JP6311371B2 - 車両の空調装置 - Google Patents
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Description
そして、上方を向いたインストルメントパネルの上面部にはフロントデフロスタとして機能するフロントデフロスタ開口が設けられ、車室後方に向いたインストルメントパネルの後面部の車幅方向の両端にはサイドデフロスタとして機能するサイドデフロスタ開口が設けられている。
これら空調用開口には、空調空気を所定方向に向けて吹き出させるため、開口を仕切るように複数のフィンが同一の方向に並んで設けられるものが多い。そして、各フィンの間およびフィンと空調用開口の縁部との間は、細長形状の隙間となっている。
そこで、空調用開口の細長形状の隙間に、隙間の延在方向と直交する方向に延在する挿入防止用の複数の仕切りを隙間の延在方向に間隔をおいて形成したものがある。すなわち、フィンを格子状に設けて空調用開口の隙間を小さく分割することで、隙間から薄板状の部材が空調用ダクト内に入り込むことを防止している。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、薄板状の部材が空調用ダクト内に入り込むことを防止しつつ、空調用開口のデザイン性の向上を図る上で有利な車両の空調装置を提供することを目的とする。
請求項2記載の発明は、前記凸部は、前記空調用ダクトの延在方向に沿って延在し、上流側に位置する前記凸部は、前記延在方向と直交する平面で前記凸部が位置する前記空調用ダクトの部分を切断した場合、前記空調用ダクト内で占める前記凸部の面積は、前記空調用ダクト内を流れる空調空気の流れの下流側に位置する前記凸部の部分から、前記空調空気の流れの上流側に位置する前記凸部の部分に向けて次第に小さくなるように形成され、下流側に位置する前記凸部は、前記延在方向と直交する平面で前記凸部が位置する前記空調用ダクトの部分を切断した場合、前記空調用ダクト内で占める前記凸部の面積は、前記空調用ダクト内を流れる空調空気の流れの上流側に位置する前記凸部の部分から、前記空調空気の流れの下流側に位置する前記凸部の部分に向けて次第に小さくなるように形成されていることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、前記凸部は、前記空調用ダクトを構成する壁部の一部を前記空調用ダクトの内側に変位させることで構成されていることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、前記凸部は、前記空調用ダクトと共にブロー成形により形成されていることを特徴とする。
また、凸部を空調用ダクトの1箇所に設ける場合に比べ、各凸部の空調用ダクト内に突出する量を小さくすることができるので、空調用ダクト内で占める凸部の面積を小さくすることができる。従って、空調用ダクト内の通路面積を大きく確保することができ、空調空気の流量を確保する上で有利となる。
また、上流側凸部と下流側凸部とが空調用ダクト内において干渉するおそれはなく、上流側凸部の突出高さと下流側凸部の突出高さについて高い精度が不要となり、凸部を有する空調用ダクトを安価に確実に成形する上で有利となる。
請求項2記載の発明によれば、凸部によって生じる空調空気の乱れが抑制され、空調装置の空調性能を保証する上で有利となる。
請求項3記載の発明によれば、空調用ダクトを構成する壁部を利用することで凸部を有する空調用ダクトを安価に確実に成形する上で有利となる。
請求項4記載の発明によれば、凸部を有する空調用ダクトを安価に確実に成形する上で有利となる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図5に示すように、インストルメントパネル10は、上方を向いた上面部(不図示)と、車室後方を向いた後面部12とを備える。
