(実施の形態の概要)
実施の形態の説明に先立って、実施の形態の特徴についてその概要を説明する。図1は、実施の形態に係る物品管理システムの主要な構成を示している。
図1に示すように、実施の形態に係る物品管理システムは、リーダ導波路101、複数のRFIDタグ102、タグ読み取り部103、物品有無判断部104、物品位置テーブル記憶部105、タグ位置テーブル記憶部106、物品管理テーブル記憶部107を備えている。
リーダ導波路101は、整合終端された開放形伝送線路で構成されている。複数のRFIDタグ102は、リーダ導波路101上方の物品108の配置可能領域109に固定され、リーダ導波路101と電磁界結合する。
物品位置テーブル記憶部105は、物品108の識別情報と、配置可能領域109に物品108を配置するために割り当てられた物品の割当位置110とを関連付けた物品位置テーブルを記憶する。タグ位置テーブル記憶部106は、複数のRFIDタグ102のタグ情報と当該複数のRFIDタグ102の固定位置とを関連付けたタグ位置テーブルを記憶する。物品管理テーブル記憶部107は、物品位置テーブル及びタグ位置テーブルに基づき、物品108の識別情報と複数のRFIDタグ102のタグ情報とを関連付けた物品管理テーブルを記憶する。
タグ読み取り部103は、リーダ導波路101を介して電磁界結合により複数のRFIDタグ102から読み取りを行う。物品有無判断部104は、物品管理テーブルを参照し、複数のRFIDタグ102の読み取り結果に基づいて、複数のRFIDタグ102に対応した物品108の配置の有無を判断する。
このように、実施の形態では、物品の識別情報と当該物品の割当位置とを関連付けた物品位置テーブルと、複数のRFIDタグのタグ情報と当該複数のRFIDタグの固定位置とを関連付けたタグ位置テーブルとを記憶し、さらに、物品位置テーブルとタグ位置テーブルに基づいて、物品の識別情報と複数のRFIDタグのタグ情報とを関連付けた物品管理テーブルを記憶する。そして、この物品管理テーブルを参照することにより、複数のRFIDタグの読み取り結果から、複数のRFIDタグに対応した物品の有無を判断する。
このため、物品の配置が変更となった場合、物品に割り当てる割当位置に応じて物品管理テーブルを変更することで、読み取ったRFIDタグに対応する物品の有無を判断することができる。したがって、物品の配置変更に応じてRFIDタグの位置や構成を変更する必要がなく、簡易に物品を管理することが可能となる。
(実施の形態1)
以下、図面を参照して実施の形態1について説明する。図2は、本実施の形態に係る商品管理システムの構成の一例を示している。この商品管理システムは、店舗等において商品陳列棚に陳列されている商品を逐次監視して、商品陳列棚における商品の有無を判断し、また、陳列状態に関連する表示等の処理を行うシステムである。なお、ここでは、商品を管理する商品管理システムの例を説明するが、商品に限らず、本実施の形態で検出可能な、その他の物品を管理する物品管理システムでもよい。
図2に示すように、本実施の形態に係る商品管理システムは、店舗管理装置1、RFIDリーダ7、商品陳列棚8、リーダ導波路4とRFIDタグ5を含むタグアンテナユニット50を備えている。なお、複数の商品陳列棚8を備えていてもよいし、商品陳列棚8に複数のリーダ導波路4(タグアンテナユニット50)を備えていてもよい。
RFIDリーダ7と店舗管理装置1は、LANなどの通信ネットワーク3を介してデータ送受信可能に接続されている。RFIDリーダ7とリーダ導波路4は、高周波ケーブル3aを介して接続されている。
商品陳列棚8の商品陳列可能な領域全体にタグアンテナユニット50が配置されている。タグアンテナユニット50は、リーダ導波路4及びRFIDタグ5から構成され、少なくとも商品陳列可能な領域を含むリーダ導波路4上に、複数のRFIDタグ5が予め固定で配置されている。ここでは、リーダ導波路4(タグアンテナユニット50)の上面全体が商品陳列可能領域2bである。商品陳列可能領域2bは、商品2を配置可能な配置可能領域であり、棚割りによって商品2を陳列(配置)するために割り当てられた陳列位置(配置領域)2aが含まれる。陳列位置2aには予め固定配置されたRFIDタグ5が少なくとも1つ含まれる。なお、陳列位置2aとは、商品を配置する場所(座標)を含み、さらに、商品の配置に必要な領域を含む場合がある。
例えば、商品陳列棚8に位置合わせ機構を備え、タグアンテナユニット50(リーダ導波路4)を設置する際に位置合わせを行ってもよい。位置合わせ機構として、例えば、タグアンテナユニット50の配置位置を示す目印等を商品陳列棚8に表示するようにしてもよい。また、商品陳列棚8を設けずに、タグアンテナユニット50を棚板の代用品として使用してもよい。
リーダ導波路4は、整合終端された開放形伝送線路で構成され、マイクロストリップ構造、コプレーナライン、スロットライン等の電磁波が導波路周囲の空間に近傍界としてしみ出す構造の開放型導波路である。図3Aは、リーダ導波路4をマイクロストリップ線路で構成した例であり、図3Bは、リーダ導波路4を平行二線路で構成した例である。
図3Aの例では、RFIDリーダ7と分配器46を高周波ケーブル3aで接続し、分配器46が高周波ケーブル3aの信号を複数のストリップ導体(マイクロストリップ線路)43に分配する。誘電体層であるスペーサ42の上に、複数のストリップ導体43が平行に延在配置されており、スペーサ42の下の全面に、グランドプレーン41が形成されている。
図3Bの例では、RFIDリーダ7と分配器46を高周波ケーブル3aで接続し、分配器46が高周波ケーブル3aの信号を複数の平行二線路45に分配する。複数の平行二線路45は、誘電体層であるスペーサ42上で平行に延在配置されている。なお、分配器46の機能としてインピーダンス変換、バランス−アンバランス変換などの機能を備えていてもよい。
図4〜図6を用いて、本実施の形態に係るタグアンテナユニット50の具体的な構成例について説明する。図4は、タグアンテナユニット50の斜視図であり、図5は、その上面図であり、図6は、その正面断面図及び側面断面図である。この例は、タグアンテナユニット50のリーダ導波路4をマイクロストリップ線路で構成した例である。
図4〜図6に示すように、タグアンテナユニット50のサイズであるグランドプレーン41上の全体にスペーサ42が形成されている。スペーサ42上の一端から他端まで、所定間隔で平行に延在するように複数のストリップ導体43が形成されている。スペーサ42及びストリップ導体43上の全体にスペーサ44が形成されている。例えば、スペーサ42及び44は、誘電体により構成される。スペーサ44上に、スペーサ44の上面領域を一定パターンで埋めるように複数のRFIDタグ5が配置されている。複数のRFIDタグ5を均等なパターンで配置することにより、棚割りによる様々な商品配置に対応することができる。
RFIDタグ5により陳列位置2aに陳列される商品2を検出するため、RFIDタグ5のサイズは陳列位置2aのサイズ、すなわち商品2を配置したとき配置面に接する商品サイズ(底面)よりも小さいことが好ましい。また、図5の拡大図に示すRFIDタグ5の間隔Wは、陳列位置2aのサイズ、すなわち商品を配置したとき配置面に接する商品サイズよりも狭いことが好まく、さらに望ましくは、陳列位置2aのサイズの1/2未満である。この場合、陳列位置2a内に2つ以上のRFIDタグ5を含めることができる。あるいは、必ず陳列位置2aの領域内に、全体が完全に内包されるRFIDタグが存在することになる。複数のRFIDタグ5により1つの商品2を検出することにより、検出感度を高めることができる。間隔Wは、隣接する2つのRFIDタグ5間の距離であり、例えば、図5の拡大図に示すように、RFIDタグ5の中心から隣接するRFIDタグ5の中心までの距離である。
RFIDタグ5を狭い間隔で配置すると、隣接するRFIDタグ5(タグアンテナ)間で電磁界結合し、検出感度が低下する恐れがある。このため、所定方向に所定間隔でRFIDタグ5を配列した配列パターンの列を1列ごとにずらして配置することが好ましい。すなわち、図5の拡大図ように、ストリップ導体43の延在方向(列方向、例えば棚の左右方向)に向かって所定間隔Wで配置したRFIDタグ5の列51を複数列配置する。そして、列方向(棚の左右方向)で隣り合うRFIDタグの間の位置に対応して、隣の列(棚の奥行方向)のRFIDタグが位置するようにずらして配置する。1列ごとにずらして配置することで、列間(棚の奥行方向)で隣接するRFIDタグの間隔(距離)が広がるため、電磁界結合を抑制することができる。
また、グランドプレーン41を形成することによりRFIDタグ5に容量特性を設定できるため、RFIDタグ5を小型化することができる。これにより、1つのストリップ導体43でより多くのRFIDタグ5を読み取ることができる。なお、グランドプレーン41の下に、グランドプレーン41を保護する保護材を形成してもよい。
