられ、非常に不快。
<あつみ>
A:非常に強い。
B:強い。
C:やや強い。
D:弱い。
E:非常に弱い。
Figure 0006323963
表1に示すように、試験品1では、苦味は全く感じられないものの、塩辛味がうすく物足りない風味であった。また、ロイシルセリン量が規定に満たない試験品2では、あつみがやや改善したものの十分ではなかった。ロイシルセリン量が規定よりも多い試験品10では、塩辛味とあつみは付与されたものの、苦味が強く、好ましい風味ではなかった。なお表1中、アルファベットが2つ記載されているもの(例えばA−B)は、両アルファベットの中間的な評価(例えばAとBの中間的な評価)であったことを示す(後記表2〜17においても同様)。
これに対し、試験品3〜9では、塩辛味が増強されあつみも増した。試験品3〜9ではロイシルセリンの添加量が増加するにしたがって苦味が強くなったが、不快なレベルではなかった。
このように、ナトリウムが所定量で、ロイシルセリンの含量が本発明に規定する範囲内のしょうゆ含有液体調味料において、苦味が抑制されて、塩辛味が上昇し、あつみが付与されて良好な風味となることが示された。
(2)試験品1’、4’〜7’、10’(加熱処理しょうゆ)
上記(1)で作製した試験品1、4〜7、10をガラス製サンプル瓶(100mL)に入れ、閉栓した。これらをウォーターバス(95℃)にて10分間加熱した。次いで流水にて15分間冷却して、試験品1’、4’〜7’、10’を製造した。これらの風味について、(1)と同様の評価基準で官能評価を行った。その結果を表2に示す。
Figure 0006323963
表2に示すように、加熱処理を施すことにより、試験品1’では、ややあつみが増したが塩辛味は低下した。また、試験品10’では、ロイシルセリンの苦味は低下したものの、まだ苦味が残っていた。一方、試験品4’〜7’では、加熱処理によりロイシルセリンの苦味が少なくとも殆ど気にならない程度にまで低下すると共に、味に一体感が付与されてあつみが増し、適度な塩辛味を有した。
このようにナトリウムが所定量で、ロイシルセリンの含量が本発明に規定する範囲内のしょうゆ含有液体調味料において、加熱処理を施すことにより、ロイシルセリン由来の苦味が低下し、味に一体感が付与されて、適度な塩辛味を有し、良好な風味となることが示された。
(3)試験品ア〜カ(つゆ)
表3に示すように、上記(2)で製造した試験品(1’、4’〜7’、10’)と、だし汁とを各々50gずつ混合し、ガラス製サンプル瓶(100mL)に100g充填して、つゆを製造した(試験品ア〜カ)。だし汁の調製法を以下に示す。
アルミ鍋に浄水500g、昆布5gを入れ、20分間静置した。次いで鰹節(薄削)15g入れ、重量を測定した。これを弱火にかけ、20分後に火を止めた。60分静置した後、重量測定し、減量分の浄水を鍋に入れた。これをクッキングペーパーでろ過し、ろ液をだし汁とした。
試験品ア〜カの風味(塩辛味、苦味、あつみ、生臭さ)について、上記(1)と同様の基準にて、官能評価を行った。生臭さの基準については、下記に示す。なお、塩辛味については、試験品アをD評価とした。苦味については、試験品アをA評価、試験品カをC評価とした。あつみについては、試験品アをC評価とした。生臭さについては、試験品アをD評価とした。以上を基に、他の試験品を相対評価した。結果を表3に示す。
<生臭さ>
A:魚節だし由来の生臭さは殆ど感じられず、だしの上品な風味が強く感じられる。
B:魚節だし由来の生臭さが若干感じられ、だしの上品な風味も感じられる。
C:魚節だし由来の生臭さがやや感じられ、だしの上品な風味もやや感じられる。
D:魚節だし由来の生臭さが感じられ、だしの上品な風味も若干感じられる。
E:魚節だし由来の生臭さが強く感じられ、だしの上品な風味は殆ど感じられない。
Figure 0006323963
表3に示すように、だし汁と混合することにより、試験品アでは、だし由来の生臭さが強く感じられた。また、試験品カでは、ロイシルセリンの苦味は低下したものの、まだ苦味が残っていた。一方、試験品イ〜オでは、だし汁と混合しても、だし由来の生臭さとロイシルセリン由来の苦味があまり感じられず、味に一体感が付与されてあつみが増し、適度な塩辛味を有した。
