JP6258819B2 - パン類及びパン類用穀粉組成物 - Google Patents

パン類及びパン類用穀粉組成物 Download PDF

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Description

本発明は、パン類及びパン類を製造するためのパン類用穀粉組成物に関する。
従来、パン類の利用方法は、購入したものをそのまま喫食するか又はトースター等で焼いて喫食する方法が一般的であるが、近年、店頭でパン類を電子レンジで加熱して温めてから提供することが行われており、家庭でも、冷凍保存したパン類を喫食時に電子レンジで加熱解凍して温めてから食することが行われている。一般に、パン類は、常温保存されていたか冷凍保存されていたかに関わらず、電子レンジで加熱すると、硬い食感となったり、ヒキが出たり、くちゃついた食感となったり、表面に皺がよって収縮したりして、パン類本来の食感、食味、風味、外観等が損なわれることが多い。特に、冷凍保存したパン類に比べ、常温で保存、流通したパン類は、水分飛散や老化が進み易く、これを電子レンジで加熱すると、前記の欠点がより強くなる傾向があった。
特許文献1には、冷凍パンを電子レンジで加熱解凍した場合のゴム状食感を改善することを目的として、冷凍パンの製造に用いる全小麦粉のうちの10〜50質量%を、粒度分布が特定範囲にあるデュラム小麦粉とすることが記載されている。また特許文献2には、電子レンジによる解凍に適した冷凍ベーカリー製品として、湿熱処理澱粉を穀粉類の全質量に対して2〜20質量%含有したものが記載されており、この湿熱処理澱粉が、各種澱粉を飽和水蒸気により処理したものである旨も記載されている。
また特許文献3には、冷凍状態で保存・流通される冷凍パン類のみならず、常温で保存・流通されるパン類にも有効で、電子レンジで加熱しても食感や外観の点で問題が生じにくいパン製造技術として、パン類を製造するための穀粉類の一部としてデュラム小麦粉、焙煎小麦粉及び湿熱処理澱粉の3種類の穀粉類を用い、該穀粉類の全質量に対して、デュラム小麦粉を10〜30質量%、焙煎小麦粉を1〜10質量%及び湿熱処理澱粉を1〜15質量%用いることが記載されており、特許文献3の〔0032〕には、任意成分(副資材)として乳化剤も記載されている。また特許文献3の〔0026〕には、デュラム小麦粉の穀粉類全体に占める割合の上限値を30質量%に設定した理由として、該割合が30質量%を超えると、デュラム小麦粉と共に焙煎小麦粉及び湿熱処理澱粉を併用したことによる相乗効果が得られない、製パン時の生地作業性が劣るようになる、という理由が挙げられている。
特開平10−28515号公報 特開平7−147946号公報 特開2012−29575号公報
本発明の課題は、電子レンジで加熱しても外観、食感、食味及び風味が良好なパン類、及びそのような高品質のパン類の製造に適したパン類用穀粉組成物に関する。
本発明は、穀粉類及び乳化剤を用いて製造されたパン類であって、パン類の製造に用いられる穀粉類の全質量に対して、デュラム小麦粉が36〜70質量%、焙煎小麦粉が1〜10質量%及び湿熱処理澱粉が1〜15質量%の割合で用いられ、且つ該穀粉類100質量部に対して、乳化剤が0.05質量部以上1質量部未満の割合で用いられたパン類である。
また本発明は、穀粉類及び乳化剤を含有するパン類用穀粉組成物であって、穀粉類の全質量に対して、デュラム小麦粉を36〜70質量%、焙煎小麦粉を1〜10質量%及び湿熱処理澱粉を1〜15質量%含有し、且つ穀粉類100質量部に対して、乳化剤を0.05質量部以上1質量部未満の割合で含有するパン類用穀粉組成物である。
本発明によれば、電子レンジで加熱しても外観、食感、食味及び風味が良好なパン類、及びそのような高品質のパン類の製造に適したパン類用穀粉組成物が提供される。