また、隣り合う2つのストリップ導体43は、差動信号を伝送する差動伝送線路であることが好ましい。2つのストリップ導体43に同相信号を伝送すると、ストリップ導体43間で電界が0、もしくはタグが読めないほど電界が弱い領域が出来るためRFIDタグ5を読み取れない恐れがある。そこで、差動信号を伝送する差動ストリップ導体とすることで、前記の領域が出来ないため、RFIDタグ5を確実に読み取ることができる。
図4〜図6の構成において、RFIDタグ5は、UHF帯の信号によりリーダ導波路4とデータ送受信を行う。そして、図2のRFIDリーダ7は、リーダ導波路4を介してRFIDタグ5が出力する応答信号の信号強度情報とRFIDタグ5のタグ情報とを含む管理情報を読み取る。また、詳しくは後述するが、スペーサ44により、RFIDタグ5と商品2の距離L1及びRFIDタグ5とリーダ導波路4との距離L2を設定する。例えば、距離L1<距離L2となるように設定する。なお、距離L1及び距離L2の関係が設定できれば、スペーサ44を設けなくてもよい。
また、RFIDタグ5は、タグアンテナを有する。そして、RFIDタグ5は、上記のような位置に配置されることで、商品2が陳列位置2aに置かれた状態でタグアンテナと商品2が電磁界結合される。リーダ導波路4は、整合終端された伝送線路であって、上記のように配置することでタグアンテナと電磁界結合される位置に配置され、商品2が置かれていない場合にはRFIDタグ5との間で無線信号の送受信を行うことが可能になる。
RFIDリーダ7は、RFIDタグ5へリーダ導波路4を介して電波により電力を供給するとともに、RFIDタグ5が送信する無線信号をリーダ導波路4を介して受信し、受信された無線信号から情報を取り出す受信部と、RFIDタグ5が送信した情報を、店舗管理装置1に送信する送受信部とを含む。RFIDリーダ7は、店舗管理装置1から指示を受けたタイミングでRFIDタグ5の読み取りを行ってもよいし、RFIDリーダ7が自ら決定するタイミングでRFIDタグ5の読み取りを行ってもよい。例えば、RFIDリーダ7は、1秒などの所定時間間隔で随時、RFIDタグ5を読み取る。
商品2がRFIDタグ5の存在する位置に置かれていない時は、導波型のリーダ導波路4との近傍界による電磁界結合により、RFIDリーダ7と各RFIDタグ5は通信可能状態であるが、商品2がRFIDタグ5の存在する位置の上に置かれたときは該当するRFIDタグ5とRFIDリーダ7との通信が、商品2自体の誘電体、金属により電磁界結合状態に変化をもたらし、RFIDタグ5からRFIDリーダ7へ送られる情報の遮断や、信号強度の減少が生じる。この情報の遮断や信号強度の減少をもって該当する位置の商品2が存在することをRFIDリーダ7(リーダ導波路4)から店舗管理装置1に送り、商品陳列棚8上にある商品の状態を知ることができる。
次に、RFIDリーダ7、リーダ導波路4とRFIDタグ5を用いた本実施の形態に係る商品有無検出方法を実現する構成(商品有無検出部)及び検出原理について詳細に述べる。例えば、RFIDリーダ7、リーダ導波路4とRFIDタグ5が商品有無検出部を構成し、この商品有無検出部の出力に応じて、店舗管理装置1(商品有無判断部)が商品の有無を判断することで、本実施の形態に係る商品有無検出方法が実現されている。
図7に本実施の形態に係るマイクロストリップライン構造を用いたリーダ導波路4とRFIDタグ5を含むタグアンテナユニット50の三面図を示す。図7では、タグアンテナユニット50のうち、商品2が1つ置かれる領域を拡大した図を示した。ここでは、検出原理の理解を容易にするため、ストリップ線路の直上にRFIDタグを配置し、1つのRFIDタグに1つの商品が配置される例について説明する。
図7のリーダ導波路4は、図4〜図6と同様に、開放形伝送線路の一種であるマイクロストリップ線路を用いたリーダ用進行波型導波路である。リーダ導波路4は、誘電体層であるスペーサ42を有し、スペーサ42の上面にストリップ導体43が形成され、スペーサ42の下面にグランドプレーン41が形成されている。そして、ストリップ導体43の上方にRFIDタグ5が設置される。さらに、RFIDタグ5の上方のRFIDタグ5が覆われる陳列位置2a内に商品2が置かれる。RFIDタグ5は、RFIDチップ201及びタグアンテナ202を有する。
続いて、図8に本実施の形態に係るリーダ導波路4、RFIDタグ5、RFIDリーダ7を含む商品有無検出部を説明するための正面図を示す。図8では、図7と同様にタグアンテナユニット50のうち商品2が1つ置かれる領域を拡大した図を示した。
図7と同様に、図8のリーダ導波路4は、スペーサ42の上面にストリップ導体43が形成され、スペーサ42の下面にグランドプレーン41が形成されている。そして、ストリップ導体43の一端とグランドプレーン41は整合終端抵抗Rtを介して接続される。このような接続とすることでリーダ導波路4は整合終端される。また、ストリップ導体43の他端にRFIDリーダ7が接続される。
図8に示すように、商品2は、RFIDタグ5のタグアンテナ202との間の距離が第1の距離L1となる位置に配置される。RFIDタグ5のタグアンテナ202は、ストリップ導体43との間の距離が第2の距離L2となる位置に配置される。
なお、図8では、商品2、タグアンテナ202、ストリップ導体43の距離の関係のみを示したが、上記距離の関係を満たすために、例えば、RFIDタグ5をプラスティック板等でカバーする場合に、プラスティック板の厚みを用いることが可能である。つまり、RFIDタグ5をプラスティック板に内蔵し、当該プラスティック板によりRFIDタグが組み込まれたシートを形成することで上記第1の距離L1を確保することができる。
さらに、図4〜図6のように、RFIDタグ5の下にスペーサ44を挿入することで、タグを支持する台を設けるとともに上記第2の距離L2を確保することができる。なお、上記手法は、第1の距離L1と第2の距離L2を確保するための一形態であり、他の手法を用いることも可能である。例えば、上記第2の距離L2を確保するために、ストリップ導体43と、タグアンテナ202とが同一平面上にありながら、面内で距離L2離れていてもよい。
ここで、図7及び図8を参照して、本発明の実施の形態に係る商品管理システムの各構成要素の関係による効果についてさらに詳細に説明する。
まず、図7に示すように、本発明の実施の形態に係る商品管理システムでは、商品2が、RFIDタグ5のタグアンテナ202の上方であって、距離が第1の距離L1となる位置に配置される。さらに、RFIDリーダ7に接続されるストリップ導体43が、RFIDタグ5の下部であって、ストリップ導体43とタグアンテナ202との間の見通し距離が第2の距離L2だけ離して配置されている。このように、本商品管理システムでは、商品2がリーダ導波路4(ストリップ導体43)とRFIDタグ5との間に挟まれる領域以外に配置される。そのため、リーダ導波路4とRFIDタグ5との間の見通しが商品2により遮られることがない。
上述したように、本商品管理システムでは、商品2とタグアンテナ202との間の第1の距離L1及びタグアンテナ202とリーダ導波路4(ストリップ導体43)の間の見通し距離である第2の距離L2を調節することが望ましい。また、本商品管理システムでは、第1の距離L1及び第2の距離L2を調節することにより、商品2とタグアンテナ202との結合係数k2及びタグアンテナ202とリーダ導波路4(ストリップ導体43)との結合係数k1を調節することが望ましい。そして、本商品管理システムでは、商品2の有無によって変化する結合係数k2に応じてタグアンテナ202とリーダ導波路4との間の信号強度を変化させ、当該信号強度の変化により商品2の有無を判断する。
そこで、第1の距離L1、第2の距離L2、結合係数k1、k2の関係、及び当該設定に基づく本実施形態に係る商品管理システムの効果について以下で説明する。
まず、本実施の形態では電磁界結合を用いるが、この電磁界結合の強度を示す結合係数については、電磁界シミュレータにより比較的容易に評価可能である。また、電磁界結合の説明では、タグアンテナ202とリーダ導波路4との間の無線信号の波長をλとすると、波源(例えば、導波路)からの距離がλ/2π(πは円周率)より近い領域をリアクティブ近傍界(reactive near-field)、距離がλ/2πより遠く、且つ、λより近い領域を放射近傍界(radiative near-field)、さらにこれら二つの領域を合わせて近傍界(near-field region)と称す。
