JP6321994B2 - 調味済みパンの製造方法およびその方法により製造した調味済みパン - Google Patents

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Description

本発明は、フレンチトースト等の調味済みパンを製造する方法に関するものである。
フレンチトーストは、フランスではパンペルデュとよばれ、食べ残して乾燥して硬くなったフランスパン等に、卵や牛乳等を混ぜ合わせた液体(アパレイユ)を浸み込ませた後焼く、「失われたパン」を生き返らせて美味しく食べようという、生活の知恵の結晶した食べ物である。
フレンチトーストの一般的な製法は、厚さ10mmから20mm程度にスライスしたフランスパンや食パンを、器に入れたアパレイユに20分から60分浸し、さらに必要に応じてパンの上下を返し、パンに充分にアパレイユを含ませた後、フライパンやオーブン等で焼成する、というものである。
その美味しさは、パンに充分にアパレイユを浸み込ませることにより、アパレイユの水分をパンの組織に充分に含ませた後焼成して、卵をゲル状に凝固させ、老化して硬くなったパンにしっとりふんわりとした食感と風味が加わることにあるが、パンに充分アパレイユを浸み込ませるためには、パンの種類や、パンの乾燥具合によりアパレイユの浸漬時間等が異なり、時間と手間がかかるため、家庭において少人数向けに調理される場合は問題ないが、大規模な工場生産には不向きであった。
特許文献1は、手軽に短時間で調理できて、やわらかくしっとりとした食感を有する水分含量50〜59%である冷凍フレンチトーストの製造方法を提供する。
特許文献2は、フレンチトースト様食品を工業的に大量に安価に製造できる、パンに速く吸収される加工卵液を吸収させ加熱調理することを特徴とするパン加工品の製造方法を提供する。
特許文献3は、パン又はケーキに対し、油相に脂肪酸基が不飽和脂肪酸基で且つHLBが9以上のポリグリセリン脂肪酸エステルを含有し、水相に卵類及び糖類を含有する油中水型乳化物を付着させたのち、加熱することにより、ソフトでしっとりしながら、油性感がなく、手で持つことの出来る十分な保型性をもつフレンチトースト様食品を得ることができる、フレンチトースト様食品の製造方法を提供する。
特開平10−99057号公報(冷凍フレンチトースト) 特開平11−215948号公報(パン吸収用加工卵液及びそれを用いたパン加工品の製造方法) 特開2010−75136号公報(フレンチトースト様食品の製造方法)
しかしながら、特許文献1によれば、パンの中心部までバットに入れた卵等の混合液を浸透させるためには、スライスの厚さが1.0〜1.5cmのソフト系のパンの場合は20〜25分間、同ハード系のパンの場合は10〜15分間の工程時間を要し、より早くパンの中心部まで該混合液を浸透させるためには、途中で該混合液に浸したパンの表裏を返すという手間が必要である。
特許文献2によれば、パンに卵等の混合液を吸収させる時間を短縮するためには、該混合液を40〜70℃、より望ましくは50〜70℃に加温するという手間が必要である。
特許文献3によれば、卵等の混合液を製造するためには、特殊な脂肪酸エステルを含有する油中水型乳化物を製造する必要がある。
本発明の目的は、前記従来例の不都合を解消し、アパレイユが瞬時にパン全体に浸透して均一に行き渡り、表面はさっくり、内部はしっとりふんわりとして厚みのある、食感と風味に優れたフレンチトースト等の調味済みパンを、連続的に製造可能な製造方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意努力した結果、上記課題を解決する手段を見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明の要旨は、次のとおりである。
請求項1記載の本発明は、パンに調味液を浸漬後焼成する調味済みパンの製造方法において、パン生地の配合に、パン生地の配合中の粉類の重量の120%から200%の水分および気泡剤を加えたパン生地からパンを製造し、これにアパレイユを浸漬後焼成することを特徴とした調味済みパンの製造方法を要旨とするものである。
