JP6303685B2 - ベルレス高炉の装入物装入方法 - Google Patents
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Description
最近の大型高炉は、装入物分布制御の方法として、炉頂部に旋回機能を有し、且つ、その俯仰角度が変更できる旋回シュート式(以下、ベルレス式と記す。)原料装入装置を採用している。このシュートにより原料を輪状に装入する。
しかし、2バッチ装入法では、炉内ガスの中心流を確実に確保するのが不十分であるため、2バッチ装入法を改善する方法として、3バッチ装入法や4バッチ装入法が提案されている。
この4バッチ装入法では、例えば、先ず、C1バッチにおいて、炉壁側に水平型テラスと、この水平型テラスの炉内側から炉中心に向かって傾斜する傾斜コークス層を形成する。次いで、C2バッチにおいて、炉中心部へのコークスを装入する。次に、O1バッチにおいて、水平型テラスの上、又は、水平型テラスと傾斜コークス層との境界に向かって鉱石を装入する。更に、O2バッチにおいて、水平型テラスの上の炉周辺部に鉱石を装入する。このうち、O1バッチでは、装入した鉱石によって、C1バッチのコークスの層を一部崩すことで、O/C分布を調整している。
しかしながら、装入するコークスの原材料銘柄や含有水分の変動によって、C1バッチで形成される水平型テラスの長さが変動したり、円周方向で偏差が生じたりする場合がある。上記のような場合には、O1バッチによるコークス崩れ量が変動し、所望のO/C分布に制御できないという課題があった。
例えば、1mm〜5mmの細粒と5mm〜18mmの粗粒とに区分した焼結鉱を個別に炉内に装入することでガス流分布の改善を図る、粒度別装入法が提案されている(非特許文献1参照)。
また、多段式の傾斜スクリーンを備えた回収篩を使用して+3mmサイズの細粒焼結鉱を効率よく分級し、炉壁部への細粒装入量と位置を制御した、細粒焼結鉱の回収・使用技術が提案されている(非特許文献2参照)。
(1)コークスのCバッチと鉱石のOバッチを交互に、層状に装入するベルレス高炉の装入物装入方法において、C1バッチを、炉壁側から炉の中心に向け下方に傾斜する傾斜コークス層を形成する工程と、C2バッチを、炉の中心部に装入する工程と、次に、O1バッチを、炉壁から中心にむけて装入し、炉壁側に略水平な形状の水平型テラスと、更に、前記水平型テラスの炉内側先端から炉の中心に向け下方に傾斜する傾斜鉱石層を形成する工程と、最後に、O2バッチを、前記O1バッチの前記水平型テラスの上に装入する工程の順で実施するC1,C2,O1,O2の4バッチ装入であって、前記O2バッチが3mmを超え6mm以下の細粒鉱石から成り、かつ、前記O1バッチの前記水平型テラスにおける炉壁から中心に向かう長さが、炉口半径に対して0.1倍以上0.3倍以下であることを特徴とするベルレス高炉の装入物装入方法。
(3)前記O1バッチが鉱石と小塊コークスの混合バッチであることを特徴とする(1)又は(2)に記載のベルレス高炉の装入物装入方法。
図1に示すように、原料槽15に貯蔵された焼結鉱は、原料槽15下にある網目サイズ6mmの一次篩2で篩われ、篩い上の6mmを超える焼結鉱が焼結鉱槽1に回収される。一方、一次篩2の篩い下の焼結鉱は、網目サイズ3mmの二次篩4にかけられる。この二次篩4により、篩い上の3mmを超え6mm以下の焼結鉱は、細粒焼結鉱として細粒焼結鉱槽5に回収される。なお、二次篩4の篩い下である約3mm以下の焼結鉱は焼結工場で再利用される。焼結鉱槽1の焼結鉱及び細粒焼結鉱槽5の細粒焼結鉱は、焼結鉱槽1及び細粒焼結鉱槽5のそれぞれに付帯する秤量ホッパー(図示略)で秤量され、それぞれ装入コンベア3に排出される。
装入コンベア3上から排出された装入原料6は、炉頂バンカー7に一時貯留された後、流量調整弁8で排出口9の開口面積を調節することによって流量制御しながら、集合ホッパー10、旋回シュート11を介して高炉炉内12に装入される。装入原料6の高炉炉内12への装入は、旋回シュート11の傾斜角度を、装入原料6が所望の位置に装入されるように、適宜調節しながら行われる。