この近傍界では、電磁界は複雑な様相を示し、準静電磁界、誘導電磁界、放射電磁界が各々無視しえない強度比で存在し、それらの合成された電磁界のベクトルも空間的、時間的に様々に変化する。一例として波源を微小ダイポールアンテナとした場合に、このアンテナが形成する電界E[V/m]と磁界H[A/m]を球座標系(r、θ、φ)及びフェーザー表示で示すと、次の式(1)〜式(4)で示すことができる。
ここで、上記式(1)〜式(4)では、微小ダイポールアンテナに蓄えられる電荷をq[C]、アンテナの長さをl[m]、波長をλ[m]、波源から観測点までの距離をr[m]とした。また、πは円周率、εは誘電率、μは透磁率である。この式(1)〜式(4)の中で、1/r3に比例する項が準静電磁界、1/r2に比例する項が誘導電磁界、1/rに比例する項が放射電磁界を示している。これらの電磁界成分は、各々距離rに対する依存性が異なるため、距離rに依存してその相対強度が変化する。
続いて、図9に電界Eθにおける準静電界、誘導電界、放射電界の相対強度について波長λで規格化した距離rに関する依存性を示す表を示す。なお、図9で示した表の2行目は、国内電波法で許可されているUHF(Ultra High Frequency)帯RFIDの周波数とほぼ同じ950MHzの自由空間波長で換算した距離を示した。
図9に示した表から分かる通り、距離rが大きくなると、各々の電界強度が小さくなり、さらに各々の成分比も変化する。例えば、r<λ/2πの領域では準静電界、誘導電界、放射電界の順に電界強度が強く、r>λ/2πの領域では準静電界、誘導電界、放射電界の順に電界強度が弱くなる。さらに、r>λの領域では準静電界と誘導電界の寄与は極めて小さくなり、r>2λの領域となる遠方界ではほぼ放射電界成分のみとなる。一方で、r<λの領域では準静電界と誘導電界の寄与が十分残っており、さらにr<λ/2πのリアクティブ近傍界では準静電界と誘導電界が大きな寄与を占める。
また、式(1)〜式(4)から解るように、遠方(r>>λ/2π)の放射電界がθ方向成分のみになるのに対して、準静電磁界と誘導電磁界はθ方向成分以外にr方向成分とφ方向成分を有しており、多様な方向の成分を有している。一般的に、アンテナから空間中に放射されて伝搬する放射電磁界と比較して、このようにリアクティブ近傍界ではアンテナ(導波路)の近傍に留まる準静電磁界と誘導電磁界が支配的であり、さらに絶対的な電磁界強度も強い。放射近傍界では、一般的に、絶対的な電磁界強度は波源からの距離が長くなればなるほど弱くなる。また、準静電磁界と誘導電磁界の相対強度は波源からの距離が長くなると急激に弱まる。その結果、他の電磁界に対して放射電磁界の相対強度が強くなる。以上の通り、近傍界では準静電磁界と誘導電磁界が存在し、これらの電磁界により、リーダ導波路4とタグアンテナ202の間の結合やタグアンテナ202と商品2の間の結合を生じる。
通常のUHF帯やマイクロ波帯を使用する受動型RFIDシステムでは、リーダ導波路4に対応するリーダアンテナとタグアンテナの間の距離rはr>λの関係を満たしており、交信に放射電磁界を使用する。その放射電磁界を効率よく生成するため、リーダアンテナはパッチアンテナを代表とする共振型アンテナが用いられることが多い。このような共振型アンテナをr<λの近傍界で使用すると、共振型アンテナ中の定在波により、電磁界強度が場所により大幅に変化する。例えば定在波の腹付近では最も振幅が大きくなり、定在波の節では振幅は0となる。従って、このような共振型アンテナを用いたリーダアンテナとタグアンテナの間の距離rがr<λの関係を満たす場合、リーダアンテナ中の定在波の中点に近い部分ではリーダアンテナからの信号をタグアンテナが受けることができなかったり、極めて受信信号強度が弱くなったりする。即ち、不感領域ができ、使用に支障を生じる場合がある。
一方、r<λの近傍界、さらに望ましくはr<λ/2πのリアクティブ近傍界に存在する準静電磁界と誘導電磁界を通してアンテナ間が電磁界結合して結合回路を形成することもできる。この場合、その条件通りRFIDリーダとRFIDタグの間に広い空間を必要としない。しかしながら、単純にリーダ導波路4の代わりに共振型アンテナを用いると、不感領域ができ、使用に支障を生じる場合がある。
そこで、本実施の形態に係る商品管理システムでは、RFIDリーダ7に接続されるリーダ導波路4が、整合終端された開放形伝送線路で構成され、開放形伝送線路とRFIDタグ5のタグアンテナ202とが電磁界結合されるようにRFIDタグ5を配置する。そして、本商品管理システムでは、RFIDリーダ7のリーダ導波路4として電波の放射の少ない開放形伝送線路を用いることで、主として開放形伝送線路周囲に生じる準静電磁界と誘導電磁界を通して、リーダ導波路4とタグアンテナ202とを電磁界結合させて結合回路を形成する。即ち、開放形伝送線路を近傍界で動作する進行波型アンテナとして用いていると言うことができる。この構成により、リーダ導波路4とRFIDタグ5との間に広い空間を必要としなくなる。
また、リーダ導波路4とタグアンテナ202との間の交信が結合回路を通じて近距離で行われるため、マルチパス現象の発生と、リーダ導波路4と商品2を配置する場所との間に人やモノが入るといったことによる誤検知を抑制することができる。さらに、リーダ導波路4として整合終端された開放形伝送線路を用いるため、アンテナ中を伝搬する電磁波の主たる成分は定在波を生じず、進行波として整合終端まで伝搬する。ここで、定在波を生じないとは、厳密には十分定在波が小さいことを意味しており、通常、定在波比が2以下の値であることを意味する。
ただし、タグアンテナ202を置く場所が限定されている場合、あるいはタグアンテナ202が実効的に動作する範囲が定在波成分における節の影響を無視できるように広く取れる場合にはより大きな定在波比であっても用いることができる。
伝送線路の終端が十分な精度で整合している場合、或いは、伝送線路中を伝わる電磁波が終端付近で十分減衰している場合に、伝送線路内に大きな定在波が生じずに進行波が主成分となる。そして、このような伝送線路における電磁界分布を利用することができる。この線路周辺の空間に形成される電磁界は放射電磁界が相対的に少なく、静電磁界と誘導電磁界が主たる成分となっている。これら、静電磁界と誘導電磁界の電磁界強度は、放射電磁界の強度より強く、リーダが同一の出力で動作していても、RFIDタグ5が得られる電磁界強度は強くなる。換言すれば、タグの動作を保証しながらも、周囲の電磁環境を悪化させる放射電磁界を出さないことが可能になる。
通常用いられているパッチアンテナなどの定在波型のアンテナでは、アンテナ内部の定在波の分布に応じてアンテナ近傍の電磁界分布が極めて不均一になっており、不感部分を避けるためには商品2を管理できる領域は限定される必要がある。これに対して本実施の形態に記載する開放形伝送線路からなるリーダ導波路の場合、導波路近傍であっても、電磁界分布に定在波の節のような変化しない部分が無く、至る所で必要な信号強度を得ることが可能になる。従って、近傍界においても導波路(アンテナ)に沿った電磁界の不均一が小さく、RFIDタグ5のタグ情報を読み取れないエリアを生じにくい。即ち、リーダ導波路4とタグアンテナ202の配置の自由度が向上する。
また、本実施の形態に係る商品管理システムでは、この進行波を信号として、リーダ導波路4とタグアンテナ202との間の電磁界結合を通じて交信するため、共振型アンテナと異なり、不感領域ができにくく、使用に支障を生じることがない状況を作り出せる。従って、本検出部は、開放形伝送線路周囲に生じる準静電磁界と誘導電磁界の強度がRFIDタグ5を動作させるに十分大きい範囲内で伝送線路を波長に無関係に延伸することにより、カバーエリアを広く取ることができる。即ち、本実施形態に係る商品管理システムでは上記の開放形伝送線路を使用することで、電力の放射損を抑制し、カバーエリアの拡大が容易になる。
なお、ここでいう開放形伝送線路は、基本的に放射を抑制して線路長手方向に電磁波を伝送することを目的とした伝送線路であって、RFIDタグ5と電磁界結合可能な様にRFIDタグ5との間の空間を金属で完全には覆っていない開放形のものを指す。例としては、平衡二線型伝送線路やそれに類似の伝送線路、マイクロストリップライン、コプレーナライン、スロットラインなどの伝送線路とそれらの伝送線路の変形であるグラウンデッドコプレーナ線路やトリプレート線路等が挙げられる。あるいは、ストリップラインであってもグランド導体とストリップ導体との間にRFIDタグ5が配置されていて、グランド導体に適切な開放構造が設けてあってもよい。また、メッシュ状の導体部とシート状の導体部とに挟まれる狭間領域とメッシュ状の導体部外側の近傍界浸出領域とにおいて伝搬する電磁界を変化させて信号を伝達する面状(二次元)のアンテナも条件によっては利用することが可能である。一方で伝送線路周囲をシールドしている同軸ケーブルや導波管など伝送線路周囲にこのような電磁界を生じない遮蔽型伝送線路は、使用できない。