本発明のパン類は、穀粉類及び乳化剤を用いて製造される食品であり、通常、穀粉類及び乳化剤を含む原料を水と共に混捏して生地を調製し、その生地をイースト等により膨化させることにより製造される。本発明では穀粉類として、デュラム小麦粉、焙煎小麦粉、湿熱処理澱粉の3種類の穀粉類を用いる。本発明でいう「穀粉類」は、小麦粉、ライ麦粉、コーンフラワー、大麦粉、そば粉、米粉、豆粉、はとむぎ粉、ひえ粉及びあわ粉等の各種穀粉、並びに、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、小麦澱粉及び米澱粉等の各種澱粉の総称であり、常温常圧で粉状の穀物由来の原料である。つまり、穀粉及び澱粉の総称が「穀粉類」である。
本発明で用いられるデュラム小麦粉は、デュラム小麦を製粉して得られる小麦粉である。本発明ではデュラム小麦粉として、製パンや製菓に従来用いられているものを特に制限なく用いることができ、1種類のデュラム小麦粉を単独で又は2種類以上のデュラム小麦粉を組み合わせて用いることができる。
本発明で特に好ましく用いられるデュラム小麦粉として、本出願人の先の出願に係る特開2009−11277号公報に記載のデュラム小麦粉(以下、特定デュラム小麦粉ともいう)が挙げられる。この特定デュラム小麦粉は、損傷澱粉量が9.5質量%以下であり、且つ平均粒径が60〜100μmの範囲であって、200μm以下の粒径部分が90質量%以上、好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは100質量%であるという特徴を有する。この特定デュラム小麦粉をパン類に用いると、パン類生地のミキシング耐性及び分割・成形時の作業性に優れたものとなり、得られるパン類のボリュームが大きく、また、内相、食感、香りが良好になり、しかも、特に常温で保存・流通したパン類を電子レンジで加熱したときに生じ易い外観や食感の問題が生じ難く、焼き立てのパン類のような、良好な食感、食味、風味、外観を呈する等の効果がより一層得られ易くなる。
本発明で用いられる焙煎小麦粉は、焙焼小麦粉、ローストフラワーとも称され、小麦粉を乾式下に高温(通常、品温90〜160℃)で熱処理することによって得られる。本発明では焙煎小麦粉として、製パンや製菓に従来用いられているものを特に制限なく用いることができ、1種類の焙煎小麦粉を単独で又は2種類以上の焙煎小麦粉を組み合わせて用いることができる。
本発明で特に好ましく用いられる焙煎小麦粉として、熱処理されていない通常の小麦粉を品温95〜100℃の条件下で20〜40分間焙焼して得られる焙煎小麦粉(以下、特定焙煎小麦粉ともいう)が挙げられる。
本発明で用いられる湿熱処理澱粉は、熱処理されていない通常の澱粉を水分の存在下で加熱処理(湿熱処理)したものであり、澱粉を完全にα化させずに部分的にα化されたものであれば良い。本発明では湿熱処理澱粉として、製パンや製菓に従来用いられているものを特に制限なく用いることができ、1種類の湿熱処理澱粉を単独で又は2種類以上の湿熱処理澱粉を組み合わせて用いることができる。
本発明で特に好ましく用いられる湿熱処理澱粉として、偏光十字を有し且つアミラーゼによる消化性が未処理品の4〜10倍である湿熱処理澱粉(以下、特定湿熱処理澱粉ともいう)が挙げられる。この特定湿熱処理澱粉は、例えば、特開平4−130102号公報の実施例2に記載されている方法に準じて、澱粉を減圧状態に置いた後に加圧水蒸気を供給して124℃で20分間湿熱処理する方法などにより得ることができる。この特定湿熱処理澱粉をパン類に用いると、電子レンジで加熱したときに硬くならず、ヒキが生じないパンが得られ、しかも風味が損なわれないという効果が得られる。
本発明で用いられる湿熱処理澱粉の種類(湿熱処理が施される澱粉)としては、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉等が挙げられる。特に、コーンスターチを湿熱処理してなる湿熱処理澱粉は、これを用いて得られたパン類の電子レンジ加熱による食感の低下を効果的に抑制し得るため、本発明で好ましく用いられる。
本発明におけるデュラム小麦粉の使用量(本発明のパン類に含有される全穀粉類に占めるデュラム小麦粉の割合)は、パン類の製造に用いられる穀粉類の全質量(パン類の製造に用いられる全ての穀粉類の質量の合計値)に対して36〜70質量%であり、好ましくは38〜67質量%、さらに好ましくは40〜64質量%である。
