JP2007306838A - 中種生地 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】中種生地に使用する小麦粉100質量部に対し、乾燥果実を好ましくは10〜80質量部含有する中種生地を使用して得られたバラエティブレッドは、風味がよく、体積、内相とも良好で、ソフトな食感で老化耐性も高い。また、このバラエティブレッドは、乾燥果実を使用する際に前処理の必要がない。
【選択図】なし
Description
また、ミキシング時に生地中にこのような固形物が存在すると、グルテン構造の形成を阻害したり、既に形成されたグルテン構造が破壊されたりするため、得られたバラエティブレッドは、体積が小さかったり、内相が荒れていたり、ケービングするなどの問題があった。
さらに乾燥果実は高濃度の糖類を含むため、焼成後にパンクラムの水分が乾燥果実に移行してパンクラムが硬くなりぱさついた食感になってしまう問題、即ち老化しやすいという問題もあった。
上記の問題を回避するために、乾燥果実に代えてレーズンペーストやジャム等の果実ペーストを生地中に練り込むと、得られるパンは外観上の特徴がまったくなくなってしまい、また、高濃度の糖分をパン生地中に含むため、生地が軟化し、べたついて扱いにくくなったり、ケービングする等の問題に加え、焦げやすくなってしまう問題もあった。
しかし、これらの方法は、乳化剤や糊料等を使用してソフトな食感とする方法であるため、食感がねちゃついたり、風味が悪化する問題があった。また、老化耐性についても、焼成当初はたしかにソフトであるが、経日保管時の内相の硬化速度自体はまったく同じであり、老化耐性が向上したものではなかった。また、乾燥果実の重量によるケービングなどの問題は解消できなかった。
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、小麦粉を主成分とし、乾燥果実を含有する中種生地、該中種生地を使用したパン生地、及び、該パン生地を使用したパン、更には該パンの製造方法を提供するものである。
本発明の中種生地に使用する小麦粉は、中種生地における主成分であり、例えば、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム粉、全粒粉、胚芽等が挙げられ、特に強力粉が好ましく用いられる。
本発明の中種生地に使用する乾燥果実の種類としては、果実類において乾燥果実としてそのまま食用に供されるものであれば何れでも使用可能であり、例えばキウイフルーツ、パパイヤ、マンゴ、パイナップル、イチジク、オレンジ、レモン、アップル、アプリコット、チェリー、ブドウ、ラズベリー、ストロベリー、ブルーベリー、クランベリー、プラム等の乾燥品があげられる。上記乾燥果実は、1種若しくは2種類以上を混合使用してもよい。本発明では、ブドウ又はプラムの乾燥品、即ち、レーズン又はプル−ンを使用することが、老化防止に効果的である点で好ましく、中でも、下記の刻み加工をすることなく生地に直接添加可能な体積であることから、レーズンが特に好ましい。
また、上記乾燥果実は、そのまま中種生地に混合することもできるが、大きな乾燥果実は、一般には、立方体状、直方体状、角柱状、円柱状、半円柱状、球状、薄片状などの小片状に刻んで混合される。
その1片の好ましい重量は、0.1g〜10g、より好ましくは0.2g〜5g、最も好ましくは0.5g〜3gである。また、その1片の好ましい体積は、1〜10000mm3、より好ましくは10〜5000mm3、最も好ましくは10〜3000mm3である。
水分活性が0.80より高いか、又は水分が30質量%より高いと、生地がべたついて扱いにくくなるおそれがあり、また、得られるバラエティブレッドがねちゃついた食感になるおそれもある。一方、水分活性が0.30未満、又は水分が2質量%未満であると、得られるバラエティブレッドがソフトな食感とならないおそれがあることに加え、十分な老化耐性が得られないおそれがある。
上記果実の含有量が10質量部未満であると、得られるパン類において果実の風味が弱く、又十分な老化耐性が得られにくく、80質量部を超えると本捏ミキシング時にべたつきが顕著になり、生地がまとまらない等の問題がおこるおそれがある。