一方で、開放形伝送線路から電磁波を放射させることを意図してクランク形状を設計したり、あるいは高次モードを積極的に利用したりすることにより一定の放射電磁界強度を得る、いわゆるクランクラインアンテナ、メアンダラインアンテナ、漏洩同軸ケーブル等を用いて遠方界での電磁放射を目的とした進行波アンテナは、本実施の形態に係る商品管理システムに用いる開放形伝送線路とは異なるものである。これらの進行波アンテナは波長程度のサイズ、一般的には波長の1/10以上のサイズで周期的に設けられるクランク形状部分やスロットから優先的に強い電磁波の放射が起こるため、先に述べた共振型アンテナ同様、電磁界の強度が場所により大幅に変化するという欠点がある。従って、近傍界で使用する場合にはタグ情報の読取が不安定になったり、場所によりタグが読めなくなったりすることがあるため、使用に支障を生じるという問題がある。さらに、UHF帯RFIDシステムにおいては、世界各国で割り当て周波数が異なっており、概ね860〜960MHzの帯域に分布しているが、これは比帯域にして約10%と広い幅であり、共振型アンテナの共振点の設計やクランク、メアンダ、スロットの周期に重大な変更を要求する。一方で本実施の形態に係る商品管理システムでは、もともと極めて帯域の広い開放形伝送線路を使用するため、特段の変更無しに同一のアンテナをリーダ導波路4として使用できる。
また、本実施形態に係る商品管理システムによれば、商品2とRFIDタグ5のタグアンテナ202とが電磁界結合するように、RFIDタグ5の近くに商品2を置くための陳列位置2aが設けられる。従って、商品2がある場合には商品2とタグアンテナ202が結合回路を形成するため、商品2が無い場合と比較してタグアンテナ202の共振周波数が変化したり、タグアンテナ202の給電点インピーダンスが変化したりする。タグアンテナ202は、自由空間において交信に使用する信号の周波数で共振し、給電点インピーダンスも調整されていて、受信感度が最大となるように作成されているため、上記の変化は受信感度を下げ、さらにRFIDリーダ7に反射信号を送る際のタグアンテナ202の動作にも悪影響を与える。その結果、交信に使用する信号に対する受電感度が低下する。また、RFIDタグ5が反射する信号の送信出力も低下する。従って、RFIDタグ5はRFIDリーダ7からの信号を受電できない、または信号の受電強度が低く、タグの動作電力を確保できない、あるいはタグが十分な強度の反射電磁界を生成できなくなる。その結果、RFIDリーダ7はRFIDタグ5のタグ情報を読めなくなる。あるいはRFIDリーダ7に届く反射電磁界の強度や位相はタグの共振周波数変化などに伴い大きく変化する。即ち、商品2が陳列位置2aにある場合には、タグ情報が読めなくなる、あるいは商品2がない場合と比較してRFIDタグ5からの反射電磁界の強度が大きく変化するため、商品管理システムは商品2があることを検出できる。即ち、商品2の有無によるタグアンテナ202の動作特性の変化が生じた結果、RFIDリーダ7はRFIDタグ5からの反射信号の強度変化を検出することができ、その検出結果から本発明の実施の形態に係る商品管理システムは商品の有無を検出することができる。
次に、図10を用いて、本実施の形態に係る店舗管理装置1の構成について説明する。図10に示す構成例では、店舗管理装置1は、商品情報データベース11、棚割テーブル作成部12、タグ位置テーブル作成部13、商品管理テーブル作成部14、タグ読み取り部15、商品有無判断部16、商品管理部17を備えている。
なお、ここでは、これらの各ブロックを店舗管理装置1の機能として説明するが、これらの各ブロックの一部/全部をRFIDリーダ7に備え、RFIDリーダ7から店舗管理装置1へ必要な情報を送信してもよい。また、この機能ブロックの構成は、一例であり、後述する本実施の形態に係る商品管理処理が実現できれば、その他の構成であってもよい。
例えば、店舗管理装置1は、一般的なコンピュータ装置(サーバ装置)から構成される。店舗管理装置1は、中央処理装置(CPU)、メモリやハードディスク装置等の記憶装置、キーボード等の入力装置、液晶ディスプレイ等の表示装置、通信ネットワーク3に接続する通信部を含んでいる。記憶装置には、本実施の形態に係る商品管理処理を実行するための商品管理プログラムが記憶され、このプログラムをCPUが実行することで、各機能ブロックが実現される。なお、店舗管理装置1は、単一のコンピュータに限らず、複数のコンピュータによって構成することも可能である。
商品管理プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
商品情報データベース11は、商品陳列棚8に陳列される商品2に関する商品情報を記憶する。本実施の形態では、商品情報データベース11は、棚割テーブル11a、タグ位置テーブル11b、商品管理テーブル11cを記憶する。すなわち、商品情報データベース11は、棚割テーブル11aを記憶する棚割テーブル記憶部、タグ位置テーブル11bを記憶するタグ位置テーブル記憶部、商品管理テーブル11cを記憶する商品管理テーブル記憶部を含んでいるともいえる。図11は棚割テーブル11aの一例を示し、図12はタグ位置テーブル11bの一例を示し、図13は商品管理テーブル11cの一例を示している。
棚割テーブル11aは、物品位置テーブルの一例であり、商品情報ごとに商品の棚上の陳列位置情報(棚割情報)を関連付けて記憶するテーブルである。例えば、図11に示すように、棚割テーブル11aは、商品名、メーカー、商品サイズ、棚割情報を関連付ける。商品名、メーカー及び商品サイズは、棚に配置される商品を識別する識別情報(商品情報)である。商品名は、商品の販売名称であり、商品を特定する商品特定情報である。同じ販売名称で異なる商品(味やサイズなど)がある場合には、さらに味などで区分してもよい。メーカーは、商品の製造または販売業者名であり、異なる商品を関連付けるグループ情報でもある。メーカーに限らず、食品の種類などその他のグループ情報としてもよい。
商品サイズは、商品の外形の大きさであり、例えば、幅、高さ、奥行が含まれている。商品サイズは、配置したときに棚上の領域を占める配置サイズでもある。商品の幅(棚の左右方向の長さ)と、奥行(棚の手前から奥方向への長さ)により、商品の陳列位置(配置領域)のサイズを特定できる。
棚割情報は、棚割りにより商品ごとに割り当てられた棚上(商品陳列可能領域2b)の陳列位置(配置位置もしくは割当位置)であり、例えば、棚番号、段番号、フェイス、奥行数が含まれている。棚番号(台番号)は、店舗に設定されている商品陳列棚台(ゴンドラ)を識別する情報である。段番号は、商品陳列棚台(ゴンドラ)に備えられた棚の段を識別する情報である。フェイスは、棚の最前面の位置である配列位置(フェイス位置)を識別する情報である。なお、商品のフェイス位置の他に、同じ商品を何フェイス(何列)配置するかを示すフェイス数を使用してもよい。奥行数は、同じ商品を棚のフェイス(列)に手前から奥へ配置する数を示す情報である。棚割情報により、商品をどの棚のどこに何個配置するか特定されるため、棚割情報と商品サイズにより、1つの商品の全体の配置領域が特定できる。
図11の最初のデータ例は、メーカー「AAA」、かつ、商品名「ツナ缶」の商品が、商品サイズは幅70mm×高さ30mm×奥行70mmであり、棚割りにより、棚台03番の棚2段目の340列目(フェイス)に奥行6個配置するように割り当てられたことを示している。
図12に示すように、タグ位置テーブル11bは、RFIDタグのタグIDごとにRFIDタグの棚上の陳列位置情報を関連付けて記憶するテーブルである。タグID(タグ情報)は、RFIDタグ5ごとに割り当てられ、予めRFIDタグ5が記憶している識別情報である。RFIDタグの棚上の位置情報は、予め棚上(商品陳列可能領域2b)に固定された固定位置であり、例えば、棚番号、段番号、フェイス位置、奥行位置が含まれている。図11の棚割情報と同様に、棚番号(台番号)は商品陳列棚台(ゴンドラ)を識別し、段番号は棚の段を識別し、フェイス位置は棚の配列位置を識別し、奥行位置はフェイス(列)の手前から奥行方向への位置を示している。
図12の最初のデータ例は、タグID「12340001」のRFIDタグが、棚台03番の棚2段目の340列目(フェイス)に手前から40mmの位置に固定配置されていることを示している。
