JP6252590B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子及び有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子及び有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス及び有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法に関する。特に、用いられる発光材料に制限がなく、2色以上の発光パターンを有する有機エレクトロルミネッセンス素子、及びそのような有機エレクトロルミネッセンス素子を製造する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法に関する。
近年、薄型の発光材料として有機発光素子が注目されている。
有機材料のエレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence:EL)を利用した有機発光素子(以下「有機EL素子」ともいう。)は、数V〜数十V程度の低電圧で発光が可能な薄膜型の完全固体素子であり、高輝度、高発光効率、薄型、軽量といった多くの優れた特徴を有している。このため、各種ディスプレイのバックライト、看板や非常灯等の表示板、照明光源等の面発光体として近年注目されている。
このような有機EL素子は、2枚の電極間に有機材料からなる発光層が配置された構成であり、発光層で生じた発光光は電極を透過して外部に取り出される。このため、2枚の電極のうちの少なくとも一方は透明電極として構成され、透明電極側から発光光が取り出される。また、有機EL素子は、低電力で高い輝度を得ることができ、視認性、応答速度、寿命、消費電力の点で優れている。
ここで、このような有機EL素子において、ガラス基板上に積層された有機機能層に対して紫外線を照射し、当該照射部分を劣化させることで非発光領域を形成し、発光パターンを有する有機EL素子を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
また、有機EL素子に紫外線照射してパターン形成する際、照射光量を変化させれば、多階調の発光輝度を有する発光パターンを形成が可能である。
しかしながら、有機EL素子で用いられる有機材料のほとんどが紫外領域に吸収ピークを有するため、異なる発光色の発光層が複数積層された有機EL素子に対して紫外線を照射すると、全ての発光層において紫外線を照射した領域が発光しなくなり、複数の発光層を選択的に非発光にすることができない。したがって、発光色が異なる発光層を2層以上積層しても、2色以上の発光パターンを形成することができなかった。異なる発光色の発光層を1層形成する毎に、紫外線照射する方法も考えられるが、製造工程が複雑になるため好ましくない。
また、有機EL素子が、樹脂基材上に発光層が積層されてなる場合、樹脂基材自体も紫外領域に吸収ピークを有するため、紫外線照射により樹脂基材が黄変してしまうという別の問題もある。
これに対して、特許文献3では、加熱により分子を異性化させ発光材料の発光色を変化させる技術が開示されている。
また、特許文献4では、第1の発光層に含有されるホスト材料と第2の発光層に含有されるホスト材料とのガラス転移点の差を利用し、これらを加熱することで、ガラス転移点の低いホスト材料を含有する発光層のみを輝度変化させる技術が開示されている。
しかしながら、特許文献3及び4に記載の技術では、発光材料として用いられる材料に制限があり、より発光特性の良好な発光材料を適用することができないという問題があった。また、2色の発光パターンを形成することができるものの、更に多くの発光パターンを形成することが難しかった。
特許第2793373号公報 特開2012−28335号公報 特許第3855587号公報 特許第4855286号公報
本発明の課題は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、用いられる発光材料に制限がなく、2色以上の発光パターンを有する有機エレクトロルミネッセンス素子、及びそのような有機エレクトロルミネッセンス素子を製造する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法を提供することである。
本発明に係る上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討した結果、一対の電極間に、発光色が異なる複数の発光層が挟持され、当該複数の発光層うち少なくとも1層に、光を吸収して熱に変換する光熱変換材料が含有され、前記光熱変換材料の極大吸収波長に対応する波長の光が照射されて、前記光熱変換材料が含有される発光層が加熱されて発光機能が変化し、発光パターンが形成されている有機エレクトロルミネッセンス素子とすることにより、用いられる発光材料に制限がなく、2色以上の発光パターンを有する有機エレクトロルミネッセンス素子を提供できることを見出した。
すなわち、本発明に係る課題は、以下の手段により解決される。
1.一対の電極間に、発光色が異なる複数の発光層が挟持された有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記複数の発光層のうち少なくとも1層に、光を吸収して熱に変換する光熱変換材料が含有され、
前記光熱変換材料の極大吸収波長に対応する波長の光が照射されることで、前記光熱変換材料が含有される発光層が加熱されて発光機能が変化し、発光パターンが形成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
2.前記光熱変換材料が、750〜1200nmの波長範囲内に極大吸収波長を有することを特徴とする第1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
3.前記光熱変換材料が、非イオン性の材料であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
4.前記複数の発光層のそれぞれに、極大吸収波長の異なる前記光熱変換材料が含有され、
前記複数の発光層のそれぞれに含有される前記光熱変換材料の極大吸収波長に対応する波長の光がそれぞれ照射されることで、前記複数の発光層のそれぞれが加熱されて発光機能が変化し、複数の発光パターンが形成されていることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
5.一対の電極間に、光を吸収して熱に変換する光熱変換材料が含有される発光層を少なくとも1層含む、発光色が異なる複数の発光層を積層して形成する積層工程と、
前記光熱変換材料の極大吸収波長に対応する波長の光を照射することで、前記光熱変換材料が含有される発光層を加熱して発光機能を変化させ、発光パターンを形成する光照射工程と、を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
本発明によれば、用いられる発光材料に制限がなく、2色以上の発光パターンを有する有機エレクトロルミネッセンス素子、及びそのような有機エレクトロルミネッセンス素子を製造する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、以下のとおりである。
有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層には光熱変換材料が含有され、光熱変換材料の極大吸収波長に対応する波長の光が照射されることで、光熱変換材料が含有される発光層が加熱されて発光機能が変化し、発光パターンが形成されているので、複数の発光層のうち光熱変換材料が含有されている発光層のみに対して選択的にパターン形成を行うことができる。このように、特定の発光層に対して選択的に発光パターンを形成することができるため、2色以上の発光パターンを有する有機EL素子とすることができる。また、発光層に光熱変換材料が含有されているのみなので、発光層に用いられる発光材料に制限がない。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の構成の一例を示す概略断面図 有機エレクトロルミネッセンス素子の光が照射される領域を示す図 有機エレクトロルミネッセンス素子の光が照射される領域を示す図 有機エレクトロルミネッセンス素子の光が照射される領域を示す図 光照射後の有機エレクトロルミネッセンス素子の発光パターン1を示す図 光照射後の有機エレクトロルミネッセンス素子の発光パターン2を示す図 光照射後の有機エレクトロルミネッセンス素子の発光パターン3を示す図
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ともいう。)は、一対の電極間に、発光色が異なる複数の発光層が挟持され、前記複数の発光層のうち少なくとも1層に、光を吸収して熱に変換する光熱変換材料が含有され、前記光熱変換材料の極大吸収波長に対応する波長の光が照射されることで、前記光熱変換材料が含有される発光層が加熱されて発光機能が変化し、発光パターンが形成されていることを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項5までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明は、前記光熱変換材料が、750〜1200nmの波長範囲内に極大吸収波長を有することが好ましい。これにより、有機EL素子に光を照射することで、有機EL素子を構成する各種材料を紫外線や可視光線により劣化させることがないため、精度良くパターン形成することができる。