これにより、従来のコークス層の水平型テラスで生じていた、装入するコークスの原材料銘柄や含有水分の変動を起因とする水平型テラスの長さ変動や、円周方向における偏差が抑制される。結果として、後に続くO1バッチ装入時において、コークス崩れ量に変動が生じにくくなるため、O/C分布を一定に制御できる。
このO1バッチでは、鉱石と小塊コークスの混合バッチを使用することが好ましい。このような鉱石・コークス混合装入法は、鉱石に、コークスを混合することにより、鉱石層の通気性を向上させ生産性を向上させると同時に、鉱石とコークスの粒子を近接させることにより、鉱石の還元性を向上させ、高炉燃料比を低下させることができる。したがって、O1バッチを鉱石と小塊コークスの混合バッチとすることにより、鉱石・コークス混合装入の効果を、併せて発揮することができる。
また、O1バッチの水平型テラスにおける炉壁から中心に向かう長さは、炉口半径に対して0.1倍以上0.3倍以下となるように形成する。O1バッチの水平型テラスが上記長さであれば、後述するO2バッチ装入において、細粒鉱石を静置させることが可能な程度の大きさのテラスを形成できる。
更に、O2バッチ装入において、細粒鉱石を静置することで、O1バッチの水平型テラス上にO2バッチの細粒鉱石が積まれ、細粒鉱石層が形成される。これにより、O2バッチの細粒鉱石層は、O1バッチの傾斜鉱石層と同様に、炉壁側から炉の中心に向け下方に傾斜した構成となる。このため、O2バッチ装入後の原料堆積プロフィール、即ち、次チャージのC1バッチ装入前の原料堆積プロフィールは、炉壁側から炉の中心までに、下方に傾斜する傾斜層が形成されることになり、水平型テラスが形成されていない状態となる。
また、上記実施形態では、一次篩2の網目サイズを6mm、二次篩4の網目サイズを3mmとしたが、焼結鉱の歩留りに応じて、適宜変更してもよい。例えば、細粒焼結鉱は、3mmを超え6mm以下の範囲内において、一次篩2、二次篩4の網目サイズをそれぞれ調節して、その粒径を調整することができる。
本発明である原料装入方法による効果を、炉容積3700m3の高炉を対象に実炉試験で検証した。
実施例1は、本発明による原料装入方法である。即ち、C1バッチでは、炉壁側から炉の中心に向けて下方に傾斜する傾斜コークス層を形成し、C2バッチでは、炉の中心部にコークスを装入した。続いて、O1バッチでは、炉壁から中心にむけて装入し、炉壁側に水平型テラスを、更に水平型テラスの炉内側先端から炉の中心に向けて下方に傾斜する傾斜鉱石層を形成した。そして、O2バッチでは、O1バッチの水平型テラスの上に細粒鉱石を装入した。
なお、実施例1のC1バッチ及びC2バッチでは、粒子径略30mm〜60mmのコークスを用いた。また、O1バッチでは、粒子径約6mm〜35mmの焼結鉱と、粒子径略10mm〜40mmのコークスを混合した混合原料を用いた。O2バッチの細粒鉱石は、篩分けにより製造された3mmを超え6mm以下の細粒焼結鉱を用いた。
なお、比較例1のC1バッチ、C2バッチ及びO1バッチで使用したコークスや混合原料は、上記実施例1と同様のものを使用した。O2バッチの粗粒鉱石は、粒子径約6mm〜35mmの焼結鉱を用いた。
一方、表1に示すように、実施例1では、C1バッチで水平型テラスを形成させないために、相対落下位置重心を0.99とした。O1バッチでは、O2バッチの細粒鉱石を静置させるための小さな水平型テラスを形成するため、相対落下位置重心を0.94とした。また、O2バッチは、相対落下位置重心が1の炉の最も周辺部のみに装入した。
