JP6230393B2 - 紫芋もろみ蒸留粕抽出物 - Google Patents

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Description

本発明は、紫芋のもろみの蒸留粕から得られる抽出物に関する。
紫芋には、分子内に複数のフェノール性ヒドロキシ基をもつポリフェノールが多量に含まれている。ポリフェノールは、鮮明な紫色を発色させる原因物質であるが、動脈硬化や脳梗塞を防ぐ抗酸化作用、ホルモン促進作用などの機能を有することも最近報告されている。
特に、特許文献1においては、固形紫芋焼酎粕に抗酸化効果があることが記載されている。
特開2008−092912
本発明は、従来の抗酸化素材に比べ、より好適な抗酸化素材を提供することを課題とする。
本発明者らは、紫芋のもろみを蒸留して得た蒸留粕をアルコール抽出して得たアルコール抽出物が、優れた抗酸化効果を奏することを見出し、さらに改良を重ねて本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は例えば以下の項に記載の主題を包含する。
項1.
紫芋のもろみを蒸留して得た蒸留粕をアルコール抽出して得たアルコール抽出物。
項2.
前記アルコールが、エタノールである、項1に記載のアルコール抽出物。
項3.
項1又は2に記載のアルコール抽出物(好ましくは抽出濃縮物)を水溶性溶媒抽出して得た水溶性溶媒抽出物。
項4.
項1又は2に記載のアルコール抽出物(好ましくは抽出濃縮物)をアセトン又はヘキサンで抽出して得た抽出物。
項5.
項1〜4のいずれかに記載の抽出物を含む、抗酸化組成物。
項6.
紫芋のもろみを蒸留して得た蒸留粕のアルコール抽出物(好ましくは抽出濃縮物)をアセトン又はヘキサンで抽出することを含む、カフェ酸アルキルエステル濃縮物の製造方法。
項7.
紫芋のもろみを蒸留して得た蒸留粕のアルコール抽出物(好ましくは抽出濃縮物)をアセトン又はヘキサンで抽出して残渣を回収することを含む、セラミド濃縮物の製造方法。
本発明により、紫芋のもろみから得た蒸留粕をアルコール抽出して得たアルコール抽出物が提供される。当該アルコール抽出物は、優れた抗酸化効果を奏する。また、当該アルコール抽出物を濃縮し、アセトン又はヘキサンで抽出を行って得た抽出物も提供される。当該抽出物は、さらに優れた抗酸化効果を奏する。特に、これらのアルコール抽出やアセトン又はヘキサンによる抽出操作により、抗酸化効果を奏する成分(抗酸化成分)が濃縮されるので、好ましい。特に、意外なことに、当該手法により得られる抽出物には、紫芋そのものにはほとんど含まれない抗酸化成分が濃縮される。よって、本発明は、当該抗酸化成分濃縮物の製造方法も包含する。当該抗酸化成分濃縮物には、種々の成分含まれ得るが、特にカフェ酸アルキルエステルが好ましく濃縮されている。カフェ酸アルキルエステルは紫芋そのものにはほとんど存在しておらず、この点で本発明の製造方法によりカフェ酸アルキルエステル濃縮物が得られることは全く意外である。
紫芋焼酎粕アセトン抽出物の中性脂質クラスのTLC分析結果を示す。検出試薬は、A(左)が50%硫酸、B(右)が1mM DPPH試薬である。それぞれスポットは、1が脂肪酸エチル、2がトリグリセリド、3がα-トコフェロール、4が脂肪酸、5がステロールを示す。 紫芋焼酎粕又は黄芋焼酎粕のアセトン抽出物中の抗酸化成分のTLC分析結果を示す。検出試薬はDPPH、展開溶媒はクロロホルム/メタノール/水(65:16:2)である。Aは、焼酎粕(左レーン;黄芋焼酎粕、右レーン:紫芋焼酎粕)の分析結果を、Bは、紫芋(左レーン:生紫芋、右レーン:紫芋焼酎粕)の分析結果を、それぞれ示す。 図2のスポットXのTMS誘導体のGC−MS解析結果を示す。図中、A〜B、1〜4はそれぞれ次の結果を示している。A,:トータルイオンクロマト(TIC)、B:TIC拡大図、1:Bのピーク1、2:Bのピーク2、3:Bのピーク3、4:Bのピーク4。 