また、本発明における焙煎小麦粉の使用量(本発明のパン類に含有される全穀粉類に占める焙煎小麦粉の割合)は、パン類の製造に用いられる穀粉類の全質量に対して1〜10質量%であり、好ましくは1〜9質量%、さらに好ましくは2〜8質量%である。
また、本発明における湿熱処理澱粉の使用量(本発明のパン類に含有される全穀粉類に占める湿熱処理澱粉の割合)は、パン類の製造に用いられる穀粉類の全質量に対して1〜15質量%であり、好ましくは2〜13質量%、さらに好ましくは3〜11質量%である。
デュラム小麦粉、焙煎小麦粉及び湿熱処理澱粉を前記割合でパン類に用いることによって、そのパン類を電子レンジで加熱したときに、食感が硬くなったり、ヒキが出たり、くちゃついた食感となったり、パン類が収縮したり、表面に皺が生じるというような問題が生じず、焼き立てのパン類のような、良好な食感、食味、風味、外観を有するパン類にすることのできる、電子レンジ加熱に適したパン類を得ることができる。特に、電子レンジ加熱に適した、常温で保存・流通するパン類を得ることができる。また、デュラム小麦粉、焙煎小麦粉及び湿熱処理澱粉を前記割合でパン類に用いることによって、パン類生地に機械耐性が付与され、しかも生地の分割・成形時にパン類生地がべたついたりすることがなく、作業性が良好になる。
デュラム小麦粉の全穀粉類に占める割合が36質量%未満であると、パン類を電子レンジで加熱したときに、パン類が硬く、ヒキのある食感になり、本発明の効果が十分に奏されず、一方斯かる割合が70質量%を超えると、デュラム小麦粉と共に焙煎小麦粉及び湿熱処理澱粉を併用したことによる相乗効果が得られないばかりか、かえって製パン時の生地作業性が劣るようになるため好ましくない。前述したように特許文献3は、デュラム小麦粉の穀粉類全体に占める割合が30質量%を超えることに対して否定的であるが、本発明のパン類は、後述するように、乳化剤を穀粉類100質量部に対して1質量部未満の割合で使用している点で、特許文献3記載のパン類と異なっており、この相違点に起因して、特許文献3では否定されていたデュラム小麦粉の使用量の特定範囲(36〜70質量%)の採用が可能となり、その結果として、後述する実施例と比較例との対比から明らかなように、パン類の外観及び食感の点で特許文献3記載のパン類を超える有利な効果が得られるようになった。
また、焙煎小麦粉の全穀粉類に占める割合が1質量%未満であると、パン類を電子レンジで加熱したときに、パン類が硬く、ヒキのある食感になり、本発明の効果が十分に奏されず、一方斯かる割合が10質量%を超えると、製パン時の生地作業性がやや劣るようになり、また、パン類を電子レンジで加熱したときに、パン類がクチャついた食感となり、しかも焙煎小麦粉に起因する風味が強くなり過ぎて、パン類の風味が低下したものになり易い。
また、湿熱処理澱粉の全穀粉類に占める割合が1質量%未満であると、パン類を電子レンジで加熱したときに、パン類が硬く、ヒキのある食感になり、本発明の効果が十分に奏されず、一方斯かる割合が15質量%を超えると、製パン時の生地作業性にやや劣るようになり、しかも得られるパン類の食味や風味がパン類本来の食味や風味に比べて低下したものになり易い。
本発明では、デュラム小麦粉、焙煎小麦粉及び湿熱処理澱粉の3種類の穀粉類に加えてさらに、これら3種類以外の他の穀粉類を用いることができる。この他の穀粉類としては、製パンや製菓に従来用いられているものを特に制限なく用いることができ、例えば、強力小麦粉、準強力小麦粉、中力小麦粉、薄力小麦粉等の小麦粉の他、ライ麦粉、コーンフラワー、大麦粉、そば粉、米粉、豆粉、はとむぎ粉、ひえ粉及びあわ粉等の各種穀粉;タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、小麦澱粉及び米澱粉等の各種澱粉が挙げられ、目的とするパン類の種類等に応じて、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。他の穀粉類の使用量(本発明のパン類に含有される全穀粉類に占める他の穀粉類の割合)は、パン類の製造に用いられる穀粉類の全質量に対して、好ましくは11〜59質量%、さらに好ましくは16〜55質量%、特に好ましくは21〜51質量%である。