このようにナトリウムが所定量で、ロイシルセリンの含量が本発明に規定する範囲内のしょうゆ含有液体調味料とだし汁を混合してつゆを作製すると、だし由来の生臭さとロイシルセリン由来の苦味が顕著に低下し、味に一体感が付与されて、適度な塩辛味を有し良好な風味となることが示された。
(4)試験品11〜14(減塩しょうゆ)
表4に示す配合で、しょうゆ(有機丸大豆の減塩しょうゆ、ヤマサ醤油社製)、塩化ナトリウム(和光純薬社製)、ロイシルセリン(Leu−Ser、和光純薬社製)、浄水を混合、溶解した。次いでPETボトル(350mL)に350g充填して容器詰しょうゆ含有液体調味料を調製した(試験品11〜14)。
これらの風味について、(1)と同様の評価基準にて、官能評価を行った。その結果を表4に示す。なお、塩辛味については、試験品11をD評価とした。苦味については、試験品11をA評価とした。あつみについては、試験品11をD評価とした。以上を基に、他の試験品を相対評価した。
Figure 0006323963
表4に示すように、試験品11では、苦味は全く感じられないものの、塩辛味がうすく物足りない風味であった。ロイシルセリン量が規定よりも多い試験品14では、塩辛味とあつみは付与されたものの、苦味が強く、好ましい風味ではなかった。
これに対し、試験品12、13では、ロイシルセリンの添加量に伴って、塩辛味が増強され、苦味が増して、あつみが付与された。
このように、ナトリウムが所定量で、ロイシルセリンの含量が本発明に規定する範囲内のしょうゆ含有液体調味料において、苦味が抑制されて、塩辛味が上昇し、あつみが付与されて良好な風味となることが示された。
(5)試験品11’〜14’(加熱処理しょうゆ)
上記(4)で作製した試験品11〜14をガラス製サンプル瓶(100mL)に入れ、閉栓した。これらをウォーターバス(90℃)にて10分間加熱した。次いで流水にて15分間冷却して、試験品11’〜14’を製造した。これらの風味について、(1)と同様の評価基準で官能評価を行った。その結果を表5に示す。
Figure 0006323963
表5に示すように、加熱処理を施すことにより、試験品11’では、ややあつみが増したが塩辛味は低下した。また、試験品14’では、ロイシルセリンの苦味は低下したものの、まだ苦味が残っていた。一方、試験品12’、13’では、加熱処理によりロイシルセリンの苦味が少なくとも殆ど感じられない程度にまで低下すると共に、味に一体感が付与されてあつみが増し、適度な塩辛味を有した。
このようにナトリウムが所定量で、ロイシルセリンの含量が本発明に規定する範囲内のしょうゆ含有液体調味料において、加熱処理を施すことにより、ロイシルセリン由来の苦味が顕著に低下し、味に一体感が付与されて、適度な塩辛味を有し、良好な風味となることが示された。
(6)試験品キ〜コ(つゆ)
表6に示すように、上記(5)で製造した試験品(11’〜14’)と、だし汁とを各々50gずつ混合し、ガラス製サンプル瓶(100mL)に100g充填して、つゆを製造した(試験品キ〜コ)。だし汁は、上記(3)で調製したものを用いた。
試験品キ〜コの風味(塩辛味、苦味、あつみ、生臭さ)について、上記(3)と同様の基準にて、官能評価を行った。なお、塩辛味については、試験品キをD評価とした。苦味については、試験品キをA評価とした。あつみについては、試験品キをC評価とした。生臭さについては、試験品キをD評価とした。以上を基に、他の試験品を相対評価した。結果を表6に示す。
Figure 0006323963
表6に示すように、だし汁と混合することにより、試験品キでは、だし由来の生臭さが強く感じられた。また、試験品コでは、ロイシルセリンの苦味は低下したものの、まだ苦味が残っていた。一方、試験品ク、ケでは、だし汁と混合しても、だし由来の生臭さとロイシルセリン由来の苦味があまり感じられず、味に一体感が付与されてあつみが増し、適度な塩辛味を有した。