カフェ酸アルキルエステルの質量スペクトル解析結果を示す。 紫芋又は黄芋の脂質濃縮物のラジカル消去活性の解析結果を示す。 紫芋焼酎粕セラミド濃縮物のTLC分析結果を示す。なお、展開溶媒は、クロロホルム/メタノール/水(90:10:1)である。また、セラミドNP、ASG、セラミドAP、SG、GCはそれぞれ、セラミドNP(ノルマル酸-ファイトスフィンゴシン)、アシルステリルグルコシド、セラミドAP(αヒドロキシ酸-ファイトスフィンゴシン)、ステリルグルコシド、グルコシルセラミド、を示す。 紫芋焼酎粕から得たセラミド濃縮物のセラミド含量をHPLCで解析した結果を示す。 紫芋焼酎粕から得たセラミド濃縮物のLC−MS/MS解析結果を示す。 図8の結果を基に、紫芋焼酎粕から得たセラミド濃縮物に含まれるフリーセラミドの分子種(スフィンゴイド塩基-脂肪酸)を分類した一覧を示す。
以下、本発明について、さらに詳細に説明する。
本発明は、紫芋のもろみから得た蒸留粕をアルコール抽出して得たアルコール抽出物に係る。
本発明で用いる紫芋は、中まで紫色をしている(すなわち、果肉色が紫色系である)サツマイモの一種であり、例えば、アヤムラサキ、エイムラサキ、ムラサキマサリ、ナカムラサキ、種子島紫、沖縄産紅芋、山川紫、パープルスイートロード、宮農36号、九州109号など好ましく例示できる。
紫芋のもろみは、紫芋に対して糖化反応を施し、アルコール発酵を行うことによって得られる。糖化反応後にアルコール発酵を行ってもよいし、糖化反応とアルコール発酵を同時に行ってもよい。糖化反応は麹を用いて行うことが好ましい。用いる麹としては、米麹あるいは芋麹(黒麹菌や白麹菌、黄麹菌など)が好ましく例示できる。また、アルコール発酵は、酵母を用いて行うことが好ましい。酵母としては、例えば、ワイン酵母、焼酎酵母、ビール酵母、清酒酵母等が挙げられ、中でも焼酎酵母が好ましい。特に芋焼酎製造に用いられる公知の酵母が好ましい。例えば、蒸煮した紫芋を、麹および酵母の存在下、温度10〜40℃で放置して、糖化とアルコール発酵を行わせ、もろみを製造することができる。
蒸留粕は、もろみを蒸留することにより得られる。具体的には、アルコール発酵後に蒸留を行い、蒸留液とその残渣である蒸留粕を得ることができる。蒸留粕は固液分離を行い、液部と固形部に分離してもよい。分離は、薮田式フィルタープレス、遠心分離法等により行うことができる。なお、蒸留前に固液分離を行い、液部と固形部を分離した後に、それぞれ蒸留してもよい。この場合、液部及び固形部から得られた残渣を併せて蒸留粕として用いてもよいが、固形部から得られた残渣のみを蒸留粕として用いることがより好ましい。なお、紫芋を用いて芋焼酎を製造する際のもろみから得られた粕(すなわち芋焼酎粕)を、本発明の蒸留粕として好ましく用いることができる。
蒸留粕は、そのままアルコール抽出に供してもよいが、蒸留粕をさらに固液分離することにより得られる固形部をアルコール抽出に供することが好ましい。特に、固形部をさらに乾燥処理して乾燥固形部とし、これをアルコール抽出に供することが好ましい。乾燥固形部は、水分が10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。乾燥法としては、例えば、ダブルドラムドライヤ、棚式通風乾燥機、スラリードライヤ、真空式ドラムドライヤ、真空乾燥機、凍結乾燥機、などが挙げられ、抗酸化成分の品質維持やコスト面から、ダブルドラムドライヤが中でも好適である。乾燥固形部は、アルコール抽出に供される前に粉砕処理を施して粉砕乾燥固形部としてもよい。粉砕処理は、ジェットミル、ハンマーミル、グラインダー、気流粉砕器、など短時間で高温を防止できる粉砕機を用いて行うことが好ましい。