商品管理テーブル11cは、物品管理テーブルの一例であり、商品情報ごとにRFIDタグを関連付け、商品の状態を記憶するテーブルである。また、必要に応じて、商品の位置も関連付ける。商品の位置は、棚割テーブル11aから把握できる場合もあるため、省略してもよい。例えば、図13に示すように、商品管理テーブル11cは、商品名、メーカー、棚割情報(位置情報)、タグID、商品有無を関連付ける。商品名及びメーカーは、商品の識別情報であり、棚割テーブル11aに含まれている商品名及びメーカーに対応する。棚割情報は、各商品の位置情報(配置情報)であり、棚割テーブル11aに含まれている棚割情報に対応する。例えば、図11の棚割情報と同様に、棚割情報には、棚番号、段番号、フェイス、奥行順が含まれている。図11では、複数の商品をまとめて棚割りするため奥行数としていたが、図13では各商品を識別するため、フェイス(列)の手前から奥行方向への順番である奥行順としている。なお、商品とタグIDを関連付けることができれば、複数の商品と複数のタグIDをまとめて関連付けてもよい。タグIDは、RFIDタグの識別情報であり、タグ位置テーブル11bに含まれているタグIDに対応する。商品有無は、RFIDタグ5上に商品が陳列(配置)されているか否かを示す商品陳列(配置)状態情報であり、RFIDタグ5の検出結果を示している。
図13の最初のデータ例は、メーカー「AAA」、かつ、商品名「ツナ缶」の商品のうち、棚台03番の棚2段目の340列目(フェイス)に奥行順1番で棚割りされた商品が、タグID「12340001」のRFIDタグの位置に対応しており、タグID「12340001」のRFIDタグの検出結果により、現在この位置にこの商品が陳列されていないことを示している。また、図13の2番目のデータ例は、メーカー「AAA」、かつ、商品名「ツナ缶」の商品のうち、棚台03番の棚2段目の340列目(フェイス)に奥行順2番で棚割りされた商品が、タグID「12340002」及び「12340003」の2つのRFIDタグの位置に対応しており、タグID「12340002」及び「12340003」のRFIDタグの検出結果により、現在この位置にこの商品が陳列されていることを示している。
図10の各構成についてさらに説明する。棚割テーブル作成部12は、棚割テーブル11aを作成し、作成した棚割テーブル11aを商品情報データベース11に格納する。棚割テーブル作成部12は、一般的な棚割りソフト(棚割りプログラム)から構成され、棚割りソフトを実行することで、棚割テーブル11aを作成する。例えば、棚割テーブル作成部12は、商品マスタデータから商品名、メーカー、商品サイズなどの商品情報が入力され、什器マスタデータから商品陳列棚台(ゴンドラ)及び商品陳列棚の位置、サイズなどの什器情報が入力され、ユーザ操作や、売れ行き傾向、シーズン、キャンペーンなどに応じて棚割りを行い、棚割テーブル11aを作成する。
なお、棚割テーブル11aは、店舗管理装置1で作成せずに、外部から店舗管理装置1に入力されてもよい。例えば、複数の小売店舗を一元管理する小売本部で、棚割りソフトにより棚割テーブル11aを作成し、各小売店舗の店舗管理装置1に入力してもよい。すなわち、棚割テーブル作成部12は、棚割テーブル11aを外部から取得(入力)し、取得した棚割テーブル11aを商品情報データベース11に格納する棚割テーブル取得部でもよい。
タグ位置テーブル作成部13は、タグ位置テーブル11bを作成し、作成したタグ位置テーブル11bを商品情報データベース11に格納する。タグ位置テーブル作成部13は、棚に配置されたRFIDタグのタグIDと位置情報が入力され、タグIDと位置情報を関連付けてタグ位置テーブル11bを作成する。
例えば、RFIDタグを配置する領域には棚上の位置情報が表示され、RFIDタグにはタグIDが表示されており、RFIDタグの位置情報及びタグIDをユーザが目視で読み取り、読み取った位置情報とタグIDを店舗管理装置1に入力してもよい。また、RFIDタグを配置する領域には棚上の位置情報を示すバーコードが表示され、RFIDタグにはタグIDを示すバーコードが表示されており、RFIDタグの位置情報及びタグIDをバーコードリーダで順次読み取り、読み取った位置情報とタグIDを店舗管理装置1に入力してもよい。その他、カメラなどでRFIDタグが配置された棚を撮影し、画像処理を行ってRFIDタグの位置及びタグIDを取得してもよい。
なお、タグ位置テーブル11bは、店舗管理装置1で作成せずに、外部から店舗管理装置1に入力されてもよい。例えば、タグ位置テーブル作成部13は、RFIDタグの配置に対応したタグ位置テーブル11bを取得(入力)し、取得したタグ位置テーブル11bを商品情報データベース11に格納するタグ位置テーブル取得部でもよい。
商品管理テーブル作成部14は、棚割テーブル11aとタグ位置テーブル11bに基づいて、すなわち、棚割テーブル11aの棚割情報とタグ位置テーブル11bの位置情報との関係に応じて商品管理テーブル11cを作成し、作成した商品管理テーブル11cを商品情報データベース11に格納する。商品管理テーブル作成部14は、棚割テーブル11aの商品サイズ及び棚割情報から、商品の陳列位置の領域(配置領域)を算出する。そして、商品管理テーブル作成部14は、タグ位置テーブル11bのタグの位置情報から、算出した商品の陳列位置の領域に存在するRFIDタグを決定する。さらに、商品管理テーブル作成部14は、決定したRFIDタグと商品を関連付けて商品管理テーブル11cを作成する。
なお、棚割テーブル11aとタグ位置テーブル11bから商品管理テーブル11cを自動で作成せずに、外部からの入力される商品とRFIDタグとの関連づけに基づいて商品管理テーブル11cを作成してもよい。
例えば、棚上の領域には位置情報が表示され、商品には商品情報が表示され、RFIDタグにはタグIDが表示されており、商品の位置情報、商品情報及びタグIDをユーザが目視で読み取り、読み取った位置情報、商品情報及びタグIDを店舗管理装置1に入力し、商品管理テーブル11cを作成してもよい。また、棚上の領域には位置情報を示すバーコードが表示され、商品には商品情報を示すバーコード(例えばJANコード)が表示され、RFIDタグにはタグIDを示すバーコードが表示されており、商品の位置情報、商品情報及びタグIDをバーコードリーダで順次読み取り、読み取った位置情報、商品情報及びタグIDを店舗管理装置1に入力し、商品管理テーブル11cを作成してもよい。
タグ読み取り部15は、RFIDリーダ7を介して、リーダ導波路4上のRFIDタグ5を読み取る。例えば、タグ読み取り部15は、全てのタグを読み取る一括リードコマンドをRFIDリーダ7へ送信し、RFIDリーダ7はリーダ導波路4上の全てのRFIDタグ5を一括で読み取ってもよい。
各国の電波法によりRFIDタグを読み取るための割り当て周波数帯域は制限されている。これにより、数百枚/s程度の読み取り速度に制限される。したがって、リーダ導波路4上に多数のRFIDタグを配置し全てのタグを読み取ると、読み取り速度が遅くなり、商品の検出に時間がかかってしまう。そこで、本実施の形態では、商品の検出に必要なRFIDタグのみを読み取ることが好ましい。すなわち、タグ読み取り部15は、商品管理テーブル11cに記憶されたタグIDのRFIDタグのみを読み取る。タグ読み取り部15は、該当するタグIDを指定した個別リードコマンドをRFIDリーダ7へ送信し、RFIDリーダ7はリーダ導波路4上の該当するRFIDタグ5を個別で読み取る。
商品有無判断部16は、物品有無判断部の一例であり、商品管理テーブル11cに基づき、RFIDタグ5から受信される信号に応じて、RFIDタグ5に対応する商品陳列棚8上の商品の有無(陳列状態)を判断する。上記のように、RFIDリーダ7がRFIDタグ5から受信する信号の強度等を、商品有無判断部16が受信し、信号が途絶える、もしくは信号強度が一定の閾値より低い場合、商品管理テーブル11cのRFIDタグ5に対応して商品陳列棚8上に商品ありと判定し、信号強度が閾値以上の場合、商品陳列棚8上に商品なしと判定する。また、商品有無判断部16は、判定した商品有無の状態を商品管理テーブル11cに設定する。信号強度を判定する閾値は、予め商品管理システムの設計段階で決めた値を使用してもよい。また、商品が無い場合の信号強度を測定しておき、この測定値または測定値より低い値を閾値としてもよい。
商品管理部17は、検出した商品の有無に応じて、店員への通知など必要な処理を実行する。例えば、商品管理部17は、表示装置にGUIなどにより、商品陳列棚と商品の配置領域を表示し、さらに検出した商品の有無の状態を表示する。また、商品管理部17は、商品の個数が所定値以下となった場合、商品の補充が必要と判断し、店員へ商品の補充を通知してもよい。商品管理部17は、棚の最前面に商品がない場合、陳列修正が必要と判断し、店員へ陳列修正を通知してもよい。
次に、図14を用いて、本実施の形態に係る商品管理システムで実行される商品管理方法(物品管理方法)について説明する。