本発明のパン類は、穀粉類に加えて乳化剤を含有する。パン類に乳化剤を含有させることで、生地の伸展性が向上し、その結果、生地作業性が改善される。乳化剤としては、製パンや製菓に従来用いられているものを特に制限なく用いることができ、例えば、モノグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、リゾレシチン、SSL(ステアロイル乳酸ナトリウム)等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの乳化剤の中でも特に、モノグリセリン脂肪酸エステルは、製パン時の生地作業性が良好であるため、本発明で好ましく用いられる。
本発明における乳化剤の使用量(本発明のパン類における乳化剤の含有量)は、パン類の製造に用いられる穀粉類(パン類の製造に用いられる全ての穀粉類)100質量部に対して、0.05質量部以上1質量部未満であり、好ましくは0.1質量部以上0.8質量部以下、さらに好ましくは0.2質量部以上0.6質量部以下である。乳化剤の使用量が穀粉類100質量部に対して0.05質量部未満であると、生地作業性が劣ったものとなって乳化剤を使用する意義に乏しく、一方斯かる使用量が1質量部以上であると、パン類を電子レンジで加熱した場合に、パン類が収縮して表面に皺が発生し、外観が著しく低下するおそれがある。
本発明では、デュラム小麦粉、焙煎小麦粉及び湿熱処理澱粉を含む穀粉類並びに乳化剤の他に、必要に応じ、製パンや製菓に従来用いられている副資材を用いることができる。前述した乳化剤以外の他の副資材としては、例えば、各種発酵種やイースト(生イースト、ドライイースト等);砂糖やその他の糖類;イーストフード;卵又は卵粉;脱脂粉乳、全脂粉乳、生乳、チーズ、ヨーグルト、ホエー等の乳製品;増粘剤;ショートニングやバター、マーガリンやその他の動植物油等の油脂類;食塩等の無機塩類;グルテンや乳蛋白等の蛋白質;食物繊維;コーヒーやココア等の呈味料;果汁;甘味料;香料;色素等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のパン類の製造方法は特に制限されず、従来採用されている製パン方法を特に制限なく用いることができ、例えば、直捏法(ストレート法)、中種法、速成法、水種法、酒種法等の製パン法が挙げられる。直捏法は、全ての原料を水と共に一度に混捏して生地を調製し、該生地を発酵した後焼成する製パン法であり、中種法は、原料の一部を水と共に混捏して中種生地を調製し、該中種生地を発酵した後(中種工程)、該中種生地に残りの原料を添加しさらに混捏して本捏生地を調製し(本捏工程)、該本捏生地を焼成する製パン法である。また、本発明のパン類を製造する際の製パン条件も特に制限されず、製パン方法、製パン原料の種類、配合組成、製造するパンの種類等に応じて、それぞれに適した条件を採用することができる。
中種法によって本発明のパン類を製造する場合、中種工程におけるデュラム小麦粉の使用量(中種生地におけるデュラム小麦粉の含有量)の方が、本捏工程におけるデュラム小麦粉の使用量(中種生地に添加するデュラム小麦粉の質量)よりも少ないことが好ましい。そうすることによって、中種生地の過度の熟成が防止され、その結果、生地作業性が安定する。斯かる効果をより一層確実に奏させるようにする観点から、中種工程におけるデュラム小麦粉の使用量と本捏工程におけるデュラム小麦粉の使用量との割合(前者/後者)は、好ましくは0.02〜0.98、さらに好ましくは0.05〜0.95である。
本発明のパン類は、前述した穀粉類及び乳化剤と共にイーストや各種副資材を用いて調製した生地を発酵・膨化させて得られる食品であればその種類は特に限定されず、例えば、食パン;バターロール、ホットドッグロール、ディナーロール等のソフトロール類;カイザーロール等のハードロール類;フランスパン類;全粒粉パン;スイートロール、デニッシュペストリー、バンズ、パネトーネ、あんパン、ジャムパン、クリームパン等の菓子パン類等が挙げられる。