このようにナトリウムが所定量で、ロイシルセリンの含量が本発明に規定する範囲内のしょうゆ含有液体調味料とだし汁を混合してつゆを作製すると、だし由来の生臭さとロイシルセリン由来の苦味が顕著に低下し、味に一体感が付与されて、適度な塩辛味を有し良好な風味となることが示された。
(7)試験品15〜17(味付けぽん酢しょうゆ)
表7に示す配合で、しょうゆ(有機丸大豆の減塩しょうゆ、ヤマサ醤油社製)、食酢(穀物酢、ミツカン)、レモン果汁(ポッカレモン100、ポッカ社製)、上白糖(スプーン印上白糖、三井製糖社製)、塩化ナトリウム(和光純薬社製)、グルタミン酸一ナトリウム(L−グルタミン酸ナトリウム(MSG)、和光純薬社製)、イノシン酸二ナトリウム(イノシン酸−5’−一リン酸二ナトリウム塩(IN)、和光純薬社製)、エタノール(エタノール(95)、和光純薬社製)、ロイシルセリン(Leu−Ser、和光純薬社製)、だし汁、浄水をステンレス製ビーカーに入れ、混合、溶解した。これをアルミ箔で覆い、ウォーターバスにて加熱した(75℃達温)。直ちにPETボトル(350mL)に350g充填した後、流水にて15分間冷却した。これを冷蔵庫に1晩静置し、容器詰しょうゆ含有液体調味料を調製した(試験品15〜17)。だし汁は、上記(3)で調製したものを用いた。試験品15〜17の風味について、湯豆腐を作製して、前記と同様の評価基準により官能評価を行った。その結果を表7に示す。
Figure 0006323963
表7に示すように、試験品15では、苦味は全く感じられないものの、塩辛味がうすく、後切れが早くて物足りない風味であった。これに対し、試験品16、17では、ロイシルセリンの添加量に伴って、塩辛味が増強され、あつみが付与された。
このように、ナトリウムが所定量で、ロイシルセリンの含量が本発明に規定する範囲内のしょうゆ含有液体調味料において、塩辛味が上昇し、あつみが付与されて良好な風味となることが示された。
(8)試験品18〜20(濃縮つゆ)
表8に示す配合で、しょうゆ(有機丸大豆の減塩しょうゆ、ヤマサ醤油社製)、上白糖(スプーン印上白糖、三井製糖社製)、塩化ナトリウム(和光純薬社製)、グルタミン酸一ナトリウム(L−グルタミン酸ナトリウム(MSG)、和光純薬社製)、イノシン酸二ナトリウム(イノシン酸−5’−一リン酸二ナトリウム塩(IN)、和光純薬社製)、エタノール(エタノール(95)、和光純薬社製)、ロイシルセリン(Leu−Ser、和光純薬社製)、だし汁、浄水をステンレス製ビーカーに入れ、混合、溶解した。これをアルミ箔で覆い、ウォーターバスにて加熱した(85℃達温)。直ちにPETボトル(350mL)に350g充填した後、流水にて15分間冷却した。これを冷蔵庫に1晩静置し、容器詰しょうゆ含有液体調味料を調製した(試験品18〜20)。だし汁は、上記(3)で調製したものを用いた。試験品18〜20の風味について、そのまま希釈しない場合と、希釈した場合(本品1:浄水2、質量比)で、ざるそばを作製して、前記と同様の評価基準により官能評価を行った。その結果を表8に示す。
Figure 0006323963
表8に示すように、希釈しない場合(風味評価1)は、試験品18〜20では、いずれも十分な塩辛味が感じられたが、試験品18のみ生臭さを感じた。
希釈した場合(風味評価2)には、試験品18では味がうすく、後切れが早く物足りなかった上に生臭さも感じられた。これに対し、試験品19、20では、ロイシルセリンの添加量に伴って、塩辛味が増強され、さらにあつみも付与され、しかも生臭さは感じられなかった。
このように、ナトリウムが所定量で、ロイシルセリンの含量が本発明に規定する範囲内のしょうゆ含有液体調味料において、特に希釈した場合でも、塩辛味が上昇し、あつみが付与されて良好な風味となることが示された。
(9)試験品21〜24(たれ)
