JP6200667B2 - セラミックス材料用金属ペースト組成物 - Google Patents
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本発明に係る金属ペースト組成物に用いられる(A)金属粉末は、セラミックス材料と金属材料とを接着する分野で公知の導電性の金属粒子(導電性金属粉末)であればよく、その具体的構成は特に限定されないが、周期表第10族および第11族の金属元素、すなわち、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、ニッケル(Ni)からなる群より選択される少なくとも1種の金属粉末であることが好ましい。
本発明に係る金属ペースト組成物に用いられる(B)ガラスフリットは、セラミックス材料と金属材料とを接着する分野で公知のガラス材料により構成されればよい。本発明においては、鉛を含有しないガラス材料からなるガラスフリットであっても、セラミックス材料と金属材料との接着箇所が良好な接着性を示すので、環境に与える影響を軽減する観点から、鉛の含有量ができるだけ少ないガラス材料により構成されることが好ましく、鉛を含有しないガラス材料により構成されることが特に好ましい。鉛を含有しないガラス材料としては、具体的には、例えば、B2O3−SiO2系、B2O3−SiO2−CaO系、B2O3−SiO2−Al2O3系等を挙げることができる。
本発明に係る金属ペースト組成物に用いられる(C)活性金属は、公知の活性金属、すなわち、高温環境下で、酸素、水素、炭素、または窒素等の元素に対して容易に結合しやすい(強い親和性を呈する)金属であればよい。
[(D)ビヒクル]
本発明に係る金属ペースト組成物に用いられる(D)ビヒクルは、各種金属ペースト組成物の分野で公知のビヒクルを好適に用いることができる。具体的には、例えば、エポキシ系、ウレタン系、アクリル系、エチルセルロース系、フェノール系、エステル系等の一般的な有機ビヒクルを挙げることができる。これら有機ビヒクルは1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
本発明に係る金属ペースト組成物に用いられる(E)溶剤は、各種金属ペースト組成物の分野で公知の有機溶剤を好適に用いることができる。
本発明に係る金属ペースト組成物では、前述した(A)〜(E)の成分に加えて、さらに(F)金属ナノ粒子または金属錯体を含有している。これにより、セラミックス材料と金属材料との接着箇所、特にセラミックス材料が窒化アルミニウム製である場合に、これらの接着箇所において、高強度の接着状態を実現でき、かつ、高温状態に保持した場合でも接着状態の劣化を少なくすることができる。また、このような良好な接着状態を実現する上で、鉛を含有するガラスフリットを用いる必要がなくなる。
本発明に係る金属ペースト組成物は、前述した(A)〜(F)成分を含んでいればよいが、必要に応じて他の成分を含有してもよい。このような他の成分としては、本発明に係る金属ペースト組成物の物性または取扱性等に影響がない限り、一般的なペースト組成物の分野で公知の各種の添加剤を好適に用いることができるが、好ましい一例として、分散剤を挙げることができる。
本発明に係る金属ペースト組成物の製造方法は特に限定されず、公知の方法を好適に用いることができる。代表的な一例としては、前述した(A)〜(F)成分、必要に応じて他の成分を所定の配合割合(重量基準)で配合し、公知の混練装置を用いてペースト化すればよい。混練装置としては、例えば、3本ロールミル等を挙げることができる。
[特性評価用サンプルの作製方法]
実施例および比較例のペースト組成物を用いて、次のようにして特性評価用サンプルを作製した。
基材としての窒化アルミニウム基板上に、実施例または比較例の金属ペースト組成物を用いて、図1に示すように、両端に端子11および12を有し配線部分がつづら折り状となっている印刷パターン10をスクリーン印刷した。なお、スクリーン印刷には、マイクロ・テック株式会社製スクリーン印刷機MT−320(商品名)を使用した。この印刷パターン10のアスペクト比は220となっている。その後、窒化アルミニウム基板を850℃のベルト炉で40分間焼成し、印刷パターン10を焼成させた。これにより比抵抗評価用サンプルを作製した。