使用する油脂としては、特に限定されるものではなく、食用油脂であればどのような油脂であっても用いることができ、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油、バターオイル等の各種植物油脂、動物油脂並びにこれらを水素添加、分別及びエステル交換から選択される1又は2以上の処理を施した加工油脂が挙げられる。更に、これらの油脂の乳化物、あるいは油脂を含有する食品であるバター、マーガリン、クリーム、ショートニング、牛乳、濃縮乳等を用いることもできる。
なお、油脂の乳化物を使用する場合、その乳化形態は油中水型でも水中油型でもよく、また、油中水中油型や、水中油中水型などの2重乳化型であってもよい。
なお、上記油脂含量は、油脂として油脂の乳化物、あるいは油脂を含有する食品を使用した場合、その純油分を指すものである。
なお、上記水分含量は、上記油脂の乳化物や、牛乳や液糖などの水分を含有する食品や食品添加物を使用した場合は、その純水分を指すものである。
本発明のパン生地は、本発明の中種生地を使用する限りにおいて特に制限されず、一般の中種製パン法により得られるものである。すなわち、上述した本発明の中種生地を、中種発酵させた後、さらに他の製パン原料を添加して再度ミキシング(本捏ミキシング)をして得られるものである。この本捏ミキシング時に添加する製パン原料としては、上記中種生地に使用する上記各種製パン原料と同一のものを使用することができ、これらの使用量は、生地の種類により適宜調整される。また、別途、湯種、中麺、老麺等を添加することもできる。
本捏ミキシング時に添加する小麦粉の量は、パン生地中の小麦粉中に占める中種生地中の小麦粉の割合が、好ましくは30〜100質量%、より好ましくは50〜100質量%、さらに好ましくは60〜80質量%となる量である。
従来の乾燥果実含有パン生地は、ほぼ完全に乾燥果実の形態を残しているか、又は全く形状を残さないまでに練り込まれて均一化しているかである点が異なる。
なお、本発明のパン類において、乾燥果実を添加するための生地の種類としては、中種生地を使用して製造するパン類生地であればどのような種類でもよく、例えば、食パン生地、菓子パン生地、フランスパン生地、デニッシュ・ペストリー生地、スイートロール生地、ドーナツ生地等が挙げられる。
なかでも本発明は、元来糖や油脂の含量が低いため老化しやすいものであった食パン生地であることが好ましい。
ここで、ストレート法の生地ミキシングの初期に、乾燥果実を添加すると、本発明のパン類と同様の、細かく破砕された果皮成分や繊維部分が残存し、視認できる内相のパン類が得られるが、練り込まれた乾燥果実の果肉由来の成分と小麦粉との接触時間が中種法に比べて極めて長いために生地のダメージが大きく、体積が小さく、内相が荒れ、更にはケービングを起こしてしまう。
なお、得られるパン類に、形状を残した状態の乾燥果実を含有させるために、本捏ミキシング以降に乾燥果実を追加添加してもよい。この場合、本捏ミキシングの終期に添加するか、成型時に巻き込むなどの方法を採ることができる。
強力粉70質量部、生イースト2質量部、イーストフード0.1質量部、水40質量部をミキサーボウルに投入し、フックを使用し、低速2分混合後、レーズン20質量部(平均重量1g、平均体積200mm3)(水分含量15質量%、水分活性0.5)を前処理せずそのまま添加し、さらに中速2分混合し、小麦粉100質量部に対して乾燥果実を29質量部含有する中種生地を得た。捏ね上げ温度は24℃であった。この中種生地を生地ボックスに入れ、温度28℃、相対湿度85%の恒温室で、4時間中種発酵をおこなった。終点温度は29℃であった。この中種発酵の終了した生地を再びミキサーボウルに投入し、さらに、強力粉30質量部、食塩1.8質量部、上白糖5質量部、脱脂粉乳1質量部、水20質量部を添加し、低速3分、中速3分ミキシングした。ここで練込油脂(マーガリン)10質量部を投入し、フックを使用し、低速3分、中速4分ミキシングをおこない、パン生地を得た。得られたパン生地の捏ね上げ温度は28℃であった。ここで、フロアタイムを30分とった後、1200gに分割・丸目をおこなった。