表9に示す配合で、しょうゆ(有機丸大豆の減塩しょうゆ、ヤマサ醤油社製)、上白糖(スプーン印上白糖、三井製糖社製)、塩化ナトリウム(和光純薬社製)、グルタミン酸一ナトリウム(L−グルタミン酸ナトリウム(MSG)、和光純薬社製)、イノシン酸二ナトリウム(イノシン酸−5’−一リン酸二ナトリウム塩(IN)、和光純薬社製)、エタノール(エタノール(95)、和光純薬社製)、ロイシルセリン(Leu−Ser、和光純薬社製)、浄水をステンレス製ビーカーに入れ、混合、溶解した。これをアルミ箔で覆い、ウォーターバスにて加熱した(80℃達温)。直ちにPETボトル(350mL)に350g充填した後、流水にて15分間冷却した。これを冷蔵庫に1晩静置し、容器詰しょうゆ含有液体調味料を調製した(試験品21〜24)。豚バラ肉を炭火で焼き、試験品21〜24につけて、前記と同様の評価基準により官能評価を行った。その結果を表9に示す。
Figure 0006323963
表9に示すように、試験品21では、甘味が感じられたが、塩辛味はもの足りなかった。これに対し、試験品22〜24では、ロイシルセリンの添加量に伴って、塩辛味が増強され、あつみ、醤油感が付与された。
このように、ナトリウムが所定量で、ロイシルセリンの含量が本発明に規定する範囲内のしょうゆ含有液体調味料において、塩辛味が上昇し、あつみ、醤油感が付与されて良好な風味となることが示された。
(10)試験品25〜28(減塩しょうゆ)
表10の配合に従って、しょうゆ(鮮度の一滴減塩しょうゆ、ヤマサ醤油社製)、ロイシルセリン(Leu−Ser、和光純薬社製)、塩化カリウム(和光純薬社製)、水を混合、溶解した。これをPETボトル(500mL)に500g充填して容器詰しょうゆ含有液体調味料を調製した(試験品25〜28)。
これらの風味について、専門パネル3名により、上記(1)と同様の評価基準にて、官能評価を実施し協議により判定を行った。その結果を表10に示す。なお、塩辛味については、試験品25をC評価とした。苦味については、試験品25をD評価とした。あつみについては、試験品25をC評価とした。以上を基に、他の試験品を相対評価した。
Figure 0006323963
表10に示すように、試験品25では、塩化カリウム由来の苦味は感じられたが、ロイシルセリンの苦味は全く感じられない風味であった。
これに対し、試験品26〜28では、塩辛味が増強されあつみが増す一方、苦みは減少した。ロイシルセリンの添加量が増加するにしたがって、ロイシルセリン由来の苦味は強くなったが、共存する塩化カリウム由来の苦味は逆に抑制され、全体として不快なレベルではなかった。
このように、ナトリウムを所定量含有し、かつカリウムの配合により塩味を増強したしょうゆ含有液体調味料であっても、ロイシルセリンを本発明に規定する範囲内の濃度で配合すれば、苦味が抑制されて、塩辛味が上昇し、あつみが付与されて良好な風味となることが示された。
(11)試験品25’〜28’(加熱処理しょうゆ)
上記(10)で作製した試験品25〜28をガラス製サンプル瓶(100mL)に入れ、閉栓した。これらをウォーターバス(95℃)にて10分間加熱した。次いで流水にて15分間冷却して、試験品25’〜28’を製造した。これらの風味について、(10)と同様の評価基準で官能評価を行った。その結果を表11に示す。
Figure 0006323963
表11に示すように、加熱処理を施すことにより、試験品25’では、ややあつみが増し、苦味と塩辛味は低下した。一方、試験品26’〜28’では、加熱処理によりロイシルセリンの苦味と塩化カリウムの苦味が殆ど気にならない程度にまで低下すると共に、味に一体感が付与されてあつみが増し、適度な塩辛味を有した。
このようにナトリウムを所定量含有し、かつカリウムの配合により塩味を増強したしょうゆ含有液体調味料において、ロイシルセリンを本発明に規定する範囲内の濃度で配合した場合、加熱処理を施すことにより、ロイシルセリンと塩化カリウム由来の苦味がより一層低下し、味に一体感が付与されて、適度な塩辛味を有し、良好な風味となることが示された。
(12)試験品サ〜セ(つゆ)
上記(11)で製造した試験品(25’〜28’)と、だし汁とを各々50gずつ混合し、ガラス製サンプル瓶(100mL)に100g充填して、つゆを製造した(試験品サ〜セ)。だし汁の調製法は、上記(3)と同様である。