基材としての窒化アルミニウム基板上に、実施例または比較例の金属ペースト組成物を用いて、図1に示すように、一辺2mmの正方形(2mm□)からなる印刷パターン20をスクリーン印刷した。なお、スクリーン印刷には、マイクロ・テック株式会社製スクリーン印刷機MT−320(商品名)を使用し、SUS200メッシュのスクリーン版(中沼アートスクリーン株式会社製)を用いた。その後、窒化アルミニウム基板を850℃の熱風乾燥機中で40分間加熱し、印刷パターン20を焼成させた。これにより80μm線幅評価用サンプルを作製した。
比抵抗評価用サンプルにおいて、図1に示す印刷パターン10の配線の膜厚を、株式会社東京精密製表面粗さ計サーフコム480A(商品名)で測定するとともに、その電気抵抗(端子11、12間)を株式会社アドバンテスト製デジタルマルチメータR6551(商品名)で測定し、それら膜厚、電気抵抗および前記アスペクト比に基づいて比抵抗を算出し、評価した。
密着強度評価用サンプルにおいて、図1に示す印刷パターン20上に金無電解メッキを施し、さらにスズメッキした銅製ワイヤを半田付けした。この評価用サンプルの銅製ワイヤをメッキ面に対して垂直な方向に引っ張ったとき、半田が窒化アルミニウム基板から引き剥がされたときの荷重(N)を測定した。なお、荷重測定には今田製作所社製デジタル荷重計を用いた。
前記[密着強度の評価方法]と同様に銅製ワイヤを半田付けした密着強度評価用サンプルを、150℃送風式乾燥機にて48時間静置した。静置後、取り出し後に、前記と同様の条件にて引っ張ったときに、半田が窒化アルミニウム基板から引き剥がされたときの荷重(N)を前記と同様に測定した。
表1に示す組成(いずれも重量部)で、表2に示す具体的な成分を用いて、(A)〜(F)成分および分散剤を配合し、3本ロールミルで混練してペースト化することにより、実施例1〜4の金属ペースト組成物をそれぞれ製造(調製)した。なお、実施例1〜4では、表2に示すように、(F)成分を変更した以外は同じ成分および同じ組成となっている。
表1および表2に示すように、(B)ガラスフリットの種類および配合量(含有量)と、(C)活性金属の配合量(含有量)を調整した以外は、実施例1と同様にして、実施例5の金属ペースト組成物を製造(調製)した。得られた金属ペースト組成物を用いて、実施例1と同様にして比抵抗および密着強度を評価した。その結果を表3に示す。
表1および表2に示すように、(F)成分の配合量(含有量)を増加または減少するように調整し、これに合わせて、(A)金属粉末、(B)ガラスフリット、(C)活性金属、および(E)溶剤の配合量を調整した以外は、実施例1と同様にして、実施例6または7の金属ペースト組成物を製造(調製)した。得られた金属ペースト組成物を用いて、実施例1と同様にして比抵抗および密着強度を評価した。その結果を表3に示す。
表1および表2に示すように、(F)成分を変更した以外は実施例6と同様にして、実施例8金属ペースト組成物を製造(調製)した。得られた金属ペースト組成物を用いて、実施例6と同様にして比抵抗および密着強度を評価した。その結果を表3に示す。
表1および表2に示すように、(F)成分を用いず、かつ、(A)金属粉末および(E)溶剤の配合量(含有量)を調整した以外は、実施例1と同様にして、比較例1、2の金属ペースト組成物を得た。なお、比較例1、2では、表2に示すように(B)ガラスフリットの種類が異なっているがいずれも鉛(Pb)は含んでいない。得られた金属ペースト組成物を用いて、実施例1と同様にして比抵抗および密着強度を評価した。その結果を表3に示す。
表1および表2に示すように、(F)成分の含有量を減少させるとともに、これに合わせて(A)金属粉末および(E)溶剤の配合量(含有量)を調整した以外は、実施例2と同様にして、比較例3の金属ペースト組成物を得た。得られた金属ペースト組成物を用いて、実施例2と同様にして比抵抗および密着強度を評価した。その結果を表3に示す。
表1および表2に示すように、(B)ガラスフリットとして鉛を含有するガラス材料で構成されるものを用いた以外は、比較例1と同様にして比較例4の金属ペースト組成物を得た。得られた金属ペースト組成物を用いて、比較例1と同様にして比抵抗および密着強度を評価した。その結果を表3に示す。