また、本発明は、前記光熱変換材料が、非イオン性の材料であることが好ましい。これにより、発光層を蒸着法により形成する場合において、蒸着法に対する光熱変換材料の安定性を高めることができる。また、そのような光熱変換材料は入手容易性に優れる。
また、本発明は、前記複数の発光層のそれぞれに、極大吸収波長の異なる前記光熱変換材料が含有され、前記複数の発光層のそれぞれに含有される前記光熱変換材料の極大吸収波長に対応する波長の光がそれぞれ照射されることで、前記複数の発光層のそれぞれが加熱されて発光機能が変化し、発光パターンが形成されていることが好ましい。これにより、有機EL素子が備える複数の発光層の全てに対して、それぞれ別々の発光パターンを形成することができる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、数値範囲を表す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
本発明の有機EL素子は、一対の電極間に、発光色が異なる複数の発光層が挟持され、当該複数の発光層のうち少なくとも1層に、光を吸収して熱に変換する光熱変換材料が含有され、光熱変換材料が含有された発光層に対して、光熱変換材料の極大吸収波長に対応する波長の光が照射されることで、当該発光層が加熱されて発光機能が変化し、発光パターンが形成されているものである。
ここで、本発明において「光熱変換材料の極大吸収波長に対応する波長の光」とは、光熱変換材料の極大吸収波長よりも±15nmの波長範囲内の波長成分を含む光をいう。
また、本発明において「パターン」とは、有機EL素子により表示される図案(図の柄や模様)、文字、画像等をいう。「パターン化」とは、これらのパターン表示機能を持たせることをいう。
また、本発明において「発光パターン」とは、有機EL素子が発光する際、所定の図案(図の柄や模様)、文字、画像等に基づいて、発光面の位置により発光強度(輝度)を変えて光を発光させるためにあらかじめ当該有機EL素子に形成(付与)される所定の図案(図の柄や模様)、文字、画像等を表示させる機能を有する発生源をいう。
以下、本発明の有機EL素子の構成の詳細と、本発明の有機EL素子のパターン形成方法について説明する。
《有機エレクトロルミネッセンス素子の構成》
本発明に係る有機EL素子は、種々の構成を採り得るが、その一例を図1に示す。
図1は、本発明の有機EL素子100の構成の一例を示す概略断面図である。
図1に示すように、本発明の有機EL素子100においては、樹脂基板13側から、第一電極(透明電極)1、有機材料等を用いて構成された有機機能層(発光機能層)ユニット3、及び第二電極(対向電極)5aをこの順に積層して構成されている。第一電極1(電極層1b)の端部には、取り出し電極16が設けられている。第一電極1と外部電源(不図示)とは、取り出し電極16を介して、電気的に接続される。有機EL素子100は、発生させた光(発光光h)を、少なくとも樹脂基板13側の光取り出し面13aから取り出すように構成されている。
また、有機EL素子100の層構造は、特に限定されることはなく、一般的な層構造であって良い。有機機能層の構成の一例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。なお、本発明の有機EL素子においては、有機機能層ユニット3が、異なる発光色の発光層を複数有する。
(i)正孔注入輸送層/発光層/電子注入輸送層
(ii)正孔注入輸送層/第1発光層/第2発光層/電子注入輸送層
(iii)正孔注入輸送層/第1発光層/中間層/第2発光層/電子注入輸送層
(iv)正孔注入輸送層/発光層/正孔阻止層/電子注入輸送層
(v)正孔注入輸送層/電子阻止層/発光層/正孔阻止層/電子注入輸送層
(vi)正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層
(vii)正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層
(viii)正孔注入層/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層
図1に示す有機EL素子100の構成を一例として、その詳細を説明する。
図1に示す具体的な構成においては、第一電極1がアノード(すなわち陽極)として機能し、第二電極5aがカソード(すなわち陰極)として機能することとする。この場合、例えば、有機機能層ユニット3は、アノードである第一電極1側から順に正孔注入層3a/正孔輸送層3b/発光層3c/電子輸送層3d/電子注入層3eを積層した構成が例示されるが、このうち、少なくとも有機材料を用いて構成された発光層3cを有することが必須である。正孔注入層3a及び正孔輸送層3bは、正孔輸送注入層として設けられても良い。同様に、電子輸送層3d及び電子注入層3eは、電子輸送注入層として設けられても良い。また、これらの有機機能層ユニット3のうち、例えば、電子注入層3eは無機材料で構成されている場合もある。
また、有機機能層ユニット3は、これらの層の他にも正孔阻止層や電子阻止層等が必要に応じて積層されていても良い。更に、発光層3cは、各波長領域の発光光を発生させる各色発光層を有し、これらの各色発光層を、非発光性の中間層を介して積層させた構造としても良い。中間層は、正孔阻止層、電子阻止層として機能しても良い。更に、カソードである第二電極5aも、必要に応じた積層構造であっても良い。このような構成において、第一電極1と第二電極5aとで有機機能層ユニット3が挟持された部分のみが、有機EL素子100における発光領域となる。
また、以上のような層構成においては、第一電極1の低抵抗化を図ることを目的として、第一電極1の電極層1bに接して補助電極15が設けられていても良い。
以上のような構成の有機EL素子100は、有機材料等を用いて構成された有機機能層ユニット3の劣化を防止することを目的として、樹脂基板13上において、後述する封止材17で封止されている。この封止材17は、接着剤19を介して樹脂基板13に固定されている。ただし、第一電極1(取り出し電極16)及び第二電極5aの端子部分は、樹脂基板13上において有機機能層ユニット3によって互いに絶縁性を保った状態で封止材17から露出させた状態で設けられていることとする。
また、本発明の有機EL素子100は、有機機能層ユニット3の所定領域に、光が照射されることにより、少なくとも2層の発光層のうちのいずれかにおいて当該光照射部分が非発光領域とされているものである。
《樹脂基板》
本発明の有機EL素子に適用する樹脂基板(以下、基体、基材、支持体等ともいう)において、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また、透明であっても不透明であっても良い。樹脂基板側から光を取り出す場合には、樹脂基板は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な樹脂基板としては、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な透明樹脂フィルムである。
図1における樹脂基板13は基本的に、支持体としての樹脂基材と、屈折率が1.4〜1.7の範囲内にある1層以上のガスバリアー層とで、構成されていることが好ましい。
(1)樹脂基材
本発明に係る樹脂基材は、従来公知の樹脂フィルム基材を特に制限なく使用できる。本発明で好ましく用いられる樹脂基材は、有機EL素子に必要な耐湿性及び耐気体透過性等のガスバリアー性能を有することが好ましい。
本発明において、有機EL素子100の樹脂基板13側が発光面となる場合には、樹脂基材には可視光に対して透光性を有する材料が用いられる。この場合、その光透過率は、70%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましく、80%以上であることが更に好ましい。
また、樹脂基材は可撓性を有するのが好ましい。ここでいう「可撓性」とは、φ(直径)50mmロールに巻き付け、一定の張力で巻取る前後で割れ等が生じることのないことをいい、より好ましくはφ30mmロールに巻き付け可能なことをいう。
本発明において、樹脂基材は、従来公知の基材であり、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ナイロン(Ny)、芳香族ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホネート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリオレフィン、エポキシ樹脂等の各樹脂フィルムが挙げられ、更に、シクロオレフィン系やセルロースエステル系のものも用いることができる。また、有機無機ハイブリッド構造を有するシルセスキオキサンを基本骨格とした耐熱透明フィルム(製品名Sila−DEC、チッソ株式会社製)、更には前記樹脂材料を2層以上積層して成る樹脂フィルム等を挙げることができる。
これらの中で、樹脂基材としては、コストや入手容易性の観点から、PET、PEN、PC、アクリル樹脂等の樹脂フィルムが好ましく用いられる。