試験品サ〜セの風味(塩辛味、苦味、あつみ、生臭さ)について、上記(1)、(3)と同様の基準にて、官能評価を行った。なお、塩辛味については、試験品サをC評価とした。苦味については、試験品サをC評価とした。あつみについては、試験品サをB評価とした。生臭さについては、試験品サをC評価とした。以上を基に、他の試験品を相対評価した。結果を表12に示す。
Figure 0006323963
表12に示すように、だし汁と混合することにより、試験品サでは、ロイシルセリンと塩化カリウム由来の苦味、だし由来の生臭さが感じられた。一方、試験品シ〜セでは、だし汁と混合しても、だし由来の生臭さ、ロイシルセリンと塩化カリウム由来の苦味が殆ど感じられず、味に一体感が付与されてあつみが増し、適度な塩辛味を有した。
このようにナトリウムを所定量含有し、さらにカリウムの配合により塩味を増強し、かつロイシルセリンを本発明に規定する範囲内の濃度で配合したしょうゆ含有液体調味料とだし汁を混合してつゆを作製すると、だし由来の生臭さが低下するだけでなく、ロイシルセリンと塩化カリウム由来の苦味が顕著に低下し、味に一体感が付与されて、適度な塩辛味を有し良好な風味となることが示された。
(13)試験品29〜32(減塩しょうゆ)
表13の配合に従って、しょうゆ(鮮度の一滴減塩しょうゆ、ヤマサ醤油社製)、ロイシルセリン(Leu−Ser、和光純薬社製)、塩化カリウム(和光純薬社製)、水を混合、溶解した。これをPETボトル(500mL)に500g充填して容器詰しょうゆ含有液体調味料を調製した(試験品29〜32)。
これらの風味について、専門パネル3名により、上記(1)と同様の評価基準にて、官能評価を実施し協議により判定を行った。その結果を表13に示す。なお、塩辛味については、試験品29をB評価とした。苦味については、試験品29をE評価とした。あつみについては、試験品29をB評価とした。以上を基に、他の試験品を相対評価した。
Figure 0006323963
表13に示すように、試験品29では、塩化カリウム由来の苦味は強く感じられたが、ロイシルセリンの苦味は全く感じられない風味であった。
これに対し、試験品30〜32では、塩辛味が増強されあつみが増す一方、苦みは減少した。ロイシルセリンの添加量が増加するにしたがって、ロイシルセリン由来の苦味が強くなったが、共存する塩化カリウム由来の苦味は逆に抑制され、全体として不快なレベルではなかった。
このように、ナトリウムを所定量含有し、かつカリウムの配合により塩味を増強したしょうゆ含有液体調味料であっても、ロイシルセリンの含量を本発明に規定する範囲内で配合すれば、苦味が抑制されて、塩辛味が上昇し、あつみが付与されて良好な風味となることが示された。
(14)試験品29’〜32’(加熱処理しょうゆ)
上記(13)で作製した試験品29〜32をガラス製サンプル瓶(100mL)に入れ、閉栓した。これらをウォーターバス(95℃)にて10分間加熱した。次いで流水にて15分間冷却して、試験品29’〜32’を製造した。これらの風味について、(13)と同様の評価基準で官能評価を行った。その結果を表14に示す。
Figure 0006323963
表14に示すように、加熱処理を施すことにより、試験品29’では、ややあつみが増し、苦味と塩辛味は低下した。一方、試験品30’〜32’では、加熱処理によりロイシルセリンの苦味と塩化カリウムの苦味が殆ど気にならない程度にまで低下すると共に、味に一体感が付与されてあつみが増し、適度な塩辛味を有した。
このようにナトリウムを所定量含有し、かつカリウムの配合により塩味を増強したしょうゆ含有液体調味料において、ロイシルセリンを本発明に規定する範囲内の濃度で配合した場合、加熱処理を施すことにより、ロイシルセリンと塩化カリウム由来の苦味がより一層低下し、味に一体感が付与されて、適度な塩辛味を有し、良好な風味となることが示された。
(15)試験品ソ〜ツ(つゆ)
上記(14)で製造した試験品(29’〜32’)と、だし汁とを各々50gずつ混合し、ガラス製サンプル瓶(100mL)に100g充填して、つゆを製造した(試験品ソ〜ツ)。だし汁の調製法は、上記(3)と同様である。