上面部の中間部には、フロントウィンドシールドガラス(不図示)に空調空気を吹き出しフロントデフロスタとして機能するフロントデフロスタ開口(不図示)が設けられている。後面部12の車幅方向の両端には、サイドウィンドシールドガラス(不図示)に空調空気を吹き出しサイドデフロスタとして機能するサイドデフロスタ開口14が設けられている。
フロントデフロスタ開口とサイドデフロスタ開口14には、図1に示すように、インストルメントパネル10の内側に配置された空調用ダクト16が接続されている。
本実施の形態の車両の空調装置は、サイドデフロスタ開口14に接続する空調用ダクト16部分に適用されている。
サイドデフロスタ開口14には、空調空気をサイドウィンドシールドガラスに向けるためのフィン18が間隔をおいて複数設けられている。本実施の形態では、サイドデフロスタ開口14には、水平方向に延びる複数のフィン18が上下に並んで配置されている。
サイドデフロスタ開口14に複数のフィン18が設けられることでサイドデフロスタ開口14内には、それらフィン18の間、および、フィン18と膨出部1202との間に、それぞれ細長形状の隙間Sが形成されている。
ブロー成形は、合成樹脂を溶融してパイプ状としたパリソンの外側を金型で挟み込み、パリソンの内側に空気を吹き込むことで中空状の成形品を得るものである。
空調用ダクト16は、長手方向の中間部に不図示の空調装置本体から供給される空調空気を吸い込む吸込み口1602が設けられている。
また、空調用ダクト16の長手方向の中間部に、フロントデフロスタ開口に接続される吹き出し口1604が設けられ、空調用ダクト16の長手方向の両端に、各サイドデフロスタ開口14に接続される吹き出し口1606がそれぞれ設けられている。これら吹き出し口1606はサイドデフロスタ開口14の筒部1204(図4)に嵌合され、サイドデフロスタ開口14と空調用ダクト16とが接続される。
空調用ダクト16の吹き出し口1606近傍の箇所は、サイドデフロスタ開口14とほぼ同一の輪郭となる断面で形成されており、本実施の形態では、図3(A)に示すように、高さHよりも大きい寸法の幅Wを有する横長形状の断面を呈している。
ここで、薄板状の部材2とは、クレジットカードや電子マネーカードなどの各種のカードである。
本実施の形態では、凸部20は、フィン18と直交するように、高さH方向、つまり上下方向に突出されており、空調用ダクト16の上壁から下方に突出される上側凸部20Aと、下壁から上方に突出される下側凸部20Aとで構成されている。また、上側凸部20Aと下側凸部20Bは、空調用ダクト16の幅W方向の中間部で高さH方向(上下方向)において互いに対向する箇所にそれぞれ設けられている。つまり、上下方向で互いに対向する凸部20が一対で設けられている。
このように、凸部20を上側凸部20Aと下側凸部20Bで構成し互いに対向するように配置することで、それぞれの凸部20(上側凸部20Aおよび下側凸部20B)の突出量、すなわち高さH方向(上下方向)での長さを短くすることができる。凸部20(上側凸部20Aおよび下側凸部20B)の突出量を抑えることで、凸部20の横幅を小さくすることができるので、凸部20を一つで構成する場合と比べて、空調用ダクト16内の通路面積を広く確保することができる。
凸部20は、空調用ダクト16の吹き出し口1606から所定の距離だけ内側の箇所に設けられている。ここで、所定の距離とは、サイドデフロスタ開口14から挿入された薄板状の部材2が凸部に当接して空調用ダクト16内に完全入り込まないよう設定された距離である。
したがって、空調用ダクト16を構成する壁部を利用することで凸部20を有する空調用ダクト16を安価に確実に成形する上で有利となる。
本実施の形態では、凸部20は、空調用ダクト16と共にブロー成形により形成されている。すなわち、ブロー成形で用いる空調用ダクト16成形用の金型を利用して凸部20を形成している。
したがって、凸部20の形成を簡単かつ確実に行なう上で有利となる。