請求項1記載の本発明によれば、通常のパンは、原材料中の小麦粉のたんぱく質を適当な量の水を加えて捏ね、物理的な力が加わり該たんぱく質が結合することで、粘性と弾性に富んだしっかりとした網目構造の組織(グルテン)ができ、パン生地中の該網目構造の中に酵母による発生する二酸化炭素が貯められることにより、パン生地が膨らんでいくが、本発明に係るパン生地は水分量が多く、原材料を混合する、という程度の混合しかしないため、グルテンが充分には形成できず、パン生地は膨らまないため、中に水分を含んだしっとりとしたパンができる。この状態ではパンの中は原材料として添加された水分で満たされており、調味済みパンを製造するための調味液を適量吸収することはできない。
そこで、パン生地の原材料の水分中に気泡剤を適量入れることにより、該パン生地中に酵母による発酵により適度の気泡が発生し、その後に焼成したパンは、上記の調味液を適量吸収することができる。
これにより、調味液の吸収残りなく完全に吸わせた状態で焼成することができ、焼成時の調味液の焦げを防ぎ、焦げた場合の製品のロスや、天板等の器具の清掃時間等が不要となる。このように、気泡剤存在下で多加水のパン生地から吸水性の高いパンを製造することにより、調味液が瞬時にパン全体に浸透して均一に行き渡るため、調味液の浸漬時間を要することなく、表面はさっくり、内部はしっとりふんわりとして厚みのある、食感と風味に優れた調味済みパンを、連続的に製造することができる。
通常の食パン生地の水分量は75%から80%であるところ、本発明に係るパン生地の配合中の水分量は120%から200%であり、通常の約2倍以上の水分を配合したパン生地であるため、該パン生地をデポジッターで型に流し入れることができ、丸め等成形する工程を省略することができる。さらに、該パン生地から製造されたパンには、通常の食パンのような、いわゆる「耳」と言われる硬い部分がないため、該調味済みパンは、全体がふっくらと焼きあがる。
本発明に係るパンに、調味液である卵、上白糖、牛乳、香料等からなるアパレイユをしみこませることにより、表面はさっくり、内部はしっとりふんわりとして厚みのある、調味済みパンを、連続的に製造することができる。
請求項記載の本発明は、気泡剤は卵であることを要旨とするものである。
請求項記載の本発明によれば、水のみでパン生地を製造する場合に比べて卵の乳化性、熱凝固性により、ふっくらと厚みがあり、アパレイユを瞬時に吸収し均一に行き渡り、さらに、卵黄中のカロテンの黄色がパンに付くため、クリーム色のアパレイユの浸漬時の色むらを防ぐこともでき、表面はさっくり、内部はしっとりふんわりとして厚みのある、食感と風味に優れたフレンチトーストを、連続的に製造することができる。
卵の「乳化性」は、卵黄中に含まれるレシチンが水分と油分を結びつけるため、原材料が充分混ざり合い、生地が柔軟になり、パンのボリュームが増し、口どけが良く、老化しづらいパンを作る。「熱凝固性」は、卵の成分中のたんぱく質が凝固して、グルテンの網目構造を強くする。
請求項記載の本発明は、パン生地は加工澱粉を配合することを要旨とするものである。
請求項記載の本発明によれば、該パン生地の原材料中に配合する粉類は、主に小麦粉の強力粉であるが、該粉類に加工澱粉を配合することにより、該加工澱粉が充分な量の水と共に加熱されることにより、水を吸収して膨潤・糊化した後、熱凝固して、グルテンの網目組織の間を埋め、ふっくらとしたパンを製造することができる。
このため、原材料中の小麦粉の澱粉にさらに適量の加工澱粉を加えることによりパンの物性を調製し、アパレイユを吸収して保持するパンを製造することができ、表面はさっくり、内部はしっとりふんわりとして厚みのある、食感と風味に優れた調味済みパンを、連続的に製造することができる。実施例においてはエステル架橋したポテト澱粉を使用したが、それに限定されるものではない。適当な効果が得られる加工澱粉であれば、特に限定されるものではなく、加工の有無、種類を選択して用いることが可能である。
ただし、今回の実施例においては水分吸収性を維持し、一定の成形性を有していたことからアセチル化リン酸架橋ポテト澱粉が有用であった。同様に、水分吸収性を有するエステル架橋澱粉などでも同様の効果が期待でき、特に澱粉の起源に限定されるものではない。
請求項記載の本発明は、パン生地を型に流し入れた後焼成し、パンの入った型にアパレイユを注ぎ入れ、アパレイユが浸み込んだパンを天板に反転させた後焼成することを要旨とするものである。