中でも透明性、耐熱性、取り扱いやすさ、強度及びコストの点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムが好ましい。
更に、熱膨張時の収縮を最大限抑えるため、熱アニール等の処理を行った低熱収処理品が最も好ましい。
樹脂基材の厚さは10〜500μmが好ましく、より好ましくは20〜250μmであり、更に好ましくは30〜150μmである。樹脂基材の厚さが10〜500μmの範囲にあることで、安定したガスバリアー性を得られ、また、ロール・トゥ・ロール方式の搬送に適したものになる。
(2)ガスバリアー層
(2.1)特性及び形成方法
本発明に係る樹脂基板において、樹脂基板13の樹脂基材には、屈折率が1.4〜1.7の範囲内の1層以上のガスバリアー層(低屈折率層)が設けられていても良い。このようなガスバリアー層としては、公知の素材を特に制限なく使用でき、無機物又は有機物からなる被膜や、これらの被膜を組み合わせたハイブリッド被膜であっても良い。ガスバリアー層は、JIS−K−7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度90±2%RH)が0.01g/(m・24時間)以下のガスバリアー性フィルムであることが好ましく、また、JIS−K−7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/(m・24時間・atm)以下、水蒸気透過度が1×10−5g/(m・24時間)以下の高ガスバリアー性フィルムであることがより好ましい。
このようなガスバリアー層を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であれば良く、例えば、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素等を用いることができる。更に、当該ガスバリアー層の脆弱さを改良するため、これら無機層に、応力緩和層として有機材料からなる有機層を積層する構造としても良い。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させる構成が好ましい。
ガスバリアー層の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載の大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。
(2.2)無機前駆体化合物による形成方法
また、ガスバリアー層として、樹脂基材上に、少なくとも1層の無機前駆体化合物を含有する塗布液を塗布して塗膜を形成した後、当該塗膜にエキシマランプ等で改質処理を施して無機層を形成する方法であっても良い。
塗布方法としては、従来公知の湿式塗布方式を適用することができ、例えば、ローラーコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。
塗膜の厚さは、目的に応じて適切に設定され得る。例えば、塗膜の厚さは、乾燥後の層厚が好ましくは0.001〜10μmの範囲内であり、更に好ましくは0.01〜10μmの範囲内であり、最も好ましくは0.03〜1μmの範囲内となるように設定することが好ましい。
本発明に用いられる無機前駆体化合物とは、特定の雰囲気下で真空紫外線(エキシマ光)照射によって金属酸化物や金属窒化物や金属酸化窒化物を形成しうる化合物であれば特に限定されないが、本発明において、ガスバリアー層の形成に適する化合物としては、特開平8−112879号公報に記載されているように比較的低温で改質処理され得る化合物が好ましい。
具体的には、Si−O−Si結合を有するポリシロキサン(ポリシルセスキオキサンを含む)、Si−N−Si結合を有するポリシラザン、Si−O−Si結合とSi−N−Si結合の両方を含むポリシロキサザン等を挙げることができる。これらは2種以上を混合して使用することができる。また、異なる化合物を逐次積層したり、同時積層したりしても使用可能である。
《第一電極:透明電極》
本発明の有機EL素子を構成する第一電極は、通常、有機EL素子に使用可能な全ての電極を適用することができる。具体的には、アルミニウム、銀、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属、ITO、ZnO、TiO、SnO等の酸化物半導体等が挙げられる。
本発明においては、第一電極としては透明電極であることが好ましい。
例えば、図1に示すように、第一電極1は、樹脂基板13側から、下地層1aと、この上部に成膜された電極層1bとを順に積層した2層構造であることが好ましい。電極層1bは、例えば、銀又は銀を主成分とする合金を用いて構成された層であり、下地層1aは、例えば、窒素原子を含んだ化合物を用いて構成された層である。
なお、第一電極1でいう透明とは、波長550nmでの光透過率が50%以上であることをいう。また、電極層1bにおいていう主成分とは、電極層1b中の含有量が98質量%以上であることをいう。
(1)下地層
下地層1aは、電極層1bの樹脂基板13側に設けられる層である。下地層1aを構成する材料としては、特に限定されるものではなく、銀又は銀を主成分とする合金からなる電極層1bの成膜に際し、銀の凝集を抑制できるものであれば良く、例えば、窒素原子を含んだ含窒素化合物等が挙げられる。
下地層1aが、低屈折率材料(屈折率1.7未満)からなる場合、その層厚の上限としては、50nm未満である必要があり、30nm未満であることが好ましく、10nm未満であることが更に好ましく、5nm未満であることが特に好ましい。層厚を50nm未満とすることにより、光学的ロスを最小限に抑えられる。一方、層厚の下限としては、0.05nm以上が必要であり、0.1nm以上であることが好ましく、0.3nm以上であることが特に好ましい。層厚を0.05nm以上とすることにより、下地層1aの成膜を均一とし、その効果(銀の凝集抑制)を均一とすることができる。
下地層1aが、高屈折率材料(屈折率1.7以上)からなる場合、その層厚の上限としては特に制限はなく、層厚の下限としては上記低屈折率材料からなる場合と同様である。
ただし、単なる下地層1aの機能としては、均一な成膜が得られる必要膜厚で形成されれば十分である。
下地層1aの成膜方法としては、例えば、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法などのウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法など)、スパッタ法、CVD法等のドライプロセスを用いる方法等が挙げられる。中でも、蒸着法が好ましく適用される。
下地層1aを構成する窒素原子を含んだ化合物としては、分子内に窒素原子を含んでいる化合物であれば特に限定されないが、窒素原子をヘテロ原子とした複素環を有する化合物であることが好ましい。窒素原子をヘテロ原子とした複素環としては、例えば、アジリジン、アジリン、アゼチジン、アゼト、アゾリジン、アゾール、アジナン、ピリジン、アゼパン、アゼピン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾリン、ピラジン、モルホリン、チアジン、インドール、イソインドール、ベンゾイミダゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、カルバゾール、ベンゾ−C−シンノリン、ポルフィリン、クロリン、コリン等が挙げられる。
(2)電極層
電極層1bは、銀又は銀を主成分とした合金を用いて構成された層であって、下地層1a上に成膜される。
このような電極層1bの成膜方法としては、例えば、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法等のウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法など)、スパッタ法、CVD法等のドライプロセスを用いる方法等が挙げられる。中でも、蒸着法が好ましく適用される。
また、電極層1bは、下地層1a上に成膜することにより、電極層1b成膜後の高温アニール処理等がなくても十分に導電性を有することを特徴とするが、必要に応じて、成膜後に高温アニール処理等を行ったものであっても良い。
電極層1bを構成する銀(Ag)を主成分とする合金としては、例えば、銀マグネシウム(AgMg)、銀銅(AgCu)、銀パラジウム(AgPd)、銀パラジウム銅(AgPdCu)、銀インジウム(AgIn)等が挙げられる。
以上のような電極層1bは、銀又は銀を主成分とした合金の層が、必要に応じて複数の層に分けて積層された構成であっても良い。
更に、この電極層1bは、層厚が4〜9nmの範囲内にあることが好ましい。層厚が9nmより薄い場合には、層の吸収成分又は反射成分が少なく、第一電極1の透過率が大きくなる。また、層厚が4nmより厚い場合には、層の導電性を十分に確保することができる。
なお、以上のような下地層1aとこの上部に成膜された電極層1bとからなる積層構造の第一電極1は、電極層1bの上部が保護膜で覆われていたり、別の電極層が積層されていたりしても良い。この場合、第一電極1の光透過性を損なうことのないように、保護膜及び別の電極層が光透過性を有することが好ましい。
《有機機能層ユニット》
(1)発光層
有機機能層ユニット3には、少なくとも発光層3cが含まれる。