本発明のパン類は、電子レンジで加熱しても食感、食味、風味、外観が良好である。即ち、本発明のパン類は、電子レンジで加熱して喫食するパン類に特に好適であり、電子レンジで加熱したときに、食感が硬くなったり、ヒキが出たり、くちゃついた食感となったり、表面に皺ができて収縮するなどの問題が生じず、焼き立てのパン類のような、良好な食感、食味、風味、外観を呈する。特に、常温で保存・流通したパン類は、冷凍状態で保存・流通したパン類に比べて水分飛散や老化が進み易く、これを電子レンジで加熱すると、食感や外観が低下する傾向があるところ、本発明のパン類は、常温で保存・流通した場合でもこのような問題を起こし難く、電子レンジで加熱したときに、焼き立てのパン類のような良好な食感、食味、風味、外観を呈する。つまり、本発明のパン類は、電子レンジで加熱して喫食するパン類、及び常温で保存・流通するパン類に特に適している。
また、本発明のパン類用穀粉組成物は、デュラム小麦粉を36〜70質量%、焙煎小麦粉を1〜10質量%及び湿熱処理澱粉を1〜15質量%含有し、且つ穀粉類100質量部に対して、乳化剤を0.05質量部以上1質量部未満の割合で含有するものであり、前述した本発明のパン類を製造するのに好適である。本発明のパン類用穀粉組成物について特に説明しない構成は、前述した本発明のパン類における説明が適宜適用される。
本発明のパン類用穀粉組成物を用いる場合は、パン類の製造現場でデュラム小麦粉、焙煎小麦粉、湿熱処理澱粉及び他の穀粉類それぞれを計量して配合するという手間を要することなく、当該パン類用穀粉組成物をそのまま用い、それに必要な副資材を配合して常法によってパン類を製造すれば良い。従って、本発明のパン類用穀粉組成物は、電子レンジ加熱に適した常温流通のパン類を簡単に製造することができ、便利である。
本発明を具体的に説明するために実施例及び比較例を挙げるが、本発明は以下の実施例によって制限されるものではない。
〔実施例1〜2及び比較例1〜5〕
下記表1に示す配合にて、中種法によりパン類の一種であるバンズを製造した。
具体的には、先ず中種生地作製工程として、表1に示す中種生地用穀粉類、イースト及びイーストフードに所定量の水を加え、低速で3分間、次いで中低速で2分間ミキシングを行なった(捏上温度:25℃)。次いで温度27℃、相対湿度75%の雰囲気下で時間発酵させ、中種生地を得た。
次に本捏生地作製工程として、得られた中種生地に、表1に示す本捏生地用穀粉類及び副資材のうちのショートニング以外を添加し、低速で4分間、中高速で3分間ミキシングを行なった後、ショートニングを添加し、さらに低速で3分間、中低速で1分間、中高速で2分間ミキシングを行なって、本捏生地を得た(捏上温度:27℃)。
次に得られた本捏生地を、温度27℃、相対湿度75%の雰囲気下で20分間発酵させた後、60gずつ分割して丸めて成形し、成形した生地を、温度38℃、相対湿度85%の雰囲気下で50〜60分間ホイロ発酵させた。そして、そのホイロ発酵済パン生地を、190〜220℃のオーブンで10分間焼成して、バンズを得た。
実施例及び比較例の食パン製造に用いた原料の詳細は次の通り。強力小麦粉(日清製粉株式会社製「セイヴァリー」)、デュラム小麦粉(特開2009−11277号公報の製造例2と同様にして得られた前記特定デュラム小麦粉;平均粒径=75μm、200μm以下の粒子の含有割合=100質量%、損傷澱粉量=7.5質量%)、焙煎小麦粉(前記特定焙煎小麦粉、日清製粉株式会社製「ローストフラワーRD」)、湿熱処理澱粉(前記特定湿熱処理澱粉、三和澱粉工業株式会社製「デリカスターHM−131」)、油脂(理研ビタミン株式会社製「エマテックN−100V」、乳化剤(グリセリン脂肪酸エステル、理研ビタミン株式会社製「エマルジーMM−100」)。
〔評価試験1(製造時の評価)〕
実施例及び比較例のパン類(バンズ)の製造時において、本捏生地作製工程における作業性及び生地の状態を下記評価基準により評価した。その結果を下記表1に示す。
(本捏生地作製工程における作業性及び生地の状態の評価基準)
5点:生地に適度な締まり、弾力、伸展性が大きく、ベタツキがなく、作業性及び生 地の状態が極めて良好である。
4点:生地がほぼ締まっていて、弾力、伸展性があり、ベタツキがなく、作業性及び生地の状態が良好である。