請求項記載の本発明によれば、型で焼成したパンを型ごと放冷した後、定量のアパレイユを注ぎ入れることにより瞬時にパンがアパレイユを吸収し、直後に天板の上に型を反転してアパレイユの浸み込んだパンの上面を天板に接するようにのせた状態で焼成することができるため、パンを製造した後スライスして、器に入れたアパレイユに浸漬させて反転させてアパレイユを充分浸み込ませた後、アパレイユが液垂れしないようにパンを天板に移して焼成する、という手間が必要ないため、表面はさっくり、内部はしっとりふんわりとして厚みのある、食感と風味に優れた調味済みパンを、連続的に製造することができる。
さらに、アパレイユを、パンが吸収し最も良好な調味済みパンを製造するために必要な量だけ型に注ぎ入れれば良いため、大きな容器にたっぷりのアパレイユを作りパンを浸す従来の製造方法に比べて、必要なアパレイユ量を計算して仕込むことができ、また、使い回すこともなく衛生的で、さらに、無駄が出ないためコストもカットでき、資源問題もないというメリットがある。
請求項記載の本発明は、調味済みパンはフレンチトーストであることを要旨とするものである。
請求項記載の本発明によれば、本発明に係るパンに、フレンチトーストを製造するために最適な、卵、上白糖、牛乳、香料等からなるアパレイユをしみこませることにより、表面はさっくり、内部はしっとりふんわりとして厚みのある、食感と風味に優れたフレンチトーストを提供することができる。
以上述べたように本発明は、調味済みパンの連続製造が不可能だった、従来のパン生地からなるパンに対して、本発明に係るパンは、調味済みパンの製造のための充分な調味液を瞬時にパン全体に吸収して均一に行き渡らせることにより、調味液の吸収残りなく完全に吸わせた状態で焼成することができ、焼成時の調味液の焦げを防ぎ、焦げた場合の製品のロスや、天板等の器具の清掃時間等が不要となるため、表面はさっくり、内部はしっとりふんわりとして厚みのある、食感と風味に優れた調味済みパンを、連続的に製造可能な製造方法を提供することができる。
以下本発明を実施するための形態について説明するが、本発明はこれに限定されたものでないことは、言うまでもない。
本発明において「%」とは、すべて「重量%」を意味する。
1.調味液について
本発明の調味済みパンを製造するための調味液は、卵と牛乳等の水分を混ぜ合わせた液体であり、この液体に様々な風味の材料を加えることにより、バリエーション豊かな調味済みパンを製造することができる。
調味液の原材料中の卵は、卵黄中に含まれるレシチンの水分と油分を結びつけるという「乳化性」、卵に水や牛乳等を加え薄めて加熱凝固させると形状や口当たりの異なる調理ができるという「希釈性」、卵と砂糖が混ざり合い加熱されて成分中のたんぱく質が滑らかなゲル状に凝固する「熱凝固性」を有する。これらの作用により、パンに調味液を充分に含ませることで、しっとりと柔らかで滑らかな食感と風味のある調味済みパンを製造することができる。
調味液は、バニラ以外にもチョコレート、ココア、コーヒー、アールグレイティ、シナモン、キャラメル、メープルシロップ、蜂蜜、プラリネペースト、エバミルク、発酵バター、オリーブオイル、豆乳、黄な粉、抹茶、果皮、果汁、コーンスープ、オニオンスープ、マヨネーズ、チーズ、胡椒、醤油、味噌等の、あらゆる風味のフレンチトーストを製造することができる。さらにこのフレンチトーストに、フレッシュフルーツ、コンポート、シャンティ、カスタードクリーム、アイスクリーム、マスカルポーネ、フロマージュブラン、ヨーグルト等、を添えて、甘味のおやつ、朝食、ブランチや、塩味のスナック、おつまみや、ヘルシーで栄養価高い、チーズ、ハム、野菜、サラダをはさんだフレンチトーストサンド等、朝食、ブランチ、昼食、おやつ、アペリティフのつまみ、夕食、夜食等、いろいろな場面で楽しむことができる。
2.パンについて
[パン生地の配合]
本発明にかかるフレンチトーストを製造するためのパン生地を、下記表1の配合のとおり調整した。本発明においてパン生地の配合は、小麦粉を100%と固定し、他の材料はその割合を示す、製パン独特の表示方法である「ベーカーズパーセント」で表す。
Figure 0006321994
[パン生地の製造方法]
パン生地は、原材料を上記表2の配合で、ミキサーに強力粉、加工澱粉、上白糖、食塩、セミドライイースト、ショートニング、液卵と一定量の水を投入し、5分攪拌した後、残りの水を加えて、さらに5分攪拌する直捏法により製造した。生地がまとまればよく、グルテンが出るほど強く捏ねる必要はない。本発明において直捏法でパン生地を製造したが、製法は特に限定されるものではない。