アルコール抽出は、公知の方法により行うことができる。例えば、蒸留粕(固形部、乾燥固形部又は粉末乾燥固形部等であり得る)をアルコールに一晩、25〜45℃程度で、撹拌しつつ浸漬させる方法が例示できる。アルコール抽出に用いるアルコールとしては、炭素数1〜4のアルキルアルコールが好ましく、特にエタノールが好ましい。
アルコール抽出物は、アルコール抽出液そのものであってもよいし、当該抽出液を濃縮したもの(アルコール抽出濃縮物)であってもよい。当該濃縮物は、濃縮乾固されていてもよい。濃縮方法は特に制限されず、例えばエバポレーターを用いて濃縮乾固することができる。
本発明は、上記アルコール抽出濃縮物を水溶性溶媒で抽出して得た水溶性溶媒抽出物も包含する。水溶性溶媒としては、例えば、水、エタノール、又は水及びエタノールの混合溶媒が好ましい。当該水溶性溶媒を用いた抽出は、公知の方法により行うことができる。例えば、上記アルコール抽出濃縮物に水溶性溶媒を加え、静置又は撹拌することにより、水溶性溶媒抽出物を得ることができる。当該水溶性溶媒抽出物は、水溶性溶媒抽出液そのものであってもよいし、当該抽出液を濃縮したもの(水溶性溶媒抽出濃縮物)であってもよい。当該濃縮物は、濃縮乾固されていてもよい。濃縮方法は特に制限されず、例えばエバポレーターを用いて濃縮乾固することができる。
上記水溶性溶媒抽出物には、特にアントシアニン系の色素が多く含まれており(すなわち、濃縮されており)、当該抽出物は抗酸化組成物として好ましく用いることができる。また、当該抽出物と薬理学的又は食品衛生学的に許容される担体と組み合わせて、抗酸化組成物として用いることもできる。このような担体としては、公知のものを用いることができる。なお、当該抽出物を含む抗酸化組成物には、これらの抽出物からなる抗酸化組成物が包含される。
本発明は、また、上記アルコール抽出濃縮物をアセトン又はヘキサンで抽出して得た抽出物も包含する。アセトンで抽出して得た抽出物がより好ましい。当該アセトン又はヘキサンによる抽出は、公知の方法により行うことができる。例えば、上記アルコール抽出濃縮物(上記水溶性溶媒抽出作業後に残ったアルコール抽出濃縮物を用いることもできる)にアセトン又はヘキサンを加え、1又は複数回(例えば2〜4回)遠心分離(もしくは濾過)することにより、その上清(もしくは濾液)を回収して、抽出物として用いることができる。とくに制限されないが、遠心分離は、冷却(例えば4℃)して行われることが好ましい(特に、下述するように、セラミド濃縮物を得る場合には、冷却して行われることが好ましい)。当該抽出物は、抽出液(例えば上記上清)そのものであってもよいし、当該抽出液を濃縮したもの(抽出濃縮物)であってもよい。当該濃縮物は、濃縮乾固されていてもよい。濃縮方法は特に制限されず、例えばエバポレーターを用いて濃縮乾固することができる。
上記のアセトン又はヘキサンで抽出して得た抽出物には、抗酸化成分として知られる脂溶性ポリフェノール(例えば脂肪酸エチルエステルやカフェ酸アルキルエステル)が多く含まれており、(すなわち、濃縮されており)、当該抽出物は抗酸化組成物として好ましく用いることができる。また、当該抽出物と薬理学的又は食品衛生学的に許容される担体と組み合わせて、抗酸化組成物として用いることもできる。このような担体としては、公知のものを用いることができる。なお、当該抽出物を含む抗酸化組成物には、これらの抽出物からなる抗酸化組成物が包含される。
なお、これらの抽出物(特に上記のアセトン又はヘキサンで抽出して得た抽出物)には、抗酸化成分であるカフェ酸アルキルエステルが含まれていることを本発明者らは初めて見出した。カフェ酸アルキルエステルは、天然にはほとんど存在しない脂溶性抗酸化成分として知られている。また、抗腫瘍効果を奏することも知られている。従って、本発明は、紫芋のもろみを蒸留して得た蒸留粕のアルコール抽出濃縮物をアセトン又はヘキサンで抽出することを含む、カフェ酸アルキルエステル含有物又はカフェ酸アルキルエステルの製造方法、並びに、このようにして得られるカフェ酸アルキルエステル含有物も包含する。カフェ酸アルキルエステルとしては、炭素数12〜20のアルキルアルコールとカフェ酸(Caffeic acid)とのエステルが好ましい。当該炭素数12〜20のアルキルアルコールのなかでも、炭素数14〜18のものがより好ましく、炭素数16〜18のものがさらに好ましい。また、当該アルキルアルコールのアルキルは直鎖又は分岐鎖であり得るが、直鎖であることが好ましい。