本発明の有機EL素子は、発光色が異なる複数の発光層を備えるものであるが、少なくとも異なる2色の発光色の発光層を備えていれば良く、これに加えて、当該2色のいずれかと同色の発光色の発光層を更に備えていても良い。例えば、有機EL素子は、青色発光層1層と赤色発光層1層とを備えているものとしても良いし、青色発光層2層と赤色発光層1層とを備えているものとしても良い。
本発明に用いられる発光層3cには、発光材料としてリン光発光化合物が含有されていることが好ましい。なお、発光材料として、蛍光材料が使用されても良いし、リン光発光化合物と蛍光材料とを併用しても良い。
発光層3cは、電極又は電子輸送層3dから注入された電子と、正孔輸送層3bから注入された正孔とが再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層3cの層内であっても発光層3cと隣接する層との界面であっても良い。
このような発光層3cとしては、含まれる発光材料が発光要件を満たしていれば、その構成には特に制限はない。また、同一の発光スペクトルや発光極大波長を有する層が複数層あっても良い。この場合、各発光層3c間には、非発光性の中間層(図示略)を有していることが好ましい。
発光層3cの層厚の総和は1〜100nmの範囲内にあることが好ましく、より低い駆動電圧を得ることができることから1〜40nmの範囲内であることがより好ましい。
なお、発光層3cの層厚の総和とは、発光層3c間に非発光性の中間層が存在する場合には、当該中間層も含む層厚である。ただし、複数の発光層ユニットを、中間コネクター層を介して積層する、いわゆるタンデム型素子の場合には、ここでいう発光層とは各発光ユニット内の発光層部分を指す。また、中間コネクター層の材料としては、電子輸送材料にN型材料をドープしたものや、アルカリ金属、アルカリ土類金属、それらの金属錯体等を用いることができる。
複数層を積層した構成の発光層3cの場合、個々の発光層の層厚としては、1〜50nmの範囲内に調整することが好ましく、更に、1〜20nmの範囲内に調整することがより好ましい。積層された複数の発光層が、青、緑、赤のそれぞれの発光色に対応する場合、青、緑、赤の各発光層の層厚の関係については、特に制限はない。
以上のような発光層3cは、公知の発光材料やホスト化合物を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法等の公知の薄膜形成方法により成膜して形成することができる。
また、発光層3cは、複数の発光材料を混合しても良い。
発光層3cの構成として、ホスト化合物(発光ホスト等ともいう。)、発光材料(発光ドーパントともいう。)及び光熱変換材料を含有し、発光材料より発光させることが好ましい。
本発明に適用可能な発光ドーパントとしては、例えば、国際公開第2005/076380号、国際公開第2010/032663号、国際公開第2008/140115号、国際公開第2007/052431号、国際公開第2011/134013号、国際公開第2011/157339号、国際公開第2010/086089号、国際公開第2009/113646号、国際公開第2012/020327号、国際公開第2011/051404号、国際公開第2011/004639号、国際公開第2011/073149号、特開2012−069737号公報、特開2009−114086号公報、特開2003−81988号公報、特開2002−302671号公報、特開2002−363552号公報等に記載の化合物を挙げることができる。
また、ホスト化合物としては、例えば、特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報、米国特許公開第2003/0175553号明細書、米国特許公開第2006/0280965号明細書、米国特許公開第2005/0112407号明細書、米国特許公開第2009/0017330号明細書、米国特許公開第2009/0030202号明細書、米国特許公開第2005/238919号明細書、国際公開第2001/039234号、国際公開第2009/021126号、国際公開第2008/056746号、国際公開第2004/093207号、国際公開第2005/089025号、国際公開第2007/063796号、国際公開第2007/063754号、国際公開第2004/107822号、国際公開第2005/030900号、国際公開第2006/114966号、国際公開第2009/086028号、国際公開第2009/003898号、国際公開第2012/023947号、特開2008−074939号公報、特開2007−254297号公報、EP第2034538号明細書等に記載されている化合物を挙げることができる。
(1.1)光熱変換材料
本発明の有機EL素子の複数の発光層のうち少なくとも1層に含有される光熱変換材料は、光を吸収し、熱に変換する材料である。この光熱変換材料の極大吸収波長に対応する波長の光を有機EL素子に照射することで、光熱変換材料が加熱され、当該光熱変換材料を含有する発光層の発光材料がガラス転移点以上に加熱されアモルファスな層から結晶性の層へと変換される。これにより、光熱変換材料を含有する発光層のうち当該光照射領域が非発光となる。光熱変換材料の極大吸収波長は、有機EL素子の発光色への影響を小さくするため、750nm以上1200nm以下の波長範囲内であることが好ましい。
光熱変換材料は、可視光領域の波長成分を吸収しないことが好ましいが、ごく僅かに緑色や灰色に着色していても良い。
発光層を蒸着法で形成する場合、光熱変換材料としては、各種の有機又は無機の染料、色素、金属、金属錯体、金属酸化物、金属炭化物、金属ホウ化物等が用いられる。
光熱変換材料として用いられる有機材料としては、例えば、シアニン系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、メロシアニン系化合物、アゾ系化合物、ポリメチン系化合物、スクアリリウム系化合物、クロコニウム系化合物、ピリリウム系化合物、チオピリリウム系化合物、ペリレン系化合物、クォタリレン系化合物、ジインモニウム系化合物、ピロロピロール系化合物、ジチオール金属錯体、ジチオレン金属錯体等を挙げることができる。これらの1種又は必要に応じて2種以上を用いることができる。
光熱変換材料としては、蒸着法に対する安定性に優れる観点から、非イオン性の材料が好ましい。非イオン性の光熱変換材料としては、例えば、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ペリレン系化合物、クォタリレン系化合物が挙げられる。市販の材料としては、クォタリレン系化合物としては「Lumogen IR−765」、ペリレン系化合物としては「LumogenIR−788」(いずれも商品名、BASF社製)、フタロシアニン系化合物としては「イーエクスカラーIR−10」、「イーエクスカラーIR−12」、「イーエクスカラーIR−14」、「イーエクスカラーIR−20」、「イーエクスカラーHA−1」、「イーエクスカラーHA−14」(いずれも商品名、日本触媒社製)、「PRO−JET800NP」、「PRO−JET830NP」(いずれも商品名、富士フイルム社製)、「YKR−3070」、「YKR−3080」(いずれも商品名、山本化成社製)等が挙げられる。
これらの光熱変換材料は、発光層中に0.05〜10体積%の範囲で含有することが好ましく、特に好ましくは0.1〜5体積%の範囲である。光熱変換材料の含有量を0.05体積%以上とすることで、光熱変換材料に光を照射することで発光層の発光機能を十分に変化させることができ、10体積%以下とすることで、光熱変換材料に光を照射したときの発光層の温度を調整しやすい。
また、複数の発光層にそれぞれ極大吸収波長の異なる光熱変換材料を含有させても良い。この場合、複数の発光層にそれぞれ含有される各光熱変換材料の極大吸収波長に対応する波長の光をそれぞれ照射する。これにより、封止後の有機EL素子に対して、各発光層に選択的に発光パターンを形成することができる。このような場合、それぞれの発光層に含有させる光熱変換材料の極大吸収波長は互いに30nm以上離れていることが好ましい。互いの極大吸収波長の差が30nm未満であると、吸収波形がブロードな光熱変換材料の場合、光を照射した発光層が全て非発光となってしまう可能性がある。
なお、発光層に含有される光熱変換材料の種類及び含有量は、上記した範囲であることが好ましいが、発光層の層厚や発光層を構成する発光材料に応じて適宜設定されるものであり、上記範囲に限定されるものではない。
(1.2)発光層材料のガラス転移点
本発明の有機EL素子の発光層に用いられる材料は、保存性の観点から、ガラス転移点が100℃以上であることが好ましく、より好ましくは110℃以上である。ガラス転移点が100℃未満の場合、長期の保存で輝度の低下や、発光時の素子内部の熱の影響による寿命の劣化が起きやすくなる。
本発明では、光熱変換材料がレーザーの光を吸収することで、瞬間的に非常に高い温度で加熱される。そのため、発光層がガラス転移点の高い発光材料で構成されていても、パターン形成を行うことができ、材料の制限なく2色以上の発光パターンを有する有機EL素子とすることができる。
(2)注入層
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と発光層3cの間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に、その詳細が記載されており、正孔注入層3aと電子注入層3eとがある。