図14に示すように、まず、タグ位置テーブル作成部13は、RFIDタグのタグIDとRFIDタグの位置情報を関連付けてタグ位置テーブル11bを作成する(S101)。タグ位置テーブル作成部13は、予め棚に配置されたRFIDタグの位置をユーザ入力やバーコードリーダ等により取得し、タグ位置テーブル11bを作成する。
続いて、棚割テーブル作成部12は、商品情報と棚割情報を関連付けて棚割テーブル11aを作成する(S102)。棚割テーブル作成部12は、シーズンごとやキャンペーン等のタイミングで、棚割りソフトを用いて棚割りを行うことで、棚割テーブル11aを作成する。もしくは、棚割テーブル作成部12は、予め作成された棚割テーブル11aを外部から取得する。
続いて、商品管理テーブル作成部14は、商品情報とRFIDタグのタグIDとを関連付けて商品管理テーブル11cを作成する(S103)。商品管理テーブル作成部14は、棚割テーブル11aが作成もしくは取得されると、棚割テーブル11aとタグ位置テーブル11bを参照し、商品の有無を検出するための商品管理テーブル11cを作成する。商品管理ル作成部14は、棚割テーブル11aとタグ位置テーブル11bに基づいて自動で商品管理テーブル11cを作成し、もしくは、商品に対応するRFIDタグの位置をユーザ入力やバーコードリーダ等により入力して商品管理テーブル11cを作成する。
図15は、S103の商品管理テーブル作成を自動で行う場合の具体例を示している。まず、商品管理テーブル作成部14は、棚割テーブル11aを参照し、商品サイズ及び棚割情報に応じて、商品の陳列位置の領域(配置領域)を算出する(S201)。例えば、図11の例では、商品サイズの幅×奥行により個々の商品の配置領域が算出でき、さらに棚割情報の奥行数を乗算することで、フェイス(列)の配置領域が算出できる。また、商品を配置したときに接する底面の形状を考慮して配置領域を特定してもよい。商品ごとに底面の形状を棚割テーブル11aに記憶しておき、底面の形状が円であれば、円の面積を算出して配置領域を求める。
続いて、商品管理テーブル作成部14は、タグ位置テーブル11bを参照し、タグの位置情報に応じて、算出した商品の陳列位置の領域(配置領域)に対応するRFIDタグを決定する(S202)。商品管理テーブル作成部14は、S201で算出した商品の陳列位置の領域と、タグ位置テーブル11bのタグの位置情報とを比較し、商品の陳列位置の領域内に含まれるRFIDタグを選択する。例えば、図11及び図12の例では、棚番号、段番号、フェイスが一致し、商品の陳列位置の領域内に奥行位置が含まれるRFIDタグを選択する。
続いて、商品管理テーブル作成部14は、決定したRFIDタグと商品を関連付けて商品管理テーブル11cを作成する(S203)。商品管理テーブル作成部14は、S202で決定したRFIDタグのタグIDをタグ位置テーブル11bから取得し、RFIDタグに対応する商品の商品名及びメーカー、棚割情報を棚割テーブル11aから取得し、それぞれを関連付けて商品管理テーブル11cに格納する。例えば、図11〜図13の例では、商品「ツナ缶」が6個配置される領域のうち、奥行1番目の領域に、タグID「12340001」のRFIDタグの位置が含まれるため、奥行1番目の商品「ツナ缶」とタグID「12340001」を関連付け、また、商品「ツナ缶」が6個配置される領域のうち、奥行2番目の領域に、タグID「12340002」及び「12340003」のRFIDタグの位置が含まれるため、奥行2番目の商品「ツナ缶」とタグID「12340002」及び「12340003」を関連付ける。
図14のS103で商品管理テーブル11cが作成されると商品管理(商品検出)を行うため、店員等がRFIDタグ上の配置領域に商品を配置する(S104)。続いて、以下の処理を繰り返し、商品の有無を定期的に監視する。
まず、タグ読み取り部15は、リーダ導波路4を介してRFIDタグを読み取る(S105)。ここでは、RFIDタグの読み取り時間を短縮するため、商品の陳列位置に対応したRFIDタグを読み取る。すなわち、タグ読み取り部15は、商品管理テーブル11c内のタグIDを順次指定して個別リードコマンドをRFIDリーダ7へ送信し、RFIDリーダ7は指定されたRFIDタグ5にタグIDを返すように順次信号を出力する。また、配置されているRFIDタグが少ない場合や、読み取り速度が遅くてもよい場合には、全てのタグを一括で読み取ってもよい。
続いて、商品有無判断部16は、商品管理テーブル11cに基づき、RFIDタグ5から受信された信号に応じて、RFIDタグ5に対応する商品の有無を判断する(S106)。RFIDリーダ7はS105で順次指定した(もしくは一括指定した)RFIDタグ5から帰ってきた信号を受信するとともにその信号強度を測定し、その測定結果を店舗管理装置1に出力する。商品有無判断部16は商品管理テーブル11cに記載のタグIDのタグが読み取れたかどうか、あるいは該当タグIDのRFIDタグの信号強度が閾値以上か未満かを検出する。商品管理テーブル11cを参照し、RFIDタグが読み取れなかった場合、あるいは信号強度が閾値未満であった場合には、RFIDタグに対応する商品があると判断する。それ以外の場合には対応する商品が無いと判断する。例えば、1つの商品と複数のRFIDタグが対応する場合、複数のRFIDタグの全ての信号強度が閾値未満の場合に商品ありと判断してもよいし、複数のRFIDタグのいずれかの信号強度が閾値未満の場合に商品ありと判断してもよい。また、複数のRFIDタグの全ての信号強度が閾値以上の場合に商品なしと判断してもよいし、複数のRFIDタグのいずれかの信号強度が閾値以上の場合に商品なしと判断してもよい。配置する商品の材質等によって、RFIDタグの信号強度は異なるため、複数のRFIDタグの判定条件を配置する商品に合わせた条件とすることが好ましい。
続いて、商品管理部17は、商品の検出結果に応じた処理を実行する(S107)。例えば、商品管理部17は、S105で検出した商品の有無を表示部に表示し、店員へ商品の状態を通知する。
以上のように、本実施の形態では、商品情報と棚割情報を関連付けた棚割テーブルと、RFIDタグのタグIDとRFIDタグの位置情報を関連付けたタグ位置デーブルを記憶し、棚割テーブル及びタグ位置テーブルに基づいて商品情報とRFIDタグのタグIDを関連付けた商品管理テーブルを記憶することとした。この商品管理テーブルを参照することにより、RFIDタグ上の商品の有無を判断する。これにより、棚割りにより商品の陳列位置が変更となった場合でも、棚割テーブルと商品管理テーブルを変更するのみで、商品の有無を判断できる。したがって、RFIDタグの配置を変更する必要がないため、簡易に物品を管理することができる。
商品の配置に応じてRFIDタグを配置した棚板サイズの一体型ユニットを供給すると、コストが高く、多少の変更にも対応できないのに対し、本実施の形態では、RFIDタグを含むユニットの変更が不要であり、コストを低減し、様々な商品配置に柔軟に対応することができる。
特に、少なくとも物品の底面、または物品を置く間隔よりサイズの小さいタグを物品の数以上に敷設して、管理する物品一個に対してその置く位置に複数個のタグが敷設されるように予めRFIDタグを物品数以上に敷設することで、物品を置く場所が変わっても、その場所のタグが読めるかどうかを検出することにより、確実に物品を管理することができる。
また、商品管理テーブル内のRFIDタグのみを順次読み取ることで、RFIDタグからの信号の衝突を確実に回避でき、衝突によって読み取らないことによる読取速度低下が防げる。
また、本実施の形態では、リーダ導波路上のRFIDタグからの信号強度に基づいて商品の有無を判断する。このため、商品にRFIDタグや遮蔽部を貼り付ける必要がなく、低コストで商品の有無を管理することができる。
(実施の形態2)
以下、図面を参照して実施の形態2について説明する。本実施の形態は、実施の形態1のリーダ導波路及びRFIDタグ(タグアンテナユニット)上に金属箔シートを配置する例である。
実施の形態1では、商品の配置が変更となっても簡易に商品を管理するため、予めリーダ導波路上に多数のRFIDタグを配置した。しかしながら、多数のRFIDを配置すると、読取速度が遅くなるため、本実施の形態では、金属箔シートにより不要な部分をカバーし、読む必要のないタグを覆って読めなくする。
図16〜図19を用いて、本実施の形態に係る金属箔シートの構成例について説明する。図16は、タグアンテナユニット50及び金属箔シート9の斜視図であり、図17は、その上面図であり、図18は、その正面断面図及び側面断面図である。図19は、金属箔シート9の断面図である。リーダ導波路4及びRFIDタグ5を含むタグアンテナユニット50の構成は、実施の形態1と同様である。