11 端子
12 端子
20 印刷パターン
Claims (9)
- 少なくとも、セラミックス材料と金属材料との接合と、セラミックス材料の表面に接着した状態の金属膜の形成とを含む、セラミックス材料と金属材料との接着に用いられ、(A)金属粉末、(B)ガラスフリット、(C)活性金属、(D)ビヒクル、および(E)溶剤、並びに、(F)金属ナノ粒子または金属錯体を含有しており、
前記(A)金属粉末は、周期表第10族および第11族の少なくともいずれかの金属元素の粉末であり、かつ、平均粒径が0.2〜20μmの範囲内であり、
前記(B)ガラスフリットが、鉛を含有しないガラス材料により構成され、
前記(C)活性金属は、レアアースあるいは周期表第3族の金属、周期表第4族の金属、周期表第5族の金属、周期表第6族の金属、Li、Mg、Al、Mn、In、Zn、Snから選択される少なくともいずれかの金属の単体、酸化物または水素化物の粉末であり、
前記(F)金属ナノ粒子または金属錯体のうち、(F−1)金属ナノ粒子は、前記(A)金属粉末として用いられる少なくともいずれか1種の金属で構成され、当該(A)金属粉末とは別成分として配合される、平均粒径が1〜100nmの範囲内のナノ粒子であり、
前記(F)金属ナノ粒子または金属錯体のうち、(F−2)金属錯体は、前記(A)金属粉末または前記活性金属として用いられる少なくともいずれか1種の金属の錯体の粉末または金属錯体溶液であり、
さらに、その全体量を100重量部とした際に、
前記(A)金属粉末の含有量が30重量部以上90重量部以下であり、
前記(B)ガラスフリットの含有量が1重量部以上15重量部以下であり、
前記(C)活性金属の含有量が1重量部以上10重量部以下であり、
前記(F)金属ナノ粒子または金属錯体の含有量が0.1重量部を超え10重量部以下の含有量であることを特徴とする、
セラミックス材料用金属ペースト組成物。 - 前記(F)金属ナノ粒子が、Pt、Pd、Ag、Cu、Au、Niからなる群より選択される少なくとも1種の金属より構成されるナノ粒子であることを特徴とする、
請求項1に記載のセラミックス材料用金属ペースト組成物。 - 前記(F−2)金属錯体が、金属アセチルアセトナート錯体であることを特徴とする、
請求項1または2に記載のセラミックス材料用金属ペースト組成物。 - 前記(B)ガラスフリットが、B2O3−SiO2系、B2O3−SiO2−CaO系、B2O3−SiO2−Al2O3系のガラス材料により構成されることを特徴とする、
請求項1から3のいずれか1項に記載のセラミックス材料用金属ペースト組成物。 - 前記(A)金属粉末が、Pt、Pd、Ag、Cu、Au、Niからなる群より選択される少なくとも1種の金属より構成されることを特徴とする、
請求項1から4のいずれか1項に記載のセラミックス材料用金属ペースト組成物。 - 前記(C)活性金属が、In、Zn、Sn、Ti、Zr、Nb、Hf、Moからなる群より選択される少なくとも1種の元素の単体、酸化物または水素化物であることを特徴とする、
請求項1から5のいずれか1項に記載のセラミックス材料用金属ペースト組成物。 - 前記セラミックス材料としてのセラミックス基板上に前記金属ペースト組成物を印刷した後に焼成して得たパターンを、銅製ワイヤに接着したときの接着強度が20N/2mm□以上であり、かつ、150℃で48時間保持した際の接着強度が15N/2mm□以上であることを特徴とする、
請求項1から6のいずれか1項に記載のセラミックス材料用金属ペースト組成物。 - 前記セラミックス材料が、窒化物系セラミックスから構成されるセラミックス基板であることを特徴とする、
請求項1から7のいずれか1項に記載のセラミックス材料用金属ペースト組成物。 - 前記セラミックス材料と前記金属材料との接合、および、前記セラミックス材料の表面に接着した状態の金属膜を形成、の少なくとも一方に用いられることを特徴とする、
請求項1から8のいずれか1項に記載のセラミックス材料用金属ペースト組成物。
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