注入層は、必要に応じて設けることができる構成層である。正孔注入層3aであれば、アノードと発光層3c又は正孔輸送層3bの間、電子注入層3eであればカソードと発光層3c又は電子輸送層3dとの間に存在させても良い。
正孔注入層3aは、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニン層、酸化バナジウムに代表される酸化物層、アモルファスカーボン層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子層等が挙げられる。また、特表2003−519432号公報に記載される材料を使用することも好ましい。
電子注入層3eは、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属層、フッ化カリウムに代表されるアルカリ金属ハライド層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物層、酸化モリブデンに代表される酸化物層等が挙げられる。本発明においては、電子注入層3eはごく薄い層であることが望ましく、素材にもよるがその層厚は1nm〜10μmの範囲が好ましい。
(3)正孔輸送層
正孔輸送層3bは、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層3a、電子阻止層も正孔輸送層3bに含まれる。正孔輸送層3bは単層又は複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性のいずれかの特性を有するものであり、有機物、無機物のいずれであっても良い。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また、導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては、上記のものを使用することができるが、更に、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、例えば、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(略称:TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、更には米国特許第5061569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(略称:NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが三つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(略称:MTDATA)等が挙げられる。
更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.,Applied Physics Letters,80(2002),p.139に記載されているようないわゆる、p型正孔輸送材料を用いることもできる。本発明においては、より高効率の発光素子が得られることから、これらの材料を用いることが好ましい。
正孔輸送層3bは、上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層3bの層厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。この正孔輸送層3bは、上記材料の1種又は2種以上からなる1層構造であっても良い。
また、正孔輸送層3bの材料に不純物をドープして輸送性を高くすることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
(4)電子輸送層
電子輸送層3dは、電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層3e、正孔阻止層(図示略)も電子輸送層3dに含まれる。電子輸送層3dは単層構造又は複数層の積層構造として設けることができる。
単層構造の電子輸送層3d、及び、積層構造の電子輸送層3dにおいて、発光層3cに隣接する層部分を構成する電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、カソードより注入された電子を発光層3cに伝達する機能を有していれば良い。このような材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン、アントロン誘導体及びオキサジアゾール誘導体等が挙げられる。更に、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送層3dの材料として用いることができる。更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(略称:Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送層3dの材料として用いることができる。
その他、メタルフリー若しくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送層3dの材料として好ましく用いることができる。また、発光層3cの材料としても例示されるジスチリルピラジン誘導体も電子輸送層3dの材料として用いることができるし、正孔注入層3a、正孔輸送層3bと同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送層3dの材料として用いることができる。
電子輸送層3dは、上記材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。電子輸送層3dの層厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。電子輸送層3dは上記材料の1種又は2種以上からなる1層構造であっても良い。
また、電子輸送層3dに不純物をドープし、輸送性を高くすることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。更に電子輸送層3dには、カリウムやカリウム化合物などを含有させることが好ましい。カリウム化合物としては、例えば、フッ化カリウム等を用いることができる。このように電子輸送層3dのn性を高くすると、より低消費電力の素子を作製することができる。
また電子輸送層3dの材料(電子輸送性化合物)として、上述した下地層1aを構成する材料と同様のものを用いても良い。これは、電子注入層3eを兼ねた電子輸送層3dであっても同様であり、上述した下地層1aを構成する材料と同様のものを用いても良い。
(5)阻止層
阻止層としては正孔阻止層及び電子阻止層が挙げられ、有機機能層ユニット3として、上記各機能層の他に、更に設けられていても良い。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
正孔阻止層とは、広い意味では、電子輸送層3dの機能を有する。正孔阻止層は、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、前記電子輸送層3dの構成を必要に応じて、正孔阻止層として用いることができる。正孔阻止層は、発光層3cに隣接して設けられていることが好ましい。
一方、電子阻止層とは、広い意味では、正孔輸送層3bの機能を有する。電子阻止層は、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、前記正孔輸送層3bの構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。本発明において、正孔阻止層の層厚としては、好ましくは3〜100nmの範囲内であり、更に好ましくは5〜30nmの範囲内である。
《第二電極》
第二電極(対向電極)5aは、有機機能層ユニット3に電子を供給するカソードとして機能する電極膜であり、金属、合金、有機又は無機の導電性化合物、及びこれらの混合物により構成されている。具体的には、アルミニウム、銀、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属、インジウムドープ酸化スズ(ITO)、ZnO、TiO、SnO等の酸化物半導体等が挙げられる。
第二電極5aは、これらの導電性材料を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより作製することができる。また、第二電極5aとしてのシート抵抗は、数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常5nm〜5μmの範囲内、好ましくは5〜200nmの範囲内で選ばれる。
なお、この有機EL素子100が、第二電極5a側からも発光光hを取り出すものである場合であれば、上述した導電性化合物のうち、光透過性の良好な導電性化合物を選択して第二電極5aを構成すれば良い。
《取り出し電極》
取り出し電極16は、第一電極1と外部電源とを電気的に接続するものであって、その材料としては特に限定されるものではなく、公知の電極材料を好適に使用できるが、例えば、3層構造からなるMAM電極(Mo/Al・Nd合金/Mo)等の金属膜を用いることができる。
《補助電極》