図16〜図18に示すように、タグアンテナユニット50の上に金属箔シート9を配置する。タグアンテナユニット50は、予めリーダ導波路4の上にRFIDタグ5が配置されており、RFIDタグ5の上に金属箔シート9を配置する。このように配置することで、金属箔シート9は、ストリップ導体用の上面グランドとなり、また、読む必要のないRFIDタグを覆うことで、タグを読めなくすることにより読取速度の劣化を抑制する。すなわち、金属箔シート9は、読み取り不要なRFIDタグと電磁界結合することにより、信号強度を低下させることで、RFIDタグの動作を停止(無効化)させるとともに、読み取りが必要なRFIDタグの信号強度に影響を与えずに、RFIDタグの動作を維持(活性化)させる。また、ストリップ導体に上面グランドができることにより、上面からの電磁波の放射が抑制される。従って、導波路の放射損が減少し、導波路を長尺化できる。また、他の機器への電磁干渉抑制、ノイズ低減、人体への影響の軽減といった効果も得られる。
このような機能を実現するため、金属箔シート9は、シート状の金属部材(金属シート)であり、さらに、読み取りが必要なRFIDタグの位置に開口部(開口窓)9aを有している。金属箔シート9を配置した場合、金属箔シート9上に商品を配置するため、金属箔シート9の上面が商品陳列可能領域2bとなる。金属箔シート9の大きさ及び形状は、読み取り不要なRFIDタグ5の応答動作を停止させるため、RFIDタグ5を覆うサイズ以上である。RFIDタグ5のサイズよりも小さい場合には、RFIDタグ5の応答動作を停止することができない場合がある。また、金属箔シート9は、少なくとも1つの商品の陳列位置2aのサイズ、すなわち、1種類の商品が棚に占める面積をカバーできるサイズであることが望ましい。さらに、金属箔シート9は、全てのRFIDタグ5から選択的に動作を無効化もしくは活性化させるため、全てのRFIDタグ5を覆うサイズ、すなわち、商品陳列可能領域2bもしくはリーダ導波路4(タグアンテナユニット50)と略同じサイズであることが望ましい。
開口部(開口窓)9aは、商品の陳列位置2aのRFIDタグ5に対応する位置に形成されている。開口部9aは、金属箔シート9を配置した時に下に位置するRFIDタグ5の動作を可能とするため、少なくともRFIDタグ5よりも大きいサイズ及び形状である。例えば、開口部9aは、RFIDタグ5と略同じサイズであり、RFIDタグ5と同じ正方形状である。
金属箔シート9は、アルミ箔などの金属箔であり、PET(ポリエチレンテレフタラート)などの樹脂製シートや合成紙などの紙に導体が貼り付けられている。導体としてはアルミ、銅、カーボン、ITO(酸化インジウムスズ)などでもよい。
具体的には、金属箔シート9は、図19に示すように、カバー層91上に導体層92が形成され、導体層92上に樹脂製シート93が形成され、樹脂製シート93上にカバー層94が形成されている。金属箔シート9の厚さは、基本的には表皮厚さ(表皮効果が得られる厚さ)以上が望ましい。例えば、導体層92が良導体の金属であれば、2ミクロン以上の厚さであることが望ましい。RFIDタグ5の動作を効果的に停止するため、導体層92はなるべくRFIDタグ5に近いことが望ましい。開口部9aは、カバー層91からカバー層94まで除去されて形成されているが、少なくとも導体層92のみが除去されていてもよい。
例えば、金属箔シート9は、食品包装用アルミシートのようなRoll to Rollプロセスにより形成することができる。金属箔シート9の導体層は蒸着、スパッタ、めっき、圧延などで形成する。開口部9aは、金属層のエッチング、シートのカッティングなどで形成する。
また、リーダ導波路4は、実施の形態1と同様に、グランドプレーン41、スペーサ42、ストリップ導体43、スペーサ44を備えている。RFIDタグ5の上に金属箔シート9を直接配置することにより、金属箔シート9とRFIDタグ5は密着する(リーダでタグが読めない程度に隙間が無いほどよい)。また、スペーサ44により、金属箔シート9とストリップ導体とは距離を置き、ストリップラインを形成する。スペーサ44により、RFIDタグが受ける、グランドの影響を小さくできる。ただし、RFIDタグの小型化のため、グランドによる容量増加を利用してもよい。
なお、RFIDタグ5の上部に、RFIDタグ5を保護する保護材を配置してもよい。保護材の機能は、金属箔シート9が兼ねていてもよい。また、金属箔シート9をその下部のストリップ導体43やRFIDタグ5などと位置合わせする機構があってもよい。位置合わせ機構として、例えば、金属箔シート9の配置位置を示す目印等をタグアンテナユニット50に表示するようにしてもよい。
次に、図20を用いて、本実施の形態に係る店舗管理装置1の構成について説明する。図20に示す構成例では、店舗管理装置1は、実施の形態1の図10の構成に加えて、金属箔シート作成部18を備えている。
金属箔シート作成部(金属シート作成部)18は、金属箔シート9に商品の陳列位置2aに対応するRFIDタグ5の位置に開口部9aを形成する。金属箔シート作成部18は、商品とRFIDタグ5を関連付けた商品管理テーブル11cに登録されているRFIDタグ5の位置に開口部9aを形成する。金属箔シート作成部18は、商品管理テーブル11cにRFIDタグ5の位置情報が含まれる場合、商品管理テーブル11cから位置情報を取得し、また、商品管理テーブル11cにRFIDタグ5の位置が含まれない場合、タグ位置テーブル11bを参照しRFIDタグ5の位置情報を取得する。例えば、開口部9aのサイズ及び形状は予め決まっており、金属箔シート作成部18は、商品を検出するためのRFIDタグ5の位置に予め決まった形状で金属箔シートを切り取り、開口部9aを形成する。例えば、金属箔シートの切り取りは、ラベルプリンターやカッティングマシンを用いて行う。なお、金属箔シート9は、金属箔シート作成部18で自動的に作成せずに手動で作成してもよい。例えば、店員等が、商品管理テーブル11cを確認して、RFIDタグ5の位置に手作業で穴開けを行って開口部を形成してもよい。全てのRFIDタグ5に対応する位置に開口部の形状でミシン目の切り取り線を形成しておき、商品の位置に対応する部分の切り取り線に沿ってシートを切り取ることで開口部を形成してもよい。
なお、金属箔シート9は、店舗管理装置1で作成せずに、外部で作成してもよい。例えば、複数の小売店舗を一元管理する小売本部で、棚割りソフトにより棚割テーブル11aを作成し、タグ位置テーブル11b及び商品管理テーブル11cを作成し、商品管理テーブル11cに基づいて、金属箔シート9に開口部9aを形成していてもよい。そして、小売り本部から複数の小売店舗へ金属箔シート9を配布してもよい。また、小売り本部から複数の小売店舗へ、金属箔シート9とともに商品管理テーブル11cを配布してもよい。
次に、図21を用いて、本実施の形態に係る商品管理システムで実行される商品管理方法(物品管理方法)について説明する。
図21に示すように、実施の形態1と同様、RFIDタグのタグIDとRFIDタグの位置情報を関連付けてタグ位置テーブル11bを作成し(S101)、商品情報と棚割情報を関連付けて棚割テーブル11aを作成し(S102)、商品情報とRFIDタグのタグIDとを関連付けて商品管理テーブル11cを作成する(S103)。
続いて、金属箔シート作成部18は、S103で作成された商品管理テーブル11cに基づいて、金属箔シート9を作成する(S111)。金属箔シート作成部18は、商品管理テーブル11cに登録されているRFIDタグ5の位置に基づいて、開口部9aの位置及び形状を示すカッティング情報を生成し、カッティングマシン等に出力する。カッティングマシンは、カッティング情報にしたがい金属箔シート9の該当部分を切り取り、開口部9aを形成する。なお、予め形成された金属箔シート9を取得してもよい。
続いて、金属箔シート9をRFIDタグ5(タグアンテナユニット50)上に敷設する(S112)。店員等は、開口部9aに対応するRFIDタグ5が露出するように、S111で作成した金属箔シート9をタグアンテナユニット50上に配置する。
S103で商品管理テーブル11cが作成され、S112で金属箔シート9が敷設されると商品管理(商品検出)を行うため、店員等が金属箔シート上の配置領域に商品を配置する(S104)。続いて、以下の処理を繰り返し、商品の有無を定期的に監視する。
まず、タグ読み取り部15は、リーダ導波路4を介してRFIDタグを読み取る(S113)。ここでは、金属箔シート9により不要なRFIDタグは応答しないため、全てのRFIDタグを読み取る。すなわち、タグ読み取り部15は、全てのタグを読み取る一括リードコマンドをRFIDリーダ7へ送信し、RFIDリーダ7は全てのRFIDタグ5にタグIDを返すように信号を出力する。本実施の形態では、金属箔シート9を配置することで、全てのRFIDタグ5に信号を出力しても、金属箔シート9により読む必要のないタグは読み取れない。これにより、個別にRFIDタグ5に信号を送信するなどの複雑な制御を行わなくても、読み取り動作を高速化することができる。