試験品ソ〜ツの風味(塩辛味、苦味、あつみ、生臭さ)について、上記(1)、(3)と同様の基準にて、官能評価を行った。なお、塩辛味については、試験品ソをB評価とした。苦味については、試験品ソをD評価とした。あつみについては、試験品ソをB評価とした。生臭さについては、試験品ソをC評価とした。以上を基に、他の試験品を相対評価した。結果を表15に示す。
Figure 0006323963
表15に示すように、だし汁と混合することにより、試験品ソでは、ロイシルセリンと塩化カリウム由来の苦味、だし由来の生臭さが感じられた。一方、試験品タ〜ツでは、だし汁と混合しても、だし由来の生臭さ、ロイシルセリンと塩化カリウム由来の苦味が殆ど感じられず、味に一体感が付与されてあつみが増し、適度な塩辛味を有した。
このようにナトリウムを所定量含有し、さらにカリウムの配合により塩味を増強し、かつロイシルセリンを本発明に規定する範囲内の濃度で配合したしょうゆ含有液体調味料とだし汁を混合してつゆを作製すると、だし由来の生臭さが低下するだけでなく、ロイシルセリンと塩化カリウム由来の苦味が顕著に低下し、味に一体感が付与されて、適度な塩辛味を有し良好な風味となることが示された。
(16)試験品33〜36(減塩しょうゆ)
表16の配合に従って、しょうゆ(鮮度の一滴減塩しょうゆ、ヤマサ醤油社製)、ロイシルセリン(Leu−Ser、和光純薬社製)、塩化カリウム(和光純薬社製)、水を混合、溶解した。これをPETボトル(500mL)に500g充填して容器詰しょうゆ含有液体調味料を調製した(試験品33〜36)。
これらの風味について、専門パネル3名により、上記(1)と同様の評価基準にて、官能評価を実施し協議により判定を行った。その結果を表16に示す。なお、塩辛味については、試験品33をC評価とした。苦味については、試験品33をE評価とした。あつみについては、試験品33をC評価とした。以上を基に、他の試験品を相対評価した。
Figure 0006323963
表16に示すように、試験品33では、塩化カリウム由来の苦味は強く感じられたが、ロイシルセリンの苦味は全く感じられない風味であった。
これに対し、試験品34〜36では、塩辛味が増強されあつみが増す一方、苦みは減少した。ロイシルセリンの添加量が増加するにしたがって、ロイシルセリン由来の苦味が強くなったが、共存する塩化カリウム由来の苦味は逆に抑制され、全体として不快なレベルではなかった。
このように、ナトリウムを所定量含有し、かつカリウムの配合により塩味を増強したしょうゆ含有液体調味料であっても、ロイシルセリンの含量を本発明に規定する範囲内で配合すれば、苦味が抑制されて、塩辛味が上昇し、あつみが付与されて良好な風味となることが示された。
(17)試験品33’〜36’(加熱処理しょうゆ)
上記(16)で作製した試験品33〜36をガラス製サンプル瓶(100mL)に入れ、閉栓した。これらをウォーターバス(95℃)にて10分間加熱した。次いで流水にて15分間冷却して、試験品33’〜36’を製造した。これらの風味について、(13)と同様の評価基準で官能評価を行った。その結果を表17に示す。
Figure 0006323963
表17に示すように、加熱処理を施すことにより、試験品33’では、ややあつみが増し、苦味と塩辛味は低下した。一方、試験品34’〜36’では、加熱処理によりロイシルセリンの苦味と塩化カリウムの苦味が殆ど気にならない程度にまで低下すると共に、味に一体感が付与されてあつみが増し、適度な塩辛味を有した。
このようにナトリウムを所定量含有し、かつカリウムの配合により塩味を増強したしょうゆ含有液体調味料において、ロイシルセリンを本発明に規定する範囲内の濃度で配合した場合、加熱処理を施すことにより、ロイシルセリンと塩化カリウム由来の苦味がより一層低下し、味に一体感が付与されて、適度な塩辛味を有し、良好な風味となることが示された。

Claims (13)