補助電極15は、第一電極1の抵抗値を下げる目的で設けるものであって、第一電極1の電極層1bに接して設けられる。補助電極15を形成する材料は、金、白金、銀、銅、アルミニウム等の抵抗値が低い金属材料が好ましい。これらの金属材料は、光透過性が低いため、光取り出し面13aからの発光光hの取り出しの影響のない範囲でパターン形成される。
このような補助電極15の形成方法としては、例えば、蒸着法、スパッタリング法、印刷法、インクジェット法、エアロゾルジェット法等が挙げられる。補助電極15の線幅は、光を取り出す開口率の観点から50μm以下であることが好ましく、補助電極15の厚さは、導電性の観点から1μm以上であることが好ましい。
《封止材》
図1に示すように、有機EL素子100において、封止材17は、当該有機EL素子100の表示領域を覆うように配置されておればよく、凹板状でも、平板状でも良い。また、透明性及び電気絶縁性は特に限定されない。
図1に記載の封止材17を例に詳細を説明する。封止材17は、有機EL素子100を覆うものであって、板状(フィルム状)の封止材で、接着剤19によって樹脂基板13側に固定されるものであっても良く、また、封止膜であっても良い。このような封止材17は、例えば、図1に例示するように、有機EL素子100における第一電極1に接続している取り出し電極16及び第二電極5aの端子部分を露出させ、少なくとも有機機能層ユニット3を覆う状態で設けられている。また、封止材17に電極を設け、有機EL素子100の第一電極1及び第二電極5aの端子部分と、この電極とを導通させるような構成であっても良い。
板状(フィルム状)の封止材を構成する材料としては、例えば、ガラス板、ポリマー板/フィルム、金属板/フィルム等が挙げられる。ガラス板としては、例えば、ソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー板としては、例えば、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。金属板としては、例えば、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブテン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる一種以上の金属又は合金からなるものが挙げられる。
中でも、素子を薄膜化できるということから、封止材17としてポリマー基板や金属基板を薄型のフィルム状にしたものを好ましく使用することができる。
更には、フィルム状としたポリマー基板は、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/(m・24h・atm)以下、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m・24h)以下のものであることが好ましい。
また、以上のような基板材料は、凹板状に加工して封止材17として用いても良い。この場合、上述した基板部材に対して、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等の加工が施され、凹状が形成される。
また、図1に記載のように、板状の封止材17を樹脂基板13側に固定するための接着剤19としては、封止材17と樹脂基板13との間に挟持された有機EL素子100を封止するためのシール剤として用いられる。このような接着剤19は、具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。
また、このような接着剤19としては、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
なお、有機EL素子100を構成する有機材料は、熱処理により劣化する場合がある。このため、接着剤19は、室温から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、接着剤19中に乾燥剤を分散させておいても良い。
封止材17と樹脂基板13との接着部分への接着剤19の塗布は、市販のディスペンサーを使っても良いし、スクリーン印刷のように印刷しても良い。
また、板状の封止材17と樹脂基板13と接着剤19との間に隙間が形成される場合、この間隙には、気相及び液相では、窒素、アルゴン等の不活性気体やフッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また、真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。
吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、ヨウ化バリウム、ヨウ化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
一方、封止材17として封止膜を用いる場合、有機EL素子100における有機機能層ユニット3を完全に覆い、かつ有機EL素子100における第一電極1及び第二電極5aの端子部分を露出させる状態で、樹脂基板13上に封止膜が設けられる。
このような封止膜は、無機材料や有機材料を用いて構成される。特に、水分や酸素等、有機EL素子100における有機機能層ユニット3の劣化をもたらす物質の浸入を抑制する機能を有する材料で構成されることとする。このような材料として、例えば、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素等の無機材料が用いられる。更に、封止膜の脆弱性を改良するために、これら無機材料からなる膜とともに、有機材料からなる膜を用いて積層構造としても良い。
これらの膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。
《保護膜及び保護板》
なお、図1においてはその記載を省略したが、有機機能層ユニット3を挟み、樹脂基板13と対向する側の面には保護膜又は保護板を設けても良い。この保護膜又は保護板は、有機EL素子100を機械的に保護するためのものであり、特に封止材17が封止膜である場合には、有機EL素子100に対する機械的な保護が十分ではないため、このような保護膜又は保護板を設けることが好ましい。
以上のような保護膜又は保護板は、ガラス板、ポリマー板、これよりも薄型のポリマーフィルム、金属板、これよりも薄型の金属フィルム、又はポリマー材料膜や金属材料膜が適用される。このうち、特に、軽量かつ素子の薄膜化という観点からポリマーフィルムを用いることが好ましい。
《光取り出し技術》
有機EL素子は、空気よりも屈折率の高い層(屈折率1.6〜2.1程度の範囲内)の内部で発光し、発光層で発生した光のうち15%から20%程度の光しか取り出せないことが一般的に言われている。これは、臨界角以上の角度θで界面(樹脂基板と空気との界面)に入射する光は、全反射を起こし素子外部に取り出すことができないことや、透明電極ないし発光層と樹脂基板との間で光が全反射を起こし、光が透明電極ないし発光層を導波し、結果として、光が素子側面方向に逃げるためである。
この光の取り出しの効率を向上させる手段としては、例えば、樹脂基板表面に凹凸を形成し、樹脂基板と空気界面での全反射を防ぐ方法(例えば、米国特許第4774435号明細書)、基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(例えば、特開昭63−314795号公報)、素子の側面等に反射面を形成する方法(例えば、特開平1−220394号公報)、基板と発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(例えば、特開昭62−172691号公報)、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法(例えば、特開2001−202827号公報)、基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法(特開平11−283751号公報)、基板と発光体の間に有機層あるいは基板よりも高屈折率の散乱層を設ける方法などが挙げられる。
本発明においては、これらの方法を本発明の有機EL素子と組み合わせて用いることができる。
本発明の有機EL素子は、支持基板(基板)の光取り出し側に、例えばマイクロレンズアレイ上の構造を設けるように加工する方法、あるいは、いわゆる集光シートと組み合わせることにより、特定方向、例えば素子発光面に対し正面方向に集光する方法により、特定方向上の輝度を高めることもできる。
集光シートとしては、例えば液晶表示装置のLEDバックライトで実用化されているものを用いることが可能である。このようなシートとして例えば、住友スリーエム社製の輝度上昇フィルム(BEF)などを用いることができる。プリズムシートの形状としては、例えば基材に頂角90度、ピッチ50μmの△状のストライプが形成されたものであっても良いし、頂角が丸みを帯びた形状、ピッチをランダムに変化させた形状、その他の形状であっても良い。
また、有機EL素子からの光放射角を制御するために光拡散板・フィルムを、集光シートと併用しても良い。例えば、(株)きもと製拡散フィルム(ライトアップ)などを用いることができる。
なお、本発明の有機EL素子においては、本発明に係る有機機能層ユニット間に、中間電極を設けた構成であっても良い。
《有機EL素子の製造方法》