3点:生地にやや緩みやベタツキがあるが、作業には支障ない程度である。
2点:生地が緩んでダレがあり、表面のベタツキが大きいか、又は弾力やシマリ感が強くてやや切れ易く、作業を行いにくい。
1点:生地の緩みが大きくダレており、表面のベタツキがかなり大きいか、又は弾力やシマリ感が強過ぎて切れ易く、グルテンの膜が厚く、作業性が極めて悪い。
〔評価試験2(製品の評価)〕
実施例及び比較例のパン類を室温(25℃)で2日間放置した後、電子レンジ(700W)でパン類1個当たりの加熱時間50秒として加熱した。こうして得られた電子レンジ加熱後のパン類の外観、食感、風味及び食味を10人のパネラーに下記評価基準により評価してもらった。その結果(パネラー10人の平均点)を下記表1に示す。
(外観の評価基準)
3点:電子レンジ加熱後にパン類が収縮せず、加熱前と同じ良好な外観及び形状を維持している。
2点:電子レンジ加熱後にパン類がやや収縮し、加熱前に比べて外観及び形状がやや不良になっている。
1点:電子レンジ加熱後にパン類が収縮しており、加熱前に比べて外観及び形状が大きく低下している。
(食感の評価基準)
3点:ソフトで、ヒキも出ておらず、くちゃつきもなく、焼き立てのパン類とほぼ同じ良好な食感を有している。
2点:少し硬くなっているか、ヒキ及び/又はくちゃつきがやや生じており、焼き立てのパン類に比べて、食感が少し低下している。
1点:かなり硬くなっているか、ヒキ及び/又はくちゃつきがかなり生じており、焼き立てのパン類に比べて、食感が大きく低下している。
(風味及び食味の評価基準)
3点:焼き立てのパン類のような香ばしさがあって風味が優れており、食味も非常に良好。
2点:焼き立てのパン類のような香ばしさが少なく、風味及び食味がやや劣る。
1点:焼き立てのパン類のような香ばしさが全く無く、風味及び食味が劣る。
Figure 0006258819
表1から明らかなように、各実施例は各比較例に比して製品の評価(パン類の外観、食感、風味及び食味)に優れ、また、製造時の評価(本捏生地作製工程における作業性及び生地の状態)についても各比較例と遜色の無い結果となった。
これに対し、比較例1、2及び5は、主として、パン類の製造に用いられる穀粉類に占めるデュラム小麦粉の割合が適切な範囲(36〜70質量%)から外れているため、また比較例3及び4は、主として、乳化剤の使用量が適切な範囲(穀粉類100質量部に対して0.05質量部以上1質量部未満)から外れているため、各実施例に比して製品の評価に劣る結果となった。比較例4については、乳化剤の使用量が少なすぎるため、製造時の評価にも悪い影響が出ている。また比較例2は、中種工程におけるデュラム小麦粉の使用量と本捏工程におけるデュラム小麦粉の使用量との割合(前者/後者)が2を超えていて前者の方が多いため、中種生地が過度に熟成し、本捏生地作製工程における作業性に悪い影響が出ている。
以上のことから、電子レンジ加熱に適した常温流通のパン類を製造するためには、デュラム小麦粉及び乳化剤をそれぞれ前記の適切な範囲で使用することが有効であることがわかる。

Claims (4)

  1. 穀粉類及び乳化剤を用いて製造されたパン類であって、
    パン類の製造に用いられる穀粉類の全質量に対して、デュラム小麦粉が36〜70質量%、焙煎小麦粉が1〜10質量%及び湿熱処理澱粉が1〜15質量%の割合で用いられ、且つ該穀粉類100質量部に対して、乳化剤が0.05質量部以上1質量部未満の割合で用いられたパン類。
  2. 電子レンジ加熱に適した常温流通のパン類である請求項1に記載のパン類。
  3. 穀粉類及び乳化剤を含有するパン類用穀粉組成物であって、
    穀粉類の全質量に対して、デュラム小麦粉を36〜70質量%、焙煎小麦粉を1〜10質量%及び湿熱処理澱粉を1〜15質量%含有し、且つ穀粉類100質量部に対して、乳化剤を0.05質量部以上1質量部未満の割合で含有するパン類用穀粉組成物。
  4. 電子レンジ加熱に適した常温流通のパン類を製造するためのものである請求項3に記載のパン類用穀粉組成物。
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