またさらに、上記のようにアセトン又はヘキサンにより抽出して抽出物を得た後の残渣には、セラミドが濃縮されていることも本発明者らは見出した。セラミドは、肌の保湿や皮膚のバリア機能を強化する等の優れた効果を有することが知られている。従って、本発明は、紫芋のもろみを蒸留して得た蒸留粕のアルコール抽出濃縮物をアセトン又はヘキサンにより抽出して残渣を回収することを含む、セラミド濃縮物の製造方法も包含する。当該セラミド濃縮物には、グルコシルセラミドの他、特にフリーセラミドが多く含まれており、好ましい。セラミド濃縮物は、前記残渣そのものであってもよいし、当該残渣を例えば水やエタノールで(好ましくは着色が無くなるまで)洗浄した残渣であってもよい。また、当該残渣に乾燥処理が施されてもよい。
なお、上記アルコール抽出物は、上記水溶性溶媒抽出物、上記アセトン又はヘキサンによる抽出物、及び上記セラミド濃縮物の原料であり、これらの抽出物又は濃縮物が含有する成分を豊富に含んでいる。よって、当該アルコール抽出物は、そのまま抗酸化組成物として用いることができる。また、これらの抽出物又は濃縮物の原料として有用である。
さらには、本発明の抗酸化組成物は、上記アルコール抽出物、上記水溶性溶媒抽出物、上記アセトン又はヘキサンによる抽出物、又は上記セラミド濃縮物を含む組成物も包含しており、例えば医薬組成物、化粧品組成物、食品組成物、口腔用組成物等が具体例として挙げられる。当該組成物を適用することにより、抗酸化効果を好ましく得ることができる。また、これらの組成物は、例えば常法に従って製造することができる。
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。
紫芋の蒸留粕からの抽出
紫芋を原料とした焼酎粕から、薮田式フィルタープレスにより固液分離固体を得た。それをダブルドラムドライヤにより乾燥処理し、乾燥焼酎粕を調製した。1kgに3Lの99.5度のエタノールを添加して40℃で一晩撹拌抽出した。抽出後の固液分離は、24cmSUSロートと真空ポンプ付きのブフナーロート式の吸引ろ過により行った。ろ紙にはアドバンテックNo.1ろ紙を使用した。十分にろ過したエタノール溶液を、ナス型フラスコを用いてロータリーエバポレーターで濃縮乾固し、エタノール抽出濃縮物を得た。濃縮時のエタノールは回収した。
エタノール抽出濃縮物重量は66g(乾燥焼酎粕の6.6%)であった。次にエタノール抽出濃縮物(固形部)をアセトンで洗って遠心チューブに移し、4℃で冷却遠心分離(3000rpm×10min)した。得られたアセトン液層をアセトン抽出物とした。アセトン抽出物をロータリーエバポレーターで濃縮乾固し、アセトン抽出濃縮物を得た。その重量は11g(エタノール抽出濃縮物の17%)であった。遠心分離の沈殿物には、エタノール及び水を添加して15℃で遠心分離を行った。液層と沈殿部分とを分け、沈殿部分に対して再度同様の操作により遠心分離を行った。得られた遠心沈殿物には、アセトンを添加し、撹拌遠心をアセトンへの着色がなくなるまで繰り返した。得られた沈殿物(セラミド濃縮物)を乾燥処理をしてから回収した(エタノール抽出濃縮物の1.6%)。
なお、黄芋(コガネセンガン)焼酎粕を用いて、同様の抽出を行った。ただし、以下の解析に供したのは、特に断らない限り、紫芋焼酎粕から得た抽出物である。
アセトン抽出物中の抗酸化成分の解析