[パンの製造工程]
通常のパンを製造する場合は、ミキシング(捏ね)−1次発酵−分割−成形−2次発酵(ホイロ)−焼成、という6工程を要するが、本発明に係るパン生地はグルテン形成および塊として扱う必要がなく流動性が高いために、本発明に係るパンを製造する場合は、ミキシング(捏ね)−型への充填−発酵−焼成という4工程で済む。したがって、ミキシング工程は原材料を混合できる程度で良いため、通常のパン製造する場合よりも短時間でよい。
パンの焼き型は、実施例において、底のサイズが上面90mm×90mm、下面75mm×75mm、高さ45mmの底面が正方形の四角錐台形のシリコン型を使用したが、型は、丸型や長方形等の形状および素材を問わない。
本発明のパンは、通常のパンのように強い焼き面を作り、それにより膨らませるものとは異なり、本発明に係るパンは面を焼く必要が無く、調味済みパンを連続的に製造できるようにするために発明された「ミミ」のないソフトなパンである。また、適当な水分量を有するパン生地を焼き上げることで、膨らみすぎず、いわゆるカットした食パン様の外観となり、かつ、原材料の卵を含む水分により内部がしとっとした物性を保った、絶妙の食感の調味済みパンを製造することができるパンである。後述するように、該パンに調味液を浸み込ませて焼成することにより、ふんわりと焼き上がる。しかも、そのまま食べても充分においしいパンである。
3.調味済みパンの製造方法について
以下、本発明の実施例を説明する。本発明に係るパン生地およびパンは、様々な風味の調味液を浸み込ませることにより、多種多様の調味済みパンを製造することができる。該実施例は、調味済みパンの中の一つであるフレンチトーストを製造した。
[製造工程]
本発明において、下記表2のとおりの工程でフレンチトーストを製造した。パン生地を製造して型に流し入れ焼成→アパレイユを充填→天板に反転後焼成、することにより、パン生地が広がらず、パンの高さが出て、任意の型に沿ってきれいな形にフレンチトーストが焼きあがる。
Figure 0006321994
アパレイユ(appareil)とはフランス語で流動状の混合生地をさす言葉であり、菓子等を作る下準備として、牛乳や卵などの材料を混ぜ合わせたものを言う。本発明において「アパレイユ」とは、フレンチトーストを作るために、パンに浸透させる液卵、牛乳、上白糖、バニラ香料等を混ぜ合わせた調味液をいう。バニラ香料は、バニラの甘い香りを付けることと、原材料のそれぞれの風味をまとめる働きをする。
下記表3のとおりの配合で原材料を混合して、アパレイユの製造した。
Figure 0006321994
本発明に係る調味液は、それぞれの風味の液体の性質および食味や、調味液をしみこませるパンのサイズ等により、パン1個当たりに浸透させる調味液の最適量は異なるが、実施例のアパレイユは、本発明に係るパン生地55gで製造したパンに官能評価が最良である45gを浸透させることとした。具体的には、該パン生地をパンの焼き型に55g流し入れ、焼き上げた後に、アパレイユ45gを加え、1分程度放置した。その後、全量を吸っているものはそのまま天板に反転することにより焼き型から取り出し、状況を観察することにより、全量、すなわち45gを吸収したことを確認した。全量を吸っていなかった場合には、1分間放置後に、パンを注意深く取り出し、トレーに残ったアパレイユの重量を測定することによって吸収したアパレイユの量を算出した。
[包装単位および包装方法]
調味済みパンを冷凍保存する場合、保存時の温度変化により霜が付き、調味済みパンが乾燥したり、保存中の他の食品の香りが移ったり、酸化して、外観やおいしさが損なわれる。そこで、必要なときに必要な量のおいしい調味済みパンを食することができるように、少数個単位で、かつ、密封可能な包装形態および包装材料によることが望ましい。包装形態としては、深絞り包装、トレーシール包装、ピロー包装、ガス充てん包装、脱酸素剤封入包装等の包装形態が考えられる。また、包装材料としては、引張強伸度、破裂強度、引裂強度、耐衝撃性、耐ピンホール性、ガスバリヤー性、低透湿度性、保香性、ヒートシール強度、耐寒性の高い積層フィルムが考えられる。これにより、保存性が高まり、衛生上の問題のなく、かつ、劣化・損傷を防ぎ、常に一定水準を保った、おいしい調味済みパンを食することができる。