図3及び図4を比較すると、原料堆積プロフィールが変化している状況が確認できる。具体的には、図4に示す比較例1の装入方法では、C1バッチ装入後、並びにO1バッチ装入後に、それぞれ水平型テラス(図4中に矢印で示す。)が形成されている。O1バッチ装入後の水平型テラスは、炉壁から中心に向かう長さが炉口半径に対して0.4倍(炉壁から2m)の長さであった。一方で、図3に示す実施例1の装入方法では、C1バッチ装入後には水平型テラスの形成は認められず、後に続くO1バッチ装入後に、炉壁から中心に向かう長さが炉口半径に対して0.25倍(炉壁から1.25m)の水平型テラス(図3中に矢印で示す。)が形成されている。そして、O2バッチ装入後には、前記水平型テラスの上に、細粒鉱石層が形成されていることが確認できる。
具体的には、先ず、比較例1の装入方法を適用して操業を行い、次に、装入方法を変更し、実施例1の装入方法を適用して操業を行った。そして、このときの、スキンフローガス利用率及びその標準偏差、スキンフロー温度及びその標準偏差、ステーブ給排水温度差、ガス抜け回数、及び細粒焼結鉱使用量について、それぞれ測定及び算出することで、各装入方法の適用前後における炉況変化を確認した。なお、スキンフローガス利用率は、羽口から上方21.335mに位置する炉壁面に設置されたガス検出機により測定された、炉内最近傍を流れるガスの成分に関して、下記式(1)により算出される比率である。
ガス利用率={CO2/(CO2+CO)}×100・・・(1)
スキンフロー温度は、羽口から上方21.335mに位置する炉壁面に設置された熱電対により測定された、炉内最近傍を流れるガスの温度である。ステーブ給排水温度差は、ステーブ内に流通させる冷却水の給水温度と排水温度との差である。スキンフローガス利用率の標準偏差、及びスキンフロー温度の標準偏差は、円周方向8方位の標準偏差である。
また、比較例1の装入方法適用時では、炉内最近傍のガス利用率が40%前後と低く、またスキンフローの温度も350〜400℃と高めに推移しており、ステーブ給排水温度差も10℃前後と高いことから、炉内最近傍を流れるガス流速が大きく、炉体熱負荷が高い状況であったことが判る。更に、スキンフローガス利用率、及びスキンフロー温度は、ともに標準偏差が大きく、かつ変動も大きい結果であった。
一方、実施例1の装入方法適用時には、ガス抜け回数がほぼ0と低減され、スキンフローのガス利用率が45%前後に向上し、スキンフロー温度は300℃前後に低下した。更に、ステーブ給排水温度差も6〜8℃と小さいことから、炉内最近傍を流れるガス流速が小さく、炉体熱負荷が低下していることが判る。また、スキンフローのガス利用率の標準偏差や、スキンフロー温度の標準偏差がそれぞれ低下し、また、変動も小さくなったことから、炉壁に沿って上昇する周辺流の変動が抑制されたことが確認できる。
Claims (3)
- コークスのCバッチと鉱石のOバッチを交互に、層状に装入するベルレス高炉の装入物装入方法において、
C1バッチを、炉壁側から炉の中心に向け下方に傾斜する傾斜コークス層を形成する工程と、
C2バッチを、炉の中心部に装入する工程と、
次に、O1バッチを、炉壁から中心にむけて装入し、炉壁側に略水平な形状の水平型テラスと、更に、前記水平型テラスの炉内側先端から炉の中心に向け下方に傾斜する傾斜鉱石層を形成する工程と、
最後に、O2バッチを、前記O1バッチの前記水平型テラスの上に装入する工程の順で実施するC1,C2,O1,O2の4バッチ装入であって、
前記O2バッチが3mmを超え6mm以下の細粒鉱石から成り、かつ、前記O1バッチの前記水平型テラスにおける炉壁から中心に向かう長さが、炉口半径に対して0.1倍以上0.3倍以下であることを特徴とするベルレス高炉の装入物装入方法。 - 前記4バッチ装入におけるC1,C2,O1,O2のそれぞれのバッチを、C1,O1,C2,O2の順で実施することを特徴とする請求項1に記載のベルレス高炉の装入物装入方法。
- 前記O1バッチが鉱石と小塊コークスの混合バッチであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のベルレス高炉の装入物装入方法。
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