本発明の有機EL素子の製造方法は、一対の電極間に、上記光熱変換材料が含有される発光層を少なくとも1層含む、発光色が異なる複数の発光層を積層して形成する工程(積層工程)と、光熱変換材料の極大吸収波長に対応する波長の光を照射することで、光熱変換材料が含有される発光層を加熱して発光機能を変化させ、発光パターンを形成する工程(光照射工程)と、を有する。
本発明の有機EL素子の製造方法における積層工程では、樹脂基板上に、第一電極、有機機能層ユニット及び第二電極等を順次積層して、上記したような有機EL素子を形成する。有機機能層ユニットの形成においては、発光色が異なる複数の発光層を積層する。
また、本発明の有機EL素子の製造方法においては、発光色が異なる複数の発光層のうち少なくとも1層に、光熱変換材料を含有させる。具体的には、発光材料及び光熱変換材料を用いて、従来の成膜方法と同様の方法で成膜を行うことにより、光熱変換材料を含有する発光層を形成することができる。
本発明の有機EL素子の製造方法における光照射工程では、積層工程により形成された有機EL素子の発光面のうち所定領域に対して光を照射し、光熱変換材料が含有される発光層のうち当該光照射領域を加熱することにより、当該光照射領域の発光機能を変化させる。これにより、光熱変換材料が含有される発光層のうち光照射領域において発光輝度が変化し、発光面に所定形状の発光パターンが形成された有機EL素子を製造することができる。
光照射工程において、照射される光としては、具体的には、例えば、レーザーが用いられ、光熱変換材料の極大吸収ピークに合わせて適宜、市販のレーザーから選択することができる。レーザーの波長としては、光熱変換材料の吸収ピークに合わせて、近赤外から赤外領域から選択できるが、特に、780nm以上1100nm以下の波長範囲で発光するレーザーが好ましい。有機EL素子の透明電極に通常使用されるITO電極は、赤外領域の波長の光を吸収するため、有機EL素子がITO電極を有する場合には、1100nm以上の波長のレーザーではパターン形成しにくい。したがって、その場合には、1100nm未満の波長のレーザーでパターン形成することが好ましい。また、反射電極を用いた有機EL素子へのパターン形成は、封止後、反射電極とは反対側の透明電極側から光照射することが好ましい。反射電極を用いない有機EL素子へのパターン形成は、陽極、陰極のどちら側から光を照射して良い。封止後にパターン形成を行う場合は、製造時のタクトタイムへの影響もないため好ましい。
光照射工程において、光の照射方法は、半導体レーザーを用いてコンピュータからの信号に応じて有機ELパネル上にパターン形成が可能な装置を用いても良い。コンピュータからの信号を用いてパターン形成する場合、写真や図柄等の任意の画像を精細にパターン化することができる。また、ピコ秒レーザーやフェムト秒レーザー等のパルスレーザーを用いてパターン形成を行っても良い。パルス幅の短いレーザーは周囲への熱の拡散を押さえることができるため、層厚の薄い有機EL素子には好適に使用することができる。
また、本発明の有機EL素子の光照射工程は、有機機能層ユニットを形成した後、封止処理を施す前でも後でも良い。特に、封止処理を施して有機EL素子を作製し、当該有機EL素子に光照射を行って発光エリアのパターニングを行うことが、封止済みの有機EL素子を大気に曝した状態で光照射を行うことができるため、光照射工程の簡略化及び製造コストの低減を図ることができる。また、有機EL素子を大気に曝した状態で光照射を行えるため、減圧密着する等により有機EL素子を平坦にした状態で光照射工程を行うことができ、精度良く非発光領域を形成することができる観点でも好ましい。
また、光熱変換材料を含有する発光層を形成した後、当該発光層上に別の層を形成する前に、当該発光層に対して光照射を行って発光パターンを形成するものとしても良い。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「体積%」を表す。
(有機EL素子101の作製)
まず、プラズマCVD法による成膜を行うCVD装置を用いて、厚さ188μmのPETフィルム(東レフィルム加工社製 ポリエチレンテレフタレートフィルム「ルミナイス」)の透明支持基板表面に、ガスバリアー膜として窒化ケイ素膜を膜厚100nmで成膜した。
その後、陽極として、酸化インジウムスズ(ITO;Indium Tin Oxide)を150nmの厚さで製膜し、パターニングを行った後、このITO透明電極を付けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
この透明支持基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、Bayer製、Baytron P Al 4083)を純水で70%に希釈した溶液を3000rpm、30秒でスピンコート法により製膜した後、130℃にて1時間乾燥し、層厚30nmの正孔注入層を形成した。
正孔注入層を形成した後、この透明支持基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定した。
真空蒸着装置内の蒸着用るつぼの各々に、各層の構成材料を各々素子作製に最適の量、充填した。蒸着用るつぼはモリブデン製又はタングステン製の抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
次いで、真空度1×10−4Paまで減圧した後、下記化合物1(ガラス転移点(Tg)=140℃)を蒸着し、層厚40nmの正孔輸送層を形成した。
Figure 0006252590
次いで、下記化合物2(Tg=189℃)が92体積%、下記化合物3が5体積%、光熱変換材料としてのイーエクスカラーIR−14(日本触媒社製)が3体積%となるようにそれぞれ蒸着し、青色発光を呈する層厚10nmの蛍光発光層(青色発光層)を形成した。
Figure 0006252590
次いで、下記化合物4(Tg=143℃)が79体積%、下記化合物5が20体積%、下記化合物6が1体積%となるようにそれぞれ蒸着し、橙色発光を呈する層厚15nmのリン光発光層(橙色発光層)を形成した。
Figure 0006252590
次いで、上記化合物4を蒸着して、層厚10nmの正孔阻止層を形成した。
次いで、下記Alqを蒸着して、層厚30nmの電子輸送層を形成した。
Figure 0006252590
次いで、KFを蒸着して、層厚2nmの電子注入層を形成した。
更に、アルミニウムを蒸着して層厚150nmの陰極を形成し、有機EL素子を作製した。
次いで、上記素子の非発光面をガラスケースで覆い、ガラスケースの周囲にシール材としてエポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラクストラックLC0629B)を適用し、これを陰極側に重ねて透明支持基板と密着させ、ガラスケース側からUV光を照射して硬化させ、封止した。
なお、ガラスケースでの封止作業は、有機EL素子を大気に接触させることなく窒素雰囲気下のグローブボックス(純度99.999%以上の高純度窒素ガスの雰囲気下)で行った。
(有機EL素子102の作製)
有機EL素子101の作製において、橙色発光層を、化合物4が76体積%、化合物5が20体積%、化合物6が1体積%、光熱変換材料としてのイーエクスカラーIR−20が3体積%(日本触媒社製)となるようにそれぞれ蒸着して形成した以外は同様にして、有機EL素子102を作製した。
(有機EL素子103の作製)
有機EL素子102の作製において、橙色発光層を形成した後、正孔阻止層を形成する前に、化合物4が77体積%、化合物5が20体積%、光熱変換材料としてのPRO−JET800NP(富士フイルム社製)が3体積%となるようにそれぞれ蒸着し、緑色発光を呈する層厚15nmのリン光発光層(緑色発光層)を形成した以外は同様にして、有機EL素子103を作製した。
(有機EL素子104の作製)
上記有機EL素子101の作製と同様にして、ガスバリアー膜を付与した透明支持基板上に、陽極として、ITO(インジウムチンオキシド)を150nmの厚さで製膜し、パターニングを行った後、このITO透明電極を付けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
この透明支持基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、Bayer製、Baytron P Al 4083)を純水で70%に希釈した溶液を3000rpm、30秒でスピンコート法により製膜した後、130℃にて1時間乾燥し、層厚30nmの正孔注入層を形成した。
正孔注入層を形成した後、この透明支持基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定した。
真空蒸着装置内の蒸着用るつぼの各々に、各層の構成材料を各々素子作製に最適の量、充填した。蒸着用るつぼはモリブデン製又はタングステン製の抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
次いで、真空度1×10−4Paまで減圧した後、前記化合物1(Tg=140℃)を蒸着し、層厚40nmの正孔輸送層を形成した。
次いで、前記化合物2(Tg=189℃)が92体積%、前記化合物3が5体積%、光熱変換材料としてのイーエクスカラーIR−14(日本触媒社製)が3体積%となるようにそれぞれ蒸着し、青色発光を呈する層厚30nmの蛍光発光層(青色発光層)を形成した。
次いで、Alqを蒸着して、層厚30nmの電子輸送層を形成した。