アセトン抽出濃縮物をクロロホルム/メタノール(2:1)に溶解してケイ酸TLCで分析した結果を図1に示す。展開溶媒としてヘキサン/ジエチルエーテル/酢酸(80:20:1)を用いて中性脂質クラスを検出すると(図1のA)、脂肪酸エチルエステルの大きなスポットが認められ、他に、脂肪酸、ステロール類が検出された。検出試薬としてラジカル剤であるDPPH溶液を噴霧すると(図1のB)、原点付近に強いラジカル消去活性を有する成分の存在が認められた。
また、アセトン抽出濃縮物をヘキサンで2回抽出し、ヘキサン層を水洗後に濃縮乾固し、ヘキサンに再溶解してGC-MS分析を行い、当該抽出物に含まれる脂肪酸エチルエステル(FAEE)の脂肪酸組成を調べた。結果を表1に示す。
Figure 0006230393
次にクロロホルム/メタノール/水(65:16:2)を展開溶媒として、極性脂質クラスを分析した(図2)。DPPH試薬による検出により、紫芋焼酎粕ではラジカル消去活性を有するスポットXとスポットYが認められたが、黄芋(コガネセンガン)焼酎粕では微量であった(図2のA)。また、本抗酸化成分は、原料芋にはほとんど認められず(図2のB)、紫芋焼酎粕に特異的に存在することが示された。このことから、抗酸化成分は、紫芋を用いて焼酎を製造する際、焼酎粕中に生成されることが分かった。
抗酸化成分の構造解析
アセトン抽出濃縮物をケイ酸TLCで分離し、上記スポットXを抽出・精製した。常法に従い、脂質をトリメチルシリル(TMS)エーテル誘導体としてGC-MS分析に供した(図3)。スポットXからは複数のピークが検出され、MS解析の結果から、多量成分であるピーク1 がカフェ酸ヘキサデシルエステル、ピーク4がカフェ酸オクタデシルエステルであることが分かった(図4)。
アセトン抽出物のラジカル消去活性
アセトン抽出濃縮物を2-プロパノールに溶解し、DPPHエタノール溶液中に添加してラジカル消去活性を比色定量した(図5)。紫芋焼酎粕由来アセトン抽出物は、反応系への1mgの添加量で黄芋焼酎粕アセトン抽出物の2.5倍の抗酸化活性を示した。また、紫芋焼酎粕アセトン抽出物1.5mgの抗酸化活性が、試薬純品のγ-オリザノール1.0mgの活性と同等であった。
セラミド濃縮物の解析
アルコール抽出物からのアセトン抽出物を得た後の残渣(当該残渣を、ここでは以下「セラミド濃縮物」と呼ぶ)をTLCで分析すると(図6)、グルコシルセラミドの他、フリーセラミドの大きなスポットが検出された。(焼酎粕中には原料となるサツマイモや麹菌に由来するグルコシルセラミドが含まれることは既に知られているが、自然界では極めて稀なフリーセラミドが濃縮されていた。)
HPLCを用いてセラミド濃縮物を定量すると、他の多く食品や食品残渣ではまったく検出されないフリーセラミドが、紫芋焼酎粕乾物100gあたり275mgと高濃度で含まれていた。また、グルコシルセラミドも他の原料よりも多く含まれていることも示された(図7)。
セラミド濃縮物をLC-MS/MSで構造解析すると、30種のセラミドピークが同定された(図8)。セラミドのスフィンゴイド塩基と脂肪酸との組合せにより5つのグループに分類すると、ファイトスフィンゴシンと超長鎖ヒドロキシ脂肪酸の結合したセラミドAPが大部分を占めていた(図9)。

Claims (6)

  1. 紫芋のもろみから得た蒸留粕のアルコール抽出物の、アセトン又はヘキサン抽出物を含む、抗酸化組成物。
  2. 前記アルコールが、エタノールである、請求項1に記載の抗酸化組成物。
  3. カフェ酸アルキルエステルを含む、請求項1又は2に記載の抗酸化組成物。
  4. 医薬組成物、化粧品組成物、食品組成物、又は口腔用組成物である、請求項1〜3のいずれかに記載の抗酸化組成物。
  5. 紫芋のもろみを蒸留して得た蒸留粕のアルコール抽出物をアセトン又はヘキサンで抽出することを含む、カフェ酸アルキルエステル濃縮物の製造方法。
  6. 前記アルコールが、エタノールである、請求項5に記載の製造方法。
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