[実施例1:従来の食パンとの比較検討]
本発明の効果を示すために、下記表4のとおり、本発明の代表的な例(実施例1−1)と、通常の食パンを用いて同様にフレンチトーストを作成した例(比較例1−1)を示す。実施例1−1のパンは、本発明に係る調味済みパン用のパンであり、水分は液卵と水を合わせて150%としてパン生地を作成し、パン1個当たりパン生地55gでパンを作成した。比較例1−1のパンは、水分は水と牛乳を合わせて75%として通常の市販の食パンと同様の製法により作成したものを調味済みパン用にスライスした。実施例1−1は、アパレイユを瞬時に全量吸収してしまい染み出ないが、比較例1−1の食パンはアパレイユを同量充填しても瞬時に吸収せず、反転して型から出すと、アパレイユが染み出てきたため、1時間以上浸漬することで、全量を吸収した。比較例1−1の通常の食パンを用いたフレンチトーストの製造は、浸漬の時間と場所が必用であり手間がかかるため、大量製造には不向きである。
Figure 0006321994
[実施例2:パン生地配合の水分量%の検討]
下記表5のとおり、50%の液卵と水を合わせた合計の水分量を変えてパン生地を作成し、パン1個当たりパン生地55gでパンを作成した。通常の食パン生地の水分量は75%から80%であるが、本実施例においてはより多加水の方向で検討をおこなった。実施例に記載はないが、水分が特に少ないもの(水:30%、水分として80%)は、水分が少なすぎてミキシングがうまくできず、試作することができなかった。実施例2−1は、他の実施例と比較して、水分が少ないが(水:50%、水分として100%)膨らみが大きく、アパレイユの吸収は良好であったが、いわゆる普通のパンであるためぱさぱさしており、フレンチトーストとしてのしっとり感は得られず、不適当であった。一方、実施例2−2、実施例2−3、実施例2−4は、水分のパン生地内への保有量が適量(水:70%から150%、水分として120から200%)であり、パンがあらかじめしっとりとしており、これにアパレイユの最適量である45gを浸み込ませた場合には、フレンチトーストとして最適のしっとり感を得ることができた。また、実施例に記載はないが、さらに水分が多いもの(水:150%を超えるもの、水分として200%を超えるもの)は、パン生地が柔らかすぎ、これを超える水分量を添加できない。以上のとおり、パン生地の水分が適量であると、パンがしっとりとしていて、かつ適量のアパレイユを浸透させることができる。また、パン生地も過度に膨張せず、上部が膨らまないので、通常のフレンチトーストを作成するスライスした食パンと同様の形態のパンとすることができる。
Figure 0006321994
[実施例3:パン生地配合中の水分量150%の内訳の検討]
下記表6のとおり、パン生地配合中の水分量を150%と固定して、150%の中で液卵と水の割合を変えてパン生地を作成し、パン1個当たりパン生地55gでパンを作成した。実施例3−1は、卵を加えておらず(0%)、水分は水のみのものであり、でんぷんがα化されたのみで、餅状になり、そのまま焼成された状態で、生地の中の気泡がうまく作れないためにパンが膨らまず、アパレイユを吸収しない。実施例3−2、実施例3−3は、卵が適量(50から80%)のため、パンの中に適当な気泡があり、食感もよく、かつ、アパレイユの吸収もよい。また、卵の味を程良く感じる、良好な食味のフレンチトーストである。実施例3−4は、卵が多量(150%以上)に配合されているため、生地の状態は良いが、卵の味が強すぎて、パンではなく卵焼き風であった。以上のとおり、該パン生地に卵を配合することは、パンの色や食感、厚みの確保、アパレイユの吸収性、生地の保形性が良好になるため、調味済みパン用のパン生地を製造するにあたり、卵を配合することは必須であるが、その生地の食感から50%から150%が好ましく、さらに卵は食味にも影響しアパレイユ等の調味液の味を生かすためにも50%から80%が適量である。
Figure 0006321994
[実施例4:パン生地配合中の粉類の量100%の内訳の検討]