次いで、Liを蒸着して、層厚0.5nmのLi層を形成した後、下記化合物7を蒸着して、層厚15nmの正孔注入層を形成した。
Figure 0006252590
次いで、前記化合物1を蒸着して、層厚40nmの正孔輸送層を形成した。
次いで、前記化合物4(Tg=143℃)が79体積%、前記化合物5が20体積%、前記化合物6が1体積%となるようにそれぞれ蒸着し、橙色発光を呈する層厚30nmのリン光発光層(橙色発光層)を形成した。
次いで、Alqを蒸着して、層厚30nmの電子輸送層を形成した。
次いで、KFを蒸着して、層厚2nmの電子注入層を形成した。
更に、アルミニウムを形成して層厚150nmの陰極を形成し、タンデム型の有機EL素子104を作製したのち、有機EL素子101と同様に封止をした。
(有機EL素子105の作製)
有機EL素子104の作製において、橙色発光層を、前記化合物4(Tg=143℃)が76体積%、前記化合物5が20体積%、前記化合物6が1体積%、光熱変換材料としてのイーエクスカラーIR−20が3体積%(日本触媒社製)となるようにそれぞれ蒸着し、形成した以外は同様にして、有機EL素子105を作製した。
(有機EL素子101〜105のパターン形成)
作製した有機EL素子101〜107に対してレーザー露光装置を用いてパターン形成を行った。すなわち、有機EL素子101〜105をドラム支持体上に貼り付け、半導体レーザーを用いて2.5mW/mmでレーザー露光を行った。
ここで、図2A〜図2Fは、それぞれ有機EL素子の発光面を示した図であり、図2A〜図2Cは、有機EL素子の発光面のうちレーザー露光される領域を示している。また、図2D〜図2Fは、当該レーザー露光後の有機EL素子の発光パターンを示しており、図2Dが発光パターン1、図2Eが発光パターン2、図2Fが発光パターン3をそれぞれ示している。
発光層中に光熱変換材料としてIR−14(極大吸収波長:830nm)が含有されている場合には、波長830nmの半導体レーザーを用いて、図2Aに示すように領域A及びBに光を照射した。
発光層中に光熱変換材料としてIR−20(極大吸収波長:905nm)が含有されている場合には、波長904nmの半導体レーザーを用いて、図2Bに示すように領域B及びCに光を照射した。
発光層中に光熱変換材料としてPRO−JET800NP(極大吸収波長:775nm)が含有されている場合には、波長780nmの半導体レーザーを用いて、図2Cに示すように領域A〜Dに光を照射した。
(有機EL素子106の作製及びパターン形成)
有機EL素子101の作製と同様にして、有機EL素子106を作製し、封止した。
作製した有機EL素子106上に、パターンマスク及び紫外線吸収フィルター(五鈴精工硝子株式会社製)を配置した状態で減圧密着し、UVテスター(岩崎電気株式会社製、SUV−W151:100mW/cm)を用いて、図2Aに示すように領域A及びBに樹脂基板側から紫外線を3時間照射し、パターン化した。紫外線吸収フィルターは、320nm以下の波長成分の光の光透過率が50%以下のものを用いた。
(発光色の評価)
上記のようにして、発光パターンが形成された有機EL素子101〜106に対して、発光面の各領域の発光色を目視により確認した。その結果を表1に示す。
なお、光照射により、積層された複数の発光層の全てにおいて発光機能が変化された領域、すなわち複数の発光層の全てが非発光となった領域の発光色は、「黒」であるものとして評価を行った。
Figure 0006252590
表1に示すように、本発明の有機EL素子101〜105は、光熱変換材料を含有する発光層が選択的に非発光となっており、複数色の発光パターンが形成されていることが確認できる。
具体的には、有機EL素子101においては、青色発光層に極大吸収波長が830nmの光熱変換材料が含有されており、当該有機EL素子101の領域A及びBに波長830nmの光を照射したことで、領域A及びBにおいて青色発光層のみを非発光とすることができた。したがって、図2Dに示すように、領域A及びBにおいて橙色の発光パターンが形成され、領域C、D及びEにおいて青色と橙色の混色により白色の発光パターンが形成された(発光パターン1)。
また、有機EL素子102においては、青色発光層に極大吸収波長が830nmの光熱変換材料が含有され、橙色発光層に極大吸収波長905nmの光熱変換材料が含有されており、当該有機EL素子102の領域A及びBに波長830nmの光を照射し、領域B及びCに波長904nmの光を照射した。これにより、領域Aにおいて青色発光層のみを非発光とし、領域Bにおいて青色発光層及び橙色発光層の両方を非発光とし、領域Cにおいて橙色発光層のみを非発光とすることができた。したがって、図2Eに示すように、領域Aにおいて橙色の発光パターンが形成され、領域Cにおいて青色の発光パターンが形成され、領域D及びEにおいて青色と橙色の混色により白色の発光パターンが形成された(発光パターン2)。なお、領域Bは非発光(黒)となった。
また、有機EL素子103においては、青色発光層に極大吸収波長が830nmの光熱変換材料が含有され、橙色発光層に極大吸収波長905nmの光熱変換材料が含有され、緑色発光層に極大吸収波長775nmの光熱変換材料が含有されている。当該有機EL素子103の領域A及びBに波長830nmの光を照射し、領域B及びCに波長904nmの光を照射し、領域A〜Dに波長780nmの光を照射したことで、領域Aにおいて青色発光層及び緑色発光層を非発光とし、領域Bにおいて青色発光層、橙色発光層及び緑色発光層の全てを非発光とし、領域Cにおいて橙色発光層及び緑色発光層を非発光とし、領域Dにおいて緑色発光層のみを非発光とすることができた。したがって、領域Aにおいて橙色の発光パターンが形成され、領域Cにおいて青色の発光パターンが形成され、領域Dにおいて青色と橙色の混色により白色の発光パターンが形成され、領域Eにおいて青色と橙色と緑色の混色の発光パターンが形成された(発光パターン3)。具体的には、領域Eの発光色は、やや緑がかった白色を呈している。なお、領域Bは非発光(黒)となった。
有機EL素子104及び105においては、青色発光層と橙色発光層の間に他の有機機能層が介在されていても、各色の発光パターンが形成されていることが示されており、発光層同士の間に他の有機機能層が介在されている場合においても本発明を適用できることが示されている。
このように、本発明の有機EL素子は、用いられる発光材料に制限がなく、2色以上の発光パターンを有することが示された。
これに対し、比較例の有機EL素子106では、紫外線照射により領域A及びBにおいて青色発光層と橙色発光層の両方が非発光となっており、2色以上の発光パターンが形成されないことが示されている。
以上のように、本発明は、用いられる発光材料に制限がなく、2色以上の発光パターンを有する有機エレクトロルミネッセンス素子、及びそのような有機エレクトロルミネッセンス素子を製造する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法を提供することに適している。
1 第一電極
1a 下地層
1b 電極層
3 有機機能層ユニット
3a 正孔注入層
3b 正孔輸送層
3c 発光層
3d 電子輸送層
3e 電子注入層
5a 第二電極
13 樹脂基板
13a 光取り出し面
15 補助電極
16 取り出し電極
17 封止材
19 接着剤
100 有機EL素子
h 発光光

Claims (5)

  1. 一対の電極間に、発光色が異なる複数の発光層が挟持された有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
    前記複数の発光層のうち少なくとも1層に、光を吸収して熱に変換する光熱変換材料が含有され、
    前記光熱変換材料の極大吸収波長に対応する波長の光が照射されることで、前記光熱変換材料が含有される発光層が加熱されて発光機能が変化し、発光パターンが形成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 前記光熱変換材料が、750〜1200nmの波長範囲内に極大吸収波長を有することを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記光熱変換材料が、非イオン性の材料であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記複数の発光層のそれぞれに、極大吸収波長の異なる前記光熱変換材料が含有され、
    前記複数の発光層のそれぞれに含有される前記光熱変換材料の極大吸収波長に対応する波長の光がそれぞれ照射されることで、前記複数の発光層のそれぞれが加熱されて発光機能が変化し、複数の発光パターンが形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 一対の電極間に、光を吸収して熱に変換する光熱変換材料が含有される発光層を少なくとも1層含む、発光色が異なる複数の発光層を積層して形成する積層工程と、
    前記光熱変換材料の極大吸収波長に対応する波長の光を照射することで、前記光熱変換材料が含有される発光層を加熱して発光機能を変化させ、発光パターンを形成する光照射工程と、を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
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