分割・丸目時の生地はべたつかず作業性は良好であった。次いでベンチタイムを20分とった後、モルダーを使用し、ワンローフ成形し、ワンロ―フ型に入れ、38℃、相対湿度85%、55分ホイロをとった後、200℃に設定した固定窯に入れ40分焼成し、レーズンパンを得た。得られたレーズンパンを1時間放冷後、厚さ15mmにスライスしたところ、細かく破砕されたレーズンの果皮が視認でき、内相もキメが細かく良好であり、試食したところ、風味がよく、ソフトでしとりのある良好な食感を示した。なお、得られたレーズンパンを袋に詰めて25℃3日保管した後に試食しても、ソフトでしとりのある良好な食感は保持されていた。
実施例1におけるワンローフ成型時に、熱湯で1時間湯戻ししたレーズンをさらに180g(小麦粉100質量部に対し34質量部)を巻き込んだ以外は、実施例1と同様にして、実施例2のパン生地、さらにレーズンパンを得た。得られたパン生地は、分割・丸目時にべたつかず作業性は良好であった。得られたレーズンパンを1時間放冷後、厚さ15mmにスライスしたところ、破砕されていない大きなレーズンの粒と細かく破砕されたレーズンの果皮が視認でき、内相もキメが細かく良好であり、試食したところ、風味がよく、ソフトでしとりのある良好な食感を示した。なお、得られたレーズンパンを袋に詰めて25℃3日保管した後に試食しても、実施例1とほぼ同等のソフトでしとりのある良好な食感は保持されていた。
実施例1における中種製造時に、植物性ホイップクリーム(油分含量40質量%、水分含量50質量%)20質量部を添加し、水を30質量部に減じた以外は実施例1と同様にして、実施例3の中種生地を得た。この中種生地は小麦粉100質量部に対して乾燥果実を29質量部、油脂を8質量部含有するものであった。この中種生地を使用して実施例1と同様にしてパン生地、さらにレーズンパンを得た。得られたパン生地は、分割・丸目時にべたつかず作業性は良好であった。得られたレーズンパンを1時間放冷後、厚さ15mmにスライスしたところ、破砕されていない大きなレーズンの粒と細かく破砕されたレーズンの果皮が視認でき、内相もキメが細かく良好であり、試食したところ、実施例1よりもさらに風味がよく、ソフトでしとりのある良好な食感を示した。なお、得られたレーズンパンを袋に詰めて25℃3日保管した後に試食しても、ほぼ同等のソフトでしとりのある良好な食感は保持されていた。
実施例2における中種製造時に、植物性ホイップクリーム(油分含量40質量%、水分含量50質量%)20質量部を添加し、水を30質量部に減じた以外は実施例1と同様にして、実施例4の中種生地、パン生地、さらにレーズンパンを得た。得られたパン生地は、分割・丸目時にべたつかず作業性は良好であった。得られたレーズンパンを1時間放冷後、厚さ15mmにスライスしたところ、破砕されていない大きなレーズンの粒と細かく破砕されたレーズンの果皮が視認でき、内相もキメが細かく良好であり、試食したところ、実施例2よりもさらに風味がよく、ソフトでしとりのある良好な食感を示した。なお、得られたレーズンパンを袋に詰めて25℃3日保管した後に試食しても、ほぼ同等のソフトでしとりのある良好な食感は保持されていた。
レーズン20質量部を、中種に添加するのではなく、本捏時に前処理せずに添加(ミキシング終了後に添加して低速1分混合)した以外は、実施例1と同様にして、比較例1のレーズンパンを得た。得られたパン生地は、分割・丸目時にべたつかず作業性は良好であった。得られたレーズンパンを1時間放冷後、厚さ15mmにスライスしたところ、破砕されていない大きなレーズンの粒が視認でき、内相はややキメが細かく良好であったが、試食したところ、風味が弱く、ソフトではあるが、しとりが不足し、特にレーズン部分が硬い食感のまま残ってしまっていた。なお、得られたレーズンパンを袋に詰めて25℃3日保管した後に試食すると、ややひきがあり、硬いぱさぱさした食感を示した。