下記表7のとおり、パン生地配合中の粉類の量を100%と固定して、100%の中で強力粉と加工澱粉の割合を変えてパン生地を作成し、パン1個当たりパン生地55gでパンを作成した。加工澱粉としてはアセチル化リン酸架橋ポテト澱粉を使用した。加工澱粉を添加しないパン生地で製造したパンでフレンチトーストを製造すると、アパレイユの吸収が悪くぺちゃっとした食感となるが、加工澱粉を添加した生地はまとまりがよく、フレンチトーストの食感が向上する。実施例4−2、実施例4−3は、適当な加工澱粉量(3%から5%)であり、厚みもあり、適度な食感がある。実施例4−4は、加工澱粉量が過剰(10%)であり、生地が膨らまず、焼き型の四隅まで生地が伸びず、またパンが硬く調味液を吸収しらい。以上のとおり、加工澱粉は、配合しなくともパン自体は製造できるが、フレンチトースト等の調理済みパンとして調味液を浸透させて焼成するためには、パン生地に加工澱粉を配合することが望ましい。
Figure 0006321994
[実施例5:応用例の検討]
下記表8のとおり、調味液の風味と、それに合うトッピングとを工夫して、4種類の応用例を検討した。
Figure 0006321994
[応用例1:ブラウニー風パンペルデュ/チョコレート風味液]
牛乳300g、液卵150g、砂糖100g、ココアパウダー50gを、ダマがなくなるまでよくかき混ぜ、チョコレート風味液を作る。焼き型に入ったパンに該調味液を50g注ぎ込み、200℃のオーブンで、約12分焼成する。天板の上に型を反転させて調味液を吸収したパンを返して焼く。焼き上がったパンをひっくり返し、表面にトッピングのチョコレートソースを適量かける。
[応用例2:クロックムッシュ風パンペルデュ/ベシャメルソース風味液]
ベシャメルソース150g、牛乳300g、液卵80g、砂糖20g、ブラックペッパー少々を、よくかき混ぜ、ベシャメルソース風味液を作る。焼き型に入ったパンに該調味液を55g注ぎ込み、200℃のオーブンで、約12分焼成する。天板の上にスライスチーズを置き、その上に型を反転させて調味液を吸収したパンを返して焼く。焼き上がったパンをひっくり返し、表面に刻みパセリを少々かける。
[応用例3:シナモンロール風パンペルデュ/シナモン風味液]
牛乳300g、液卵150g、砂糖135g、シナモンパウダー15gを、ダマがなくなるまでよくかき混ぜ、シナモン風味液を作る。焼き型に入ったパンに該調味液を60g注ぎ込み、200℃のオーブンで、約12分焼成する。天板の上に型を反転させて調味液を吸収したパンを返して焼く。焼き上がったパンをひっくり返し、表面にシナモンとクリームや、好みでフォンダンをかける。
[応用例4:ティラミス風・パンペルデュ/マスカルポーネ風味液]
マスカルポーネ100gを湯煎して溶かし、牛乳250g、液卵50g、砂糖100g、レモン汁少々を加えて、40℃から50℃の湯煎にかけながらよくかき混ぜ、マスカルポーネ風味液を作る。焼き型に入ったパンに該調味液を50g注ぎ込み、200℃のオーブンで、約12分焼成する。天板の上に型を反転させて調味液を吸収したパンを返して焼く。焼き上がったパンをひっくり返し、表面にココアパウダーを全面に振りかける。マスカルポーネは、クリームチーズに替えても良い。
調味液が瞬時にパン全体に浸透して均一に行き渡り、食感と風味に優れた調味済みパンを連続的に製造可能な製造方法により、フレンチトーストをはじめとするバラエティ溢れる調味済みパンを工業的に大量生産して、チルドや冷凍状態で包装し貯蔵・販売することにより、いつでもだれでも食べたいときにすぐに美味しい調味済みパンを食することができる。

Claims (5)

  1. パンにアパレイユを浸漬後焼成する調味済みパンの製造方法において、パン生地の配合に、パン生地の配合中の粉類の重量の120%から200%の水分および気泡剤を加えたパン生地からパンを製造し、これにアパレイユを浸漬後焼成することを特徴とした調味済みパンの製造方法。
  2. 気泡剤は卵である、請求項1記載の調味済みパンの製造方法。
  3. パン生地は加工澱粉を配合する、請求項1または請求項2に記載の調味済みパンの製造方法。
  4. パン生地を型に流し入れた後焼成し、パンの入った型にアパレイユを注ぎ入れ、アパレイユが浸み込んだパンを天板に反転させた後焼成する、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の調味済みパンの製造方法。
  5. 調味済みパンはフレンチトーストである、請求項1乃至4のいずれかに記載の調味済みパンの製造方法。
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