また、さらに、読み取り時間を短縮するため、実施の形態1と同様に、商品の陳列位置に対応したRFIDタグのみを読み取ってもよい。
続いて、商品有無判断部16は、RFIDタグ5から受信された信号に応じて、商品の有無を判断する(S106)。RFIDリーダ7はS113で全てのRFIDタグ5から帰ってきた信号を受信するとともにその信号強度を測定し、その測定結果を店舗管理装置1に出力する。商品有無判断部16は商品管理テーブル11cに記載のタグIDのタグが読み取れたかどうか、あるいは該当タグIDのRFIDタグの信号強度が閾値以上か未満かを検出する。RFIDタグが読み取れなかった場合、あるいは信号強度が閾値未満であった場合には、RFIDタグに対応した商品があると判断する。それ以外の場合には物が無いと判断する。その後、実施の形態1と同様に、商品の検出結果に応じた処理を実行する(S107)。
以上のように、本実施の形態では、実施の形態1の構成に加えて、商品を検出するRFIDタグに対応した開口部を有する金属箔シートをRFIDタグ上に配置することとした。これにより、多数のRFIDタグを配置している場合でも、不要なRFIDタグの動作を停止させ、必要なRFIDタグのみを動作させることができるため、RFIDタグの読み取り動作を高速化することができる。
(実施の形態3)
以下、図面を参照して実施の形態3について説明する。本実施の形態は、実施の形態1のリーダ導波路及びRFIDタグ(タグアンテナユニット)上に棚割シートを配置する例である。なお、ここでは、RFIDタグ上に棚割シートを配置する例について説明するが、実施の形態2の金属箔シート上に棚割シートを配置してもよい。
図22〜図24を用いて、本実施の形態に係る棚割シートの構成例について説明する。図22は、タグアンテナユニット50及び棚割シート10の斜視図であり、図23は、その上面図であり、図24は、その正面断面図及び側面断面図である。リーダ導波路4及びRFIDタグ5を含むタグアンテナユニット50の構成は、実施の形態1と同様である。
図22〜図24に示すように、タグアンテナユニット50の上に棚割シート10を配置する。タグアンテナユニット50は、予めリーダ導波路4の上にRFIDタグ5が配置されており、RFIDタグ5の上に棚割シート10を配置する。棚割シート(物品配置シート)10は、店員等に棚割り(商品の陳列位置)を示すためのシートである。棚割シート10を配置した場合、棚割シート10上に商品を配置するため、棚割シート10の上面が商品陳列可能領域2bとなる。
棚割シート10は、商品を配置可能な領域のサイズであり、棚全体の棚割りを示すために、例えば、リーダ導波路4(タグアンテナユニット50)と略同じサイズ、もしくは、全てのRFIDタグ5を含むサイズである。また、棚割シート10は、少なくとも1つの商品の陳列位置2aを含む、1種類の商品が棚に占める面積をカバーできるサイズであってもよい。
棚割シート10は、商品の検出(RFIDタグの信号強度)に影響しない素材であればよく、例えば、紙のシートである。棚割シート10には、商品の陳列位置2aの位置に商品配置マーク10aが表示されている。商品配置マーク10aは、商品と同じサイズであり、配置する商品を識別するため商品名が表示されている。フェイス(列)ごとに同じ商品が配置されるため、最も手前の商品配置マーク10aに商品名を表示する。商品配置マーク10aは、紙のシートに直接印刷してもよいし、シール等で紙のシートに貼り付けてもよい。
また、棚割シート10にミシン目の切り取り線10bを設けてもよい。例えば、商品の種類ごとに切り取り線10bを形成する。なお、金属箔シート上に棚割シート10を配置する場合、棚割シート10の切り取り線10bと同様に、金属箔シートにも切り取り線を形成することが好ましい。これにより、商品の種類ごとに簡単に切り取ることができるため、棚割変更に柔軟に対応することができる。さらに、1つの商品ごとに切り取り線10bを形成してもよい。
なお、RFIDタグ5の上部に、RFIDタグ5を保護する保護材を配置してもよい。保護材の機能は、棚割シート10が兼ねていてもよい。また、棚割シート10をその下部のRFIDタグ5などと位置合わせする機構があってもよい。位置合わせ機構として、例えば、棚割シート10の配置位置を示す目印等をタグアンテナユニット50に表示するようにしてもよい。また、金属箔シート9上に棚割シート10を配置する場合には、棚割シート10に目印等を表示してもよい。
次に、図25を用いて、本実施の形態に係る店舗管理装置1の構成について説明する。図25に示す構成例では、店舗管理装置1は、実施の形態1の図10の構成に加えて、棚割シート作成部19を備えている。
棚割シート作成部(物品配置シート作成部)19は、棚割シート10に商品の陳列位置2aに対応する位置に商品配置マーク10aを作成する。棚割シート作成部19は、商品情報と棚割情報を連付けた棚割テーブル11aに基づいて商品配置マーク10aを作成する。棚割シート作成部19は、棚割テーブル11aを参照し、商品ごとに棚割情報で特定される位置に、商品サイズの図形(輪郭)と商品名を表示するように作成する。例えば、プリンターを用いて、紙のシートに商品配置マーク10aを印刷する。
なお、棚割シート10は、店舗管理装置1で作成せずに、外部で作成してもよい。例えば、複数の小売店舗を一元管理する小売本部で、棚割りソフトにより棚割テーブル11aを作成し、棚割テーブル11aに基づいて、棚割シート10に商品配置マーク10aを形成していてもよい。そして、小売り本部から複数の小売店舗へ棚割シート10を配布してもよい。また、小売り本部から複数の小売店舗へ、棚割シート10とともに商品管理テーブル11cを配布してもよい。
次に、図26を用いて、本実施の形態に係る商品管理システムで実行される商品管理方法(物品管理方法)について説明する。
図26に示すように、実施の形態1と同様、RFIDタグのタグIDとRFIDタグの位置情報を関連付けてタグ位置テーブル11bを作成し(S101)、商品情報と棚割情報を関連付けて棚割テーブル11aを作成し(S102)、商品情報とRFIDタグのタグIDとを関連付けて商品管理テーブル11cを作成する(S103)。
続いて、棚割シート作成部19は、S102で作成された棚割テーブル11aに基づいて、棚割シート10を作成する(S121)。棚割シート作成部19は、棚割テーブル11aに登録されている棚割情報及び商品サイズ、商品名に基づいて、商品配置マーク10aの位置、サイズ、文字を示すプリント情報を生成し、プリンター等に出力する。プリンターは、プリント情報にしたがい棚割シート10の該当部分に商品配置マーク10aを印刷する。なお、予め作成された棚割シート10を取得してもよい。
続いて、棚割シート10をRFIDタグ5(タグアンテナユニット50)上に敷設する(S122)。店員等は、RFIDタグ5と商品配置マーク10aが対応するように、S121で作成した棚割シート10をタグアンテナユニット50上に配置する。
S103で商品管理テーブル11cが作成され、S122で棚割シート10が敷設されると商品管理(商品検出)を行うため、店員等が棚割シート上の配置領域に商品を配置する(S104)。続いて、以下の処理を繰り返し、商品の有無を定期的に監視する。
すなわち、実施の形態1と同様に、商品に対応したRFIDタグ5を読み取り(S105)、RFIDタグ5から受信された信号に応じて商品の有無を判断し(S106)、商品の検出結果に応じた処理を実行する(S107)。
以上のように、本実施の形態では、実施の形態1の構成に加えて、商品の陳列位置を示す棚割シートをRFIDタグ上に配置することとした。これにより、商品の陳列位置が一目で把握できるため、店員による商品配置作業の負担が軽減し、また、誤って別の商品を配置するような配置ミスを防ぐことができる。また、本部で棚割シートを作成し店舗に配布することにより、本部の棚割指示を全ての店舗に徹底することができる。
なお、本発明ではUHF帯、あるいはマイクロ波帯のRFIDシステムを使用する理由は、LF帯やHF帯の他の周波数帯、特により低い周波数帯を使用するRFIDシステムに対して、帯域幅が広く、単位時間当たりのタグ読取枚数が多いこと、及び、水分に対して敏感にタグアンテナが応答するためである。
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
この出願は、2013年5月20日に出願された日本出願特願2013−105982を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。