熱湯で1時間湯戻ししたレーズンを使用した以外は比較例1と同様にして、比較例2のレーズンパンを得た。得られたパン生地は、分割・丸目時にややべたついたものの、作業性はおおむね良好であったが、得られたレーズンパンはややケービングが起きていた。1時間放冷後、厚さ15mmにスライスしたところ、破砕されていない大きなレーズンの粒が視認でき、内相はややキメが細かく良好であったが、試食したところ、風味が極めて弱いものであった。また、食感についても比較例1のレーズンパンに比べてややソフトであり、しとりもあるが、実施例1のレーズンパンに比べると遥かに劣るものであった。なお、得られたレーズンパンを袋に詰めて25℃3日保管した後に試食すると、比較例1のレーズンパンと同様、ややひきがあり、硬いぱさぱさした食感を示した。
実施例1で使用した、レーズン20質量部を、中種に添加するのではなく、本捏時に前処理せずに添加(ミキシングの最初から添加)した以外は、実施例1と同様にして、比較例3のレーズンパンを得た。得られたパン生地は、分割・丸目時にややべたつきがあったものの作業性はおおむね良好であったが、得られたレーズンパンは体積が小さい上、ケービングが発生した。1時間放冷後、厚さ15mmにスライスしたところ、細かく破砕されたレーズンの果皮が視認できたが内相が荒れたものである上、試食したところ、風味がやや弱く、ねちゃついた食感を示した。なお、得られたレーズンパンを袋に詰めて25℃3日保管した後に試食すると、ねちゃつきがあるうえ、やや硬い食感を示した。
実施例1で使用した、レーズンに代えて、レーズンペースト(水分含量30質量%、水分活性0.6)を使用した以外は、実施例1と同様にして、比較例4のレーズンパンを得た。得られたパン生地は分割・丸目時にべたつきが激しかった。また、得られたレーズンパンはケービングが発生した。1時間放冷後、厚さ15mmにスライスしたところ、均一なブドウ色で、内相はやや詰まり気味であった。試食したところ、風味はややエグ味が感じられ、ソフトではあるが、ねちゃついた食感を示した。なお、袋に詰めて25℃3日保管した後に試食しても、同様の、ソフトではあるが、ねちゃついた食感を示した。
強力粉100質量部、食塩1.8質量部、上白糖5質量部、脱脂粉乳1質量部、生イースト2質量部、イーストフード0.1質量部、水60質量部をミキサーボウルに投入し、フックを使用し、低速2分混合後、レーズン20質量部を前処理せずに添加し、さらに中速4分混合し、ここで練込油脂(マーガリン)10質量部を投入し、フックを使用し、低速3分、中速4分ミキシングをおこない、ストレート法のパン生地を得た。得られたパン生地の捏ね上げ温度は28℃であった。ここで、フロアタイムを90分とった後、パンチし、更にフロアタイムを30分とった後、1200gに分割・丸目をおこなった。次いでベンチタイムを20分とった後、モルダーを使用し、ワンローフ成形し、ワンロ―フ型に入れ、38℃、相対湿度85%、55分ホイロをとった後、200℃に設定した固定窯に入れ40分焼成し、比較例5のレーズンパンを得た。得られたパン生地は、分割・丸目時にべたつきが激しかった。また、得られたレーズンパンは激しいケービングが発生した。1時間放冷後、厚さ15mmにスライスしたところ、細かく破砕されたレーズンの果皮が視認できたが、内相はやや粗く、試食したところ、風味がやや弱く、内相はソフトではあるが、ねちゃつきの激しい食感を示した。なお、袋に詰めて25℃3日保管した後に試食しても、ソフトではあるが、ねちゃついた食感を示した。
Claims (7)
- 小麦粉を主成分とし、乾燥果実を含有する中種生地。
- 上記乾燥果実がレーズンであることを特徴とする請求項1記載の中種生地。
- 上記小麦粉100質量部に対して、上記乾燥果実を10〜80質量部含有することを特徴とする請求項1又は2記載の中種生地。
- さらに、上記小麦粉100質量部に対して、油脂を4〜20質量部含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の中種生地。
- 請求項1〜4の何れかに記載の中種生地を用いて得られたパン生地。
- 請求項5記載のパン生地を用いたパン類。
- 請求項1〜4の何れかに記載の中種生地を使用し、発酵を行なう中種工程を採用することを特徴とするパン類の製造法。
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