本実施の形態では、凸部20は、空調用ダクト16の幅W方向の中間部で高さH方向において互いに対向する空調用ダクト16の箇所にそれぞれ設けられた上流側凸部20Aと下流側凸部20Bとを含んで構成されている。
上側凸部20Aと下側凸部20Bは、空調用ダクト16の延在方向に沿って延在している。
上側凸部20Aと下側凸部20Bとは、空調用ダクト16の延在方向に位相をずらして設けられている。すなわち、上側凸部20Aは下側凸部20Bよりも空調用ダクト16内を流れる空気の流れの上流側に配置され、空調用ダクト16を高さH方向から見ると、上側凸部20Aの下流端2002と下側凸部20Bの上流端2004は重なっている。
上側凸部20Aを上記のように構成すると、上側凸部20Aによって生じる空調空気の乱れが抑制され、空調空気がサイドデフロスタ開口14からサイドウィンドシールドガラスに安定して吹き付けられ、サイドデフロスタの機能を効果的に発揮する上で有利となる。
下側凸部20Bを上記のように構成すると、下側凸部20Bによって生じる空調空気の乱れが抑制され、空調空気がサイドデフロスタ開口14からサイドウィンドシールドガラスに安定して吹き付けられ、サイドデフロスタの機能を効果的に発揮する上で有利となる。
なお、上側凸部20Aで最も突出した下流端2002の端部(突出端)と下側凸部20Bで最も突出した上流端2004の端部(突出端)とは、高さH方向(上下方向)に対向して配置され、互いが近接または当接されている。これにより、例えば、空調ダクト16をサイドデフロスタ開口14へ組み付ける際に、作業者が空調ダクト16の吹き出し口1606近傍を握っても、上側凸部20Aと下側凸部20Bとが互いに当接して空調ダクト16が変形するのを抑制することができるので、作業性を向上させることができる。
より詳細には、図6に示すように、サイドデフロスタ開口14の高さH方向(上下方向)の上半部から侵入した薄板状の部材2の端部2Bは、上流側凸部20Aの下流端2002に当接可能である。また、サイドデフロスタ開口14の高さ方向の下半部から侵入した薄板状の部材2の端部2Bは、下流側凸部20Bの下流端2010よりも上流の部分に当接可能である。また、サイドデフロスタ開口14の高さH方向(上下方向)の中間部から侵入した薄板状の部材2の端部2Bは、上側凸部20Aの下流端2002あるいは下側凸部20Bの下流端2010よりも上流の部分に当接可能である。
したがって、サイドデフロスタ開口14のフィン18の隙間に挿入防止用の複数の仕切りを設けて、開口の隙間を小さく分割する必要が無くなるので、サイドデフロスタ開口14のデザイン性の向上を図る上で有利となる。
また、上側凸部20Aと下側凸部20Bは空調用ダクト16内の吹き出し口1606から所定の距離だけ内側に離れた位置に設けられており、上側凸部20Aと下側凸部20Bとをサイドデフロスタ開口14から出来るだけ離して設けているので、サイドデフロスタ開口14から吹き出される空調空気の乱流を抑制でき、したがって、サイドデフロスタとしての機能を発揮させつつ、薄板状の部材2の空調用ダクト16への入り込みを防止することが可能となる。
すなわち、ブロー成形により凸部20を設ける関係上、凸部20を空調用ダクト16の1箇所に設ける場合には、凸部20の突出高さを、凸部20が設けられた箇所から対向する壁部の箇所までとしなければならず大きな寸法となる。そのため、金型の抜き勾配を考慮すると、凸部20の幅は大きくなり、空調用ダクト16内で占める凸部20の面積は大きくならざるを得ない。
これに対し本実施の形態のように、凸部20を互いに対向する空調用ダクト16の箇所にそれぞれ設けると、凸部20の突出高さを、空調用ダクト16の内部の中間部までの寸法にでき、小さい寸法となる。そのため、金型の抜き勾配を考慮しても、凸部20の幅を小さくでき、空調用ダクト16内で占める凸部20の面積を小さくできる。
本実施の形態では、空調用ダクト16の吹き出し口1606近傍に凸部20を設けているため、凸部20により空調用ダクト16の吹き出し口1606近傍の剛性が確保され、空調用ダクト16の組み立て作業効率を高める上で有利となる。