  1. ナトリウムを1.4〜4.4質量%、ロイシルセリンを0.002〜0.25質量%、カリウムを0.01〜3質量%、及びしょうゆを15質量%以上含有し、前記ロイシルセリンの含有量/前記ナトリウムの含有量が0.0005〜0.08(質量比)、前記ロイシルセリンの含有量/前記カリウムの含有量が0.002〜2(質量比)であるしょうゆ含有液体調味液を調製する工程と、得られたしょうゆ含有液体調味液を加熱処理する工程とを含む、容器詰しょうゆ含有液体調味料の製造方法。
  2. ナトリウムを1.4〜4.4質量%、ロイシルセリンを0.002〜0.25質量%、カリウムを0.01〜3質量%、及びしょうゆを15質量%以上含有し、前記ロイシルセリンの含有量/前記ナトリウムの含有量が0.0005〜0.08(質量比)、前記ロイシルセリンの含有量/前記カリウムの含有量が0.002〜2(質量比)であるしょうゆ含有液体調味液を調製する工程と、得られたしょうゆ含有液体調味液を加熱処理する工程とを含む、容器詰しょうゆ含有液体調味料の塩辛味増強方法。
  3. ナトリウムを1.4〜4.4質量%、ロイシルセリンを0.002〜0.25質量%、カリウムを0.01〜3質量%、及びしょうゆを15質量%以上含有し、前記ロイシルセリンの含有量/前記ナトリウムの含有量が0.0005〜0.08(質量比)、前記ロイシルセリンの含有量/前記カリウムの含有量が0.002〜2(質量比)であるしょうゆ含有液体調味液を調製する工程と、得られたしょうゆ含有液体調味液を加熱処理する工程とを含む、容器詰しょうゆ含有液体調味料のあつみ増強方法。
  4. 前記加熱処理の温度が70〜130℃である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記しょうゆ含有液体調味料が魚節類及び/又は柑橘類を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記容器詰しょうゆ含有液体調味料中、前記カリウムの含有量が0.81〜3質量%である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記容器詰しょうゆ含有液体調味料がしょうゆ、しょうゆ加工品、つゆ又はたれである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記容器詰しょうゆ含有液体調味料がしょうゆ又はしょうゆ加工品であって、ナトリウムの含有量が2.4〜4.4質量%である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. ロイシルセリンを有効成分として含有する、容器詰しょうゆ含有液体調味料の塩辛味増強剤であって、該塩辛味増強剤は、容器詰しょうゆ含有液体調味料中のロイシルセリンの含有量を0.002〜0.25質量%とするように用いられ、該容器詰しょうゆ含有液体調味料はしょうゆを15質量%以上含有し、ナトリウムの含有量が1.4〜4.4質量%である、容器詰しょうゆ含有液体調味料の塩辛味増強剤。
  10. ロイシルセリンを有効成分として含有する、容器詰しょうゆ含有液体調味料のあつみ増強剤であって、該あつみ増強剤は、容器詰しょうゆ含有液体調味料中のロイシルセリンの含有量を0.002〜0.25質量%とするように用いられ、該容器詰しょうゆ含有液体調味料はしょうゆを15質量%以上含有し、ナトリウムの含有量が1.4〜4.4質量%である、容器詰しょうゆ含有液体調味料のあつみ増強剤。
  11. 前記容器詰しょうゆ含有液体調味料は、前記ロイシルセリンの含有量/前記ナトリウムの含有量が0.0005〜0.08(質量比)である、請求項9又は10に記載の剤。
  12. 前記容器詰しょうゆ含有液体調味料がカリウムを0.01〜3質量%含有する、請求項9〜11のいずれか1項に記載の剤。
  13. 前記容器詰しょうゆ含有液体調味料は、前記ロイシルセリンの含有量/前記カリウムの含有量が0.002〜2(質量比)である、請求項12に記載の剤。
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