次に図7を参照して第2の実施の形態について説明する。
なお、以下の実施の形態では、第1の実施の形態と同様な箇所、部材に同一の符号を付してその説明を省略する。
第2の実施の形態では、上流側凸部20Aと下流側凸部20Bとの相対的位置が第1の実施の形態と異なっている。
すなわち、第1の実施の形態では、上側凸部20Aの下流端2002の端部(突出端)と下側凸部20Bの上流端2004の端部(突出端)は、高さH方向に対向し近接していたが、第2の実施の形態では、上側凸部20Aの下流端2002の端部(突出端)と下側凸部20Bの上流端2004の端部(突出端)とが、空調用ダクト16の延在方向で重なるよう設けられている。そして上側凸部20Aの下流端2002の端部(突出端)と下側凸部20Bの上流端2004の端部(突出端)との間には、空調用ダクト16の延在方向に隙間S1が設けられている。
このように上側凸部20Aの下流端2002の端部(突出端)と下側凸部20Bの上流端2004の端部(突出端)との間に隙間S1を設けると、上側凸部20Aの下流端2002の端部(突出端)と下側凸部20Bの上流端2004の端部(突出端)とが空調用ダクト16の高さH方向において干渉するおそれはなく、上流側凸部20Aの下流端2002の端部(突出端)の突出高さと下流側凸部20Bの上流端2004の端部(突出端)の突出高さについて高い精度が不要となり、凸部20を有する空調用ダクト16を安価に確実に成形する上で有利となる。
10 インストルメントパネル
14 サイドデフロスタ開口(空調用開口)
16 空調用ダクト
20 凸部
20A 上側凸部
20B 下側凸部
2002 下流端
2004 上流端
S1 隙間
Claims (4)
- インストルメントパネルに設けられた空調用開口と、前記空調用開口に接続する空調用ダクトとを備える車両の空調装置であって、
前記空調用開口近傍の前記空調用ダクトの内部に、前記空調用開口のフィンの延設方向と交差する方向に突出され、前記空調用開口から侵入された薄板状の部材に当接して前記薄板状の部材の前記空調用ダクト内への移動を阻止する凸部を設け、
前記凸部は、前記空調用ダクトの互いに対向する箇所に一対で設けられ、互いの端部同士が近接されると共に、前記一対の凸部は前記空調用ダクトの延在方向に位相をずらして配置され、
前記空調用ダクトの延在方向において、空調空気の流れの下流側に位置する前記凸部の端部と、前記空調空気の流れの上流側に位置する前記凸部の端部との間に隙間が確保されている、
ことを特徴とする車両の空調装置。 - 前記凸部は、前記空調用ダクトの延在方向に沿って延在し、
上流側に位置する前記凸部は、前記延在方向と直交する平面で前記凸部が位置する前記空調用ダクトの部分を切断した場合、前記空調用ダクト内で占める前記凸部の面積は、前記空調用ダクト内を流れる空調空気の流れの下流側に位置する前記凸部の部分から、前記空調空気の流れの上流側に位置する前記凸部の部分に向けて次第に小さくなるように形成され、
下流側に位置する前記凸部は、前記延在方向と直交する平面で前記凸部が位置する前記空調用ダクトの部分を切断した場合、前記空調用ダクト内で占める前記凸部の面積は、前記空調用ダクト内を流れる空調空気の流れの上流側に位置する前記凸部の部分から、前記空調空気の流れの下流側に位置する前記凸部の部分に向けて次第に小さくなるように形成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の車両の空調装置。 - 前記凸部は、前記空調用ダクトを構成する壁部の一部を前記空調用ダクトの内側に変位させることで構成されている、
ことを特徴とする請求項1または2記載の車両の空調装置。 - 前記凸部は、前記空調用ダクトと共にブロー成形により形成されている、
ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載の車両の空調装置。
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